JP6319195B2 - めっき材のめっき厚さ測定方法、めっき材の腐食量測定方法、およびめっき材の腐食センサ - Google Patents

めっき材のめっき厚さ測定方法、めっき材の腐食量測定方法、およびめっき材の腐食センサ Download PDF

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本発明は、めっき材のめっき厚さ測定方法、めっき材の腐食量測定方法、およびめっき材の腐食センサに関する。
亜鉛めっき鋼板に代表されるめっき材の製造と利用において、そのめっき付着量すなわちめっき厚さを測定することは基本的な事項である。めっき付着量の測定方法として、もっとも一般的で確実な方法は、めっき層を溶解除去し、その前後での重量変化から、めっきの重量を求める方法である(非特許文献1)。しかしながら、重量測定による方法は、手間と時間がかかること、破壊検査であるため、同一試料で他の評価や解析などを行うことができないなどの欠点がある。
一方、取扱いが簡便で、非破壊的に行うことができるめっき厚さ測定方法として、電気抵抗式膜厚計を用いるめっき厚さ測定方法がある(非特許文献2)。この測定方法は、エポキシ基板上の銅膜のような、非導電性基板上の金属めっき層のめっき厚さを測定するものである。
JIS H 8501:1999「めっきの厚さ試験方法」、日本規格協会、1999年 EN 14571:2005 「Metallic coatings on nonmetallic basis materials - Measurement of coating thickness - Microresistivity method」、欧州標準化委員会、2005年
しかしながら、電気抵抗式膜厚計を用いる測定方法では、導電性母材上に導電性めっき層が形成されためっき材では、精度よくめっき厚さを測定することができない。これは、次のような理由によると考えられる。
母材が非導電性である場合には、試験片の電気抵抗はめっき層の電気抵抗であるから、原理的には、めっき厚さの減少率は、そのまま、試験片の電気抵抗の増加率として測定されるので、十分な測定精度が得られる。ところが、母材が導電性である場合には、試験片の電気抵抗は母材およびめっき層を含むめっき材の電気抵抗であるから、試験片の厚さがめっき層の厚さに対して十分大きいとき、より詳細には、試験片の厚さに対するめっき厚さが数%より小さい場合には、めっき厚さの変化が試験片の電気抵抗にほとんど影響せず、十分な測定精度が得られない。
例えば、一般的な自動車用の亜鉛めっき鋼板では、板厚が1〜2mmに対してめっき厚さが10μm程度であれば、めっき厚さの測定に際しては数μmオーダーの精度が要求されるが、それは元の板厚の約0.1〜0.2%であり、非常に小さい。このように、対象とするめっき材のめっき厚さにはよるが、めっき層は母材より薄いのが一般的であり、その場合、電気抵抗式膜厚計を用いる測定方法では、めっき材のめっき厚さを十分な精度で求めることは困難である。
そうであるとしても、めっき材の電気抵抗を測定してめっき厚さを求める方法は、測定機器が低価格で、取扱いも簡便であり、現場での測定も容易であることから、導電性母材上に導電性めっき層が形成されためっき材のめっき厚さを、精度よく非破壊で測定するための方法として、需要を期待することができる。
そこで、本発明は、導電性母材上に導電性めっき層が形成されためっき材のめっき厚さを、精度よく非破壊で測定するための方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、めっき材に母材のみに表皮効果が現れる周波数の交流電流を流しまたは交流電圧を印加し、電流の経路をめっき層に制限することで、めっき層の電気抵抗を測定することができ、めっき材のめっき厚さを非破壊で測定することができることを知得し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は次の(1)〜(7)を提供する。
(1)母材およびめっき層を有するめっき材のインピーダンスを、上記母材に表皮効果が現れる周波数以上、かつ、上記めっき層に表皮効果が現れる周波数未満の範囲内の周波数の交流電源を用いて測定する工程と、
上記インピーダンスのレジスタンスに基づいて上記めっき材のめっき厚さを算出する工程と、を備えるめっき材のめっき厚さ測定方法。
(2)上記母材の比透磁率が1000以上であり、上記めっき層の比透磁率が上記母材の比透磁率の1/10以下である、上記(1)に記載のめっき材のめっき厚さ測定方法。
(3)上記母材が鉄および鋼からなる群から選択される少なくとも1つの金属材料からなり、上記めっき層が、ニッケル、コバルト、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛およびスズからなる群から選択される少なくとも1種の金属材料、または鉄、ニッケル、コバルト、銀、亜鉛、銅、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、スズおよびマンガンからなる群から選択される2種以上の金属材料からなる、上記(2)に記載のめっき材のめっき厚さ測定方法。
(4)上記めっき厚さを算出する工程において、レジスタンスとめっき厚さとの関係式に基づいて、上記レジスタンスから上記めっき厚さを算出する、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のめっき材のめっき厚さ測定方法。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のめっき材のめっき厚さ測定方法を用いてめっき厚さを測定する工程と、
上記めっき厚さに基づいて上記めっき材の腐食量を算出する工程と、を備えるめっき材の腐食量測定方法。
(6)母材およびめっき層を有するめっき材のインピーダンスを、上記母材に表皮効果が現れる周波数以上、かつ、上記めっき層に表皮効果が現れる周波数未満の範囲内の周波数の交流電源を用いて測定する工程と、
上記インピーダンスのレジスタンスに基づいて上記めっき材の腐食量を算出する工程と、を備えるめっき材の腐食量測定方法。
(7)上記(5)または(6)に記載のめっき材の腐食量測定方法を用いてめっき材の腐食量を測定する、めっき材の腐食センサ。
本発明によれば、導電性母材上に導電性めっき層が形成されためっき材のめっき厚さを、精度よく非破壊で測定することができる。
図1は、母材(図1(A))、めっき層(図1(B)、または母材+めっき層(=めっき材、図1(C))について、周波数(横軸、Hz)とレジスタンス(縦軸、Ω)との関係を両対数で表すグラフである。図1(C)に、本発明の測定方法でめっき厚さを測定可能な周波数範囲を「測定可能範囲」として示す。 図2は、実施例1および実施例2で用いたインピーダンスを測定するための測定装置を表す模式図である。 図3は、実施例1で用いた試験片の、めっき付着量から求められためっき厚さ(横軸)と、本発明のめっき厚さ測定方法により求められためっき厚さ(縦軸)との関係を示すグラフである。 図4は、実施例2で用いた試験片の、重量変化から求められた腐食量(横軸)と、本発明の腐食量測定方法により求められた腐食量(縦軸)との関係を表すグラフである。 図5は、実施例2で用いた試験片の、重量変化から求められた腐食量(横軸)と、直流抵抗の逆数(縦軸)との関係を表すグラフである。
[めっき材のめっき厚さ測定方法]
本発明のめっき材のめっき厚さ測定方法は、母材およびめっき層を有するめっき材のインピーダンスを、当該母材に表皮効果が現れる周波数以上、かつ、当該めっき層に表皮効果が現れる周波数未満の範囲内の周波数の交流電源を用いて測定する工程(以下「工程A」という場合がある。)と、測定したインピーダンスのレジスタンスに基づいて当該めっき材のめっき厚さを算出する工程(以下「工程B」という場合がある。)と、を備えるめっき材のめっき厚さ測定方法である。
1.測定原理
本発明のめっき材のめっき厚さの測定方法の技術的特徴は、めっき材に高周波電流を流し、表皮効果を利用して、めっき層の電気抵抗を測定することにより、めっき層の厚さを非破壊で測定する点にある。
本発明の測定方法の測定原理について、以下に説明する。
1.1)表皮効果
金属材料に交流電流が流れたときに、表皮効果が現れる場合がある。表皮効果とは、材料内部で電流が流れにくくなり、電流分布は表面近傍に局在して流れるようになるものであり、電流密度が表面の1/e(≒0.37、eは自然対数の底)となる深さ(表皮深さ)dは、下記式(1)で表される。
ここで、ρ:金属材料の電気抵抗率(=1/σ、σ=電気伝導率)、ω:交流電流の角周波数(=2πf、f=交流電流の周波数)、μ:絶対透磁率(=μ×μREL、μ=真空の絶対透磁率、μREL=比透磁率)である。
式(1)よりわかるように、表皮深さdは金属材料を流れる交流電流の周波数fに依存し、この周波数fが大きいほど表皮深さdは小さくなり、表皮効果の作用が大きい。また、表皮深さdは金属材料の種類にも依存し、金属材料の電気伝導率σおよび比透磁率μRELが大きいほど表皮深さdは小さくなり、表皮効果の作用が大きい。
1.2)レジスタンスの周波数依存性
本発明のめっき材のめっき厚さ測定方法は、表皮効果を利用することで、母材に流れる電流の割合をできるだけ少なくし、めっき層に流れる電流の割合を多くする。このときのめっき材のインピーダンスを測定し、インピーダンスのレジスタンス(電気抵抗)から、めっき厚さを求めることができる。
以下、図1(A)〜(C)を参照しながら説明する。
図1(A)〜(C)は周波数とレジスタンスとの関係を模式的に表すグラフである。
図1(A)は母材についての周波数(横軸、Hz)およびレジスタンス(縦軸、Ω)の両対数での関係を模式的に表すグラフである。
母材に表皮効果が現れない周波数(f)未満では、レジスタンスは周波数に依存せず、グラフは傾き0の水平な直線である。しかし、母材に表皮効果が現れる周波数(f)以上では、レジスタンスは周波数に依存するようになり、グラフは傾き1/2の直線となる。
図1(B)はめっき層についての周波数(横軸、Hz)およびレジスタンス(縦軸、Ω)の両対数での関係を模式的に表すグラフである。
めっき層に表皮効果が現れない周波数(f)未満では、レジスタンスは周波数に依存せず、グラフは傾き0の水平な直線である。しかし、めっき層に表皮効果が現れる周波数(f)以上では、レジスタンスは周波数に依存するようになり、グラフは傾き1/2の直線となる。
なお、図1(A)では、周波数−レジスタンス関数のグラフを、x座標=fの点で折れている(傾きが、x座標=fで、0から1/2に不連続に変化している)ように示しているが、これは、原理的にはそのようになるということを示すものであり、実際には、周波数−レジスタンス関数のグラフは、x座標=fの周辺で滑らかに湾曲している(x座標=fの周辺で、傾きは0から1/2に連続に変化している)。
母材に表皮効果が現れ始める周波数fは、原理的には、図1(A)に示されるとおり、周波数−レジスタンス関数のグラフの傾きが0から1/2に不連続に変化する周波数である。しかし、実際には、傾きはfの周辺で連続して変化するため、周波数−レジスタンス関数のグラフの傾きが0から1/2に不連続に変化する周波数は、存在しない。このため、fは、周波数−レジスタンス関数のグラフ上で、傾き0の直線を周波数が高い方に延長した直線と、傾きが1/2の直線を周波数が低い方に延長した直線との交点のx座標(周波数)とする。
めっき層に表皮効果が現れ始める周波数fも同様である。
〈図1(C)〉
図1(C)は母材+めっき層(=めっき材)についての周波数(横軸、Hz)およびレジスタンス(縦軸、Ω)の両対数での関係を表すグラフである。
めっき材は母材とめっき層の並列接続とみなせることから、めっき材のレジスタンスは母材のレジスタンスおよびめっき層のレジスタンスの逆数の和の逆数となる。すなわち、めっき材のレジスタンスRは、R=1/{(1/R)+(1/R)}と表すことができる(ここで、Rは母材のレジスタンスであり、Rはめっき層のレジスタンスである)。これより、両者のレジスタンスの差が大きい場合は、主としてレジスタンスの小さい方の挙動に支配される。
周波数f未満では、母材およびめっき層のいずれにも表皮効果が現れず、レジスタンスは周波数に依存しないので、グラフは傾き0の水平な直線である。このときのレジスタンスの値は、直流抵抗に相当する。ここで、図1(A)および図1(B)では、めっき層の直流抵抗が母材の直流抵抗より大きいとしている。これは、通常、めっき材においては、めっき層の厚さが母材の厚さと比較して薄いことから、めっき層の直流抵抗が母材の直流抵抗より大きいことを想定したことによる。
周波数f以上f未満では、母材のみに表皮効果が現れて、レジスタンスは周波数に依存するようになり、周波数が高いほどレジスタンスも大きくなる。母材のレジスタンスが大きくなり、めっき層のレジスタンスに近づいてくると、測定されるレジスタンスのうちめっき層のレジスタンスの影響が大きくなってくる。このとき、めっき層のレジスタンスrはめっき厚さTに逆比例する、すなわち「T∝1/r」である、ことから、測定されるレジスタンスはめっき厚さに依存した値を示す。
周波数f以上では、めっき層にも表皮効果が現れ、めっき層のレジスタンスはめっき厚さに依存しなくなる。
したがって、周波数f以上f未満が本発明においてインピーダンス測定によりめっき厚さを求めることが可能な範囲である(図1(C)中に「測定可能範囲」と記載する。)。なお、表皮効果が現れるとは、表皮効果が観察されるようになること、および表皮効果が観察されることをいう。図1(C)を参照すれば、周波数に依存してレジスタンスが変化し始めること、または変化することをいう。
本発明のめっき材のめっき厚さ測定方法は、上述した原理によってめっき厚さを測定するものであり、母材とめっき層との境界が明りょうでなく、母材とめっき層とを分離できない場合であっても、めっき厚さを測定することができる。
2.本発明のめっき材のめっき厚さ測定方法の説明
2.1)めっき材およびレジスタンス
本発明の測定方法によってめっき厚さを測定するめっき材は、母材およびめっき層を有し、母材となる金属材料の表面に、めっき層となる、母材とは異なる種類の金属材料をめっきしたものである。めっきの方法は特に限定されず、例えば、電気めっき、無電解めっき、溶融めっき、真空蒸着などが挙げられる。
母材となる金属材料とめっき層となる金属材料との組合せは、めっき材に交流電流が流れた際に、母材には表皮効果が現れるが、めっき層には表皮効果が現れない周波数範囲が存在するものである。換言すれば、母材となる金属材料とめっき層となる金属材料との組合せは、図1(C)に示した測定可能範囲が存在することが必要である。すなわち、母材の変曲点よりもめっき層の変曲点が高周波側にあることが必要である。
母材となる金属材料とめっき層となる金属材料との組合せとしては、めっき層の金属材料に対する表皮効果と比較して、母材の金属材料に対する表皮効果が大きく作用する組合せが好ましい。母材となる金属材料およびめっき層となる金属材料は、いずれも、1種類に限定されず、2種類以上を用いることができる。めっき層の金属材料に対する表皮効果と比較して、母材の金属材料に対する表皮効果が大きく作用することにより、めっき層に流れる電流の割合が多くなることから、めっき層の厚さが変化したことによるめっき層のレジスタンスの変化を、より精度よく測定できる。
より具体的には、母材を構成する金属材料の比透磁率は、好ましくは100以上、より好ましくは1000〜10000の範囲内、さらに好ましくは2000〜7000の範囲内である。めっき層を構成する金属材料の比透磁率は、好ましくは母材を構成する金属材料の比透磁率の1/10以下、より好ましくは1/100以下である。
試験片に交流電流を流したときの電圧、または交流電圧を印加したときの電流応答により得られるのは、単純な電気抵抗(レジスタンス)ではなく、インダクタンス成分およびキャパシタンス成分が重畳した、いわゆるインピーダンスである。したがって、めっき材のめっき厚さを測定するためには、測定されるインピーダンスからレジスタンス成分を抽出する必要がある。
インピーダンスからレジスタンス成分を抽出する方法は、特に限定されるものではないが、試験片形状、装置構成、測定条件その他の諸条件により、以下に掲げる方法によることが好ましい。
(a)インダクタンスおよびキャパシタンスの寄与が小さく、無視できる場合には、インピーダンスそのものをレジスタンスとみなす。
(b)インダクタンスおよびキャパシタンスの寄与が大きく、無視できない場合には、インピーダンスの実部をレジスタンスとみなす。
(c)推定される等価回路とインピーダンスの周波数依存性との関係からレジスタンスを求める。確度を高めるという観点からは、この方法が最も望ましいが、現実には等価回路を推定することが困難な場合がある。
なお、本発明において、レジスタンスとみなした「インピーダンス」(上記(a)参照)または「インピーダンスの実部」(上記(b)参照)を「みなしレジスタンス」という場合がある。本発明においては「みなしレジスタンス」は「レジスタンス」として扱う。
母材を構成する金属材料は、具体的には、鉄および鋼からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
めっき層を構成する金属材料は、具体的には、ニッケル、コバルト、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛およびスズからなる群から選択される少なくとも1種、または鉄、ニッケル、コバルト、銀、亜鉛、銅、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、スズおよびマンガンからなる群から選択される2種以上であることが好ましい。ここで、2種以上の金属材料は、均一に混合された状態だけでなく、複数の相に分離している状態であってもよい。
ただし、母材を構成する金属材料の比透磁率およびめっき層を構成する金属材料の比透磁率は、上述した範囲内であることが好ましい。
2.2)交流電源
インピーダンス測定に適する交流電源の周波数範囲は、母材に表皮効果が現れる周波数以上で、めっき層に表皮効果が現れる周波数未満の範囲内、すなわち、図1(C)において測定可能範囲として示される範囲内であれば特に限定されないが、母材およびめっき層と金属材料の種類および厚さによるものの、一般的には100Hzから10MHzの範囲内であり、好ましくは10kHzから1MHzの範囲内である。
めっき層に表皮効果が現れない周波数とは、めっき層に流れる交流電流の周波数とめっき層のレジスタンスとの関係を表す図1(B)を参照すれば、グラフ上、レジスタンスが周波数に依存せず実質的に一定値である範囲内の周波数をいう。具体的には、周波数f未満である。
母材に表皮効果が現れる周波数とは、母材に流れる交流電流の周波数と母材のレジスタンスとの関係を表す図1(A)を参照すれば、グラフ上、レジスタンスが周波数に依存して上昇する範囲内の周波数をいう。具体的には、周波数f以上である。
なお、インピーダンス測定に用いる交流電源は、交流電圧であってもよいし、交流電流であってもよい。
2.3)工程Aおよび工程B
次に、工程Aおよび工程Bを、より詳細に説明する。
2.3.1)工程Aの手順
工程Aは、めっき材のインピーダンスを、上記測定可能範囲内の周波数の交流電源を用いて測定する工程である。
めっき材のインピーダンスの測定方法は、特に限定されず、めっき厚さの測定対象である試験片のインピーダンスを測定するために、インピーダンス測定器を用いて行えばよい。測定方法としては、二端子法、四端子法等のいずれでもよいが、測定用の配線自体の抵抗、および試料(試験片)との接続部の接触抵抗を回避することができるため、四端子法が好ましい。なお、本発明においては、めっき厚さを測定する試験片(めっき材)またはめっき厚さを測定した試験片(めっき材)を「測定試験片」といい、めっき厚さが既知の試験片(めっき材)を参照試験片という場合がある。
四端子法を用いる場合、例えば、図2の測定装置100に示した構成とする。インピーダンス測定器101から出る電流供給用配線115、116および電圧測定用配線113、114を帯材状の試験片102に電流供給用端子105、106および電圧測定用端子103、104を用いて接続する。そして、インピーダンス測定器101は、交流電流源と交流電圧計の両方の機能を有する。
また、インピーダンスは試験片の温度により変動するため、従来の電気抵抗式センサで採用されているような、温度補償用の参照電極を付加することは有効であり、それにより本発明を損ねるものではない。
また、インピーダンスを測定する際の試験片としてのめっき材の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、板材状、短冊状、帯材状、角材状、丸棒状、線材状などの形状が挙げられる。ただし、高周波での測定では、レジスタンスにインダクタンスやキャパシタンスが重畳するため、極力、これらの影響を抑える形状が好ましい。
なお、実際にインピーダンス測定を行う際の留意点として、試験片が板材状、短冊状または帯材状であれば、板厚が厚いものや、幅の広いもの、丸棒状では径の大きなものは、全体のインピーダンスが低く、測定に大きな電流が必要になったり、電圧が著しく小さくなったりするため、使用するインピーダンス測定器によっては測定が困難な場合があるので、印加される電流または電圧と、試験片のインピーダンスとの関係に注意を要する点が挙げられる。
2.3.2)工程Bの手順
工程Bは、インピーダンスから抽出したレジスタンスに基づいてめっき材のめっき厚さを算出する工程である。より詳細には、工程Bでは、めっき材のめっき厚さを、レジスタンスとめっき厚さとの関係式に基づいて算出することが好ましい。ここで、レジスタンスとめっき厚さとの関係式は、めっき厚さ既知のめっき材のめっき厚さとレジスタンスとから求めることができる。
なお、上述したとおり、現実には、工程Aで測定したレインピーダンスから、インダクタンスおよびキャパシタンスの影響を完全に除去してレジスタンスを抽出することは困難であるから、工程Bで用いるレジスタンスは、インピーダンスの実部またはインピーダンスそのものをレジスタンスとみなした、「みなしレジスタンス」である。既に説明したとおり、本発明では、「みなしレジスタンス」もレジスタンスとして扱う。
工程Bでは、めっき厚さをレジスタンスの関数として表し、レジスタンスの測定値を代入することにより、めっき厚さを求めることが好ましい。めっき厚さをレジスタンスの関数として表す方法は、特に限定されるものではないが、検量線を用いる方法が挙げられる。なお、本発明においては、めっき厚さを測定する試験片(めっき材)またはめっき厚さを測定した試験片(めっき材)を「測定試験片」といい、めっき厚さが既知の試験片(めっき材)を「参照試験片」という場合がある。
検量線を用いる方法では、あらかじめ、参照試験片を測定試験片と同一の条件で測定して、めっき厚さTおよびレジスタンスrの関係を関数g(r)として表しておき、測定したレジスタンスrを関数g(r)に代入することで、めっき厚さTを求めることができる。
参照試験片は、めっき厚さが既知であり、めっき層および母材の材料が同一と見なせられれば、特に限定されるものではないが、測定試験片と同じ仕様で製造された金属板を母材とし、まためっき層も厚さ以外のめっき条件が同一であるものを用いることが好ましい。
検量線を用いる方法の一形態では、めっき厚さが相違するm(ここで、mは2以上の整数である。)種類の参照試験片のそれぞれについて、インピーダンスをn(ここで、nは1以上の整数である。)点測定して、検量線を作成する。
検量線をグラフ上にプロットする場合には、横軸にレジスタンスrの逆数1/r、縦軸にめっき厚さTをとったグラフ上で、第1の参照試験片の第1の測定点(1/r1,1,T)、第1の参照試験片の第nの測定点(1/r1,n,T)、・・・、第mの参照試験片の第nの測定点(1/rm,n,T)の近似曲線または近似直線とする。mは2以上必要であり、nは1以上必要である。m=2、n=1の場合、またはnが2以上でも平均するなどしてrを1つの値とした場合には、近似直線となり、T=A・(1/r)+Bの形で表すことができる。mが3以上の場合は近似直線でもよいが、近似曲線とした方が確度を向上できる場合がある。直線で近似する場合は、例えば、最小二乗法などにより近似直線を求めることができる。本発明においては、検量線の形状はレジスタンスとめっき厚さとが1対1に対応すればよく、その形状は問わない。
なお、検量線を用いる方法であっても、実際にグラフ上にプロットして近似直線または近似曲線を作成する必要はなく、めっき厚さTをレジスタンスrの関数として表すことができればよい。この関数に、測定試験片のインピーダンスから抽出したレジスタンスrを代入することにより、測定試験片のめっき厚さTを求めることができる。
[めっき材の腐食量測定方法]
本発明は、また、めっき材の腐食量測定方法を提供する。
鉄鋼材料をはじめ、亜鉛、銅、銀、アルミニウムなどの金属材料において、それらが使用される環境においてどれくらいどのように腐食されるかを知ることは、耐食材料や防食技術の運用や開発を考える上で必須である。
従来、腐食量の評価に関しては、一般的に任意の環境に暴露された(曝露試験やサイクル腐食試験などの腐食試験も含む)試験片の質量減少に基づいた測定が行われてきた。しかしながら、この方法では、数ヶ月または年単位での腐食量および腐食速度の情報しか得られないことがほとんどであった。
そのため、より詳細な腐食挙動の評価のために、腐食量のリアルタイムまたは短時間間隔でのモニタリング技術としては、例えば、電気抵抗式の腐食センサが特開昭57−033341号公報に開示されている。電気抵抗式の腐食センサは、腐食による試験片の板厚の減少によって電気抵抗が増大することを利用し、その電気抵抗の変化量より腐食量を算出するというものである。その原理に基づいた測定方法は、試験片形状の制限や、測定精度の問題から、これまであまり普及してこなかったが、近年になって、電子回路技術の進歩などにより、腐食量のモニタリング方法として改めて注目されるようになってきている。
しかしながら、この電気抵抗式腐食センサは、鉄や亜鉛、銀、銅といった均一な金属に対しては有効であるが、亜鉛めっき鋼板のようなめっき材におけるめっき層の腐食を評価しようとする場合には、適用が難しい。
従来の電気抵抗式センサは、試験片の電気抵抗の変化から腐食減量を算出するものであるが、原理的に、腐食量、すなわち試験片の厚さの減少量は、元の試験片の厚さに対する割合として現れる。このことは、つまり元の試験片厚さに対して、測定する腐食量がどれだけかにより腐食量の評価精度が決まることを意味している。
一般的に十分な精度が得られるのは、試験片の厚さに対して腐食量が数%から数10%程度の範囲であり、それより小さい場合には、十分な測定精度が得られない場合が高い。
それを踏まえ、めっき材の評価について考える。例えば、一般的な自動車用の亜鉛めっき鋼板では、板厚が1〜2mmに対して、めっき厚さが10μm程度である場合、その腐食厚さとして数μmオーダーの評価が必要であるが、それは元の板厚と比較して0.1%程度と非常に小さくなる。このように、対象とするめっき材のめっき厚さにはよるが、めっき層は母材より薄いのが一般的であり、その場合、従来の腐食センサでめっき材の腐食量を十分な精度で評価することは困難である。
本発明のめっき材の腐食量測定方法は、かかる困難を解決したものであり、非破壊で測定することができる電気抵抗式の腐食センサで、めっき材の腐食量を測定することができる方法である。
本発明のめっき材の腐食量測定方法は、本発明のめっき材のめっき厚さ測定方法を用いてめっき厚さを測定する工程と、当該めっき厚さに基づいてめっき材の腐食量を算出する工程と、を備えるめっき材の腐食量測定方法である。
また、本発明のめっき材のめっき厚さ測定方法においては、めっき厚さをレジスタンスの関数として表せることから、めっき厚さの差もレジスタンスの関数として表すことができる。すなわち、本発明のめっき材の腐食量測定方法は、母材およびめっき層を有するめっき材のインピーダンスを、上記母材に表皮効果が現れる周波数以上、かつ、上記めっき層に表皮効果が現れる周波数未満の範囲内の周波数の交流電源を用いて測定する工程と、当該インピーダンスのレジスタンスに基づいて上記めっき材の腐食量を算出する工程と、を備えるめっき材の腐食量測定方法と言い換えることができる。
また、上述しためっき材の腐食量測定方法が用いられた腐食センサを得ることができる。
めっき材のめっき厚さ測定方法、めっき材のインピーダンス測定方法、および、インピーダンスからのレジスタンスの抽出方法は、上述した「めっき材のめっき厚さ測定方法」において、既に説明したとおりである。
腐食量の測定対象となる、めっき材、母材およびめっき層は、上述しためっき厚さ測定方法について説明した通りである。また、本発明のめっき材の腐食量測定方法を用いる際の試験片の形状も、本発明のめっき厚さ測定方法について説明した通りである。
腐食量の測定方法の一形態は、上記の検量線を用いためっき厚さの測定方法に準じてめっき厚さを求め、求めためっき厚さを腐食前の試験片のめっき厚さから差し引くことで、腐食量を求める。検量線作成に用いる参照試験片は、試験に供するものと同一の材料を用い、試験前のものおよび別途酸処理等によりめっき層を除去した母材のみのものを用いるのがよい。より好ましくは、めっき層除去処理または腐食試験に供し、めっき層が減厚している試験片について、別途断面観察や化学分析法によりめっき厚さを厳密に調べたものも合わせて用いると、検量線の確度を向上できる。
本発明のめっき材の腐食量の測定方法の別の形態では、腐食量TDIFを下記式(2)の形で表しておき、その式に測定試験片のレジスタンスを代入することにより、めっき厚さを算出することなく、試験片の腐食量を求めることができる。
DIF=C・(1/r−1/r) (2)
DIF:めっき材の腐食量
:腐食していない試験片のレジスタンス
r:試験片のレジスタンス
C:参照試験片のめっき厚さおよびレジスタンスから求められた定数
本発明のめっき材の腐食量の測定方法のさらに別の態様では、腐食量の増加量ΔTDIFを下記式(3)の形で表しておき、その式に測定試験片のレジスタンスを代入することにより、めっき厚さを算出することなく、試験片の腐食量を求めることができる。
ΔTDIF=C・(1/r−1/r) (3)
DIF:時間tとtとの間のめっき材の腐食量
:時間tにおける測定試験片のレジスタンス
:時間tにおける測定試験片のレジスタンス(但し、t>t
C:参照試験片のめっき厚さおよびレジスタンスから求められた定数
ところで、腐食の電気化学測定法の中でもっとも広く用いられている方法として、馬飼野信一、「直流分極法と交流インピーダンス法」、1994年、表面技術、第45巻、第10号、p.973−978は、直流分極法と交流インピーダンス法を挙げて解説している。馬飼野(1994)に記載された腐食速度を求めるための交流インピーダンス法は、電気化学測定法の一つであり、本発明の方法とは、交流インピーダンスを測定する点で共通するものの、原理的に異なるものであって、非類似の技術である。
また、本発明の腐食センサの形状は、インピーダンス測定装置で説明した形態(例えば図2)がそのまま利用できる。
本発明の腐食センサは、特に、腐食量のリアルタイムモニタリングに用いた場合、享受される効果が大きい。リアルタイムモニタリングとは、例えば屋外での曝露試験やラボでの腐食促進試験などで、温度や湿度などの腐食環境が刻一刻と変化するのに応じて、そのときの腐食量の変化を経時的に記録する測定方法である。
ここで、経時的に記録するとは、時間の経過に従って異なる時点で2回以上用いることを意図したものであり、回数は限定されず、連続的に用いてもよいし、一定間隔で複数回用いてもよいし、断続的に複数回用いてもよいし、2回だけ用いてもよい。
[実施例1]
<めっき材のめっき厚さの測定>
1.試験片の作製
(1)測定試験片の作製
以下の鋼板を準備し、幅W=8mm×長さL=150mmの短冊状に切り出して、測定試験片とした。
・電気亜鉛めっき鋼板(めっき付着量20g/m
・電気亜鉛めっき鋼板(めっき付着量60g/m
(2)参照試験片の作製
以下の鋼板を準備し、幅W=8mm×長さL=150mmの短冊状に切り出して、参照試験片(めっき厚さ既知の試験片)とした。
・溶融亜鉛めっき鋼板(めっき付着量100g/m
・めっきの無い軟鋼板
2.インピーダンスの測定によるめっき厚さの測定
インピーダンス測定のためのインピーダンス測定装置101には、ポテンショスタット/ガルバノスタット(VSP−300,BioLogic社製)を用い、周波数220kHz、電圧0.71mVRMSとなるように交流電流を供給し、得られるインピーダンスを測定した。測定装置の模式図を図2に示す。測定装置では、四端子法を用い、電圧測定端子間の長さDを135mmとした。
測定したインピーダンスの実部(レジスタンスとみなした)を用いて、めっき厚さを算出した。
具体的には、測定試験片と同一の測定条件で、上述した2種類のめっき厚さの参照試験片のインピーダンスをそれぞれ3点ずつ測定し、測定したインピーダンスの実部をレジスタンスとみなして、最小二乗法により直線近似して、検量線を求めた。
検量線は、下記式の形で表された。
T=A・(1/r)+B
T:めっき厚さ
r:レジスタンス
A:最小二乗法により求められた近似直線(検量線)の傾き
B:最小二乗法により求められた近似直線(検量線)のy切片
この式に測定試験片のレジスタンス(測定したインピーダンスの実部)を代入することにより、測定試験片のめっき厚さを求めた。
図3のグラフに、測定試験片の、めっき付着量から求められためっき厚さ(横軸)と、本発明のめっき厚さ測定方法により求められためっき厚さ(縦軸)との関係を示す。
3.評価
図3のグラフに示すように、本発明のめっき厚さ測定方法により算出されためっき厚さ〔めっき厚さ(レジスタンスから算出)[μm]〕は、付着量から算出されためっき厚さ〔めっき厚さ(重量変化から算出)[g/m]〕とよく一致し、めっき厚さが測定できていた。
以上より、本手法を用いることで、めっき材のめっき厚さを簡便に非破壊で測定可能であることがわかる。
[実施例2]
<めっき材のめっき腐食量測定>
1.試験片の作製
(1)腐食試験用試験片の作製
溶融亜鉛めっき鋼板(母材=板厚0.8mmの軟鋼板,めっき付着量=90g/m)を、幅70mm×長さ150mmの矩形状に切り出して、腐食試験用試験片とした。
(2)腐食試験
腐食試験用試験片に対し、ACTE(R)試験(ISO 16539:2013、B法)による大気腐食を模擬した乾湿繰り返し試験を行った。乾燥工程は60℃/35%RH、湿潤工程は40℃/95%RH、乾燥工程と湿潤工程はそれぞれ3時間、移行期間を1時間とした。乾湿8〜11サイクル毎に、水洗し、スプレーで人工海水を噴霧した。付着塩分量は、10mg/m、100mg/m、および1000mg/mの3水準とした。試験期間は、14日、28日、および56日の3水準とした。
(3)測定試験片の作製
腐食試験を実施した腐食試験用試験片から、幅W=8mm×長さL=150mmの短冊状に切り出して、測定試験片とした。
(4)参照試験片の作製
以下の鋼板を準備し、幅8mm×長さ150mmの短冊状に切り出して、参照試験片とした。
・塩酸浸漬によりめっきを除去した鋼板(母材)
・腐食試験前の腐食試験用試験片(腐食試験原板)
2.インピーダンスの測定による腐食量の算出
インピーダンス測定装置101には、ポテンショスタット/ガルバノスタット(VSP−300,Biologic社製)を用い、周波数323kHz、電圧0.71mVRMSとなるように交流電流を供給し、得られるインピーダンスを測定した。測定装置の模式図を図2に示す。測定装置では、四端子法を用い、電圧測定端子間の長さDを135mmとした。
測定したインピーダンスの実部(レジスタンスとみなした)を用いて、腐食量を算出した。
具体的には、測定試験片と同一の測定条件で参照試験片のインピーダンスを測定し、インピーダンスの実部をレジスタンスとみなして、腐食量TDIFを、レジスタンスrを変数として、
DIF=C・(1/r−1/r
の形で表しておき、その式に測定試験片のレジスタンス(測定したインピーダンスの実部)を代入することにより、試験片のめっき厚さを求めた。ここで、Cは参照試験片のめっき厚さおよびレジスタンス(インピーダンスの実部)から求められた定数であり、rは腐食していない参照試験片(腐食試験原板)のレジスタンス(インピーダンスの実部)である。
図4のグラフに、後述する4.試験片の重量変化から求めた腐食量(横軸)と本発明の腐食量測定方法により求めた測定試験片の腐食量(縦軸)との関係を示す。
3.直流電圧源による直流抵抗値の測定
比較のため、従来の電気抵抗式センサでの測定に相当する、直流電圧源での電気抵抗の測定も合わせて行った。
図5のグラフに、後述する4.試験片の重量変化から求めた腐食量(横軸)と、測定された直流抵抗の逆数(縦軸)との関係を示す。
4.試験片の重量変化による腐食量の算出
得られた腐食量の確度の基準とするため、腐食前後における試験片の重量変化も合わせて算出した。各試験水準の腐食試験用試験片について、酸化クロム水溶液により腐食生成物を除去した後、試験片の重量を測定する。そして、あらかじめ測定していた腐食試験前の試験片重量と腐食生成物除去後の試験片重量の差を算出し、腐食による試験片の減量を求める。この腐食減量を、各試験水準の腐食量とする。なお、上記酸化クロム水溶液は、JIS Z 2371 参考表1中の「亜鉛及び亜鉛合金」の欄の「酸化クロム(VI)(CO)200g 蒸留水を加えて1000mlにする。」の項目に準拠する。
5.評価
図4のグラフに示すように、本発明の腐食量測定方法により算出された腐食量〔腐食量(レジスタンスから算出)[g/m]〕は、重量変化から算出された腐食量〔腐食量(重量変化から算出)[g/m]〕とよく一致し、めっき層の腐食量が測定できていた。
一方、図5のグラフに示すように、直流電圧源を用いた電気抵抗の測定方法(従来の電気抵抗式センサでの測定に相当する)により求められた直流抵抗の逆数〔直流抵抗−1[Ω−1]〕と、重量変化から算出された腐食量〔腐食量(重量変化から算出[g/m]〕との間に相関関係は無く、めっき腐食量を測定できていないことが明らかである。
以上より、本発明を用いることで、めっき材のめっき腐食量を非破壊で測定することが可能であり、かつ任意の環境での暴露と同時に測定を行うようにすることで、腐食量を連続的にモニタリングすることも可能とすることができることがわかる。
100:測定装置
101:インピーダンス測定器
102:試験片
103,104:電圧測定用端子
105,106:電流供給用端子
113,114:電圧測定用配線
115,116:電流供給用配線

Claims (7)

  1. 母材およびめっき層を有するめっき材のインピーダンスを、前記母材に表皮効果が現れる周波数以上、かつ、前記めっき層に表皮効果が現れる周波数未満の範囲内の周波数の交流電源を用いて測定する工程と、
    前記インピーダンスのレジスタンスに基づいて前記めっき材のめっき厚さを算出する工程と、を備えるめっき材のめっき厚さ測定方法。
  2. 前記母材の比透磁率が100以上であり、前記めっき層の比透磁率が前記母材の比透磁率の1/10以下である、請求項1に記載のめっき材のめっき厚さ測定方法。
  3. 前記母材が鉄および鋼からなる群から選択される少なくとも1つの金属材料からなり、前記めっき層が、ニッケル、コバルト、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛およびスズからなる群から選択される少なくとも1種の金属材料、または鉄、ニッケル、コバルト、銀、亜鉛、銅、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、スズおよびマンガンからなる群から選択される2種以上の金属材料からなる、請求項2に記載のめっき材のめっき厚さ測定方法。
  4. 前記めっき厚さを算出する工程において、レジスタンスとめっき厚さとの関係式に基づいて、前記レジスタンスから前記めっき厚さを算出する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のめっき材のめっき厚さ測定方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のめっき材のめっき厚さ測定方法を用いてめっき厚さを測定する工程と、
    前記めっき厚さに基づいて前記めっき材の腐食量を算出する工程と、を備えるめっき材の腐食量測定方法。
  6. 母材およびめっき層を有するめっき材のインピーダンスを、前記母材に表皮効果が現れる周波数以上、かつ、前記めっき層に表皮効果が現れる周波数未満の範囲内の周波数の交流電源を用いて測定する工程と、
    前記インピーダンスのレジスタンスに基づいて前記めっき材の腐食量を算出する工程と、を備えるめっき材の腐食量測定方法。
  7. 請求項5または6に記載のめっき材の腐食量測定方法を用いてめっき材の腐食量を測定する、めっき材の腐食センサ。
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