JP2019181977A - 乗物用シート - Google Patents
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Abstract
Description
シートクッション4は、図1及び図2に示すように座部となる上方視で略矩形の部材である。このシートクッション4は、上述の基本構成4F,4P,4Sと、アンダートレイ20と、複数のケーブル31〜33と、複数のコネクタ部材35a〜35cと、ホルダ部材40と、蓋部50とを有している(各部材の詳細は後述)。ここでシートクッション4の左側面と右側面は、それぞれサイドシールドSMで被覆されており、各サイドシールドSMは、対応する側面に沿って延びている樹脂製の板状部材である。またシートクッション4は、シートレール9を介して乗物床面FSの上方に設置され、シートクッション4の下側には、図5〜図7を参照して、後述の空間部18(収容部19)が設けられている。
シートクッション4は、図5を参照して、後述するシートフレーム4F上にシートパッド4Pを配置し、このシートパッド4Pをシートカバー4Sで被覆することで形成されている。シートカバー4Sは、シートの意匠面を構成する面材であり、天然繊維又は合成繊維からなる布帛(織物,編物,不織布)や皮革(天然皮革,合成皮革)にて形成できる。また図3及び図5に示すシートパッド4Pは、シート外形をなす上面視で略矩形の部材であり、ポリウレタンフォーム(密度:10kg/m3〜60kg/m3)等の発泡樹脂で形成できる。
そして図2及び図3に示すようにシートフレーム4Fが各脚部17a〜17dでフロントフレーム11上に配置されることで、図5に示すようにシートクッション4と乗物床面FSとの間に空間部18が形成される。この空間部18は、シートフレーム4Fと乗物床面FSの間に形成されている隙であり、後述する各部材(アンダートレイ20,複数のケーブル31〜33,ホルダ部材40)を配置しておくことができる。そして空間部18の高さ寸法は、シートフレーム4Fと乗物床面FSの上下の離間距離と概ね同一であり、空間部18の前端側の高さ寸法L18が相対的に大きくされている。さらに図6を参照して、空間部18の中で、後述するアンダートレイ20の底板部22aと、シートフレーム4F側の部材(40,PC等)との間の隙部分は、アンダートレイ20上の他部材(図示省略)を収容可能な収容部19となる。ここで収容部19の前端側の高さ寸法L19aは、アンダートレイ20とシートフレーム4Fの上下の離間距離と概ね同一であり、相対的に大きくなっている。また後述するホルダ部材40直下の収容部19の高さ寸法L19bは、前端側の高さ寸法L19aに比して小さくされており、アンダートレイ20への配置が予定されている他部材の寸法を考慮して設定される。そして本実施例では、図12に示す嵩高な他部材XM(例えば紙束や小物類)をアンダートレイ上に配置する場合を想定しており、他部材XMが、後述するホルダ部材40の前側に接触することが想定されている。
アンダートレイ20は、図3〜図5を参照して、他部材を配置可能なトレイ本体22と、このトレイ本体22を保持する保持部材24とを有している。トレイ本体22は、図4に示すように上方開放状の箱状部材であり、矩形の底板部22aと、この底板部22aの周囲を囲むように起立している周板部22bとを有している。そして周板部22bの左右の外縁には複数の受板部22cが設けられており、各受板部22cは、周板部22bの周縁の一部が外方に張出したのち下方に向けて湾曲することで形成されている(図4では、便宜上、左側の受止部のみ図示している)。さらに前部側の受板部22cの下縁には、上方に延びる溝状の位置決め溝部23が設けられており、この位置決め溝部23に、後述する保持部材24の位置決め部位25を嵌め込むことが可能である。またトレイ本体22の上方には、図3及び図6に示すように上方視で概ね矩形の保護布PCを配設しておくことができる。この保護布PCの前部側は、後述する保持部材24の前側取付け部24Aの下縁に係止され、保護布PCの後部側は、クリップなどを介してシートフレーム4FのSバネ等に係止される。このように保護布PCを設けておくことで、トレイ本体22上の他部材がシートフレーム4F(又は後述のシート側接続部SJ)等に引っかかることを極力回避することができる。
そしてトレイ本体22を、図4〜図7を参照して、保持部材24を介して空間部18内の適宜の位置に保持し、さらに前後にスライド移動可能な状態とする。このときトレイ本体22を、図4及び図5に示すように保持部材24内に配置しつつ、トレイ本体22の左右の各受板部22cを保持部材24上に乗せ上げておく。この状態でトレイ本体22の各位置決め溝部23に、保持部材24の各位置決め部位25を下方から上方に嵌め込むことで、トレイ本体22を、保持部材24内に保持しておくことができる。この保持状態のトレイ本体22は、保持部材24とともにシートフレーム4Fの下方で且つ乗物床面FSに沿う向きに配置されている。そして図6に示すようにトレイ本体22(底板部22a)の上方には、適宜の高さ寸法を備えた収容部19が形成され、この収容部19に、トレイ本体22上の他部材を収容することができる。またトレイ本体22を、前後にスライド移動させる際には、トレイ本体22を上方に引き上げながら、各位置決め溝部23から各位置決め部位25を抜き外す。こうすることでトレイ本体22を、保持部材24に沿って前後にスライド移動させることが可能となり、図7に示すように前方にスライド移動させてシートクッション4の下方から引出すことができる。なおトレイ本体22は、シートレール9の上昇状態の操作部材9cよりも下方に配置されているため、トレイ本体22の引出し時に操作部材9cが邪魔となることはない。
ここで図3、図8及び図9に示す複数のケーブル(第一ケーブル31,第二ケーブル32,第三ケーブル33)は、各々、本発明の電線部材に相当する部材であり、ワイヤーハーネスの少なくとも一部をなしている。これら各ケーブル31〜33は、電線の束を絶縁被膜で被覆することで形成され、乗物用シート2に設置されている電装部品側から延びている。そして第一ケーブル31と第二ケーブル32は、シートフレーム4Fの後方から下側に回り込んでおり、シートフレーム4Fの下面で前方に延びている。また第三ケーブル33は、シートフレーム4Fの右方から下側に回り込ませることができ、シートフレーム4Fの下面で前方に延びている。これら各ケーブル31〜33は、クリップCPを介してシートフレーム4FのSバネ等に取付けられており、シートフレーム4Fの下面に沿うように配索されている。
また図2及び図8に示す別ケーブル34は、本発明の別電線部材に相当する部材であり、ワイヤーハーネスの少なくとも一部をなしている。この別ケーブル34も、電線の束を絶縁被膜で被覆することで形成されているとともに、複数の電線の束から特定の電線を選択して各ケーブル31〜33のいずれかに電気的につなげることが可能である。そして別ケーブル34は、乗物(ボディ)側の電源や制御装置から延びているとともに、前端34E側が、シートフレーム4Fの前側に配置されている。そして別ケーブル34の前端34E側は、シートフレーム4Fの下方に引き込まれ、さらに後述するホルダ部材40に向けて配索されている。
ホルダ部材40は、図8及び図9を参照して、後述するコネクタ部材35a〜35cを保持する部材であるとともに、蓋部50を有している(各部材等の詳細は後述)。そして本実施例のホルダ部材40と蓋部50とは一体となっており、シートの部品点数削減に資する構成となっている。ここでホルダ部材40と蓋部50の素材として、所定形状に成形可能な樹脂やエラストマを用いることが可能である。本実施例のホルダ部材40と蓋部50には、適度な剛性を備え且つ非導電性の樹脂が用いられており、この種の樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニルなどの硬質樹脂を例示できる。
またホルダ部材40の内部には、図8及び図9に示すように三対のコネクタ部材35a〜35cがコネクタホルダ(35x)を介して固定されている。なおホルダ部材40内には、三対のコネクタ部材35a〜35c用のコネクタホルダ(符号省略)が配設され、さらに右端側には補助用のコネクタホルダ35xが配設されている。そして三対のコネクタ部材35a〜35cは、対応するケーブル31〜33と、別ケーブル34の対応する電線とを電気的につなげるための部材である。これら三対のコネクタ部材35a〜35cは、いずれも概ね直方体状の部材であり、内部配線(図示省略)と、シート側接続部SJと、別側接続部DJとを有している。そして三対のコネクタ部材35a〜35cは、それぞれ前後方向を向いた状態とされて、ホルダ部材40の下壁部41側で左右方向に並列して固定されている。
そして図8及び図9を参照して、各コネクタ部材35a〜35cの後端には、それぞれシート側接続部SJが設けられ、各コネクタ部材35a〜35cの前端には、それぞれ別側接続部DJが設けられている。これら各接続部SJ,DJの基本的な構成は各コネクタ部材35a〜35cで概ね同一である。例えば図12を参照して、ホルダ部材40内には、中央のコネクタ部材35bがコネクタホルダ(符号省略)を介して固定され、さらに下壁部41の係止片41aに係止されている。この中央のコネクタ部材35bのシート側接続部SJは、対応するケーブル33を接続する部位であり、ホルダ部材40の後側開口部46b側に配置されている。また中央のコネクタ部材35bの別側接続部DJは、別ケーブル34の対応する電線部分を接続する部位であり、ホルダ部材40の前側開口部46a側に配置されている。このように本実施例では、各接続部DJ(SJ)を対応する開口部46a(46b)側に配置しておくことで、対応するケーブル34(33)に接続可能な状態としておくことができる。ここで中央のコネクタ部材35bに対する各ケーブル33,34の接続手法は特に限定しないが、本実施例のように各ケーブル先端に設けた接続具(コネクタ)を用いた接続方法のほか、ロウ付けや半田付けなどのロウ接方法を例示できる。このロウ接方法では、対応するケーブルの絶縁被膜を除去して電線を露出させ、対応する電線を、各側接続部SJ,DJに半田付け等で固定して接続する。
図8及び図10〜図13に示す蓋部50は、ホルダ部材40の前側開口部46aを覆う板状部位であり、後述するように閉じ状態と開き状態との間で変位可能である。この蓋部50は、正面視で略矩形状をなしているとともに、各コネクタ部材35a〜35cの別側接続部DJ(全て)を網羅可能な左右の寸法を有している。そして蓋部50には、外形をなしている第一蓋部位51及び第二蓋部位52と、連結部位53と、係止アーム部54と、連結壁55と、回り止め凸部56とが設けられている。第一蓋部位51と第二蓋部位52とは左右方向に長尺な平板状の部位であり、断面視で概ねL字をなすように一体化されている。そして第一蓋部位51は、図10及び図12に示す閉じ状態を基準として前側開口部46aの前方に配置される部位であり、下側から上側に向かうにつれて次第に前方に向けて傾斜した状態となっている。また第二蓋部位52は、閉じ状態を基準として前側開口部46aの前方且つ上方に配置される部位であり、第一蓋部位51の上縁から後方に延長し且つ次第に上方に向けて傾斜している。
図3、図8及び図9を参照して、ホルダ部材40を、各開口部46a,46bが前後を向いた状態としつつ、フロントフレーム11の左側下方にあてがう。つぎにホルダ部材40の位置決め凸部47cを、フロントフレーム11の位置決め孔PH1に挿入して位置決めし、さらにホルダ部材40の各締結凸部47a,47bを、フロントフレーム11の対応する締結孔CH1,CH2の直下に配置する。そして図示しないボルト部材を、図示しない座金をかましながら各締結孔CH1,CH2に通し、さらに各締結凸部47a,47bの締結孔に締結することにより、フロントフレーム11の下方にホルダ部材40を固定することができる。この状態においては、各コネクタ部材35a〜35cのシート側接続部SJが、図9及び図12を参照して、ホルダ部材40の後側開口部46bから後方に露出している。そこで各ケーブル31〜33の前端側を、それぞれ対応するシート側接続部SJに接続することで、各ケーブル31〜33を、ホルダ部材40内の対応するコネクタ部材35a〜35cに予め電気的につなげておくことができる。
また図11及び図13を参照して、別ケーブル34を接続するに際しては、蓋部50を開き状態として別側接続部DJを露出させる。このとき蓋部50を、連結部位53を中心に下方且つ後方に回転させて、回り止め凸部56を、ホルダ部材40の回り止め部47eに係止する。こうして蓋部50を開き状態で安定的に維持しつつ、各別側接続部DJに別ケーブル34を電気的につなげていく。このとき別ケーブル34の前端34Eを前側開口部35に沿って左右方向に向けつつ、各別側接続部DJに、別ケーブル34の対応する電線部分を電気的につなげていくことができる。こうして本実施例では、蓋部50が開閉可能な状態でホルダ部材40に設けられているため、別ケーブル34の取付け時の作業性に優れる構成となっている。また本実施例では、ホルダ部材40を、フロントフレーム11に固定して収容部19の上部側に配置している。このため別ケーブル34の接続作業の際に、作業者が過度に低姿勢となる必要がないことから、別ケーブル34の取付け時の作業性向上に資する構成となる。
図5〜図7を参照して、アンダートレイ20を、シートフレーム4Fの下方から前方に向けて引出したのち、このアンダートレイ20上に図示しない他部材を配置する。この状態でアンダートレイ20を後方に移動させてシートフレーム4Fの下方に配置することで、シートクッション4下側の空間部18(収容部19)内に他部材を収容して保持しておくことができる。そしてホルダ部材40は、アンダートレイ20とともに空間部18内に配置されており、さらにコネクタ部材35a〜35cと別ケーブル34の接続部分はホルダ部材40の前側に配置されている。この種のシート構成では、コネクタ部材35a〜35cと別ケーブル34の接続部分に、空間部18に侵入しようとする他部材が直に接したり引っかかったりすることは極力回避すべきである。すなわち当該接続部分に他部材が直に接するなどすることで、別ケーブル34の意図しない抜け外れや通電不良や破損が生じるおそれがある。特に図12を参照して、当該接続部分の少なくとも一部をなす別側接続部DJや別ケーブル34の前端34E(接続部材又はロウ接部分を含む)に他部材(XM)が直に接することは極力回避すべきである。
2 乗物用シート
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
4F,6F,8F シートフレーム
4P,6P,8P シートパッド
4S,6S,8S シートカバー
SM サイドシールド
9 シートレール
9a アッパレール
9b ロアレール
9c 操作部材
11 フロントフレーム
12a,12b サイドフレーム
13 補強フレーム
14 リアフレーム
15 Sバネ
17a〜17d 脚部
CH1〜CH4 各締結孔
PH1,PH2 位置決め孔
18 空間部
19 収容部
20 アンダートレイ
22 トレイ本体
22a 底板部
22b 周板部
22c 受板部
23 位置決め溝部
24 保持部材
24A 前側取付け部
24B 後側取付け部
25 位置決め部位
PC 保護布
31 第一ケーブル(本発明の電線部材)
32 第二ケーブル(本発明の電線部材)
33 第三ケーブル(本発明の電線部材)
34 別ケーブル(本発明の別電線部材)
34E 別ケーブルの前端
35a〜35c コネクタ部材
SJ シート側接続部
DJ 別側接続部(本発明の接続部)
40 ホルダ部材
41 下壁部
41a 係止片
42 上壁部
42a 壁体
43 右壁部
44 左壁部
45 庇部
46a 前側開口部
46b 後側開口部
47a,47b 締結凸部
47c 位置決め凸部
47d 係止窓部
47e 回り止め部
47f 立壁
50 蓋部
51 第一蓋部位
52 第二蓋部位
53 連結部位
53a 溝部
53b 貫通孔部
54 係止アーム部
55 連結壁
56 回り止め凸部
BR ブラケット
CP クリップ
Claims (5)
- 乗物室内に設置されて座部となるシートクッションと、該シートクッションの下側に設けられ且つ他部材の侵入が想定されている空間部とを備えた乗物用シートにおいて、
前記シートクッションには、電線部材が接続されているコネクタ部材と、該コネクタ部材を保持しているホルダ部材とが設けられ、該ホルダ部材に保持されている前記コネクタ部材は、前記電線部材とは異なる別電線部材を接続可能な状態で前記空間部内に配設されており、
前記ホルダ部材には、前記コネクタ部材の接続部及び該接続部に接続された前記別電線部材を被覆可能な蓋部が設けられており、該蓋部は、前記空間部に侵入しようとする前記他部材を臨む位置に配置されている乗物用シート。 - 前記ホルダ部材に配設されている前記蓋部は、前記接続部を露出する開き状態と、該接続部及び該接続部に接続されている前記別電線部材を被覆する閉じ状態との間で変位可能とされている請求項1に記載の乗物用シート。
- 前記空間部の少なくとも一部は、前記他部材を収容して保持可能な収容部である請求項1又は2に記載の乗物用シート。
- 前記ホルダ部材は、前記空間部の上部側に配設されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の乗物用シート。
- 前記蓋部は、非導電性の素材で構成されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の乗物用シート。
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