JP2019181870A - 三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルム及びそれを貼り付けた物品、並びにこれらの製造方法 - Google Patents

三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルム及びそれを貼り付けた物品、並びにこれらの製造方法 Download PDF

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【課題】エアートラップの不具合を低減し得る三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルム及びそれを貼り付けた物品、並びにこれらの製造方法の提供。【解決手段】装飾層308及び感熱性接着層305を有し、係る感熱性接着層の被着体適用面に、成形時において非タック性の複数の凸状部303が形成されている三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルム。三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムの非タック性の凸状部は、高さが約3μm以上、約40μm以下、かつ感熱性接着層と接触している凸状部底面における直径が約20μm以上、約100μm以下であってもよい。係る大きさの凸状部を備える。【選択図】図3

Description

本開示は、三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルム及びそれを貼り付けた物品、並びにこれらの製造方法に関する。
近年、多様なデザインの加飾フィルムが、自動車の内装材及びその他の幅広い分野で使用されている。
特許文献1(特開2016−130017号公報)には、基材層と、装飾層と、アクリル系粘着剤と、90〜180℃の軟化点を有する粘着付与剤とを含んでなる粘着層とをこの順に有してなる、真空成形用加飾フィルムが記載されている。
特許文献2(特開2017−159587号公報)には、表面保護フィルム、接着剤層、インジウム蒸着層、ベースフィルム、粘接着剤層及びセパレーターが順に積層されてなる金属調加飾フィルムであって、表面保護フィルム及びベースフィルムは、樹脂成分を含有し、樹脂成分は、塩化ビニル樹脂又はアクリル樹脂であり、車両用内装部品等に適用し得る金属調加飾フィルムが記載されている。
特開2016−130017号公報 特開2017−159587号公報
これらの加飾フィルムは、インサートモールディング(IM)、三次元被覆成形法(Three-dimensional Overlay Method、TOM)などの方法を用いて物品に適用される。三次元被覆成形法としては、例えば、図9に示されるような、チャンバ内を真空引きしてエアーを取り除いた後、加飾フィルムを加熱して被着体と貼り合わせる工程を備えるものなどが挙げられる。係る成形法は、真空引きしてエアーを取り除いているため、加飾フィルムと被着体との間でエアーを巻き込む(以下、「エアートラップ」という場合がある。)不具合が発生しにくい方法として知られている。しかしながら、近年、被着体の形状の複雑化、要求品質の高度化などに伴い、このような三次元被覆成形法であっても、エアートラップの不具合が発生する場合があり、係る不具合に対し、真空条件、加熱条件等の成形条件を製品毎に調整して対応していた。したがって、被着体の形状等によらず、より簡易にエアートラップの不具合を改善し得る加飾フィルムの開発が望まれていた。
本開示は、エアートラップの不具合を低減し得る三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルム及びそれを貼り付けた物品、並びにこれらの製造方法を提供する。
本開示の一実施態様によれば、装飾層及び感熱性接着層を有し、係る感熱性接着層の被着体適用面に、成形時において非タック性の複数の凸状部を有する、三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムが提供される。
本開示の別の実施態様によれば、上記の三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムを、被着体である基体部品に貼り付けた物品が提供される。
本開示の別の実施態様によれば、装飾層を備える三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルム用構成部材を用意する工程、複数の非タック性凸状部形成部材を備える剥離ライナーの表面上に、感熱性接着剤を適用して感熱性接着層を形成し、係る感熱性接着層の被着体適用面に、成形時において非タック性の複数の凸状部を形成する工程、及び三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルム用構成部材の装飾層側の面に、感熱性接着層の被着体適用面の反対側の面を適用する工程、を含む、三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムの製造方法が提供される。
本開示の別の実施態様によれば、上記の三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムと、被着体である基体部品とを用意する工程、及び三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムを三次元被覆成形法により基体部品表面に適用し、三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムが基体部品表面に貼り付けられた物品を形成する工程、を含む、物品の製造方法が提供される。
本開示によれば、成形時において、感熱性接着層が接着性を発現する際にも複数の非タック性の凸状部の存在により、三次元被覆成形に伴う加飾フィルムの熱延伸動作をよりスムーズなものとし、エアートラップ等の不具合を低減し得る三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルム及びそれを貼り付けた物品、並びにこれらの製造方法を提供することができる。
本開示の三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムは、例えば、図10(a)に示されるような、凹部を有する被着体の凹部付近に発生し易かったエアートラップを改善することができ、係るエアートラップの一種である、微小なエアー溜りの集合体(以下、「ショックライン」という場合がある。)についても改善することができる。
上述の記載は、本発明の全ての実施態様及び本発明に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。
本開示の一実施態様の三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムで使用される、非タック性凸状部形成部材を備える剥離ライナーの断面図である。 本開示の一実施態様による、剥離ライナーを備える三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムの断面図である。 本開示の一実施態様による、剥離ライナー除去後の三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムの断面図である。 本開示の一実施態様による、三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムの感熱性接着層側の光学顕微鏡写真である。 本開示の別の実施態様の三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムで使用される、非タック性凸状部形成部材及び溝形成部材を備える剥離ライナーの断面図である。 本開示の別の実施態様による、剥離ライナーを備える三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムの断面図である。 本開示の別の実施態様による、剥離ライナー除去後の三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムの断面図である。 本開示の別の実施態様による、三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムの感熱性接着層側の光学顕微鏡写真である。 三次元被覆成形装置を用いて三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムが基体部品に貼り合わされる工程を模式的に説明する図である。 (a)は、エアートラップの不具合が発生した従来の加飾フィルムを備える物品の写真であり、(b)は、エアートラップの不具合が改善されている本開示の三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムを備える物品の写真である。
本開示の第1の実施形態における三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルム(以下、単に「加飾フィルム」と略記する場合がある。)は、装飾層及び感熱性接着層を有し、係る感熱性接着層の被着体適用面に、成形時において非タック性の複数の凸状部を有している。係る非タック性の凸状部が複数形成されていることにより、成形時の加熱で、感熱性接着層がタック性を発現する際にも、被着体適用面と加飾フィルムとの間に間隙を形成し、三次元被覆成形に伴う加飾フィルムの熱延伸等の動きをよりスムーズなものとする。その結果、エアー抜け性等の性能が向上するため、加飾フィルムと被着体との間で生じ得るエアートラップの不具合を低減することができる。
第1の実施形態における三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムは、感熱性接着層の被着体適用面が、約120℃〜約150℃において摺動性を有していてもよい。三次元被覆成形法は、加飾フィルムを加熱し、感熱性接着層にタック性を付与した状態で被着体と貼り合わせるため、感熱性接着層がエアーを巻き込んだ状態で被着体に適用されて固定化されると、たとえ真空引きをしたとしてもエアーが完全には除去されずにエアートラップを生じる場合がある。感熱性接着層の被着体適用面が、約120℃〜約150℃において摺動性を呈する場合は、エアーを巻き込んだ状態で被着体に適用されても摺動し得るため、加飾フィルムは、被着体にすぐには固定化されず、エアーをより除去することができるので、エアートラップの発生をより改善することができる。
第1の実施形態における三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムの非タック性の凸状部は、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、及び(メタ)アクリル樹脂から選択される少なくとも一種を含むことができる。係る材料を含む凸状部は、十分な非タック性及び/又は摺動性を発現することができる。
第1の実施形態における三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムの非タック性の凸状部は、無機粒子をさらに含むことができる。無機粒子を含む凸状部は、非タック性及び/又は摺動性をより発現し易くなる。
第1の実施形態における三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムの非タック性の凸状部は、高さが約3μm以上、約40μm以下、かつ感熱性接着層と接触している凸状部底面における直径が約20μm以上、約100μm以下であってもよい。係る大きさの凸状部を備える加飾フィルムは、摺動性をより向上させることができる。
第1の実施形態における三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムの非タック性の凸状部は、約200μm以上、約300μm以下のピッチで配置されていてもよい。係るピッチ間隔で凸状部を備える加飾フィルムは、摺動性をより向上させることができる。
第1の実施形態における三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムは、感熱性接着層の被着体適用面に、溝をさらに形成してもよい。溝を備える加飾フィルムは、脱気性能がより向上するため、エアートラップの不具合をより改善することができる。
第1の実施形態における三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムは、車載用として使用することができる。本開示の加飾フィルムは、種々の大きさ又は形状の基体部品に適用し得るため、車種によってデザインが変更される車載用の部材として好適に使用することができる。
第2の実施形態における物品は、第1の実施形態における三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムを、被着体である基体部品に貼り付けたものである。本開示の加飾フィルムを適用した物品は、従来の加飾フィルムを適用した物品に比べ、エアートラップの不具合をより改善することができる。
第3の実施形態における三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムの製造方法は、装飾層を備える三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルム用構成部材を用意する工程、複数の非タック性凸状部形成部材を備える剥離ライナーの表面上に、感熱性接着剤を適用して感熱性接着層を形成し、係る感熱性接着層の被着体適用面に、成形時において非タック性の複数の凸状部を形成する工程、及び三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルム用構成部材の装飾層側の面に、感熱性接着層の被着体適用面の反対側の面を適用する工程、を含む。係る製造方法によれば、エアートラップの不具合を低減し得る三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムを得ることができる。
第4の実施形態における物品の製造方法は、第1の実施形態における三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムと、被着体である基体部品とを用意する工程、及び三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムを三次元被覆成形法により基体部品表面に適用し、三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムが基体部品表面に貼り付けられた物品を形成する工程、を含む。係る方法によれば、エアートラップの不具合がより改善された物品を得ることができる。
以下、本発明の代表的な実施態様を例示する目的で、図面を参照しながらより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されない。図面の参照番号について、異なる図面において類似する番号が付された要素は、類似又は対応する要素であることを示す。
本開示において「フィルム」には「シート」と呼ばれる物品も包含される。
本開示において「感熱性接着層」とは、加熱により接着性(タック性)を発現しうる層である。例えば、本開示における「感熱性接着層」は、室温では接着性を示さず、約100℃以上、約120℃以上、又は約140℃以上の成形時において、接着性を発揮することができる。
本開示において「非タック性」とは、少なくとも成形時において、全く接着性がないか、或いは、他の部材に貼り付かない程度にその接着力が低いことを意味する。なお、本開示において、感熱性接着層の被着体適用面に形成される複数の凸状部は、常温(約20℃±約15℃)及び成形時の温度条件でも「非タック性」を有するものである。
本開示において「顕微的」とは、その形を決定するために、どのような目視面から見ても、肉眼に対して光学的補助器具が必要であるほど大きさが小さい構造を意味する。一つの基準は1966年、W.J.Smith著、McGraw−Hill社から出版された現代光工学(Modern Optic Engineering)の104〜105頁に見られ、それによれば、視力とは「認識されうる最も小さな文字の視角の大きさによって定義、測定される」ものである。通常の視力は認識しうる最も小さな文字が高低角で5分の範囲の弧を網膜上に形成する時と考えられる。これは、250mm(10インチ)の典型的な作業距離においては、この対象に関して0.36mm(0.0145インチ)の横寸法となる。
本開示において「微細構造」とは、当該構造における少なくとも2方向(2次元)の寸法が顕微的である構造の形態を意味する。この構造の表面及び/又は断面が顕微的でなければならない。
本開示において「略」とは、製造誤差などによって生じるバラつきを含むことを意味し、±約20%程度の変動が許容されることを意図する。
本開示において「透明」とは、可視光領域の平均透過率が、約60%以上、好ましくは約75%以上、より好ましくは約90%以上であることを意味する。
本開示において「半透明」とは、可視光領域の平均透過率が、約60%未満、好ましくは約50%以下であり、下地を完全に隠蔽しないことを意味する。
本開示において「(メタ)アクリル」とはアクリル又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とはアクリレート又はメタクリレートを意味する。
本開示において「三次元被覆成形法」(TOM)とは、立体状の基体部品(ここで、係る基体部品には、例えば、厚みのある平坦なプレート又はシートなども含まれる。)の表面に沿ってフィルムを被覆する成形法であれば如何なるものでもよく、射出成形方法等も含むことができる。次のものに限定されないが、代表的には、フィルム及び被着体である基体部品を準備する工程と、加熱装置を内部に有する真空チャンバ内にフィルム及び基体部品を配置する工程であって、フィルムが真空チャンバの内部空間を2つに分離し、分離された内部空間の一方に基体部品が配置される、工程と、フィルムを加熱装置によって加熱する工程と、基体部品が配置された内部空間とその反対側の内部空間を共に減圧雰囲気にする工程と、基体部品が配置された内部空間を減圧雰囲気にし、反対側の内部空間を加圧雰囲気又は常圧(大気圧)雰囲気としながら基体部品とフィルムとを接触させて、基体部品をフィルムによって被覆する工程とを含む真空成形方法などを挙げることができる。
本開示の一実施態様の三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムは、装飾層及び感熱性接着層を有し、該感熱性接着層の被着体適用面に、成形時において非タック性の複数の凸状部を有する。
《三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルム》
本開示の一実施態様の三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムの断面図を図2、図3、図6及び図7に示す。本開示の加飾フィルムは、感熱性接着層の被着体適用面に、成形時において非タック性の複数の凸状部を備えている。係る感熱性接着層の被着体適用面は、エアートラップの更なる改善性等の観点から、三次元被覆成形法において加飾フィルムに適用される加熱温度、例えば、約120℃〜約150℃において、摺動性を有していることが好ましい。係る摺動性は、例えば、加飾フィルムを約120℃〜約150℃に加熱した状態で、加飾フィルムの感熱性接着層を被着体となる基体部品(例えば、ポリカーボネート板)上に配置し、係る加飾フィルムが摺動するか否かを判別することで確認することができる。係る摺動性は、加飾フィルムを基体部品に単に静置した状態のときの摺動性を意図し、加飾フィルムが基体部品に接着するような圧がかかった状態のときの摺動性を意図するものではない。
〈加飾フィルムの厚さ〉
加飾フィルムの厚さ(但し、剥離ライナーが存在する場合には、該剥離ライナーの厚さは除く。)は、次のものに限定されないが、例えば、約25μm以上、約50μm以上、又は約100μm以上とすることができ、約2mm以下、約1mm以下、又は約500μm以下とすることができる。加飾フィルムの厚さを上記範囲とすることにより、複雑な形状を有する物品に対しても加飾フィルムを十分に追従させて、優れた外観を有する構造体を提供することができる。
〈装飾層〉
本開示の加飾フィルムの装飾層としては、次のものに限定されないが、塗装色、例えば、白、黄等の淡色、赤、茶、緑、青、グレー、黒などの濃色を呈するカラー層、木目、石目、幾何学模様、皮革模様などの模様、ロゴ、絵柄などを物品に付与するパターン層、表面に凹凸形状が設けられたレリーフ(浮き彫り模様)層など、及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。装飾層は、次のものに限定されないが、加飾フィルムを構成する層、例えば、以下で説明する、保護層の下又は支持層若しくは光輝層の上の全面若しくは一部に直接又は接合層等を介して適用することができる。係る装飾層は、単層構造又は多層構造であってもよく、透明、半透明又は不透明であってもよい。
(カラー層)
カラー層の材料としては、次のものに限定されないが、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、赤色酸化鉄などの無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料、アゾレーキ系顔料、インジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドンレッドなどのキナクリドン系顔料などの有機顔料などの顔料が、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂などのバインダー樹脂に分散された材料を使用することができる。カラー層は、係る材料を用い、例えば、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、ナイフコートなどのコーティング法により形成することができる。
(パターン層)
パターン層としては、次のものに限定されないが、例えば、模様、ロゴ、絵柄などのパターンを、グラビアダイレクト印刷、グラビアオフセット印刷、インクジェット印刷、レーザー印刷、スクリーン印刷などの印刷法を用いて、保護層、光輝層、感熱性接着層等に直接適用したものを採用してもよく、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、ナイフコートなどのコーティング、打ち抜き、エッチングなどにより形成された模様、ロゴ、絵柄などを有するフィルム、シートなどを使用することもできる。パターン層の材料としては、例えば、カラー層で使用した材料と同様の材料を使用することができる。
(レリーフ層)
レリーフ層として、従来公知の方法、例えば、エンボス加工、スクラッチ加工、レーザー加工、ドライエッチング加工、又は熱プレス加工などによる凹凸形状を表面に有する熱可塑性樹脂フィルムを使用することができる。凹凸形状を有する剥離ライナー上に硬化性(メタ)アクリル樹脂などの熱硬化性又は放射線硬化性樹脂を塗布し、加熱又は放射線照射により硬化して、剥離ライナーを取り除くことによりレリーフ層を形成することもできる。レリーフ層に用いられる熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び放射線硬化性樹脂としては、特に限定されないが、フッ素系樹脂、PET、PENなどのポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、熱可塑性エラストマー、ポリカーボネート、ポリアミド、ABS樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、ポリスチレン、塩化ビニル、ポリウレタンなどを使用することができる。レリーフ層は、カラー層で使用される顔料の少なくとも1種を含んでもよい。
(装飾層の任意成分)
本開示の装飾層は、装飾性等を阻害しない範囲において、任意成分として、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、分散剤、可塑剤、フロー向上剤、界面活性剤、レベリング剤、シランカップリング剤、触媒などを含むことができる。
(装飾層の厚さ)
装飾層の厚さは様々であってよく、次のものに限定されないが、例えば、約0.1μm以上、約1μm以上、又は約3μm以上とすることができ、約300μm以下、約200μm以下、又は約100μm以下とすることができる。
〈感熱性接着層〉
加飾フィルムは、基体物品に加飾フィルムを貼り付けるための感熱性接着層をさらに含む。感熱性接着層は、例えば、ポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、オレフィン系接着剤、(メタ)アクリル系接着剤、塩化ビニル系接着剤などの感熱性接着剤から形成することができる。これらの感熱性接着剤の中でも、耐候性と色味の観点から、(メタ)アクリル系接着剤が好ましい。感熱性接着層は、室温、例えば、約20℃においては粘着性(タック性)を殆ど示さず、一方、約100℃以上、約120℃以上、又は約140℃以上において粘着性を示す感熱性接着層を採用することができる。このような感熱性接着層は、例えば、約0℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する第1の(メタ)アクリルポリマーと、0℃未満のTgを有する第2の(メタ)アクリルポリマーとを含有し、第1の(メタ)アクリルポリマー100重量部に対し、第2の(メタ)アクリルポリマーを約100重量部〜約230重量部含有する感熱性接着剤を使用して形成することができる。
(感熱性接着層の任意成分)
本開示の感熱性接着層は、装飾性又は接着性等を阻害しない範囲において、任意成分として、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、粘着付与剤、分散剤、可塑剤、フロー向上剤、界面活性剤、レベリング剤、シランカップリング剤、触媒などを含むことができる。粘着付与剤としては、約65℃で固形であり、融点が約80℃以上の粘着付与剤、例えば、ロジンエステル、テルペンフェノール等を使用することができる。
(感熱性接着層の厚さ)
感熱性接着層の厚さは、次のものに限定されないが、例えば、約5μm以上、約10μm以上、又は約20μm以上とすることができ、約300μm以下、約200μm以下、又は約100μm以下とすることができる。
〈非タック性の凸状部〉
本開示の加飾フィルムは、感熱性接着層の被着体適用面に、図3及び図4に示されるような成形時において非タック性の複数の凸状部を有する。非タック性の性能を呈していれば凸状部の形状は如何なるものでもよく、次のものに限定されないが、例えば、略円柱状、略角柱状、略円錐台状、略角錐台状、又はこれらの混合形態であってもよい。図4のように、感熱性接着層を下側として上方から視認した場合の形状としては、略円形、略楕円形、略三角形、略正方形、略長方形(矩形)、略菱形、略台形、略五角形若しくは略六角形等の略多角形、又はこれらの混合形態であってもよく、模様、ロゴ、絵柄などのパターンのような異形状であってもよい。凸状部は、感熱性接着剤層の主要表面に対し、例えば、ランダムに配置されてもよく、規則的なパターンで配置されてもよく、或いは、図4のように断続的に点在していてもよい。凸状部の上面は、略平面状の傾斜面若しくは図3の303に示されるような略ドーム状の曲面であってもよく、又は略平坦面であってもよい。良好な脱気性又は摺動性を得る観点から、凸状部は、上面が略平坦面の略円錐台状であり、感熱性接着層の主要表面に対して断続的に点在していることが好ましい。
(凸状部の割合)
凸状部は、エアートラップを改善でき、感熱性接着層の接着性の要求性能を満足しているならば、その適用割合は如何なるものでもよく、次のものに限定されないが、例えば、感熱性接着層の主要表面に対し、約1%以上の割合で適用することができ、約5%以下の割合で適用することができる。
(凸状部のサイズ)
凸状部は、エアートラップを改善でき、感熱性接着層の接着性の要求性能を満足しているならば、そのサイズは如何なるものでもよく、次のものに限定されないが、例えば、凸状部の高さとしては、約3μm以上、約4μm以上又は約5μm以上とすることができ、約40μm以下、約38μm以下又は約35μm以下とすることができる。係る高さを有する凸状部は、感熱性接着層を被着体に適用しても、凸状部が接着層内に瞬時に埋没せず、摺動性を発現することができると考えられるため、エアートラップをより防止することができる。
感熱性接着層を下側として上方から視認した場合の凸状部の形状は、略円形でもそれ以外の多角形又は不定形等の形状でも構わない。略円形状である場合には、感熱性接着層と接触している凸状部底面における直径が、それ以外の形状の場合は、凸状部底面における形状の外接円の直径が、例えば、約20μm以上、約25μm以上又は約30μm以上とすることができ、約100μm以下、約90μm以下又は約80μm以下とすることができる。感熱性接着層と接触している凸状部の底面が係るサイズであると、摺動性がより発現され易くなり、エアートラップを更に防止することができる。ここで、凸状部の形状について区別せず、単に「感熱性接着層と接触している凸状部底面における直径」などと表記する場合には、上記の両方の直径を意図している。
(凸状部のピッチ間隔)
凸状部は、エアートラップを改善でき、感熱性接着層の接着性の要求性能を満足しているならば、そのピッチ間隔は如何なるものでもよく、次のものに限定されないが、例えば、約200μm以上、約210μm以上又は約220μm以上とすることができ、約300μm以下、約290μm以下又は約280μm以下とすることができる。凸状部が係るピッチ間隔で配置されていると、摺動性をより向上させることができる。ピッチ間隔は、等間隔であってもよく、等間隔でなくてもよい。ここで、凸状部のピッチ間隔とは、例えば、図3の場合、凸状部(303)の断面の感熱性接着層(305)の下面に対して垂直に位置する凸状部の中心線から、隣接する凸状部の中心線までの距離を意味する。
(凸状部の材料)
凸状部は、エアートラップを改善でき、感熱性接着層の接着性の要求性能を満足しているならば、その材料は如何なるものでもよく、次のものに限定されないが、例えば、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、及び(メタ)アクリル樹脂から選択される少なくとも一種を使用することができる。中でも、良好な摺動性が得られることから、セルロース樹脂を使用することが好ましい。
凸状部は、非タック性、摺動性等の性能を阻害しない範囲において、任意成分として、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、無機粒子などを含むことができる。中でも、良好な摺動性が得られることから、無機粒子を使用することが好ましい。無機粒子は、凸状部全体に分布させてもよく、或いは凸状部の表面付近のみに分布させる、例えば、凸状部の中心部には無機粒子を存在させず、凸状部の表面に無機粒子が含まれるような構成としてもよい。係る無機粒子としては、例えば、シリカ、硫酸バリウム、酸化チタン、ガラスなどを挙げることができ、これらは単独で又は2つ以上組み合わせて使用することができる。無機粒子の平均粒子径としては、約1μm以上、約10μm以上、又は約15μm以上とすることができ、約80μm以下、約50μm以下、又は約30μm以下とすることができる。
〈溝〉
本開示の加飾フィルムは、感熱性接着層の被着体適用面に、図7及び図8に示されるような溝を適用してもよい。溝を形成することにより脱気性能が向上するため、エアートラップの不具合をより改善することができる。係る溝は、基体部品との接着性の観点から、三次元被覆成形法において、基体部品と貼り合わせるための加飾フィルムに適用される圧力によって、少なくとも部分的に消失する性能を有することが好ましい。
本開示の溝は、種々の形状又はパターンを取ることができる。次のものに限定されないが、例えば、溝の形状は、横断方向から見た時に、略V字型、略U字型、略長方形、略台形又はこれらの組合せの断面を呈していてもよい。ここで、「これらの組合せの断面」とは、例えば、接着層側の辺に相当し、反対側の辺よりも小さい辺である略台形の断面の底辺において、該底辺よりも小さい略長方形の断面が更に備わるような構成などを意味する。溝はランダムに配置されてもよく、規則的なパターンで配置されてもよい。
溝は連続した開いた通路又は細長い凹所であり、感熱性接着層の露出表面から該接着層内に延びている。脱気性等の観点から、この溝は感熱性接着層の外周部分で終端するか、或いは被着体である物品の外周部分で終端する他の溝と連通していることが好ましい。加飾フィルムを被着体に適用したとき、この通路は接着剤と被着体の間の界面に閉じこめられたエアー(流体)を物品の周囲へ流出させることができる。
(溝の最小体積)
脱気性等の観点から、溝は感熱性接着層の微細構造化表面のどこの所定領域においても当該領域当たり特定の体積を規定するよう形成されていることが好ましい。感熱性接着層の単位面積当たりの最小体積は、被着体と感熱性接着層との界面でのエアーを充分に流出させることができる。係る観点から、溝は感熱性接着層の二次元平面におけるどこの直径500μmの円形領域においても、約1×103μm3以上の体積であることが好ましく、約1×107μm3以下の体積であることが好ましい。
(溝のアスペクト比)
溝の寸法は、例えば、アスペクト比を用いて規定することができる。このアスペクト比は、感熱性接着層の連続層の面に平行な溝の顕微的最大寸法と、感熱性接着層の連続層の面に垂直な溝の顕微的最大寸法との比として定義される。このアスペクト比は、例えば、溝の縦断面寸法を求めることによって測定することができる。係るアスペクト比としては、エアートラップを改善でき、感熱性接着層の接着性の要求性能を満足しているならば、そのアスペクト比は如何なるものでもよく、次のものに限定されないが、例えば、約0.1以上、約1以上又は約3以上とすることができ、約20以下、約18以下又は約15以下とすることができる。
(溝のピッチ間隔)
溝のピッチ間隔は、エアートラップを改善でき、感熱性接着層の接着性の要求性能を満足しているならば、そのピッチ間隔は如何なるものでもよく、次のものに限定されないが、例えば、約100μm以上、又は約150μm以上とすることができ、約400μm以下、又は約300μm以下とすることができる。ピッチ間隔は、等間隔であってもよく、等間隔でなくてもよい。ここで、溝のピッチ間隔とは、例えば、図7の場合、溝(704)断面の感熱性接着層(705)底面に対して垂直に位置する溝の中心線から、隣接する溝の中心線までの距離を意味する。
〈任意の層〉
本開示の加飾フィルムは、次のものに限定されないが、例えば、保護層、光輝層、支持層、接合層、及び剥離ライナーからなる群から選択される少なくとも一種をさらに備えることができる。
(保護層)
本開示の加飾フィルムに適用し得る保護層の材料としては、次のものに限定されないが、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)及び(メタ)アクリル共重合体を含む(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、メチルメタクリレート−フッ化ビニリデン共重合体(PMMA/PVDF)などのフッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)及びそのアイオノマー、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アルキルアクリレート−アルキルメタクリレート共重合体、アルキルアクリレート−アルキルメタクリレート−スチレン三元共重合体などの共重合体を、単独で又は二種以上ブレンドして使用することができる。中でも、耐薬品性及び/又は耐候性の観点から、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン、フッ素樹脂、及びアルキルアクリレート−アルキルメタクリレート共重合体、アルキルアクリレート−アルキルメタクリレート−スチレン三元共重合体等の共重合体の使用が好ましい。保護層は単層構造又は多層構造であってもよい。例えば、保護層は、上記樹脂から形成されたフィルムの積層体であってもよく、上記樹脂の多層コーティングであってもよい。保護層はその表面の全面又は一部にエンボスパターンなどの三次元凹凸形状を有してもよい。
保護層は、直接又は接合層等を介して装飾層の上若しくは上方に樹脂組成物をコーティングして形成することができる。保護層のコーティングは、加飾フィルムを被着体である基体部品に適用する前又は適用した後に実施することができる。あるいは、剥離ライナー上に樹脂組成物をコーティングして保護層フィルムを形成し、接合層を介して装飾層上にそのフィルムをラミネートすることもできる。装飾層が、剥離ライナー上に形成された保護層フィルムに対して接着性を有する場合は、接合層を介さず装飾層に保護層フィルムを直接ラミネートすることもできる。保護層フィルムは、例えば、硬化性(メタ)アクリル樹脂組成物、反応性ポリウレタン組成物などの樹脂材料を、ナイフコート、バーコート、ブレードコート、ドクターコート、ロールコート、キャストコートなどによって剥離ライナーなどにコーティングし、必要に応じて光又は加熱硬化することによって、形成することができる。
保護層として、押出、延伸などによってあらかじめフィルム状に形成されたものを使用してもよい。このようなフィルムは接合層を介して装飾層にラミネートすることができる。あるいは、装飾層が、このようなフィルムに対して接着性を有する場合は、接合層を介さず装飾層にフィルムを直接ラミネートすることもできる。係るフィルムとして、平坦性の高いフィルムを使用することで、より表面平坦性の高い外観を物品(構造物)に与えることができる。保護層は、他の層と多層押し出しすることによって形成することもできる。他の層として、例えば、(メタ)アクリルフィルムを使用することができる。(メタ)アクリルフィルムとして、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリアクリル酸ブチル、(メタ)アクリル共重合体、エチレン−アクリル共重合体、エチレン酢酸ビニル−アクリル共重合体、アルキルアクリレート−アルキルメタクリレート共重合体、アルキルアクリレート−アルキルメタクリレート−スチレン三元共重合体などを含む樹脂をフィルム状にして用いることができる。(メタ)アクリルフィルムは、透明性及び/又は耐擦傷性に優れ、熱及び/又は光に強く、屋外で使用しても退色及び/又は光沢変化が生じにくい。加えて、可塑剤を使用せずとも成形加工性に優れ、深絞り加工できるという特性を有しており、かつ、可塑剤を使用しなくてもよいため、耐汚染性にも優れている。特にPMMAを主成分とするものが好ましい。例えば、他の層として耐擦傷性等に優れる(メタ)アクリル樹脂を用い、保護層として耐薬品性等に優れるETFE、PVDF、PMMA/PVDFなどのフッ素樹脂を用いた場合には、形成される保護層は、両層の性能を兼ね備えたものとなり得る。
a.保護層の任意成分
本開示の保護層は、用途に応じた保護性能、装飾性等を阻害しない範囲において、任意成分として、顔料、染料、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、ハードコート材、光沢付与剤、分散剤、可塑剤、フロー向上剤、界面活性剤、レベリング剤、シランカップリング剤、触媒などを含むことができる。中でも、ベンゾトリアゾール、Tinuvin(商標)400(BASF社製)などの紫外線吸収剤、Tinuvin(商標)292(BASF社製)などのヒンダードアミン光安定化剤(HALS)などを用いることによって、装飾層などに含まれる着色材(特に紫外線などの光に対する感受性が比較的高い有機系の染料又は顔料)の、変色、退色、劣化などを有効に防止することができる。ハードコート材は、保護層中に含まれていてもよく、保護層上に別途コーティングしてハードコート層として適用されていてもよい。保護層は、透明であってよく、或いは部分的に半透明又は不透明であってもよい。
b.保護層の厚さ
保護層の厚さは様々であってよいが、例えば、約1μm以上、約5μm以上、又は約10μm以上であってもよく、約200μm以下、約180μm以下、又は約150μm以下であってもよい。複雑な形状の物品に対して加飾フィルムを適用する場合、保護層は薄い方が形状追従性の観点から有利であり、例えば、約100μm以下、又は約80μm以下であることが好ましい。一方、物品に対して高い耐候性、耐薬品性、耐擦傷性等の性能を付与する場合、保護層は厚い方が有利であり、例えば、約5μm以上、又は約10μm以上であることが好ましい。
c.保護層の貯蔵弾性率
いくつかの実施態様では、保護層の貯蔵弾性率が、周波数10Hz、引っ張りモードの条件で測定したときに110℃〜150℃の温度範囲で約1.0×106Pa以上、約1.5×106Pa以上、又は約2.0×106Pa以上であってもよく、約1.5×108Pa以下又は約1.3×108Pa以下であってもよい。保護層が多層構造を有する場合、保護層の貯蔵弾性率とは、個々の層の貯蔵弾性率が複合した、多層構造全体について観測される一つの値を意味する。保護層の貯蔵弾性率が上記範囲であることにより、加飾フィルムに応力、熱などが加えられたとき又は加飾フィルムが変形したときに、装飾層、光輝層等の破損を防止することができる。
(光輝層)
光輝層は、次のものに限定されないが、加飾フィルムを構成する層、例えば、装飾層を備える保護層の装飾層の上又は以下で説明する支持層の上の全面若しくは一部に、真空蒸着、スパッタ、イオンプレーティング、めっきなどによって形成された、アルミニウム、ニッケル、金、銀、銅、白金、クロム、鉄、スズ、インジウム、チタニウム、鉛、亜鉛、ゲルマニウムなどから選択される金属、又はこれらの合金若しくは化合物を含む層であってよい。或いは、光輝層は、アルミニウムフレーク、蒸着アルミニウムフレーク、金属酸化物被覆アルミニウムフレーク、着色アルミニウムフレークなどのアルミ光輝材、酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物で被覆されたフレーク状のマイカ及び合成マイカなどのパール光輝材などの顔料が、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂などのバインダー樹脂に分散された光輝性の樹脂層であってもよい。光輝層の厚さ、顔料等の配合量については、要する光輝性及び光透過度等に応じて適宜選択することができる。
エアートラップの不具合は、光輝層を備える加飾フィルムにおいては特に目立つ不具合である。したがって、本開示の加飾フィルムは、光輝層を備える場合に特に有意に作用し得るといえる。
(支持層)
本開示の加飾フィルムは、装飾層及び/又は光輝層を適用し得る支持層を備えることができる。支持層として、様々な樹脂、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を含む(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの共重合体又はこれらの混合物が使用できる。強度、耐衝撃性などの観点から、支持層としてポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体及びポリカーボネートが有利に使用できる。支持層は、成形時の均一な伸びを提供する、及び/又は外部からの穿刺、衝撃などから物品(構造体)をより有効に保護する機能を奏することもできる。支持層には、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理などの表面処理が適用されてもよい。
a.支持層の任意成分
本開示の支持層は、装飾性等を阻害しない範囲において、任意成分として、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、光安定剤、熱安定剤、分散剤、可塑剤、フロー向上剤、界面活性剤、レベリング剤、シランカップリング剤、触媒などを含むことができる。支持層は、透明であってよく、或いは部分的に半透明又は不透明であってもよい。装飾層、光輝層の装飾性、光輝性への影響を考慮すると、支持層の表面は平坦であることが好ましい。
b.支持層の厚さ
支持層の厚さは様々であってよいが、加飾フィルムの成形性、強度、耐衝撃性等の観点から、例えば、約5μm以上、約10μm以上、又は約15μm以上とすることができ、約200μm以下、約180μm以下、又は約150μm以下とすることができる。
c.支持層の貯蔵弾性率
いくつかの実施態様では、支持層の貯蔵弾性率が、周波数10Hz、引っ張りモードの条件で測定したときに110℃〜150℃の温度範囲で約1.0×106Pa以上、約1.5×106Pa以上、又は約2.0×106Pa以上であってもよく、約1.5×108Pa以下又は約1.3×108Pa以下であってもよい。支持層の貯蔵弾性率が上記範囲であることにより、加飾フィルムに応力、熱などが加えられたとき又は加飾フィルムが変形したときに、装飾層又は光輝層の破損を防止することができる。
支持層は単層又は多層構造であってもよい。支持層が多層構造である場合、支持層の貯蔵弾性率とは、個々の層の貯蔵弾性率が複合した、多層構造全体について観測される一つの値を意味する。
(接合層)
加飾フィルムを構成する各層を接合するために接合層(「プライマー層」などと呼ばれる場合もある。)を用いてもよい。接合層として、一般に使用される(メタ)アクリル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ゴム系などの、溶剤型、エマルジョン型、感圧型、感熱型、熱硬化型又は紫外線硬化型の接着剤を使用することができる。接合層は、公知のコーティング法などによって適用することができる。
a.接合層の任意成分
本開示の接合層は、装飾性及び表示性等を阻害しない範囲において、任意成分として、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、粘着付与剤、分散剤、可塑剤、フロー向上剤、界面活性剤、レベリング剤、シランカップリング剤、触媒などを含むことができる。
b.接合層の厚さ
接合層の厚さは、例えば、約0.05μm以上、約0.5μm以上、又は約5μm以上とすることができ、約100μm以下、約50μm以下、又は約20μm以下とすることができる。
(剥離ライナー)
感熱性接着層を保護するため、並びに感熱性接着層に凸状部及び任意に溝を形成するために、図1及び図5で例示されるような剥離ライナーを使用することができる。例えば、図1に示される剥離ライナー100は、感熱性接着層に転写するための非タック性凸状部形成部材103を備えており、係る非タック性凸状部形成部材103に対応する凹部を形成するために、少なくとも、ポリマー材料、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレンビニルアセテート、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデンなどから調製される、凸状部付与層102を備えている。凸状部付与層102に形成される凹部は、一般的にはエンボス加工によって形成される。したがって、エンボス加工のし易さ等の観点から、凸状部付与層102は、低密度ポリエチレン(LDPE)等のポチエチレンから形成されることが好ましい。凸状部付与層102の凹部側の表面には、必要に応じてシリコーン含有材料又はフルオロカーボン含有材料などの剥離剤の層が適用されていてもよい。凸状部付与層102の凹部内には、無機粒子を入れておいてもよい。係る凸状部付与層102に対して非タック性凸状部形成部材103の構成材料を適用すると、非タック性凸状部形成部材103の表面付近のみに無機粒子を配置することができる。剥離ライナーは、凸状部付与層102のみの単層品であってもよく、或いは、図1で示されるように、凸状部付与層102に剥離ライナー支持層101を適用した積層構成であってもよい。剥離ライナー支持層101の材料としては、紙(例えば、クラフト紙)、ポリマー材料(例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレンビニルアセテート、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン)などが挙げられる。剥離ライナーの非タック性凸状部形成部材103の反対側の面には、ブロッキング防止剤(マット剤)などを適用してもよい。
図5に示される剥離ライナー500は、図1に示される剥離ライナー100の構成に対してさらに溝形成部材504を備えている。図5に示される凸状部付与層502における、非タック性凸状部形成部材503に対応する凹部及び溝形成部材504は、例えば、エンボス加工によって、一度に又は別々に形成してもよく、或いは、エンボス加工によって凹部を形成した後に、溝形成部材504をコーティング等の手段を使用して別途形成してもよい。
a.剥離ライナーの厚さ
剥離ライナーの厚さは、例えば、約5μm以上、約15μm以上又は約25μm以上とすることができ、約300μm以下、約200μm以下又は約150μm以下とすることができる。
〈用途〉
本開示の三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムは、例えば、自動車、鉄道などの車両、船舶、航空機等の内装又は外装部品、スマートフォン、タブレット端末、テレビ等の家電製品、建材、文房具などに対して使用することができる。中でも、本開示の加飾フィルムは、種々の大きさ又は形状の基体部品に対応できるため、車種によってデザインが変更される車載用の部材として好適に使用することができる。
《三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムの製造方法》
加飾フィルムの各層については既に説明したとおり製造することができる。本開示の三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムの製造方法の一例について、図1〜3を参照しながら例示的に説明するが、加飾フィルムの製造方法はこれらに限られない。
剥離ライナー100の非タック性凸状部形成部材103に対応する凹部に、任意に無機粒子を添加した後、凸状部構成材料をグラビアコート法などの公知のコーティング手段を用いて適用し、非タック性凸状部形成部材103を形成する。次いで、剥離ライナー100の非タック性凸状部形成部材103形成面に、公知のコーティング法などを用いて感熱性接着層(205、305)を適用し、必要に応じて乾燥及び/又は硬化工程を更に適用して積層体Aを形成する。別の剥離ライナー(図示せず)上に、グラビアインク及びグラビアコート法などを用いて装飾層(208、308)を適用し、必要に応じて乾燥及び/又は硬化工程を更に適用して積層体Bを形成する。次いで、更に別の剥離ライナー(図示せず)上に、公知のコーティング法などを用いて支持層(206、306)を適用し、必要に応じて乾燥及び/又は硬化工程を更に適用し、係る支持層(206、306)上に、蒸着法等を用いて光輝層(207、307)を適用して積層体Cを形成する。積層体Bの装飾層と、積層体Cの光輝層とを直接又は接合層を介し、必要に応じて加熱及び/又は加圧して貼り合わせ、積層体D(この例示態様では、係る積層体Dが「装飾層を備える三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルム用構成部材」に相当する。)を形成する。支持層側の剥離ライナーを除去した後、積層体Aの感熱性接着層を直接又は接合層を介し、必要に応じて加熱及び/又は加圧して貼り合わせ、積層体Fを形成する。次いで、装飾層側の剥離ライナーを除去した後、保護層(209、309)を、装飾層上に、多層押出し法又はヒートラミネーション法などを用いて適用し、必要に応じて乾燥及び/又は硬化工程を更に適用して本開示の加飾フィルムを形成することができる。感熱性接着層側の剥離ライナーを除去すると、図3に示されるように、非タック性の凸状部303が感熱性接着層305に転写される。
上記の製造方法では、保護層を最後に適用しているが、保護層を剥離ライナー上に適用し、該保護層上に装飾層を適用した構成の積層体aを作製し、次いで、積層体aの装飾層と、上記積層体Cの光輝層とを直接又は接合層を介して貼り合わせ、積層体dを作製し、係る積層体dの支持層側の剥離ライナーを除去した後、積層体Aの感熱性接着層を直接又は接合層を介して貼り合わせ、本開示の加飾フィルムを形成してもよい。この場合には、積層体dが、「装飾層を備える三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルム用構成部材」に相当する。
上記の製造方法における剥離ライナー100に代えて、平滑な表面を有する剥離ライナーを用いて加飾フィルムを形成した後に、係る剥離ライナーを除去し、続いて、剥離ライナー100において非タック性凸状部形成部材103が形成されている面を、ロール温度約80℃〜約100℃の加熱ラミネーター等を用いて感熱性接着剤層に適用して、本開示の加飾フィルムを形成することもできる。係る方法によれば、加飾フィルムの光沢性、鮮明性等の表面品質をより向上させることができる。
《三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムを備える物品》
本開示の一実施態様によれば、三次元被覆成形法(Three-dimensional Overlay Method:TOM)により加飾フィルムを被着体である基体部品に適用することによって、加飾フィルムを貼り付けた物品を形成することができる。
〈基体部品〉
基体部品に用いられる材料は特に制限はなく、次のものに限定されないが、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、又はそれらの混合物などを挙げることができる。基体部品は、様々な平面及び/又は三次元形状を有することができる。
〈成形後の加飾フィルムの最大面積伸び率〉
成形後の加飾フィルムの最大面積伸び率は、一般に、約50%以上、約100%以上、又は約150%以上とすることができ、約500%以下、約400%以下、又は約300%以下とすることができる。面積伸び率は、面積伸び率(%)=(B−A)/A(A:加飾フィルムのある部分の成形前の面積、B:加飾フィルムのAに対応する部分の成形後の面積)で定義される。例えば、加飾フィルムのある部分の面積が成形前に100cm2であって、その部分が成形後に物品の表面で250cm2となった場合は150%である。最大面積伸び率は、成形品表面全ての加飾フィルムのなかで最も高い面積伸び率の箇所の値を指す。三次元形状を有する物品に平らなフィルムをTOMにより貼り付けると、例えば、最初にフィルムが基体部品に当たる部分はほとんど延伸されず面積伸び率はほぼ0%となり、最後に貼り付けられる端部では大きく延伸されて面積伸び率が200%以上になる場合がある。このように、場所によって面積伸び率が大きく異なる場合がある。フィルムが最も大きく延伸された部分に対し、基体部品に対する未追従、フィルムの破れなどの不具合が生じるか否かが成形の合否を決める。したがって、成形品全体の平均面積伸び率ではなく、最も大きく延伸された部分の面積伸び率、すなわち最大面積伸び率が成形品の合否の実質的な指標となる。最大面積伸び率は、例えば、成形前の加飾フィルムの表面全体に1mm四方のマス目を印刷しておき、成形後にその面積変化を測定する、或いは、成形前後の加飾フィルムの厚さを測定することにより確認できる。
〈加飾フィルムを備える物品の製造方法〉
加飾フィルムを備える物品は、例えば以下の方法により製造することができる(図9)。
加飾フィルム10と所定の三次元形状を有する基体部品20とを用意する。図9(A)に示されるような、三次元被覆成形法で使用される例示的な真空加熱圧着装置30は、上下に第1真空室31及び第2の真空室32をそれぞれ有しており、上下の真空室の間に基体部品20に貼り付ける加飾フィルム10をセットする治具が備えられている。下側の第1真空室31には、上下に昇降可能な昇降台35(不図示)の上に仕切り板34及び台座33が設置されており、基体部品20はこの台座33の上にセットされる。このような真空加熱圧着装置としては、市販のもの、例えば両面真空成型機(布施真空株式会社製)などを使用することができる。
図9(A)に示すように、まず、真空加熱圧着装置30の第1真空室31及び第2真空室32を大気圧に解放した状態で、上下の真空室の間に、加飾フィルム10の感熱性接着層が基体部品20側となるようにセットする。第1真空室31において台座33の上に基体部品20をセットする。
次に、図9(B)に示すように、第1真空室31及び第2真空室32を閉鎖し、それぞれ減圧し、各室の内部を真空(大気圧を1atmとした場合、例えば約0atm)にする。その後又は真空にするのと同時に、加飾フィルム10を加熱する。次いで、図9(C)に示すように、昇降台35を上昇させて基体部品20を第2真空室32まで押し上げる。加熱は、例えば第2真空室32の天井部に組み込まれたランプヒータで行うことができる。加熱温度は一般に、約100℃以上、約120℃以上、約130℃以上又は約140℃以上とすることができ、約150℃以下又は約148℃以下とすることができる。減圧雰囲気の真空度は、大気圧を1atmとして、約0.10atm以下、約0.05atm以下又は約0.01atm以下とすることができる。
加熱された加飾フィルム10は、基体部品20の表面に押しつけられて延伸される。このとき、本開示の加飾フィルム10は、感熱性接着層に複数の非タック性の凸状部が形成されているため、基体部品20に対して瞬時に接着せず、摺動して基体部品20の平坦部及び/又は凹部等の三次元形状に追従して延伸されながら適用される。その結果、従来の加飾フィルムに比べてエアーを十分に脱気することができる。その後、図9(D)に示すように、第2真空室32内を適当な圧力(例えば1atm〜3atm)に加圧する。加飾フィルム10は、圧力差により、基体部品20の露出表面の平坦部及び/又は凹部等の三次元形状にさらに追従して延伸され、凸状部は感熱性接着層内に押し込まれ、かつ存在する場合は溝は消失し、基体部品20の表面に加飾フィルム10が密着した状態の被覆を形成する。ここで、加飾フィルム10を基体部品20に適用してから第2真空室32内にエアー等を導入して加飾フィルム10を加圧するまでの時間(以下、単に「インターバル時間」という場合がある。)としては、約0.4秒以上又は約0.5秒以上とすることができ、約1.0秒以下又は約0.9秒以下とすることができる。図9(B)の状態で減圧及び加熱を行った後、そのまま第2真空室32内を加圧して加飾フィルム10で基体部品20の露出表面を被覆することもできる。
この後、上下の第1真空室31及び第2真空室32を再び大気圧に開放して、加飾フィルム10で被覆された基体部品20を外に取り出す。基体部品20の表面に密着した加飾フィルム10のエッジをトリミングし、加飾フィルム10と基体部品20とを備える物品を得ることができる。
《実施例1〜4及び比較例1〜4》
以下の実施例において、本開示の具体的な実施態様を例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。部及びパーセントは全て、特に明記しない限り質量による。
本実施例で使用した商品などを以下の表1に示し、感熱性接着剤の配合組成を以下の表2に示す。
〈比較例1〉
PET製剥離ライナー上に、グラビアコーターを用いて、約2μm厚のフェノキシ樹脂及びウレタン樹脂含有層、約3μm厚のアクリル/ビニルアセテートコポリマー層、及び約2μm厚のフェノキシ樹脂及びウレタン樹脂含有層を順に備える装飾層用の積層体Aを形成した。次いで、PET製剥離ライナー上に、グラビアコーターを用いて、約20μm厚のポリウレタン層(支持層)を適用した後、真空蒸着法により、係るポリウレタン層上に約30nm厚のスズ蒸着層(光輝層)を適用して積層体Bを形成した。PET製剥離ライナーが各々外側を向くように、積層体A及び積層体Bを120℃でラミネートして積層体Cを形成した。次いで、剥離ライナーのPZ ACW200上に、グラビアコーターを用いて、約40μm厚の感熱性接着層を適用して積層体Dを形成した。積層体Cのポリウレタン層側の剥離ライナーを除去し、積層体Dの感熱性接着剤層に貼り合わせて積層体Eを形成した。積層体EのPET製剥離ライナーをさらに除去し、フェノキシ樹脂及びウレタン樹脂含有層上に、保護層としてのテクノロイ(商標)S014G及びDXフィルム 14S0230を120℃で順次ラミネートして加飾フィルムを形成した。
次いで、得られた加飾フィルムを平坦な基体部品(PC/ABS板(CK43黒色、テクノポリマー株式会社製、日本国東京都港区))上に、図9に示されるような真空加熱圧着装置を使用するTOMを用いて貼り合わせて物品を形成した。ここで、TOMの製造条件としては、成形時の加熱温度を145℃、及びインターバル時間を0.7秒に設定した。物品に適用された加飾フィルムの外観を目視観察し、その結果を表3に示す。エアートラップ及びショックラインが認められたものを「不良」とし、これらが認められなかったものを「良」とした。
〈実施例1〉
比較例1で使用した感熱性接着層を適用する剥離ライナーのPZ ACW200に代えて、図1に示されるような構成の、PET製の剥離ライナー支持層101、低密度ポリエチレン製の凸状部付与層102及び非タック性凸状部形成部材103を備える剥離ライナーに代えたこと以外は、比較例1と同様にして、実施例1の加飾フィルム、及び係る加飾フィルムを備える物品を作製した。ここで、非タック性凸状部形成部材の材料としては、微細なセラミックス粒子を95.2質量%含むセルロース樹脂を採用した。得られる凸状部は、底面の直径が約71μm、上面の直径が約42μm、高さが約7μmの略円錐台の形状であり、かつ、約300μmのピッチ間隔で、図4に示すように、感熱性接着層の主要表面に対して約1.5%の割合で凸状部を点在させた。
〈実施例2〉
実施例1で使用した剥離ライナーに対し、さらに、図5に示されるような溝形成部材504を適用した剥離ライナーを採用したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の加飾フィルム、及び係る加飾フィルムを備える物品を作製した。ここで、感熱性接着層に形成される溝は、アスペクト比が7.2の略V字型の形状であり、かつ、約200μmのピッチ間隔で、図8に示すような格子状パターンとした。
〈比較例2〉
TOMの成形時の加熱温度を135℃に変更したこと以外は、比較例1と同様にして、比較例2の加飾フィルム、及び係る加飾フィルムを備える物品を作製した。
〈比較例3〉
TOMの成形時の加熱温度を135℃及びインターバル時間を0.5秒に変更したこと以外は、比較例1と同様にして、比較例3の加飾フィルム、及び係る加飾フィルムを備える物品を作製した。
〈比較例4〉
基体部品を、曲面状のかまぼこ形状品(MC山三ポリマーズ株式会社製、日本国東京都中央区)に変更したこと以外は、比較例1と同様にして、比較例4の加飾フィルム、及び係る加飾フィルムを備える物品を作製した。
〈実施例3〉
基体部品を、曲面状のかまぼこ形状品(MC山三ポリマーズ株式会社製、日本国東京都中央区)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の加飾フィルム、及び係る加飾フィルムを備える物品を作製した。
〈実施例4〉
基体部品を、曲面状のかまぼこ形状品(MC山三ポリマーズ株式会社製、日本国東京都中央区)に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、実施例4の加飾フィルム、及び係る加飾フィルムを備える物品を作製した。
〈結果〉
得られた物品の外観を観察したところ、非タック性の凸状部を有さない比較例1〜4の加飾フィルムの場合は、基体部品の形状に関わらず、エアートラップ又はショックラインの何れかの不具合が発生した。係る不具合は、比較例1〜3の結果を見れば分かるように、TOMの製造条件を変更しても改善されないことが確認された。一方、非タック性の凸状部を有する実施例1〜4の加飾フィルムの場合には、基体部品の形状に関わらず、エアートラップ及びショックラインの何れも発生しないことが確認された。
本発明の基本的な原理から逸脱することなく、上記の実施態様及び実施例が様々に変更可能であることは当業者に明らかである。また、本発明の様々な改良及び変更が本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに実施できることは当業者には明らかである。
10、200、300、600、700 加飾フィルム
20 基体部品
30 真空加熱圧着装置
31 第1真空室
32 第2真空室
33 台座
34 仕切り板
35 昇降台
100、500 剥離ライナー
101、201、501、601 剥離ライナー支持層
102、202、502、602 凸状部付与層
103、503 非タック性凸状部形成部材
203、303、603、703 非タック性凸状部
504、604 溝形成部材
704 溝
205、305、605、705 感熱性接着層
206、306、606、706 支持層
207、307、607、707 光輝層
208、308、608、708 装飾層
209、309、609、709 保護層

Claims (11)

  1. 三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムであって、
    装飾層及び感熱性接着層を有し、
    前記感熱性接着層の被着体適用面に、成形時において非タック性の複数の凸状部を有する、三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルム。
  2. 前記感熱性接着層の被着体適用面が、120℃〜150℃において摺動性を有する、請求項1に記載の三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルム。
  3. 前記非タック性の凸状部が、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、及び(メタ)アクリル樹脂から選択される少なくとも一種を含む、請求項1又は2に記載の三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルム。
  4. 前記非タック性の凸状部が、無機粒子をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルム。
  5. 前記非タック性の凸状部は、高さが3μm以上、40μm以下、かつ前記感熱性接着層と接触している凸状部底面における直径が20μm以上、100μm以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルム。
  6. 前記非タック性の凸状部は、200μm以上、300μm以下のピッチで配置されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルム。
  7. 前記感熱性接着層の被着体適用面が、溝をさらに有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルム。
  8. 車載用として使用される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムを、被着体である基体部品に貼り付けた物品。
  10. 三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムの製造方法であって、
    装飾層を備える三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルム用構成部材を用意する工程、
    複数の非タック性凸状部形成部材を備える剥離ライナーの表面上に、感熱性接着剤を適用して感熱性接着層を形成し、該感熱性接着層の被着体適用面に、成形時において非タック性の複数の凸状部を形成する工程、及び
    前記三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルム用構成部材の装飾層側の面に、前記感熱性接着層の被着体適用面の反対側の面を適用する工程、を含む、三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムの製造方法。
  11. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムと、被着体である基体部品とを用意する工程、及び
    前記三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムを三次元被覆成形法により前記基体部品表面に適用し、前記三次元被覆成形用熱延伸性加飾フィルムが前記基体部品表面に貼り付けられた物品を形成する工程、を含む、物品の製造方法。
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