JP2019179800A - ダイシング用シート - Google Patents
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Abstract
【課題】所要の伸長性と滑り性を有し、シート越しにレーザー光を照射してもウェハ内部に精度良く集光可能なダイシング用シートを提供する。【解決手段】基材20および粘着層23を有するダイシング用シート10であって、前記粘着層が該ダイシング用シートの第1表面11を構成し、前記基材が、熱可塑性ポリウレタン樹脂を含む第1層21と、アイオノマー樹脂を含み、該ダイシング用シートの第2表面12を構成する第2層22とを有するダイシング用シート。【選択図】図1
Description
本発明は、半導体ウェハ上に形成された半導体装置を個片化するダイシング工程において、半導体ウェハに貼付して用いられるダイシング用シートに関する。
半導体製造工程において、表面に回路パターンが形成されたウェハは、バックグラインド工程等により薄膜化された後、ダイシング工程によって個々の半導体装置(チップ)に個片化される。ダイシングには様々な方法が用いられるが、レーザーダイシング法では、ウェハ裏面にダイシング用シートを貼付してリングフレームに固定し、レーザー光をウェハ内部に集光して多光子吸収による改質領域を形成し、リングフレームの内側に位置する突き上げ部材を上昇させてダイシング用シートを伸長(エキスパンド)させて、ウェハをチップ単位に分断する。
このため、ダイシング用シートにはエキスパンド時に伸びやすく破断しないための伸長性が求められる。また、エキスパンド時に突上部材との滑り性が悪いと、リングフレームと突上部材との間だけが局所的に伸長し、ウェハを貼付した部分が伸長せず、ウェハの分断が不完全となる。このため、ダイシング用シートには突き上げ部材と接着する表面の滑り性が良好であることが求められる。
ところで、一般的にダイシング用シートの基材表面は粗面処理されていることが通常である。この粗面処理は巻き状態でのブロッキング防止やハンドリング上の観点から、またエキスパンド時に突上部材との滑り性を向上させるために行われる。しかし粗面処理が施されていると、レーザーダイシングにおいてダイシング用シートの粗面越しにレーザー光を照射する場合には、レーザー光の焦点を所定の位置に合わせることが難しいという問題があった。
この問題に対して特許文献1には、粘着剤層と粘着剤層のない面側の表面粗さRaが0.7μm以上の基材フィルムとからなるダイシングテープの基材フィルム側に、粘着剤層と粘着剤層のない面側の表面粗さRaが0.5μm以下である基材フィルムとからなる粘着テープの粘着剤層を貼り合せて用いることが記載されている。粘着シートが貼り合わされたダイシングテープをウェハに貼付し、ダイシングテープ越しにレーザー光を入射させて改質領域を形成した後、粘着テープを剥がしてエキスパンド工程が行われる。
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、レーザー光の照射後、エキスパンド工程の前に粘着シートを剥がす必要があり、工程が煩雑になった。また、特許文献2によれば、特許文献1に記載された方法では粘着シートの位相差が大きいためにレーザー光の直進性が失われるという問題があった。
特許文献2には基材とその片面に形成された粘着剤層とからなり、所定範囲のヤング率、直線透過率および位相差を有するステルスダイシング用粘着シートが記載されている。その実施例には、ポリ塩化ビニルフィルムおよびポリウレタンアクリレートフィルムを基材とする粘着シートが記載されている。これにより、粘着シート越しにレーザー光を照射した場合でも、ウェハ内部に精密な改質部が形成されるとしている。しかし、特許文献2にはそのステルスダイシング用粘着シートを製造する工程における基材のブロッキング防止やハンドリング性向上に対する解決手段は記載されていない。
本発明は上記を考慮してなされたものであり、所要の伸長性と滑り性を有し、シート越しにレーザー光を照射してもウェハ内部に精度良く集光可能なダイシング用シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のダイシング用シートは伸長性に優れた樹脂層と滑り性に優れた樹脂層とを有する積層基材を用いる。
具体的には、本発明のダイシング用シートは、基材および粘着層を有するダイシング用シートである。そして、前記粘着層が該ダイシング用シートの第1表面を構成し、前記基材が、熱可塑性ポリウレタン樹脂を主成分とする第1層と、アイオノマー樹脂を主成分とし、該ダイシング用シートの第2表面を構成する第2層とを有する。
この構成により、熱可塑性ポリウレタン樹脂を含む第1層によって優れた伸長性がもたらされ、アイオノマー樹脂を含む第2層によって第2表面に粗面処理を施さなくても十分な滑り性が得られる。
好ましくは、前記基材が前記第1層および前記第2層からなり、前記粘着層が前記第1層上に形成されている。ダイシング用シートをこの3つの層だけで構成しても十分な特性が得られ、層数が少ないほどコスト面で有利だからである。
好ましくは、前記第1層の厚さが前記基材の厚さの40〜90%を占める。これにより、さらに伸長性に優れるダイシング用シートが得られる。
好ましくは、上記ダイシング用シートの50%伸長時のモジュラスが15〜30N/30mmであり、引張伸度が300%以上であり、引張強度が20N/6mm以上である。ここで、50%伸長時のモジュラスとは、幅30mmの試験片を引張試験によって50%伸長させるのに必要な荷重のことをいう。引張伸度とは、JISK7127:1999に規定された引張試験(試験片タイプ5、幅6mm、試験速度100mm/分)における引張破壊ひずみのことをいい、試験片が降伏を伴う場合は引張破壊呼びひずみのことをいう。また、引張強度は同じ試験において試験片が破断したときの荷重のことをいう。
好ましくは、前記第2表面の算術平均粗さRaが0.5μm以下である。ここで、算術平均粗さRaとは、JISB0601:1994に規定された算術平均粗さRaのことをいう。これにより、シート越しにレーザー光を照射しても、ウェハ内部に精度良く集光できる。
好ましくは、前記基材と前記粘着層との界面の凹凸の最大高さRyが2〜10μmである。ここで、界面の凹凸の最大高さRyとは、界面の粗さ曲線を輪郭曲線として、JISB0601:1994に規定された輪郭曲線の最大高さRyと同様に定義される値をいう。これにより、基材と粘着層の接合強度を上げることができ、また、粘着層を薄くしてエキスパンド工程におけるウェハの揺れを抑えることが可能となる。
上記ダイシング用シートが着色される場合、好ましくは、前記第2層が着色されている。アイオノマー樹脂は顔料等の着色成分の分散性に優れるからである。
好ましくは、前記基材は、前記第1層と前記第2層の共押出材である。熱可塑性ポリウレタン樹脂とアイオノマー樹脂は共押し出し可能であり、コスト面で有利だからである。また、軟らかい接着剤や接着性シートを用いることなく積層体を形成できるので、エキスパンド工程においてチッピング不良の原因となるウェハの揺れを抑えられるからである。
本発明のダイシング用シートによれば、基材の第1層が熱可塑性ポリウレタン樹脂を含むことによって所要の伸長性がもたらされ、基材の第2層がアイオノマー樹脂を含むことによって第2表面に粗面処理を施さなくても十分な滑り性が得られる。結果として、ダイシング用シート越しにレーザー光を照射する場合でも、レーザー光の焦点をウェハ内部に精度良く集光できる。また、エキスパンド時に突上部材と接する第2表面が滑り性を有することにより、エキスパンド時にダイシング用シートの全体を均一に伸長させることができ、ダイシング用シートの製造工程やダイシング工程でのハンドリング性にも優れる。
本発明のダイシング用シートの一実施形態について、まずその構成を説明する。なお、以下においてダイシング用シートを単に「シート」ということがある。
図1を参照して、本実施形態のダイシング用シート10は、基材20および粘着層23からなる。粘着層はシート10の第1表面11を構成する。ダイシング工程においてウェハは第1表面に貼付される。基材は第1層21および第2層22からなる。第1層の表面に粘着層が設けられて、界面13が形成されている。第2層がシート10の第2表面12を構成する。
第1層21は、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)を主成分とする。第1層は、好ましくは樹脂成分のうち90質量%以上がTPUからなり、より好ましくは樹脂成分としてTPUのみを含む。TPUを多く含むほど伸長性が優れるからである。TPUの種類は特に限定されない。
第2層22は、アイオノマー樹脂(IO)を主成分とする。第2層は、好ましくは樹脂成分のうち90質量%以上がIOからなり、より好ましくは樹脂成分としてIOのみを含む。IOを多く含むほど滑り性に優れるからである。IOの種類は特に限定されないが、透明性が高く、TPUとの溶融粘度と近いものが好ましい。
ダイシング用シート10の使用法によっては、着色されたシート10が求められることがある。その場合、好ましくは第2層22が顔料等の着色剤を含む。IOはTPUより着色剤の分散性が良いため、着色剤を第2層に添加することでむらなく着色できるからである。
第2層22が構成するダイシング用シート10の第2表面12は、レーザー光を散乱させないために平滑であることが好ましい。この点から、第2表面の算術平均粗さRaは、好ましくは0.5μm以下であり、より好ましくは0.3μm以下、特に好ましくは0.2μm以下である。一方、第2表面の算術平均粗さRaは、好ましくは0.05μm以上である。第2表面が平滑すぎると滑り性が悪くなり、シート10のハンドリング性が悪化するからである。
基材20の厚さは、好ましくは50μm以上である。基材が薄すぎるとウェハの反りを十分に矯正できないからである。一方、基材の厚さは、好ましくは200μm以下である。これ以下の厚さで十分な強度が得られるので、これより厚くしても材料の無駄だからである。
第1層21が基材20全体に占める厚さの割合は、好ましくは40%以上、より好ましくは60%以上である。十分な伸長性を得るためである。一方、第1層が基材全体に占める厚さの割合は、好ましくは90%以下である。第2層22が薄すぎると、製造が困難になるからである。
基材20は、第2層が片側の表面を構成するという条件で、第1層および第2層以外の層を含んでもよい。ただし、好ましくは基材は第1層および第2層からなる。基材を第1および第2層のみから構成しても十分な特性が得られるし、層数が少ないほどコスト面で有利だからである。
また、基材20は、好ましくは第1層21および第2層22が共押し出しされた共押出材である。TPUとIOは共押し出しが可能であり、2枚のフィルムを貼り合せるよりコスト面で有利だからである。また、軟らかい接着剤や接着性シートを用いることなく積層体を形成できるので、エキスパンド工程においてチッピング不良の原因となるウェハの揺れを抑えられるからである。また、ブレンドではなく積層構成にすることで透明性の低下を抑えられるからである。
粘着層23を形成する粘着剤は特に限定されず、種々公知の粘着剤を用いることができる。粘着剤は、好ましくは紫外線(UV)等の照射によって硬化するエネルギー線硬化型のものを用いる。例えば、UV硬化型のアクリル系粘着剤を用いることができる。粘着層の厚さは、厚すぎるとエキスパンド時にウェハが揺れてチッピング不良等が発生しやすいし、薄すぎると粘着力不足や剥離時に凝集破壊が生じやすい。粘着層の厚さは一般的には8〜20μm程度である。
基材20と粘着層23の界面13、本実施形態では第1層21と粘着層23の界面13は、完全に平坦ではなく、微細な凹凸が形成されていることが望ましい。具体的には、界面の凹凸の最大高さRyが好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上である。アンカー効果(投錨効果)により基材と粘着層との接合強度が向上するからである。一方界面の凹凸の最大高さRyは、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。最大高さRyが大きすぎると、凹凸を埋めるために粘着層を厚くする必要があるからである。
ダイシング用シート10の伸長性は、伸長時のモジュラス、引張伸度および引張強さで表すことができる。このとき評価の指標は、シート10を構成する材料の物性値ではなく、厚さの影響も含めてシート10に対する値で評価することが望ましい。
ダイシング用シート10の50%伸長時のモジュラスM50は、幅30mmに対して、好ましくは30N/30mm以下である。モジュラスM50が小さいほどエキスパンド時に容易に伸長できるからである。一方、シート10のモジュラスM50は、好ましくは15N/30mm以上である。モジュラスM50が小さすぎるとダイシング工程でウェハの姿勢が安定しないからである。モジュラスM50は、シート10の縦方向(MD)および横方向(TD)のいずれにおいても上記数値の範囲内であることが好ましい。なおここで、M50は、幅30mmの試験片を引張試験によって50%伸長させるのに必要な荷重として求められる。より詳細には、幅30mm、長さ200mmの短冊状の試験片を100mm/分の速度で引っ張り、試験片中央部の標線間100mmが50%伸長したときの荷重である。
ダイシング用シート10の引張伸度は、好ましくは300%以上、より好ましくは400%以上である。エキスパンド時に十分な伸び代を確保するためである。シート10の引張伸度は大きくても特に問題ないが、材料の特性を考慮すれば通常は1000%以下である。引張伸度は、シート10の縦方向(MD)および横方向(TD)のいずれにおいても上記数値の範囲内であることが好ましい。なおここで、引張伸度は、JISK7127:1999に規定された引張試験(試験片タイプ5、幅6mm、試験速度100mm/分)における引張破壊ひずみのことをいい、試験片が降伏を伴う場合は引張破壊呼びひずみのことをいう。
ダイシング用シート10の引張強度は、上記引張伸度を求めた引張試験において、好ましくは20N/6mm以上であり、より好ましくは30N/6mm以上である。エキスパンド時に破断しにくいからである。一方シートの引張強度は大きくても特に問題ないが、50%伸長時のモジュラスM50を上記好ましい範囲とした場合、材料の特性を考慮すれば通常は100N/6mm以下である。引張強度は、シート10の縦方向(MD)および横方向(TD)のいずれにおいても上記数値の範囲内であることが好ましい。なおここで、引張強度は引張伸度と同じ試験において試験片が破断したときの荷重をいう。
次に、本実施形態のダイシング用シート10の製造方法を説明する。
基材20は、各層を独立したフィルムとして作製した後に貼り合わせてもよいが、好ましくは共押し出しにより一体として作製するのが好ましい。前述のとおり、接着剤や接着性シートを用いることなく積層体を作製できるので、エキスパンド工程においてウェハの揺れを抑えられるからである。
基材20を共押出材とする場合、第1層21の原料樹脂と第2層22の原料樹脂に、それぞれ必要に応じて添加剤を加えて混練・溶融し、多層Tダイより共押し出しし、1対の冷却ロール間を通して基材20を作製する。このとき、第1層の表面は後に粘着層23との界面13となるので、第1層に接する冷却ロールの表面に微細な凹凸を付与することにより、第1層の表面に適当な凹凸を転写できる。また、第2層の表面はシート10の第2表面12となるので、第2層に接する冷却ロールの表面を必要かつ十分に平滑にしておくことで第2表面に好ましい表面性状を与えることができる。次いで、第1層21上に粘着剤を塗工することにより粘着層23を形成して、ダイシング用シート10が得られる。
ダイシング用シートの基材について、何種類かの実施例および比較例の基材を作製して特性を評価した。
実施例1〜3の基材として、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)(メーカー:東ソー株式会社、品番:ミラクトランP490RSJT、硬度:90A、エステル系)とアイオノマー樹脂(IO)(三井・デュポンポリケミカル株式会社、ハイミラン1705、イオンタイプ:Zn)をそれぞれ混練・溶融して、所定の割合で多層Tダイから押し出し、一対の冷却ロール間を通して、2層構造の共押出材を作製した。TPU側の冷却ロールには表面を粗面加工したゴムロールを用い、IO側の冷却ロールには表面が平滑な金属ロールを用いた。
比較例1の基材として、実施例1〜3と同様に、ただしIOの代わりにエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)(三井・デュポンポリケミカル株式会社、エバフレックス)を用いて2層構造の共押出材の作製を試みたが、TPU層とEVA層が接着せず、積層基材が得られなかった。
比較例2〜4の基材として、それぞれTPU、IO、EVAを混練・溶融して、Tダイから押し出し、金属ロールとゴムロールの間を通して、単層構造の基材を作製した。各樹脂は実施例1〜3または比較例1と同じものを用いた。ただし、比較例2のフィルムは、金属ロールとの間に離型紙を、ゴムロールとの間にマット調の離型フィルムを挿入し、離型紙とマット調離型フィルムで挟んでフィルム化した後、両側の離型紙および離型フィルムを剥がして作製した。比較例3のフィルムは、梨地加工した金属ロールと、実施例1〜3より表面凹凸の大きいゴムロールを用いて作製した。比較例4のフィルムは、実施例1〜3と同じ金属ロールおよびゴムロールを用いて作製した。
実施例1〜3、比較例2〜4の基材について、引張強度(単位:N/6mm)および引張伸度(引張破壊ひずみ)をJIS K7127:1999に規定された方法で、試験片タイプ5(幅6mm)、試験速度100mm/分で測定した応力/ひずみ曲線から求めた。なおこの引張強度を基材の厚さで除すと、材料の物性値としての引張破壊応力が得られる。また、比較例3のTD方向では試験片が降伏を示した。基材の弾性率は、JIS K7127:1999に規定された方法で、試験片タイプ5(幅6mm)、試験速度1mm/分で測定した応力/ひずみ曲線から求めた。20%、50%および100%伸長時のモジュラス(M20、M50およびM100)は、幅30mm、長さ200mmの短冊状の試験片に対し、試験速度100mm/分の引張試験によって求めた。
基材の表面性状は、JIS B0601:1994に規定された方法で、触針式表面粗さ測定器(株式会社東京精密、ハンディサーフ)を用いて測定した。Raは輪郭曲線の算術平均高さ、Ryは最大高さ、Rzは十点平均高さ、Smは輪郭曲線要素の平均長さである。
表1に、実施例1〜3および比較例2〜4の基材の作製条件と評価結果を示す。
表1において、引張特性についてのMDおよびTDは、それぞれ基材作製時の長さ方向および幅方向を意味する。なお、表1の引張特性は基材について測定したものであるが、粘着層は軟らかく引張特性に与える影響は無視できるので、基材の引張特性はダイシング用シートの引張特性と同視できる。表面性状についての粗面とは、基材作製時にゴムロールに接した側の面をいい、実施例1〜3ではダイシング用シートの基材−粘着層界面となるTPU側の表面であり、比較例2では作成時にゴムロール側のマット調離型フィルムに接していた面である。また、平滑面とは基材作製時に金属ロールに接した側の面をいい、実施例1〜3ではダイシング用シートの第2表面となるIO側の表面である。なお、比較例4の平滑面の表面性状は触針式表面粗さ計で測定できなかったが、用いた金属ロールが同じであることから、実施例1の平滑面とほぼ等しいと考えられる。
次に、比較例5の基材として、比較例2と同じTPUを混練・溶融して、Tダイから押し出し、金属ロールとゴムロールの間を通して、単層構造の基材を作製した。ゴムロールは実施例1と同じものを用いた。金属ロールとの間にはミラー調の離型フィルムを挿入し、フィルム化した後に離型フィルムを剥がした。比較例5の基材の厚さは50μmであった。比較例5の基材はTPUの平滑面の摩擦係数を測定するために作製したものである。
実施例1および比較例3〜5の基材のいくつかの面について、表面の金属板(ステンレス鋼板)に対する滑り性をJISK7125に規定された方法で評価した。表2に評価結果を示す。
表2において、比較例5の平滑面は、作製時に金属ロール側のミラー調離型フィルムに接していた面である。なお、比較例5の平滑面の表面性状は触針式表面粗さ計で測定できなかった。比較例5(TPU)の平滑面の静摩擦係数は10以上で測定ができなかった。これに対して、実施例1の平滑面(IO)の静摩擦係数は他の材質の粗面(実施例1のTPU、比較例4のEVA)の粗面と比べると大きかったが、ダイシング用シートとして実用可能な程度に小さい値が得られた。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、本発明のダイシング用シートは、レーザーをウェハ側から照射するレーザーダイシングにも、レーザーダイシング以外のダイシング方法にも用いることができる。フェイスダウン方式と呼ばれる実装法で回路面を配線基板に向けて実装される半導体チップでは、回路面が保護フィルムで保護され、保護フィルム上に品番、ロット番号等がレーザー光によって印字されることが多い。その印字は、ウェハの回路面に保護フィルムを貼着し、保護フィルム上にダイシング用シートを貼着して、ダイシング用シート越しにレーザー光を照射して行われることがある。本発明のダイシング用シートはシート越しにレーザー印字やその検査を行う場合にも好適に用いることができる。
10 ダイシング用シート
11 第1表面
12 第2表面
13 基材−粘着層界面
20 基材
21 第1層
22 第2層
23 粘着層
11 第1表面
12 第2表面
13 基材−粘着層界面
20 基材
21 第1層
22 第2層
23 粘着層
Claims (8)
- 基材および粘着層を有するダイシング用シートであって、
前記粘着層が該ダイシング用シートの第1表面を構成し、
前記基材が、熱可塑性ポリウレタン樹脂を主成分とする第1層と、アイオノマー樹脂を主成分とし、該ダイシング用シートの第2表面を構成する第2層とを有する、
ダイシング用シート。 - 前記基材が前記第1層および前記第2層からなり、前記粘着層が前記第1層上に形成されている、
請求項1に記載のダイシング用シート。 - 前記第1層の厚さが前記基材の厚さの40〜90%を占める、
請求項1または2に記載のダイシング用シート。 - 50%伸長時のモジュラスが15〜30N/30mmであり、引張伸度が300%以上であり、引張強度が20N/6mm以上である、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のダイシング用シート。 - 前記第2表面の算術平均粗さRaが0.5μm以下である、
請求項1〜4のいずれか一項に記載のダイシング用シート。 - 前記基材と前記粘着層との界面の凹凸の最大高さRyが2〜10μmである、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のダイシング用シート。 - 前記第2層が着色されている、
請求項1〜6のいずれか一項に記載のダイシング用シート。 - 前記基材は、前記第1層と前記第2層の共押出材である、
請求項1〜7のいずれか一項に記載のダイシング用シート。
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