JP2019174289A - 腐食環境測定装置のプローブ及び腐食環境測定装置 - Google Patents

腐食環境測定装置のプローブ及び腐食環境測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】金属に付着した液膜の液膜厚さ及び塩分量を測定できる腐食環境測定装置を提供する。【解決手段】腐食環境測定装置のプローブ5は、第1電極1と、第1電極1と対になる対極4とを含む。対極4は、第2電極2と第3電極3とに分割される。第1電極1、第2電極2及び第3電極3は一方向に並んで配置される。第1電極1と第2電極2との隙間は、第1電極1と第3電極3との隙間よりも小さい。【選択図】図7

Description

本発明は、腐食環境測定装置のプローブ及び腐食環境測定装置に関する。さらに詳しくは、液膜の塩分量及び液膜厚さを測定する腐食環境測定装置のプローブ及び腐食環境測定装置に関する。
金属は、様々な機械製品、構造部品等に使用される。金属は大気にさらされると、腐食することが知られている(以下、大気腐食ともいう)。金属が腐食すると金属の強度等の様々な機械特性が劣化する。金属の機械特性が劣化すると製品等の性能も劣化する。ここで、金属の腐食速度は、金属表面に付着した液膜厚さ、液膜内の塩分量等の影響を受けることが知られている。したがって、この液膜厚さ及び塩分量、すなわち腐食環境を把握することは重要である。
腐食環境を把握する方法として、電気化学インピーダンス法が知られている。電気化学インピーダンス法は、腐食環境を求める金属からなる2つの電極を用いる。2つの電極で電解質を挟み、電極間に交流電圧を印加し、電極間の周波数応答を得る。そして、種々の周波数の交流電圧について周波数応答を得る。このようにして得られた周波数特性からインピーダンス(抵抗)を求める。このインピーダンスから、液膜の電気伝導率が算出される。液膜の電気伝導率は、液膜内の塩分量に換算される。また、液膜の電気伝導率が既知であれば、インピーダンスから、液膜厚さが算出される。
液膜内の塩分量の測定装置はたとえば、実開昭62−088952号公報(特許文献1)に開示されている。液膜厚さの測定装置はたとえば、非特許文献1に開示されている。
特許文献1に記載された測定装置は、2つの電極間に結露を吸収して拡散させる吸湿材を備える。これにより、2つの電極間の絶縁板上に付着した結露粒子の大きさが均一となり、正確な塩分量を測定できる、と特許文献1には記載されている。
非特許文献1に記載された測定装置では、2つの電極からなる電極対をプローブ等の表面に格子状に数多く、高密度に配置する。これにより、少ない導線の本数で、水膜厚さの分布を計測できる、と非特許文献1には記載されている。
実開昭62−088952号公報
新井崇洋、古谷正裕、金井大造著「高密度多点電極法による液膜厚さ計測技術の開発、電力中央研究所報告L09008」財団法人電力中央研究所発行、平成22年6月、P.2−11
しかしながら、特許文献1の測定装置では液膜内の塩分量は測定できても、液膜厚さは測定できない。また、非特許文献1のP.5、3.2節に記載のとおり、非特許文献1の測定装置では組成が予め判明している液膜を用いて液膜厚さを測定している。要するに、特許文献1及び非特許文献1の測定装置では、装置単体では、塩分量及び液膜厚さのいずれか一方しか得られない。また、大気腐食では、金属に付着した液膜の組成は不明であることがほとんどである。そのため、非特許文献1の測定装置を用いて、大気腐食環境に曝された金属の液膜厚さ、塩分量を把握することは難しい。
本発明の目的は、金属に付着した液膜厚さ及び液膜の電気伝導率(塩分量)を測定できる腐食環境測定装置を提供することである。
本実施形態の腐食環境測定装置のプローブは、第1電極と、第1電極と対になる対極とを含む。対極は、第2電極と第3電極とに分割される。第1電極、第2電極及び第3電極は一方向に並んで配置される。第1電極と第2電極との隙間は、第1電極と第3電極との隙間よりも小さい。
本実施形態の液膜の厚さ及び電気伝導率を測定する腐食環境測定装置は、上記のプローブと、プローブに接続された交流電源とを含む。腐食環境測定装置は、第1電極に流れる電流と第2電極に流れる電流とに基づいて、液膜の厚さを算出し、液膜の厚さに基づいて、液膜の電気伝導率を算出する。
本発明による腐食環境測定装置は、金属に付着した液膜の液膜厚さ及び電気伝導率(塩分量)を測定できる。
図1は、電気化学インピーダンス法を説明する模式図である。 図2は、図1の測定における等価回路を示す図である。 図3は、没水環境を示す図である。 図4は、薄膜環境を示す図である。 図5は、検討に用いた計算モデルを示す模式図である。 図6は、検討に用いた対極上の電流密度の累積分布を示す図である。 図7は、本実施形態の腐食環境測定装置のプローブを示す斜視図である。 図8は、プローブの測定面の正面図である。 図9は、本実施形態の腐食環境測定装置を模式的に示す図である。 図10は、液膜厚さマスターカーブを示す図である。 図11は、電気伝導率マスターカーブを示す図である。 図12は、第1電極の幅が腐食環境の測定に及ぼす影響を示す図である。 図13は、第1電極と第2電極との隙間が腐食環境の測定に及ぼす影響を示す図である。 図14は、第2電極の幅が腐食環境の測定に及ぼす影響を示す図である。 図15は、第2電極と第3電極との隙間が腐食環境の測定に及ぼす影響を示す図である。 図16は、第3電極の幅が腐食環境の測定に及ぼす影響を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[電気化学インピーダンス法]
初めに、電気化学インピーダンス法について説明する。電気化学インピーダンス法は、交流電源に接続された2つの電極を用いて、2つの電極間のインピーダンスを測定する方法である。測定されたインピーダンスに基づいて、腐食速度に影響を及ぼす液膜厚さ又は塩分量が算出される。
図1は、電気化学インピーダンス法を説明する模式図である。電極100及び電極100と対をなす対極101はそれぞれ、交流電源102に接続される。この2つの電極(電極100及び対極101)は、腐食速度(腐食環境)を測定する対象となる金属からなる。電極100と対極101は並んで配列される。電極100及び対極101それぞれの端面は、プローブの測定面107から表出する。大気腐食が進行するときは、電極100及び対極101それぞれの端面上に薄い液膜104が存在する。
図2は、図1の測定における等価回路を示す図である。図2では、対極101について説明するが、電極100についても同様である。液膜104は、溶液抵抗RSを有する。特に、液膜104の厚さが薄い場合、溶液抵抗RSが測定結果に与える影響は大きい。液膜104と対極101との境界は、腐食反応抵抗RP及びコンデンサCの並列回路として置き換えることができる。
交流電源の周波数が0(低周波)の場合、交流電流はすべて腐食反応抵抗RPを通る。したがって、低周波の場合、交流電流は溶液抵抗RS及び腐食反応抵抗RPをインピーダンスとして受ける。一方、交流電源の周波数が無限大(高周波)の場合、交流電流は全てコンデンサCを通る。したがって、高周波の場合、交流電流は溶液抵抗RSのみを抵抗(インピーダンス)として受ける。したがって、高周波によって得られたインピーダンスを用いれば、電気伝導率(塩分量)及び液膜厚さが求められる。しかしながら、従来技術では、1つの測定装置で、電気伝導率及び液膜厚さの両方を図ることはできなかった。
そこで、本発明者らは、1つの測定装置で、電気伝導率及び液膜厚さの両方を測定することを検討した。本発明者らは、液膜の厚さとその液膜中を流れる交流電流の分布に着目し、液膜厚さが異なれば液膜中の交流電流の分布も異なると考えた。この点について説明する。
図3は、没水環境を示す図である。没水環境とは、液膜104の厚さ方向において、交流電流12が流れない領域Pがあることを意味する。簡単に言えば、没水環境とは液膜の厚さが十分に厚いことを意味する。没水環境では液膜厚さが十分に厚いため、交流電流12は液膜104の広い範囲で流れると考えられる。したがって、電極100から液膜104中に流れた交流電流12は、対極101に流れ込んだ際、対極101上に均等に流れ込むと考えられる。
図4は、薄膜環境を示す図である。薄膜環境とは、液膜104の厚さ方向全域にわたり、交流電流12が流れることを意味する。簡単に言えば、薄膜環境では、液膜104の厚さが薄いことを意味する。薄膜環境では液膜厚さが薄いため、電極100から流れた交流電流12は、対極101の電極100に近い部分に流れると考えられる。対極101を構成する金属の方が液膜104よりも電気伝導率が高いためである。つまり、薄膜環境では対極101の端部に交流電流が集中して流れるため、対極101上に電位分布が生じると考えられる。
要するに、液膜104の厚さによって、対極101上の電位分布が変わると考えられる。そこで、本発明者らは、この対極101上の電位分布を把握することができれば、その電位分布に基づき液膜104の厚さが求められると考えた。
[検討事項]
このことを実証するため、本発明者らは、数値計算により液膜厚さと対極上の電位分布との関係を検討した。
図5は、検討に用いた計算モデルを示す模式図である。計算モデルとして、交流電源に接続され、水溶液(液膜)に接触させた2つの電極(電極及び対極)を想定した。水溶液中は、電気的中性条件とし、下記の式(1)のオームの法則が成立することを想定した。2つの電極は鋼材を想定した。2つの電極と水溶液との界面は電気的に短絡したと想定した。すなわち、2つの電極に高周波の交流電圧を印加したと想定した。計算は、2次元で行った。
i=−σ・(dφ/dx) (1)
ここで、iは電流密度、σは液膜の電気伝導率、φは電位を表す。
計算条件について説明する。2つの電極の寸法は同じであった。電極の水溶液と接する面の寸法は、縦10mm、横0.5mmであった。2つの電極間の距離は0.1mmであった。水溶液(液膜)の厚さは、10−5〜10mmの範囲で種々の値に変更した。そして、対極101の縦方向の中央において、電極100に近い方の端105から遠い方の端106まで対極101の幅方向に沿って電流密度の累積分布を算出した(図5中の白抜き矢印参照)。
図6は、検討に用いた対極上の電流密度の累積分布を示す図である。横軸は対極101の電極100に近い方の端105からの距離を示し、縦軸は電流密度の累積値の割合を示す。図6中、実線は液膜厚さが10mm(没水環境)の結果を示し、一点鎖線は10mmの結果を示し、二点鎖線は10−2mmの結果を示し、破線は10−4mm(薄膜環境)の結果を示す。
没水環境(実線)では、対極101の端105からの距離と電流密度の累積値が概ね比例関係に近いことが分かる。すなわち、没水環境では対極101上の電位差は小さく、対極101上を均一に電流が流れていることが分かった。一方、薄膜環境(破線)では、対極101の電極100に近い方の端105(横軸の値が0)での電流密度の値が約0.9であり、対極101の端105からの距離が約0.05mmでの電流密度の累積割合は1となっている。すなわち、対極101上において電極100に近い方の端部に偏った電位分布となっており、対極101の端部に集中して交流電流が流れていることが分かった。
以上より、交流電流による電気化学インピーダンス法において、液膜厚さが変化すれば、対極上の電位分布が変わることが実証された。そして、没水環境では交流電流は対極上に均一に流れるが、薄膜環境に近づくにつれて交流電流は対極101の電極100に近い方の端部に集中して流れることが実証された。
続いて、本発明者らは、上述の事前計算の知見を電気化学インピーダンス法による実際の測定に適用することを検討した。従来より電気化学インピーダンス法では、一対の電極が用いられてきたが、一対の電極の一方の電極(対極)の端部のみの電流値を測定することは実際上不可能である。そこで、本発明者らは、一対の電極の一方の電極はそのまま用い、その対極となる電極を分割することを着想した。すなわち、分割された対極のうち、分割されていない電極に近い方の電極は、分割される前の対極の端部とみなすことができることを着想した。
(1)以上の知見に基づいた本実施形態の腐食環境測定装置のプローブは、第1電極と、第1電極と対になる対極とを含む。対極は、第2電極と第3電極とに分割される。第1電極、第2電極及び第3電極は一方向に並んで配置される。第1電極と第2電極との隙間は、第1電極と第3電極との隙間よりも小さい。
このような構成によれば、第1電極と対になる対極が第2電極と第3電極とに物理的に分割され、第2電極が対極の端部の役割を担うことができる。したがって、第2電極に流れる電流を測定すれば、対極の端部に流れる電流を測定したこととみなすことができる。これにより、対極の端部に流れる交流電流の集中度合を把握することができ、液膜厚さを測定することができる。そして、後述する方法により、測定された液膜厚さに基づいて液膜の電気伝導率(塩分量)を測定することができる。
(2)上記(1)の腐食環境測定装置のプローブにおいて、第2電極の幅は、第3電極の幅よりも小さいのが好ましい。
第2電極の幅が大きすぎれば、対極の端部としての機能が低下する。したがって、第2電極の幅は、第3電極の幅よりも小さいのが好ましい。
(3)上記(1)又は(2)の腐食環境測定装置のプローブにおいて、第2電極は、第1電極と第3電極との間に配置され、第2電極と第3電極との隙間は、第1電極と第2電極との隙間よりも小さいのが好ましい。
第2電極及び第3電極は第1電極と対をなす対極を構成するため、第2電極と第3電極とが過剰に離れると、対極としての機能が低下する。したがって、第2電極と第3電極との隙間は、第1電極と第2電極との隙間よりも小さいのが好ましい。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかの腐食環境測定装置のプローブにおいて、第1電極の幅は10mm以下であり、第2電極の幅は10mm以下であり、第3電極の幅は10mm以下であり、第1電極と第2電極との隙間は10mm以下であり、第2電極と第3電極との隙間は10mm以下であるのが好ましい。
本実施形態のプローブは、金属の腐食環境の測定に用いられる。金属の大気腐食は、液膜厚さが1mm以下の薄い場合に顕著に進行することが知られている。このような薄い液膜は、金属に付着している面積も小さい。そのため、プローブの大きさが過剰に大きければ、このような薄い液膜の測定に適さないことが多い。したがって、各電極幅及び各電極間距離を上記のように規定している。
(5)本実施形態の液膜の厚さ及び電気伝導率を測定する腐食環境測定装置は、上記(1)〜(4)のいずれかのプローブと、プローブに接続された交流電源とを含む。腐食環境測定装置は、第1電極に流れる電流と第2電極に流れる電流とに基づいて、液膜の厚さを算出し、液膜の厚さに基づいて、液膜の電気伝導率を算出する。
詳しくは腐食環境の測定方法で述べるが、第2電極(対極の端部)に流れる交流電流の集中度合を把握し、事前に用意した液膜厚さに関するマスターカーブと照合させることで、液膜厚さが測定できる。そして、測定された液膜厚さを事前に用意した液膜の電気伝導率に関するマスターカーブと照合させることで、液膜の電気伝導率が測定できる。
(6)上記(5)の腐食環境測定装置はさらに、第1電極に流れる電流を測定する第1電流計と、第2電極に流れる電流を測定する第2電流計とを含むのが好ましい。
第2電極(対極の端部)に流れる交流電流の集中度合を測定するには、具体的には電流計を用いることができる。第1電流計によって測定された値と第2電流計によって測定された値との割合から、第2電極に流れる交流電流の集中度合が把握できる。
以下、本実施形態のプローブ及び腐食環境測定装置について詳述する。
[プローブ]
図7は、本実施形態の腐食環境測定装置のプローブを示す斜視図である。本実施形態の腐食環境測定装置のプローブ5は、第1電極1と、第1電極1と対になる対極4を含む。対極4は、第2電極2と、第3電極3とに分割されている。第1電極1、第2電極2及び第3電極3は、一方向に並んで配置される。
[第1電極]
第1電極1は、腐食環境を測定する対象となる金属からなる。第1電極1の形状は、四角柱である。第1電極1の1つの端面13は、プローブ5の測定面7から表出している。すなわち、第1電極1の一部分が、測定面7から表出している。なお、「表出する」とは、第1電極1の1つの端面13がプローブ5の測定面7と同一平面に存在する場合と、第1電極1の1つの端面13が測定面7から突出する場合との双方を含む。
[対極]
対極4は、第2電極2と第3電極3とを含む。第2電極2及び第3電極、すなわち対極4は、第1電極1と同じ金属からなる。
第2電極2の形状は、四角柱である。第1電極1と同様に、第2電極2の1つの端面14は、プローブ5の測定面7から表出している。第3電極3の形状は、四角柱である。第1電極1及び第2電極2と同様に、第3電極3の1つの端面15は、プローブ5の測定面から表出している。
第2電極2と第3電極3とは物理的に分割されているが、その役割は第1電極1と対をなす電極(対極)となることである。したがって、第2電極2と第3電極3とは電気的に接続されている。たとえば、第2電極2に接続された電線と第3電極3に接続された電線とを結線することで、第2電極2と第3電極3とを電気的に接続することができる。
図8は、プローブの測定面の正面図である。第1電極1は幅W1を有する。ここで、第1電極の幅とは、各電極の配列方向の長さを意味する。第2電極2の幅W3及び第3電極3の幅W5も同様である。第2電極2は、第1電極1に対し平行に配置される。第2電極2は、第1電極1に対し隙間W2を空けて配置される。第2電極2は、第1電極1と第3電極3との間に配置される。第3電極3は、第1電極1及び第2電極2に対し平行に配置される。第3電極3は、第2電極に対し隙間W4を空けて配置される。なお、隙間とは、配列方向において対向する各電極の辺同士の距離をいう。
上述したように、第2電極2は、一体の対極(第2電極と第3電極とに分割されていない対極)の第1電極1に近い方の端部の役割を担うことである。したがって、第1電極1と第2電極2との隙間W2は、第1電極1と第3電極3との隙間(W2+W3+W4)よりも小さい。すなわち、第3電極3と比べて、第2電極2は第1電極1に近い位置に設けられる。これにより、第2電極2に流れる交流電流を、一体の対極の端部に流れる交流電流とみなすことができる。
各電極の幅は、特に限定されないが、第1電極1の幅W1は、第2電極2の幅と第3電極3の幅の和(W3+W5)と等しい方が好ましい。これにより、第1電極1と対極4とが同じ形状となるためである。また、各電極の縦方向の長さは等しい方が好ましい。縦方向の長さとは、測定面から表出する電極の端面において幅方向と直交する方向の長さを意味する。また、各電極の高さも等しい方が好ましい。
[配線]
図9は、本実施形態の腐食環境測定装置を模式的に示す図である。第2電極2に接続された電線17と第3電極3に接続された電線18とを束ねた電線19は、交流電源6の端子に接続される。一方、第1電極1に接続された電線16は、交流電源6の別の端子に接続される。これにより、第1電極1と対極4(第2電極2及び第3電極3)との間に交流電圧を印加することで、電気化学インピーダンス法により第1電極1と対極4との間のインピーダンスを測定できる。
[電流計]
本実施形態の腐食環境測定装置では、第1電極1に流れる電流値と、対極4の端部(すなわち、第2電極2)に流れる電流値との割合を求め、液膜厚さを求める。第1電極1の電流値及び第2電極2の電流値はたとえば、2つの電流計(第1電流計8及び第2電流計9)によって求めることができる。
第1電流計8は、第2電極2と第3電極3との結線から交流電源6までの電線19上に設けられる。この電線19に流れる電流は、第1電極1に流れる電流に等しいため、第1電流計8により、第1電極1に流れる電流が測定できる。第2電流計9は、第2電極2から第2電極2と第3電極3との結線までの間の電線17上に設けられる。第2電流計9により、第2電極2に流れる電流が測定できる。後述するように、測定された第1電流計8の値と、第2電流計9の値とに基づいて、液膜厚さを求めることができる。
第1電流計8及び第2電流計9の配置は、上述の例に限定されない。たとえば、第1電流計8は、交流電源6と第1電極1とを結ぶ電線16上に配置されてもよい。この場合であっても、第1電流計8は第1電極1に流れる電流を測定できるからである。また、第2電流計9は、第3電極3から第2電極2と第3電極3との結線までの間の電線18上に設けられてもよい。この場合であっても、第1電流計8の値から第2電流計9の値を差し引くことで第2電極2に流れる電流が求められるからである。さらに、第1電流計8が第3電極3から第2電極2と第3電極3との結線までの間の電線18上に設けられ、第2電流計9が第2電極2から第2電極2と第3電極3との結線までの間の電線17上に設けられてもよい。この場合であっても、第1電流計8の値と第2電流計9との値を足し合わせることで第1電極1に流れる電流を求めることができるからである。
[測定方法]
続いて、本実施形態の腐食環境測定方法について説明する。具体的には、上述した腐食環境測定装置を用いて金属に付着した液膜厚さ及び液膜内の塩分量を測定する。なお、塩分量は、液膜内の電気伝導率を求めることで算出できる。腐食環境測定方法は、液膜厚さマスターカーブ作成工程と、電気伝導率マスターカーブ作成工程と、液膜厚さ測定工程と、電気伝導率測定工程とを含む。
[液膜厚さマスターカーブ作成工程]
液膜厚さを測定するには、液膜厚さに関するマスターカーブ(以下、液膜厚さマスターカーブという)を事前に作成しておく。この液膜厚さマスターカーブは、実際に液膜厚さを測定する腐食環境測定装置のプローブと同一形状のプローブを用いて作成する。電極の大きさ、配置等が変われば、液膜厚さマスターカーブも変わるためである。
図9を参照して、まず、液膜厚さ及び電気導電率が既知の液膜を用意する。上述した腐食環境測定装置のプローブ5の測定面7を用意した物性が既知の液膜に接触させる。次に、交流電源6により第1電極1と対極4との間に交流電圧を印加する。そして、第1電極1に流れる電流と第2電極2に流れる電流との割合(以下、電流割合ともいう)を算出する。これにより、ある既知の液膜厚さにおける電流割合が求められる。これを種々の液膜厚さについて行えば、電流割合と液膜厚さとの関係が求まる。この関係が、液膜厚さマスターカーブとなる。
液膜厚さマスターカーブは実際にプローブ及び物性が既知の液膜を用いて求めてもよいし、数値計算により求めてもよい。ここでは、例として、数値計算により液膜厚さマスターカーブを算出する例を説明する。本発明者らは、上述した事前検討で用いたプローブモデルを用いて、電流割合と液膜厚さとの関係を求め、この関係を液膜厚さマスターカーブとして描いた。
図10は、液膜厚さマスターカーブを示す図である。実線は第2電極の幅W3が0.01mmのマスターカーブを示し、一点鎖線は第2電極の幅W3が0.03mmのマスターカーブを示し、二点鎖線は第2電極の幅W3が0.07mmのマスターカーブを示し、破線は第2電極の幅W3が1.0mmのマスターカーブを示す。W3=0.01(実線)のマスターカーブを例に説明する。液膜厚さが1mmを超えると、液膜厚さが厚すぎるため液膜厚さに依らず電流割合はほぼ一定値を示す。液膜厚さが0.001mmよりも小さくなると、液膜厚さが薄すぎるため液膜厚さに依らず電流割合はほぼ一定値を示す。その一方で、液膜厚さが0.001〜1mmの範囲では、液膜厚さが変わるとそれに対応して電流割合も変わる。つまり、この範囲では本実施形態の腐食環境測定装置によって、液膜厚さを測定することができる。このようにして得られた液膜厚さマスターカーブを用いて、物性が未知の液膜厚さを測定する。
[液膜厚さ測定工程]
液膜厚さ測定工程では、実際に物性が未知の液膜に腐食環境測定装置のプローブ5の測定面を接触させる。第1電極1と対極4との間に交流電圧を印加する。そして、第1電極1に流れる電流と第2電極2に流れる電流との割合(電流割合)を求める。この電流割合の値を、図10に示す液膜厚さマスターカーブに照合する。たとえば、第2電極の幅W3が0.01mm(実線)のプローブを用いた場合に、液膜厚さ測定工程で得られた電流割合が0.5であったとする。得られた電流割合0.5を液膜厚さマスターカーブ(実線)に照合すると、液膜厚さマスターカーブにおいて液膜厚さは約0.04mmであることが分かる。この値が測定した未知の液膜の液膜厚さとなる。
ここで、液膜厚さマスターカーブは、電気伝導率が既知の液膜を用いて求められたものであり、電気伝導率が未知の液膜の液膜厚さ測定に適用できるかが問題となる。すなわち、液膜の電気伝導率が異なっても、ある液膜厚さに対する電流割合が同じ値を示すかが問題となる。この点について説明する。
測定する液膜の電気伝導率が異なれば、第1電極と対極との間に流れる電流の絶対値は異なる。しかしながら、上述したように電流割合は、第1電極と第2電極(対極の端部)とに流れる電流の比である。本実施形態の測定方法では、2つの電極間に高周波の交流電圧を印加するため、電極と液膜との界面は電気的に短絡し、電極表面の電流密度はオームの法則に従う。液膜中及び電極の電流密度がオームの法則に従うため、電極表面上の電位分布は電気伝導率と無関係となる。したがって、第1電極と第2電極との電流の比は電気伝導率と無関係である。したがって、流れる交流電流の絶対値は異なるものの、第1電極と第2電極とに流れる電流割合は液膜の電気伝導率が変わっても変わらない。したがって、電気伝導率が未知の液膜の電流割合を測定し、その値を液膜厚さマスターカーブに照合し、液膜厚さを算出することは可能である。
なお、液膜厚さマスターカーブ作成工程と、液膜厚さ測定工程とはどちらを先に実施してもよい。先に未知の液膜を用いて電流割合を測定しても、その電流割合を記録しておけば後に作成した液膜厚さマスターカーブと照合できるからである。
[電気伝導率マスターカーブ作成工程]
電気伝導率を測定するには、電気伝導率に関するマスターカーブ(以下、電気伝導率マスターカーブという)を事前に作成しておく。この電気伝導率マスターカーブは、上述した液膜厚さマスターカーブの作成とともに行うことができる。
上述の液膜厚さマスターカーブ作成工程では、物性が既知の液膜を用いて第1電極1と対極4との間に交流電流を印加した。これは、電気化学インピーダンス法を実行したことに他ならない。したがって、液膜厚さマスターカーブ作成工程では、第1電極1と対極4との間のインピーダンスも求められている。電気伝導率マスターカーブ作成工程では、このインピーダンスを用いて電気伝導率マスターカーブを作成する。
液膜中及び電極の電流密度がオームの法則に従うため、電極に流れる電流は電気伝導率と水膜厚さによって決まり、電気伝導率σと比例する。したがって印加電圧と電流の比であるインピーダンスZは、電気伝導率σと反比例の関係にあり、インピーダンスZと電気伝導率σとの積は、電気伝導率σに依らず液膜厚さによって決まる。このインピーダンスZと電気伝導率σとの積を、種々の液膜厚さについて求めれば、インピーダンスZと電気伝導率σとの積と、液膜厚さとの関係が求まる。この関係が、電気伝導率マスターカーブとなる。本発明者らは、上述の液膜厚さマスターカーブ作成工程での数値計算で得られたインピーダンスZを用いて電気伝導率マスターカーブを作成した。
図11は、電気伝導率マスターカーブを示す図である。ここでは、例として第2電極の幅W3が0.01mmでの計算結果を用いて作成した電気伝導率マスターカーブを示す。この電気伝導率マスターカーブを用いて、物性が未知の液膜の電気伝導率を測定する。
[電気伝導率測定工程]
電気伝導率測定工程では、液膜厚さ測定工程で得られた液膜厚さを用いて電気伝導率を求める。液膜厚さ測定工程で得られた液膜厚さを、図11に示す電気伝導率マスターカーブに照合する。たとえば、液膜厚さ測定工程で得られた液膜厚さが0.01mmであったとする。この液膜厚さ0.01mmを電気伝導率マスターカーブに照合すると、インピーダンスと電気伝導率との積は約1であることが分かる。ここで、液膜厚さ測定工程においてインピーダンスは既に得ている。したがって、インピーダンスと電気伝導率との積から、測定されたインピーダンスを除算すれば、電気伝導率が算出される。上述したように、電気伝導率は液膜内の塩分量と相関があるため、算出された電気伝導率から液膜内の塩分量が測定される。
以上の方法により、本実施形態の腐食環境測定装置を用いて、物性が未知の液膜の液膜厚さ及び電気伝導率(塩分量)を求めることができる。
[好適態様]
以下、本実施形態の腐食環境測定装置のプローブの好適な態様について説明する。以下では、プローブの各電極の幅及び各電極間の隙間が、液膜厚さ及び電気伝導率(すなわち、腐食環境)の測定に及ぼす影響について数値計算により調査した。調査結果に基づき、プローブの各電極の幅及び各電極間の隙間の好適な態様を導き出した。
[評価指標]
図10を参照して、各電極の幅及び隙間が腐食環境の測定に及ぼす影響についての評価指標を説明する。評価指標は、3つの指標に基づいて評価した。
1つ目の指標は、「感度」である。上述したように、本実施形態の腐食環境測定装置で液膜厚さ及び電気伝導率を測定できるのは、液膜厚さが変わることで電流割合も変わる範囲である。感度は、液膜厚さ及び電気伝導率を測定可能な電流割合の範囲の大きさを示す指標である。感度が大きければ、測定誤差が低減されやすく、より正確に液膜厚さ及び電気伝導率を測定することができる。
2つ目の指標は、「測定可能液膜厚さの上限」である。上述したように、没水環境になれば、液膜厚さが変わっても電流割合は変わらないため、液膜厚さ及び電気伝導率を測定することができない。測定可能液膜厚さの上限が大きければ、より厚い液膜の液膜厚さ及び電気伝導率を測定することができる。
3つ目の指標は、「測定可能液膜厚さの下限」である。上述したように、液膜厚さが薄くなり過ぎれば、液膜厚さが変わっても電流割合は変わらないため、液膜厚さ及び電気伝導率を測定することができない。測定可能液膜厚さの下限が小さければ、より薄い液膜の液膜厚さ及び電気伝導率を測定することができる。
[第1電極の幅W1]
図8を参照して、第1電極1の幅W1が腐食環境の測定に及ぼす影響について調査した。第1電極1の幅W1を0.1、0.5、及び1mmの3つのパターンについて調査した。第1電極1と第2電極2との隙間W2は0.1mm、第2電極2の幅W3は0.1mm、第2電極2と第3電極3との隙間W4は0.1mm、第3電極3の幅W5は0.4mmで固定した。そして、各パターンについて液膜厚さマスターカーブを作成した。
図12は、第1電極の幅が腐食環境の測定に及ぼす影響を示す図である。実線は第1電極の幅W1が1mmの結果を示し、一点鎖線は第1電極の幅W1が0.5mmの結果を示し、破線は第1電極の幅W1が0.1mmの結果を示す。
この結果より、感度は第1電極の幅W1が大きい方が良いことが分かる。測定可能液膜厚さの上限は第1電極の幅W1が大きい方が良いことが分かる。測定可能液膜厚さの下限は第1電極の幅W1には影響されないことが分かる。これより、第1電極の幅W1は、大きい方が良いと言える。
[第1電極と第2電極との隙間W2]
第1電極1と第2電極2との隙間W2が腐食環境の測定に及ぼす影響について調査した。第1電極1と第2電極2との隙間W2を0.01、0.1、及び1mmの3つのパターンについて調査した。第1電極1の幅W1は0.5、第2電極2の幅W3は0.1mm、第2電極2と第3電極3との隙間W4は0.1mm、第3電極3の幅W5は0.4mmで固定した。そして、各パターンについて液膜厚さマスターカーブを作成した。
図13は、第1電極と第2電極との隙間が腐食環境の測定に及ぼす影響を示す図である。実線は隙間W2が1mmの結果を示し、一点鎖線は隙間W2が0.1mmの結果を示し、破線は隙間W2が0.01mmの結果を示す。
この結果より、感度は第1電極と第2電極との隙間W2が大きい方が良いことが分かる。測定可能液膜厚さの上限は第1電極と第2電極との隙間W2が大きい方が良いことが分かる。測定可能液膜厚さの下限は第1電極と第2電極との隙間W2には影響されないことが分かる。これより、第1電極と第2電極との隙間W2は、大きい方が良いと言える。
[第2電極の幅W3]
第2電極2の幅W3が腐食環境の測定に及ぼす影響について調査した。第2電極2の幅W3を0.01、0.1、及び1mmの3つのパターンについて調査した。第1電極1の幅W1は0.5mm、第1電極1と第2電極2との隙間W2は0.1mm、第2電極2と第3電極3との隙間W4は0.1mm、第3電極3の幅W5は0.4mmで固定した。そして、各パターンについて液膜厚さマスターカーブを作成した。
図14は、第2電極の幅が腐食環境の測定に及ぼす影響を示す図である。実線は第2電極の幅W3が1mmの結果を示し、一点鎖線は第2電極の幅W3が0.1mmの結果を示し、破線は第2電極の幅W3が0.01mmの結果を示す。
この結果より、感度は第2電極の幅W3が大きい方が良いことが分かる。測定可能液膜厚さの上限は第2電極の幅W3が大きい方が良いことが分かる。測定可能液膜厚さの下限は第2電極の幅W3が大きい方が良いことが分かる。これより、第2電極の幅W3は、大きい方が良いと言える。
特に、第2電極の幅W3が第3電極の幅W5よりも小さい場合(一点鎖線及び破線)、感度及び測定可能液膜厚さの下限が顕著に良くなる。これは、第2電極2が対極4の端部としての役割を担うためである。第2電極の幅W3が小さいほど、薄膜環境に近づくことに伴う交流電流の対極の端部集中をより捉えやすくなるためである。
[第2電極と第3電極との隙間W4]
第2電極と第3電極との隙間W4が腐食環境の測定に及ぼす影響について調査した。第2電極と第3電極との隙間W4を0.01、0.1、及び1mmの3つのパターンについて調査した。第1電極1の幅W1は0.5、第1電極1と第2電極2との隙間W2は0.1mm、第2電極2の幅W3は0.1mm、第3電極3の幅W5は0.4mmで固定した。
図15は、第2電極と第3電極との隙間が腐食環境の測定に及ぼす影響を示す図である。実線は隙間W4が1mmの結果を示し、一点鎖線は隙間W4が0.1mmの結果を示し、破線は隙間W4が0.01mmの結果を示す。
この結果より、感度は第2電極と第3電極との隙間W4が大きい方が良いことが分かる。測定可能液膜厚さの上限は第2電極と第3電極との隙間W4が大きい方が良いことが分かる。測定可能液膜厚さの下限は第2電極と第3電極との隙間W4が小さい方が良いことが分かる。金属の腐食環境は液膜厚さが1mm以下の薄い液膜で顕著に進行する。したがって、測定可能液膜厚さの上限よりも下限の方が重要である。これより、第2電極と第3電極との隙間W4は、小さい方が良いと言える。
特に、第2電極と第3電極との隙間W4が第1電極と第2電極との隙間W2よりも小さい場合(破線)、感度及び測定可能液膜厚さの下限が顕著に良くなる。第2電極2と第3電極3とは物理的に分割されているものの、電気的には接続されており、第1電極1に対する対極としての役割を担う。したがって、第2電極2と第3電極3とがあまりに離れていれば、様々なノイズにより、第1電極1に対する対極としての機能が低下すると考えられる。
[第3電極の幅W5]
第3電極3の幅W5が腐食環境の測定に及ぼす影響について調査した。第3電極3の幅W5を0.1、0.4、及び1mmの3つのパターンについて調査した。第1電極1の幅W1は0.5mm、第1電極1と第2電極2との隙間W2は0.1mm、第2電極2の幅W3は0.1mm、第2電極2と第3電極3との隙間W4は0.1mmで固定した。
図16は、第3電極の幅が腐食環境の測定に及ぼす影響を示す図である。実線は第3電極の幅W5が1mmの結果を示し、一点鎖線は第3電極の幅W5が0.4mmの結果を示し、破線は第3電極の幅W5が0.1mmの結果を示す。
この結果より、感度は第3電極の幅W5が大きい方が良いことが分かる。測定可能液膜厚さの上限は第3電極の幅W5が大きい方が良いことが分かる。測定可能液膜厚さの下限は第3電極の幅W5には影響されないことが分かる。これより、第3電極の幅W5は、大きい方が良いと言える。
さらに言えば、本実施形態のプローブは金属の腐食環境測定に用いられるものである。金属の大気腐食は、金属に付着した液膜厚さが1mm以下、の薄い場合に顕著に進行することが知られている。このような薄い液膜において、金属表面を覆う面積はあまり大きくはない。したがって、プローブがあまりにも大きすぎれば、第1電極1、第2電極2及び第3電極3が同じ液膜に接触することができない。このことを考慮すれば、第1電極の幅W1、第1電極と第2電極との隙間W2、第2電極の幅W3、第2電極と第3電極との隙間W4、第3電極の幅W5はそれぞれ、10mm以下とするのが好ましい。これにより、プローブのサイズを小さくでき、金属の腐食環境測定に適する。
以上、本発明の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。
本実施形態の腐食環境測定装置はたとえば、材料の大気腐食調査試験において材料の腐食環境の測定に用いることができる。また、輸送機器の金属部分に取り付け、その部分の腐食の進行を把握することもできる。また、海上の橋脚等、大気腐食が進行しやすい場所の金属の腐食環境の測定に用いることができる。
1:第1電極
2:第2電極
3:第3電極
4:対極
5:プローブ
6:交流電源
7:測定面
8:第1電流計
9:第2電流計

Claims (6)

  1. 腐食環境測定装置のプローブであって、
    第1電極と、
    前記第1電極と対になり、第2電極と第3電極とに分割された対極と、を備え、
    前記第1電極、前記第2電極及び前記第3電極は一方向に並んで配置され、
    前記第1電極と前記第2電極との隙間は、前記第1電極と前記第3電極との隙間よりも小さい、腐食環境測定装置のプローブ。
  2. 請求項1に記載の腐食環境測定装置のプローブであって、
    前記第2電極の幅は、前記第3電極の幅よりも小さい、腐食環境測定装置のプローブ。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の腐食環境測定装置のプローブであって、
    前記第2電極は、前記第1電極と前記第3電極との間に配置され、
    前記第2電極と前記第3電極との隙間は、前記第1電極と前記第2電極との隙間よりも小さい、腐食環境測定装置のプローブ。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の腐食測定装置のプローブであって、
    前記第1電極の幅は10mm以下であり、
    前記第2電極の幅は10mm以下であり、
    前記第3電極の幅は10mm以下であり、
    前記第1電極と前記第2電極との隙間は10mm以下であり、
    前記第2電極と前記第3電極との隙間は10mm以下である、腐食環境測定装置のプローブ。
  5. 液膜の厚さ及び電気伝導率を測定する腐食環境測定装置であって、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載のプローブと、
    前記プローブに接続された交流電源と、
    前記第1電極に流れる電流と前記第2電極に流れる電流とに基づいて、前記液膜の厚さを算出し、
    前記液膜の厚さに基づいて、前記液膜の電気伝導率を算出する、腐食環境測定装置。
  6. 請求項5に記載の腐食環境測定装置であってさらに、
    前記第1電極に流れる電流を測定する第1電流計と、
    前記第2電極に流れる電流を測定する第2電流計と、を備える、腐食環境測定装置。
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