JP2019174452A - 鋼管の耐圧潰特性の評価方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ここで、Pel(t)=2E(t/D)3/(1-ν2)、Pp(t)=fyαfab(2t/D)、f0=(Dmax-Dmin)/D、fy:引張降伏応力、αfab:施工係数(1.00:継目無管、0.93:UO管/ERW管、0.85:UOE管)、Dmax:最大外径(mm)、Dmin:最小外径(mm)
非特許文献1に記載された技術では、上記した式を満足するPc(t)を算出し外圧に対する特定抵抗値Pcとする、としている。施工係数は、鋼管の製造方法により変わる係数で、fyの引張降伏応力をバウシンガー効果を考慮し、圧縮降伏応力へ換算する係数である。fyに圧縮降伏応力を使用する場合は、製造方法によらず、施工係数は1.0が適切である。
API X65グレードの鋼管(外径812.8mm×肉厚39.0mm×長さ8,000mm)とAPI X70グレードの鋼管(外径812.8mm×肉厚39.0mm×長さ8,000mm)とを対象として、実管の圧潰試験を実施し、対象とする鋼管の耐圧潰性能(圧潰強度(実管))を求めた。なお、実施に際しては、非特許文献2のCollapse Testsに準拠した。さらに、対象とする上記した鋼管について、非特許文献1に記載された技術にしたがって、それぞれの鋼管の外圧に対する特定抵抗値Pcを算出して、圧潰強度(予測)とした。
図1から、降伏応力の増加に伴い、圧潰強度(予測)は増加するが、圧潰強度(実管)は増加することなく、逆に低下している場合があることがわかる。すなわち、非特許文献1に記載された技術を用いて算出された圧潰強度(予測)は、強度レベル(降伏応力)との相関が見られるが、圧潰強度(実管)は降伏強度との相関がみられない。このような場合、鋼管の強度グレードを高めて耐圧潰性能が向上すると仮定して、海底パイプラインを設計すると、仮定した値(耐圧潰性能)よりも低い外圧で圧潰が生じる危険性があり、非特許文献1に記載された技術では予測精度が低下する場合が生じるという問題があることになる。
(1)鋼管の耐圧潰性能を評価する方法であって、評価対象の前記鋼管の内表面から肉厚方向に管肉厚の25%の位置までの領域で、試験片の圧縮方向が管周方向と一致するように、所定形状の微小圧縮試験片を採取する第一の工程と、前記採取された所定形状の微小圧縮試験片を用いて、圧縮試験を実施し、圧縮の応力歪曲線を測定し、得られた前記圧縮の応力歪曲線から、α:0.20〜0.30%の範囲内の特定圧縮歪αに対応する特定圧縮応力を求める第二の工程と、を順次実施したのち、得られた前記特定圧縮応力を評価対象の前記鋼管の降伏応力fyとして、評価対象の前記鋼管の外圧に対する特定抵抗値Pcの予測式を満足する、前記鋼管の外圧に対する特定抵抗値Pcを算出する第三の工程を実施し、得られた前記鋼管の外圧に対する特定抵抗値Pcから、評価対象の前記鋼管の圧潰強度(予測)を推定すること
を特徴とする鋼管の耐圧潰性能の評価方法。
(2)鋼管の耐圧潰性能を評価する方法であって、評価対象の前記鋼管の内表面から肉厚方向に管肉厚の25%の位置までの領域で、試験片の圧縮方向が管周方向と一致するように、所定形状の微小圧縮試験片を採取する第一の工程と、前記採取された所定形状の微小圧縮試験片を用いて、ASTM E9の規定に準拠して圧縮試験を実施し、圧縮の応力歪曲線を測定し、得られた前記圧縮の応力歪曲線から、α:0.20〜0.30%の範囲内の特定圧縮歪αに対応する特定圧縮応力を求める第二の工程と、を順次実施したのち、得られた前記特定圧縮応力を評価対象の前記鋼管の降伏応力fyとして、評価対象の前記鋼管の外圧に対する特定抵抗値Pcの予測式である、次(1)式
(Pc−Pel){(Pc)2−(Pp)2}=Pc×Pel×Pp×f0×(D/t)……(1)
(ここで、Pc:評価対象鋼管の外圧に対する特定抵抗値(MPa)、Pel={2E(t/D)3}/(1−ν2)、Pp=fy×αfab×(2t/D)、f0=(Dmax−Dmin)/D、t:管肉厚(mm)、D:平均管外径(mm)、Dmax:外径の最大値(mm)、Dmin:外径の最小値(mm)、E:ヤング率(MPa)、ν:ポアソン比、fy:降伏応力(MPa)、αfab:施工係数(=1.0))
を満足する、前記鋼管の外圧に対する特定抵抗値Pcを算出する第三の工程を実施し、得られた前記外圧に対する特定抵抗値Pcから、評価対象の前記鋼管の圧潰強度(予測)を推定することを特徴とする鋼管の耐圧潰性能の評価方法。
(3)鋼管の耐圧潰性能を評価する方法であって、評価対象の前記鋼管の内表面から肉厚方向に管肉厚の10%の位置までの領域で、試験片の圧縮方向が管周方向と一致するように、所定形状の微小圧縮試験片を採取する第一の工程と、前記採取された所定形状の微小圧縮試験片を用いて、ASTM E9の規定に準拠して圧縮試験を実施し、圧縮の応力歪曲線を測定し、得られた前記圧縮の応力歪曲線から、α:0.20〜0.30%の範囲内の特定圧縮歪αに対応する特定圧縮応力を求める第二の工程と、を順次実施したのち、得られた前記特定圧縮応力を評価対象の前記鋼管の降伏応力fyとして、評価対象の前記鋼管の外圧に対する特定抵抗値Pcの予測式である、次(2)式
(Pc−Pel){(Pc)2−(Pp)2}=Pc×Pel×Pp×f0×(D/t)……(2)
(ここで、Pc:評価対象鋼管の外圧に対する特定抵抗値(MPa)、Pel={2E(t/D)3}/(1−ν2)、Pp=fy×β×(2t/D)、f0=(Dmax−Dmin)/D、t:管肉厚(mm)、D:平均管外径(mm)、Dmax:外径の最大値(mm)、Dmin:外径の最小値(mm)、E:ヤング率(MPa)、ν:ポアソン比、fy:降伏応力(MPa)、β:材料定数(1.0超え2.0以下)
を満足する、前記鋼管の外圧に対する特定抵抗値Pcを算出する第三の工程を実施し、
得られた前記鋼管の外圧に対する特定抵抗値Pcを、評価対象の前記鋼管の圧潰強度(予測)とすること、を特徴とする鋼管の耐圧潰性能の評価方法。
(4)(2)または(3)において、前記微小圧縮試験片が、円柱状あるいは角柱状を呈し、圧縮方向に直交する断面で3.14mm2以上28.2mm2以上未満の断面積を有する試験片であることを特徴とする鋼管の耐圧潰性能の評価方法。
(5)(2)ないし(4)のいずれかにおいて、評価対象の前記鋼管の外径を測定し、周方向で鋼管外径が最も小さい位置を特定したのち、前記第一の工程で、前記特定された鋼管外径が最も小さい位置または該鋼管外径が最も小さい位置から周方向に90°離れた位置で、前記微小圧縮試験片を採取することを特徴とする鋼管の耐圧潰性能の評価方法。
(Pc−Pel){(Pc)2−(Pp)2}=Pc×Pel×Pp×f0×(D/t)……(1)
を使用し、該(1)式を満足する、評価対象の鋼管の外圧に対する特定抵抗値Pcの最適値を算出する工程(第三の工程)を実施して、評価対象の鋼管の耐圧潰性能である、圧潰強度(予測)を推定する。なお、上記した(1)式は、非特許文献1に(5.10)式として記載された式である。(1)式では、Pc:評価対象鋼管の外圧に対する特定抵抗値(MPa)、Pel={2E(t/D)3}/(1−ν2)、Pp=fy×αfab×(2t/D)、f0=(Dmax−Dmin)/D、t:管肉厚(mm)、D:平均管外径(mm)、Dmax:外径の最大値(mm)、Dmin:外径の最小値(mm)、E:ヤング率(MPa)、ν:ポアソン比、fy:降伏応力(MPa)、αfab:施工係数(=1.0)である。
Pest=Pc+a×exp(b×(0.005−α/100)) ……(3)
(ここで、α:降伏応力fyとした特定圧縮応力の算定に用いた特定圧縮歪(%)、a、b:定数)
を用いることが好ましい。上記した(3)式の右辺第2項は、使用した特定圧縮歪αの寄与を意味する。((3)式では、0.5%の特定圧縮歪を使用するため、その補正を行っている。)なお、本発明では、Pestの推定には、鋼種、管寸法等に依存するため、(3)式に限定されないことは明らかで、鋼種等に応じて予め適宜決定しておくことは言うまでもない。
(Pc−Pel){(Pc)2−(Pp)2}=Pc×Pel×Pp×f0×(D/t)……(2)
(ここで、Pc:評価対象鋼管の外圧に対する特定抵抗値(MPa)、Pel={2E(t/D)3}/(1−ν2)、Pp=fy×β×(2t/D)、f0=(Dmax−Dmin)/D、t:管肉厚(mm)、D:平均管外径(mm)、Dmax:外径の最大値(mm)、Dmin:外径の最小値(mm)、E:ヤング率(MPa)、ν:ポアソン比、fy:降伏応力(MPa)、β:材料定数(=1.0超え2.0以下)
を使用しても良い。
Pc=Pest ……(4)
を満足することを知見している。すなわち、予測式(2)式を満足する鋼管の外圧に対する特定抵抗値Pcは、評価対象鋼管の圧潰強度(予測)Pestと一致する。
表1に示す強度レベルがAPI X65、API X70である2種の溶接鋼管(外径812.8mmφ×肉厚39mm、UOE管)A、Bを準備した。
(Pc−Pel){(Pc)2−(Pp)2}=Pc×Pel×Pp×f0×(D/t)……(1)
(ここで、Pc:評価対象鋼管の外圧に対する特定抵抗値(MPa)、Pel={2E(t/D)3}/(1−ν2)、Pp=fy×αfab×(2t/D)、f0=(Dmax−Dmin)/D、t:管肉厚(mm)、D:平均管外径(mm)、Dmax:外径の最大値(mm)、Dmin:外径の最小値(mm)、E:ヤング率(MPa)、ν:ポアソン比、fy:降伏応力(MPa)、αfab:施工係数(=1.0))
を満足する外圧に対する特定抵抗値Pcをそれぞれ求め、次(3)式
Pest=Pc+a×exp(b×(0.005−α/100)) ……(3)
(ここで、α:降伏応力fyとした特定圧縮応力の算定に用いた特定圧縮歪(%)、a、b:定数)
を用いて圧潰強度(予測)Pestを推定し、表2に示す。なお、計算に際しては、ヤング率Eは206,000MPaを、ポアソン比νは0.3を用いた。αfabは、fyに圧縮降伏応力を使用するため1.0としている。また、使用した鋼種の鋼管では(3)式における係数aは0.03、定数bは1800とした。
(実施例2)
表1に示す、API X65の溶接鋼管(外径812.8mmφ×肉厚39mm、UOE管)No.Aを準備した。鋼管No.Aは、実施例1で、長さ:8,000mmの全長圧潰試験(実管の圧潰試験)を実施し、圧潰強度(実管)が44.5MPaであることを確認している。
(Pc−Pel){(Pc)2−(Pp)2}=Pc×Pel×Pp×f0×(D/t)……(2)
(ここで、Pc:評価対象鋼管の外圧に対する特定抵抗値(MPa)、Pel={2E(t/D)3}/(1−ν2)、Pp=fy×β×(2t/D)、f0=(Dmax−Dmin)/D、t:管肉厚(mm)、D:平均管外径(mm)、Dmax:外径の最大値(mm)、Dmin:外径の最小値(mm)、E:ヤング率(MPa)、ν:ポアソン比、fy:降伏応力(MPa)、β:材料定数(=1.0超え2.0以下))
を用いて、(2)式を満足する特定抵抗値Pcを算出した。なお、特定抵抗値Pcの算出に際しては、Pp=fy×β×(2t/D)における材料定数βを、1.0(比較例)と1.2(本発明例)の2種の値を使用した。
Claims (5)
- 鋼管の耐圧潰性能を評価する方法であって、
評価対象の前記鋼管の内表面から肉厚方向に管肉厚の25%の位置までの領域で、試験片の圧縮方向が管周方向と一致するように、所定形状の微小圧縮試験片を採取する第一の工程と、
前記採取された所定形状の微小圧縮試験片を用いて、圧縮試験を実施し、圧縮の応力歪曲線を測定し、得られた前記圧縮の応力歪曲線から、α:0.20〜0.30%の範囲内の特定圧縮歪αに対応する特定圧縮応力を求める第二の工程と、
を順次実施したのち、得られた前記特定圧縮応力を評価対象の前記鋼管の降伏応力fyとして、評価対象の前記鋼管の外圧に対する特定抵抗値Pcの予測式を満足する、前記鋼管の外圧に対する特定抵抗値Pcを算出する第三の工程を実施し、
得られた前記鋼管の外圧に対する特定抵抗値Pcから、評価対象の前記鋼管の圧潰強度(予測)を推定すること
を特徴とする鋼管の耐圧潰性能の評価方法。 - 鋼管の耐圧潰性能を評価する方法であって、
評価対象の前記鋼管の内表面から肉厚方向に管肉厚の25%の位置までの領域で、試験片の圧縮方向が管周方向と一致するように、所定形状の微小圧縮試験片を採取する第一の工程と、
前記採取された所定形状の微小圧縮試験片を用いて、ASTM E9の規定に準拠して圧縮試験を実施し、圧縮の応力歪曲線を測定し、得られた前記圧縮の応力歪曲線から、α:0.20〜0.30%の範囲内の特定圧縮歪αに対応する特定圧縮応力を求める第二の工程と、
を順次実施したのち、得られた前記特定圧縮応力を評価対象の前記鋼管の降伏応力fyとして、評価対象の前記鋼管の外圧に対する特定抵抗値Pcの予測式である下記(1)式を満足する、前記鋼管の外圧に対する特定抵抗値Pcを算出する第三の工程を実施し、
得られた前記外圧に対する特定抵抗値Pcから、評価対象の前記鋼管の圧潰強度(予測)を推定すること
を特徴とする鋼管の耐圧潰性能の評価方法。
記
(Pc−Pel){(Pc)2−(Pp)2}=Pc×Pel×Pp×f0×(D/t)……(1)
ここで、Pc:評価対象鋼管の外圧に対する特定抵抗値(MPa)、
Pel={2E(t/D)3}/(1−ν2)、
Pp=fy×αfab×(2t/D)、
f0=(Dmax−Dmin)/D、
t:管肉厚(mm)、D:平均管外径(mm)、Dmax:外径の最大値(mm)、Dmin:外径の最小値(mm)、E:ヤング率(MPa)、ν:ポアソン比、fy:降伏応力(MPa)、αfab:施工係数(=1.0) - 鋼管の耐圧潰性能を評価する方法であって、
評価対象の前記鋼管の内表面から肉厚方向に管肉厚の10%の位置までの領域で、試験片の圧縮方向が管周方向と一致するように、所定形状の微小圧縮試験片を採取する第一の工程と、
前記採取された所定形状の微小圧縮試験片を用いて、ASTM E9の規定に準拠して圧縮試験を実施し、圧縮の応力歪曲線を測定し、得られた前記圧縮の応力歪曲線から、α:0.20〜0.30%の範囲内の特定圧縮歪αに対応する特定圧縮応力を求める第二の工程と、
を順次実施したのち、得られた前記特定圧縮応力を評価対象の前記鋼管の降伏応力fyとして、評価対象の前記鋼管の外圧に対する特定抵抗値Pcの予測式である下記(2)式を満足する、前記鋼管の外圧に対する特定抵抗値Pcを算出する第三の工程を実施し、
得られた前記外圧に対する特定抵抗値Pcを、評価対象の前記鋼管の圧潰強度(予測)とすること
を特徴とする鋼管の耐圧潰性能の評価方法。
記
(Pc−Pel){(Pc)2−(Pp)2}=Pc×Pel×Pp×f0×(D/t)……(2)
ここで、Pc:評価対象鋼管の外圧に対する特定抵抗値(MPa)、
Pel={2E(t/D)3}/(1−ν2)、
Pp=fy×β×(2t/D)、
f0=(Dmax−Dmin)/D、
t:管肉厚(mm)、D:平均管外径(mm)、Dmax:外径の最大値(mm)、Dmin:外径の最小値(mm)、E:ヤング率(MPa)、ν:ポアソン比、fy:降伏応力(MPa)、β:材料定数(=1.0超え2.0以下) - 前記微小圧縮試験片が、円柱状あるいは角柱状を呈し、圧縮方向に直交する断面で3.14mm2以上28.2mm2以上未満の断面積を有する試験片であることを特徴とする請求項2または3に記載の鋼管の耐圧潰性能の評価方法。
- 評価対象の前記鋼管の外径を測定し、周方向で鋼管外径が最も小さい位置を特定したのち、前記第一の工程で、前記特定された鋼管外径が最も小さい位置または該鋼管外径が最も小さい位置から周方向に90°離れた位置で、前記微小圧縮試験片を採取することを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の鋼管の耐圧潰性能の評価方法。
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