JP2019176974A - 眼科用情報処理プログラム、眼科装置、および、ウェアラブルデバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】PRLにおいて対象物の像を得るうえで、患者の負担を抑制すること。【解決手段】眼科用情報処理プログラムは、PC100のプロセッサに実行される。これによって、PC100は、患者眼におけるPRLの位置に関するPRL位置情報を取得するPRL位置情報取得ステップと、患者眼が正面視の状態で正面物体像をPRLに結像させるための偏向量情報を、PRL位置情報に基づいて取得する、偏向量情報取得ステップと、がPC100によって実行される。その結果、患者眼が正面視の状態で正面物体像をPRLに結像させるためのプリズム処方値。【選択図】図3
Description
本開示は、中心視野を喪失した患者の視覚を補助するための、眼科用情報処理プログラム、眼科装置、および、ウェアラブルデバイスに関する。
従来より、視野計等の視機能検査装置が知られている。視野計は、眼底(網膜)上の各測定点に検査視標を投影して、患者眼の応答に基づく視機能を検査を行う。
視機能検査の結果、中心窩付近などに疾患があることが確認された場合には、患者が物を見難い状態である可能性が高い。このような場合に、疾患のある中心窩などに変えて、視機能が残されている眼底部位を中心窩の代替部位(PRL:PreferredRetinal Locus)として物を見るためのリハビリテーションが提案されている(特許文献1参照)。リハビリテーションでは、対象物から視線を意図的にずらして物を見るように、訓練される。
しかしながら、対象物から視線を意図的にずらすことを習慣づけるまでには、多大な忍耐と時間を要し、患者の負担が大きい。
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、PRLにおいて対象物の像を得るうえで、患者の負担を抑制すること、を技術課題とする。
本開示の第1態様に係る眼科用情報処理プログラムは、コンピュータのプロセッサに実行されることにより、患者眼におけるPRLの位置に関するPRL位置情報を取得するPRL位置情報取得ステップと、前記患者眼が正面視の状態で正面物体像をPRLに結像させるための偏向量情報を、前記PRL位置情報に基づいて取得する、偏向量情報取得ステップと、を前記コンピュータに実行させる。
本開示によれば、PRLにおいて対象物の像を得るうえで、患者の負担を抑制できる。
以下、図面を参照しつつ、本開示を、実施形態に基づいて説明する。
「第1実施形態」
第1実施形態に係る眼科システム1およびPC100は、患者眼が正面視の状態で正面物体像をPRLに結像させるための偏向量情報として、プリズム処方値を処方する。PRL(PreferredRetinal Locus)は、中心視野が喪失した患者眼における、中心窩の代替部位のことである。
第1実施形態に係る眼科システム1およびPC100は、患者眼が正面視の状態で正面物体像をPRLに結像させるための偏向量情報として、プリズム処方値を処方する。PRL(PreferredRetinal Locus)は、中心視野が喪失した患者眼における、中心窩の代替部位のことである。
眼科システム1(図1参照)は、PC100の他に、視機能検査装置200を含んでいてもよい。また、追加的に、眼科システム1は、眼軸長測定装置300、および、フォロプター400を含んでいてもよい。各装置は、各種データを相互に通信可能であってもよい。PC100は、コンピュータの一例であって、そのプロセッサ(図示を省略する)において、本実施形態に係る眼科用情報処理プログラムが実行される。PC100は、視機能検査装置200、眼軸長測定装置300、および、フォロプター400等の眼科装置と一体化されていてもよい。
視機能検査装置200は、患者眼の網膜についての視機能検査を行う。視機能検査は、例えば、静的視野検査であってもよい。視機能検査装置200が静的視野検査を行う装置(つまり、視野計)である場合、視機能検査装置200は、マイクロペリメータであってもよいし、ハンフリー視野計であってもよい。特に断りが無い限り、以下では、視機能検査装置200は、マイクロペリメータであるものとして説明を行う。
静的視野検査では、網膜上の検査位置に対して、大きさが一定であり強さ(明るさ)が可変な刺激視標(スポット光等)を投影する。患者は、刺激視標を視認したときに、UI(例えば、ボタン等)を操作する。この処理を網膜の複数の位置について順次に実行することにより、部位ごとの網膜視感度が得られる。また、視機能検査装置200では、視機能検査(ここでは、視野検査)の間、被検眼の観察画像を随時取得し、眼底上における刺激光の投影位置をトラッキングしてもよい。これにより、被検眼Eの任意の位置への刺激を正確に行うことができる。観察画像は、眼底の観察画像であることが望ましいが、必ずしもこれに限られるものではなく、前眼部の観察画像であってもよい。
視機能検査装置200は、図2に示すような、視機能検査の結果を示すデータ(以下、「検査結果データ」と称す)を、検査の結果として取得できる。検査結果データは、更に、視機能検査装置200から、PC100へ送信されることにより、PC100において取得されてもよい。
検査結果データに基づいて、検査結果はモニタへ表示されてもよい。検査結果は、眼底の画像と共に、且つ、各検査部位における検査結果が眼底の画像と対応づけられた状態で表示されてもよい。一例として、図2では、検査結果が、眼底の画像上に重畳されることで対応付されて表示される。また、図2では、眼底画像上の検査点(図2において○印で示す)の箇所において、検査点の色、大きさ、または、検査点と共に表示される数値等によって、当該箇所における視感度が示される。なお、検査結果の表示態様は、必ずしもこれに限られるものではない。また、検査結果を眼底画像と対応づける手法は、種々の手法が知られている。特に、上記のように、被検眼の観察画像を随時取得し、眼底上における刺激光の投影位置がトラッキングされつつ検査が行われた場合は、対応付けの精度が良好であり、有利である。
<PRL位置情報の取得>
PC100は、PRL位置情報を取得し、PRL位置情報に基づいてプリズム処方値を取得する。PRL位置情報は、患者眼におけるPRLの位置に関する情報である。PRL位置情報には、基準位置とPRLとの距離に関する情報が少なくとも含まれていてもよい(図3参照)。基準位置とPRLとの距離は、例えば、視機能検査における検査光軸(≒視軸)を基準とするラジアル方向の距離であってもよい。また、PRL位置情報には、眼底上の基準線(例えば、水平線)と、基準位置とPRLとを結ぶ線分との角度に関する情報(つまり、プリズムの基底方向に関する情報)が、更に含まれていることが好ましい。
PC100は、PRL位置情報を取得し、PRL位置情報に基づいてプリズム処方値を取得する。PRL位置情報は、患者眼におけるPRLの位置に関する情報である。PRL位置情報には、基準位置とPRLとの距離に関する情報が少なくとも含まれていてもよい(図3参照)。基準位置とPRLとの距離は、例えば、視機能検査における検査光軸(≒視軸)を基準とするラジアル方向の距離であってもよい。また、PRL位置情報には、眼底上の基準線(例えば、水平線)と、基準位置とPRLとを結ぶ線分との角度に関する情報(つまり、プリズムの基底方向に関する情報)が、更に含まれていることが好ましい。
基準位置は、患者の自然な正面視状態において、正面物体像が投影される位置であることが好ましい。このような基準位置は、視機能検査における検査光軸の位置(例えば、固視呈示位置)であってもよい。中心視野を喪失した患者眼においては、正面固視が困難であるので、基準位置と中心窩とは必ずしも一致しないことが考えられる。しかし、本実施形態におけるプリズム処方値は、自然な正面視状態において、PRLに正面物体像を投影するための値であるので基準位置と中心窩とが一致しないことは問題とならない。
勿論、基準位置は、眼底における形態上の特徴部位であってもよい。例えば、眼底画像に基づいて基準位置が特定されてもよい。その際、例えば、眼底の正面画像以外の画像(例えば、眼底の断層画像)等が参照されてもよい。また、例えば、中心窩の近くの視感度が高い位置において、PRLが特定される。PRLの位置は、検査結果に基づいて検者が手動で特定してもよいし、装置が自動的に特定(つまり、検出)してもよい。例えば、視感度の高さ、および、視感度のある領域の広さ(つまり、視野の広さ)、等を参照し、PRLを特定してもよい。また、過去の視機能検査の結果と比較し、感度があり、且つ、変化の無い領域を、PRLへ設定してもよい。
PRL位置情報は、視機能検査の検査結果データに基づいて取得されてもよい。基準位置とPRLとの距離については、例えば、患者眼の眼軸長、屈折誤差等の情報を更に考慮することで、より実距離に近い値を得ることができる。PRL位置情報には、上記の値が含まれていてもよいが、必ずしもこれに限られるものでは無い。PRL位置情報は、PC100において、検査結果データから導出されてもよいし、事前に、視機能検査装置200において検査結果データから導出されてもよい。
<眼軸長データの取得>
眼軸長測定装置300は、患者眼の眼軸長を測定する。眼軸長測定装置300は、眼軸長を測定できる装置であればよく、光干渉式の装置であってもよいし、超音波式の測定装置であってもよい。眼軸長測定装置300での測定に基づく、患者眼の眼軸長データが、PC100によって取得されてもよい(図3参照)。なお、本実施形態では、プリズム処方に用いる眼軸長データとして、測定値が利用される。但し、必ずしもこれに限られるものではなく、眼軸長の値は、人眼の平均値等の定数であってもよい。
眼軸長測定装置300は、患者眼の眼軸長を測定する。眼軸長測定装置300は、眼軸長を測定できる装置であればよく、光干渉式の装置であってもよいし、超音波式の測定装置であってもよい。眼軸長測定装置300での測定に基づく、患者眼の眼軸長データが、PC100によって取得されてもよい(図3参照)。なお、本実施形態では、プリズム処方に用いる眼軸長データとして、測定値が利用される。但し、必ずしもこれに限られるものではなく、眼軸長の値は、人眼の平均値等の定数であってもよい。
<プリズムディオプトリーの導出>
PC100は、患者眼が正面視の状態で正面物体像をPRLに結像させるためのプリズム処方値を、少なくともPRL位置情報に基づいて取得する。プリズム処方値におけるプリズムディオプトリーは、以下の式に基づいて算出することができる。1プリズムディオプトリーは、1m先の垂直面上で、光線光軸が1cm変位するプリズム強度である。また、プリズムの向きは、基準位置から見たPRLの方向に応じて定められる。
PC100は、患者眼が正面視の状態で正面物体像をPRLに結像させるためのプリズム処方値を、少なくともPRL位置情報に基づいて取得する。プリズム処方値におけるプリズムディオプトリーは、以下の式に基づいて算出することができる。1プリズムディオプトリーは、1m先の垂直面上で、光線光軸が1cm変位するプリズム強度である。また、プリズムの向きは、基準位置から見たPRLの方向に応じて定められる。
以下では、図4を参照して、眼鏡レンズにおけるプリズムディオプトリー、および、基底方向(基底軸角度)の導出方法を示す。但し、必ずしもこれに限られるものではなく、コンタクトレンズ、及び、眼内レンズ等の他の矯正レンズにおけるプリズムディオプトリーδ(D)を、PRL位置情報に基づいて取得してもよい。
正面視における視軸(視機能検査の検査光軸でもよい)に沿った第1の直線と、眼鏡レンズのアイポイント位置とPRLとを結ぶ第2の直線と、の間の角度をθで表した場合、プリズムディオプトリーδ(D)は、以下の数式(1)によって近似できる。ここでいう視軸は、中心固視が行われたとした場合に、固視目標と基準位置を結んだ直線である。
δ(D)=tanθ×100 但し、tanθ=L/{AL+VD}・・・(1)
数式(1)において、Lは、基準位置とPRL間の距離であり、ALは、眼軸長であり、VDは、眼鏡レンズと角膜頂点間の距離である。なお、VDは、固定値であってもよいし、患者眼毎の実測値であってもよい。また、δ(D)を導出する際、PRLは基準位置から視軸(または検査光軸)に対して直交する方向に位置するものとして近似している。しかし、基準位置とPRL間の距離が離れるほど、また、眼底の湾曲度が大きいほど、処方すべき度数との誤差が生じることとなる。このような誤差を補正するために、式(1)は適宜変形されてもよい。
数式(1)において、Lは、基準位置とPRL間の距離であり、ALは、眼軸長であり、VDは、眼鏡レンズと角膜頂点間の距離である。なお、VDは、固定値であってもよいし、患者眼毎の実測値であってもよい。また、δ(D)を導出する際、PRLは基準位置から視軸(または検査光軸)に対して直交する方向に位置するものとして近似している。しかし、基準位置とPRL間の距離が離れるほど、また、眼底の湾曲度が大きいほど、処方すべき度数との誤差が生じることとなる。このような誤差を補正するために、式(1)は適宜変形されてもよい。
基底方向は、プリズムにおける基底の方向である。眼底上の基準線(例えば、水平線)と、基準位置とPRLとを結ぶ線分との角度情報(φ)として、基底方向が求められてもよい(図2参照)。
ここで、具体的な数値を用いて、プリズム処方値の導出方法を示す。例えば、θ=18.9°、AL=25mm、VD=0mmとした場合であれば、L=8.6mm、δ(D)=34.4となる。眼底上の基準線(例えば、水平線)と、中心窩とPRLとを結ぶ線分との角度が、5.8°であれば、34.4プリズムディオプトリーのプリズムレンズを、水平から5.8°回転させた軸角度で処方することで、正面物体像は、患者のPRL位置へ投影されることとなる。プリズム処方値は、例えば、プリズムディオプトリーδ(D)と、角度との組み合わせで示されるものであってもよいし、他の形式で示されるものであってもよい。以上のようにして得られた処方値は、外部へ出力されたり、メモリへ記憶されてもよい。
PC100は、基準位置とPRL間の距離に基づいて演算処理でプリズム処方値を算出してもよい。また、演算処理は必ずしも必要ではなく、例えば、基準位置とPRLとの間の距離と、プリズムディオプトリーδ(D)との上記数式(1)の関係が規定されたルックアップテーブルの参照処理で代用されてもよい。ルックアップテーブルには、少なくとも基準位置とPRLとの間の距離毎にプリズムディオプトリーδ(D)が予め対応付けられたものである。
上記のようにして導出されたプリズム処方値は、種々の態様で出力されてもよい。例えば、プリズム処方値は、モニタに表示されてもよい。また、フォロプター400に出力されてもよい。フォロプター400では、処方値と対応したプリズムを自動的にセットして、自覚検査を開始可能であってもよい。フォロプター400を用いた自覚検査が行われることで、より適正なプリズム処方を行うことができる。
なお、患者の片眼が正常に中心視覚を残存している場合、その反対眼に対して上記プリズム処方を行うと、両眼とも正面の視覚を得るが、プリズム処方眼側は正面物体像を中心窩外で見るため、左右眼で得られる視覚情報は相互に位置ずれを生じて融像ができなくなる。故に、上記のプリズム処方は、両眼の中心視覚が喪失された患者に限って、しかも、片眼のみに対して実施されることが好ましい。プリズム処方を施さない片眼については、眼帯等で視覚情報を遮断することが好ましい。
また、第1実施形態では、眼鏡レンズに対して処方されるプリズム処方値の導出方法を説明したが、同様にして、コンタクトレンズ、及び、眼内レンズ等のように、患者眼に対して固定するタイプに対する処方値を取得してもよい。
疾患の進行によって、訓練で獲得したPRL(又は、TRL:Trained Retinal Locus)が機能障害をきたすと、網膜上の別の箇所を新たなPRLとして設定する必要が生じる。故に、再処方の適用が容易な眼鏡レンズやコンタクトレンズにおいて上記のプリズム処方が行われることが好ましい。
「第2実施形態」
第2実施形態に係るウェアラブルデバイス500は、患者の視覚を補助するデバイスであり、患者眼における正面視方向の外界像を、カメラ510で撮影し、撮影した外界像を、内臓のプロジェクタ520によってPRLに投影させる。ウェアラブルデバイス500は、眼鏡状の装置(図5参照)であってもよい。
第2実施形態に係るウェアラブルデバイス500は、患者の視覚を補助するデバイスであり、患者眼における正面視方向の外界像を、カメラ510で撮影し、撮影した外界像を、内臓のプロジェクタ520によってPRLに投影させる。ウェアラブルデバイス500は、眼鏡状の装置(図5参照)であってもよい。
図6に示すように、ウェアラブルデバイス500は、カメラ510と、プロジェクタ520と、の他、第2カメラ530、および、制御部540を備える。制御部540は、少なくともカメラ510、プロジェクタ520、および、第2カメラ530、と接続される。また、制御部540は、各部の動作を制御する。
プロジェクタ520は、光源521、および、MEMSミラー522(光スキャナの一例)を含んでいてもよい。本実施形態では、眼底上で外界像が投影される領域は、プロジェクタ520を制御することで調整可能である。例えば、MEMSミラー522における駆動範囲を制御することで、中心窩周辺の任意の領域に対して外界像を投影可能であってもよい。以下では、外界像の投影範囲の基準となる光軸を基準光軸と称する。基準光軸の位置は、投影範囲の位置に対して、一義的に定められる。例えば、基準光軸は、投影範囲の中心を通過する光軸であってもよい。
第2実施形態において、制御部540は、プロジェクタ520から患者眼へ投影する外界像がPRLに向かうように、患者眼におけるPRLの位置を考慮して、外界像の基準光軸を偏向する。基準光軸の偏向量(偏向量情報の一例)は、例えば、第1実施形態において示したPRL位置情報に基づいて取得されてもよい。ウェアラブルデバイス500において、PRL位置情報から偏向量を導出する処理が行われてもよいが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、ウェアラブルデバイス500とは別体のコンピュータによって、PRL位置情報から偏向量を導出され、この偏向量が、ウェアラブルデバイス500の制御において利用されてもよい。
第2実施形態では、プロジェクタ520から患者眼へ投影する外界像の基準光軸が、PRLへ向けて偏向されることで、患者は、必ずしも斜方視を必要とせずに、正面視方向の対象物をPRLを介して視認することができる。
更に、制御部540は、網膜におけるPRLに対する基準光軸に対するズレ情報を検出し、ズレ情報に基づいて外界像の基準光軸の向きを、更に補正してもよい。
ここで、第2カメラ530は、眼底上における外界像の投影領域と、PRLとの位置ズレを検出する検出部の一部として、利用される。本実施形態における第2カメラ530は、患者眼の観察画像を得る。ここでは、前眼部の観察画像を得るものとする。プロジェクタ520に対する患者眼におけるPRLの位置は、患者眼の視軸の向きと一定の関係を保って変化するので、第2カメラ530によって撮影される前眼部観察画像から、リアルタイムなPRLの位置を特定することができる。
この場合、例えば、前眼部と眼底とを同時に撮影することができる眼科撮影装置によって、患者眼の前眼部観察画像と眼底画像とを、予め定められた複数の視軸の向き毎に取得しておき、視軸の向き毎の(或いは、各視軸の向きにおける前眼部画像毎の)PRL位置の変位量が導出されていてもよい。視軸の向き毎の(或いは、各視軸の向きにおける前眼部画像毎の)PRL位置の変位量を示す補正データは、ウェアラブルデバイス500のメモリ(図示を省略する)に記憶されていてもよく、制御部540は、第2カメラ530で得られる前眼部観察画像と対応する補正データを参照して、PRLの位置を特定してもよい。なお、前眼部観察画像から視軸の向きを検出する方法は種々の方法が知られており、いずれかの手法を、適宜採用し得る。そして、制御部540は、前眼部観察画像に基づいてPRLの位置をトラッキングしつつ、PRLの位置に対して外界像を投影する。これにより、固視が不安定な患者に対しても、安定して、正面方向の対象物の像を、PRLに結像させることができる。
このように、患者眼へ投影する外界像の基準光軸の向きを、患者眼の視軸の向きに応じて補正することは、読書等の一定方向を視認し続ける必要がある作業において、有意義である。
また、このような補正制御を有効とするモードと、無効とするモードと、が患者の操作に基づいて、切換可能であってもよい。
なお、上記第2実施形態の説明においては、リアルタイムなPRLの位置を特定するうえで、前眼部観察画像を利用する場合について説明したが、前眼部観察画像に代えて、眼底観察画像を利用してもよい。この場合、ウェアラブルデバイス500には、眼底観察部が設けられる。
100 PC
E 患者眼
E 患者眼
Claims (8)
- コンピュータのプロセッサに実行されることにより、
患者眼におけるPRLの位置に関するPRL位置情報を取得するPRL位置情報取得ステップと、
前記患者眼が正面視の状態で正面物体像をPRLに結像させるための偏向量情報を、前記PRL位置情報に基づいて取得する、偏向量情報取得ステップと、を前記コンピュータに実行させる、眼科用情報処理プログラム。 - 前記偏向量情報取得ステップでは、前記偏向量情報として患者に装着される矯正レンズのプリズム処方値を取得する、請求項1記載の眼科用情報処理プログラム。
- 前記偏向量情報取得ステップは、眼鏡レンズにおけるプリズム処方値を取得し、この場合において、プリズム処方値におけるプリズムディオプトリーは、以下の数式に基づいて近似されることを特徴とする、請求項2記載の眼科用情報処理プログラム。
δ(D)≒tanθ×100
但し、tanθ=L/{AL+VD}、
δ(D)は、プリズムディオプトリーであり、
Lは、患者の自然な正面視状態において正面物体像が投影される位置とPRLとの間の距離であり、
ALは、眼軸長であり、
VDは、眼鏡レンズと角膜頂点間の距離である。 - 患者眼における眼軸長の実測値情報を取得する眼軸長情報取得ステップを、更に含み、
前記偏向量情報取得ステップでは、前記眼軸長情報を用いて前記プリズム処方値を取得する、請求項3記載の眼科用情報処理プログラム。 - プリズム処方値として、更に、プリズムの基底方向に関する情報を取得する、請求項2から4のいずれかに記載の眼科用情報処理プログラム。
- 請求項1から5のいずれかの眼科用情報処理プログラムがメモリに記憶されており、前記眼科用情報処理プログラムを実行する眼科装置。
- 患者の視覚を補助するウェアラブルデバイスであって、
少なくともの正面視方向の外界像を撮像するカメラと、
前記カメラで撮像された前記外界像を、ユーザの網膜へ投影するプロジェクタと、
前記プロジェクタから患者眼へ投影する前記外界像がPRLに向かうように、患者眼におけるPRLの位置を考慮して前記外界像の基準光軸を偏向する制御手段と、
を備える、ウェアラブルデバイス。 - 前記制御手段は、前記網膜におけるPRLに対する前記基準光軸に対するズレ情報を検出し、前記ズレ情報に基づいて前記基準光軸の向きを、更に補正する、請求項7記載のウェアラブルデバイス。
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