本実施形態について図面に基づき説明する。
(本実施形態の冷蔵庫10の構造)
本実施形態に係る冷蔵庫10は、図1に示すように、冷蔵庫10の外郭を形成する外箱と、貯蔵空間が形成されている内箱とが組み合わさった冷蔵庫本体12を備える。外箱と内箱との間には発泡断熱材等が充填されている。貯蔵空間は、上側の冷蔵空間20と下側の冷凍空間40とに区画されている。
冷蔵空間20は、冷蔵温度(例えば、2〜3℃)に冷却される空間である。冷蔵空間20の内部は、貯蔵室としての上側の冷蔵室21と、同じく貯蔵室としての下側の野菜室22とに区画されている。冷蔵室21内の下部には、チルド室23が設けられている。チルド室23内は、冷蔵室21内の中でも特に低温に保持される場所で、肉や魚等が収納される場所である。冷蔵室21の開口部は、その片側の上下に設けられたヒンジにより回動自在に設けられた冷蔵室扉24により閉塞されている。
野菜室22の開口部は引き出し式扉25により閉塞されている。引き出し式扉25の裏側には野菜容器26が保持されている。この野菜容器26は、引き出し式扉25と一体となって引き出されるように構成されている。野菜室22の引き出し式扉25の開閉は、扉開閉検知部としての扉センサ73(図3参照)で検知可能である。野菜室22内の野菜容器26の上方には、内部の酸素濃度が低減される減酸素室30が設けられている。減酸素室30は、野菜室22の上壁に固定されたホルダ31と、ホルダ31の前方開口部から出し入れ可能な収納容器32とを備える。収納容器32は引き出し式のものであり、その前面が減酸素室30の前扉を兼ねている。
減酸素室30の後壁には減酸素装置50が嵌め込まれている。減酸素装置50の前方の部分は減酸素室30内に配置され、減酸素装置50の後方の部分は減酸素室30外に配置されている。減酸素装置50の構造は、限定されないが、例えば図2に示されているようにケース51内に複数のシート状部材が積層されて収納された構造となっている。シート状部材の1つは、電子や陰イオンは通過できないが陽イオンは通過できる高分子電解質膜55である。この高分子電解質膜55の前方にはカソード層56が、後方にはアノード層57が、それぞれ配置されている。また、カソード層56の前方にはマイナス側の集電体58が、アノード層57の後方にはプラス側の集電体59が、それぞれ配置されている。集電体58、59はメッシュ状であり気体が通過できる。マイナス側の集電体58とプラス側の集電体59とは電源に接続されている。さらに、マイナス側の集電体58の前方とプラス側の集電体59の後方には、それぞれ撥水層61、62が配置されている。撥水層61、62は、水を透過させないが水蒸気を透過させる高分子膜でできている。プラス側の集電体59の後方の撥水層62の後方には、給水シート63が配置されている。給水シート63は、不織布でできており、減酸素装置50より下方に設けられた貯水部から水を吸い上げる。以上のように積層された複数のシート状部材は、固定部材65、66によりケース51内で前後から固定されている。ケース51は、前面に減酸素室30内へ開口している開口部52を、後面に減酸素室30外へ開口している開口部53を有する。
このような構造の減酸素装置50において、マイナス側の集電体58とプラス側の集電体59とに通電すると、カソード層56とアノード層57で次の反応が生じる。
カソード層56 O2+4H++4e−→2H2O
アノード層57 2H2O→O2+4H++4e−
つまり、給水シート63で発生して撥水層62を通過した水蒸気がアノード層57で分解され、陽イオンである水素イオンが発生する。その水素イオンが高分子電解質膜55を通過しカソード層56で酸素と結合することにより、カソード層56で水が発生する。
減酸素室30内の空気は、ケース51の開口部52を通ってカソード層56に到達する。その空気に含まれる酸素は、上記のようにカソード層56で水素イオンと結合し水となる。そのため、集電体58、59への通電状態が続くと、減酸素室30内の空気に含まれる酸素が減少して行く。一方、アノード層57で水素イオンと共に発生した酸素は、ケース51の開口部53を通って減酸素室30外へ排出される。このようにして、減酸素室30内の酸素濃度が低減される。減酸素室30内の酸素濃度を低減する機能を所定機能としての減酸素機能と言う。減酸素機能の動作中に野菜室22の引き出し式扉25が開閉されると、野菜室22内の減酸素室30内に酸素が入り、減酸素室30内の酸素濃度が増加する。そのため減酸素機能の動作中は引き出し式扉25が開閉されないことが望ましい。
なお、減酸素装置50は、チルド室23等の他の貯蔵室に設けられていても良い。
冷蔵空間20の背後には冷却器室が設けられ、冷却器室内に冷気を発生させる冷蔵用冷却器71が収納されている。冷蔵用冷却器71で発生した冷気は、ファン27により冷蔵空間20へ送られ、冷蔵空間20内を冷却する。冷蔵用冷却器71の近傍には、冷蔵用冷却器71に付着した霜を溶かして取り除く除霜装置28が設けられている。
冷凍空間40は、冷凍温度(例えば、−18℃以下)に冷却される空間である。冷凍空間40内の上部には製氷室41が設けられている。製氷室41内には貯氷容器45が設けられ、製氷室41の開口部を閉塞する引き出し式扉46と一体となって引き出されるように構成されている。冷凍空間40内の下部には冷凍室42が設けられている。冷凍室42の開口部は引き出し式扉43により閉塞されている。引き出し式扉43の裏側には収納容器44が保持されている。この収納容器44は、引き出し式扉43と一体となって引き出されるように構成されている。収納容器44の上方にさらに別の収納容器が設けられていても良い。冷凍空間40の背後には冷却器室が設けられ、冷却器室内に冷気を発生させる冷凍用冷却器72が収納されている。冷凍用冷却器72で発生した冷気は、ファン47により冷凍空間40へ送られ、冷凍空間40内を冷却する。冷凍用冷却器72の近傍には、冷凍用冷却器72に付着した霜を溶かして取り除く除霜装置48が設けられている。
本実施形態の冷蔵庫10は、時計すなわち時刻を知るための機器を有さないが、タイマ74(図3参照)すなわち時間を知るための機器を有する。タイマ74は例えば24時間を計測できるものである。ここで、時刻とは時の流れのある一点のことで、時間とは時の流れのある一点から別のある一点までの長さのことである。よって、ある時刻から別のある時刻までの長さが時間である。また時間帯とは、ある時刻から別のある時刻までのことである。
図3のブロック図に示すように、冷蔵庫10は冷蔵庫の制御を行う制御部70を備える。制御部70には、冷蔵用冷却器71、冷凍用冷却器72、減酸素装置50、ファン27、47、除霜装置28、48、野菜室22の引き出し式扉25の扉センサ73、タイマ74等が接続されている。制御部70は接続されているこれらの機器等を制御する。
以上の構造の冷蔵庫10において、制御部70は、野菜室22の引き出し式扉25の開閉が無い時間帯に減酸素機能が動作するように制御する。そのために、制御部70は、野菜室22の引き出し式扉25の開閉の有無を一定時間監視し続け、引き出し式扉25の開閉があった場合にはこれを扉センサ73で検知する。この監視を行うため、制御部70は、監視を開始する開始時刻(監視開始時刻とする)と、監視を終了する終了時刻(監視終了時刻とする)とを設定する。そして、監視開始時刻から監視終了時刻までの時間帯(監視時間帯とする)に扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知すると、制御部70は監視開始時刻と監視終了時刻とを所定時間ずらす。また、制御部70は、監視開始時刻と監視終了時刻との少なくともいずれか一方の時刻を基準として、減酸素機能を動作させる。そのため、監視時間帯に引き出し式扉25が開閉して監視開始時刻と監視終了時刻とが所定時間ずれると、減酸素機能が動作する時刻もずれることになる。
この制御において、時刻は、時計によってではなく、タイマ74による計測開始時からの経過時間で認識される。冷蔵庫の利用者は台所の時計等によって時刻を認識できるが、冷蔵庫10の制御部70は時刻を認識できない。冷蔵庫の利用者が認識する時刻と冷蔵庫10の制御部70が認識するタイマ74による計測開始時からの経過時間とが1対1の対応関係になる。
このような制御の例として、以下に制御例1〜4を示す。図4〜図7は制御例1〜4を表したものである。
(本実施形態の制御例1)
図4の制御例1は、制御部70が、監視開始時刻に減酸素機能の動作を開始し、また、監視時間帯に引き出し式扉25の開閉が検知された場合は翌日以降の監視時間帯を変更する例である。
制御例1では、制御がスタートすると(S1)、制御部70は扉センサ73による引き出し式扉25の開閉の監視開始時刻と監視終了時刻とを設定する。ただし、監視開始時刻と監視終了時刻は、タイマ74による計測開始時からの経過時間で設定される。タイマ74による計測開始時から監視開始時刻までの時間を第一時間、タイマ74による計測開始時から監視終了時刻までの時間を第二時間とすると、制御部70は実際には第一時間と第二時間とを設定することになる(S2)。第一時間と第二時間の長さは限定されないが、第二時間は第一時間よりも長い。第一時間の長さは0であっても良い。タイマ74による計測開始時から第一時間だけ計測した時を第一時間経過時、タイマ74による計測開始時からから第二時間だけ計測した時を第二時間経過時とすると、第一時間経過時から第二時間経過時までが監視時間帯に対応する。監視時間帯の長さは限定されないが、例えば1時間程度とする。
次に制御部70はタイマ74による計測を開始する(S3)。そして第一時間経過時になると(S4のYes)、制御部70は、引き出し式扉25の開閉の監視を開始する。またそれと同時に制御部70は減酸素機能の動作を開始する(S5)。
その後、扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知せず(S6のNo)、第二時間経過時になった場合(S7のYes)、制御部70は引き出し式扉25の開閉の監視を終了する。またそれと同時に制御部70は減酸素機能の動作を終了する(S8)。その後、24時間経過時(タイマ74による計測開始時から24時間だけ計測した時)となると(S9のYes)、制御部70はタイマ74が計測した時間をリセットする(S10)。そして制御部70はタイマ74による計測を再開する(S3)。なお、タイマ74のリセットは24時間経過時になされるため、タイマ74による計測を再開する時刻は、前日にタイマ74による計測を開始した時刻と同じである。つまり制御部70は24時間毎にタイマ74をリセットし計測を再開する。
このように、第一時間経過時から第二時間経過時までに扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知しなかった場合は、制御部70は第一時間と第二時間とを変更しない。つまり、監視時間帯に扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知しなかった場合は、制御部70は監視開始時刻と監視終了時刻とを変更しない。
一方、第一時間経過時から第二時間経過時までに扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知した場合(S6のYes)、まず、第二時間経過時となったら(S11のYes)、制御部70は引き出し式扉25の開閉の監視を終了する。またそれと同時に制御部70は減酸素機能の動作を終了する(S12)。そして24時間経過時となると(S13のYes)、制御部70は第一時間と第二時間とを再設定する(S14)。具体的には、監視開始時刻と監視終了時刻とが遅くなるように、それまでの第一時間と第二時間とにそれぞれ所定時間を加算し、新しい第一時間と第二時間とする。そして、制御部70はタイマ74が計測した時間をリセットする(S15)。その後制御部70はタイマ74による計測を再開する(S3)。なお、監視時間帯の長さを変化させないため、第一時間に加算される所定時間と第二時間に加算される所定時間とは同じ長さである。また、第一時間と第二時間の再設定及びタイマ74のリセットは、24時間経過時になされるため、タイマ74による計測を再開する時刻は、前日にタイマ74による計測を開始した時刻と同じである。つまり制御部70は24時間毎にタイマ74をリセットし計測を再開する。
このように、第一時間経過時から第二時間経過時までに扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知した場合は、制御部70は第一時間と第二時間とを変更して長くする。つまり、監視時間帯に扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知した場合は、制御部70は監視開始時刻と監視終了時刻とを遅らせる。
ここで、第一時間と第二時間とに加算される所定時間の長さは限定されない。所定時間の長さは予め設定された長さでも良い。その場合、所定時間の長さは、監視時間帯の長さより短いことが望ましい。また、所定時間は、監視開始時刻から引き出し式扉25の開閉を検知した時刻までの時間であっても良い。
以上の制御例1では、このように、監視時間帯に、引き出し式扉25の開閉が監視され続け、また減酸素機能の動作が実施され続ける。そして監視時間帯に引き出し式扉25の開閉が検知されなかった場合は、監視時間帯は変更されず、翌日以降も同じ監視時間帯に減酸素機能の動作が実施される。一方、監視時間帯に引き出し式扉25の開閉が検知された場合は、翌日以降の監視時間帯は変更されて遅い時間帯となり、翌日以降は変更された監視時間帯に減酸素機能の動作が実施される。これが毎日繰り返されて、監視時間帯に引き出し式扉25の開閉が検知される度に、翌日以降の監視時間帯が遅い時間帯となり減酸素機能の動作の実施時間帯が遅くなっていく。監視時間帯の変更が何度か繰り返されるうちに、監視時間帯が、冷蔵庫10の利用者が生活パターン上冷蔵庫を利用しない時間帯に入る。すると監視時間帯に引き出し式扉25の開閉が検知されることが無くなり、監視時間帯がそれ以上遅くならなくなる。このようにして監視時間帯がほぼ固定され、減酸素機能が動作する時間帯もほぼ固定される。
以上の制御例1には様々な変更を加えることができる。
例えば、減酸素機能の動作が開始されるのは、第一時間経過時からさらに所定時間だけ計測した時であっても良い。ただし減酸素機能の動作が開始されるのは第二時間経過時より前である。つまり、減酸素機能の動作が開始される時刻は、監視開始時刻から監視終了時刻までの間の時刻(ただし監視開始時刻を含み監視終了時刻を含まない)である。
また、減酸素機能の動作は、第二時間経過時とは無関係に、減酸素機能の動作の開始から一定時間だけ計測した時に終了しても良い。従って、減酸素機能の動作は、第二時間経過時後さらに相当時間経過した時に終了しても良いし、第二時間経過時より前に終了しても良い。第一時間経過時から第二時間経過時までの長さが1時間で、減酸素機能の動作が4時間続くとすると、減酸素機能の動作は第二時間経過時後さらに3時間経過した時に終了することになる。
(本実施形態の制御例2)
図5の制御例2は、制御部70が、監視終了時刻後に減酸素機能の動作を開始し、また、監視時間帯に扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知した場合は当日以降(つまり当日を含む)の監視時間帯を変更する例である。
制御例2では、制御がスタートすると(S1)、制御部70は、制御例1の場合と同様に、第一時間と第二時間とを設定する(S2)。次に制御部70はタイマ74による計測を開始する(S3)。そして第一時間経過時となると(S4のYes)、制御部70は引き出し式扉25の開閉の監視を開始する。
その後、扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知せず(S5のNo)、第二時間経過時となると(S6のYes)、制御部70は引き出し式扉25の開閉の監視を終了し、その後直ちに減酸素機能の動作を開始する(S7)。減酸素機能は予め定められた時間である減酸素時間だけ継続して動作する。具体的には、タイマ74が減酸素機能の動作の開始から減酸素時間だけ計測すると(S8のYes)、制御部70は減酸素機能の動作を終了する(S9)。その後、24時間経過時となると(S10のYes)、制御部70はタイマ74が計測した時間をリセットする(S11)。そして制御部70はタイマ74による計測を再開する(S3)。なお、タイマ74のリセットは、24時間経過時になされるため、タイマ74による計測を再開する時刻は、前日にタイマ74による計測を開始した時刻と同じである。つまり制御部70は24時間毎にタイマ74をリセットし計測を再開する。
このように、第一時間経過時から第二時間経過時までに扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知しなかった場合は、制御部70は第一時間と第二時間とを変更しない。つまり、監視時間帯に扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知しなかった場合は、制御部70は監視開始時刻と監視終了時刻とを変更しない。
一方、第一時間経過時から第二時間経過時までに扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知した場合(S5のYes)、制御部70は直ちに第一時間と第二時間とを再設定する(S12)。具体的には、それまでの第一時間と第二時間とにそれぞれ所定時間を加算し、新しい第一時間と第二時間とする。ここで、監視時間帯の長さを変化させないため、第一時間に加算される所定時間と第二時間に加算される所定時間とは同じ長さである。第一時間と第二時間の再設定後、制御部70はタイマ74をリセットしない。そのためタイマ74は引き続きS3の計測開始時からの経過時間を計測し続ける。また、第一時間と第二時間の再設定時に、制御部70は引き出し式扉25の開閉の監視を終了する。
そして、再設定された第一時間経過時となると(S4のYes)、制御部70は、再び引き出し式扉25の開閉の監視を開始する。ただし、第一時間に加算される所定時間が短いと、第一時間の再設定が行われた時に既に再設定後の第一時間経過時を過ぎていることや、第一時間の再設定が行われる時が再設定後の第一時間経過時と一致することが起こり得る。それらの場合は、制御部70は第一時間と第二時間の再設定後も引き続き引き出し式扉25の開閉を監視し続けている。その後、扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知せず(S5のNo)、再設定された第二時間経過時となると(S6のYes)、制御部70は引き出し式扉25の開閉の監視を終了する。その後制御部70は上記と同様にS7以降の制御を実施する。しかし、再設定された第一時間経過時から再設定された第二時間経過時までに再び扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知した場合(S5のYes)、制御部70は直ちに第一時間と第二時間とを再々設定する(S12)。
このように、第一時間経過時から第二時間経過時までに扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知した場合は、制御部70は直ちに第一時間と第二時間とを変更して長くする。つまり、監視時間帯に扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知した場合は、制御部70は直ちに監視開始時刻と監視終了時刻とを遅らせる。
ここで、第一時間と第二時間とに加算される所定時間の長さは限定されない。所定時間の長さは予め設定された長さで良い。その場合、所定時間の長さは、監視時間帯の長さより短いことが望ましい。
また、所定時間は、最初に設定されていた監視開始時刻から引き出し式扉25の開閉を検知した時刻までの時間であっても良い。その場合、再設定後の第一時間は、最初の第一時間に、タイマ74が最初の第一時間だけ計測した時刻から引き出し式扉25の開閉を検知した時刻までの時間を加算した時間になる。そのため、引き出し式扉25の開閉を検知した時刻が、再設定後の第一時間経過時と一致する。そのため、扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知すると、制御部70は、そのまま再設定後の第二時間経過時まで、引き出し式扉25の開閉の監視を続けることになる。
以上の制御例2では、このように、監視時間帯に引き出し式扉25の開閉の監視が行われ、監視終了時刻後に減酸素機能の動作が実施される。監視時間帯に引き出し式扉25の開閉が検知されなかった場合は、監視時間帯は変更されず、当日は最初に設定された監視時間帯の後直ちに減酸素機能の動作が実施される。一方、監視時間帯に引き出し式扉25の開閉が検知された場合は、当日以降の監視時間帯は変更されて遅い時間帯となる。それに伴い当日以降の減酸素機能の動作の実施時間帯も遅い時間帯となる。そして再設定された監視時間帯に引き出し式扉25の開閉が検知される度に、当日以降の監視時間帯と減酸素機能の動作の実施時間帯とが遅くなっていく。監視時間帯の変更が何度か繰り返されるうちに、監視時間帯が、冷蔵庫10の利用者が生活パターン上冷蔵庫を利用しない時間帯に入る。すると監視時間帯に引き出し式扉25の開閉が検知されることが無くなり、監視時間帯がそれ以上遅くならなくなる。このようにして監視時間帯がほぼ固定され、監視時間帯後の減酸素機能が動作する時間帯もほぼ固定される。
以上の制御例2には様々な変更を加えることができる。
例えば、減酸素機能の動作は、第二時間経過時の後直ちにではなく、第二時間経過時からさらにタイマ74が所定時間だけ計測した時に開始されても良いし、第二時間経過時に開始されても良い。
(本実施形態の制御例3)
図6の制御例3は、制御部70が、監視終了時刻後に減酸素機能の動作を開始し、また、監視時間帯に扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知した場合は翌日以降の監視時間帯を変更する例である。
制御例3では、制御がスタートすると(S1)、制御部70は、制御例1の場合と同様に、第一時間と第二時間とを設定する(S2)。次に制御部70はタイマ74による計測を開始する(S3)。そして第一時間経過時になると(S4のYes)、制御部70は引き出し式扉25の開閉の監視を開始する。
その後、扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知せず(S5のNo)、第二時間経過時となると(S6のYes)、制御部70は引き出し式扉25の開閉の監視を終了し、その後直ちに減酸素機能の動作を開始する(S7)。減酸素機能は予め定められた時間である減酸素時間だけ継続して動作する。具体的には、タイマ74が減酸素機能の動作の開始から減酸素時間だけ計測すると(S8のYes)、制御部70は減酸素機能の動作を終了する(S9)。その後、24時間経過時になると(S10のYes)、制御部70はタイマ74が計測した時間をリセットする(S11)。そして制御部70はタイマ74による計測を再開する(S3)。なお、タイマ74のリセットは24時間経過時になされるため、タイマ74による計測を再開する時刻は、前日にタイマ74による計測を開始した時刻と同じである。つまり制御部70は24時間毎にタイマ74をリセットし計測を再開する。
このように、第一時間経過時から第二時間経過時までに扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知しなかった場合は、制御部70は第一時間と第二時間とを変更しない。つまり、監視時間帯に扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知しなかった場合は、制御部70は監視開始時刻と監視終了時刻とを変更しない。
一方、第一時間経過時から第二時間経過時までに扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知した場合(S5のYes)も、制御部70は、それを検知しなかった場合のステップS6〜S10と同じステップS12〜S16を実施する。そして、24時間経過時になると(S16のYes)、制御部70は第一時間と第二時間とを再設定する(S17)。具体的には、監視開始時刻と監視終了時刻が遅くなるように、それまでの第一時間と第二時間とにそれぞれ所定時間を加算し、新しい第一時間と第二時間とする。ここで、監視時間帯の長さを変化させないため、第一時間に加算される所定時間と第二時間に加算される所定時間とは同じ長さである。そして制御部70はタイマ74をリセットする(S18)。そして制御部70はタイマ74による計測を再開する(S3)。なお、第一時間と第二時間の再設定及びタイマ74のリセットは、24時間経過時になされるため、タイマ74による計測を再開する時刻は、前日にタイマ74による計測を開始した時刻と同じである。つまり制御部70は24時間毎にタイマ74をリセットし計測を再開する。
このように、第一時間経過時から第二時間経過時までに扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知した場合は、制御部70は翌日以降の第一時間と第二時間とを設定して長くする。つまり、監視時間帯に扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知した場合は、制御部70は翌日以降の監視開始時刻と監視終了時刻とを遅らせる。
ここで、第一時間と第二時間とに加算される所定時間の長さは限定されない。所定時間の長さは予め設定された長さでも良い。その場合、所定時間の長さは、監視時間帯の長さより短いことが望ましい。また、所定時間は、監視開始時刻から引き出し式扉25の開閉を検知した時刻までの時間であっても良い。
以上の制御例3では、このように、監視時間帯に引き出し式扉25の開閉の監視が行われ、監視終了時刻後に減酸素機能の動作が実施される。監視時間帯に引き出し式扉25の開閉が検知されなかった場合は、監視時間帯は変更されず、当日は最初に設定された監視時間帯の後直ちに減酸素機能の動作が実施される。一方、監視時間帯に引き出し式扉25の開閉が検知された場合は、翌日以降の監視時間帯は変更されて遅い時間帯となる。それに伴い翌日以降の減酸素機能の動作の実施時間帯も遅い時間帯となる。このように監視時間帯に引き出し式扉25の開閉が検知される度に、翌日以降の監視時間帯と減酸素機能の動作の実施時間帯とが遅くなっていく。監視時間帯の変更が何度か繰り返されるうちに、監視時間帯が、冷蔵庫10の利用者が生活パターン上冷蔵庫を利用しない時間帯に入る。すると監視時間帯に引き出し式扉25の開閉が検知されることが無くなり、監視時間帯がそれ以上遅くならなくなる。このようにして監視時間帯がほぼ固定され、監視時間帯後の減酸素機能が動作する時間帯もほぼ固定される。
以上の制御例3には様々な変更を加えることができる。
例えば、減酸素機能の動作は、第二時間経過時後直ちにではなく、第二時間経過時からさらにタイマ74が所定時間だけ計測した時に開始されても良いし、第二時間経過時に開始されても良い。
(本実施形態の制御例4)
図7の制御例4は、制御部70が、監視終了時刻後に減酸素機能の動作を開始し、また、監視時間帯に扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知した場合は当日以降(つまり当日を含む)の監視時間帯を変更する例である。制御例4では、さらに、監視終了時刻以後の減酸素機能の動作中も制御部70が引き出し式扉25の開閉を監視し続け、引き出し式扉25の開閉を検知した場合は、制御部70は翌日以降の監視時間帯を変更する。
制御例4では、制御がスタートすると(S1)、制御部70は、制御例1の場合と同様に、第一時間と第二時間とを設定する(S2)。次に制御部70はタイマ74による計測を開始する(S3)。そして第一時間経過時になると(S4のYes)、制御部70は引き出し式扉25の開閉の監視を開始する。
その後、扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知せず(S5のNo)、第二時間経過時になった場合(S6のYes)、制御部70は引き出し式扉25の開閉の監視を終了し、その後直ちに減酸素機能の動作を開始する(S7)。
一方、第一時間経過時から第二時間経過時までに扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知した場合(S5のYes)、制御例2の場合と同様に、制御部70は直ちに第一時間と第二時間とを再設定する(S13)。再設定の方法、及び、再設定後最終的な第二時間経過時までのステップは、制御例2に記載されている通りである。その後、最終的に設定された第二時間経過時になると(S6のYes)、制御部70は引き出し式扉25の開閉の監視を終了し、その後直ちに減酸素機能の動作を開始する(S7)。このように、第一時間経過時から第二時間経過時までに扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知した場合は、制御部70は直ちに第一時間と第二時間とを変更して長くする。つまり、監視時間帯に扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知した場合は、制御部70は当日以降の監視開始時刻と監視終了時刻とを遅らせる。
制御例4では、制御部70は、減酸素機能の動作を開始すると同時に再び引き出し式扉25の開閉の監視を開始し、減酸素機能の動作中引き出し式扉25の開閉を監視し続ける。減酸素機能は予め定められた時間である減酸素時間だけ継続して動作する。タイマ74は減酸素時間を計測している。
扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知せずに(S8のNo)、減酸素時間経過時(タイマ74が、減酸素機能の動作の開始から減酸素時間だけ計測した時)となると(S9のYes)、制御部70は減酸素機能の動作を終了する(S10)。それと同時に、制御部70は引き出し式扉25の開閉の監視も終了する。その後24時間経過時となると(S11のYes)、制御部70はタイマ74が計測した時間をリセットする(S12)。そして制御部70はタイマ74による計測を再開する(S3)。なお、タイマ74のリセットは24時間経過時になされるため、タイマ74による計測を再開する時刻は、前日にタイマ74による計測を開始した時刻と同じである。つまり制御部70は24時間毎にタイマ74をリセットし計測を再開する。
このように、減酸素機能の動作中に扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知しなかった場合は、制御部70は第一時間と第二時間とを変更しない。つまりこの場合は、制御部70は監視開始時刻と監視終了時刻とを変更しない。
一方、減酸素機能の動作中に扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知した場合(S8のYes)、制御部70は減酸素時間経過時前まで減酸素機能の動作を継続する。そして、減酸素時間経過時となると(S14のYes)、制御部70は、減酸素機能の動作を終了し(S15)、それと同時に引き出し式扉25の開閉の監視も終了する。その後24時間経過時となると(S16のYes)、制御部70は第一時間と第二時間とを再設定する(S17)。具体的には、監視開始時刻と監視終了時刻が遅くなるように、それまでの第一時間と第二時間とにそれぞれ所定時間を加算し、新しい第一時間と第二時間とする。なお、監視時間帯の長さを変化させないため、第一時間に加算される所定時間と第二時間に加算される所定時間とは同じ長さである。また制御部70はタイマ74をリセットする(S18)。そして制御部70はタイマ74による計測を再開する(S3)。なお、第一時間と第二時間の再設定及びタイマ74のリセットは、24時間経過時になされるため、タイマ74による計測を再開する時刻は、前日にタイマ74による計測を開始した時刻と同じである。つまり制御部70は24時間毎にタイマ74をリセットし計測を再開する。
このように、減酸素機能の動作中に扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知した場合は、制御部70は、第一時間と第二時間とを変更して長くし、翌日以降の監視開始時刻と監視終了時刻とを遅らせる。
以上の制御例4では、制御例2のように監視終了時刻後に減酸素機能の動作が開始される。しかし制御例2と異なり、制御部70は、減酸素機能の動作中も引き出し式扉25の開閉を監視し、引き出し式扉25の開閉を検知した場合は、翌日以降の監視時間帯を変更して遅い時間帯とする。それに伴い翌日以降の減酸素機能の動作の時間帯も遅い時間帯となる。これが毎日繰り返されて、監視時間帯後の減酸素機能の動作中に引き出し式扉25の開閉が検知される度に、翌日以降の監視時間帯と減酸素機能の動作時間帯が遅くなっていく。監視時間帯の変更が何度か繰り返されるうちに、監視時間帯が、冷蔵庫10の利用者が生活パターン上冷蔵庫を利用しない時間帯に入る。すると監視時間帯に引き出し式扉25の開閉が検知されることが無くなり、監視時間帯がそれ以上遅くならなくなる。このようにして監視時間帯がほぼ固定され、減酸素機能が動作する時間帯もほぼ固定される。
以上の制御例4には様々な変更を加えることができる。
例えば、減酸素機能の動作は、第二時間経過時後直ちにではなく、第二時間経過時からさらにタイマ74が所定時間だけ計測した時に開始されても良いし、第二時間経過時に開始されても良い。
また、減酸素機能の動作が第二時間経過時後直ちに実施される場合は、制御部70は、引き出し式扉25の開閉の監視を、第二時間経過時に中断せずに、減酸素機能の動作中まで継続して実施しても良い。
また、減酸素時間を計測するタイマは、第一時間及び第二時間を計測するタイマ74とは別のものであっても良い。
(本実施形態の効果)
以上の制御例1〜4のいずれでも、最終的に、監視時間帯と減酸素機能の動作時間帯とが、冷蔵庫10の利用者が生活パターン上冷蔵庫を利用しない時間帯になる。そのため減酸素機能の動作中に引き出し式扉25が開閉される可能性が低くなる。また、扉が開閉した時刻を時計で計測しその時刻を記録する必要が無いため、冷蔵庫10の制御のためのソフトが複雑化せず、それに起因する不具合も発生しにくい。
また、監視時間帯に扉センサ73が引き出し式扉25の開閉を検知した場合に第一時間と第二時間とに加算される所定時間の長さが、監視時間帯の長さより短ければ、検知の度に監視時間帯が少しずつずれていくことになる。そのため、制御部70は、監視時間帯として最適な時間帯を確実に探し当てることになり、その時間帯を実際の監視時間帯とすることができる。
また、制御例1のように監視時間帯に減酸素機能の動作を開始する制御では、最終的に、実際に引き出し式扉25の開閉が無い時間帯が監視時間帯となり、その監視時間帯に減酸素機能の動作が開始されることになるため、減酸素機能の動作中に引き出し式扉25が開閉されることを防ぐことができる。
また、一般的な行動パターンに基づくと、冷蔵庫利用者が野菜室22の引き出し式扉25を開閉しない時間は長時間続き、一定時間(例えば1時間)引き出し式扉25が開閉されない場合はその後の一定時間(例えば4時間)も引き出し式扉25が開閉されない可能性が高い。制御例2〜4はこのことを利用した制御で、これらの制御では監視時間帯に引き出し式扉25が開閉されないことが確認されてから減酸素機能の動作が開始されるため、減酸素機能の動作中も引き出し式扉25が開閉される可能性が低い。
(本実施形態の変更例)
監視開始時刻と監視終了時刻との少なくともいずれか一方の時刻に基づいて動作する所定機能は、減酸素機能以外の機能であっても良い。他の所定機能として、例えば、節電機能や除霜機能等が挙げられる。節電機能は、冷蔵庫10の消費電力を抑える機能で、例えば冷蔵用冷却器71の設定温度を通常時(節電機能が動作していない時)の設定温度よりも高くする機能である。除霜機能は、冷蔵用冷却器71をヒータで暖めることにより、これに付着した霜を除去する機能である。これらの機能は冷蔵空間20内の温度を上昇させる可能性のある機能であるため、これらの機能の動作中に冷蔵空間20の扉の開閉がなされた場合、常温の空気が入る影響で冷蔵空間20内の温度が高くなり過ぎるおそれがある。しかし、上記実施形態の方法により、冷蔵空間20の扉の開閉が無い時間帯にこれらの機能が動作するようになれば、冷蔵空間20内の温度が高くなり過ぎることを防ぐことができる。
また、扉開閉検知部が設けられる扉は、前記所定機能の動作中に開閉することが望ましくない扉であれば良い。例えば前記所定機能が、冷凍用冷却器72の設定温度を通常時の設定温度よりも高くする機能や、冷凍用冷却器72の除霜を行う機能である場合、所定機能の動作中に冷凍空間40の温度が高くなる可能性がある。そのため、これらの所定機能の動作中に冷凍室42の引き出し式扉43や製氷室41の引き出し式扉46が開閉すると、冷凍空間40の温度が高くなり過ぎるおそれがある。そこで、扉開閉検知部が冷凍室42の引き出し式扉43や製氷室41の引き出し式扉46に設けられ、これらの扉の開閉が無い時間帯にこれらの機能が動作するように、制御部70が制御することが望ましい。
また、上記の各制御例において、監視時間帯に扉開閉検知部が冷蔵庫の扉の開閉を検知しなかったことが、予め設定された所定回数連続した場合(つまり、監視時間帯に扉の開閉が検知されない日が所定日数(例えば5〜7日)続いた場合)は、制御部70は監視開始時刻と監視終了時刻とを固定しても良い。その場合、監視開始時刻と監視終了時刻との固定後に開閉検知部が扉の開閉を検知しても、監視開始時刻と監視終了時刻とを所定時間ずらさない。この制御が実施された場合、冷蔵庫10の利用者が普段冷蔵庫を利用しない時刻に偶発的に冷蔵庫10の扉を開けたとしても、監視開始時刻と監視終了時刻とがその影響を受けるおそれが無い。
以上の実施形態は例示であり、発明の範囲はこれに限定されない。以上の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。以上の実施形態やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。