JP2019176060A - 電気絶縁性熱伝導シート及びその製造方法 - Google Patents

電気絶縁性熱伝導シート及びその製造方法 Download PDF

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池田 吉紀
Yoshinori Ikeda
吉紀 池田
譲章 前田
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譲章 前田
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Abstract

【課題】厚み方向に高い熱伝導性を有する電気絶縁性熱伝導シートを提供する。【解決手段】電気絶縁性熱伝導シート100、110であって、互いに並置されている複数の板状セラミック部材、及び複数の板状セラミック部材を包埋している包埋樹脂20を有し、かつ板状セラミック部材の面方向と電気絶縁性熱伝導シートの面方向とが略一致している、電気絶縁性熱伝導シートを提供する。この電気絶縁性熱伝導シートでは、複数の板状セラミック部材が層10を形成していてよい。【選択図】図1

Description

本発明は、電気絶縁性熱伝導シート及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、電気製品に使用される半導体素子、電源、光源などの電気部品から発生する熱を効果的に放散させることができ、かつ柔軟で実装時の熱抵抗値が小さい電気絶縁性熱伝導シート、及びその製造方法に関する。
近年、電子機器の薄短小化、高出力化に伴う発熱密度の増加により、放熱対策の重要性が高まっている。電子機器の熱トラブルを軽減するためには、熱源となっている電気部品の熱が周辺部材に悪影響を及ぼさないよう、機器内の電気部品で発生した熱をすみやかに冷却材や筐体等へ逃がすことが重要である。
このために、特定の方向への熱伝導が可能な熱伝導部材が求められる。また多くの場合、冷却材や筐体への漏電を防ぐため、熱伝導部材としては、高い熱伝導率を有すると共に電気的に絶縁性である電気絶縁性熱伝導シートが広く利用されている。
電気絶縁性熱伝導シートを熱源としての電気部品と冷却材との間に挟んで、熱源から冷却材に熱が逃れるようにする場合、電気絶縁性熱伝導シートは、厚み方向について高い熱伝導性が要求される。従来、厚み方向に高い熱伝導性を有する電気絶縁性熱伝導シートを提供するために、熱伝導性フィラーを電気絶縁性熱伝導シート中に含有させることが試みられてきた。そのようなシートとして、マトリックス樹脂中に無機粒子を混合した電気絶縁性熱伝導シートが広く検討されている(特許文献1〜3)。
特開平7−111300号公報 特開2017−88696号公報 特開2012−109312号公報
厚み方向に高い熱伝導性を有する電気絶縁性熱伝導シートを提供するために、マトリックス樹脂中に無機粒子を混合する場合、シート内において良好な熱伝導パスを形成するためには、無機粒子の配合量を増加させることが必要である。しかし、無機粒子の配合量を高めるに従って、シートの柔軟性が失われてしまうことがある。特に、マトリックス樹脂中の無機粒子の体積割合が90%を超える場合、シート化が非常に困難であり、それによってシートにボイドの発生が生じて、シート自体の熱伝導性が損なわれてしまうことがある。
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。本発明の目的は、上記のような問題を少なくとも部分的に解消することができる電気絶縁性熱伝導シートを提供することである。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記の本発明に想到した。
〈態様1〉
電気絶縁性熱伝導シートであって、
互いに並置されている複数の板状セラミック部材、及び前記複数の板状セラミック部材を包埋している包埋樹脂を有し、かつ
前記板状セラミック部材の面方向と前記電気絶縁性熱伝導シートの面方向とが略一致している、
電気絶縁性熱伝導シート。
〈態様2〉
前記複数の板状セラミック部材が、規則的な配列で、互いに並置されている、態様1に記載の電気絶縁性熱伝導シート。
〈態様3〉
前記複数の板状セラミック部材が、それらの間の間隔が1μm以上100μm以下になるようにして、互いに並置されている、態様1又は2に記載の電気絶縁性熱伝導シート。
〈態様4〉
前記複数の板状セラミック部材が、前記電気絶縁性熱伝導シートの厚さ方向に積層されている少なくとも2つの層を構成するようにして、互いに並置されている、態様1〜3のいずれか一項に記載の電気絶縁性熱伝導シート。
〈態様5〉
前記複数の板状セラミック部材の体積分率が、85体積%以上95体積%以下である、態様1〜4のいずれか一項に記載の電気絶縁性熱伝導シート。
〈態様6〉
前記板状セラミック部材の面方向の1つの面の面積がそれぞれ、10mm以下である、態様1〜5のいずれか一項に記載の電気絶縁性熱伝導シート。
〈態様7〉
前記板状セラミック部材の面方向の短径が、前記板状セラミック部材の最大厚さの3倍以上である、態様1〜6のいずれか一項に記載の電気絶縁性熱伝導シート。
〈態様8〉
前記板状セラミック部材が、ダイヤモンド、サファイア、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、及び窒化ホウ素、並びにそれらの組み合わせからなる群より選択される材料で構成されている、態様1〜7のいずれか一項に記載の電気絶縁性熱伝導シート。
〈態様9〉
前記板状セラミック部材の厚さ方向の熱伝導率が、30W/K・m以上である、態様1〜8のいずれか一項に記載の電気絶縁性熱伝導シート。
〈態様10〉
前記包埋樹脂が硬化性樹脂である、態様1〜9のいずれか一項に記載の電気絶縁性熱伝導シート。
〈態様11〉
前記硬化性樹脂が半硬化状態である、態様10に記載の電気絶縁性熱伝導シート。
〈態様12〉
(a)分割して前記複数の板状セラミック部材にするためのセラミック基板を提供すること、
(b)前記セラミック基板の一方の面のみを前記包埋樹脂で包埋すること、
(c)前記セラミック基板の面のうちの前記包埋樹脂で包埋されていない面の側から、前記セラミック基板の厚さの少なくとも一部までスリットを刻むこと、及び
(d)前記セラミック基板の面のうちの前記包埋樹脂で包埋されていない面を包埋樹脂で包埋すること、
を含む、態様1〜11のいずれか一項に記載の電気絶縁性熱伝導シートを製造する方法。
〈態様13〉
前記包埋樹脂が硬化性樹脂である、態様12に記載の方法。
本発明の電気絶縁性熱伝導シートによれば、上記のような問題を少なくとも部分的に解消することができる。
図1は、本発明の電気絶縁性熱伝導シートを示すものである。具体的には、図1(a)は、互いに並置されている複数の板状セラミック部材が1つの層を構成するようにして互いに並置されている本発明のシートを示しており、また図1(b)は、互いに並置されている複数の板状セラミック部材が2つの層を構成するようにして互いに並置されている本発明のシートを示している。なお、図1(a)及び(b)において、図の左側は、本発明のシートの上面図を示しており、かつ図の右側は、本発明のシートの側面断面図を示している。 図2は、本発明の電気絶縁性熱伝導シートの互いに並置されている複数の板状セラミック部材の例を示すものである。具体的には、図2(a)は、略正方形の複数の板状セラミック部材の例を示しており、かつ図2(b)は、長方形の複数の板状セラミック部材の例を示している。 図3は、電気絶縁性熱伝導シートを製造する本発明の方法を説明するためのものである。
《電気絶縁性熱伝導シート》
本発明の電気絶縁性熱伝導シートは、互いに並置されている複数の板状セラミック部材、及びこれら複数の板状セラミック部材を包埋している包埋樹脂を有する。また、本発明のシートでは、板状セラミック部材の面方向とシートの面方向とが略一致している。
このような電気絶縁性熱伝導シートによれば、可撓性を維持しつつ、高い電気絶縁性及び熱伝導率を提供することができる。理論に限定されるものではないが、これは、本発明のシートでは、互いに並置されている複数の板状セラミック部材が高い電気絶縁性及び熱伝導性を提供しつつ、これら複数の板状セラミック部材の間で曲げることができ、それによって可撓性を提供していることによると考えられる。
上記のように、本発明のシートは、電気絶縁性を有しており、例えば体積抵抗率1×10Ω・cm以上であり、また熱伝導性に優れており、例えば熱伝導率が20W/m・K以上である。
なお、本発明のシートにおいて、板状セラミック部材の面方向とシートの面方向とが略一致していることは、これらの面方向の間の角度の差が30°以内、20°以内、10°以内、又は5°以内であることを意味している。
以下では、本発明の電気絶縁性熱伝導シートにおいて用いられる板状セラミック部材及び包埋樹脂について説明する。
〈板状セラミック部材〉
本発明の電気絶縁性熱伝導シートは、互いに並置されている複数の板状セラミック部材を有する。
複数の板状セラミック部材は、規則的な配列又は不規則な配列で、好ましくは規則的な配列で、互いに並置されていてよい。
複数の板状セラミック部材は、それらの間の間隔が1μm以上、5μm以上、又は10μm以上になるようにして配置されていてよい。また、これらの板状セラミック部材は、それらの間の間隔が、500μm以下、300μm以下、100μm以下、50μm以下、又は10μm以下になるようにして、互いに並置されていてよい。
複数の板状セラミック部材の間の間隔が狭いことは、電気絶縁性熱伝導シートにおける板状セラミック部材の割合を高め、それによって高い電気絶縁性及び熱伝導率を提供するために好ましいことがある。また、板状セラミック部材の間の間隔が大きいことは、板状セラミック部材の間での曲げを容易にし、それによって電気絶縁性熱伝導シートに可撓性を提供するために好ましいことがある。
複数の板状セラミック部材は、1つの層を構成するようにして、互いに並置されていても、電気絶縁性熱伝導シートの厚さ方向に積層されている少なくとも2つの層を構成するようにして、互いに並置されていてよい。
具体的には例えば、図1(a)に示しているように、本発明の電気絶縁性熱伝導シート100は、複数の板状セラミック部材が、1つの層10を構成するようにして、互いに並置されており、かつそれら複数の板状セラミック部材が包埋樹脂20に包埋されていてよい。また、例えば、図1(b)に示しているように、本発明のシート110は、複数の板状セラミック部材が、電気絶縁性熱伝導シートの厚さ方向に積層されている少なくとも2つの層11、12を構成するようにして、互いに並置されていており、かつそれら複数の板状セラミック部材10が包埋樹脂20に包埋されていてよい。
複数の板状セラミック部材が、少なくとも2つの層を構成するようにして、互いに並置されている場合、これら少なくとも2つの層のうちの1つの層を構成している板状セラミック部材は、積層方向に隣接している他の1つの層を構成している他の板状セラミック部材と直接に接するようにして、又はこの他の板状セラミック部材との間に包埋樹脂が存在するようにして、積層されていてよい。
また、複数の板状セラミック部材が、少なくとも2つの層を構成するようにして、互いに並置されている場合、これら少なくとも2つの層のうちの1つの層を構成している板状セラミック部材は、積層方向に隣接している他の層を構成している他の板状セラミック部材と互いに重なるようにして、又はこの他の板状セラミック部材と互いに重ならずにずれるようにして、積層されていてよい。
板状セラミック部材が、積層方向に隣接している他の層を構成している他の板状セラミック部材と互いに重ならずにずれて配置されていることは、本発明の電気絶縁性熱伝導シートの厚さ方向の耐電圧を改良するために好ましいことがある。
本発明の電気絶縁性熱伝導シートにおける板状セラミック部材の体積分率は、50体積%以上、55体積%以上、60体積%以上、65体積%以上、70体積%以上、75体積%以上、80体積%以上、85体積%以上であってよい。また、この割合は、95体積%以下、90体積%以下、又は85体積%以下であってよい。
板状セラミック部材の体積分率が大きいことは、本発明のシートに高い電気絶縁性及び熱伝導率を提供するために好ましいことがある。また、板状セラミック部材の体積分率が大きいことは、板状セラミック部材の間での曲げを容易にし、それによって本発明のシートに大きい可撓性を提供するために好ましいことがある。
板状セラミック部材の面方向の1つの面の面積はそれぞれ、100mm以下、90mm以下、80mm以下、70mm以下、60mm以下、50mm以下、40mm以下、30mm以下、20mm以下、10mm以下、5mm以下、又は1mm以下であってよい。また、この面積は、0.1mm以上、0.5mm以上、又は1mm以上であってよい。
板状セラミック部材の面方向の面積が小さいことは、板状セラミック部材の間での折曲げを容易にし、それによって電気絶縁性熱伝導シートに大きい可撓性を提供するために好ましいことがある。また、板状セラミック部材の面方向の面積が大きいことは、本発明のシートにおける板状セラミック部材の割合を高め、それによって本発明のシートに高い電気絶縁性及び熱伝導率を提供するために好ましいことがある。
板状セラミック部材の面方向の形状は、任意の形状であってよく、特に多角形状の組み合わせにより平面が構成される形状であることが好ましい。したがって、板状セラミック部材の面方向の形状は、三角形、四角形、又は六角形であってよい。具体的には例えば、図2(a)に示すように、板状セラミック部材の層13を構成する個々の板状セラミック部材13aが、略正方形であっても、また図2(b)に示すように、板状セラミック部材の層14を構成する個々の板状セラミック部材14aが、長方形であってもよい。
板状セラミック部材は、面方向の短径、すなわち面方向の最長径に対して垂直な方向の最長径が、板状セラミック部材の最大厚さの2倍以上、3倍以上、5倍以上、又は10倍以上であってよい。
板状セラミック部材は、面方向の短径、すなわち面方向の最長径に対して垂直な方向の最長径が、10mm以下、5mm以下、2mm以下、又は1mm以下であってよい。この面方向の短径は、0.1mm以上、又は0.5mm以上であってよい。また、板状セラミック部材は、厚さ、すなわち面方向に垂直な方向の長さが、0.5mm以下、0.3mm以下、又は0.2mm以下であってよい。また、この厚さは、0.1mm以上であってよい。
板状セラミック部材は、任意のセラミック材料で形成されていてよい。特に、板状セラミック部材は、電気抵抗値が大きい材料、例えば半導体材料又は絶縁材料で形成されていてよい。また、板状セラミック部材は、熱伝導率30W/m・K以上の材料で形成されていてよい。具体的には例えば、板状セラミック部材は、ダイヤモンド、サファイア、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、及び窒化ホウ素、並びにそれらの組み合わせからなる群より選択される材料で構成されていてよい。
本発明の電気絶縁性熱伝導シートは任意の方法で製造することができ、例えば複数の板状セラミック部材を並置し、そしてこれを包埋樹脂で包埋して、製造することができる。また、本発明の電気絶縁性熱伝導シートは、電気絶縁性熱伝導シートを製造する本発明の方法で製造することができる。
〈包埋樹脂〉
包埋樹脂は、複数の板状セラミック部材を包埋している。
本発明のシートで用いられる包埋樹脂は、複数の板状セラミック部材を包埋して本発明のシートを得ることができる任意の樹脂であってよい。包埋樹脂としては、板状セラミック部材に対する密着性を有する樹脂が好ましい。包埋樹脂としては、熱可塑性樹脂、又は硬化性樹脂を用いることができ、硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等を用いることができる。
また、包埋樹脂が硬化性樹脂である場合には、この硬化性樹脂が半硬化状態であってよい。このように半硬化状態の硬化性樹脂で複数の板状セラミック部材を包埋している本発明の電気絶縁性熱伝導シートによれば、その上に電子部品等の放熱させる物品を配置した後で半硬化状態の硬化性樹脂を更に硬化させること、本発明のシートを所望の形状に変形させた後で半硬化状態の硬化性樹脂を更に硬化させること等ができる。
この包埋樹脂としての熱可塑性樹脂は、熱可塑性エラストマーであってよく、またこの包埋樹脂としての硬化性樹脂は、硬化性エラストマーであってよい。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂を挙げることができる。熱可塑性樹脂としては、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアセタール、エチレン酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、セルロース、α-オレフィンを挙げることができる。熱可塑性エラストマーとしては、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリサルファイド、ブチルゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリル化ウレタン樹脂、テレケリックポリアクリレートを挙げることができる。
埋包樹脂の厚さは、本発明のシートの形態を保持できる厚みであればよい。例えば埋包樹脂の厚さ、すなわち本発明のシートから板状セラミック部材の厚さを除いた厚さは、本発明のシート全体の厚さを基準として、10%以下、7%以下、5%以下であってよい。また例えば、埋包樹脂の厚さは、10μm以下、8μm以下、又は5μm以下であってよい。
包埋樹脂には、硬化促進剤、変色防止剤、界面活性剤、カップリング剤、着色剤、粘度調整剤、フィラーといった添加剤を配合してもよい。また、包埋樹脂は、板状セラミック部材以外の、無機粒子フィラーを含有していてもよい。
《電気絶縁性熱伝導シートの製造方法》
電気絶縁性熱伝導シートを製造する本発明の方法は下記の工程を含む:
(a)分割して複数の板状セラミック部材にするためのセラミック基板を提供すること、
(b)セラミック基板の一方の面のみを包埋樹脂で包埋すること、
(c)セラミック基板の面のうちの包埋樹脂で包埋されていない面の側から、セラミック基板の厚さの少なくとも一部までスリットを刻むこと、
(d)セラミック基板の面のうちの包埋樹脂で包埋されていない面を包埋樹脂で包埋すること。
本発明の方法によれば、本発明の電気絶縁性熱伝導シートを容易に製造することができる。
以下では、電気絶縁性熱伝導シートを製造する本発明の方法の各工程について説明する。
〈工程(a)〉
工程(a)では、分割して複数の板状セラミック部材にするためのセラミック基板を提供する。
これは例えば、図3(a)に示すようにしてセラミック基板15を提供して行うことができる。このセラミック基板15は、分割することによって複数の板状セラミック部材にすることができるものである。したがって、このセラミック基板については、本発明の電気絶縁性熱伝導シートに関する記載を参照することができる。
〈工程(b)〉
工程(b)では、セラミック基板の一方の面のみを包埋樹脂で包埋する。
ここで使用できる包埋樹脂については、本発明の電気絶縁性熱伝導シートに関する記載を参照することができる。セラミック基板を包埋樹脂で包埋することは、例えば、硬化前の液状の硬化性樹脂又は加熱によって溶融させた熱可塑性樹脂を、セラミック基板上に塗布し、硬化若しくは半硬化、又は固化させて行うことができる。また、その後で、随意に、包埋樹脂で上面を覆われたセラミック基板を上下反転させることができる。
この工程は例えば、図3(b)に示すようにして、セラミック基板15の一方の面のみを包埋樹脂20で包埋して行うことができる。
〈工程(c)〉
工程(c)では、セラミック基板の面のうちの包埋樹脂で包埋されていない面の側から、セラミック基板の厚さの少なくとも一部までスリットを刻む。
セラミック基板の厚さの少なくとも一部までスリットを刻むことは、任意の切削加工で行うことができる。切削加工としては、ダイシング、ワイヤーソーや刃などを用いた機械的切削、レーザーを用いたレーザーダイシングを用いることができる。これらのうちでは、レーザーダイシングは、切削の線幅が細く、溶液などのウェットな処理も不要である点で、好ましい。
この工程は例えば、図4(c)に示すようにして、レーザー30によって、セラミック基板15の厚さの少なくとも一部まで、例えばセラミック基板15の厚さの全体まで、スリットを刻んで行うことができる。
〈工程(d)〉
工程(d)では、セラミック基板の面のうちの包埋樹脂で包埋されていない面を包埋樹脂で包埋する。
ここで使用できる包埋樹脂については、本発明の電気絶縁性熱伝導シートに関する記載を参照することができる。セラミック基板を包埋樹脂で包埋することは、例えば、硬化前の液状の硬化性樹脂又は加熱によって溶融させた熱可塑性樹脂を、セラミック基板上に塗布し、硬化又は半硬化、又は固化させて行うことができる。
この工程は例えば、図4(d)に示すようにして、包埋樹脂20でセラミック基板10の全体を包埋するようにして行うことができる。
なお、セラミック基板を分割して複数の板状セラミック部材にすることは、上記の工程(c)においてセラミック基板15の厚さの全体までスリットを刻むことによって行っても、工程(c)と工程(d)の間、及び/又は工程(d)の後で、セラミック基板15の厚さの少なくとも一部までスリットを形成されたセラミック基材に応力をかけてセラミック基材を破断させ、それによってセラミック基材を複数の板状セラミック部材に分割して行ってもよい。
この工程における局所的な応力の印加は、例えばセラミック基板を局所的に湾曲させて行うことができる。
〈実施例1〉
156mm角、厚さ200μm、熱伝導率147W/m・Kのシリコン基板の片面に、2液性エポキシ樹脂(エポキシ系接着剤 アラルダイト(商標)AR−1600)を塗布して、シリコン基板上に厚さ8μmの樹脂層を形成した。樹脂層を形成したシリコン基板を反転させ、露出されているシリコン基板の側から、すなわち樹脂層の反対面から、波長1064nmのレーザーを用いて、シリコン基板のレーザーダイシングを行い、1mm角及び厚み200μmの四角形のシリコン板からなる複数の板状セラミック部材を有するアレイを形成した。ここで、レーザーによりダイシングされた幅は50μmであった。
レーザーダイシングを行った面、及びシリコン基板のすべての端部に対して、2液性エポキシ樹脂を塗布して、8μmの厚さの樹脂層を形成し、電気絶縁性熱伝導シートを得た。このとき、電気絶縁性熱伝導シートの体積に対する板状セラミック部材の割合は、90.1体積%であった。このようにして得られた実施例1の電気絶縁性熱伝導シートは、熱伝導率48W/m・K、及び体積抵抗率1×1014Ω・cmであり、かつ柔軟性を有していた。
なお、熱伝導率及び体積抵抗率は、下記のようにして測定した。
(熱伝導率)
熱伝導率は、試料の厚さ方向の熱拡散率、比重及び比熱を全て乗じて算出した。
(熱伝導率)=(熱拡散率)×(比熱)×(比重)
熱拡散率は、幅10mm×10mm×厚み1mmの試料について、カーボンスプレーで黒色化した後にレーザーフラッシュ法により求めた。測定装置にはキセノンフラッシュアナライザ(NETZSCH社製LFA467HyperFlash)を用いた。比重は、試料の体積と重量から求めた。比熱は、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製「DSC8000」)を用いて求めた。
(体積抵抗率)
幅10mm×長さ10mm×厚み0.1〜1mmの大きさに加工した試料について試料の一つの面(10mm×10mmの面)とその反対側の面にそれぞれ銀ペーストで電極を形成し、印加電圧20Vにおける2電極間の抵抗値を測定した。測定装置には、システムソースメータ(Keithley Instruments製 2636A)を用いた。以下の式により、体積低効率を算出した。
(体積低効率)=(抵抗値)×(電極面積)/(試料の厚み)
〈実施例2〉
実施例1と同様にして、面方向の大きさ5cm角及び厚さ300μmであり熱伝導率60W/m・Kの窒化ホウ素の板を用いる以外は、実施例1と同様にして、電気絶縁性熱伝導シートを形成した。このとき、電気絶縁性熱伝導シートの無機材料の占める割合は93.0体積%であった。電気絶縁性熱伝導シートは、熱伝導率28W/m・K、及び体積抵抗率1×1014Ω・cmであり、かつ柔軟性を有していた。
10、11、12、13、14 複数の板状セラミック部材によって形成された層
13a、14a 個々の板状セラミック部材
15 分割して複数の板状セラミック部材にするためのセラミック基板
20 包埋樹脂
30 レーザー
100、110 本発明の電気絶縁性熱伝導シート

Claims (13)

  1. 電気絶縁性熱伝導シートであって、
    互いに並置されている複数の板状セラミック部材、及び前記複数の板状セラミック部材を包埋している包埋樹脂を有し、かつ
    前記板状セラミック部材の面方向と前記電気絶縁性熱伝導シートの面方向とが略一致している、
    電気絶縁性熱伝導シート。
  2. 前記複数の板状セラミック部材が、規則的な配列で、互いに並置されている、請求項1に記載の電気絶縁性熱伝導シート。
  3. 前記複数の板状セラミック部材が、それらの間の間隔が1μm以上100μm以下になるようにして、互いに並置されている、請求項1又は2に記載の電気絶縁性熱伝導シート。
  4. 前記複数の板状セラミック部材が、前記電気絶縁性熱伝導シートの厚さ方向に積層されている少なくとも2つの層を構成するようにして、互いに並置されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気絶縁性熱伝導シート。
  5. 前記複数の板状セラミック部材の体積分率が、85体積%以上95体積%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気絶縁性熱伝導シート。
  6. 前記板状セラミック部材の面方向の1つの面の面積がそれぞれ、10mm以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気絶縁性熱伝導シート。
  7. 前記板状セラミック部材の面方向の短径が、前記板状セラミック部材の最大厚さの3倍以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電気絶縁性熱伝導シート。
  8. 前記板状セラミック部材が、ダイヤモンド、サファイア、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、及び窒化ホウ素、並びにそれらの組み合わせからなる群より選択される材料で構成されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の電気絶縁性熱伝導シート。
  9. 前記板状セラミック部材の厚さ方向の熱伝導率が、30W/K・m以上である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の電気絶縁性熱伝導シート。
  10. 前記包埋樹脂が硬化性樹脂である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の電気絶縁性熱伝導シート。
  11. 前記硬化性樹脂が半硬化状態である、請求項10に記載の電気絶縁性熱伝導シート。
  12. (a)分割して前記複数の板状セラミック部材にするためのセラミック基板を提供すること、
    (b)前記セラミック基板の一方の面のみを前記包埋樹脂で包埋すること、
    (c)前記セラミック基板の面のうちの前記包埋樹脂で包埋されていない面の側から、前記セラミック基板の厚さの少なくとも一部までスリットを刻むこと、及び
    (d)前記セラミック基板の面のうちの前記包埋樹脂で包埋されていない面を包埋樹脂で包埋すること、
    を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の電気絶縁性熱伝導シートを製造する方法。
  13. 前記包埋樹脂が硬化性樹脂である、請求項12に記載の方法。
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