JP2019173818A - 車両用動力伝達装置の制御装置 - Google Patents

車両用動力伝達装置の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】第2のクラッチの係合によるタービン回転速度のオーバーレブを抑制した車両用動力伝達装置の制御装置を提供する。【解決手段】第2のクラッチC2への制御指示がNレンジ以外であって、第2のクラッチC2が解放状態から係合状態へ遷移する際に、第2のクラッチC2の係合時のエンジン12のエンジン回転速度Neがオーバーレブ判定回転速度Nover以上であるオーバーレブ状態になると推測すると(ステップS208)、無段変速機24の変速比γcvtがオーバーレブ状態を回避可能な所定値にアップシフトするまで第2のクラッチC2のガレージ係合制御が待機させられる(ステップS210)。【選択図】図13

Description

本発明は、エンジンと駆動輪との間に並列に設けられた複数の動力伝達経路を備える車両用動力伝達装置の制御装置に関するものである。
エンジンの出力トルクが伝達される入力回転部材と駆動輪へ前記出力トルクを伝達する出力回転部材との間に第1の動力伝達経路と第2の動力伝達経路とが並列に設けられた車両であって、前記第1の動力伝達経路は第1のクラッチおよび噛合クラッチの係合により形成される有段変速機であるギヤ機構を介したものであり、前記第2の動力伝達経路は第2のクラッチの係合によって形成されるプライマリプーリとセカンダリプーリとの間に伝動ベルトが巻き掛けられた無段変速機を介したものである車両用動力伝達装置の、制御装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の車両用動力伝達装置の制御装置がそれである。特許文献1に記載の車両用動力伝達装置の制御装置では、エンジンによって回転駆動されるオイルポンプから供給される作動油を用いて、第1のクラッチ、第2のクラッチ、噛合クラッチ、第1のブレーキ、プライマリプーリ、セカンダリプーリ、およびロックアップクラッチを各々作動させる油圧を出力する複数のソレノイドバルブを含む油圧制御回路によって車両用動力伝達装置が制御される。また、上記複数のソレノイドバルブのいずれかに異常が発生した場合、油圧制御回路内に設けられたシーケンスバルブを正常状態からフェールセーフ状態へ切り替えることで油路が切り替えられて、フェールセーフ機能が発揮されるようになっている。
特開2017−48898号公報
上記車両用動力伝達装置の制御装置では、シーケンスバルブを正常状態とするために作動油のモジュレータ圧および第2のクラッチの作動制御用の油圧が用いられており、シーケンスバルブをフェールセーフ状態とするためにプライマリプーリの作動制御用の油圧が用いられている。このとき、モジュレータ圧が低下すると、シーケンスバルブが意図せずにフェールセーフ状態へ切り替えられてしまう誤切替が発生するおそれがある。シーケンスバルブの誤切替が発生すると、第1のクラッチ、第2のクラッチ、プライマリプーリ、またはロックアップクラッチが運転者の意図と異なる作動をしてしまい、ドライバビリティが悪化する。ここで、エンジンのアイドルアップ制御によりモジュレータ圧が高くされれば誤切替が抑制されるが、この場合燃費が悪化してしまう。また、第2のクラッチの作動制御用の油圧が高くされることで誤切替が抑制されるが、この場合第2のクラッチが解放されにくくなりギヤ機構を介した第1の動力伝達経路を用いた走行が困難となる。また、プライマリプーリの作動制御用の油圧が低くされることで誤切替が抑制されるが、単純に低下させられるとプライマリプーリの作動制御に影響して無段変速機の変速制御に悪影響が出てしまう。そのため、第2のクラッチの作動状態(完全解放、係合過渡、解放過渡、完全係合の各状態)に応じてプライマリプーリの作動制御用の油圧に上限ガード圧を設けることで、無段変速機のプライマリプーリの作動制御への悪影響を抑制しつつ誤切替を抑制する制御装置が考えられる。しかし、例えば上記のようにプライマリプーリの作動制御用の油圧が上限ガード圧によって低く制限され、それと同時に無段変速機のセカンダリプーリの作動制御用の油圧が高く制御されてしまうと、無段変速機の実変速比が最大値付近まで大きくなってダウンシフトとなってしまう。このような状態で第2のクラッチが解放状態から係合状態に遷移すると、タービン回転速度がオーバーレブ状態となるおそれがある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、第2のクラッチの係合によるタービン回転速度のオーバーレブを抑制した車両用動力伝達装置の制御装置を提供することにある。
本発明の要旨とするところは、(a)エンジンに連結された入力回転部材と、駆動輪に連結された出力回転部材と、前記入力回転部材と前記出力回転部材とを有段変速機であるギヤ機構を経由して前記エンジンの出力トルクを伝達する第1の動力伝達経路と、前記入力回転部材と前記出力回転部材とを無段変速機を経由して前記エンジンの出力トルクを伝達する第2の動力伝達経路と、前記第1の動力伝達経路内に設けられ、前記第1の動力伝達経路を断接する第1のクラッチと、前記第2の動力伝達経路内に設けられ、前記第2の動力伝達経路を断接する第2のクラッチと、前記第1の動力伝達経路上に設けられた噛合クラッチと、後進走行時に係合する第1のブレーキと、を備える車両用動力伝達装置の、制御装置であって、(b)前記第2のクラッチへの制御指示がNレンジ以外であって、前記第2のクラッチが解放状態から係合状態へ遷移する際に、前記第2のクラッチの係合時における前記入力回転部材に連結されたタービンのタービン回転速度がオーバーレブ判定回転速度以上になってオーバーレブ状態になると推測すると、前記無段変速機の変速比が前記オーバーレブ状態を回避可能な所定値にアップシフトするまで前記第2のクラッチのガレージ係合制御を待機させることにある。
本発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記第2のクラッチへの制御指示がNレンジ以外であって、前記第2のクラッチが解放状態から係合状態へ遷移する際に、前記第2のクラッチの係合時における前記入力回転部材に連結されたタービンのタービン回転速度がオーバーレブ判定回転速度以上になってオーバーレブ状態になると推測されると、前記無段変速機の変速比が前記オーバーレブ状態を回避可能な所定値にアップシフトするまで前記第2のクラッチのガレージ係合制御が待機させられる。これにより、第2のクラッチの係合によるタービン回転速度のオーバーレブが回避される。
本発明が適用される車両用動力伝達装置を搭載した車両の骨子図であるとともに、車両における各種制御の為の電子制御装置の制御機能および制御系統の要部を説明する図である。 図1の油圧制御回路の構成を説明する図である。 図2のシーケンスバルブの構成図である。 図2の油圧制御回路において第2のクラッチが解放状態のときのシーケンスバルブの切替作動を説明する図である。 図2の油圧制御回路において第2のクラッチが係合状態のときのシーケンスバルブの切替作動を説明する図である。 図2の油圧制御回路において第2のクラッチの作動状態に応じたSLP出力圧の上限ガード圧の設定方法の一例である。 図2の油圧制御回路において第2のクラッチの作動状態に応じたSLP出力圧の上限ガード圧を設定する場合のタイムチャートである。 完全解放、完全係合、解放過渡、および係合過渡の4つの状態で表される第2のクラッチの作動状態と、その作動状態の切替えを判定する遷移条件との関係を示す状態遷移図である。 無段変速機の変速制御において目標入力軸回転速度を求める際に用いられる変速マップの一例を示す図である。 図2の油圧制御回路において非後進状態から後進状態へ切り替えられる場合のタイムチャートである。 図2の油圧制御回路において第2のクラッチの作動状態に応じたSLP出力圧の上限ガード圧の設定の制御作動を説明するフローチャートである。 図11のフローチャートのステップS50における第2のクラッチの作動状態の判定の制御作動を説明する部分フローチャートの一例である。 図11のフローチャートのステップS200における第2のクラッチC2の係合制御の制御作動を説明する部分フローチャートの一例である。
本発明の別の実施形態において、(a)エンジンに連結された入力回転部材と、駆動輪に連結された出力回転部材と、前入力回転部材と前記出力回転部材とを有段変速機であるギヤ機構を経由して前記エンジンの出力トルクを伝達する第1の動力伝達経路と、前記入力回転部材と前記出力回転部材とを無段変速機を経由して前記エンジンの出力トルクを伝達する第2の動力伝達経路と、前記第1の動力伝達経路内に設けられ、前記第1の動力伝達経路を断接する第1のクラッチと、前記第2の動力伝達経路内に設けられ、前記第2の動力伝達経路を断接する第2のクラッチと、前記第1の動力伝達経路上に設けられた噛合クラッチと、後進走行時に係合する第1のブレーキと、を備える車両に関して、前記エンジンにより回転駆動されるオイルポンプと、前記オイルポンプから作動油が供給されてモジュレータ圧を生成するモジュレータバルブと、前記モジュレータ圧に基づいて前進走行操作ポジションの場合には前進油圧を出力し、前進走行操作ポジションの場合には後進油圧を出力するマニュアルバルブと、前記モジュレータ圧に基づいて前記第2のクラッチを作動させる第1の係合圧を供給可能なC2用ソレノイドバルブ、前記モジュレータ圧に基づいて前記無段変速機のプライマリプーリを作動させるプライマリ制御圧を調圧可能な第2の係合圧を供給可能なプライマリ用ソレノイドバルブ、および前記モジュレータ圧に基づいて前記無段変速機のセカンダリプーリを作動させるセカンダリ制御圧を調圧可能な第3の係合圧を供給可能なセカンダリ用ソレノイドバルブを含むソレノイドバルブ群と、前記ソレノイドバルブ群に含まれるソレノイドバルブのいずれもが正常の場合には第1の油路が形成される正常状態および前記ソレノイドバルブ群に含まれるソレノイドバルブのいずれかが異常の場合には第2の油路が形成されるフェールセーフ状態が切り替え可能であって、前記正常状態とする推力として前記モジュレータ圧および前記第1の係合圧が供給され、前記フェールセーフ状態とする推力として前記第2の係合圧が供給されるシーケンスバルブと、非後進状態と後進状態とで油路が切り替え可能であって、前記非後進状態とする推力として前記第3の係合圧が供給され、前記後進状態とする推力として前記後進油圧が供給されるS1B1コントロールバルブと、を備える車両用油圧制御装置であって、(b)前記第2のクラッチへの制御指示がNレンジ以外であって、前記第2のクラッチが解放状態から係合状態へ遷移する際に、前記第2の係合圧が前記シーケンスバルブの前記切り替えの誤作動を抑制するために設定された上限ガード圧によって低くされ、前記第3の係合圧が前記S1B1コントロールバルブの前記非後進状態の維持制御によって高くされることにより、前記第2のクラッチの係合時における前記入力回転部材に連結されたタービンのタービン回転速度がオーバーレブ判定回転速度以上になってオーバーレブ状態になると推測すると、前記無段変速機の変速比が前記オーバーレブ状態を回避可能な所定値にアップシフトするまで前記第2のクラッチのガレージ係合制御を待機させる。これにより、オーバーレブ状態となるのが回避されつつ、目的に応じて第2の係合圧および第3の係合圧が高められたり低められたりできる。
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明が適用される車両用動力伝達装置16を搭載した車両10の骨子図であるとともに、車両10における各種制御の為の電子制御装置100の制御機能および制御系統の要部を説明する図である。車両10は、例えば、走行用の駆動力源として用いられるエンジン12と、エンジン12の動力を駆動輪14に伝達する車両用動力伝達装置(以下、動力伝達装置という)16と、油圧制御回路46および電子制御装置100を有する車両用油圧制御装置150と、を備える。
動力伝達装置16は、流体式伝動装置であるトルクコンバータ20、入力軸22、前後進切替装置26、無段変速機24、ギヤ機構28、出力軸30、カウンタ軸32、出力軸30およびカウンタ軸32に各々相対回転不能に設けられて噛み合う一対のギヤから成る減速歯車装置34、カウンタ軸32に相対回転不能に設けられたギヤ36、ギヤ36に連結されたデフギヤ38、および車軸40を含む。エンジン12で発生させられた動力(トルク)は、トルクコンバータ20を介して入力軸22に伝達される。動力伝達装置16には、入力軸22から前後進切替装置26、ギヤ機構28を経由して出力軸30に動力を伝達する第1の動力伝達経路PT1と、入力軸22から無段変速機24を経由して出力軸30に動力を伝達する第2の動力伝達経路PT2と、のいずれかが選択的に成立可能なように並列に構成されている。出力軸30は、減速歯車装置34、カウンタ軸32、ギヤ36、デフギヤ38および車軸40を介して駆動輪14に動力を伝達する。車両10の走行状態に応じて第1の動力伝達経路PT1と第2の動力伝達経路PT2とを切り替えるために、動力伝達装置16は、後述する前進用クラッチとしての第1のクラッチC1、後進用ブレーキとしての第1のブレーキB1、ベルト走行モード用クラッチとしての第2のクラッチC2、および噛合クラッチD1を含む複数の係合装置を備えている。なお、入力軸22は、本発明における「入力回転部材」に相当し、出力軸30は、本発明における「出力回転部材」に相当する。
トルクコンバータ20は、エンジン12のクランク軸に連結されたポンプ翼車20pと、トルクコンバータ20の出力側部材に相当する入力軸22を介して前後進切替装置26に連結されたタービン翼車20tと、を備える。ポンプ翼車20pとタービン翼車20tとの間にはロックアップクラッチLUが設けられ、このロックアップクラッチLUが完全係合させられることでポンプ翼車20pおよびタービン翼車20tが一体的に回転させられる。トルクコンバータ20は、ロックアップクラッチLUを係合する油圧が供給される係合側油室20onと、ロックアップクラッチLUを解放する油圧が供給される解放側油室20offと、を備える。なお、「タービン翼車20t」は本発明における「タービン」に相当し、入力軸22に連結されている。
オイルポンプ44は、ポンプ翼車20pに連結された機械式オイルポンプである。オイルポンプ44は、エンジン12により回転駆動されることによって、無段変速機24を変速制御したり、無段変速機24におけるベルト挟圧力を発生させたり、前記複数の係合装置の各々の係合や解放などの作動状態を切り替えたり、ロックアップクラッチLUの作動状態を切り替えたりするための作動油を、車両10に設けられた油圧制御回路46へ供給する。
前後進切替装置26は、第1のクラッチC1と、第1のブレーキB1と、ダブルピニオン型の遊星歯車装置26pと、を主体として構成されている。遊星歯車装置26pは、サンギヤ26s、キャリア26c、およびリングギヤ26rを有する。キャリア26cと入力軸22とは、一体的に回転させられるように連結されている。リングギヤ26rは、第1のブレーキB1を介して非回転部材であるケース18に選択的に連結される。サンギヤ26sとキャリア26cとは、第1のクラッチC1を介して選択的に連結される。前後進切替装置26は、第1のクラッチC1を係合状態にすると共に第1のブレーキB1を解放状態にして車両10を前進走行させる前進モードと、第1のクラッチC1を解放状態にすると共に第1のブレーキB1を係合状態にして車両10を後進走行させる後進モードと、に切替可能である。第1のクラッチC1および第1のブレーキB1並びに第2のクラッチC2および噛合クラッチD1は、いずれも油圧アクチュエータによってその係合状態が制御される油圧式係合装置である。
サンギヤ26sは、ギヤ機構28を構成する小径ギヤ48に連結されている。ギヤ機構28は、小径ギヤ48と、ギヤ機構カウンタ軸50と、ギヤ機構カウンタ軸50まわりにそのギヤ機構カウンタ軸50に対して同軸心で相対回転不能に設けられて小径ギヤ48と噛み合う大径ギヤ52と、を備える。大径ギヤ52は、小径ギヤ48よりも大径である。ギヤ機構28は、ギヤ機構カウンタ軸50まわりにそのギヤ機構カウンタ軸50に対して同軸心で相対回転可能に設けられたアイドラギヤ54と、出力軸30まわりにその出力軸30に対して同軸心に相対回転不能に設けられてアイドラギヤ54と噛み合う出力ギヤ42と、を備える。出力ギヤ42は、アイドラギヤ54よりも大径である。従って、ギヤ機構28は、入力軸22と出力軸30との間で形成される第1の動力伝達経路PT1において、1つのギヤ段を有する有段変速機として機能する。
ギヤ機構28は、ギヤ機構カウンタ軸50まわりに、大径ギヤ52とアイドラギヤ54との間に設けられて、これらの間の動力伝達経路を選択的に接続したり、切断したりする噛合クラッチD1を備える。噛合クラッチD1は、第1の動力伝達経路PT1を選択的に接続したり、切断したりする係合装置であって、係合されることで第1の動力伝達経路PT1を形成する。噛合クラッチD1は、第1のクラッチC1または第1のブレーキB1と共に係合されることで第1の動力伝達経路PT1を形成する。第1のクラッチC1および第1のブレーキB1が共に解放されると、または、噛合クラッチD1が解放されると、第1の動力伝達経路PT1は切断される。噛合クラッチD1は、係合する際に回転を同期させる同期機構としての公知のシンクロメッシュ機構S1を備える。噛合クラッチD1は、動力伝達装置16に備えられた油圧アクチュエータ56の作動によって作動状態が切り替えられる。噛合クラッチD1にはスプリング56aが設けられており、噛合クラッチD1はスプリング56aから解放させられる方向の付勢力が付与されている。
無段変速機24は、入力軸22側に設けられた入力側部材である有効径が可変のプライマリプーリ58と、出力側部材である有効径が可変のセカンダリプーリ60と、プライマリプーリ58とセカンダリプーリ60との間に巻き掛けられた伝動ベルト62と、を備える。無段変速機24は、プライマリプーリ58およびセカンダリプーリ60と伝動ベルト62との間の摩擦力を介して動力伝達を行うベルト式無段変速機である。前記摩擦力は、挟圧力も同意であり、ベルト挟圧力ともいう。プライマリプーリ58は、入力軸22に対して同軸に取り付けられた入力側固定回転体としての固定シーブ58aと、固定シーブ58aに対して軸まわりに相対回転不能且つ軸方向に移動可能に設けられた入力側可動回転体としての可動シーブ58bと、それらの間のV溝幅を変更するために可動シーブ58bを移動させるための推力を発生させる油圧アクチュエータ58cと、を備える。セカンダリプーリ60は、出力側固定回転体としての固定シーブ60aと、固定シーブ60aに対して軸まわりに相対回転不能且つ軸方向に移動可能に設けられた出力側可動回転体としての可動シーブ60bと、それらの間のV溝幅を変更するために可動シーブ60bを移動させるための推力を発生させる油圧アクチュエータ60cと、を備える。無段変速機24においては、プライマリプーリ58におけるV溝幅が変化させられて伝動ベルト62の掛かり径(有効径)が変更されることで、変速比γcvt(=入力軸回転速度Nin/出力軸回転速度Nout)が連続的に変更させられる。例えば、プライマリプーリ58のV溝幅が狭くされると、変速比γcvtが小さくなる。すなわち、無段変速機24がアップシフトされる。プライマリプーリ58のV溝幅が広くされると、変速比γcvtが大きくなる、すなわち無段変速機24がダウンシフトされる。
電子制御装置100は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。電子制御装置100は、無段変速機24の変速制御やベルト挟圧力制御、複数の係合装置(C1,B1,C2,D1)の各々の作動状態を切り替える油圧制御等を実行する。なお、電子制御装置100は、本発明における「制御装置」に相当する。
電子制御装置100には、車両10に備えられた各種センサ等(例えば各種回転速度センサ64、66、68、70、アクセル操作量センサ72、スロットル開度センサ74、シフトポジションセンサ76など)による各種検出信号等(例えば、エンジン回転速度Ne(rpm)、入力軸回転速度Nin(rpm)と同値となるプライマリ回転速度Npri(rpm)、セカンダリ回転速度Nsec(rpm)、車速V(km/h)に対応する出力軸回転速度Nout(rpm)、運転者の加速操作の大きさを表すアクセル操作量θacc(%)、スロットル開度tap(%)、車両10に備えられたシフトレバー98の操作ポジションPOSshなど)が、それぞれ入力される。電子制御装置100からは、車両10に設けられた各装置、例えば油圧制御回路46などに各種指令信号(例えば、無段変速機24の変速やベルト挟圧力等を制御する為の油圧制御指令信号Scvt、複数の係合装置の各々の作動状態を制御する為の油圧制御指令信号Scbdなど)が、それぞれ出力される。なお、入力軸回転速度Ninは、タービン翼車20tの回転速度であるタービン回転速度Nt(rpm)およびプライマリプーリ58の回転速度であるプライマリ回転速度Npriと同じであり、セカンダリ回転速度Nsecは、セカンダリプーリ60の回転速度である。電子制御装置100は、プライマリ回転速度Npriとセカンダリ回転速度Nsecとに基づいて無段変速機24の実変速比である変速比γcvt(=Npri/Nsec)を算出する。
シフトレバー98の操作ポジションPOSshは、例えばP、R、N、D操作ポジションである。P操作ポジションは、動力伝達装置16がニュートラル状態とされ、且つ出力軸30が回転不能に機械的に固定された動力伝達装置16のPポジションを選択するパーキング操作ポジションである。動力伝達装置16のニュートラル状態は、例えば第1のクラッチC1、第1のブレーキB1、および第2のクラッチC2が共に解放されることで実現される。つまり、動力伝達装置16のニュートラル状態は、第1の動力伝達経路PT1および第2の動力伝達経路PT2がいずれも形成されていない状態である。R操作ポジションは、ギヤ走行モードにて後進走行を可能とする動力伝達装置16のRポジションを選択する後進走行操作ポジションである。N操作ポジションは、動力伝達装置16をニュートラル状態とする動力伝達装置16のNポジションを選択するニュートラル操作ポジションである。D操作ポジションは、ギヤ走行モードにて前進走行を可能とするか、または、ベルト走行モードにて無段変速機24の自動変速制御を実行して前進走行を可能とする動力伝達装置16のDポジションを選択する前進走行操作ポジションである。電子制御装置100は、シフトレバー98がP操作ポジションに操作されるとPレンジの制御指示を行い、シフトレバー98がR操作ポジションに操作されるとRレンジの制御指示を行う。また、電子制御装置100は、シフトレバー98がN操作ポジションに操作されるとNレンジの制御指示を行い、シフトレバー98がD操作ポジションに操作されるとDレンジの制御指示を行う。
図2は、図1の油圧制御回路46の構成を説明する図である。なお、本明細書において、「油圧(係合圧、出力圧、および制御圧を含む)を供給する」とは、「そのような油圧となっている作動油を供給する」との意である。
油圧制御回路46は、オイルポンプ44で発生された油圧を不図示のプライマリレギュレータバルブおよびセカンダリレギュレータバルブにより、それぞれ例えばスロットル開度tap等で表されるエンジン12の負荷に応じて調圧された第1ライン圧PL1(MPa)および第2ライン圧PL2(MPa)を生成する。
油圧制御回路46は、C1用ソレノイドバルブSL1、C2用ソレノイドバルブSL2、D1用ソレノイドバルブSLG、プライマリ用ソレノイドバルブSLP、セカンダリ用ソレノイドバルブSLS、およびロックアップ用ソレノイドバルブSLUを備え、これら各ソレノイドバルブは、ソレノイドバルブ群SLgrに含まれる。また、油圧制御回路46は、モジュレータバルブ80、マニュアルバルブ82、プライマリ圧コントロールバルブ84、セカンダリ圧コントロールバルブ86、シーケンスバルブ88、C1コントロールバルブ90、S1B1コントロールバルブ92、LU圧コントロールバルブ94、およびアキュムレータ96を備える。なお、ロックアップ用ソレノイドバルブSLU、C1用ソレノイドバルブSL1、C2用ソレノイドバルブSL2、およびD1用ソレノイドバルブSLGは、非通電時(以下、オフともいう)に入力ポートと出力ポートとを遮断し、通電時(以下、オンともいう)に連通する所謂ノーマリークローズ(N/C)型のリニアソレノイドバルブである。プライマリ用ソレノイドバルブSLP、セカンダリ用ソレノイドバルブSLSは、通電時に入力ポートと出力ポートとを遮断し、非通電時に連通する所謂ノーマリーオープン(N/O)型のリニアソレノイドバルブである。
油圧制御回路46は、油圧により作動されて第1のクラッチC1を断接可能な油圧アクチュエータC1aと、油圧により作動されて第2のクラッチC2を断接可能な油圧アクチュエータC2aと、油圧により作動されて噛合クラッチD1を断接可能な油圧アクチュエータ56と、油圧により作動されて第1のブレーキB1を断接可能な油圧アクチュエータB1aと、に接続されている。
モジュレータバルブ80は、元圧である第1ライン圧PL1が一定圧である飽和モジュレータ圧PLPMmax(MPa)より高い調圧領域では、第1ライン圧PL1を調圧して第1ライン圧PL1より低圧の一定のモジュレータ圧PLPM(MPa)を生成する。しかし、元圧である第1ライン圧PL1が飽和モジュレータ圧PLPMmaxより低い非調圧領域では、元圧である第1ライン圧PL1をそのままモジュレータ圧PLPMとして出力する。このため、モジュレータ圧PLPMは、エンジン12のエンジン回転速度Neの増加と共に上昇し、エンジン回転速度Neが所定の飽和回転速度Neh(rpm)以上になると飽和して一定圧である飽和モジュレータ圧PLPMmaxとなるようになっている。モジュレータ圧PLPMは、後述する各アクチュエータの作動による作動油の流量消費の影響を受け、オイルポンプ44からの作動油の供給と前記アクチュエータ等による作動油の消費とによる流量収支によって低下したり上昇したりする。
マニュアルバルブ82は、運転者によるシフトレバー98の切替操作に連動して機械的に油路が切り替えられる。マニュアルバルブ82は、シフトレバー98がD操作ポジションにあるときには、入力されたモジュレータ圧PLPMを前進油圧PDとして出力し、シフトレバー98がR操作ポジションにあるときには、入力されたモジュレータ圧PLPMを後進油圧PRとして出力する。マニュアルバルブ82は、シフトレバー98がN操作ポジション或いはP操作ポジションにあるときには、油圧の出力を遮断し、前進油圧PDおよび後進油圧PRはドレイン圧(排出油路EXの油圧)とされる。
C1用ソレノイドバルブSL1は、前進油圧PDを元圧として、第1のクラッチC1の油圧アクチュエータC1aへ供給される油圧であるC1制御圧Pc1となり得るSL1出力圧Psl1を出力する。C2用ソレノイドバルブSL2は、前進油圧PDを元圧として、第2のクラッチC2の油圧アクチュエータC2aへ供給される油圧であるC2制御圧Pc2となり得るSL2出力圧Psl2を出力する。なお、SL2出力圧Psl2は、「第1の係合圧」に相当する。
D1用ソレノイドバルブSLGは、後述するS1B1コントロールバルブ92から出力される出力圧Psbvを元圧として、噛合クラッチD1の作動状態を切り替える為に油圧アクチュエータ56へ供給される油圧であるD1制御圧Pd1となり得るSLG出力圧Pslgを出力する。なお、SLG出力圧Pslgは、シフトレバー98がR操作ポジションとされてマニュアルバルブ82から後進油圧PRが出力される後進走行時には、第1のブレーキB1の油圧アクチュエータB1aへ供給される油圧であるB1制御圧Pb1となり得る。
プライマリ用ソレノイドバルブSLPは、モジュレータ圧PLPMを元圧として、プライマリプーリ58の油圧アクチュエータ58cへ供給される油圧であるプライマリ制御圧Ppriを制御する為のSLP出力圧Pslpを出力する。セカンダリ用ソレノイドバルブSLSは、モジュレータ圧PLPMを元圧として、セカンダリプーリ60の油圧アクチュエータ60cへ供給される油圧であるセカンダリ制御圧Psecを制御する為のSLS出力圧Pslsを出力する。なお、SLP出力圧Pslpは、「第2の係合圧」に相当する。
ロックアップ用ソレノイドバルブSLUは、モジュレータ圧PLPMを元圧として、ロックアップクラッチLUの油圧アクチュエータとして機能するトルクコンバータ20内の係合側油室20onおよび解放側油室20offへ供給される油圧であるロックアップ制御圧Pluを制御する為のSLU出力圧Psluを出力する。ロックアップ制御圧Pluは、係合側油室20onに供給されるオン圧Ponと解放側油室20offに供給されるオフ圧Poffとの差圧である。
プライマリ圧コントロールバルブ84は、第1ライン圧PL1を元圧としてプライマリ制御圧Ppriを調圧して、そのプライマリ制御圧Ppriをプライマリプーリ58の油圧アクチュエータ58cに出力する。プライマリ圧コントロールバルブ84は、全開状態と全閉状態との間で位置が自在に切り替えられるスプール弁子およびそのスプール弁子を全開状態位置方向に付勢するスプリングを備える。プライマリ圧コントロールバルブ84は、そのスプール弁子の全開位置方向への推力としてSLP出力圧Pslpが入力され、そのスプール弁子の全閉位置方向への推力として前記プライマリ制御圧Ppriおよび後述のシーケンスバルブ88から出力される出力圧Pseq1が入力される。プライマリ圧コントロールバルブ84は、SLP出力圧Pslp、プライマリ制御圧Ppri、および出力圧Pseq1に基づいてプライマリ制御圧Ppriを調圧する。プライマリ圧コントロールバルブ84では、SLP出力圧Pslpが大きくなるとプライマリ制御圧Ppriが大きくされる。
セカンダリ圧コントロールバルブ86は、第1ライン圧PL1を元圧としてセカンダリ制御圧Psecを調圧して、そのセカンダリ制御圧Psecをセカンダリプーリ60の油圧アクチュエータ60cに出力する。セカンダリ圧コントロールバルブ86は、全開状態と全閉状態との間で位置が自在に切り替えられるスプール弁子およびそのスプール弁子を全開状態位置方向に付勢するスプリングを備える。セカンダリ圧コントロールバルブ86は、そのスプール弁子の全開位置方向への推力としてSLS出力圧Pslsが入力され、そのスプール弁子の全閉位置方向への推力として前記セカンダリ制御圧Psecが入力される。セカンダリ圧コントロールバルブ86は、SLS出力圧Pslsおよびセカンダリ制御圧Psecに基づいてセカンダリ制御圧Psecを調圧する。セカンダリ圧コントロールバルブ86では、SLS出力圧Pslsが大きくなるとセカンダリ制御圧Psecが大きくされる。
LU圧コントロールバルブ94は、第2ライン圧PL2が入力される。LU圧コントロールバルブ94は、オン圧Ponとして第2ライン圧PL2を係合側油室20onへ出力し、且つ不図示の排出油路EXに解放側油室20offを連通するオン位置と、オフ圧Poffとして第2ライン圧PL2を解放側油室20offへ出力し、且つ不図示の排出油路EXに係合側油室20onを連通するオフ位置と、の間で作動させられる不図示のスプール弁子94sv、およびスプール弁子94svをオフ位置方向に付勢する不図示のスプリング94spを備える。LU圧コントロールバルブ94は、スプール弁子94svのオン位置方向への推力としてオフ圧PoffおよびSLU出力圧Psluが入力され、スプール弁子94svのオフ位置方向への推力としてオン圧Ponおよびシーケンスバルブ88の出力圧Pseq1が入力される。LU圧コントロールバルブ94は、SLU出力圧Psluに応じて係合側油室20on内のオン圧Ponと解放側油室20off内のオフ圧Poffとの差圧であるロックアップ制御圧Pluを制御することで、ロックアップクラッチLUの断接状態が制御される。LU圧コントロールバルブ94は、SLU出力圧Psluが入力されることでスプール弁子94svはオン位置側へ切り替えられる。所定圧以上のSLU出力圧Psluが入力されると、ロックアップクラッチLUは解放状態から係合状態であるロックアップオンへ切り替えられる。
アキュムレータ96は、前進油圧PDが流通する油路に接続されている。アキュムレータ96は、スプリングや作動油の漏れを抑制するシール部材などを備え、油圧の蓄圧と蓄圧した油圧の供給とが可能な公知の蓄圧器である。アキュムレータ96内の油圧よりも前進油圧PDが流通する油路の油圧が高い場合には、その油路からアキュムレータ96に油圧が供給され、アキュムレータ96内の油圧よりも前進油圧PDが流通する油路の油圧が低い場合には、アキュムレータ96からその油路に油圧が供給される。
C1コントロールバルブ90は、通常位置とタイアップ防止位置とに択一的に位置が切り替えられる不図示のスプール弁子90svおよびスプール弁子90svを通常位置方向に付勢するスプリング90spを備える。スプール弁子90svが通常位置にあるときをC1コントロールバルブ90が通常状態であるといい、スプール弁子90svがタイアップ防止位置にあるときをC1コントロールバルブ90がタイアップ防止状態であるということとする。C1コントロールバルブ90は、スプール弁子90svのタイアップ防止位置方向への推力としてC2制御圧Pc2、SL1出力圧Psl1、および後進油圧PRが入力され、スプール弁子90svの通常位置方向への推力としてシーケンスバルブ88の出力圧Pseq2が入力される。C1コントロールバルブ90は、SL1出力圧Psl1、SLG出力圧Pslg、および後進油圧PRが切替油路の入力圧として入力される。通常状態では、図2の実線で示されるようにSL1出力圧Psl1がC1制御圧Pc1として出力され、SLG出力圧Pslgが出力圧Pc1v1として出力され、後進油圧PRの入力は遮断されていずれにも出力されない。タイアップ防止状態では、図2の破線で示されるようにC1制御圧Pc1はドレイン圧とされ、後進油圧PRが出力圧Pc1v1および出力圧Pc1v2として出力され、SL1出力圧Psl1およびSLG出力圧Pslgの入力は遮断されていずれにも出力されない。
C1コントロールバルブ90では、スプール弁子90svに推力として作用するC2制御圧Pc2の受圧面積と、スプール弁子90svに推力として作用する出力圧Pseq2の受圧面積と、が同じに設定されている。なお、本明細書では、受圧面積とは、正常位置またはフェールセーフ位置に向かわせる推力に寄与するスプール弁子が油圧を受ける面積のことをいい、同一の作動油室内において正常位置およびフェールセーフ位置の両方向に向かわせる推力が作用する場合にはスプール弁子が油圧を受ける面積において正常位置に向かわせる推力に寄与するものとフェールセーフ位置に向かわせるものとの差分の面積をいう。スプリング90spの付勢力は、SL1出力圧Psl1によるスプール弁子90svに対するタイアップ防止位置方向への推力よりも小さくなるように設定されている。これにより、C1用ソレノイドバルブSL1およびC2用ソレノイドバルブSL2が同時に作動して、それぞれSL1出力圧Psl1およびSL2出力圧Psl2が同時に出力された場合、スプール弁子90svに作用する推力はC2制御圧Pc2(すなわち、SL2出力圧Psl2)と出力圧Pseq2(すなわち、モジュレータ圧PLPM)とが打ち消し合うと共に、SL1出力圧Psl1がスプリング90spの付勢力に抗して、スプール弁子90svがタイアップ防止位置に切り替えられる。
スプリング90spの付勢力は、後進油圧PRによるスプール弁子90svに対するタイアップ防止位置方向への推力よりも小さくなるように設定されている。これにより、後進走行操作ポジション時にC2用ソレノイドバルブSL2が作動して、後進油圧PRおよびSL2出力圧Psl2が同時に出力された場合、スプール弁子90svに作用する推力はC2制御圧Pc2(すなわち、SL2出力圧Psl2)と出力圧Pseq2(すなわち、モジュレータ圧PLPM)とが打ち消し合うと共に、後進油圧PRがスプリング90spの付勢力に抗してスプール弁子90svがタイアップ防止位置に切り替えられる。
従って、C1用ソレノイドバルブSL1が作動し、且つC2用ソレノイドバルブSL2が作動していない場合は、C1コントロールバルブ90は通常状態のままで、SL1出力圧Psl1が油圧アクチュエータC1aに供給される。C2用ソレノイドバルブSL2が作動してSL2出力圧Psl2がシーケンスバルブ88からC2制御圧Pc2として出力され、且つC1用ソレノイドバルブSL1が作動していない場合は、C1コントロールバルブ90は通常状態のままで、SL2出力圧Psl2が油圧アクチュエータC2aに供給される。C2用ソレノイドバルブSL2が作動してSL2出力圧Psl2がシーケンスバルブ88からC2制御圧Pc2として出力され、且つC1用ソレノイドバルブSL1も作動した場合は、C1コントロールバルブ90はタイアップ防止状態に切り替えられ、油圧アクチュエータC1aはドレイン圧とされ、油圧アクチュエータC2aにはSL2出力圧Psl2が供給される。このように、油圧アクチュエータC1aおよび油圧アクチュエータC2aに同時に係合圧が供給されることが防止されるので、第1のクラッチC1および第2のクラッチC2の同時係合によるタイアップ状態の発生を防止することができる。C1コントロールバルブ90は、C1制御圧Pc1としてのSL1出力圧Psl1の油圧アクチュエータC1aへの供給を遮断することで、第1のクラッチC1と第2のクラッチC2との同時係合によるタイアップ状態を防止するフェールセーフバルブとして機能する。
S1B1コントロールバルブ92は、非後進位置と後進位置とに択一的に位置が切り替えられる不図示のスプール弁子92svおよびスプール弁子92svを非後進位置方向に付勢するスプリング92spを備える。スプール弁子92svが非後進位置のときをS1B1コントロールバルブ92が非後進状態であるといい、スプール弁子92svが後進位置のときをS1B1コントロールバルブ92が後進状態であるということとする。S1B1コントロールバルブ92は、スプール弁子92svの後進位置方向への推力として後進油圧PRが入力され、スプール弁子92svの非後進位置方向への推力としてSLS出力圧Pslsが入力される。S1B1コントロールバルブ92は、C1コントロールバルブ90の出力圧Pc1v1、Pc1v2、モジュレータ圧PLPM、および後進油圧PRが切替油路の入力圧として入力される。非後進位置では、図2の実線で示されるように出力圧Pc1v2がB1制御圧Pb1として出力され、出力圧Pc1v1がD1制御圧Pd1として出力され、モジュレータ圧PLPMが出力圧Psbvとして出力され、後進油圧PRの入力は遮断されていずれにも出力されない。後進位置では、図2の破線で示されるように出力圧Pc1v1がB1制御圧Pb1として出力され、モジュレータ圧PLPMがD1制御Pd1として出力され、後進油圧PRが出力圧Psbvとして出力され、出力圧Pc1v2の入力は遮断されていずれにも出力されない。
S1B1コントロールバルブ92では、スプール弁子92svに推力として作用する後進油圧PRの受圧面積と、スプール弁子92svに推力として作用するSLS出力圧Pslsの受圧面積と、が同じに設定されている。スプリング92spの付勢力は、後進油圧PRによるスプール弁子92svに対する後進位置方向への推力よりも小さくなるように設定されている。これにより、後進油圧PRが入力されると共にSLS出力圧Pslsが入力されない場合は、スプール弁子92svは後進位置に切り替り、後進油圧PRおよびSLS出力圧Pslsが同時に入力される場合は、S1B1コントロールバルブ92は非後進状態に切り替わる。従って、シフトレバー98が後進走行操作ポジション以外でマニュアルバルブ82から後進油圧PRが出力されないか、あるいはシフトレバー98が後進走行操作ポジションで後進油圧PRが出力されてもSLS出力圧Pslsが入力される場合は、S1B1コントロールバルブ92は非後進状態である。
シーケンスバルブ88は、正常位置とフェールセーフ位置とに択一的に位置が切り替えられる不図示のスプール弁子88svおよびスプール弁子88svを正常位置方向に付勢するスプリング88spを備える。スプール弁子88svが正常位置のときをシーケンスバルブ88が正常状態であるといい、スプール弁子88svがフェールセーフ位置のときをシーケンスバルブ88がフェールセーフ状態であるということとする。シーケンスバルブ88は、スプール弁子88svのフェールセーフ位置方向への推力としてSLP出力圧Pslpが入力され、スプール弁子88svの正常位置方向への推力としてモジュレータ圧PLPMおよびSL2出力圧Psl2が入力される。シーケンスバルブ88は、前進油圧PD、SL2出力圧Psl2、SLG出力圧Pslg、およびモジュレータ圧PLPMが切替油路の入力圧として入力される。スプール弁子88svが通常位置では、シーケンスバルブ88は第1の油路を形成し、図2の実線で示されるようにSL2出力圧Psl2がC2制御圧Pc2として出力され、モジュレータ圧PLPMが出力圧Pseq2として出力され、出力圧Pseq1はドレイン圧とされ、前進油圧PDおよびSLG出力圧Pslgの入力は遮断されていずれにも出力されない。スプール弁子88svがフェールセーフ位置では、シーケンスバルブ88は第2の油路を形成し、図2の破線で示されるように前進油圧PDがC2制御圧Pc2として出力され、SLG出力圧Pslgが出力圧Pseq1として出力され、出力圧Pseq2はドレイン圧とされ、SL2出力圧Psl2およびモジュレータ圧PLPMの入力は遮断されていずれにも出力されない。
図3は、図2のシーケンスバルブ88の構成図である。シーケンスバルブ88は、正常位置(右半位置)とフェールセーフ位置(左半位置)とを切替自在なスプール弁子88svと、スプール弁子88svを正常位置方向に付勢する圧縮コイルばねから成るスプリング88spと、を備える。シーケンスバルブ88は、スプール弁子88svの正常位置方向への推力となるモジュレータ圧PLPMが入力される第1の作動油室88c1と、スプール弁子88svの正常位置方向への推力となるSL2出力圧Psl2が入力される第2の作動油室88c2と、スプール弁子88svのフェールセーフ位置方向への推力となるSLP出力圧Pslpが入力される第3の作動油室88c3と、を備える。シーケンスバルブ88は、SL2出力圧Psl2が入力される第1の入力ポート88i1と、前進油圧PDが入力される第2の入力ポート88i2と、SLG出力圧Pslgが入力される第3の入力ポート88i3と、モジュレータ圧PLPMが入力される第4の入力ポート88i4と、を備える。シーケンスバルブ88は、第2のクラッチC2の油圧アクチュエータC2aにC2制御圧Pc2を出力する第1の出力ポート88o1と、LU圧コントロールバルブ94およびプライマリ圧コントロールバルブ84に出力圧Pseq1を出力する第2の出力ポート88o2と、C1コントロールバルブ90に出力圧Pseq2を出力する第3の出力ポート88o3と、ドレインポート88exと、を備える。
次に、油圧制御回路46の動作について、詳細に説明する。
エンジン12の駆動後、オイルポンプ44が回転駆動されて第1ライン圧PL1が生成されると、モジュレータバルブ80においてモジュレータ圧PLPMが生成される。モジュレータ圧PLPMによって、シーケンスバルブ88は正常状態に切り替えられる。モジュレータ圧PLPMがシーケンスバルブ88の出力圧Pseq2としてC1コントロールバルブ90に入力され、C1コントロールバルブ90は通常状態に切り替えられる。これにより、フェールの発生していない通常の走行時では、シーケンスバルブ88は正常状態となり、C1コントロールバルブ90は通常状態となる。
車両10の低速前進走行時には、動力伝達装置16は前進のギヤ走行モードになる。このとき、第1のクラッチC1および噛合クラッチD1のみが係合されるように制御される。具体的には、マニュアルバルブ82から前進油圧PDが出力され、前進油圧PDを元圧としてC1用ソレノイドバルブSL1からSL1出力圧Psl1が出力される。SL1出力圧Psl1は、C1コントロールバルブ90を介して油圧アクチュエータC1aに供給される。なお、マニュアルバルブ82からは後進油圧PRは出力されていないので、S1B1コントロールバルブ92は非後進状態である。モジュレータ圧PLPMがS1B1コントロールバルブ92の出力圧PsbvとしてD1用ソレノイドバルブSLGに元圧として入力され、D1用ソレノイドバルブSLGからSLG出力圧Pslgが出力される。SLG出力圧Pslgは、C1コントロールバルブ90およびS1B1コントロールバルブ92を介して油圧アクチュエータ56に供給される。
車両10の中高速前進走行時には、動力伝達装置16は前進のベルト走行モードになる。このとき、第2のクラッチC2および車速Vに応じて噛合クラッチD1が係合されるように制御される。具体的には、前進油圧PDを元圧としてC2用ソレノイドバルブSL2からSL2出力圧Psl2が出力される。SL2出力圧Psl2は、シーケンスバルブ88を介して油圧アクチュエータC2aに供給される。
車両10の後進走行時には、動力伝達装置16は後進のギヤ走行モードになる。このとき、第1のブレーキB1および噛合クラッチD1のみが係合されるように制御される。具体的には、マニュアルバルブ82から後進油圧PRが出力されることで、S1B1コントロールバルブ92は後進状態に切り替えられる。後進油圧PRがS1B1コントロールバルブ92の出力圧PsbvとしてD1用ソレノイドバルブSLGに元圧として供給され、D1用ソレノイドバルブSLGからSLG出力圧Pslgが出力される。SLG出力圧Pslgは、C1コントロールバルブ90およびS1B1コントロールバルブ92を介して油圧アクチュエータB1aに供給される。また、モジュレータ圧PLPMがS1B1コントロールバルブ92を介して油圧アクチュエータ56に供給される。
次に、プライマリ用ソレノイドバルブSLP、ロックアップ用ソレノイドバルブSLU、およびD1用ソレノイドバルブSLGのいずれかに異常が発生した場合の作動について説明する。
前進走行操作ポジション時にプライマリ用ソレノイドバルブSLPにオフフェール異常が発生した場合について説明する。この場合、プライマリ用ソレノイドバルブSLPから最大のSLP出力圧Pslpが常時出力されてしまい、プライマリ圧コントロールバルブ84からは最大のプライマリ制御圧Ppriが常時出力されてしまうと、無段変速機24を利用した走行が困難になる。しかし、プライマリ用ソレノイドバルブSLPから出力された最大のSLP出力圧Pslpは、シーケンスバルブ88をフェールセーフ状態に切り替える。その結果、モジュレータ圧PLPMが非後進状態のS1B1コントロールバルブ92の出力圧PsbvとしてD1用ソレノイドバルブSLGに元圧として入力され、D1用ソレノイドバルブSLGからSLG出力圧Pslgが出力される。SLG出力圧Pslgは、フェールセーフ状態のシーケンスバルブ88の出力圧Pseq1としてプライマリ圧コントロールバルブ84に入力される。従って、D1用ソレノイドバルブSLGから出力されるSLG出力圧Pslgを制御することでプライマリ圧コントロールバルブ84から出力されるプライマリ制御圧Ppriが制御可能となり、異常発生時でも安全を保障可能なフェールセーフ機能が発揮される。
前進走行操作ポジション時にプライマリ用ソレノイドバルブSLPにオンフェール異常が発生した場合について説明する。この場合、プライマリ用ソレノイドバルブSLPからSLP出力圧Pslpが出力されなくなり、プライマリ圧コントロールバルブ84からは最小のプライマリ制御圧Ppriが常時出力されてしまうと、無段変速機24の変速比γcvtが最大になって急減速してしまうおそれがある。電子制御装置100は、プライマリ用ソレノイドバルブSLPのオンフェール異常を検知したときには、C2用ソレノイドバルブSL2からのSL2出力圧Psl2の出力を停止し、油圧アクチュエータC2aへのSL2出力圧Psl2の供給を停止する。この結果、第2のクラッチC2が解放され、ニュートラルレンジになって急減速が回避される。電子制御装置100は、車速Vが安定した後に、C1用ソレノイドバルブSL1から出力したSL1出力圧Psl1により第1のクラッチC1を係合してギヤ走行モードで前進走行させることができ、フェールセーフ機能が発揮される。
前進走行操作ポジション時にロックアップ用ソレノイドバルブSLUにオンフェール異常が発生した場合について説明する。この場合、ロックアップクラッチLUを解放できなくなってしまう。電子制御装置100は、ロックアップ用ソレノイドバルブSLUのオンフェール異常を検知したときには、プライマリ用ソレノイドバルブSLPから最大のSLP出力圧Pslpを出力し、シーケンスバルブ88をフェールセーフ状態に切り替える。その結果、モジュレータ圧PLPMが非後進状態のS1B1コントロールバルブ92の出力圧PsbvとしてD1用ソレノイドバルブSLGに元圧として入力され、D1用ソレノイドバルブSLGからSLG出力圧Pslgが出力される。SLG出力圧Pslgは、フェールセーフ状態のシーケンスバルブ88の出力圧Pseq1としてLU圧コントロールバルブ94に入力されることで、ロックアップクラッチLUは解放され、フェールセーフ機能が発揮される。
前進走行操作ポジション時にD1用ソレノイドバルブSLGにオンフェール異常が発生した場合について説明する。この場合、D1用ソレノイドバルブSLGからSLG出力圧Pslgが常時出力されてしまうと、噛合クラッチD1が係合されたままとなってしまう。電子制御装置100は、D1用ソレノイドバルブSLGのオンフェール異常を検知したときには、プライマリ用ソレノイドバルブSLPから最大のSLP出力圧Pslpを出力し、シーケンスバルブ88をフェールセーフ状態に切り替える。その結果、ドレイン圧とされたシーケンスバルブ88の出力圧Pseq2および前進油圧PDとされたC2制御圧Pc2がC1コントロールバルブ90に入力されてC1コントロールバルブ90はタイアップ防止状態に切り替えられる。前進油圧PDとされたC2制御圧Pc2は、油圧アクチュエータC2aに供給される。C1コントロールバルブ90がタイアップ防止状態に切り替えられることで、SLG出力圧Pslgの入力は遮断されていずれにも出力されず、油圧アクチュエータC1aはドレインン圧とされる。C1コントロールバルブ90の出力圧Pc1v1はSLG出力圧Pslgから遮断され、出力圧Pc1v1には後進油圧PRが出力されるが、前進走行操作ポジション時には後進油圧PRは排出油路EXに連通している。そのため、排出油路EXに連通した出力圧Pc1v1が非後進状態のS1B1コントロールバルブ92を介して油圧アクチュエータ56に供給されるため、噛合クラッチD1は係合状態から解放状態に切り替えられ、フェールセーフ機能が発揮される。
後進走行操作ポジション時にD1用ソレノイドバルブSLGにオフフェール異常が発生した場合について説明する。この場合、D1用ソレノイドバルブSLGからSLG出力圧Pslgが出力されなくなると、第1のブレーキB1が解放されてニュートラル状態になってしまう。電子制御装置100は、D1用ソレノイドバルブSLGのオフフェール異常を検知したときには、プライマリ用ソレノイドバルブSLPから最大のSLP出力圧Pslpを出力し、シーケンスバルブ88をフェールセーフ状態に切り替える。その結果、ドレイン圧とされたシーケンスバルブ88の出力圧Pseq2および前進油圧PDとされたC2制御圧Pc2がC1コントロールバルブ90に入力されてC1コントロールバルブ90はタイアップ防止状態に切り替えられる。後進油圧PRは、C1コントロールバルブ90の出力圧Pc1v1としてS1B1コントロールバルブ92を介して、第1のブレーキB1の油圧アクチュエータB1aに供給される。モジュレータ圧PLPMは、S1B1コントロールバルブ92を介して、噛合クラッチD1の油圧アクチュエータ56に供給される。これにより、第1のブレーキB1および噛合クラッチD1が係合されて後進走行が可能となり、フェールセーフ機能が発揮される。
ここで、シーケンスバルブ88において、モジュレータ圧PLPM(MPa)が入力される第1の作動油室88c1は受圧面積AL1(mm)となっており、SL2出力圧Psl2(MPa)が入力される第2の作動油室88c2は受圧面積AL2(mm)となっており、SLP出力圧Pslp(MPa)が入力される第3の作動油室88c3は受圧面積AL3(mm)となっているとする。シーケンスバルブ88のスプリング88spがスプール弁子88svを正常位置に向かわせる付勢力の大きさをスプリング荷重SP(N)とする。よって、シーケンスバルブ88のスプール弁子88svを正常位置に向かわせる推力DFn(N)は下式(1)で表され、シーケンスバルブ88のスプール弁子88svをフェールセーフ位置に向かわせる推力DFf(N)は下式(2)で表される。推力DFnが推力DFfよりも大きい場合にはシーケンスバルブ88は正常状態に切り替えられ、推力DFnが推力DFfよりも小さい場合にはシーケンスバルブ88はフェールセーフ状態に切り替えられる。
DFn=SP+PLPM×AL1+Psl2×AL2・・・(1)
DFf=Pslp×AL3 ・・・(2)
上式(1)および上式(2)において、スプリング荷重SPはモジュレータ圧PLPMに依存せず一定である。SLP出力圧Pslpはモジュレータ圧PLPMを元圧としており、SL2出力圧Psl2は前進油圧PDを元圧とするが前進油圧PDはモジュレータ圧PLPMと同じ圧力であるため、SLP出力圧PslpおよびSL2出力圧Psl2のいずれもモジュレータ圧PLPMの増減に伴ってそれぞれ増減する。
図4は、図2の油圧制御回路46において第2のクラッチC2が解放状態のときのシーケンスバルブ88の切替作動を説明する図である。前述したように、モジュレータ圧PLPMは、エンジン回転速度Neが高くなるにしたがって大きくなるが、エンジン回転速度Neが所定の飽和回転速度Neh以上である高回転状態になると、モジュレータ圧PLPMは飽和して一定値になる。本実施例ではエンジン回転速度Neが所定の飽和回転速度Neh以上である高回転状態の場合、モジュレータ圧PLPMは1.8(MPa)で飽和する。第2のクラッチC2が解放状態のときには、SL2出力圧Psl2はモジュレータ圧PLPMに関係なく0(MPa)であるため、SL2出力圧Psl2による推力は零である。モジュレータ圧PLPMによる正常状態方向への推力は、モジュレータ圧PLPMに比例する。スプリング88spによる正常状態方向への推力は、モジュレータ圧PLPMに関係なく一定である。SLP出力圧Pslpによるフェールセーフ状態方向への推力は、モジュレータ圧PLPMの増減に伴って増減し、例えば図4のように比例する。図4では、SLP出力圧Pslpによる推力、すなわち推力DFfは、プライマリ用ソレノイドバルブSLPによる最大のSLP出力圧Pslpが出力されている場合を表示している。図4に示すように、エンジン回転速度Neが所定の飽和回転速度Neh未満である低回転状態であるときに、推力DFfが推力DFnよりも大きくなって意図せずにシーケンスバルブ88がフェールセーフ状態となる誤切替領域が存在する。図4において斜線で網掛けしている部分が、誤切替領域である。本実施例の場合、モジュレータ圧PLPMが0.8(MPa)を超過し、最大のSLP出力圧Pslpが出力されると、シーケンスバルブ88で誤切替が発生する。
シーケンスバルブ88で誤切替が発生すると、例えば以下に記載する状況が起きドライバビリティが悪化する。前進油圧PDがシーケンスバルブ88を介して第2のクラッチC2の油圧アクチュエータC2aに供給されてしまうことで、第2のクラッチC2が急係合となってしまうおそれがある。また、第1のクラッチC1の油圧アクチュエータC1aに供給されているC1制御圧Pc1がドレイン圧とされてしまうことで、第1のクラッチC1が解放状態となってしまうおそれがある。また、D1用ソレノイドバルブSLGから出力されたSLG出力圧Pslgがシーケンスバルブ88の出力圧Pseq1としてプライマリ圧コントロールバルブ84およびLU圧コントロールバルブ94に入力されることで、プライマリ制御圧Ppriが減圧されたりロックアップクラッチLUが解放されたりしてしまうおそれがある。
図5は、図2の油圧制御回路46において第2のクラッチC2が係合状態のときのシーケンスバルブ88の切替作動を説明する図である。図5は、図4と略同じであるが、SL2出力圧Psl2による正常状態方向の推力が作用している点が異なる。そのため、異なる部分を中心に説明し、図4と共通する部分は説明を適宜省略する。第2のクラッチC2が係合状態のときには、SL2出力圧Psl2は、例えばモジュレータ圧PLPMに比例したものとなるが、燃費悪化を抑制するためにSL2出力圧Psl2は第2のクラッチC2の飽和係合圧よりは大きくならないように制御される。本実施例では、モジュレータ圧PLPMが1.3(MPa)のときにSL2出力圧Psl2は第2のクラッチC2の飽和係合圧となり、モジュレータ圧PLPMがそれ以上大きくなってもSL2出力圧Psl2は飽和係合圧が維持される。図5に示すように、推力DFfが推力DFnよりも大きくなる誤切替領域は存在しない。したがって、プライマリ用ソレノイドバルブSLPによって最大のSLP出力圧Pslpが出力されたとしても、シーケンスバルブ88が意図せずにフェールセーフ状態となる誤切替は発生しない。図5において、図4における推力DFnとモジュレータ圧PLPMとの関係が、参考のために一点鎖線で示されている。
図6は、図2の油圧制御回路46において第2のクラッチC2の作動状態に応じたSLP出力圧Pslpの上限ガード圧Pslpgの設定方法の一例である。
図6に示されるように、エンジン回転速度Neが所定の飽和回転速度Neh以上である高回転状態であってモジュレータ圧PLPMが飽和している領域では、第2のクラッチC2の作動状態にかかわらず、SL2出力圧Psl2が0(MPa)であってもシーケンスバルブ88で誤切替が発生しないように、SLP出力圧Pslpは第1の所定値Pslpg1(MPa)が一律に上限ガード圧Pslpgとして設定されてその上限ガード圧Pslpg以上とはならないように制御される。例えば本実施例では、図4においてエンジン回転速度Neが飽和回転速度Neh以上となる高回転状態であることにより、モジュレータ圧PLPMが飽和モジュレータ圧PLPMmax(=1.8(MPa))を確保可能である場合には、スプリング荷重SPと、飽和モジュレータ圧PLPMmaxのときのモジュレータ圧PLPMによる推力と、の合計値DFsによる正常状態方向への推力よりも、上限ガード圧Pslpgによるフェールセーフ状態方向への推力が小さくなるように設定される。すなわち、第1の所定値Pslpg1は、スプリング荷重圧SPld(=スプリング荷重SP/受圧面積AL3)と面積比モジュレータ圧PLPMr(MPa)(=モジュレータ圧PLPM×受圧面積AL1/受圧面積AL3)との和に設定される。エンジン回転速度Neが飽和回転速度Neh以上でモジュレータ圧PLPMが飽和モジュレータ圧PLPMmaxの場合には、面積比モジュレータ圧PLPMrは、飽和モジュレータ圧PLPMmaxに受圧面積の比である受圧面積AL1/受圧面積AL3を乗じたものとなる。これにより、第2のクラッチC2の作動状態にかかわらず、シーケンスバルブ88が意図せずにフェールセーフ状態となる誤切替は発生しなくなる。なお、受圧面積AL1と受圧面積AL3とが同じ場合には、面積比モジュレータ圧PLPMrは飽和モジュレータ圧PLPMmaxと同じである。
図6に示されるように、エンジン回転速度Neが所定の飽和回転速度Neh未満である低回転状態であってモジュレータ圧PLPMが飽和していない領域では、第2のクラッチC2の作動状態に応じてSLP出力圧Pslpの上限ガード圧Pslpgが設定される。第2のクラッチC2の作動状態が、完全解放、係合過渡、および解放過渡の場合には、上限ガード圧Pslpgは、スプリング88spによるスプリング荷重圧SPld(=スプリング荷重SP/受圧面積AL3)とPLPM圧マップで算出される油圧との和に設定される。このように、スプリング荷重圧SPldとPLPM圧マップで算出された油圧との和による正常状態方向への推力よりも、上限ガード圧Pslpgによって制限されたSLP出力圧Pslpによるフェールセーフ状態方向への推力が小さくなるようにされる。なお、PLPM圧マップは、エンジン回転速度Neおよび作動油の油温Thoと、モジュレータ圧PLPMに受圧面積の比である受圧面積AL1/受圧面積AL3を乗じた面積比モジュレータ圧PLPMrと、の関係を表したものである。エンジン回転速度Neが低回転であり、且つ作動油の油温Thoが高油温であるほど、作動油の流量収支の悪化によりモジュレータ圧PLPMは低下する。そのため、エンジン回転速度Neおよび作動油の油温Thoをパラメータとして予め規定されたPLPM圧マップから面積比モジュレータ圧PLPMrを算出することで流量収支の悪化時でもシーケンスバルブ88の誤切替が発生しないようにしたものである。第2のクラッチC2の作動状態が完全係合の場合には、SL2出力圧Psl2が0(MPa)であってもシーケンスバルブ88で誤切替が発生しないように、SLP出力圧Pslpは第2の所定値Pslpg2(MPa)が一律に上限ガード圧Pslpgとして設定されてその上限ガード圧Pslpg以上とはならないように制御される。例えば本実施例では、第2の所定値Pslpg2は前述の第1の所定値Pslpg1と同じ値とすることができる。
図7は、図2の油圧制御回路46において第2のクラッチC2の作動状態に応じたSLP出力圧Pslpの上限ガード圧Pslpgを設定する場合のタイムチャートである。時刻t0から時刻t1までは、第2のクラッチC2の作動状態は完全解放であり、例えば車両10は低速前進走行の状態である。時刻t1から時刻t2までは、第2のクラッチC2の作動状態は係合過渡であり、例えば車両10は低速前進走行から中高速前進走行への遷移状態である。時刻t2から時刻t3までは、第2のクラッチC2の作動状態は完全係合であり、例えば車両10は中高速前進走行の状態である。時刻t3から時刻t4までは、第2のクラッチC2の作動状態は解放過渡であり、例えば車両10は中高速前進走行から低速前進走行への遷移状態である。時刻t4以降は、第2のクラッチC2の作動状態は完全解放である。C1用ソレノイドバルブSL1のSL1出力圧Psl1が、電子制御装置100の指示圧であるC1指示油圧Pc1reqになるようにC1用ソレノイドバルブSL1が制御されることでC1制御圧Pc1が調圧され、その結果、第1のクラッチC1はその断接状態が制御される。C2用ソレノイドバルブSL2のSL2出力圧Psl2が、電子制御装置100の指示圧であるC2指示油圧Pc2reqになるようにC2用ソレノイドバルブSL2が制御されることでC2制御圧Pc2が調圧され、その結果、第2のクラッチC2はその断接状態が制御される。また、上限ガード圧Pslpgは、前述の図6で説明したように第2のクラッチC2の作動状態、エンジン回転速度Ne、および作動油の油温Thoに応じて設定される。
ここで、車両10における各種制御の為の電子制御装置100の制御機能および制御系統の要部を図1に基づいて説明する。電子制御装置100は、切替防止判定部102、回転速度判定部104、作動状態判定部106、ガード圧設定部110、ガード圧実行部120、データ取得部130、回転速度推定部132、判定回転速度算出部134、待機条件判定部136、およびC2係合実行部138を備える。
切替防止判定部102は、シーケンスバルブ88のフェールセーフ状態への誤切替防止の要求がなされているか否かを判定する。例えば、無段変速機24のアップシフトの変速作動と第2のクラッチC2の係合作動とが重なる場合には、プライマリプーリ58の油圧アクチュエータ58cへの作動油の供給と第2のクラッチC2の係合作動とが重なって作動油の流量収支が悪化しやすい状態である。また、シフトレバー98がN操作ポジションからD操作ポジションへ操作され、且つ第1のクラッチC1が解放状態から係合状態へ切り替えられる場合には、アキュムレータ96の蓄圧作動と第1のクラッチC1の係合作動とが重なって作動油の流量収支が悪化しやすい状態である。このように、作動油の流量収支が悪化しやすい状態である場合には、切替防止判定部102は、シーケンスバルブ88のフェールセーフ状態への誤切替防止の要求がなされていると判定する。切替防止判定部102は、誤切替防止の要求がなされていると判定すると指令信号を回転速度判定部104へ出力し、誤切替防止の要求がなされていないと判定すると指令信号をガード圧設定部110へ出力する。
回転速度判定部104は、切替防止判定部102から指令信号が入力されると、回転速度センサ64から入力されたエンジン回転速度Neおよび油温センサ78から入力された作動油の油温Thoに基づいて、エンジン回転速度Neが作動油の油温Thoをパラメータとする予め設定されたマップを参照することで決められた回転速度、例えば所定の飽和回転速度Neh以上であるか否かを判定する。エンジン回転速度Neが、所定の飽和回転速度Neh以上である場合、モジュレータ圧PLPMは飽和状態となっている。回転速度判定部104は、エンジン回転速度Neがマップで決められた飽和回転速度Neh以上であると判定すると指令信号をガード圧設定部110へ出力し、エンジン回転速度Neがマップで決められた飽和回転速度Neh未満であると判定すると指令信号を作動状態判定部106へ出力する。
作動状態判定部106は、回転速度判定部104から指令信号が入力されると、第2のクラッチC2の作動状態(完全解放、係合過渡、解放過渡、完全係合の各状態)を判定する。作動状態判定部106は、第2のクラッチC2の作動状態を判定した後、指令信号をガード圧設定部110へ出力する。
ここで、作動状態判定部106の制御機能を図8に基づいて詳細に説明する。図8は、完全解放、完全係合、解放過渡、および係合過渡の4つの状態で表される第2のクラッチC2の作動状態と、その作動状態の切替えを判定する遷移条件との関係を示す状態遷移図である。
作動状態判定部106は、第2のクラッチC2に対する油圧制御の状態と第2のクラッチC2における後述する差回転速度ΔNc2(rpm)の状態とに基づいて、完全解放、完全係合、解放過渡、及び係合過渡の4つの状態で表される第2のクラッチC2の作動状態の遷移条件が成立したか否かを判定する。作動状態判定部106は、その遷移条件が成立したか否かの判定結果に基づいて第2のクラッチC2の作動状態を判定する。作動状態判定部106は、第2のクラッチC2に対する油圧制御の状態を油圧制御指令信号Scbdに基づいて取得する。作動状態判定部106は、セカンダリ回転速度Nsecと出力軸回転速度Noutとに基づいて第2のクラッチC2における差回転速度ΔNc2(=Nsec−Nout)を算出する。
第2のクラッチC2に対する油圧制御の状態は、第2のクラッチC2の油圧アクチュエータC2aに供給される油圧が上げられているのか下げられているのかの傾向、及び/又は、第2のクラッチC2に対する油圧制御における指示圧の状態である。差回転速度ΔNc2の状態は、第2のクラッチC2が実際にどのよう作動しているのかの実状態である。
上述した第2のクラッチC2に対する油圧制御は、第2のクラッチC2を係合する係合制御、または、第2のクラッチC2を解放する解放制御である。本実施例では、第2のクラッチC2を係合する油圧制御をC2係合油圧制御といい、第2のクラッチC2を解放する油圧制御をC2解放油圧制御という。本実施例では、第2のクラッチC2に対する油圧制御における指示圧である油圧制御指令信号ScbdをC2指示油圧という。
C2係合油圧制御は、第1の動力伝達経路PT1が形成された状態から第2の動力伝達経路PT2が形成された状態へ切り替える制御におけるC2係合油圧制御が想定される。第1の動力伝達経路PT1が形成された状態から第2の動力伝達経路PT2が形成された状態へ切り替える制御は、第1のクラッチC1を解放して第2のクラッチC2を係合するクラッチツゥクラッチ掛け替え制御にて実行される、走行モードをギヤ走行モードからベルト走行モードへ切り替える切替制御である。または、C2係合油圧制御は、動力伝達装置16のニュートラル状態から第2の動力伝達経路PT2が形成された状態へ切り替える制御におけるC2係合油圧制御が想定される。動力伝達装置16のニュートラル状態から第2の動力伝達経路PT2が形成された状態へ切り替える制御は、ベルト走行モードにおいてシフトレバー98がN操作ポジションからD操作ポジションへ操作されるガレージ操作に伴って第2のクラッチC2を係合するガレージ係合制御である。
C2解放油圧制御は、第2の動力伝達経路PT2が形成された状態から第1の動力伝達経路PT1が形成された状態へ切り替える制御におけるC2解放油圧制御が想定される。第2の動力伝達経路PT2が形成された状態から第1の動力伝達経路PT1が形成された状態へ切り替える制御は、第2のクラッチC2を解放して第1のクラッチC1を係合するクラッチツゥクラッチ掛け替え制御にて実行される、走行モードをベルト走行モードからギヤ走行モードへ切り替える切替制御である。または、C2解放油圧制御は、第2の動力伝達経路PT2が形成された状態から動力伝達装置16のニュートラル状態へ切り替える制御におけるC2解放油圧制御が想定される。第2の動力伝達経路PT2が形成された状態から動力伝達装置16のニュートラル状態へ切り替える制御は、ベルト走行モードにおいてシフトレバー98がD操作ポジションからN操作ポジションへ操作されるガレージ操作に伴って第2のクラッチC2を解放するガレージ解放制御である。
第2のクラッチC2が完全解放の状態又は解放過渡の状態であるときに、遷移条件としての[条件1]が成立させられると、第2のクラッチC2が係合過渡の状態へ切り替えられたと判定される。C2制御圧Pc2による第2のクラッチC2の係合過程では、C2制御圧Pc2への指示油圧(以下、C2指示油圧という)に対してC2制御圧Pc2の実圧(以下、C2実圧という)の出力に応答遅れが発生する。そのため、この応答遅れの期間は「C2指示油圧>C2実圧」の関係が保証可能である。
従って、前記[条件1]は、C2係合油圧制御が作動していること、すなわちC2係合油圧制御の為の油圧制御指令信号Scbdが出力されていることである。
作動状態判定部106は、第2のクラッチC2が完全解放の状態又は解放過渡の状態であるときに上記[条件1]が成立した場合には、第2のクラッチC2が係合過渡の状態へ切り替えられたと判定する。
第2のクラッチC2が完全係合の状態又は解放過渡の状態又は係合過渡の状態であるときに、遷移条件としての[条件2]が成立させられると、第2のクラッチC2が完全解放の状態へ切り替えられたと判定される。C2解放油圧制御が作動させられていることに加え、C2解放油圧制御におけるC2指示油圧が第2のクラッチC2を完全解放させる値以下となり、且つ差回転速度ΔNc2が大きくなっていれば、第2のクラッチC2が完全解放の状態へ切り替えられたと判定されても問題が生じ難い。但し、この判定方法は、無段変速機24の入力回転速度である入力軸回転速度Nin(=プライマリ回転速度Npri=タービン回転速度Nt)が高い領域において有効である。入力軸回転速度Ninが低い領域では、差回転速度ΔNc2が検出し難くなるおそれがある。例えば、車両10の停止状態におけるベルト走行モードからギヤ走行モードへの切替制御では、第2のクラッチC2の解放後に第1のクラッチC1が係合されて入力軸回転速度Ninが上昇させられないため、差回転速度ΔNc2を検出することができない。入力軸回転速度Ninが低い領域では、C2解放油圧制御におけるC2指示油圧が第2のクラッチC2の完全解放を保証できる値まで低下したことによって、第2のクラッチC2が完全解放の状態へ切り替えられたと判定される。また、上記判定方法に加え、動力伝達装置16のニュートラル状態が確定していることによって、第2のクラッチC2が完全解放の状態へ切り替えられたと判定されても良い。例えば、シフトレバー98のN操作ポジションへの操作に伴って、第2のクラッチC2に供給されるクラッチ油圧の元圧がマニュアルバルブ82から供給されなくなり、第2のクラッチC2のクラッチ油圧が低下させられて第2のクラッチC2が解放させられる。なお、シフトレバー98がN操作ポジションへ操作されたことでC2解放油圧制御が作動させられる場合には、例えば上述したC2解放油圧制御が作動させられているときの遷移条件が用いられる。
従って、前記[条件2]は、C2解放油圧制御が作動していること、すなわちC2解放油圧制御の為の油圧制御指令信号Scbdが出力されていることに加えて、入力軸回転速度Ninが所定回転速度Ninf(rpm)以上、C2解放油圧制御におけるC2指示油圧が第1所定指示圧以下、および差回転速度ΔNc2が第1所定差回転速度ΔNc2f1(rpm)よりも大きいという各条件のいずれもが所定時間TM1以上成立したことである。或いは、前記[条件2]は、C2解放油圧制御が作動していることに加えて、入力軸回転速度Ninが所定回転速度Ninf未満、およびC2解放油圧制御におけるC2指示油圧が第2所定指示圧以下という各条件のいずれもが所定時間TM2以上成立したことである。或いは、前記[条件2]は、動力伝達装置16のニュートラル状態が確定していること、例えばシフトレバー98がN操作ポジションへ操作されてから所定時間TM3以上経過していることである。
前記所定回転速度Ninfは、例えば第2のクラッチC2の完全解放の判定に用いる為の差回転速度ΔNc2を検出することができる、予め定められた入力軸回転速度Ninの領域の下限回転速度である。前述した、第1所定指示圧、第2所定指示圧、第1所定差回転速度ΔNc2f1、所定時間TM1、所定時間TM2、及び所定時間TM3は、各々、例えば第2のクラッチC2が完全解放の状態であることを判定する為の予め定められた閾値である。特に、第2所定指示圧は、第1所定指示圧よりも低い値であって、例えば第2のクラッチC2が完全解放の状態であることを保証できる、予め定められたC2指示油圧領域の上限値である。
作動状態判定部106は、第2のクラッチC2が完全係合の状態又は解放過渡の状態又は係合過渡の状態であるときに上記[条件2]のうちのいずれかが成立した場合には、第2のクラッチC2が完全解放の状態へ切り替えられたと判定する。
第2のクラッチC2が完全解放の状態又は解放過渡の状態又は係合過渡の状態であるときに、遷移条件としての[条件3]が成立させられると、第2のクラッチC2が完全係合の状態へ切り替えられたと判定される。C2係合油圧制御が作動させられていることに加え、C2係合油圧制御におけるC2指示油圧が第2のクラッチC2の係合に必要な値以上となり、および差回転速度ΔNc2が小さくなっていれば、第2のクラッチC2が完全係合の状態へ切り替えられたと判定されても問題が生じ難い。つまり、第2のクラッチC2に対する油圧制御におけるC2指示油圧の変化方向が第2のクラッチC2を係合する方向であり、且つ第2のクラッチC2の実状態として完全係合の状態とみなせる場合は、第2のクラッチC2が完全係合の状態へ切り替えられたと判定される。また、上記判定方法に加え、第2のクラッチC2に対する油圧制御が、C2係合油圧制御から第2のクラッチC2を完全係合の状態に維持する油圧制御であるC2定常油圧制御へ移行させられた時点で、第2のクラッチC2が完全係合の状態へ切り替えられたと判定されても良い。
従って、前記[条件3]は、C2係合油圧制御が作動していることに加えて、C2係合油圧制御におけるC2指示油圧が第3所定指示圧以上、および差回転速度ΔNc2が第2所定差回転速度ΔNc2f2(rpm)よりも小さいという各条件のいずれもが所定時間TM4以上成立したことである。或いは、前記[条件3]は、第2のクラッチC2に対する油圧制御がC2係合油圧制御からC2定常油圧制御へ移行させられたことである。第3所定指示圧、第2所定差回転速度ΔNc2f2、および所定時間TM4は、各々、例えば第2のクラッチC2が完全係合の状態であることを判定する為の予め定められた閾値である。
作動状態判定部106は、第2のクラッチC2が完全解放の状態又は解放過渡の状態又は係合過渡の状態であるときに上記[条件3]のうちのいずれかがが成立した場合には、第2のクラッチC2が完全係合の状態へ切り替えられたと判定する。
第2のクラッチC2が完全係合の状態であるときに、遷移条件としての[条件4]が成立させられると、第2のクラッチC2が解放過渡の状態へ切り替えられたと判定される。C2解放油圧制御が作動させられていることに加え、差回転速度ΔNc2が増加していれば、第2のクラッチC2が解放過渡の状態へ切り替えられたと判定されても問題が生じ難い。差回転速度ΔNc2の増加を条件としているのは、例えば第2のクラッチC2の油圧アクチュエータC2aに供給されるC2制御圧Pc2を調圧するC2用ソレノイドバルブSL2等の故障などで第2のクラッチC2の実態が完全係合のままの場合があるからである。
従って、前記[条件4]は、C2解放油圧制御が作動していることに加えて、差回転速度ΔNc2が第3所定差回転速度ΔNc2f3(rpm)以上という条件が所定時間TM5以上成立したことである。第3所定差回転速度ΔNc2f3および所定時間TM5は、各々、例えば第2のクラッチC2が解放過渡の状態であることを判定する為の予め定められた閾値である。
作動状態判定部106は、第2のクラッチC2が完全係合の状態であるときに上記[条件4]が成立した場合には、第2のクラッチC2が解放過渡の状態へ切り替えられたと判定する。
第2のクラッチC2が係合過渡の状態であるときに、遷移条件としての[条件5]が成立させられると、第2のクラッチC2が解放過渡の状態へ切り替えられたと判定される。C2係合油圧制御からC2解放油圧制御へ移行させられた場合に、第2のクラッチC2が解放過渡の状態へ切り替えられたと判定されても問題が生じ難い。
従って、前記[条件5]は、C2解放油圧制御が作動していることである。
作動状態判定部106は、第2のクラッチC2が係合過渡の状態であるときに上記[条件5]が成立した場合には、第2のクラッチC2が解放過渡の状態へ切り替えられたと判定する。
ガード圧設定部110は、切替防止判定部102から指令信号が入力されると、上限ガード圧Pslpgをガード無効値、例えば最大のSLP出力圧Pslpを超える値に設定する。ガード圧設定部110は、回転速度判定部104から指令信号が入力されると、上限ガード圧Pslpgを前述の図6で説明した第1の所定値Pslpg1に設定する。ガード圧設定部110は、作動状態判定部106から指令信号が入力されると、前述の図6で説明したように第2のクラッチC2の作動状態に応じて上限ガード圧Pslpgを設定する。ガード圧設定部110は、上限ガード圧Pslpgを設定した後、指令信号をガード圧実行部120へ出力する。
ガード圧実行部120は、ガード圧設定部110から指令信号が入力されると、ガード圧設定部110で設定した上限ガード圧Pslpgを有効にし、SLP出力圧Pslpが上限ガード圧Pslpg以上とはならないように制御する。ガード圧実行部120は、上限ガード圧Pslpgを有効にした後、指令信号をデータ取得部130へ出力する。
ここで、無段変速機24の変速制御について説明する。図9は、無段変速機24の変速制御において目標入力軸回転速度Nintgt(rpm)を求める際に用いられる変速マップの一例を示す図である。図9において、後述する無段変速機24の最終目標変速比γcvttgtlの最小値が値γminであり、最大値が値γmaxである。例えば、図9に示すようなアクセル操作量θaccをパラメータとして出力軸回転速度Nout(車速V)と目標入力軸回転速度Nintgtとの予め求められて記憶された関係(変速マップ)から現在の出力軸回転速度Noutおよびアクセル操作量θaccで示される車両状態に基づいて最終目標入力軸回転速度Nintgtl(rpm)が設定される。そして、最終目標入力軸回転速度Nintgtlに基づいて、無段変速機24の変速後に達成すべき変速比である最終目標変速比γcvttgtl(=Nintgtl/Nout)が算出される。例えば、本実施例では図9の変速マップに基づいて最終目標変速比γcvttgtlが値γ1と設定され、そのときの最終目標入力軸回転速度Nintgtlは値N1(rpm)となる。しかし、後述するS1B1コントロールバルブ92の非後進状態の維持制御が行われていると、最終目標変速比γcvttgtlが値γ1と設定されているにもかかわらず、無段変速機24の変速比γcvtが値γ2と高くなってしまう、すなわち入力軸回転速度Ninが値N2(rpm)となってしまうおそれがある。
S1B1コントロールバルブ92の非後進状態の維持制御とは、図2の油圧制御回路46において非後進状態から後進状態へ切り替えられる場合に、S1B1コントロールバルブ92を非後進状態に維持する制御である。図10は、図2の油圧制御回路46において非後進状態から後進状態へ切り替えられる場合のタイムチャートである。図10において、Pslsreqは、電子制御装置100からのSLS出力圧Pslsへの指示圧であり、PslsはSLS出力圧Pslsの実圧である。また、図10において、Pslgreqは、電子制御装置100からのSLG出力圧Pslgへの指示圧であり、PR、Pd1、Pb1はそれぞれ、後進油圧PR、D1制御圧Pd1、B1制御圧Pb1の実圧である。
シフトレバー98がD操作ポジションからR操作ポジションに切り替えられる場合、N操作ポジションを経由する。シフトレバー98がN操作ポジションからR操作ポジションへ切り替えられる間である時刻t10から時刻t12までの間は、電子制御装置100は、センサ76から操作ポジションPOSshが入力されない。時刻t10と時刻t12との間にある時刻t11において、マニュアルバルブ82から後進油圧PRが出力される。
シフトレバー98がR操作ポジションに切り替えられると、電子制御装置100は、シフトポジションセンサ76から入力された操作ポジションPOSshによりシフトレバー98がR操作ポジションにあることを時刻t12において検出する。電子制御装置100は、時刻t12において昇圧タイマを開始し、第1の設定時間T1の間、待機する。第1の設定時間T1の間に、SLS出力圧Pslsが十分に昇圧される。
電子制御装置100は、昇圧タイマの終了後の時刻t13において、SLS出力圧Pslsをドレイン圧とし、SLS出力圧Pslsを対抗圧Pbからほぼ無くなるまで減圧する指令を出力する。これにより、SLS出力圧Pslsは対抗圧Pbからほぼ無くなるまで減圧し、S1B1コントロールバルブ92に供給されるSLS出力圧Pslsを減圧することで、後進油圧PRによるS1B1コントロールバルブ92の後進状態への切り替りが開始される。
電子制御装置100は、昇圧タイマの終了後の時刻t13において、切替タイマを開始する。この切替タイマは、開始してから第2の設定時間T2を経過するまでに、S1B1コントロールバルブ92を切り替えるためのものである。また、電子制御装置100は、昇圧タイマの終了後の時刻t13において、D1用ソレノイドバルブSLGを制御して、SLG出力圧Pslgへの指示圧を最大圧から噛合クラッチD1の最低保持圧Pcにまで減圧する指令を出力する。ここでの最低保持圧Pcは、スプリング56aの付勢力より大きく、且つ第1のブレーキB1が係合を開始する油圧より小さい範囲において、最低限の大きさで噛合クラッチD1の係合状態を保持する油圧である。これにより、第2の設定時間T2の間、噛合クラッチD1は係合状態が保持される。ここでは電子制御装置100は、昇圧タイマの終了後、SLG出力圧Pslgを最大圧から噛合クラッチD1の最低保持圧Pcにまで減圧する指令を出力しているが、これには限られず、最低保持圧Pcよりも大きい油圧にまで減圧する指令を出力するようにしてもよい。なお、本実施例では、昇圧タイマの終了後、SLS出力圧Pslsの減圧と、SLG出力圧Pslgの減圧と、切替タイマの開始とを、順に実行しているが、これには限られず、他の順序で実行したり、あるいは並行して実行したりしてもよい。
切替タイマを開始してから第2の設定時間T2を経過するまでに、後進油圧PRによるS1B1コントロールバルブ92の後進状態への切り替りが完了する。これにより、時刻t14において噛合クラッチD1の油圧アクチュエータ56に、モジュレータ圧PLPMが供給され、噛合クラッチD1の係合状態が維持される。また、S1B1コントロールバルブ92の後進状態への切り替りにより、D1用ソレノイドバルブSLGに後進油圧PRが供給され、ドレインされていた第1のブレーキB1の油圧アクチュエータB1aには、SLG出力圧Pslgが供給される。ここで、切替タイマの作動中は、D1用ソレノイドバルブSLGからは最低保持圧PcがSLG出力圧Pslgとして出力されているため、S1B1コントロールバルブ92が後進状態に切り替わることにより、最低保持圧Pcが第1のブレーキB1の油圧アクチュエータB1aに供給されるが、最低保持圧Pcは第1のブレーキB1を係合状態とする係合圧に比べて小さいため、第1のブレーキB1が急係合されることはない。
その後、電子制御装置100は、切替タイマを開始してから第2の設定時間T2が経過した時刻t15の時点で、切替タイマを終了する。電子制御装置100は、切替タイマの終了後、セカンダリ用ソレノイドバルブSLSに対し、SLS出力圧Pslsを待機圧Paにまで増圧する指令を出力する。これにより、SLS出力圧Pslsは待機圧Paにまで増圧され、伝動ベルト62(図1参照)の滑りが防止される。電子制御装置100は、切替タイマの終了後の時刻t15において、D1用ソレノイドバルブSLGのSLG出力圧Pslgをドレイン圧にしてSLG出力圧Pslgを最低保持圧Pcからほぼ無くなるまで減圧する指令を出力する。さらに、電子制御装置100は、時刻t16以降において、D1用ソレノイドバルブSLGを制御してSLG出力圧Pslgを増圧し、第1のブレーキB1を係合する。なお、本実施例では、切替タイマの終了後、SLS出力圧Pslsの増圧と、SLG出力圧Pslgの減圧とを、順に実行しているが、これには限られず、反対の順序としたり、あるいは並行して実行したりしてもよい。
以上のようなS1B1コントロールバルブ92の非後進状態の維持制御が実行されることで、非後進状態から後進状態へ切り替えられる場合に、第1のブレーキB1を解放状態から係合状態へ緩やかに切り替えられることで変速ショックが抑制される。
上述のようにSLP出力圧Pslpが上限ガード圧Pslpgによって制限されて低く制御され、同時にS1B1コントロールバルブ92の非後進状態の維持制御の実行によりSLS出力圧Pslsが高く制御されると、図9で説明したように無段変速機24の変速比γcvtが値γ1とされるべきところ値γ2とされてしまう。この状態で第2のクラッチC2が係合されると、タービン回転速度Nt(=入力軸回転速度Nin)が値N1になるべきところ値N2となってオーバーレブ判定回転速度Nover以上となってしまう。トルクコンバータ20のタービン翼車20tには許容回転速度が設定されており、タービン回転速度Ntがこの許容回転速度以上なることをオーバーレブ状態というが、オーバーレブ状態は好ましくない。オーバーレブ判定回転速度Noverは、オーバーレブ状態となるときのタービン翼車20tの回転速度であるタービン回転速度Ntである。そのため、以下で説明するデータ取得部130、回転速度推定部132、判定回転速度算出部134、待機条件判定部136、およびC2係合実行部138によってオーバーレブ状態の発生を抑制する制御が実施される。
データ取得部130は、ガード圧実行部120から指令信号が入力されると、現在の無段変速機24の変速比γcvtおよび現在の出力軸回転速度Noutのデータを取得する。データ取得部130は、データの取得後、指令信号を回転速度推定部132へ出力する。
回転速度推定部132は、データ取得部130から指令信号が入力されると、第2のクラッチC2が係合された場合におけるタービン翼車20tの回転速度と推定される推定タービン回転速度Ntesti(rpm)を算出する。例えば、タービン回転速度Ntは入力軸回転速度Ninと同じであるから、現在の無段変速機24の変速比γcvtに現在の出力軸回転速度Noutを乗ずることで推定タービン回転速度Ntestiが算出される。回転速度推定部132は、推定タービン回転速度Ntestiの算出後、指令信号を判定回転速度算出部134へ出力する。
判定回転速度算出部134は、回転速度推定部132から指令信号が入力されると、後述の待機条件判定部136で前記推定タービン回転速度Ntestiがオーバーレブ状態となる回転速度であるかどうか判定する際の判定値であるオーバーレブ判定回転速度Noverを算出する。例えば、出力軸回転速度Noutをパラメータとして、出力軸回転速度Noutと、オーバーレブ状態となるときのタービン回転速度Ntであるオーバーレブ判定回転速度Noverと、の予め求められて記憶された関係(オーバーレブマップ)からオーバーレブ判定回転速度Noverが算出される。判定回転速度算出部134は、オーバーレブ判定回転速度Noverの算出後、指令信号を待機条件判定部136へ出力する。
待機条件判定部136は、判定回転速度算出部134から指令信号が入力されると、第2のクラッチC2のガレージ係合制御を待機させる[待機条件]が成立しているか否かを判定する。なお、ガレージ係合制御とは、アクセル操作量θaccが零、すなわちアクセルペダルの踏み込み操作がされていない状態でシフトレバー98が、例えばD操作ポジションへ操作される場合をいう。[待機条件]が成立する場合とは、例えば(i)Nレンジの制御指示以外の制御指示(例えば、Dレンジの制御指示やRレンジの制御指示)であること、(ii)第2のクラッチC2の作動状態が解放状態から係合状態への遷移であること、(iii)推定タービン回転速度Ntestiがオーバーレブ判定回転速度Nover以上であること、の上記(i)〜(iii)の全ての条件を満たしている場合である。上記(iii)の条件を満たしている場合とは、具体的には図9において、目標入力軸回転速度Nintgt(=推定タービン回転速度Ntesti)がオーバーレブ判定回転速度Nover以上となっている「C2ガレージ係合待機領域」であって、斜線で網掛け表示がなされている領域である。上記(i)を満足しない場合、すなわちN操作ポジションでは、第2のクラッチC2が係合されないためオーバーレブ状態が発生することが無いため、N操作ポジション以外に基づくものであることが成立条件の1つになっている。上記(ii)を成立条件の1つとしたのは、この場合にSLP出力圧Pslpが上限ガード圧Pslpgによって低めに抑えられ、且つSLS出力圧Pslsが非後進状態から後進状態へ切り替えられる際の第2のクラッチC2の作動状態が解放状態から係合状態への遷移であるときに、無段変速機24の変速比γcvtが最大値である値γmax方向に上昇し、第2のクラッチC2をガレージ係合するとオーバーレブ状態が発生する可能性があるからである。上記(iii)を満足しない場合、すなわち推定タービン回転速度Ntestiがオーバーレブ判定回転速度Nover未満である場合にはオーバーレブ状態が発生しないため、推定タービン回転速度Ntestiがオーバーレブ判定回転速度Nover以上であることが成立条件の1つになっている。待機条件判定部136は、待機条件が成立していると判定すると指令信号をC2係合実行部138へ出力する。
C2係合実行部138は、待機条件判定部136から指令信号が入力されると、第2のクラッチC2のガレージ係合制御を待機させる。
図11は、図2の油圧制御回路46において第2のクラッチC2の作動状態に応じたSLP出力圧Pslpの上限ガード圧Pslpgの設定の制御作動を説明するフローチャートである。図11のフローチャートは、例えば、電子制御装置100において所定の時間(例えば、数ms)毎にスタートを繰り返して実行される。
まず、切替防止判定部102に対応するステップS10において、シーケンスバルブ88のフェールセーフ位置への誤切替防止の要求がなされているか否かが判定される。ステップS10の判定が否定される場合はステップS20が実行される。ステップS10の判定が肯定される場合はステップS30が実行される。
ガード圧設定部110に対応するステップS20において、上限ガード圧Pslpgがガード無効値に設定される。そしてステップS150が実行される。
回転速度判定部104に対応するステップS30において、エンジン回転速度Neが所定の飽和回転速度Neh以上であるか否かが判定される。ステップS30の判定が肯定される場合はステップS40が実行される。ステップS30の判定が否定される場合はステップS50が実行される。
ガード圧設定部110に対応するステップS40において、上限ガード圧Pslpgが第1の所定値Pslpg1に設定される。そしてステップS150が実行される。
作動状態判定部106に対応するステップS50において、第2のクラッチC2の作動状態が判定される。そしてステップS60乃至ステップS100が実行される。
ガード圧設定部110に対応するステップS60乃至ステップS100において、前述の図6で説明したように第2のクラッチC2の作動状態に応じて上限ガード圧Pslpgが設定される。第2のクラッチC2の作動状態が完全解放の場合には、ステップS70において上限ガード圧Pslpgが設定され、そしてステップS150が実行される。第2のクラッチC2の作動状態が係合過渡の場合には、ステップS80において上限ガード圧Pslpgが設定され、そしてステップS150が実行される。第2のクラッチC2の作動状態が解放過渡の場合には、ステップS90において上限ガード圧Pslpgが設定され、そしてステップS150が実行される。第2のクラッチC2の作動状態が完全係合の場合には、ステップS100において上限ガード圧Pslpgが設定され、そしてステップS150が実行される。
ガード圧実行部120に対応するステップS150において、ステップS20、S40、S70、S80、S90、およびS100のいずれかのステップで設定された上限ガード圧Pslpgが有効にされ、SLP出力圧Pslpが上限ガード圧Pslpg以上とはならないように制御される。そしてステップS200が実行される。
データ取得部130、回転速度推定部132、判定回転速度算出部134、待機条件判定部136、およびC2係合実行部138に対応するステップS200において、第2のクラッチC2の係合制御が実行される。そしてリターンとなる。
図12は、図11のフローチャートのステップS50における第2のクラッチC2の作動状態の判定の制御作動を説明する部分フローチャートの一例である。
作動状態判定部106に対応するステップS52において、第2のクラッチC2に対する油圧制御状態(係合制御/解放制御、C2指示油圧)、入力軸回転速度Nin、セカンダリ回転速度Nsec、出力軸回転速度Nout、および操作ポジションPOSshが取得され、また、差回転速度ΔNc2が算出される。そしてステップS54が実行される。
作動状態判定部106に対応するステップS54において、第2のクラッチC2の作動状態が判定される。すなわち、第2のクラッチC2の作動状態が、完全解放、係合過渡、解放過渡、および完全係合で表される4つの状態のいずれであるかが、前述の図8で説明したように判定される。そしてステップS50が終了となる。
図13は、図11のフローチャートのステップS200における第2クラッチC2の係合制御の制御作動を説明する部分フローチャートの一例である。
データ取得部130に対応するステップS202において、現在の無段変速機24の変速比γcvtおよび現在の出力軸回転速度Noutのデータが取得される。そしてステップS204が実行される。
回転速度推定部132に対応するステップS204において、第2のクラッチC2を係合した場合のタービン翼車20tの回転速度と推定される推定タービン回転速度Ntestiが算出される。そしてステップS206が実行される。
判定回転速度算出部134に対応するステップS206において、推定タービン回転速度Ntestiがオーバーレブ状態を発生させる回転速度であるかどうか判定する際の判定値であるオーバーレブ判定回転速度Noverが算出される。そしてステップS208が実行される。
待機条件判定部136に対応するステップS208において、第2のクラッチC2のガレージ係合制御を待機させる[待機条件]が成立しているか否かが判定される。ステップS208の判定が肯定される場合はステップS210が実行される。ステップS208の判定が否定される場合はステップS212が実行される。なお、図11のフローチャートが繰り返し実行される間に、SLP出力圧PslpやSLS出力圧Pslsが変更されることで、推定タービン回転速度Ntestiがオーバーレブ判定回転速度Nover未満となって[待機条件]を満足しないようになると、後述のC2係合実行部138に対応するステップS212において、第2のクラッチC2のガレージ係合制御が実行される。
C2係合実行部138に対応するステップS210において、第2のクラッチC2のガレージ係合制御を待機させる。そしてステップS200が終了となる。
C2係合実行部138に対応するステップS212において、第2のクラッチC2の係合や解放の制御である係合制御が待機させられることなく実行される。そしてステップS200が終了となる。
本実施例の動力伝達装置16の電子制御装置100によれば、エンジン12に連結された入力軸22と、駆動輪14に連結された出力軸30と、入力軸22と出力軸30とを有段変速機であるギヤ機構28を経由してエンジン12の出力トルクを伝達する第1の動力伝達経路PT1と、入力軸22と出力軸30とを無段変速機24を経由してエンジン12の出力トルクを伝達する第2の動力伝達経路PT2と、第1の動力伝達経路PT1内に設けられ、第1の動力伝達経路PT1を接続および遮断する第1のクラッチC1と、第2の動力伝達経路PT2内に設けられ、第2の動力伝達経路PT2を接続および遮断する第2のクラッチC2と、第1の動力伝達経路PT1上に設けられた噛合クラッチD1と、後進走行時に係合する第1のブレーキB1と、を備える動力伝達装置16において、第2のクラッチC2への制御指示がNレンジ以外であり、第2のクラッチC2が解放状態から係合状態へ遷移する際に、第2のクラッチC2の係合時における入力軸22に連結されたタービン翼車20tのタービン回転速度Ntが許容回転速度以上であるオーバーレブ状態になると推測すると、無段変速機24の変速比γcvtがオーバーレブ状態を回避可能な所定値にアップシフトするまで、すなわち変速比γcvtが低められるまで第2のクラッチC2のガレージ係合制御が待機させられる。これにより、第2のクラッチC2の係合によるタービン回転速度Ntのオーバーレブが回避される。
本実施例の車両用油圧制御装置150によれば、ソレノイドバルブ群SLgrは、プライマリ用ソレノイドバルブSLP、ロックアップ用ソレノイドバルブSLU、およびD1用ソレノイドバルブSLGを含み、ソレノイドバルブ群SLgrに含まれるソレノイドバルブのいずれかが異常の場合には油路を切り替えてフェールセーフ機能を発揮するシーケンスバルブ88が備えられる。シーケンスバルブ88は、正常状態とする推力としてモジュレータ圧PLPMおよびSL2出力圧Psl2が供給され、フェールセーフ状態とする推力としてSLP出力圧Pslpが供給されている。エンジン回転速度Neが所定の飽和回転速度Neh未満である場合、第2のクラッチC2の作動状態に応じてSLP出力圧Pslpの上限ガード圧Pslpgはシーケンスバルブ88が誤作動によりフェールセーフ状態に切り替わらないように予め定められた油圧にされる。このようにエンジン12のエンジン回転速度Neと第2のクラッチC2の作動状態とに応じてSLP出力圧Pslpの上限ガード圧Pslpgが設けられることから、SLP出力圧Pslpによる無段変速機24のプライマリプーリ58の制御への影響の抑制とシーケンスバルブ88の誤切替の発生の抑制とが両立させられる。また、シーケンスバルブ88の誤切替の発生の抑制方法として本実施例の制御装置が実施される際、エンジン12のアイドルアップ制御によりモジュレータ圧PLPMが高くされる制御装置が採用されない場合には燃費の悪化が回避される。
本実施例の車両用油圧制御装置150によれば、エンジン12のエンジン回転速度Neが所定の飽和回転速度Neh未満である場合に第2のクラッチC2の作動状態に応じて設定されるSLP出力圧Pslpの上限ガード圧Pslpgは、エンジン12のエンジン回転速度Neおよび作動油の油温Thoに応じて定められる。このようにシーケンスバルブ88を正常状態とする推力として作用するモジュレータ圧PLPMはエンジン回転速度Neと作動油の油温Thoに依存するため、フェールセーフ状態とする推力として作用するSLP出力圧Pslpもこれらエンジン回転速度Neと作動油の油温Thoに応じた上限ガード圧Pslpgに設定される。これにより、モジュレータ圧PLPMが低下しても上限ガード圧Pslpgもそれに応じて低下させられるため、シーケンスバルブ88の誤切替が抑制される。
本実施例の車両用油圧制御装置150によれば、シーケンスバルブ88のスプール弁子88svを正常位置とする推力としてスプリング88spの付勢力が付与されている。SLP出力圧Pslpの上限ガード圧Pslpgとして設定される予め定められた油圧は、エンジン回転速度Neおよび作動油の油温Thoに応じて定められる、スプリング88spの付勢力のスプリング荷重圧SPldとモジュレータ圧PLPMとの和とされる。モジュレータ圧PLPMをそれほど大きくしなくともスプリング88spの付勢力があるためシーケンスバルブ88は正常状態となるため、モジュレータ圧PLPMの低圧化によって燃費の向上が図られつつ、シーケンスバルブ88の誤切替の発生の抑制とが両立させられる。
本実施例の車両用油圧制御装置150によれば、エンジン12のエンジン回転速度Neが所定の飽和回転速度Neh以上である場合、上限ガード圧Pslpgは、第2のクラッチC2の解放状態でもシーケンスバルブ88が誤作動によりフェールセーフ状態に切り替わらないように予め定められた一定圧である第1の所定値Pslpg1とされる。第2のクラッチC2が係合状態から解放状態へ急激に切り替えられた場合、シーケンスバルブ88を正常状態とする推力として作用するSL2出力圧Psl2も急激に低下する。このとき、無段変速機24のプライマリプーリ58の作動制御のためのSLP出力圧Pslpに応答遅れがあったとしても、SLP出力圧Pslpの上限ガード圧Pslpgは第2のクラッチC2が解放状態でもシーケンスバルブ88が誤作動によりフェールセーフ状態に切り替わらないように一定圧である第1の所定値Pslpg1とされているため、シーケンスバルブ88の誤作動が抑制される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
前述の実施例では、図11のフローチャートのステップS30において、エンジン回転速度Neが作動油の油温Thoに応じて設定された所定の飽和回転速度Neh以上であるか否かに基づいて、モジュレータ圧PLPMが飽和しているか否かが判定されたが、これに限らない。例えば、作動油の油温Thoに関係なく、所定の飽和回転速度Nehが予め一定値に設定されても良い。
前述の実施例では、図11のフローチャートのステップS30でエンジン回転速度Neが所定の飽和回転速度Neh以上であるか否かの判定を行ったが、これに限らない。例えば、ステップS30の判定を行わず、エンジン12が高回転状態であったとしてもステップS50乃至ステップS100において上限ガード圧Pslpgが設定されても良い。
前述の実施例では、シーケンスバルブ88のスプール弁子88svを正常位置方向に付勢するスプリング88spが備えられていたが、スプリング88spは無くても良い。スプリング88spが無い場合には、図6においてスプリング88spの付勢力を零としてSLP出力圧Pslpの上限ガード圧Pslpgが設定されれば良い。
前述の実施例では、エンジン回転速度Neが所定の飽和回転速度Neh以上である場合に上限ガード圧Pslpgとして設定される第1の所定値Pslpg1と、エンジン回転速度Neが所定の飽和回転速度Neh未満である場合において第2のクラッチC2の作動状態が完全係合であるときに上限ガード圧Pslpgとして設定される第2の所定値Pslpg2と、が同じ値であったが、これに限らない。第1の所定値Pslpg1と第2の所定値Pslpg2とが異なる値とされても良い。
なお、上述したのはあくまでも本発明の実施例であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両
12:エンジン
14:駆動輪
20:トルクコンバータ
20t:タービン翼車(タービン)
22:入力軸(入力回転部材)
24:無段変速機
28:ギヤ機構
30:出力軸(出力回転部材)
44:オイルポンプ
46:油圧制御回路
58:プライマリプーリ
60:セカンダリプーリ
80:モジュレータバルブ
84:プライマリ圧コントロールバルブ
86:セカンダリ圧コントロールバルブ
88:シーケンスバルブ
90:C1コントロールバルブ
92:S1B1コントロールバルブ
94:LU圧コントロールバルブ
100:電子制御装置(制御装置)
150:車両用油圧制御装置
B1:第1のブレーキ
C1:第1のクラッチ
C2:第2のクラッチ
LU:ロックアップクラッチ
Ne:エンジン回転速度
Nin:入力軸回転速度
Nt:タービン回転速度
Ntesti:推定タービン回転速度
Nover:オーバーレブ判定回転速度
Plu:ロックアップ制御圧
PLPM:モジュレータ圧
Poff:オフ圧
Pon:オン圧
Ppri:プライマリ制御圧
Psec:セカンダリ制御圧
Psl2:SL2出力圧
Pslp:SLP出力圧
Pslpg:上限ガード圧
Psls:SLS出力圧
PT1:第1の動力伝達経路
PT2:第2の動力伝達経路
SL1:C1用ソレノイドバルブ
SL2:C2用ソレノイドバルブ
SLG:D1用ソレノイドバルブ
SLgr:ソレノイドバルブ群
SLP:プライマリ用ソレノイドバルブ
SLS:セカンダリ用ソレノイドバルブ
SLU:ロックアップ用ソレノイドバルブ
Tho:油温
γcvt:変速比

Claims (1)

  1. エンジンに連結された入力回転部材と、駆動輪に連結された出力回転部材と、前記入力回転部材と前記出力回転部材とを有段変速機であるギヤ機構を経由して前記エンジンの出力トルクを伝達する第1の動力伝達経路と、前記入力回転部材と前記出力回転部材とを無段変速機を経由して前記エンジンの出力トルクを伝達する第2の動力伝達経路と、前記第1の動力伝達経路内に設けられ、前記第1の動力伝達経路を断接する第1のクラッチと、前記第2の動力伝達経路内に設けられ、前記第2の動力伝達経路を断接する第2のクラッチと、前記第1の動力伝達経路上に設けられた噛合クラッチと、後進走行時に係合する第1のブレーキと、を備える車両用動力伝達装置の、制御装置であって、
    前記第2のクラッチへの制御指示がNレンジ以外であって、前記第2のクラッチが解放状態から係合状態へ遷移する際に、前記第2のクラッチの係合時における前記入力回転部材に連結されたタービンのタービン回転速度がオーバーレブ判定回転速度以上になってオーバーレブ状態になると推測すると、
    前記無段変速機の変速比が前記オーバーレブ状態を回避可能な所定値にアップシフトするまで前記第2のクラッチのガレージ係合制御を待機させる
    ことを特徴とする車両用動力伝達装置の制御装置。
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