JP2019183216A - 耐熱性鋳鋼並びにこれを用いた焼却炉及び焼却炉火格子 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐食性、高温強度、耐摩耗性等に優れた耐熱性鋳鋼並びにこれを用いた焼却炉及び焼却炉火格子を提供する。【解決手段】質量%で、C:0.20〜0.50%、Ni:0.8〜1.5%、Cr:25.00〜28.00%、Mo:2.00〜2.50%、Nb:0.50〜1.50%、Si:2.00%以下、Mn:1.00%以下、を含有し、残部がFe及び不可避的不純物である組成からなる耐熱性鋳鋼、並びにこれを用いた焼却炉及び焼却炉火格子によって、上記課題を解決する。【選択図】図2

Description

本発明は、耐熱性鋳鋼並びにこれを用いた焼却炉及び焼却炉火格子に関するものである。
一般廃棄物処理プラントとして、ストーカ式焼却炉が広く用いられている。ストーカとは、火格子を階段状に並べた燃焼装置であり、階段状の火格子が前後に動くことで、ごみと空気が効率的に接触でき、「ごみ」という不均質な性状なものでも安定して燃焼させることができる。一般に火格子は、可動火格子と固定火格子とを交互に組み合わせて構成されており、可動段のみが前進・後進を繰り返し、ストーカ上のごみを下流へと搬送する。火格子の前進・後退により、ごみは撹拌され、効率よく空気と接触し、良好な燃焼が行われる。
燃焼炉のストーカには、耐食性、高温強度、耐摩耗性等が必要とされる。ストーカの表面温度は、従来、通常350℃以下になるように下からの燃焼用一次空気で冷却されてきたが、ごみの高カロリー化、NOx対策としての低酸素運転の採用等にともなって、より厳しい腐食環境下にて使用される傾向にあり、ストーカの損傷の進行の度合いが大きくなってきた。
ストーカ式焼却炉の使用材質は、当初は、側壁に粘土質煉瓦、ストーカに耐熱性鋳鋼を用いるにすぎなかった。しかし、側壁にSiC質煉瓦を用いて耐熱性を向上させ、ストーカにも、Fe-Cr-Ni-C系の合金、例えばJIS SCH11(25Cr−5Ni)、SCH13(26Cr−12Ni)である耐熱性鋳鋼が用いられるようになった。
しかし、前記したようなごみの高カロリー化、NOx対策としての低酸素運転の採用等にともなって、火格子やストーカの損傷が大きくなった。さらに、ごみの高カロリー化が進むにつれ、火格子やストーカの損傷が著しくなり、ついに火格子やストーカの表面温度が一時的ながら600℃を超え、火格子やストーカが溶相にいたる事例が生じるようになった。このため比較的短期間で火格子等焼却炉部品を交換する必要性に迫られる状況となっている。
火格子等の定期的な交換は、焼却炉を使用し続けるためには必要な作業である。しかしながら、交換は焼却炉を停止して行なうため、焼却炉の稼働率が低下し、焼却、熱回収、発電等ができない期間が発生する。また、部品交換は焼却炉内部に人が入る必要があることから、塩素系化合物への対応が必要となる。以上のように、火格子等焼却炉部品の交換作業は、焼却炉のランニングコストの増加や作業労働負荷の増大につながり、それらを行う頻度はできるだけ少なくすることが望まれる。
火格子が高温に曝されることによる損傷を抑制するために、火格子を鋳造する際に冷却用の管体を同時に鋳込むこと等により、火格子を水冷する方式も開発されている。火格子の温度管理が水冷により確実に行えれば、燃焼用一次空気の吹き込み量を単独に制御することができ、燃え切り点の制御等も効果的に行える利点が生じる。その一方で、火格子構造が複雑になると共に、火格子表面を過度に冷却した場合、温度の低下を招き、燃焼効率悪化につながるおそれがある。また、水冷管が万一損傷すれば、炉内に水が入り埋火につながるリスクがある。
このため、火格子を構成する材質について、より耐高温耐食性を向上させる研究も進められている。一般的な鋳鋼では、希土類元素を添加して耐食性を向上させることがあるが、希土類元素は高価である。また、Niを添加し素地をオーステナイト化させると共に硬くすることもあるが、素地がオーステナイト化すると、緻密なFCC(面心立方格子)構造となるため、マトリックス中のCr拡散速度が低下し、耐食性が低下してしまう。
また、例えば、特許文献1には、質量%で、C:0.1〜0.5%、Si:0.5〜5.0%、Mn:0%超〜2.0%、Ni:0%超〜4.0%、Cr:20〜35%、Mo:2.5%超〜10%、Nb:0.1〜5.0%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物である組成からなることを特徴とする耐熱鋳鋼を用いて火格子を構成することが提案されている。焼却炉での温度は一定であることは珍しく、火格子近辺では場所や条件によっては、むしろ600℃以下の低温域であることを想定し、高温域で支配的な粒界腐食のみならず低温域で支配的な全面腐食に対しての耐食性を発揮させようとするものである。Moの比較的高い配合によって低温域での耐全面腐食性を向上させる一方で、Nbの所定量の配合によって連続的なCr炭化物の切断やCr炭化物に置き換わることによって高温域での耐粒界腐食性も向上させることができると述べている。なお、特許文献1では、単純な500℃での温度条件下と単純な700℃での温度条件下での腐食性で評価がなされているが、実際の燃焼炉での温度条件とはかなりかけ離れたものであると思われる。また、特許文献1では、JIS G 5122の耐熱鋼の鋳造品鋼材SCH2の組成をベースとして、これに所定量のMoとNbを配合して耐食性を検討している。しかし、評価に示される組成には、Moは、0.9%未満のものと、5%以上のものしかなく、さらにMoが5%以上配合された組成は、Nbのみをほぼ同量配合したものよりも、700℃での腐食性が劣る結果が示されている。
また、Mo及びNbはともに炭化物生成元素であり、耐食性の付与及び高温強度の維持に有効である。一方で、いずれもレアメタルとして高価なものであるので、経済的な観点からその添加量は少ない方が望ましい。しかし、特許文献1に示される組成においてはその配合量が比較的大きいものであった。
このように、例えば、焼却炉の火格子の構成材質として用いられる耐熱性鋳鋼の組成としては、未だ改善の余地が残るものであった。
特許第4742314号公報
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、耐食性、高温強度、耐摩耗性等に優れた耐熱性鋳鋼及びこれを用いた焼却炉及び焼却炉火格子をより経済的に提供することにある。
(1)本発明に係る耐熱性鋳鋼は、質量%で、C:0.20〜0.50%、Ni:0.8〜1.5%、Cr:25.00〜28.00%、Mo:2.00〜2.50%、Nb:0.50〜1.50%、Si:2.00%以下、Mn:1.00%以下、を含有し、残部がFe及び不可避的不純物である組成からなることを特徴とする。
本発明に係る耐熱性鋳鋼の一実施形態においては、質量%で、C:0.25〜0.35%、Ni:0.9〜1.2%、Cr:25.50〜27.00%、Mo:2.00〜2.40%、Nb:0.80〜1.40%、Si:0.7〜0.90%、Mn:0.5〜0.70%、を含有し、残部がFe及び不可避的不純物である組成からなるものが示される。
(2)本発明に係る焼却炉は、質量%で、C:0.20〜0.50%、Ni:0.8〜1.5%、Cr:25.00〜28.00%、Mo:2.00〜2.50%、Nb:0.50〜1.50%、Si:2.00%以下、Mn:1.00%以下、を含有し、残部がFe及び不可避的不純物である組成からなる耐熱性鋳鋼を少なくとも一部の部材に用いたことを特徴とする。
(3)本発明に係る火格子は、質量%で、C:0.20〜0.50%、Ni:0.8〜1.5%、Cr:25.00〜28.00%、Mo:2.00〜2.50%、Nb:0.50〜1.50%、Si:2.00%以下、Mn:1.00%以下、を含有し、残部がFe及び不可避的不純物である組成からなる耐熱性鋳鋼を少なくとも一部において用いたことを特徴とする。
本発明に係る耐熱性鋳鋼によれば、厳しい高温腐食環下において高い耐食性を示すという効果を奏する。本発明に係る焼却炉によれば、高い耐食性のある部材を用いた焼却炉を提供することができ、焼却炉の連続稼働性、部品交換に要する設備停止のサイクルの延長化を図ることができる。本発明に係る焼却炉火格子によれば、高い耐食性を有することにより過剰な冷却を必要とせずに火格子を延命化させることができる。
(a)実施例において作製した焼却炉火格子の形状を模式的に示す斜視図、及び、(b)その実施例で厚さを計測した部位を説明する概略断面である。 実施例及び比較例で得られた、焼却炉における火格子の使用時間と、火格子先端部の残厚との関係を示すグラフである。 一般的なストーカ式焼却炉の構成の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明に係る耐熱性鋳鋼並びにこれを用いた焼却炉及び焼却炉火格子について、その実施形態に基づき詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、あくまで本発明に係る一例であって、本発明はその実施形態に限定解釈されるものではない。
(耐熱性鋳鋼)
耐熱性鋳鋼は、質量%で、C:0.20〜0.50%、Ni:0.8〜1.5%、Cr:25.00〜28.00%、Mo:2.00〜2.50%、Nb:0.50〜1.50%、Si:2.00%以下、Mn:1.00%以下、を含有し、残部がFe及び不可避的不純物である組成からなることに特徴がある。
以下、本発明に係る耐熱性鋳鋼の成分限定理由を説明する。なお、以下において組成を表す際の「%」は、質量%(重量%)のことである。
(C:0.20〜0.50%)
C(炭素)は、炭化物の形成、マトリックスの高硬度化のために必要な元素であり、固溶硬化及びクロム炭化物の析出硬化により、耐摩耗性を高め、また鋳造性を高めるために不可欠な成分である。一方で、クロム炭化物の形成によって粒界腐食を促進するため、耐食性の観点からは、その量は少ない方が望ましい。0.20%未満の添加量では、炭化物生成量が過少となり、またマトリックスの硬さが低下するため、耐摩耗性が不十分となる。一方、0.50%を超える添加量では、炭化物量が過多となり、粒界腐食が大きくなり、耐食性が不十分となる。したがって、本発明では、C量の下限を0.20%、上限を0.50%とする。好ましくは0.25〜0.35%である。代表的には、Cが約0.3%程度である態様が望ましい。
(Ni:0.8〜1.5%)
Ni(ニッケル)は、靭性を顕著に向上させ、焼入れ性の向上効果もある。一方、Niは、オーステナイト形成元素であり、オーステナイト系はフェライト系に比べ合金中の拡散速度が遅く、マトリックスの高温酸化性が劣る。Niを過剰に添加すると、オーステナイトの安定化が過大となって、硬さの低い残留オーステナイトの生成量が増大し、硬さの低下、耐摩耗性の低下を生じる。このため、本発明では、Ni量を極力少なくし、Ni量の下限を0.8%、上限を1.5%とする。好ましくは0.9〜1.2%、更に好ましくは0.95〜1.20%である。代表的には、Niが約1.0%程度である態様が望ましい。
(Cr:25.00〜28.00%)
Cr(クロム)は、高温耐食性向上のためには不可欠な元素である。雰囲気の酸素と反応し、合金表面に腐食に対して保護的な酸化クロム皮膜を形成し、母材の腐食を抑制する。しかし、その添加量が過剰となると、靱性が低下する可能性がある。このため、本発明では、Cr量の下限を25.00%、上限を28.00%とする。好ましくは25.50〜27.00%、更に好ましくは25.50〜26.50%である。代表的には、Crが約26.0%程度である態様が望ましい。
(Mo:2.00〜2.50%)
Mo(モリブデン)は、炭化物生成元素であり、耐食性の付与及び高温強度の維持に不可欠な元素である。高温では、S、C又はSiと容易に反応してMoS、MoC、MoSi増量により効果を増す反面、合金の脆化を伴う。また、Moは、500℃以上では急速に酸化し、耐食性を悪化させるおそれが高い。また、レアメタルなので高価であり、経済的な観点から、その添加量は少ない方が望ましい。このため、本発明では、Mo量の下限を2.00%、上限を2.50%とする。好ましくは2.00〜2.40%である。代表的には、Moが約2.0%程度である態様が望ましい。
(Nb:0.50〜1.50%)
Nb(ニオブ)は、炭化物生成元素であり、鋼中において炭素を安定化し、粒間腐食を防止する。これにより、鋼材の微小構造が保たれ、耐蝕性、耐熱性、耐衝撃性を高める効果を発揮する。一方、過剰添加によりCr炭化物がNb炭化物に置換され、逆に耐食性が悪化する。また、レアメタルなので高価であり、経済的な観点から、その添加量は少ない方が望ましい。このため、本発明では、Nb量の下限を0.50%、上限を1.50%とする。好ましくは0.80〜1.40%である。代表的には、Nbが約1.0%程度である態様が望ましい。
(Si:2.00%以下)
Si(ケイ素)は、溶解、精錬時に脱酸作用を発揮し、鋳造時の湯流れ性を向上させる。一方、添加量が一定量以上になると、前記効果が飽和し、また、より過剰に添加すると、鋼材の靱性が低下する。このため、本発明では、Si量の上限を2.00%とする。好ましくは0.7〜0.90%である。
(Mn:1.00%以下)
Mn(マンガン)は、脱酸作用と共に脱硫剤としても作用し、さらに、鋳造性、焼入れ性を向上させる元素であり、δフェライトの生成を抑制する作用がある。一方、多量のMnを加えると、耐高温酸化性が低下し、クリープ破断強度が劣化し、耐摩耗性が低下する。このため、本発明では、Mn量の上限を1.00%とする。好ましくは0.5〜0.70%、更に好ましくは0.50〜0.60%である。
(不可避的不純物)
不可避的不純物としては、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる元素、例えば、P、S、Sn、As、Pb、N等の混入が許容され得る。これらの不可避的不純物のうち、P、Sについては、特に限定されるものではないが、例えばP:0.040%以下、S:0.040%以下である通常混入する範囲内であることが鋳造性確保のために望ましい。P及びS以外の不可避的不純物元素としても、通常の高Cr鋳鋼と同様に、鋳造性確保のために、通常混入する範囲内の不純物元素の混在が許容可能である。
なお、本発明に係る鋳鋼品は、NiとMoの双方が上記の所定量含むことが重要である。Niが所定量を超えたり、NiのみでMoが所定量含有されない場合には、高温耐酸化性が低下する。MoのみでNiが含有されない場合には、靱性の低下、機械加工性の悪化が生じることになり、また、Moが所定量を超えると、かえって耐食性が低下することにもなる。
本発明に係る耐熱性鋳鋼を鋳造する際の、溶解温度、鋳湯温度、熱処理、徐冷等の条件は、特に限定はなく、公知の手法を採ればよい。一般に、鋳鋼品の組織は、鋳放しのままでは粗くて脆いので、型ばらし後の熱処理を行わないと伸びが少なく、また、切削等の機械加工が困難になると言われている。しかし、本発明に係る鋳鋼品は、上記のような熱処理を行っても行わなくてもよい。むしろ熱処理を省くことにより、製造時間、製造工程が簡易化される利点がある。ただし、引張り強さを改善する場合には、熱処理が必要である。
一例を挙げれば、例えば、常法により、上記化学組成の鋼を溶製し、その鋳片をオーステナイト温度域に加熱保持した後、風冷して焼き入れることによって製造される。代表的な熱処理条件としては、鋳片加熱温度1000〜1300℃程度、保持時間3〜10時間程度、加熱保持後の冷却速度0.05〜5.0℃/秒程度である。ただし、ここに記載した条件はあくまでも一例を示したものであって、これに何ら限定されるものではなく、上記したように公知の手法のいずれを採用することもできる。
(焼却炉及び焼却炉火格子)
本発明に係る焼却炉は、前記本発明に係る耐熱性鋳鋼を、少なくとも一部の部材に用いたことを特徴とする。また、本発明に係る焼却炉火格子は、前記本発明に係る耐熱性鋳鋼を、少なくとも一部において用いたことを特徴とする。ここで、まず、本発明に係る焼却炉及び焼却炉火格子の一例として、ストーカ式のごみ焼却炉及びこれに用いられる火格子の概略について簡単に説明する。
図3に示すように、ストーカ式のごみ焼却炉1は、収集されてきたごみを集積したごみピット(図示せず)よりクレーン等を介して、ごみWが投入されるホッパー2と、このホッパー2から投入されたごみWを送り出すとともに燃焼させて灰にする炉床部3と、ごみWを燃焼させた灰を排出する排出口4とを備えている。
炉床部3は、ごみWをホッパー2側から排出口4側に送り出しやすいように、排出口4側を低くして傾斜されている。炉床部3には、ごみWの供給方向上流側から、ごみWを乾燥させる乾燥段3aと、この乾燥段3aよりも一段低い位置でごみWを燃焼させる燃焼段3bと、ごみWの固定炭素残留分をさらに燃焼させる後燃焼段3cとが設けられている。また、炉床部3には、多数の火格子5が敷き詰められている。火格子5は、可動段と固定段が一段ごとに交互に設けられ、ごみWの供給方向下流側に向かって漸次低くなる階段状をしている。火格子5の可動段のみが前進・後進を繰り返し、ストーカ上のごみを下流側へと搬送する。炉床部3の下面側からは、図示するようにストーカ炉下シュート6から供給される一次燃焼空気が火格子5裏面を通過することで火格子の冷却が行われる。火格子5の前進・後退により、ごみは撹拌され、効率よく空気と接触し、良好な燃焼が行われる。炉床部3のごみW(焼却灰)は、燃焼により高い腐食性をもつ溶融した焼却灰となり、火格子5の往復移動により下流側に押し出される。焼却炉1の燃焼室7上方には燃焼排ガス流路8が設けられており、流路8上には図示しないボイラ、タービン等の熱回収設備及び集塵装置や触媒脱硝装置等の排ガス処理装置等がさらに設けられている。
焼却炉の構成としては、図3に示すような構成のものに何ら限定されるわけではない。ストーカ式焼却炉としても、例えば炉床部が傾斜しておらず、可動火格子と固定火格子を交互かつ水平に配置した構成を有するもの等の異なる構成を有する、公知の各種のものに適用可能である。また、ストーカ式焼却炉以外の焼却炉であっても適用可能である。
本発明に係る焼却炉において、前記本発明に係る耐熱性鋳鋼で構成される部材等は特に限定されるものではないが、高温の腐食性環境に曝される部材、特に、火格子等の部材、さらに可動火格子等の部材は少なくとも本発明に係る耐熱性鋳鋼で構成されるものであることが望ましい。
同様に、本発明に係る焼却炉火格子としても、その形状、タイプ等は何ら限定されるものではなく、公知の各種のものに適用可能である。例えば、火格子としては、一般的な空冷式のもののみならず、水冷式の構成のものも包含され、また、可動火格子のみならず固定火格子も包含される。
本発明に係る焼却炉火格子としては、その全体を前記本発明に係る耐熱性鋳鋼で構成されるものに限られず、その一部を前記本発明に係る耐熱性鋳鋼で構成されるものも含まれる。特に、過酷な条件に曝される火格子、殊に可動火格子において、被焼却物と接触する、火格子の表面側部位、さらには表面側先端部位が、少なくとも本発明に係る耐熱性鋳鋼で構成されるものであることが望ましい。
以下、本発明を実施例よってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
表1に示す組成の本発明に係る耐熱性鋳鋼(本発明品という。)を、大気中にて通常の高周波誘導溶解炉を用いて鋳湯温度1600℃で鋳込み、図1に示す形状の火格子に注型して、本発明に係る実施例1の耐熱性鋳鋼の火格子を得た。
得られた火格子の耐熱耐腐食性を調べるために、実操業炉に組込み腐食試験を行った。なお、腐食試験に用いた実操業炉の方式および操業条件等は以下の通りであった。
方式:ロータリーキルン及びストーカ炉一体式
処理能力:最大120t/日(24時間運転)
温度条件:980〜1050℃(キルン上部測定値)
焼却量:固形物約70〜90t、汚泥約9〜18t(1日あたり)
そして、所定時間経過毎に、図1に示すような火格子の先端部中間の残厚(初期厚さ:41mm)を測定し、腐食性を評価した。得られた結果を図2に示す。
[比較例1]
鋳鋼組成として、表1に示すようなJIS G 5122の耐熱鋼の鋳造品鋼材SCH11の組成を用いる以外は、実施例1と同様にして、比較例1の火格子を得、同様の腐食試験を行った。得られた結果を図2に示す。
[比較例2]
鋳鋼組成として、表1に示すようなJIS G 5122の耐熱鋼の鋳造品鋼材SCH13の組成を用いる以外は、実施例1と同様にして、比較例1の火格子を得、同様の腐食試験を行った。得られた結果を図2に示す。
Figure 2019183216
図2に示すように、実操業炉の操業条件に組込んで腐食試験を行ったところ、本発明に係る実施例1の耐熱性鋳鋼は高い耐腐食性を示した。
以上説明したように、本発明に係る耐熱性鋳鋼は、耐腐食性を必要とする環境で利用することができる。特に、塩化腐食や硫化腐食が同時に生じる強腐食環境で有効であり、火格子を始めとする焼却炉部材に使用することができる。なお、焼却炉部材だけでなく、各種ガス化装置、化学プラント及び石油精製プラントその他の高温で操業するプラントに用いることができる。
1 ストーカ式ごみ焼却炉
2 ホッパー
3 炉床部
4 排出口
5 火格子
W ごみ


Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.20〜0.50%、Ni:0.8〜1.5%、Cr:25.00〜28.00%、Mo:2.00〜2.50%、Nb:0.50〜1.50%、Si:2.00%以下、Mn:1.00%以下、を含有し、残部がFe及び不可避的不純物である組成からなる、ことを特徴とする耐熱性鋳鋼。
  2. 質量%で、C:0.25〜0.35%、Ni:0.9〜1.2%、Cr:25.50〜27.00%、Mo:2.00〜2.40%、Nb:0.80〜1.40%、Si:0.7〜0.90%、Mn:0.5〜0.70%、を含有し、残部がFe及び不可避的不純物である組成からなる、請求項1に記載の耐熱性鋳鋼。
  3. 請求項1又は2に記載の耐熱性鋳鋼を少なくとも一部の部材に用いたことを特徴とする焼却炉。
  4. 請求項1又は2に記載の耐熱性鋳鋼を少なくとも一部において用いたことを特徴とする焼却炉火格子。


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