本発明の各実施の形態に関し、図面を参照しながら以下に詳細を記載する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。また、本明細書において、「〜上」という場合、構成要素間に介在物が存在することを妨げるものではない。例えば、「A上に設けられたB」と記載している場合、AとBとの間には、他の構成要素Cが設けられていてもよいし、他の構成要素Cが設けられていなくてもよい。
<実施の形態1>
まず、本発明の実施の形態1に係る画像表示装置100の構成について説明する。図1は、実施の形態1に係る画像表示装置の構成を示す正面模式図である。図2は、図1のII−II線断面図である。図3は、図2のIII−III線断面図である。図4は、図1のIV−IV線断面図である。
図1および図2に示されるように、実施の形態1に係る画像表示装置100は、透明保護板10と、画像表示パネル20と、透明接着層30とを主に有している。図1に示されるように、正面視において、画像表示パネル20の外縁の内側には、画像表示領域21が設けられている。透明保護板10は、画像表示パネル20に対向している。具体的には、透明保護板10の外周部を除く中央部は、画像表示パネル20の画像表示領域21に対向している。なお図1においては、バックライトユニット、筐体、画像を表示するための制御基板、バックライトユニットを点灯するための制御基板、各種コネクタおよびケーブルは図示しない。
図2に示されるように、透明保護板10は、画像表示パネル20の前面側に配置されている。図2においては、紙面右側が前面側であり、紙面左側が背面側である。また、画像表示装置100の前面側の面を、画像表示装置100の前面または画面という。同様に、画像表示パネル20の前面側の面を、画像表示パネル20の前面または画面という。前面または画面の裏側の面を背面という。また、他の構成部材においても、前面側の面をその構成部材の前面といい、背面側の面をその構成部材の背面という。なお、画像表示装置100において、前面側とは、画像表示装置100の画像が表示される面が設けられた側である。別の観点から言えば、前面側とは、画像表示装置100に表示される画像を観察者が観察する側である。
図2に示されるように、透明保護板10は、第1前面10bと、第1背面10aとを有している。第1背面10aは、第1前面10bの反対側の面である。画像表示パネル20は、第2前面20bと、第2背面20aとを有している。第2背面20aは、第2前面20bの反対側の面である。透明接着層30は、画像表示パネル20の第2前面20bと、透明保護板10の第1背面10aとの間に配置されている。透明接着層30は、第2前面20bおよび第1背面10aの各々に接していてもよい。
図2に示されるように、透明接着層30は、充填部31と枠体部32とから構成されている。充填部31および枠体部32の各々は、透明保護板10の第1背面10aから画面表示パネルの第2前面20bに渡って設けられる。図3に示されるように、第1背面10aに対して垂直な方向から見て、枠体部32は、透明接着層30の外周部の一部を構成している。充填部31は、枠体部32の内周側に配置される。充填部31の外周の一部は、枠体部32に対向している。充填部31の外周の一部は、枠体部32に接している。具体的には、枠体部32は、四角形の4辺の内の3辺に沿って延在するように設けられている。より具体的には、枠体部32は、第1枠体領域32aと、第2枠体領域32bと、第3枠体領域32cとを有している。第1枠体領域32aおよび第3枠体領域32cの各々は、長方形の短手方向Yに沿って互いに離間して設けられている。第2枠体領域32bは、長方形の長手方向Xに沿って設けられている。第2枠体領域32bの一端は、第1枠体領域32aに連なっている。第2枠体領域32bの他端は、第3枠体領域32cに連なっている。
枠体部32は、画像表示パネル20の外縁の内側にあることが好ましい。別の観点から言えば、第2背面20aに垂直な方向から見て、枠体部32は、画像表示パネル20の外縁に取り囲まれていることが望ましい。枠体部32は、画像表示パネル20の外縁に沿って設けられていてもよい。また枠体部32は、画像表示領域21の外縁の外側にあることが好ましい。なお、画像表示領域21の外縁は、図1において2点鎖線で示している。
正面視において、枠体部32は、画像表示領域21の外縁の内側に一部、または全体が設けられていてもよい。画像表示領域21の内側に枠体部32が設けられる場合、枠体部32および充填部31の各々の屈折率を近い値にし、かつ可視光透過率を90%以上とすることが好ましい。透明接着層30の厚みは、0.05mm以上10mm以下である。透明接着層30は、透明保護板10の第1背面10aと画像表示パネル20の第2前面20bとの間において、隙間なく、かつ気泡の発生もなく充填されている。そのため、透明保護板10と透明接着層30との界面での光の反射率を大幅に低下させることができる。結果として、良好な視認性を得ることができる。
透明保護板10は、ガラス、アクリル、およびポリカーボネートなどの屈折率が1.4以上1.6以下で、波長400nm以上800nm以下の可視光透過率が90%以上の硬質材料で形成されている。透明保護板10は、画像表示装置100の前面に加えられた力が画像表示パネル20の第2前面20bに伝わるのを防止するために、ヤング率が109Pa以上の硬質材料で形成されるのが好ましい。硬質材料としては、例えば、耐衝撃性に優れた化学強化ガラスおよびポリカーボネートなどが好ましい。透明保護板10の厚みは、画像表示装置100の画面サイズおよび用途によって適宜選択することができる。重量の増加を抑制しつつ画像表示パネル20を衝撃から保護するためには、透明保護板10の厚みは、0.7mm以上3mm以下が好ましい。
透明保護板10は、第1前面10bおよび第1背面10aの各々に、反射防止膜、アンチグレア膜、またはハードコート膜などのコーティング膜が形成されていてもよい。透明保護板10は、画像表示パネル20の画像表示領域21に対向する領域よりも外周側にある外枠領域において、遮光部を有していてもよい。透明保護板10は、透明接着層30によって画像表示パネル20の第2前面20bに接着される。図示しないが、透明保護板10は、他の接着剤によって筐体に接着されている。
図4に示されるように、透明保護板10の第1前面10bは、画像表示パネル20の第2前面20bと平行であってもよい。透明保護板10の第1前面10bは、透明保護板10の第1背面10aと平行であってもよい。別の観点から言えば、透明保護板10は、フラット形状であってもよい。第1前面10bおよび第1背面10aの各々は、平面状である。
図5は、実施の形態1に係る画像表示装置の第1変形例の構成を示す断面模式図である。図6は、実施の形態1に係る画像表示装置の第2変形例の構成を示す断面模式図である。図5および図6に示されるように、透明保護板10は、湾曲していても構わない。透明保護板10の第1前面10bおよび第1背面10aの各々は、曲面状であってもよい。図5に示されるように、透明保護板10の中央部が画像表示パネル20から離れ、透明保護板10の端部が画像表示パネル20に近づくように、透明保護板10が湾曲していてもよい。別の観点から言えば、第2前面20bに対して垂直な方向において、透明保護板10の第1背面10aの中央部と画像表示パネル20の第2前面20bとの距離は、透明保護板10の第1背面10aの端部と画像表示パネル20の第2前面20bとの距離よりも長くてもよい。画像表示パネル20の第2前面20bの中央部における透明接着層30の厚みは、画像表示パネル20の第2前面20bの端部における透明接着層30の厚みよりも大きくてもよい。
図6に示されるように、透明保護板10の中央部が画像表示パネル20に近づき、透明保護板10の端部が画像表示パネル20に離れるように、透明保護板10が湾曲していてもよい。別の観点から言えば、第2前面20bに対して垂直な方向において、透明保護板10の第1背面10aの中央部と画像表示パネル20の第2前面20bとの距離は、透明保護板10の第1背面10aの端部と画像表示パネル20の第2前面20bとの距離よりも短くてもよい。画像表示パネル20の第2前面20bの中央部における透明接着層30の厚みは、画像表示パネル20の第2前面20bの端部における透明接着層30の厚みよりも小さくてもよい。なお、画像表示パネル20の曲面形状は、図5および図6に示すように一方向において湾曲する形状であってもよいし、二方向以上において湾曲する形状であってもよい。二方向において湾曲する形状の場合、たとえば長方形の長手方向Xおよび短手方向Yの各々の方向において湾曲していてもよい。
次に、本発明の実施の形態1に係る画像表示装置100の製造方法について説明する。図7は、実施の形態1に係る画像表示装置の製造方法を概略的に示すフロー図である。図8は、画像表示パネルと透明保護板とを貼り合わせる工程を概略的に示すフロー図である。図9は、画像表示パネルの構成を示す斜視模式図である。
図7に示されるように、実施の形態1に係る画像表示装置100の製造方法は、画像表示パネルと透明保護板とを準備する工程(S10)と、画像表示パネルと透明保護板とを貼り合わせる工程(S20)とを主に有している。まず、画像表示パネルと透明保護板とを準備する工程(S10)が実施される。具体的には、画像表示パネル20および透明保護板10の各々が準備される。図9に示されるように、画像表示パネル20は、画像表示領域21を有している。画像表示パネル20の形状は、たとえば板状である。
次に、画像表示パネルと透明保護板とを貼り合わせる工程(S20)が実施される。図8に示されるように、画像表示パネルと透明保護板とを貼り合わせる工程(S20)は、画像表示パネルと透明保護板との間に枠体部を設ける工程(S21)と、充填空間に液体樹脂材料を充填する工程(S22)と、液体樹脂材料を硬化させることにより、画像表示パネルと透明保護板とを固定する充填部を形成する工程(S23)とを主に有している。
まず、画像表示パネルと透明保護板との間に枠体部を設ける工程(S21)が実施される。図10は、画像表示パネル上に枠体部が設けられた構成を示す斜視模式図である。図11は、図10のXI−XI線に沿った断面模式図である。図12は、図10のXII−XII線に沿った断面模式図である。図10〜図12に示されるように、画像表示パネル20の第2前面20bに枠体部32が形成される。具体的には、四角形の4つの辺のいずれか1辺において不連続となる枠体部32が画像表示パネル20の第2前面20bに形成される。別の観点から言えば、枠体部32は、四角形の4辺の内の3辺に沿って延在するように形成される。
枠体部32は、第1枠体領域32aと、第2枠体領域32bと、第3枠体領域32cとを有している。第1枠体領域32aおよび第3枠体領域32cの各々は、長方形の短手方向Yに沿って延在している。第1枠体領域32aおよび第3枠体領域32cの各々は、互いに離間して設けられている。第2枠体領域32bは、長方形の長手方向Xに沿って設けられている。第2枠体領域32bの一端は、第1枠体領域32aに連なっている。第2枠体領域32bの他端は、第3枠体領域32cに連なっている。図10に示されるように、枠体部32は、画像表示パネル20の外縁の内側にあり、かつ画像表示領域21の外縁の外側に形成されること好ましい。しかしながら、画像表示領域21の外縁の内側に、枠体部32の一部、または全体が形成されてもよい。
次に、枠体部32を介して、画像表示パネル20と透明保護板10とが貼り合される。これにより、画像表示パネル20が透明保護板10に固定される。画像保護板は、透明保護板10と大気圧下で貼り合せられる。なお上記において、画像表示パネル20の第2表面上に枠体部32を形成する方法について説明したが、透明保護板10の第1背面10a上に枠体部32を形成してもよい。枠体部32を透明保護板10の第1背面10a上に形成した後、枠体部32を介して画像表示パネル20と透明保護板10とが貼り合されてもよい。以上のように、画像表示パネル20と透明保護板10との間に枠体部32が設けられる。
図13は、画像表示パネル20と透明保護板10との間に枠体部32が設けられた状態を示す斜視模式図である。図14は、図13のXIV−XIV線に沿った断面模式図である。図13および図14に示されるように、画像表示パネル20と透明保護板10と枠体部32とによって、後述する液体樹脂材料が充填される空間(充填空間1)が形成される。充填空間1は、長方形の長手方向Xにおいて、第1枠体領域32aと第3枠体領域32cとに挟まれている。充填空間1は、長方形の短手方向Yにおいて、第2枠体領域32bに面している。充填空間1は、第1前面10bに垂直な方向において、画像表示パネル20と透明保護板10とに挟まれている。つまり、充填空間1は、画像表示領域21と透明保護板10との間にあり、かつ枠体部32によって周囲の一部が取り囲まれた空間である。
枠体部32は、四角形の4辺の内の3辺に沿って延在するように形成される。充填空間1は、四角形の4辺の内の残りの1辺において外部に連通している。つまり、画像表示パネル20と透明保護板10との間に枠体部32を設ける工程においては、充填空間1が四角形の4辺の内の1辺において外部に連通し、かつ4辺の内の残りの3辺に沿って延在するように枠体部32が形成される。充填空間が外部に連通している部分は、長方形の長辺の位置であってもよいし、短辺の位置であってもよい。充填空間が外部に連通している部分が開口部33である。
枠体部32は、充填部31よりも硬くてもよい。具体的には、枠体部32の貯蔵弾性率は、充填部31の貯蔵弾性率よりも大きくてもよい。枠体部32を構成する材料の貯蔵弾性率が105Paよりも大きいことが好ましい。枠体部32としては、硬化型液状樹脂接着剤を用いることが可能である。硬化型液状接着剤の場合、硬化方式は、加熱硬化、室温硬化、湿気硬化および紫外線硬化のいずれでもよいが、付加反応型のシリコーンゲルが好ましい。また、平均一次粒子径が1nm以上50nm以下の無機微粒子を含有していてもよい。無機微粒子は、例えば、シリカ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、および酸化アルミニウムなどの金属酸化物、フッ化マグネシウムおよびフッ化カルシウムなどのフッ化物、その他軽金属炭酸塩などであってよい。無機微粒子は、表面が疎水化処理されていることが好ましい。無機微粒子の含有率は、たとえば1重量%以上70重量%以下とする。無機微粒子の含有率を70重量%以下とすることで、ゲル化や凝集沈殿が生じることにより分散性が劣化することを抑制することができる。
枠体部32が、硬化型液状樹脂接着剤(好ましくは付加反応型シリコーンゲル)の場合、硬化前の液状樹脂接着剤が、エア式またはメカ式(機械式)のディスペンサを用いて、透明保護板10の第1背面10aもしくは、画像表示パネル20の第2前面20bの所定位置に塗布される。液状樹脂接着剤はチクソ性を有している。ディスペンサのノズルからの単位時間あたりの液状樹脂接着剤の排出量を一定にして、かつディスペンサの移動速度も一定とすることで、硬化前の枠体部32の高さをほぼ一定に保持することができる。
液状樹脂接着剤が画像表示パネル20の第2前面20bまたは透明保護板10の第1背面10aの所定位置に塗布された後、液状樹脂接着剤を硬化させる。枠体部32の形成に用いた液状樹脂接着剤が熱硬化型の液状シリコーン樹脂の場合は、70℃以上80℃以下で5分程度加熱すればよい。枠体部32の形成に用いた液状樹脂接着剤が紫外線硬化型の場合は、接着剤に対して数秒間紫外線を照射すればよい。枠体部32の形成に用いた液状樹脂接着剤を硬化させることで、貯蔵弾性率が104Pa以上のシリコーンゲルからなる枠体部32が形成される。なお、液状シリコーン樹脂が紫外線硬化型の場合は、ディスペンサのノズル付近に紫外線照射LEDなどを配置することで、塗布しながら硬化させることも可能となる。これにより、製造工程を効率化することができる。
枠体部32を形成する接着剤は、好ましくはシリコーンゲルである。枠体部32を形成する接着剤は、硬化後に粘着性およびタック性を有していることが好ましい。これにより、透明保護板10と画像表示パネル20とを固定することができる。枠体部32には、粘着性付与剤が添加されていてもよい。
次に、充填空間に液体樹脂材料を充填する工程(S22)が実施される。図15は、充填空間に液体樹脂材料を充填する工程を示す断面模式図である。図15に示されるように、透明保護板10が水平Aに対してほぼ垂直になるように、透明保護板10が配置される。画像表示パネル20は、透明保護板10に対してほぼ平行に配置されている。つまり画像表示パネル20および透明保護板10の各々は、水平Aに対してほぼ垂直に配置されている。画像表示パネル20および透明保護板10の各々は、水平Aに対して45°以上90°以下の角度θだけ傾斜していてもよい。具体的には、透明保護板10の第1前面10bは、水平Aに対して45°以上90°以下の角度θだけ傾斜していてもよい。角度θは、50°以上であってもよいし、55°以上であってもよい。角度θは、85°以下であってもよいし、80°以下であってもよい。
次に、開口部33に注入ノズル40が配置される。具体的には、図15に示されるように、注入ノズル40の先端が透明保護板10の第1背面10aと画像表示パネル20の第2前面20bとの間に入るように、注入ノズル40が配置される。ここで、注入ノズル40は、金属製および樹脂製のいずれでも構わないが、好ましくは樹脂製ノズルである。樹脂製にすることにより、パネルへ傷をつける危険性が減少する。また、樹脂は熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれでも構わないが、好ましくは液体樹脂材料と相互作用のないフッ素樹脂である。注入ノズル40の形状は、扁平状が好ましいが、円環状でも構わない。図15においては、注入ノズル40は1つだけ図示しているが、複数個の注入ノズル40が用いられても構わない。さらに、注入口を大きくするために、薄膜のノズルを用いることが好ましい。
次に、注入ノズル40を用いて液体樹脂材料35が注入される。図15に示されるように、開口部33を上方に配置し、透明保護板10の第1前面10bが水平Aに対して傾いた状態で、開口部33を注入口として、液体樹脂材料35が充填空間1に注入される。別の観点から言えば、四角形の4辺の内の1辺から液体樹脂材料35が充填空間1に充填される。長方形の長辺の位置から、液体樹脂材料35が充填空間1に充填される。液体樹脂材料35の注入時、気泡が発生することがあるが、透明保護板10の第1前面10bが水平Aに対して傾いた状態で液体樹脂材料35が充填空間1に注入されることにより、効率よく気泡を除去することができる。透明保護板10の第1前面10bは、水平Aに対して45°以上90°以下の角度θだけ傾斜している。角度θは、垂直に近いほうが好ましい。液体樹脂材料35は、第2枠体領域32bから徐々に上方に向かって溜まっていく。液体樹脂材料35は、枠体部32、透明保護板10の第1背面10aおよび画像表示パネル20の第2前面20bの各々に接する。枠体部32によって、充填空間1に注入される液体樹脂材料35の流出を防止することができる。また枠体部32の高さは、液体樹脂材料35の厚みに相当する。
次に、液体樹脂材料を硬化させることにより、画像表示パネルと透明保護板とを固定する充填部を形成する工程(S23)が実施される。具体的には、たとえば液体樹脂材料35が加熱されることにより、液体樹脂材料35が硬化する。具体的には、液体樹脂材料35が充填空間1に注入された後、透明保護板10および画像表示パネル20の各々が水平に対して垂直に配置された状態で、液体樹脂材料35が加熱されて硬化する。本明細書においては、液体樹脂材料35が硬化して形成されたものを、充填部31と称する。
液体樹脂材料35は、たとえば付加反応により硬化する2液性硬化樹脂である。液体樹脂材料35は、硬化後、ゲル状物質となる。言い換えれば、液体樹脂材料35を硬化することにより形成された充填部31は、ゲル状物質である。付加反応により硬化することで硬化収縮率が小さくなる。そのため、画像表示パネル20へのストレスが小さくなる。より好ましくは、液体樹脂材料35は、ヒドロシリル化反応により硬化するシリコーン樹脂である。液体樹脂材料35は、硬化収縮率が0.1%以下である。液体樹脂材料35として、ウレタン樹脂やアクリル樹脂が用いられてもよい。
液体樹脂材料35の25℃における粘度は、1500mPa・s以下である。液体樹脂材料35の25℃における粘度は、好ましくは1000mPa・s以下であり、より好ましくは500mPa・s以下である。液体樹脂材料の粘度は、たとえば以下の方法により測定することができる。測定装置としてBROOKFIELD製VISCOMETER PV-II+ Proを用いて測定する。測定条件は、温度25℃、回転数1.0rpmとし、スピンドルにCPA-42ZまたはCPA-51Zを用いることで測定できる。また液体樹脂材料35の数平均分子量は、2000以上20000である。ここで、数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により求められる値のことである。液体樹脂材料35として低粘度材料を用いることで、注入を容易にすることができ、充填空間1の隅々まで隙間なく充填しやすくなる。また気泡も抜けやすくなる。
透明接着層30の充填部31は、透明保護板10よりも柔らかいことが好ましい。具体的には、充填部31の貯蔵弾性率は、透明保護板10の貯蔵弾性率よりも小さいことが好ましい。充填部31は、貯蔵弾性率が104Pa以上105Pa以下であり、かつ損失弾性率が103Pa以上104Pa以下であるゲル状物質から構成されていてもよい。貯蔵弾性率および損失弾性率は、たとえば以下の方法により測定することができる。測定装置として株式会社ユービーエム製Rheosol-G5000を用い、動的粘弾性測定を行う。測定条件は基本周波数1.0 Hzであり、冶具にはパラレルプレートを使用することで測定することができる。
充填部31にシリコーンゲルを用いる場合は、低分子シロキサンの揮発による電子部品の接点障害を防ぐため、低分子シロキサン含有量(環状シロキサン4量体の体積濃度に換算した値にして、4量体〜10量体の総含有量)は5000ppm以下が好ましい。低分子シロキサン含有率は、より好ましくは2000ppm以下であり、とりわけ好ましくは350ppm以下である。ここで、低分子シロキサン含有量は、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)により求められる値のことである。液体樹脂材料35の硬化収縮率が小さい材料の場合、画像表示パネル20へのストレスが抑制できる。また低粘度の2液性硬化樹脂を用いていることから気泡がぬけやすい。そのため、液体樹脂材料35が充填空間1に注入される際、減圧工程を必要としない。
次に、実施の形態1に係る画像表示装置100の製造方法の作用効果について説明する。
実施の形態1に係る画像表示装置100の製造方法によれば、画像表示パネル20と透明保護板10とを貼り合わせる工程は、画像表示パネル20と透明保護板10との間に枠体部32を設ける工程と、画像表示領域21と透明保護板10との間にあり、かつ枠体部32によって周囲の一部が取り囲まれた充填空間1に液体樹脂材料35を充填する工程と、液体樹脂材料35を硬化させることにより、画像表示パネル20と透明保護板10とを固定する充填部31を形成する工程とを有している。液体樹脂材料35を充填する工程において、画像表示パネル20および透明保護板10の各々は、水平に対して45°以上90°以下の角度傾斜している。水平に対する画像表示パネル20および透明保護板10の各々の傾斜角度が45°以上90°以下の場合は、水平に対する画像表示パネル20および透明保護板10の各々の傾斜角度が30°以下の場合と比較して、気泡の浮力が大きくなる。そのため、大型の真空ポンプを用いて減圧することなく、気泡を効果的に排除することができる。結果として、製造工程の生産性を向上することができる。なお、気泡をさらに効果的に排除するために、小型の真空ポンプが用いられても構わない。
また実施の形態1に係る画像表示装置100の製造方法によれば、液体樹脂材料35の25℃における粘度は、1500mPa・s以下である。このように低粘度の液体樹脂材料35を用いていることにより、より気泡がぬけやすくなる。そのため、液体樹脂材料35が充填空間1に注入される際、減圧工程を必要とすることがない。結果として、真空ポンプが不要となり、製造工程の生産性をさらに向上することができる。
<実施の形態2>
次に、実施の形態2に係る画像表示装置100の製造方法について説明する。実施の形態2に係る画像表示装置100の製造方法は、主に、枠体部32が第4枠体領域32dを有している構成において、実施の形態1に係る画像表示装置100の製造方法と異なっており、その他の構成においては、実施の形態1に係る画像表示装置100の製造方法と同様である。実施の形態2において、実施の形態1で説明したものと同一の構成要素については同一符号を付して説明は省略する。
図16は、実施の形態2に係る画像表示装置100の製造方法に使用される枠体部32の構成を示す断面模式図である。図16に示されるように、枠体部32は、第1枠体領域32aと、第2枠体領域32bと、第3枠体領域32cと、第4枠体領域32dとを有していてもよい。図16に示されるように、第4枠体領域32dの数は、たとえば9個であるが、第4枠体領域32dの数は9個に限定されない。第4枠体領域32dは、第1枠体領域32aおよび第3枠体領域32cの各々から離間している。複数の第4枠体領域32dの各々は、互いに離間している。別の観点から言えば、隣り合う2つの第4枠体領域32dの間は、不連続な領域である。さらに別の観点から言えば、隣り合う2つの第4枠体領域32dの間は、開口部33を構成している。開口部33には、液体樹脂材料35を注入するための注入口と、気体を逃がすための通気口に対応する間隙が必要である。充填空間に液体樹脂材料を充填する工程(S22)において、複数の開口部33の各々に、注入ノズル40が配置されてもよい。
図16に示されるように、複数の第4枠体領域32dの各々は、四角形の4つの辺の1辺に配置されている。具体的には、複数の第4枠体領域32dの各々は、長方形の長辺の位置に配置されている。実施の形態2に係る画像表示装置100の製造方法によれば、第4枠体領域32dを設けることにより、透明接着層30の厚みをより一定に保つことができる。
<実施の形態3>
次に、実施の形態3に係る画像表示装置100の製造方法について説明する。実施の形態3に係る画像表示装置100の製造方法は、主に、枠体部32が硬化物36と枠体接着層34とにより構成されている点において、実施の形態1に係る画像表示装置100の製造方法と異なっており、その他の構成においては、実施の形態1に係る画像表示装置100の製造方法と同様である。実施の形態3において、実施の形態1で説明したものと同一の構成要素については同一符号を付して説明は省略する。
図17は、実施の形態3に係る画像表示装置100の構成を示す正面模式図である。図18は、図17のXVIII−XVIII線に沿った断面模式図である。図17および図18に示されるように、枠体部32は、硬化物36と、枠体接着層34とにより構成されていてもよい。硬化物36は、ゴムまたは樹脂成形品などである。硬化物36は、枠体接着層34を用いて、画像表示パネル20および透明保護板10の各々に接着されている。具体的には、枠体接着層34は、たとえば第1接着層34aと、第2接着層34bとを有している。硬化物36は、第1接着層34aを介して画像表示パネル20の第2前面20bに接着されている。硬化物36は、第2接着層34bを介して透明保護板10の第1背面10aに接着されている。硬化物36は、第1接着層34aと、第2接着層34bとの間に配置されている。なお、硬化物36が自己粘着性を有する場合は、枠体接着層34を省いてもよい。
枠体接着層34は、充填部31の形成に用いる2液性硬化樹脂の硬化を阻害しないものが望ましい。2液性硬化樹脂がヒドロシリル化反応により硬化する樹脂の場合、硬化時に白金触媒を必要とする。窒素、リン、硫黄などを含む有機化合物やスズ、鉛などの金属のイオン性化合物、不飽和基を多く含有する化合物などは白金触媒の失活を招く。そのため、枠体接着層34は、上記材料を含まないことが好ましい。
硬化物36には、シリコンゴムやフッ素ゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、クロロブレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンゴムなどゴム弾性を有する化合物を使用できる。また、樹脂成形品としては、熱可塑性樹脂、および熱硬化性樹脂のいずれも使用可能である。ただし、硬化物36は、充填部31の形成に用いる2液性硬化樹脂の硬化を阻害しないものが望ましい。
実施の形態3に係る画像表示装置100の製造方法によれば、枠体部32に硬化物36を用いることにより、液状接着剤では困難である凹凸形状などの異形状の枠体部32を形成することができる。また充填部31が厚膜の場合には、枠体部32の厚みも大きくする必要がある。枠体部32に硬化物36を用いることにより、厚みの大きい枠体部32を形成することができる。つまり、枠体部32に硬化物36を用いることにより、枠体部32の形状の自由度が向上する。
<実施の形態4>
次に、実施の形態4に係る画像表示装置100の製造方法について説明する。実施の形態4に係る画像表示装置100の製造方法は、主に、追加の枠体領域37を有している構成において、実施の形態1に係る画像表示装置100の製造方法と異なっており、その他の構成においては、実施の形態1に係る画像表示装置100の製造方法と同様である。実施の形態4において、実施の形態1で説明したものと同一の構成要素については同一符号を付して説明は省略する。
実施の形態4に係る画像表示装置100の製造方法は、液体樹脂材料を硬化させることにより、画像表示パネルと透明保護板とを固定する充填部を形成する工程(S23)後、追加の枠体領域37を設ける工程を有している。図19は、実施の形態4に係る画像表示装置100の製造方法に使用される追加の枠体領域37の構成を示す断面模式図である。図19に示されるように、追加の枠体領域37は、枠体部32の不連続部を補うように配置される。具体的には、追加の枠体領域37は、充填部31に接して設けられる。追加の枠体部32は、画像表示パネル20の第2前面20bおよび透明保護板10の第1背面10aの各々に接するように設けられてもよい。追加の枠体領域37は、第1枠体領域32aおよび第2枠体領域32bの各々に接して設けられてもよい。これにより、充填部31の外周全域に枠体部32を設置することが可能である。結果として、全ての辺の強度バランスを一定にすることが可能であり、製品の信頼性が向上する。
なお、本明細書においては、主として画像表示装置100が備える画像表示パネル20が液晶パネルである場合について説明したが、画像表示パネル20は、液晶パネルに限定されない。画像表示パネル20は、有機ELパネル、またはプラズマディスプレイパネルなど他の構成であってもよい。また、本発明は、その発明の範囲内において、上記各実施の形態の構成を自由に組み合わせたり、各実施の形態の構成を適宜、変形、省略することが可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。