JP2019182688A - シリカ粒子又はその分散体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ナノサイズのシリカ粒子であっても、凝集が防止されたナノサイズのシリカ粒子を高濃度で得ることができる方法を提供する。【解決手段】水;アンモニア類、H+付加物のpKaが7.5超であるアミン類及び第4級アンモニウム化合物から選ばれる塩基性触媒;及びH+付加物のpKaが7.5以下であるアミン類の存在下、アルコキシシランを加水分解・縮合する、シリカ粒子又はその分散体の製造方法。前記H+付加物のpKaが7.5以下であるアミン類が、水酸基及びエーテル結合を有さないアミン類であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明はシリカ粒子又はその分散体の製造方法に関し、好ましくはナノオーダーのシリカ粒子又はその分散体の製造方法に関する。
シリカ粒子は、樹脂や樹脂原料等と混合することで、樹脂の成形性や透明性等を損なうことなく強度や硬度、耐熱性、絶縁性等の特性を向上できるため、接着材料、歯科用材料、光学部材、コーティング材料(ハードコート用、アンチグレア用)、ナノコンポジット材料等の用途に有用である。また、微小な粒径を有するシリカ粒子は、その硬度から研磨剤としても使用されている。特に近年、ナノサイズのシリカ粒子が注目されている。
例えば、特許文献1には、水又はpH12以下のアルカリ水(例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドを添加したアルカリ水)からなる母液に、温度20℃以下でケイ酸アルキルを加水分解して得られる加水分解液を添加することで、一次粒子径24.2nm、二次粒子径30.0nmのシリカ粒子が得られることが記載されている。
特許文献2には、加水分解速度の速い易加水分解性オルガノシリケートと特定の加水分解触媒(例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム)を用い、この特定の加水分解触媒を、少なくとも反応終了時の反応混合物中におけるシリカ(B)に対する加水分解触媒(A)の割合(A/B)が所定の値以下となる様に添加して反応させることで、平均粒子径が5〜500nmのシリカ粒子を製造することが記載されている。
特開2013−82584号公報 特開2007−153732号公報
しかし、特許文献1、2で得られるシリカ粒子は、比較的凝集しやすく、二次粒子径が大きくなる場合があった。また特許文献1で得られるシリカ粒子は、得られるシリカ濃度が約1.5質量%程度と低い。
従って本発明の目的は、ナノサイズのシリカ粒子であっても、より確実に凝集を防止できるとともに、高い固形分濃度でシリカ粒子を合成することのできる方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、アルコキシシランを塩基性触媒の存在下で加水分解・縮合するゾルゲル法によってシリカ粒子を製造するときに、塩基性触媒よりも塩基性の弱いアミン類を塩基性触媒と併用すると、加水分解中のケイ素原子の周囲の環境を適切に制御することができる結果、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。本発明は以下の通りである。
[1]水、
アンモニア類、H+付加物のpKaが7.5超であるアミン類及び第4級アンモニウム化合物から選ばれる塩基性触媒、及び
+付加物のpKaが7.5以下であるアミン類の存在下、
アルコキシシランを加水分解・縮合する、シリカ粒子又はその分散体の製造方法。
[2]前記H+付加物のpKaが7.5以下であるアミン類が、水酸基及びエーテル結合を有さないアミン類である[1]に記載の製造方法。
[3]前記H+付加物のpKaが7.5以下であるアミン類が、環構造を有しかつ該環構造が炭化水素環であるアミン、芳香族環を有しかつ該芳香族環が含窒素複素環であるアミン、含窒素非芳香族性複素環を有しかつ該複素環に芳香族環が縮環しているアミン、橋掛け複素環を有するアミン、含窒素非芳香族性複素環のみのアミン、及び鎖状構造のみのアミンから選ばれる少なくとも1種である[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]前記H+付加物のpKaが7.5以下であるアミン類と前記塩基性触媒の質量比(アミン類/塩基性触媒)が、0.1以上、1.0以下である[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]前記アルコキシシランを加水分解・縮合するときに、さらにアルコール類を共存させる[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]前記水、塩基性触媒、及びH+付加物のpKaが7.5以下であるアミン類を含む混合物に、前記アルコキシシランを添加することでアルコキシシランを加水分解・縮合する[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]透過型電子顕微鏡写真に基づいて求めた前記シリカ粒子の算術平均粒子径が100nm以下である[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、塩基性触媒と、該塩基性触媒よりも塩基性の弱いアミン類との存在下で、アルコキシシランを加水分解・縮合しているため、凝集が防止されたナノサイズのシリカ粒子を高濃度で得ることができる。
本発明では、水、アンモニア類などの塩基性触媒、及びH+付加物のpKaが7.5以下であるアミン類の存在下、アルコキシシランを加水分解・縮合することでシリカ粒子を製造でき、特に塩基性触媒と、該塩基性触媒よりも塩基性の弱いアミン類との存在下で、アルコキシシランを加水分解・縮合している点に特徴を有する。アルコキシシランは、塩基性触媒の存在下で加水分解・縮合され、このときアルコキシシランに含まれるケイ素原子が、塩基性触媒に由来するOH-や他のアルコキシシランの加水分解縮合物に由来するOSi-から求核攻撃を受け、SN2反応に類似した機構で反応が進むとされている(G.J.Brinker、外1名,「SOL−GEL SCIENCE」,1990,ACADEMIC PRESS LIMITED,p116−139)。この加水分解縮合が進むほど、アルコキシシランの中心ケイ素原子に求電子性の高いヒドロキシ基、SiO-基などがより多く結合することとなり、中心ケイ素原子がより求核攻撃を受けやすくなって、加水分解・縮合がさらに進みやすくなるのが通常である。ところがH+付加物のpKaが7.5以下であるアミン類を共存させると、ヒドロキシ基の水素原子と相互作用することで、中心ケイ素原子の反応性が下がり、加水分解・縮合がゆるやかになるため、粒子径を容易にナノサイズにできると共に、該アミン類がシリカ粒子の表面に存在して、凝集がより効果的に防止されたシリカ粒子を高濃度で得ることができる。
塩基性触媒よりも塩基性の弱いアミン類のH+付加物のpKaは7.3以下が好ましく、より好ましくは7.0以下であり、また例えば3.0以上が好ましく、より好ましくは3.5以上であり、更に好ましくは4.0以上である。
+付加物のpKaが7.5以下であるアミン類は、環構造を有するアミンと、環構造を有さない(すなわち鎖状構造のみ)アミンとに分類され、環構造を有するアミンは、さらに環構造が炭化水素環(芳香族炭化水素環、又は脂肪族炭化水素環)であるアミンと、環構造が含窒素複素環を有するアミンとに分類される。環構造が炭化水素環であるアミンとしては、アニリン(pKa=4.87)などが挙げられ、含窒素複素環式環構造を有するアミンとしてはピリジン(pKa=5.2)、キノリン(pKa=4.92)、2,2’−ビピリジン(pKa=4.42)、イミダゾール(pKa=6.9)、1−メチルイミダゾール(pKa=7.2)などの芳香族環を有しかつ該芳香族環が含窒素複素環であるアミン;1,2,3,4−テトラヒドロキノリン(pKa=5.0)、インドリン(pKa=5.0)などの含窒素非芳香族性複素環を有しかつ該複素環に芳香族環が縮環しているアミン;ヘキサメチレンテトラミン(pKa=5.13)などの橋掛け複素環を有するアミン;チアゾリジン(pKa=6.31)などの含窒素非芳香族性複素環のみのアミンなどが挙げられる。また鎖状構造のみのアミンとしては、ジメチルアミノアセトニトリル(pKa=4.2)などのモノアミン類、アセトヒドラジド(pKa=3.24)などのヒドラジン型アミン類などが挙げられる。なお、上記例示において括弧内のpKaは、例示アミンにH+が付加した化合物のpKaを示す。良好な分散性を確保する観点から、芳香環を有するアミンが好ましく、中でも、芳香族環を有しかつ該芳香族環が含窒素複素環であるアミン(例えばピリジン、キノリン、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2,2’−ビピリジル)又は含窒素非芳香族性複素環を有しかつ該複素環に芳香族環が縮環しているアミンであって炭素数が9以上であるアミン(例えばテトラヒドロキノリン)が好ましい。
+付加物のpKaが7.5以下であるアミン類は、アルカノールアミンの様に水酸基を有するアミン;モルホリンの様にエーテル結合を有するアミンなどであってもよいが、水酸基やエーテル結合を有さないアミンである方が好ましい。
前記アミン類は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記塩基性触媒としては、アンモニア類、H+付加物のpKaが7.5超であるアミン類、第4級アンモニウム化合物を用いる。前記アンモニア類としては、アンモニア;尿素等のアンモニア発生剤;等が挙げられる。また、前記アミン類としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、n−ブチルアミン、ジメチルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン等の脂肪族アミン;シクロヘキシルアミン等の脂環式アミン;ベンジルアミン等の芳香族アミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;等が挙げられる。また、前記第4級アンモニウム化合物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
塩基性触媒としては、粒子径の制御が容易である観点から、アンモニア類、H+付加物のpKaが7.5超であるアミン類が好ましい。また、得られるシリカ粒子の純度を高める観点から、シリカ中から除去が容易な触媒であることが好ましく、具体的には、アンモニア、脂肪族アミンがより好ましい。また、触媒効果と除去容易性を兼ね備える観点からは、アンモニア類が好ましく、アンモニアが特に好ましい。
前記アルコキシシランは、ケイ素原子の置換基としてアルコキシ基(特にアルキルオキシ基)を有する化合物であり、ケイ素原子の置換基として、アルコキシ基の他に、炭素数2〜6のアルキル基、又は、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を有していてもよい。また、前記アルキル基の水素原子は、ハロゲン原子、ビニル基、グリシジル基、メルカプト基、アミノ基等で置換されていてもよい。
ケイ素原子の置換基としてアルコキシ基(特にアルキルオキシ基)のみを有する4官能性アルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等の炭素数が1〜4程度のアルキルオキシ基を4つ有するシランが挙げられる。また、ケイ素原子の置換基として、アルコキシ基と無置換のアルキル基を有するアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等の3官能性アルコキシシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等の2官能性アルコキシシラン;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等の1官能性アルコキシシラン;等が挙げられる。さらに、ケイ素原子の置換基として、アルコキシ基と置換アルキル基を有するアルコキシシランとしては、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロロアルキル基含有アルコキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基含有アルコキシシラン;フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等の芳香族基含有アルコキシシラン;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のグリシジル基含有アルコキシシラン;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基含有アルコキシシラン;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシラン;等が挙げられる。
中でも、1〜4官能性アルコキシシランが好ましく、より好ましくは3〜4官能性アルコキシシランであり、さらに好ましくは4官能性アルコキシシランである。アルコキシシランの官能数(アルコキシ基の数)が多いほど、得られるシリカ焼成体中に不純物が混入しにくくなる。焼成シリカに用いられるアルコキシシランのうち、4官能性アルコキシシラン(好ましくはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン)が90質量%以上であることが好ましく、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上であり、上限は100質量%である。また、反応性の観点から、アルコキシ基の炭素数は1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、1〜2であることがさらに好ましい。すなわち、本発明のシリカ粒子に特に好ましく用いられるアルコキシシランは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の炭素数が1〜4程度のアルキルオキシ基を4つ有するシランである。
アルコキシシランを加水分解・縮合する反応液中、アルコキシシランの濃度は、0.05mmol/g以上であることが好ましく、より好ましくは0.1mmol/g以上であり、更に好ましくは1mmol/g以上であり、上限は特に限定されないが、例えば3mmol/g以下であることが好ましい。反応液中、アルコキシシランの濃度がこの範囲にあると、反応速度の制御が容易となり、粒子径を均一にすることができる。
前記反応液中、水の濃度は、2mmol/g〜25mmol/gであることが好ましい。ただし、アルコキシシランの加水分解・縮合により水の量は変化するので、仕込み時(加水分解・縮合の開始前)の量を基準とする。水とアルコキシシランのモル比(水/アルコキシシラン)は、3〜20が好ましく、4〜10がより好ましい。水とアルコキシシランのモル比がこの範囲にあると、シリカ粒子の内部に残存するシラノール基が低減されやすくなる。
反応液中、塩基性触媒の濃度は、0.8mmol/g〜2mmol/gであることが好ましい。また、塩基性触媒と、塩基性触媒と水との合計の質量比(塩基性触媒/(塩基性触媒+水))は、0.1以上であることが好ましく、より好ましくは0.2以上であり、0.4以下であることが好ましく、0.32以下であることがより好ましい。
反応液中、前記H+付加物のpKaが7.5以下のアミン類の濃度は、0.01mmol/g〜1mmol/gであることが好ましい。また、H+付加物のpKaが7.5以下のアミン類と塩基性触媒との質量比(アミン類/塩基性触媒)は、0.1以上であることが好ましく、より好ましくは0.2以上であり、1.0以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましい。H+付加物のpKaが7.5以下のアミンは、前述した通り、得られるシリカ粒子の粒子径を容易にナノサイズにでき、また好ましくはその緻密性(密度)を高めることができる。また、濃度を前記範囲にすることで、シリカ粒子を分散媒に分散させたシリカ粒子分散体のpHを例えば9.0以上に調整しやすく、分散媒中でのシリカ粒子の凝集を抑制できる点で好ましい。
アルコキシシランを加水分解・縮合する際には、さらに希釈剤を共存させてもよい。希釈剤を含有することで、疎水性のアルコキシシランと水とが混合しやすくなり、反応液中でアルコキシシランの加水分解・縮合の進行度合いを均一にすることができるとともに、得られるシリカ粒子の分散性が向上する。希釈剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ペンチルアルコール等のモノオール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のジオール類;等のアルコール類に代表される水溶性有機溶媒が好ましい。
反応液中、希釈剤は、40質量%以上であることが好ましく、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは55質量%以上であり、80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは70質量%以下であり、さらに好ましくは65質量%以下である。
また、希釈剤は、アルコキシシランと水の合計100質量部に対して、120質量部以上であることが好ましく、より好ましくは150質量部以上であり、500質量部以下であることが好ましく、より好ましくは300質量部以下、さらに好ましくは250質量部以下である。
希釈剤が多いほど、反応の進行度合いを均一にしやすくなり、また、希釈剤が少ないと、反応速度を高めることができる。ただし、アルコキシシランの加水分解・縮合により、アルコールの量が変化するので、前記希釈剤の量は、仕込み時(加水分解・縮合の開始前)の量を基準とする。
反応液には、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;イソオクタン、シクロヘキサン等のパラフィン類;ジオキサン、ジエチルエーテル、等のエーテル類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;等の疎水性有機溶媒が含まれていてもよい。これらの疎水性有機溶媒を用いる場合、分散性を向上させるため界面活性剤を添加してもよい。
上記各成分は、適当な順で混合してもよいが、例えば、少なくとも上記各成分(例えば、水、塩基性触媒、H+付加物のpKaが7.5以下であるアミン、希釈剤等)の一部(好ましくは全部)を予め混合した予備混合液を調製した後、アルコキシシランと混合してもよい。アルコキシシランは、予め希釈剤と混合した後、予備混合物と混合してもよい。
アルコキシシランを加水分解・縮合する際、反応温度は、0〜100℃が好ましく、20〜70℃がより好ましく、20〜55℃がさらに好ましい。また、加水分解・縮合継続時間は、30分〜100時間であることが好ましく、1〜20時間がより好ましく、2〜10時間がさらに好ましい。
シリカ粒子を表面処理剤で表面処理することも好ましく、その場合、アルコキシシランの加水分解・縮合後の反応混合物(液)を得た後、表面処理することができる。
表面処理剤は、シランカップリング剤、ジシラザン化合物などの有機ケイ素化合物;有機酸;及びチタンカップリング剤の少なくとも1種を含むことが好ましく、少なくとも有機ケイ素化合物を含むことが好ましい。
前記シランカップリング剤とは、中心ケイ素原子に加水分解性基(加水分解によりシラノール基を形成しうる基)及び官能基が結合した化合物を意味し、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン等のクロロシラン化合物;テトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン、トリメチルアセトキシシラン等のアシロキシシラン化合物;ヘキサメチルジシラザン等のシラザン化合物;ジメチルシランジオール、ジフェニルシランジオール、トリメチルシラノール等のシラノール化合物;等が挙げられる。
前記ジシラザン化合物は、分子中に、Si−N−Si結合を有する化合物を意味し、例えば、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス(クロロメチル)テトラメチルジシラザン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、2,2,4,4,6,6−ヘキサメチルシクロトリシラザン、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリビニルシクロトリシラザン、ヘプタメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、ヘキサメチルジシラザンリチウム、ヘキサメチルジシラザンナトリウム、ヘキサメチルジシラザンカリウム等が挙げられる。
前記有機酸としては、カルボキシ基を有する化合物(以下、「カルボン酸化合物」という場合がある。)が好ましく、該カルボン酸化合物は、カチオン(例えばアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン等の金属カチオン;アンモニウムイオン等の分子性カチオン)と塩を形成していてもよい。
前記カルボン酸化合物としては、(メタ)アクリル酸類;エステル基、エーテル基、アミド基、チオエステル基、チオエーテル基、カーボネート基、ウレタン基及びウレア基からなる群より選ばれる1以上の置換基(以下、「特定置換基」という場合がある。)を有するカルボン酸;直鎖状カルボン酸(直鎖状脂肪族カルボン酸、好ましくは直鎖状飽和脂肪族カルボン酸等)、分枝鎖状カルボン酸(分岐鎖状脂肪族カルボン酸、好ましくは分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸等)、環状カルボン酸(脂環式カルボン酸、好ましくは不飽和二重結合を有さない脂環式カルボン酸等)及び芳香族カルボン酸等から選ばれる1つ以上(好ましくは1つ)であるカルボキシ基を有する炭素数4〜20の化合物;が好ましく採用される。
前記カルボン酸化合物としては、具体的に、(メタ)アクリル酸類(例えば、アクリル酸、メタクリル酸)、(メタ)アクリロキシC1-6アルキルカルボン酸等(例えば、3−アクリロキシプロピオン酸等)、C3-9脂肪族ジカルボン酸の(メタ)アクリロキシC1-6アルキルアルコールによるハーフエステル類(例えば、2−アクリロキシエチルコハク酸、2−メタクリロキシエチルコハク酸等)、C5-10脂環式ジカルボン酸の(メタ)アクリロキシC1-6アルキルアルコールによるハーフエステル類(例えば、2−アクリロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロキシエチルフタル酸、2−メタクリロキシエチルフタル酸等)、C8-14芳香族ジカルボン酸の(メタ)アクリロキシC1-6アルキルアルコールによるハーフエステル類(例えば、2−アクリロキシエチルフタル酸、2−メタクリロキシエチルフタル酸等)等のエステル基を有するカルボン酸;酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ステアリン酸等の直鎖状カルボン酸;ピバリン酸、2,2−ジメチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、2,2−ジメチル吉草酸、2,2−ジエチル酪酸、3,3−ジエチル酪酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、3−メチルヘキサン酸、3−エチルヘキサン酸、2−メチルヘプタン酸、4−メチルオクタン酸、ネオデカン酸等の分枝鎖状カルボン酸;ナフテン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の環状カルボン酸;等が挙げられる。
前記チタンカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(ドデシル)ベンゼンスルホニルチタネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ−トリ(ジオクチル)ホスフェイトチタネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ−トリネオドデカノイルチタネート等が挙げられる。
前記表面処理剤は、(メタ)アクリロイル基を有する表面処理剤であることが好ましく、(メタ)アクリロイル基を有する表面処理剤としては、(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤又は(メタ)アクリロイル基を有する有機酸が好ましい。
(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(以下、「(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤」という場合がある。)としては、加水分解性基がアルコキシ基であるものが好ましく、例えば、3−アクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−アクリロキシプロピルジエトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルジエトキシメチルシラン等の2官能性(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の3官能性(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤;等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有する有機酸としては、2−アクリロキシエチルコハク酸、2−メタクリロキシエチルコハク酸、2−アクリロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロキシエチルフタル酸、2−メタクリロキシエチルフタル酸等が挙げられる。
表面処理剤の量は、シリカ粒子100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上であり、好ましくは1000質量部以下、より好ましくは500質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下である。
本発明の製造方法により得られるシリカ粒子の大きさは、透過型電子顕微鏡写真に基づいて求まる算術平均粒子径(以下、「TEM径」と称し、記号dTEMで表す場合がある。)で表すことができ、該TEM径(dTEM)は、具体的には100nm以下にすることができる。TEM径(dTEM)は、好ましくは70nm以下、より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは30nm以下であり、例えば3nm以上、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上であってもよい。
前記TEM径(dTEM)は、シリカ粒子を拡大倍率20万倍の透過型電子顕微鏡で観察し、得られた透過型電子顕微鏡画像に含まれるシリカ粒子のうち、50〜100個のシリカ粒子についてそれぞれの長径を測定し、その個数基準の平均値(算術平均値)として算出することができる。
前記シリカ粒子は、粒度分布がシャープであることが好ましい。TEM径(dTEM)の変動係数は、透過型電子顕微鏡写真に基づいて求めた前記シリカ粒子の粒子径の変動係数(標準偏差を算術平均値で割った値)が、例えば、20%以下、好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下であり、例えば2%以上、さらには4%以上であることも許容される。
シリカ粒子は、分散媒に分散させたシリカ粒子分散体(分散液)として樹脂や樹脂原料等と混合することで、樹脂成形体の改質に使用することも好ましく、本発明の製造方法により得られるシリカ粒子分散体は、分散媒中での凝集が抑制できる。具体的には、シリカ粒子の濃度を一定(9質量%)に揃えた状態で分散媒に分散させたものを測定試料として動的光散乱法により測定される平均二次粒子径(以下、「DLS径」という場合があり、記号dDLSで表す場合がある。)が、例えば、80nm以下、好ましくは60nm以下、より好ましくは40nm以下、特に好ましくは20nm以下であり、例えば、1nm以上、好ましくは2nm以上である。
動的光散乱法では、測定試料中のシリカ粒子の移動速度に基づいて粒子径を計測しており、前記測定試料中でのシリカ粒子の移動速度は、シリカ粒子が占める体積と相関するため、シリカ粒子の凝集に応じた粒子径(二次粒子)を測定できる。具体的には、測定試料にレーザー光(好ましくは波長650nm)を照射し、その散乱光強度の時間的な揺らぎ変動から光子相関法により自己相関関数を求め、キュムラント法により平均粒子径(流体力学径)が算出される。
シリカ粒子の分散媒としては、例えば、水、アルコール系溶媒、又は水とアルコール系溶媒の混合溶媒などが好ましい。水、アルコール系溶媒は、シリカ粒子の合成溶媒として使用され、これらを分散媒とすると、溶媒置換が不要であるため、シリカ粒子分散体の製造が容易である。前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、ペンタノール、メチルブタノール、ネオペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、ヘキサノール、2−ヘキサノール、ヘプタノール、2−ヘプタノール、オクタノール、2−オクタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール等のモノオール系溶媒;エタンジオール、プロパンジオール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、メチルペンタンジオール、エチルペンタンジオール等のジオール系溶媒;グリセリン、ヘキサントリオール等のトリオール系溶媒;メトキシエタノール、エトキシエタノール、メトキシメトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソプロポキシエタノール、ブトキシエタノール、イソペンチルオキシエタノール、ヘキシルオキシエタノール、フェノキシエタノール、ベンジルオキシエタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、メトキシプロパノール(プロピレングリコールモノメチルエーテル)、エトキシプロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール等のエーテルアルコール系溶媒;クロロエタノール、クロロプロパンジオール、トリフルオロエタノール等のハロゲン化アルコール系溶媒;ヒドロキシプロピオニトリル;アミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミノアルコール系溶媒;等が挙げられる。好ましいアルコール系溶媒は、メタノールなどのモノオール系溶媒、プロピレングリコールなどのジオール系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテルアルコール系溶媒などである。
分散体中のシリカ粒子の濃度は、例えば、3質量%以上とすればよく、好ましくは5質量%以上であり、8質量%以上であってもよい。また該濃度は、例えば、40質量%以下であってもよいが、例えば、30質量%以下、好ましくは20質量%以下である。
シリカ粒子分散体中のアミンの量は、例えばアルコキシシラン100質量部に対する割合で1〜10質量部が好ましく、より好ましくは2〜7質量部である。
更に、本発明の製造方法により得られたシリカ粒子分散体では、Al、Na、K、Fe、Ca、Mg、Zn、Ni、Co、Cr、Uなど金属元素の含有量を低減できる。Al濃度は、500ppm(質量基準)以下、好ましくは100ppm(質量基準)以下、より好ましくは10ppm(質量基準)以下、特に好ましくは5ppm(質量基準)以下であり、最も好ましくは1ppm(質量基準)以下である。Al濃度の下限は特に制限されないが、0ppm(質量基準)超であってもよい。Na濃度は、例えば、200ppm(質量基準)以下、好ましくは50ppm(質量基準)以下、より好ましくは10ppm(質量基準)以下、特に好ましくは5ppm(質量基準)以下である。Na濃度の下限は特に制限されないが、0ppm(質量基準)超であってもよい。またK濃度は、例えば、50ppm(質量基準)以下、好ましくは10ppm(質量基準)以下、より好ましくは5ppm(質量基準)以下である。K濃度の下限は特に制限されないが、0ppm(質量基準)超であってもよい。Fe濃度は、例えば、50ppm(質量基準)以下、好ましくは10ppm(質量基準)以下、より好ましくは5ppm(質量基準)以下である。Fe濃度の下限は特に制限されないが、0ppm(質量基準)超であってもよい。特にNa濃度200ppm(質量基準)以下とFe濃度50ppm(質量基準)以下を両立するのが好ましい一態様であり、またNa濃度5ppm(質量基準)以下とK濃度が5ppm(質量基準)以下を両立するのも好ましい一態様である。Na、K、およびFeは、いずれも1ppm(質量基準)以下であることが最も好ましい。Ca、Mg、Zn、Ni、Co、Cr、Uの量は、例えば、それぞれ10ppm(質量基準)以下、好ましくは5ppm(質量基準)以下、特に好ましくは1ppm(質量基準)以下である。
前記Al、Na、K、Fe、Ca、Mg、Zn、Ni、Co、Cr、Uなどの不純物金属含有量は、高周波プラズマ発光分光分析装置(Agilent8800;アジレント・テクノロジー社製等)を用いて測定することができる。具体的には、シリカ粒子分散体を、フッ酸と硝酸の混合液に添加混合し、この混合液にさらに、硝酸と過酸化水素水を順次添加して総量を50mLとしたものを測定試料液として測定することができる。
アルコキシシランの加水分解・縮合後のシリカ粒子を含む反応混合物(液)、または更に表面処理剤を添加した反応混合物(液)は、その後、必要に応じて濾過(限外濾過など)によって濃縮・精製したり、希釈したり、溶媒置換したりしてもよい。
溶媒置換を利用することで、分散媒として、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、エステル系溶媒などを使用することもできる。溶媒置換の手順は、例えば以下の通りである。本発明の製造方法、すなわち、水、上記した特定の塩基性触媒及びアミン類の存在下、アルコキシシランを加水分解・縮合してコロイダルシリカを得た後(必要に応じて表面処理を行う)、限外濾過膜で濾過し、続いて陽イオン交換樹脂で処理し、前記コロイダルシリカの溶媒を、上記したエーテル系溶媒、ケトン系溶媒、炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、及びエステル系溶媒から選ばれる少なくとも一種に置換する。前記した限外濾過によって、上記したアミン類や、塩基性触媒を除去することができる。このとき、限外濾過しながら、水又はアルコール系溶媒を添加し、溶媒置換してもよい。前記した陽イオン交換樹脂での処理では、粒子表面に吸着した塩基性触媒などを除去できる。前記コロイダルシリカの溶媒からエーテル系溶媒等への置換は、前記コロイダルシリカの溶媒の一部が置換されていてもよいし、全部が置換されていてもよい。置換されるコロイダルシリカの溶媒は、遠心分離や、溶媒留去などの固液分離手段によって除去されることが好ましい。
前記エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等の脂肪族炭化水素エーテル系溶媒;ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル等の芳香族炭化水素エーテル系溶媒;プロピレンオキシド、フラン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル系溶媒;1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1、2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、グリセリンエーテル等のポリエーテル系溶媒;等が挙げられる。
ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン等が挙げられる。
前記炭化水素系溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の飽和脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、ナフタレン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の飽和脂環式炭化水素系溶媒;等が挙げられる。
前記ハロゲン化炭化水素系溶媒としては、塩化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、塩化エチル等の塩素化脂肪族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン、フルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;等が挙げられる。
エステル系溶媒としては、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル等のギ酸エステル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、3−メトキシブチルアセテート、酢酸sec−ヘキシル、2−エチルブチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、酢酸シクロヘキシル、酢酸ベンジル、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、2−フェノキシエチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等の酢酸エステル系溶媒;プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソペンチル等のプロピンオン酸エステル系溶媒;γ−ブチロラクトン:エチレングリコールモノアセテート;二酢酸エチレン;エチレングリコールエステル;ジエチレングリコールモノアセテート;炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等の炭酸エステル;乳酸エチル等の乳酸エステル;等が挙げられる。
また、反応混合物(液)、濃縮・精製液、希釈液、溶媒置換液の適当な段階で溶媒を除去(遠心分離、溶媒留去などの固液分離手段による除去など)し、シリカ粒子を乾燥したり、また必要に応じて焼成したりすることも好ましい。乾燥は、例えばシリカ粒子を含む液を100〜200℃程度で4〜10時間程度加熱することで行われる。
本発明の製造方法により得られるシリカ粒子は、ナノサイズの微小な粒径と、凝集の防止を両立できるものであり、樹脂成形体の強度、硬度、耐熱性、絶縁性等の特性を向上するために利用できる。シリカ粒子によって改質される樹脂製品としては、接着材料、歯科用材料、光学部材、コーティング材料(ハードコート用、アンチグレア用)、ナノコンポジット材料等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
各実施例における測定方法及び評価方法は以下の通りである。
[Al、Na、K、Fe、Ca、Mg、Zn、Ni、Co、Cr、及びUの含有量の測定]
アルコール性溶液懸濁体を、フッ酸と硝酸の混合液に添加混合し、この混合液にさらに、硝酸と過酸化水素水を順次添加して総量を50mLとして測定試料液を作製した。この測定試料液を高周波プラズマ発光分光分析装置(Agilent8800;アジレント・テクノロジー社製等)を用いて測定し、アルコール性溶液懸濁体中のAl、Na、K、Fe、Ca、Mg、Zn、Ni、Co、Cr、及びUの含有量を算出した。
シリカ粒子のTEM径、DLS径については、各実施例で得られたアルコール性溶液懸濁体を150℃に熱したホットプレート上で6時間加熱することで、粉体化したシリカ粒子を得て、得られたシリカ粒子について下記の方法で測定した。
[透過型電子顕微鏡写真に基づいて求めた算術平均粒子径(TEM径)の測定]
シリカ粒子のTEM径は、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー社製、H−7650)で観察することによって測定した。倍率20万倍で粒子を観察し、任意の100個の粒子について、各粒子の長径(長軸方向の長さ)を測定し、個数基準の平均値(算術平均値)を算出した。
[動的光散乱法に基づく平均粒子径(DLS径)の測定]
濃厚系粒径アナライザー(大塚電子株式会社製、FPAR1000、レーザー光の波長:650nm)で測定した粒子径をDLS径とした。動的光散乱法での測定用サンプルとしては、シリカ粒子分散液(シリカ粒子の濃度が9質量%であるメタノール分散体)を用いた。
[分散安定性の評価]
各実施例及び比較例で得られたシリカ粒子の懸濁体を、目視にて観察し、下記の通り評価した。
〇:懸濁液を2週間、25℃で静置した際、目視による凝集や増粘が見られない状態
△:懸濁液を2週間、25℃で静置した際、増粘はしないものの、目視による凝集が見られる状態
×:懸濁液を2週間、25℃で静置した際、目視による凝集及び増粘が見られる状態
実施例1
撹拌機、滴下口、温度計を備えた20LのSUS製容器にメタノール8120gと、水1426gと、25%アンモニア水846gと、1−メチルイミダゾール90gとを加え、30分攪拌することで均一な溶液を得た。該混合液を攪拌し、かつ液温を49〜51℃に調整しながら、テトラメチルオルトシリケート(TMOS)2840gを滴下口から1時間かけて滴下した。滴下終了後、引き続き1時間加水分解を行うことで、シリカ粒子のアルコール性溶液懸濁体(1)を得た。
実施例2
実施例1で使用した1−メチルイミダゾール90gをイミダゾール90gに変更した以外は実施例1と同様にして、シリカ粒子のアルコール性溶液懸濁体(2)を得た。
実施例3
実施例1で使用した1−メチルイミダゾール90gをピリジン90gに変更した以外は実施例1と同様にして、シリカ粒子のアルコール性溶液懸濁体(3)を得た。
実施例4
実施例1で使用した1−メチルイミダゾール90gをテトラヒドロキノリン90gに変更した以外は実施例1と同様にして、シリカ粒子のアルコール性溶液懸濁体(4)を得た。
実施例5
実施例1で使用した1−メチルイミダゾール90gをキノリン90gに変更した以外は実施例1と同様にして、シリカ粒子のアルコール性溶液懸濁体(5)を得た。
実施例6
実施例1で使用した1−メチルイミダゾール90gを2,2’−ビピリジル90gに変更した以外は実施例1と同様にして、シリカ粒子のアルコール性溶液懸濁体(6)を得た。
実施例7
実施例1で使用したテトラメチルオルトシリケート(TMOS)2840gをテトラエチルオルトシリケート(TEOS)2840gに変更した以外は同様にして、シリカ粒子のアルコール性溶液懸濁体(7)を得た。
比較例1
攪拌機と、滴下ロートと、温度計とを備えた3リットルのガラス製反応容器にメタノール1045.7gと、水112.6gと、28%アンモニア水33.2gとを入れて混合した。この溶液を35℃となるように調整し、撹拌しながらテトラメトキシシラン436.5gを6時間かけて滴下した。この滴下が終了した後も、さらに0.5時間撹拌を継続して加水分解を行うことにより、親水性球状シリカ微粒子の懸濁液を得た。
実施例1〜7及び比較例1の測定結果を表1に示す。
Figure 2019182688
なお、上記実施例1〜7におけるアルコール性溶液懸濁体(1)〜(7)中の金属の含有量は、Na、K、Al、Fe、Ca、Mg、Zn、Ni、Co、Cr、Uのいずれについても1ppm未満であった。
表1から明らかな通り、アミン類の存在下、アルコキシシランを加水分解する本発明の実施例1〜7の製造方法によれば、凝集の抑制された(安定して分散した)シリカ粒子を高濃度で得ることができる。一方、アミンを用いなかった比較例1では、分散安定性に劣っていた。

Claims (7)

  1. 水、
    アンモニア類、H+付加物のpKaが7.5超であるアミン類及び第4級アンモニウム化合物から選ばれる塩基性触媒、及び
    +付加物のpKaが7.5以下であるアミン類の存在下、
    アルコキシシランを加水分解・縮合する、シリカ粒子又はその分散体の製造方法。
  2. 前記H+付加物のpKaが7.5以下であるアミン類が、水酸基及びエーテル結合を有さないアミン類である請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記H+付加物のpKaが7.5以下であるアミン類が、環構造を有しかつ該環構造が炭化水素環であるアミン、芳香族環を有しかつ該芳香族環が含窒素複素環であるアミン、含窒素非芳香族性複素環を有しかつ該複素環に芳香族環が縮環しているアミン、橋掛け複素環を有するアミン、含窒素非芳香族性複素環のみのアミン、及び鎖状構造のみのアミンから選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記H+付加物のpKaが7.5以下であるアミン類と前記塩基性触媒の質量比(アミン類/塩基性触媒)が、0.1以上、1.0以下である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記アルコキシシランを加水分解・縮合するときに、さらにアルコール類を共存させる請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記水、塩基性触媒、及びH+付加物のpKaが7.5以下であるアミン類を含む混合物に、前記アルコキシシランを添加することでアルコキシシランを加水分解・縮合する請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 透過型電子顕微鏡写真に基づいて求めた前記シリカ粒子の算術平均粒子径が100nm以下である請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
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