JP2013129723A - 粘着シートおよび半導体チップの製造方法 - Google Patents

粘着シートおよび半導体チップの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の第1の目的は、先ダイシング法によって小型の半導体チップを製造する際に、吸引テーブルやアライメントテーブルによる吸引時における粘着シートの変形によりチップが沈み込み、アライメントエラーを引き起こすことを防止することにある。また、本発明の第2の目的は、粘着シートの湾曲によりアライメントテーブル上への粘着シートの保持が困難になる事態を解消しうる粘着シートを提供することにある。
【解決手段】 上記第1の目的は、粘着シートの基材として剛軟度が90mm以下の基材を使用することで達成される。第2の目的は、基材を複層フィルムとし、粘着シートの基材側を平坦面に載置した際に、粘着シートが該平坦面に対して、上に凸状になるように湾曲する粘着シートにより達成される。
【選択図】 図3

Description

本発明は、半導体回路が形成されたウエハを回路毎に分割して小型チップを製造する際に用いられる粘着シートに関する。また本発明は、前記粘着シートを用いて半導体回路が形成されたウエハを分割して小型チップを製造する方法に関する。
近年、RFID、ICカード等の普及が進み、これら機器のさらなる小型化が望まれている。このため、用途によっては、チップサイズが3mm角以下の半導体チップが求められるようになった。このような小型チップの製造方法として、いわゆる「先ダイシング法(Dicing Before Grinding、DBG)」が提案されている(特許文献1等)。
先ダイシング法の概略を以下に説明する。先ダイシング法では、まず図1に示すように、ウエハ1の表面側から所定深さの溝2を形成する。溝2は、ウエハ表面の回路を区画するストリートに沿って形成される。次いで、図2に示すように、ウエハ表面の回路を保護し、またウエハ(チップ)を固定しておくために、溝2が形成されているウエハ表面に粘着シート10が貼着される。図では、粘着シート10として、複層基材(11,12)と粘着剤層13とからなる粘着シートを示した。
回路面を粘着シート10により保護、固定した状態で、半導体ウエハ1の裏面研削を行い、ウエハの厚さを薄くする。ウエハの厚みが溝2の深さ以下になると、ウエハは分割され、最終的には個々のチップ3へと分割される(図3参照)。
このような先ダイシング法によれば、小型で薄型のチップを効率よく製造することが可能であるが、近年チップサイズがさらに微小化したため、アライメントエラーが多発するに至った。チップ毎に分割されたウエハを次工程に移送する前に、各チップの整列状態を確認する。この際、チップの整列状態が乱れているとアライメントエラーとして認識され、次工程への移送が停止される。
チップの小型化によるアライメントエラーの増加について、本発明者らが鋭意検討を加えたところ、主として(1)チップの沈み込みによる位置ずれ、(2)粘着シートの湾曲によるアライメントテーブルでの吸引不全、が要因として考えられた。
裏面研削終了時には、粘着シート10の粘着剤層13上に複数のチップ3が整列して保持された状態となる。この後、チップ3を保持した粘着シート10は、アライメントテーブルに移送される。そして、アライメントテーブルでは、粘着シート10の背面(その面に対して基材が粘着剤層よりも近い面をいう。以下同じ。)側を吸引装置により吸引、固定している。吸引装置は、真空源に接続された吸引テーブル21を有する。吸引テーブル21は、多数の吸引口22が形成された金属製または樹脂製のテーブルであってもよく、多孔質材料で形成されたテーブルであってもよい。図4には、多数の吸引口22が形成された吸引テーブル21を使用した例を示している。吸引口22は、配管23を介して真空源(図示せず)に接続される。粘着シート10は、吸引口22により吸引され、吸引口22の近傍では、粘着シート10が吸引口に沈み込み、粘着シートの平坦性が低下する(図5参照)。しかし、チップが十分な大きさを有するチップ3aである場合には、チップ3aは、粘着シートの変形部を跨いで保持されるため、チップの整列性は損なわれない。しかし、微小チップ3bであると、吸引口22の大きさや、その形成ピッチによっては、粘着シート10の沈み込みによってチップ3bも沈み込み、チップの整列性が損なわれることになる。この結果、アライメントエラーとして認識される。
また、裏面研削終了後に、粘着シート10が湾曲して、アライメントテーブルへの保持が不可能になり、アライメントエラーとして認識される場合もある(図6参照)。粘着シートは、さまざまな延伸履歴や熱履歴を経ている。このため、粘着シートの粘着剤層側と背面側とで、収縮性が異なる場合がある。特に、粘着シートの基材を複層基材として場合には、構成基材の収縮性が異なる場合が多く、この結果、粘着シートが湾曲してしまう。
特に、図6に示すように、粘着シート10が下に凸(上に凹)の形状に湾曲すると、吸引力がリークしてしまい、粘着シートをアライメントテーブル上に保持できなくなる。このため、アライメントの確認が不可能になり、アライメントエラーとして認識される。
このような粘着シートの湾曲に起因するアライメントエラーの問題も、チップの沈み込みによる位置ずれ同様、チップサイズが小型化するまでは顕在化していない問題であった。この理由は次のとおりである。チップが貼り着いている粘着シートの部分では、剛直なチップに支えられて、湾曲の原因となる粘着シートの変形は発生しない。したがって、湾曲の原因となる粘着シートの変形が発生するのは、ウエハにおける切断のために除去された領域(カーフ)に対応する粘着シート10においてである。チップ3が比較的大きい場合(図4)とチップ3が微小な場合(図6)を比較すると、まず図6ではカーフの数が図4に比べて多く、湾曲の原因となる変形が多数起こるので、湾曲が発生しやすい。また、図4に示されるような比較的大きいチップ3にウエハを個片化する場合には、チップ3が複数の吸引口22を跨ぐために、カーフ部の粘着シート10の変形を抑制するのに十分な力がチップ3に対応する領域の粘着シート10にはたらく。このため、チップが比較的大きい場合には粘着シートの湾曲の問題は起こりにくかった。
先ダイシングに用いられる粘着シートとしては、様々な課題に応じて、種々の提案がなされている。たとえば、特許文献2(特開2005−343997号公報)では、剛性基材と振動緩和層とからなる基材を用い、該基材の剛性基材側に設けられた粘着剤層を有する粘着シートが提案されている。しかし、この粘着シートは、基材が複層構造であるため、上記のような粘着シートの湾曲という問題を生じやすい。
また、特許文献3(特開2004−256595号公報)には、先ダイシングを意図したものではないが、ウエハの裏面研削時の表面保護用粘着シートとして、剛軟度50〜150mmの基材を用いた粘着シートが提案されている。ここで使用される基材は、ポリウレタンアクリレートからなる比較的軟質の基材であり、先ダイシングに使用した場合には、裏面研削時のウエハの振動を十分に抑制できない。このため、先ダイシングに使用した場合には、ウエハにひび割れが生じたり、あるいはチッピングが発生することがある。
特開平5−335411号公報 特開2005−343997号公報 特開2004−256595号公報
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものである。すなわち、本発明の第1の目的は、先ダイシング法によって小型の半導体チップを製造する際に、吸引テーブルやアライメントテーブルによる吸引時における粘着シートの変形によりチップが沈み込み、アライメントエラーを引き起こすことを防止することにある。また、本発明の第2の目的は、粘着シートの湾曲によりアライメントテーブル上への粘着シートの保持が困難になる事態を解消しうる粘着シートを提供することにある。
このような課題を解決する本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)基材とその片面に設けられた粘着剤とからなり、JIS L1086に準拠して測定される該基材の剛軟度が90mm以下である粘着シート。
(2)該基材が単層フィルムであり、該粘着シートの基材側を平坦面に載置した際に、粘着シートと該平坦面との間に空隙が形成されない、(1)に記載の粘着シート。
(3)基材とその片面に設けられた粘着剤とからなり、該基材が複層フィルムであり、該粘着シートの基材側を平坦面に載置した際に、粘着シートが該平坦面に対して、上に凸状になるように湾曲する粘着シート。
(4)枚葉状態の基材を平坦面に載置したときに、上に凸となるように湾曲する基材の上面側に粘着剤層を形成することで得られる(3)に記載の粘着シート。
(5)JIS L1086に準拠して測定される該基材の剛軟度が90mm以下である(3)または(4)に記載の粘着シート。
(6)複層フィルムを構成する樹脂フィルムの少なくとも1層が、ヤング率が1000〜30000MPaである樹脂フィルムである(3)〜(5)の何れかに記載の粘着シート。
(7)さらに、複層フィルムを構成する樹脂フィルムとして、オレフィン系フィルムが積層されている(6)に記載の粘着シート。
(8)半導体回路が形成されたウエハ表面に、そのウエハ厚よりも浅い深さの溝を形成し、
該回路形成面に、(1)〜(7)の何れかに記載の粘着シートを貼付し、
該ウエハの裏面研削をすることでウエハの厚さを薄くするとともに、最終的には個々のチップへの分割を行う半導体チップの製造方法。
(9)分割により得られるチップが、いずれの辺も3mm以下の矩形である(8)に記載の半導体チップの製造方法。
本発明に係る第1の粘着シートによれば、先ダイシング法によって小型の半導体チップを製造する際に、吸引テーブルやアライメントテーブルによる吸引時における粘着シートの変形によりチップが沈み込み、アライメントエラーを引き越すことを防止できる。また、本発明の第2の粘着シートによれば、粘着シートの湾曲によりアライメントテーブル上への粘着シートの保持が困難になる事態を解消しうる。
先ダイシング法の一工程を示す概略断面図である。 先ダイシング法の一工程を示す概略断面図である。 先ダイシング法の一工程を示す概略断面図である。 チップが比較的大きな場合の先ダイシング後の状態を示す概略断面図である。 チップが微小な場合の先ダイシング後の状態を示す概略断面図である。 粘着シートが上に凹状に変形した状態を示す。 粘着シートが上に凸状に変形した状態を示す。
以下、本発明についてさらに具体的に説明する。本発明に係る第1の粘着シートは、基材とその片面に設けられた粘着剤層とからなり、基材の剛軟度が90mm以下、好ましくは20〜70mm、さらに好ましくは35〜60mmであることを特徴としている。
前記基材の剛軟度は、JIS L1086に記載の45°カンチレバー法に準拠して測定される。本発明の第1の粘着シートは、基材の剛軟度が上記範囲であるため、貼付適性に優れ、また裏面研削時および研削終了後には、極薄化したウエハであっても充分に支持することができる。さらに、吸引テーブルやアライメントテーブルによる吸引を受けても、粘着シートの変形が少ない。このため、吸引時に、チップの沈み込みによる位置ずれを防止でき、アライメントエラーの発生を低減することできる。
基材の剛軟度は、材料に依存した傾向としては、一般には結晶性の高い樹脂を材料として用いたフィルムを構成層とした場合には低く、非晶性の樹脂を材料として用いたフィルムを構成層とした場合には高くなる傾向がある。このほか、構成層の樹脂の構造設計や物理的な変性によっても剛軟度の調整が可能である。たとえば、側鎖の存在による高分子鎖のコンフォメーションの変化や、架橋による三次元構造の形成、構成単量体同士の分子間相互作用の強化、電子線照射による改質等が挙げられる。このような構成層の、異なる材質の2層以上を積層させて、剛軟度を調整してもよい。また、基材の厚みが厚いほど剛軟度は低くなる傾向がある。
基材を構成する材料は、上記物性を充足する限り特に限定はされないが、例えばポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、フッ素樹脂フィルム、低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム、およびその水添加物または変性物等からなるフィルムが用いられる。後述するように、基材は単層フィルムであることが好ましいが、この場合には基材は、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、LDPEフィルム、LLDPEフィルム等のポリオレフィン系フィルムであることが好ましい。これにより、粘着剤層の密着性が良好に維持されるとともに、吸引テーブルと基材の間ですべりが生じにくくすることができる。これらのうちでも、ポリプロピレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、LDPEフィルム、LLDPEフィルムが好ましい。またこれらの架橋フィルムも用いられる。上記の基材は1種単独でもよいし、さらにこれらを2種類以上組み合わせた複合フィルムであってもよい。
また基材の厚さは、好ましくは50〜300μm、さらに好ましくは80〜200μmである。基材の厚さが上記範囲にあると、剛軟度を上記の範囲に調整することが容易となるほか、粘着シートが適度な柔軟性を示し、貼付適性が良好であり、またダイシング工程終了後の剥離性にも優れる。上述のように、基材を単層フィルムとし、その材料としてポリオレフィンフィルムを用いた場合には、剛軟度を上記の範囲に調整するためには、100〜200μmであることが好ましく、130〜200μmであることがより好ましい。
たとえば後述するように、粘着剤を硬化するために照射するエネルギー線として紫外線を用いる場合には、これらのうち紫外線に対して透過性を有する基材が好ましい。またエネルギー線として電子線を用いる場合には透過性を有する必要はないので、上記のフィルムの他、これらを着色した不透明フィルム等を用いることができる。
また、基材の上面、すなわち粘着剤層が設けられる側の基材表面には粘着剤との密着性を向上するために、コロナ処理を施したり、プライマー層を設けてもよい。また粘着剤層とは反対面に各種の塗膜を塗工してもよい。本発明に係る粘着シートは、上記のような基材上に粘着剤層を設けることで製造される。
粘着剤層は、従来より公知の種々の感圧性粘着剤により形成され得る。このような粘着剤としては、何ら限定されるものではないが、たとえばアクリル系、ゴム系、シリコーン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリビニルエーテル等の粘着剤が用いられる。また、エネルギー線硬化型や加熱発泡型、水膨潤型の粘着剤も用いることができる。
本発明の粘着剤として用いるのであれば、比較的粘着力の制御が容易な各種のアクリル系共重合体が好ましく用いられる。アクリル系共重合体を構成するアクリル系モノマーとしてはアルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが用いられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、ジメチルアクリルアミド等が挙げられる。
また、前述のアクリル系モノマーと共重合可能な官能基含有モノマーを共重合させてもよい。共重合可能な官能基含有モノマーとして、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基を分子内に有するモノマーであり、好ましくはヒドロキシ基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物が用いられる。このような官能基含有モノマーのさらに具体的な例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート等のヒドロキシ基含有アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有化合物があげられる。上記の官能基含有モノマーは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに前述のアクリル系モノマーと共重合可能なビニル系モノマーを共重合させてもよい。共重合可能なビニル系モノマーとして、スチレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエン、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等が挙げられる。
また、必要に応じて粘着剤に適当な添加剤を配合してもよい。添加剤としては例えば、汎用の架橋剤、粘着付与剤、顔料、染料、フィラーが挙げられる。
粘着剤層の厚さは、通常は5〜100μm、好ましくは10〜80μm、さらに好ましくは20〜60μm程度である。粘着剤層の厚さが薄くなると粘着性や表面保護機能が低下するおそれがある。
また、粘着シートの使用前に、粘着剤層を保護するために、粘着剤層には剥離フィルムが貼付されていてもよい。剥離フィルムとしては、剥離性の表面を有する種々のフィルムが用いられる。このような剥離フィルムとしては、具体的には、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、フッ素樹脂フィルム、低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム、およびその水添加物または変性物等からなるフィルムなどが用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。上記の基材は1種単独でもよいし、さらにこれらを2種類以上組み合わせた複合フィルムであってもよい。
剥離フィルムとしては、上記したようなフィルムの一方の表面に剥離処理を施したフィルムが好ましい。剥離処理に用いられる剥離剤としては、特に限定はないが、シリコーン系、フッ素系、アルキッド系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系等が用いられる。特にシリコーン系の剥離剤が低剥離力を実現しやすいので好ましい。剥離フィルムに用いるフィルムがポリオレフィンフィルムのようにそれ自身の表面張力が低く、粘着層に対し低剥離力を示すものであれば、剥離処理を行わなくてもよい。
剥離処理の方法としては、剥離剤をそのまま無溶剤で、または溶剤希釈やエマルション化して、グラビアコーター、メイヤーバーコーター、エアナイフコーター、ロールコーター等により該フィルムに塗布し、加熱または紫外線あるいは電子線の照射により硬化させて剥離層を形成する。
上記の剥離フィルムの厚さは、好ましくは12μm以上であり、さらに好ましくは15〜1000μm、特に好ましくは50〜200μmである。剥離フィルムが薄すぎると、粘着シートを巻き取る工程において蓄積されるストレスに対する、粘着シート自体の寸法安定性が不足する。剥離フィルムが厚すぎると粘着シートの総厚が過大となるため取り扱いが困難になる。
本発明の第1の粘着シートにおける基材は、上述したように単層であっても、複層であっても良いが、好ましくは単層フィルムである。単層フィルムを基材として用いることにより、粘着シートの粘着剤層側と背面側とで、収縮性の差が小さくなり、粘着シートの湾曲を防止できる。したがって、粘着シートの基材側を平坦面上に載置した場合に、粘着シートと該平坦面とが隙間なく接触する。このため、チップが保持された粘着シートをアライメントテーブル上へ平坦に保持できるため、アライメントテーブルでの吸引不全によるアライメントエラーを防止できる。
次に本発明に係る第2の粘着シートについて説明する。本発明に係る第2の粘着シートは、基材とその片面に設けられた粘着剤層とからなり、該基材が複層フィルムであり、該粘着シートの基材側を平坦面に載置した際に、粘着シートが該平坦面に対して、上に凸状になるように湾曲することを特徴としている。
ここで、基材は、2層以上の樹脂フィルムが積層されてなる。樹脂フィルムは押し出し成型等、ヒートシールなどにより直接積層されていてもよく、またドライラミネーション法などの方法で、接着剤層を介して積層されていてもよい。積層される樹脂フィルムは、異なる種類の2種以上であることが好ましい。このような構成とすることで、たとえば後述するようにヤング率が1000〜30000MPaである樹脂フィルムとポリオレフィン系フィルムを組み合わせることによって、互いの特性を生かした積層フィルムを基材とすることができるため好ましい。
複層フィルムを構成するために積層される樹脂フィルムの材料としては、第1の粘着シートの基材を構成する材料として挙げたものと同種のものを用いることができる。これらのうちでも、樹脂フィルムの少なくとも1層は、ヤング率が1000〜30000MPaである樹脂フィルムであることが好ましい。このような樹脂フィルムを用いることで、先ダイシング法における裏面研削時の振動によりチップが動くことが抑制され、チップの整列性が維持されやすい。ヤング率が1000〜30000MPaである樹脂フィルムとしては、ポリエステル系フィルムであれば、このような特性を得られやすい。ポリエステル系フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等が挙げられる。また、ポリカーボネートフィルム等を用いてもよい。
樹脂フィルムとして、ヤング率が1000〜30000MPaである樹脂フィルムを用いた場合、複合フィルムには、さらにオレフィン系フィルムが積層されていることが好ましい。ヤング率が1000〜30000MPaである樹脂フィルムとして挙げられるポリエステル系フィルムやポリカーボネートフィルムは、表面の平滑性や剛直な性状により、粘着剤層との密着性が低い。このため、ヤング率が1000〜30000MPaである樹脂フィルムとポリオレフィン系フィルムを積層させた複合フィルムのポリオレフィン系フィルム上に粘着剤層を設けることで、粘着剤層と基材との密着性の良好な粘着シートを得ることができる。ポリオレフィン系フィルムとしては、第1の粘着シートにおいて挙げたものと同種のものが好ましく用いられる。なお、基材のこのような態様においては、ポリオレフィン系フィルムが最外層に表出していれば、ヤング率が1000〜30000MPaである樹脂フィルムおよびポリオレフィン系フィルム以外の樹脂フィルムを、基材を構成する樹脂フィルムとしてさらに積層してもよい。
基材フィルムの積層構造は、第1のポリオレフィン系フィルム、ヤング率が1000〜30000MPaである樹脂フィルム、第2のポリオレフィン系フィルムがこの順で積層されていることが好ましい。ヤング率が1000〜30000MPaである樹脂フィルムの典型例として挙げられるポリエステルフィルムのようなフィルムは、その剛性のために、吸引テーブル上で滑りが生じやすい。そのため、このような構成とすることで、粘着剤層の密着性が良好に維持されるとともに、吸引テーブルと基材の間でのすべりを生じにくくすることができる。
基材が2層以上の構成層を有する場合、延伸履歴、熱履歴等、場合によって各構成層の材質等が異なるため、粘着シートの粘着剤層形成面側と背面側とで、収縮性に差が生じ、粘着シートは湾曲しやすくなる。
本発明の第2の粘着シートにおいては、このような表裏面において収縮性に差がある基材を用い、粘着シートの基材側を平坦面に載置した際に、粘着シートが該平坦面に対して、上に凸状に湾曲するように粘着シートを構成したことを特徴としている。
ここで、粘着シートが平坦面に対して上に凸状になるように湾曲する、とは粘着シートの背面側を平坦面に載置した際に、図7に示すように、粘着シート10の中央部が平坦面から浮き上がり、粘着シートの周縁部が平坦面に接する状態を意味する。このような粘着シートであれば、粘着シートの背面を吸引した際に、空気がリークして吸引力が低下することなく粘着シートに作用するため、粘着シート10を吸引テーブルやアライメントテーブル上に平坦に保持することができ、アライメントエラーの発生が低減される。粘着シートが平坦面に対して、上に凸状に湾曲することは、粘着シートをA4サイズ(210mm×297mm)に切り出して、背面を下にして平坦面に載置し、中央部が平坦面から浮き上がるか否かにより確認することができる。なお、粘着シートを長尺のシートから切り出す場合は、長尺方向とA4サイズの長辺方向が同一となるように切り出す。
このような第2の粘着シートの基材を構成する樹脂フィルムは、上記のような湾曲性を示す限り、特に限定はされず、前記第1の粘着シートの基材として例示した種々の樹脂を使用することができ、また複数の樹脂フィルムは同一であっても異なっていても良い。各構成層の材質、延伸履歴あるいは熱履歴を非同一とすることで、基材の粘着剤層側と背面側とで、収縮性に差が生じ、基材は必然的に湾曲する。本発明では、枚葉状の基材を切り出し、平坦面に載置した際に、上に凸(下に凹)となるように湾曲する基材の上面側を粘着剤層の形成面とする。基材が平坦面に対して、上に凸状に湾曲することの確認方法は粘着シートについての確認方法と同様であり、粘着剤層を形成する面と逆側の面を下にして平坦面に載置して行う。
このような湾曲する基材の製法は、特に限定はされず、基材を構成する複数の樹脂フィルムとして材質が互いに異なる樹脂フィルムを用いてもよく、また各樹脂フィルムの延伸履歴(延伸倍率や延伸方向)や熱履歴(熱処理温度)を非同一とすることで、構成する樹脂フィルム間で収縮率が異なるように設定すればよい。たとえば、PETフィルムの片面に低密度ポリエチレン(LDPE)層を形成し、熱処理した後に、さらにPETフィルムの他面側にLDPE層を形成し、熱処理することで、一方のLDPE層の収縮性と、他方のLDPE層の収縮性を異なるものとすることができる。この場合には、先に形成したLDPE層が、後に形成するLDPE層の形成工程でも再度熱処理を経るために、収縮が大きくなる傾向がある。このため、先に形成したLDPE層側を下にして平坦面に載置した場合に上に凸となりやすい。また、粘着剤層の形成面は、実際に基材フィルムの湾曲方向を確認した上で、決定すればよい。
第2の粘着シートにおける基材の剛軟度は、特に限定はされないが、吸引時にチップの沈み込みによる位置ずれを防止し、アライメントエラーの発生を低減する観点から、前記第1の粘着シートの基材と同様に、好ましくは90mm以下、さらに好ましくは20〜70mm、特に好ましくは35〜60mmである。
また第2の粘着シートにおける基材の厚さは、好ましくは50〜200μm、さらに好ましくは100〜150μmである。基材の厚さが上記範囲にあると、粘着シートが適度な柔軟性を示し、貼付適性が良好であり、またダイシング工程終了後の剥離性にも優れる。また、第2の粘着シートの基材において、基材を構成する複数の樹脂フィルムの厚みは、基材の剛軟度に影響する。すなわち、同一の厚みで剛軟度の低い樹脂フィルムが厚いほど基材全体の剛軟度が低くなり、同一の厚みで剛軟度の高い樹脂フィルムが厚いほど、基材全体の剛軟度は低くなる。したがって、各樹脂フィルムの同一の厚みにおける固有の剛軟度を考慮して適宜に膜厚を設定すればよい。
さらに、第2の粘着シートにおける粘着剤層や、その他の好ましい態様等も前記第1の粘着シートと同様である。
本発明の第1および第2の粘着シートは、基材上に、粘着剤層を形成することで製造できる。粘着剤層は、基材上に直接塗工されてもよく、剥離フィルムなどの工程フィルム上に形成した後、基材上に転写してもよい。粘着剤層を形成する塗工装置としては、ロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、ファウンテンダイコーター、スロットダイコーター、リバースコーターなどが挙げられる。
本発明の粘着シートは、ワークの裏面加工を行う場合の表面保護シートとして用いることができ、特に先ダイシング法によるウエハのチップ化において好ましく用いられる。具体的には、
回路が表面に形成された半導体ウエハ表面からそのウエハ厚さよりも浅い切込み深さの溝を形成し、
該回路形成面に、上記粘着シートを表面保護シートとして貼付し、
その後上記半導体ウエハの裏面研削をすることでウエハの厚みを薄くするとともに、最終的には個々のチップへの分割を行ない、
チップをピックアップする工程を含む半導体チップの製造方法に好ましく用いられる。より具体的には、以下のような工程からなる半導体チップの製造方法に用いられる。
第1工程:複数の回路を区画するウエハの切断位置に沿って所定の深さの溝をウエハ表面から削成する。
第2工程:前記ウエハの表面全体を覆う状態に本発明の粘着シートを貼付し、回路面の保護およびウエハの固定を行う。
第3工程:前記溝の底部を除去し、所定の厚さになるまでウエハの裏面を研削して個々のチップに分割する。研削時には、研削屑や研削熱を除去するために研削面に水(研削水)を供給しつつ研削を行う。この際、本発明の粘着シートを用いることで、チップと粘着剤層との間に高い密着性が得られるため、回路面への研削水の滲入がなく、チップの汚染を防止できる。
裏面研削時には、粘着シートの背面側を、吸引テーブルにより吸引するが、本発明の粘着シートでは、上記のような基材を用いるため、粘着シートの変形が少ない。このため、吸引時に、チップの沈み込みによる、位置ずれを防止でき、アライメントエラーの発生を低減することできる。このようなアライメントエラーの発生の低減効果は、チップのサイズが小さい場合により好ましく発揮され、具体的には、本発明の半導体チップの製造方法は、いずれの辺も3mm以下である矩形のチップを製造する場合に好適であり、いずれの辺も1mm以下である矩形のチップを製造する場合により好適である。
さらに裏面研削終了後には、チップが保持された粘着シートをアライメントテーブルに移し、チップの整列状態を確認した後、チップをピックアップ用の固定シート(シート上に、チップの実装用のフィルム状接着剤が設けられているものでもよい。)に転写し、粘着シートを剥離してチップのピックアップ工程に移送する。アライメントテーブルでは、粘着シートの背面側を吸引して、粘着シートを平坦に保持した後にチップの整列状態を確認する。本発明の粘着シートを用いると、粘着シートをアライメントテーブル上に平坦もしくは上に凸状に載置することができるので、アライメントテーブルの吸引機構を作動すると、粘着シートがアライメントテーブルに密着して、粘着シートを平坦に保持することができる。この結果、吸引不全に起因するアライメントエラーの発生が抑制され、次工程への移送が円滑に行われるようになる。
その後、所定の方法でチップのピックアップを行う。また、チップのピックアップに先立ち、ウエハ形状に整列した状態のチップを、他の粘着シートに転写し、その後、チップのピックアップを行ってもよい。
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下において、剛軟度、チップの沈み込み評価およびアライメント性評価の可否は以下のように判定した。
(剛軟度)
基材を15mm×150mm幅にカットし、カンチレバー式剛軟度測定器(TOYOSEIKI社製)にて剛軟度の測定を行った(JIS L1086に準拠)。基材は静電気の影響により剛軟度の測定値が変化するため、測定前に除電を行った。また基材がロール状の場合、MD(machine direction)方向はばらつきが大きいため、CD(cross direction)方向の値を評価した。
(チップの沈み込み評価)
鏡面加工した厚さ730μmのシリコンウエハ表面に、0.3mm角、深さ80μmの溝を形成した。ウエハの表面に粘着シートを貼付後、裏面研削を行い、ウエハを0.3mm角、厚さ50μmのチップに分割した。その後、粘着シートをアライメントテーブル(リンテック社製、RAD−2700)に移送し、粘着シート上にチップを保持した状態で、粘着シートの背面側を吸引テーブルで吸引した。吸引を継続しながら、名刺サイズの文字が印刷されたカードをチップ鏡面上に立て、鏡面に映るカードの文字のずれより、解像度をランク付けした。チップの沈み込みにより、チップ鏡面の解像度が低下する。ランク付けは5段階で評価した。Aは解像度が良好であり、Eは解像度が悪いことを意味する。
(アライメント性評価の可否)
上記と同様にして、粘着シート上に整列保持されたチップを得た。粘着シート上にチップを保持した状態で、粘着シートをアライメントテーブル(リンテック社製、RAD−2700)に移送し、粘着シートの背面側を吸引した。粘着シートの背面側の全面をアライメントテーブルで吸引できるか否かを評価した。
(カーフの直線性の評価)
デジタル顕微鏡を用いて小チップ研削後チップコーナーのカーフのずれを確認し、カーフの直線性を次の基準で評価した。
A・・・ずれが発生していない。
B・・・ずれが発生している。
(実施例1)
粘着シートの基材として、厚さ160μm、剛軟度85mmの単層の低密度ポリエチレン(LDPE)フィルムを準備した。
アクリル酸ブチル80重量部、メタクリル酸メチル15重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5重量部からなるアクリル共重合体(重量平均分子量600,000)のトルエン30重量%溶液に対し、多価イソシアナート化合物(コロネートL(日本ポリウレタン社製))3重量部を混合し、粘着剤組成物を得た。
粘着剤組成物を、乾燥後の厚みが20μmとなるように、シリコーン剥離処理を行ったポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(リンテック社製、商品名「SP−PET381031」)の剥離処理面に塗布し、100℃で1分間乾燥した後、上記の基材と貼り合わせ、PETフィルムを除去して、粘着シートを得た。剛軟度、チップの沈み込み評価およびアライメント性評価の可否の結果を表1および表2に示す。
(実施例2)
粘着シートの基材として、厚さ105μm、剛軟度65mmの複層基材(LDPE/PET/LDPEの構成で、LDPEとPET間をドライラミネート法で積層したもの。ポリエチレンテレフタレートフィルムのヤング率:4000MPa。)を準備した。この基材は、A4サイズに切り出し、粘着剤層を形成する面と逆側の面を下にして平坦面に載置した場合に上に凸に湾曲した。
アクリル酸ブチル52重量部、メタクリル酸メチル20重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート28重量部を用いて酢酸エチル溶媒中で溶液重合し、重量平均分子量約600,000のアクリル系共重合体を生成した。得られた共重合体100重量部に対し、多価イソシアナート化合物(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートL」)1重量部を混合して、粘着剤組成物を得た。
粘着剤組成物を、乾燥後の厚みが20μmとなるように、シリコーン剥離処理を行ったPETフィルム(リンテック社製、商品名「SP−PET381031」)の剥離処理面に塗布し、100℃で1分間乾燥した後、上記の基材に貼り合わせ、PETフィルムを除去して、粘着シートを得た。この粘着シートは、上に凸に湾曲した。結果を下表に示す。
(実施例3)
粘着シートの基材として、厚さ130μm、剛軟度40mmの複層基材(LDPE/PET/LDPEの構成で、LDPEとPET間をドライラミネート法で積層したもの。)(この基材は、A4サイズに切り出し、粘着剤層を形成する面と逆側の面を下にして平坦面に載置した場合に上に凸に湾曲する。)を用いた以外は、実施例2と同様として粘着シートを得た。この粘着シートは、上に凸に湾曲した。結果を下表に示す。
(比較例1)
粘着シートの基材として、厚さ100μm、剛軟度111mmの単層の低密度ポリエチレン(LDPE)フィルムを用いた以外は、実施例1と同様とした。結果を下表に示す。
(比較例2)
粘着シートの基材として、厚さ140μm、剛軟度94mmの単層のエチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)フィルムを準備した。
アクリル酸ブチル90重量部、アクリル酸10重量部を用いて酢酸エチル溶媒中で溶液重合し、重量平均分子量約600,000のアクリル系共重合体を生成した。得られた共重合体100重量部に対し、重量平均分子量約5000のウレタンアクリレートオリゴマー70重量部と、多価イソシアナート化合物(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートL」)10重量部を混合して、エネルギー線硬化型粘着剤組成物を得た。
エネルギー線硬化型粘着剤組成物を、乾燥後の厚みが30μmとなるように、シリコーン剥離処理を行ったPETフィルム(リンテック社製、商品名「SP−PET381031」)の剥離処理面に塗布し、100℃で1分間乾燥した後、上記の基材と貼り合わせ、PETフィルムを除去して、エネルギー線硬化型粘着シートを得た。結果を下表に示す。
(比較例3)
粘着シートの基材として、厚さ80μm、剛軟度92mmの複層基材(LDPE/PET/LDPEの構成で、LDPEとPET間をドライラミネート法で積層したもの。)(この基材は、A4サイズに切り出し、粘着剤層を形成する面と逆側の面を下にして平坦面に載置した場合に上に凸に湾曲する。)を用いた以外は、実施例2と同様として粘着シートを得た。この粘着シートは、上に凸に湾曲した。結果を下表に示す。
(比較例4)
粘着剤層を、基材の実施例2で形成したのとは逆の面に形成した以外は、実施例2と同様として粘着シートを得た。この粘着シートは、上に凸に湾曲せず、A4サイズに切り出し、平坦面に載置したとき、中央部は平坦面と接触するが、端部が平坦面から離れた。すなわち、下に凸に湾曲した。結果を下表に示す。
(参考例1)
比較例3の粘着シートを用いて、チップの沈み込み評価およびカーフの直線性の評価を、溝のサイズを5mm角として行った。結果を下表に示す。
(参考例2)
比較例4の粘着シートを用いて、チップの沈み込み評価およびカーフの直線性の評価を、溝のサイズを5mm角として行った。結果を下表に示す。
Figure 2013129723
Figure 2013129723
1…半導体ウエハ
2…溝
3、3a、3b…チップ
10…粘着シート
11、12…基材の構成フィルム
13…粘着剤層
21…吸引テーブル
22…吸引口
23…配管

Claims (9)

  1. 基材とその片面に設けられた粘着剤とからなり、JIS L1086に準拠して測定される該基材の剛軟度が90mm以下である粘着シート。
  2. 該基材が単層フィルムであり、該粘着シートの基材側を平坦面に載置した際に、粘着シートと該平坦面との間に空隙が形成されない、請求項1に記載の粘着シート。
  3. 基材とその片面に設けられた粘着剤とからなり、該基材が複層フィルムであり、該粘着シートの基材側を平坦面に載置した際に、粘着シートが該平坦面に対して、上に凸状になるように湾曲する粘着シート。
  4. 枚葉状態の基材を平坦面に載置したときに、上に凸となるように湾曲する基材の上面側に粘着剤層を形成することで得られる請求項3に記載の粘着シート。
  5. JIS L1086に準拠して測定される該基材の剛軟度が90mm以下である請求項3または4に記載の粘着シート。
  6. 複層フィルムを構成する樹脂フィルムの少なくとも1層が、ヤング率が1000〜30000MPaである樹脂フィルムである請求項3〜5の何れかに記載の粘着シート。
  7. さらに、複層フィルムを構成する樹脂フィルムとして、オレフィン系フィルムが積層されている請求項6に記載の粘着シート。
  8. 半導体回路が形成されたウエハ表面に、そのウエハ厚よりも浅い深さの溝を形成し、
    該回路形成面に、請求項1〜7の何れかに記載の粘着シートを貼付し、
    該ウエハの裏面研削をすることでウエハの厚さを薄くするとともに、最終的には個々のチップへの分割を行う半導体チップの製造方法。
  9. 分割により得られるチップが、いずれの辺も3mm以下の矩形である請求項8に記載の半導体チップの製造方法。
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