JP2019181795A - 成形体の製造方法 - Google Patents

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Shingo Aritsuka
慎吾 在塚
竜太 沖野
Ryuta Okino
竜太 沖野
山本 哲也
Tetsuya Yamamoto
哲也 山本
占 鄒
Zhan Zou
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Ban Thuy Pham
ヴァン トゥイ ファム
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Abstract

【課題】バリの発生を抑制しつつ、引張り強度の低下を抑制することができる成形体の製造方法を提供する。【解決手段】流動可能な状態の成形材料を金型の内部に形成されたキャビティ内に充填して成形材料からなる成形体を製造する成形体の製造方法であって、金型の型温度を充填される成形材料のガラス転移温度付近を除く温度に保持した状態で成形材料を金型に充填して固化させる成形工程と、成形材料が固化した成形体を金型から離隔した直後に熱処理する熱処理工程と、を含む。【選択図】図2

Description

本発明は、成形体の製造方法に関する。
複数の型を組み合わせてなる金型の内部に形成されたキャビティ内に溶融状態の熱可塑性の合成樹脂を射出して充填することにより、該合成樹脂からなる成形品を製造する成形方法であって、キャビティ内への充填に基づき、該キャビティ内を流動する合成樹脂のうち、キャビティと金型の分割面との境界線の近接領域を流動する合成樹脂の温度が、キャビティと金型の分割面との境界線の非近接領域を流動する合成樹脂の温度よりも低くなるように、金型の温度を調節した状態でキャビティ内に合成樹脂を充填する成形方法が知られている(特許文献1)。
ポリアセタール、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド等の結晶性ポリマーに結晶核材を添加し、振動エネルギーを付与しながら成形し、成形後の成形品を結晶性ポリマーのガラス転移体以上融点以下の温度で熱処理し、成形後の成形品を天然鉱物の存在下で熱処理し、あるいは成形後の成形品に遠赤外線、赤外線を照射することで結晶性ポリマーの球晶サイズを小さくし結晶化度を上げて結晶モルホロジーを制御して摩擦係数および比摩耗量を低下させる合成樹脂成形品の製造方法も知られている(特許文献2)。
特開2006−175794号公報 特開平11−209640号公報
本発明は、バリの発生を抑制しつつ、引張り強度の低下を抑制することができる成形体の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の成形体の製造方法は、
流動可能な状態の成形材料を金型の内部に形成されたキャビティ内に充填して前記成形材料からなる成形体を製造する成形体の製造方法であって、
前記金型の型温度を充填される前記成形材料のガラス転移温度付近を除く温度に保持した状態で前記成形材料を前記金型に充填して固化させる成形工程と、
前記成形材料が固化した前記成形体を前記金型から離隔した直後に熱処理する熱処理工程と、を含む、
ことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の成形体の製造方法において、
前記金型の型温度は、前記成形材料のガラス転移温度よりも少なくとも40度低い、
ことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の成形体の製造方法において、
前記熱処理工程は、前記成形体に前記成形体の結晶化度が30%以上となるように遠赤外線を照射する、
ことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の成形体の製造方法において、
前記金型は、複数の型を組み合わせて内部に前記キャビティが形成され、前記金型を型締めした状態で、前記キャビティと前記金型の分割面との境界における前記型の互いに対向する分割面の間隙が0.04mm以上である、
ことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の成形体の製造方法において、
前記成形材料が、熱可塑性の結晶性樹脂である、
ことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の成形体の製造方法において、
前記熱可塑性の結晶性樹脂は、PPS樹脂である、
ことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、成形体のバリの発生を抑制しつつ、引張り強度の低下を抑制することができる。
請求項2に記載の発明によれば、成形材料のガラス転移温度よりも高い型温度で成形する場合に比べて、成形体のバリの発生を抑制することができる。
請求項3に記載の発明によれば、短時間で成形体の結晶化度を増加させることができる
請求項4に記載の発明によれば、ガスの良好な排出性を長期に亘って維持して、金型の保守工数を削減することができる。
請求項5、6に記載の発明によれば、高強度の成形体を得ることができる。
成形体を射出成形により製造する成形金型の概略断面模式図である。。 成形体の成形収縮及び加熱収縮を示す図である。 本実施形態における成形体の製造方法における製造サイクル中の温度変化を示す図である。 熱処理工程の全体構成を示す平面模式図である。 樹脂ケースのバリの発生を示す図である。 (a)は成形後の樹脂ケースの結晶化度を示す図、(b)は遠赤外線照射後の樹脂ケースの結晶化度を示す図である。 (a)は成形後の樹脂ケースの引張り強度を示す図、(b)は遠赤外線照射後の樹脂ケースの引張り強度を示す図である。 (a)は成形後の樹脂ケースの全長を示す図、(b)は遠赤外線照射後の樹脂ケースの全長を示す図である。 樹脂ケースを示す図である。
次に図面を参照しながら、本発明の実施形態の具体例を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
尚、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
(1)成形金型の構成と成形動作
図1は成形体を射出成形により製造する成形金型の概略断面模式図である。
以下、図面を参照しながら、成形金型1の構成と成形体の成形動作について説明する。
(1.1)成形金型の全体構成
図1に示すように、成形金型1は、PLをパーティングライン面とする固定側型10と可動側型20とからなり、固定側型10と可動側型20との間に樹脂が充填されるキャビティCが形成されている。
固定側型10は、固定側取付板11と、ランナーストリッパープレート12と、入れ子収納部が形成された固定側型板13と、キャビティCの一部を構成するキャビティ面及びパーティングライン面PLの一部が形成された入れ子14からなる。
固定側取付板11、ランナーストリッパープレート12、入れ子14が配設された固定側型板13は順に接合され、固定側取付板11には樹脂が供給されるロケートリング15が設けられている。
固定側取付板11及びランナーストリッパープレート12には、ロケートリング15に連通し樹脂の注入空間としての通路を形成するスプルーブッシュ16が設けられている。また、固定側型板13には注入空間としてのスプルーランナー部17が形成され、スプルーランナー部17と入れ子14のキャビティ面とを連通する注入空間としてのゲート18が設けられている。
可動側型20は、可動側取付板21と、スぺーサブロック22を介して可動側取付板21に取付けられる受け板23と、受け板23に接合される可動側型板24からなる。可動側型板24の固定側型10側には、入れ子14のキャビティ面に望む凸部25を有する入れ子26が取付けられている。
入れ子26には、インサート部品を位置決めして保持するピン27が固定側型10側に突出して設けられている。
固定側型10及び可動側型20には、金型温度調節機構40が設けられている。金型温度調節機構40は、熱媒体供給源(不図示)に接続された熱媒体循環路(不図示)と、温度調節機(不図示)から構成され、入れ子14及び入れ子26を介してキャビティCの温度を予め定められた所定の温度に加熱する。尚、金型温度調節機構40は、熱媒体を利用する方式に限らず、固定側型10及び可動側型20に埋め込まれるカートリッジヒータであってもよい。
入れ子14のパーティングライン面PLには、必要に応じて、キャビティC内の空気および射出された溶融樹脂から発生する揮発成分やガス成分(以下、ガスと記す)を排気するために、ガスベント溝GV(不図示)が設けられる。ガスベント溝GVは、キャビティC内のガスを排気でき、射出された溶融樹脂の漏出を防止する観点から、通常は深さ0.01mmないし0.02mm、幅3mmないし10mm程度の溝として加工されている。
特に、成形材料がPPS(polyphenylene sulfide:ポリフェニレンサルファイド)の場合、通常の金型温度は130°Cないし160°Cと高く、溶融樹脂の粘性も低いため、僅かな間隙であっても溶融樹脂のはみ出し(以下、バリと記す)が発生しやすく、成形体の要求仕様によっては、成形後に後加工によりバリ除去処理が行われる。
可動側型20にはエジェクタ機構30が設けられている。エジェクタ機構30は、可動側取付板21と受け板23との間に架設されたエジェクタガイドピン31及びサポートピン32に沿って移動可能な一対のエジェクタプレート33と、エジェクタプレート33に設けられエジェクタプレート33と同動する複数のエジェクタピン34と、エジェクタプレート33に設けられエジェクタプレート33と同動するとともにセンターピン29に同軸で摺動可能に設けられたエジェクタスリーブ35から構成されている。
エジェクタプレート33は常時は不図示の付勢手段によって後退位置に位置させられ、脱型時に不図示の駆動手段によって進出させられて、エジェクタピン34及びエジェクタスリーブ35を入れ子26から突出させて、キャビティC内の成形体を押圧して入れ子26から成形体を離間させる。
(2)成形体の製造工程
このような成形金型1を用いて、成形体を成形する場合、まず、固定側型10と可動側型20とで型締めして、所定の金型温度Tに加熱した成形金型1に対して、ゲート18から溶融状態の成形材料を充填する。ここでは成形材料として結晶性樹脂の一例としてPPSを用いた場合について説明する。
PPSの融点は約280℃であるので、成形材料をおよそ280〜320℃に加熱して溶融させて、所定の金型温度Tに加熱された成形金型1に充填する(射出工程)。その際、成形材料を所定の射出速度で注入してキャビティCの隅々までに充填できるようにする。
その後、成形材料は徐々に固化していくため、固化に伴って成形材料が体積収縮する。そのため、体積収縮した分の成形材料を補填する必要があり、ゲート18から成形材料を一定の圧力で注入し続ける(保圧工程)。成形体の肉厚やスプルーランナー部17の太さによって、注入する圧力と時間を適宜調整する。
その後、固定側型10と可動側型20との型開きを行い、エジェクタピン34及びエジェクタスリーブ35でキャビティC内の成形体を押圧して可動側型20上の成形体を取り出す。
(2.1)高温成形
図2は成形体の成形収縮及び加熱収縮を示す図である。
通常、成形材料が結晶性樹脂であるPPSである場合、成形材料の成形金型1への充填時の金型温度Tは、金型温度調節機構40によって130〜160℃の高温に設定される(以下、高温成形という)。
成形金型1の金型温度Tを、例えば130℃に設定することで、成形金型1内に充填された成形材料の急激な温度低下とこれに伴う粘度上昇を抑制して流動性を確保することにより、成形材料がキャビティCの隅々にまで十分に充填される。
そして、成形材料がPPSのように結晶性樹脂の場合、成形材料の充填(射出)が終わった後、引き続き金型温度調節機構40を介して金型温度Tを130℃に加熱した状態に維持して、この間に成形材料の結晶化を完了させる。
これにより、成形体においては、成形材料の結晶化度が30%以上となる(図6(a) 参照)。その結果、図2に示すように、成形収縮率は金型温度Tが60℃を超えると大きくなるが、成形体の加熱収縮率は金型温度Tの増加とともに少なくなり、成形体を高温環境で使用した場合の寸法変化が抑制される。
一方、入れ子14のパーティングライン面PLに設けたガスベント溝GVにおけるバリは、金型温度Tの増加とともに大きくなり、金型温度Tが100℃を超えると、成形体に要求されるバリ許容値(限度値)を超える虞がある(図5 参照)。
この場合、ガスベント溝GVの間隙を深さ0.005mmないし0.01mmと狭くしても、ウェルド部ではガスを十分に排出しながらバリの発生を抑制することは難しい。
(2.2)成形体の製造工程
図3は本実施形態における成形体の製造方法における製造サイクル中の温度変化を示す図、図4は熱処理工程の全体構成を示す平面模式図である。
以下、図面を参照しながら成形体の製造方法における製造工程について説明する。
本実施形態に係る成形体の製造方法における製造工程は、複数の型を組み合わせて内部にキャビティCが形成され、金型を型締めした状態で、キャビティCと金型の分割面との境界における型の互いに対向する分割面の間隙(ガスベント溝GV)が0.04mm以上の成形金型1を準備し、図3に模式的に示すように、成形金型1の金型温度Tを充填される成形材料のガラス転移温度付近を除く温度に保持した状態で成形材料をキャビティCに充填して固化させる成形工程と、成形材料が固化した成形体を成形金型1から離隔した直後に熱処理する熱処理工程と、を含む。
成形工程においては、成形材料が結晶性樹脂のPPSである場合、ガラス転移温度Tgが約93℃であるために、金型温度Tをガラス転移温度Tgよりも少なくとも40度低い、40〜50℃に加熱した状態で溶融樹脂を充填する。その後、金型温度調節機構40を介して金型温度Tを40〜50℃に加熱した状態を維持したまま成形材料を固化させる。
次に熱処理工程において、成形金型1から離隔した直後の成形体に結晶化度が30%以上となるように遠赤外線を照射する。具体的には、図4に示すように、成形金型1のキャビティC内から固化した成形体を取り出して、移動するコンベアベルトCBで遠赤外線加熱機50の加熱ゾーンへ搬送して、急速加熱処理を行う。遠赤外線加熱機50の加熱ゾーンは、一例として115℃に維持され、成形体は加熱ゾーンで6分間加熱される。
これにより、高温成形に比べてウェルド部を含めてバリの発生を抑制することができる。
一方、成形直後の成形体においては、高温成形に比べて成形材料の結晶化度が低いが、成形金型1から離隔した直後の成形体に遠赤外線を照射することで、成形体の結晶化度は高温成形と略同等になり、成形体を高温環境で使用した場合の加熱収縮が抑制される。
図5は樹脂ケース100のバリの発生を示す図、図6(a)は成形後の樹脂ケース100の結晶化度を示す図、(b)は遠赤外線照射後の樹脂ケース100の結晶化度を示す図、図7(a)は成形後の樹脂ケース100の引張り強度を示す図、(b)は遠赤外線照射後の樹脂ケース100の引張り強度を示す図、図8(a)は成形後の樹脂ケース100の全長を示す図、(b)は遠赤外線照射後の樹脂ケース100の全長を示す図、図9は樹脂ケース100を示す図である。
以上説明した成形金型1及び製造方法を用いて製造した樹脂ケース100の評価結果について説明する。
成形体としては、図9に示すように、上方に開口した有底の全体が箱形状の樹脂ケース100を、図1に示す、入れ子14及び入れ子26でキャビティCが形成された成形金型1を用いて成形した。
成形金型1においてガスベント溝GVは、幅10mm、深さ0.04mmの溝として非ウェルド部及びウェルド部に設けた。
成形材料は、ガラス繊維40%充填のPPS樹脂として東レ株式会社製の商品名「トレリナ(登録商標)」シリーズA495Mを用いた。
成形は、型締め力180tonの成形機に成形金型1を装着して型締め圧として600kg/cmに相当する150ton、保圧50MPa〜55MPaの条件で、金型温度Tを40℃〜130℃(高温成形)の範囲で変更して行った。
熱処理工程においては、電気式セラミックプレートヒータを備えた遠赤外線コンベア炉を用いて115℃で成形直後の樹脂ケース100を所定時間加熱した。
(1)バリの評価
図5に金型温度Tと樹脂ケース100のウェルド部に発生したバリ長さの関係を示す。金型温度Tが40℃、60℃ではバリの発生は確認されなかったが、金型温度Tが130℃では、バリの長さは約0.22mmとなり、バリ除去処理が必要となる限度値としての0.1mmを超える結果となった。また、成形金型1におけるガスベント溝GVは、深さ0.04mmであり、キャビティCで発生するガスは十分に排気された。
これにより、金型温度Tをガラス転移温度Tgよりも少なくとも40度以上低い、40℃に加熱した状態で溶融樹脂を充填することで、ガスの排気を十分に行いながら、バリの発生を抑制することができることが確認された。また、ガスベント溝GVは、通常の溝深さである0.01mmないし0.02mmに比べて、0.04mm以上の溝深さであるために、ガスの良好な排出性を長期に亘って維持して、金型の保守工数を削減することができる。
(2)結晶化度
図6(a)には成形後の樹脂ケース100の結晶化度、(b)には遠赤外線照射後の樹脂ケース100の結晶化度を示す。
成形後の樹脂ケース100は、高温成形である金型温度Tが130℃では、結晶化度が36.6%となったが、金型温度Tが成形材料であるPPSのガラス転移点以下では、結晶化度が6.7%と非晶部分がかなり残存する結果となった。
金型温度Tが40℃で成形した樹脂ケース100に遠赤外線を照射して115℃でアニールした場合、加熱時間とともに再結晶化が進み、加熱開始後約6分経過した時点で、結晶化度は36.8%、約12分経過した時点で38.3%となり、高温成形(金型温度T
130℃)の場合と略同等の結晶化度となった。
(3)引張り強度
図7(a)に成形後の樹脂ケース100の引張り強度を示し、図7(b)には遠赤外線照射後の樹脂ケース100の引張り強度を示す。
金型温度Tが40℃、60℃、80℃では成形後の樹脂ケース100の引張り強度の差は殆どなく、金型温度Tが130℃では、金型温度Tが40℃、60℃、80℃に比べて、やや引張り強度の低下が確認された。金型温度Tが低い場合には、成形材料の結晶化度が低く、引張り荷重に対して非晶部分が伸びることで引張り破壊に至りにくいためと推察される。
金型温度Tが40℃で成形した樹脂ケース100に遠赤外線を照射して115℃でアニールした場合、照射時間の増加とともに引張り強度が僅かに低下するが、12分間の照射では、高温成形(金型温度Tが130℃)の場合と略同等の引張り強度となった。
(4)全長(全体寸法)
図8(a)には成形後の樹脂ケース100の全長L(図9中 L参照)を示し、図8(b)には遠赤外線照射後の樹脂ケース100の全長Lを示す。
樹脂ケース100は、金型温度Tが40℃〜100℃の範囲では成形収縮が少なく、高温成形である金型温度Tが130℃では成形収縮が大きい。
金型温度Tが40℃で成形した樹脂ケース100に遠赤外線を照射して115℃でアニールした場合、樹脂ケース100は加熱時間とともに収縮し、加熱開始後約6分で0.3%程度収縮し高温成形した場合と略同じ全長で安定化した。遠赤外線照射により再結晶化したためと推察される。
このように、結晶性樹脂であるPPSを成形材料として、金型温度Tを充填される成形材料のガラス転移温度Tgよりも少なくとも40度低い、40〜50℃に加熱した状態で溶融樹脂を充填して固化させる成形工程と、成形材料が固化した成形体を金型から離隔した直後に成形体の結晶化度が30%以上となるように遠赤外線を照射する熱処理工程と、を含む成形体の製造方法によれば、ガスベント溝GVをキャビティCで発生するガスが十分に排気される溝深さに設定した分割金型を用いても、バリの発生を抑制しつつ、引張り強度の低下を抑制することができる。
以上、実施形態及び実施例においては、成形材料としてPPSを用いた成形体について説明したが、成形材料としてはこれに限定されず、結晶性樹脂であるPET(ポリエチレンテレフタレート)であっても適用することができる。
1・・・金型
10・・・固定側型
11・・・固定側取付板
14・・・入れ子
18・・・ゲート
20・・・可動側型
21・・・可動側取付板
26・・・入れ子(可動側)
30・・・イジェクタ機構
40・・・金型温度調節機構
50・・・遠赤外線加熱機
100・・・樹脂ケース
GV・・・ガスベント溝

Claims (6)

  1. 流動可能な状態の成形材料を金型の内部に形成されたキャビティ内に充填して前記成形材料からなる成形体を製造する成形体の製造方法であって、
    前記金型の型温度を充填される前記成形材料のガラス転移温度付近を除く温度に保持した状態で前記成形材料を前記金型に充填して固化させる成形工程と、
    前記成形材料が固化した前記成形体を前記金型から離隔した直後に熱処理する熱処理工程と、を含む、
    ことを特徴とする成形体の製造方法。
  2. 前記金型の型温度は、前記成形材料のガラス転移温度よりも少なくとも40度低い、
    ことを特徴とする請求項1に記載の成形体の製造方法。
  3. 前記熱処理工程は、前記成形体に前記成形体の結晶化度が30%以上となるように遠赤外線を照射する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の成形体の製造方法。
  4. 前記金型は、複数の型を組み合わせて内部に前記キャビティが形成され、前記金型を型締めした状態で、前記キャビティと前記金型の分割面との境界における前記型の互いに対向する分割面の間隙が0.04mm以上である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の成形体の製造方法。
  5. 前記成形材料が、熱可塑性の結晶性樹脂である、
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
  6. 前記熱可塑性の結晶性樹脂は、PPS樹脂である、
    ことを特徴とする請求項5に記載の成形体の製造方法。
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