JP2019173693A - 油温センサ診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】油温センサの診断中にアイドルストップ制御によりエンジンが停止した場合であっても適切な診断を行うことができる油温センサ診断装置を提供する。【解決手段】エンジン1の潤滑油の油温を検出する油温センサ110と、アイドルストップ制御を行うアイドルストップ制御部130とを備える車両に設けられ油温センサの異常を検出する油温センサ診断装置を、運転時間経過に応じて加算される診断値を設定する診断値設定部と、油温センサの出力に基づいて算出される油温の上昇量が診断値の増加量に対して小さい場合に油温センサの異常を判定する異常判定部とを備え、アイドルストップ制御部は、異常判定部による判定成立前にアイドルストップ制御を行う機能を有し、診断値設定部は、アイドルストップ制御によるエンジンの停止中は診断値の加算を中止する構成とする。【選択図】図5

Description

本発明は、エンジンの潤滑油の油温を検出する油温センサの特性診断を行う油温センサ診断装置に関する。
自動車等の車両に搭載されるエンジンには、冷却水の水温を検出する水温センサや、潤滑油(エンジンオイル)の油温を検出する油温センサ等、各種の温度センサが設けられる。
このような温度センサは、その検出値に基づいた各種制御の精度や妥当性を確保するため、検出特性に異常がないか、車両の使用中に随時オンボード診断を行うことが求められる。
車両用エンジンに搭載される温度センサの診断に関する従来技術として、例えば特許文献1には、冷却液の温度に応じた出力を発生する水温センサの診断装置において、エンジン始動後に所定の時間が経過した時期または所定のエンジン発熱量が生じた時期を計測時として設定し、エンジン始動からこの計測時までのセンサ出力の変化量が所定値未満である場合に故障を判定することが記載されている。
特開2000−130242号公報
エンジンオイルの油温を検出する油温センサにおいても、基本的には上述した水温センサと同様に、エンジン始動後の経過時間と、油温センサ出力の変化量(検出油温の上昇量)とを比較して特性診断を行うことが可能である。
一方、車両用のエンジンにおいては、燃料消費を抑制する目的で、所定のアイドルストップ条件を充足した場合にエンジンを停止し、その後所定の再始動条件が充足した場合に自動的にエンジンを再始動するアイドルストップ制御が行われる。
アイドルストップ制御は、従来はエンジンの暖機が終了した後(冷却水温が十分に高温となった後)に開始される場合が多かったが、近年のエンジンでは、燃料消費をより抑制する目的で、アイドルストップ制御を実行可能な運転領域を、冷却水温がより低温な領域(例えば40℃程度)まで拡大する傾向にある。
その結果、油温センサの特性診断を行うために、エンジン始動後の経過時間を加算している途中で、アイドルストップ制御が行われてエンジンが停止される場合がある。
潤滑油温の昇温中にアイドルストップ制御によりエンジンが停止されると、その間は燃焼によるエンジン内の発熱が途絶えるため、潤滑油温の昇温が停滞し、その結果、油温センサの特性診断に支障が生じることが懸念される。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、油温センサの診断中にアイドルストップ制御によりエンジンが停止した場合であっても適切な診断を行うことができる油温センサ診断装置を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、上述した課題を解決する。
請求項1に係る発明は、エンジンと、前記エンジンの潤滑油の油温を検出する油温センサと、所定のアイドルストップ条件を充足した場合に前記エンジンを停止するとともに所定の再始動条件を充足した場合に前記エンジンを自動的に再始動するアイドルストップ制御を行うアイドルストップ制御部とを備える車両に設けられ前記油温センサの異常を検出する油温センサ診断装置であって、前記油温センサ診断装置は、前記エンジンの冷間始動後における運転時間経過に応じて加算される診断値を設定する診断値設定部と、前記油温センサの出力に基づいて算出される油温の上昇量が前記診断値の増加量に対して小さい場合に前記油温センサの異常を判定する異常判定部とを備え、前記アイドルストップ制御部は、前記異常判定部による判定成立前に前記アイドルストップ制御を行う機能を有し、前記診断値設定部は、前記アイドルストップ制御による前記エンジンの停止中は、前記診断値の前記加算を中止することを特徴とする油温センサ診断装置である。
これによれば、エンジン内において燃焼による発熱がないエンジン停止中における診断値の加算を中止することによって、アイドルストップ制御によるエンジン停止時の油温挙動を診断値に適切に反映し、油温センサの診断精度を向上することができる。
請求項2に係る発明は、前記診断値設定部は、前記アイドルストップ制御による前記エンジンの停止が行われた際は、停止時間に応じて増加する減算量だけ前記診断値を減算することを特徴とする請求項1に記載の油温センサ診断装置である。
これによれば、エンジン停止時に潤滑油がオイルパン等から外気への放熱によって冷却される現象を診断値に反映させることができ、診断値をより適切に設定して油温センサの診断精度をより向上することができる。
請求項3に係る発明は、前記油温センサ診断装置は、前記車両の外気温に相関するパラメータを検出する外気温検出部を備え、前記診断値設定部は、前記外気温の低下に応じて前記減算量を大きくすることを特徴とする請求項2に記載の油温センサ診断装置である。
これによれば、外気温に応じて減算量を変化させることにより、エンジン停止中における油温低下をより適切に診断値に反映させることが可能となり、油温センサの診断精度をさらに向上することができる。
以上説明したように、本発明によれば、油温センサの診断中にアイドルストップ制御によりエンジンが停止した場合であっても適切な診断を行うことができる油温センサ診断装置を提供することができる。
本発明を適用した油温センサ診断装置の実施形態を有するエンジンの構成を模式的に示す図である。 図1のエンジンの潤滑装置の構成を模式的に示すブロック図である。 実施形態の油温センサ診断装置の動作を示すフローチャートである。 実施形態の油温センサ診断装置におけるエンジン始動後経過時間の更新処理を示すフローチャートである。 実施形態の油温センサ診断装置における油温センサ診断中のエンジン回転数、エンジン始動後経過時間、エンジン始動後経過時間減算量の推移の一例を示す図である。
以下、本発明を適用した油温センサ診断装置の実施形態について説明する。
実施形態の油温センサ診断装置は、例えば、乗用車等の自動車に走行用動力源として搭載される水平対向4気筒のガソリン直噴エンジンに設けられるものである。
図1は、実施形態の油温センサ診断装置を有するエンジンの構成を模式的に示す図である。
エンジン1は、クランクシャフト10、シリンダブロック20(20R,20L)、シリンダヘッド30(30R,30L)、インテークシステム40、エキゾーストシステム50、EGR装置60、エンジン制御ユニット(ECU)100等を有して構成されている。
クランクシャフト10は、エンジン1の出力軸となる回転軸である。
クランクシャフト10の一方の端部には、図示しない変速機等の動力伝達機構が接続されている。
クランクシャフト10には、回転軸から偏心して配置されたクランクピンが形成されている。
クランクピンには、図示しないコネクティングロッドを介してピストンが連結されている。
クランクシャフト10の端部には、クランクシャフトの角度位置を検出するクランク角センサ11が設けられている。
クランク角センサ11の出力は、エンジン制御ユニット100に伝達される。
エンジン制御ユニット100は、クランク角センサ11の出力に基づいて、エンジン回転数(クランクシャフト回転速度)を算出する。
シリンダブロック20は、クランクシャフト10を、車体に縦置き搭載する場合における左右方向から挟みこむように、右側シリンダブロック20R、左側シリンダブロック20Lからなる二分割として構成されている。
シリンダブロック20の中央部には、クランクケース部が設けられている。
クランクケース部は、クランクシャフト10を収容する空間部である。
クランクケース部には、クランクシャフト10のジャーナル部を回転可能に支持するメインベアリングが設けられている。
クランクケース部を挟んで左右に配置される右側シリンダブロック20R、左側シリンダブロック20Lの内部には、ピストンが挿入され内部で往復するシリンダが例えば2気筒ずつ(4気筒の場合)形成されている。
シリンダブロック20には、ノックセンサ21が設けられている。
ノックセンサ21は、シリンダブロック20の振動に応じた出力電圧を発生する圧電素子を有する。
エンジン制御ユニット100は、ノッキング発生時に特有のノックセンサ21の出力波形に基づいて、ノッキングの有無を検出可能となっている。
シリンダヘッド30(右側シリンダヘッド30R、左側シリンダヘッド30L)は、シリンダブロック20のクランクシャフト10とは反対側の端部(左右端部)にそれぞれ設けられている。
シリンダヘッド30は、燃焼室31、点火プラグ32、吸気ポート33、排気ポート34、吸気バルブ35、排気バルブ36、吸気カムシャフト37、排気カムシャフト38、インジェクタ39等を備えて構成されている。
燃焼室31は、シリンダヘッド30のピストン冠面と対向する箇所を、例えばペントルーフ状に凹ませて形成されている。
点火プラグ32は、エンジン制御ユニット100からの点火信号に応じてスパークを発生し、混合気に点火するものである。
点火プラグ32は、燃焼室31の中央に設けられている。
吸気ポート33は、燃焼用空気(新気)を燃焼室31に導入する流路である。
排気ポート34は、燃焼室31から既燃ガス(排ガス)を排出する流路である。
吸気バルブ35、排気バルブ36は、吸気ポート33、排気ポート34を所定のバルブタイミングで開閉するものである。
吸気バルブ35、排気バルブ36は、各気筒に例えば2本ずつ設けられる。
吸気バルブ35、排気バルブ36は、クランクシャフト10の1/2の回転数で同期して回転する吸気カムシャフト37、排気カムシャフト38によって開閉される。
吸気カムシャフト37、排気カムシャフト38のカムスプロケット部には、各カムシャフトの位相を進角・遅角させて各バルブの開弁時期、閉弁時期を変化させる図示しないバルブタイミング可変機構が設けられている。
インジェクタ39は、エンジン制御ユニット100が発する開弁信号に応じて、燃焼室31内に燃料を噴射して混合気を形成するものである。
インジェクタ39は、燃料を噴射するノズル部が、燃焼室31の内面における吸気ポート33側の領域からシリンダ内に露出するよう設けられている。
インテークシステム40は、空気を導入して吸気ポート33に導入するものである。
インテークシステム40は、インテークダクト41、チャンバ42、エアクリーナ43、エアフローメータ44、スロットルバルブ45、インテークマニホールド46、吸気圧センサ47等を備えて構成されている。
インテークダクト41は、外気を導入して吸気ポート33に導入する流路である。
チャンバ42は、インテークダクト41の入口部近傍に連通して設けられた空間部である。
エアクリーナ43は、空気を濾過してダスト等を取り除くものである。
エアクリーナ43は、インテークダクト41におけるチャンバ42との連通箇所の下流側に設けられている。
エアフローメータ44は、インテークダクト41内を通過する空気流量を計測するものである。
エアフローメータ44は、エアクリーナ43の出口近傍に設けられている。
エアフローメータ44の出力は、エンジン制御ユニット100に伝達される。
スロットルバルブ45は、空気の流量を調節してエンジン1の出力を制御するバタフライバルブである。
スロットルバルブ45は、インテークダクト41におけるインテークマニホールド46との接続部近傍に設けられている。
スロットルバルブ45は、エンジン制御ユニット100がドライバ要求トルク等に応じて設定する目標スロットル開度に応じて、図示しない電動式のスロットルアクチュエータによって開閉駆動される。
また、スロットルバルブ45には、その開度を検出するスロットルセンサが設けられ、その出力はエンジン制御ユニット100に伝達される。
インテークマニホールド46は、空気を各気筒の吸気ポート33に分配する分岐管である。
インテークマニホールド46は、スロットルバルブ45の下流側に設けられている。
吸気圧センサ47は、インテークマニホールド46内の空気の圧力(吸気圧力)を検出するものである。
吸気圧センサ47の出力は、エンジン制御ユニット100に伝達される。
エキゾーストシステム50は、排気ポート34から排出された排ガスを外部に排出するものである。
エキゾーストシステム50は、エキゾーストマニホールド51、エキゾーストパイプ52、フロント触媒53、リア触媒54、サイレンサ55、空燃比センサ56、リアOセンサ57等を有して構成されている。
エキゾーストマニホールド51は、各気筒の排気ポート34から出た排ガスを集合させる集合管である。
エキゾーストパイプ52は、エキゾーストマニホールド51から出た排ガスを外部に排出する管路である。
フロント触媒53、リア触媒54は、エキゾーストパイプ52の中間部分に設けられ、排ガス中のHC、NO、CO等を浄化する三元触媒をそれぞれ備えている。
フロント触媒53は、エキゾーストマニホールド51の出口に隣接して設けられ、リア触媒54は、フロント触媒の出口側に設けられている。
サイレンサ55は、排ガスの音響エネルギを低減するものである。
サイレンサ55は、エキゾーストパイプ52の出口近傍に設けられている。
空燃比センサ56は、エキゾーストマニホールド51の出口と、フロント触媒53の入口との間に設けられている。
リアOセンサ57は、フロント触媒53の出口と、リア触媒54の入口との間に設けられている。
空燃比センサ56、リアOセンサ57は、ともに排ガス中の酸素濃度に応じた出力電圧を発生することによって、排ガス中の酸素量を検出するものである。
空燃比センサ56は、リアOセンサ57に対してより広範囲の空燃比における酸素濃度を検出可能なリニア出力センサとなっている。
空燃比センサ56、リアOセンサ57の出力は、ともにエンジン制御ユニット100に伝達される。
EGR装置60は、エキゾーストマニホールド51から排ガスの一部をEGRガスとして抽出し、インテークマニホールド46内に導入する排ガス再循環(EGR)を行うものである。
EGR装置60は、EGR流路61、EGRクーラ62、EGRバルブ63等を備えている。
EGR流路61は、エキゾーストマニホールド51から、インテークマニホールド46に排ガス(EGRガス)を導入する管路である。
EGRクーラ62は、EGR流路61を流れるEGRガスを、エンジン1の冷却水との熱交換によって冷却するものである。
EGRクーラ62は、EGR流路61の途中に設けられている。
EGRバルブ63は、EGR流路61内を通過するEGRガスの流量を調節する調量弁である。
EGRバルブ63は、EGR流路61におけるEGRクーラ62の下流側に設けられている。
EGRバルブ63は、ソレノイド等の電動アクチュエータによって駆動され開閉する弁体を有し、エンジン制御ユニット100によって、所定の目標EGR率(EGRガス流量/吸気流量)に基づいて設定された開度マップを用いて開度を制御される。
エンジン制御ユニット(ECU)100は、エンジン1、及び、その補機類を、統括的に制御するものである。
エンジン制御ユニット100は、CPU等の情報処理手段、RAMやROM等の記憶手段、入出力インターフェイス、及び、これらを接続するバス等を備えて構成されている。
また、エンジン制御ユニット100には、ドライバによる図示しないアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルペダルセンサ101が設けられている。
エンジン制御ユニット100は、アクセルペダルセンサ101の出力等に基づいて、ドライバ要求トルクを設定する機能を備えている。
エンジン制御ユニット100は、エンジン1が実際に発生するトルクが、設定されたドライバ要求トルクに近づくよう、スロットルバルブ開度、過給圧、燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期、バルブタイミング等を制御する。
また、エンジン制御ユニット100は、実施形態の油温センサ診断装置における診断値設定部、異常判定部としても機能する。
これらの機能については、後に詳しく説明する。
また、エンジン制御ユニット100には、油温センサ110、外気温センサ120、アイドルストップ制御ユニット130等が接続されている。
油温センサ110は、エンジン1の潤滑油(オイル)の温度を検出する温度センサである。
外気温センサ120は、車両の外気温(車両周囲の雰囲気の温度)を検出する温度センサである。
アイドルストップ制御ユニット130は、エンジン1及び車両の運転状態が、所定のアイドルストップ条件を充足した場合に、エンジン1を自動的に停止させるアイドルストップ制御を実行するものである。
アイドルストップ条件として、例えば、車両の停止判定が成立していること、ドライバ要求トルクが実質的にゼロ(アクセルオフ状態)であること、エンジン1の冷却水温が所定値(一例として40℃)以上であること、ブレーキのマスタシリンダ液圧が所定値以上であること、ステアリング舵角が所定値以下であること、再始動用バッテリの充電状態(SOC)が所定値以上であること、空調要求が所定値以下であること等がある。
エンジン制御ユニット100は、これら全ての条件が充足した場合に、エンジン1における燃料噴射及び点火を停止し、エンジン1を停止させる。
ここで、例えば外気温が20℃程度である状態から、エンジン1をコールドスタート(ソーク後からの冷間始動)した場合、始動時には冷却水、オイルの温度は、いずれも実質的に外気温と等しい。その後、暖機初期(始動直後)においては、冷却水のほうがオイルよりも先行して昇温される。
実施形態においては、後述するように、油温センサ110の特性診断は油温が45℃に達するまで行われるが、油温が45℃に到達するよりも先に冷却水温は40℃に到達し、アイドルストップ制御を実行可能な状態となる。
すなわち、実施形態においては、アイドルストップ制御が、油温センサ110の診断中に介入する可能性がある。
また、アイドルストップ制御ユニット130は、アイドルストップ制御の実行時に、所定の再始動条件が充足した場合に、エンジン1を自動的に再始動させる再始動制御を実行する。
再始動条件として、例えば、アイドルストップ条件のうち少なくとも一つが非充足となることがあげられる。
再始動条件が充足した場合、エンジン制御ユニット100は、図示しないスタータモータによりクランクシャフトを回転(クランキング)させるとともに、燃料噴射及び点火を再開し、エンジン1を再始動させる。
エンジン1は、以下説明する潤滑装置を備えている。
図2は、図1のエンジンの潤滑装置の構成を模式的に示すブロック図である。
図2に示すように、潤滑装置200は、オイルパン210、オイルストレーナ220、オイルポンプ230、オイルフィルタ240等を有して構成されている。
オイルパン210は、シリンダブロック20の下部に設けられたトレイ状の部材である。
オイルパン210は、エンジン1の潤滑油であり、かつ、可変バルブタイミング機構やハイドロリックラッシュアジャスタの作動油であるオイルが貯留されるものである。
オイルパン210には、オイルの温度(油温)を検出する油温センサ110が設けられている。
オイルストレーナ220は、オイルポンプ230の吸入口に接続されたオイルの取入部である。
オイルストレーナ220の入口側の端部は、オイルパン210の内部に配置されている。
オイルストレーナ220は、例えば金網等のスクリーンによって、オイル中の比較的大きい異物片を除去する機能を有する。
オイルポンプ230は、オイルストレーナ220を介して取り入れられたオイルを、加圧してエンジン1の各部に搬送(圧送)するものである。
オイルポンプ230は、例えば、エンジン1のクランクシャフト10によって駆動されるトロコイドロータ型のものである。
オイルポンプ230は、ポンプボディ内で組み合わされたインナロータ、及び、アウタロータを有する。
インナロータは、クランクシャフト10の回転と連動して、アウタロータに対して回転するようになっている。
また、オイルポンプ230は、吐出側の油圧が過大となることを防止する図示しないリリーフバルブを備えている。
オイルフィルタ240は、例えばペーパエレメントを用いて、オイルポンプ230が吐出するオイルを濾過するフルフロー・カートリッジ式のものである。
オイルフィルタ240から出たオイルは、右側シリンダブロック20R、左側シリンダブロック20Lの内部に形成された図示しないオイルギャラリ(油路)にそれぞれ圧送される。
右側シリンダブロック20R、左側シリンダブロック20Lに供給されたオイルの一部は、図示しないジャーナルベアリング、及び、コネクティングロッドベアリングに供給されてこれらのベアリングを潤滑する。
その後、このオイルは、潤滑対象部から漏出した後に、自然落下によってオイルパン210に戻る。
また、一部のオイルは、飛沫によってコネクティングロッドの小端部や、シリンダ内壁部を潤滑する。
右側シリンダブロック20Rに供給されたオイルの他の一部は、右側シリンダヘッド30Rにも供給され、動弁駆動系等を潤滑した後、オイルパン210に戻る。
左側シリンダブロック20Lに供給されたオイルの他の一部は、左側シリンダヘッド30Lにも供給され、動弁駆動系等を潤滑した後、オイルパン210に戻る。
以下、実施形態の油温センサ診断装置の動作について説明する。
図3は、実施形態の油温センサ診断装置の動作を示すフローチャートである。
以下、ステップ毎に順を追って説明する。
<ステップS01:エンジン回転数判断>
エンジン制御ユニット100は、クランク角センサ11の出力に基づいて、エンジン回転数(クランクシャフト10の回転速度)を検出する。
エンジン回転数が、エンジンが正常な運転状態にあることを考慮して設定された閾値を超過している場合はステップS02に進み、その他の場合はステップS01を繰り返す。
ここで、閾値として、例えば、アイドリング時の下限回転数(例えば350rpm程度)を用いることができる。
<ステップS02:始動時油温判断>
エンジン制御ユニット100は、油温センサ110の出力に基づいて演算されるエンジン始動時の油温を、予め設定された閾値と比較する。
閾値は、例えば、コールドスタート時における油温を考慮して、外気温と実質的に同等か、わずかに高い程度に設定される。
始動時の油温が閾値未満である場合はステップS03に進み、その他の場合はステップS01に戻って以降の処理を繰り返す。
<ステップS03:油温判定値判断>
エンジン制御ユニット100は、油温センサ110の出力に基づいて演算される現在の油温(油温センサ110の検出油温)を、予め設定された判定値と比較する。
判定値は、例えば、エンジン1の暖機が実質的に終了する際の油温を考慮して設定され、例えば45℃程度に設定される。
現在の油温が判定値未満である場合はステップS04に進み、その他の場合はステップS07に進む。
<ステップS04:エンジン始動後経過時間判断>
エンジン制御ユニット100は、エンジン1の始動後における経過時間に相関するパラメータ(後述するように実際の経過時間そのものではない)であり、異常判定における診断値として機能するエンジン始動後経過時間を、エンジン1の暖機に要する時間(正常時に油温が判定値に到達する時間)を考慮して予め設定された閾値と比較する。
エンジン始動後経過時間が閾値以上である場合はステップS06に進み、その他の場合はステップS05に進む。
<ステップS05:エンジン始動後経過時間更新>
エンジン制御ユニット100は、エンジン始動後経過時間を更新する。
エンジン始動後経過時間の更新処理については、後に詳しく説明する。
その後、ステップS03に戻って以降の処理を繰り返す。
<ステップS06:異常判定成立>
エンジン制御ユニット100は、油温センサ110が故障している(想定される油温変化に相当する出力変化が得られない)ことを示す異常判定を成立させる。
異常判定の成立に応じて、図示しない警告灯などにより、ドライバ等のユーザに故障が発生した旨が報知される。
また、油温センサ110が検出する油温を用いた各制御は、油温が取得できないことを前提としたフェイルセーフ制御に移行する。
その後、一連の処理を終了する。
<ステップS07:正常判定成立>
エンジン制御ユニット100は、油温センサ110が正常であることを示す正常判定を成立させる。
その後、一連の処理を終了する。
以下、上述したエンジン始動後経過時間の更新処理(ステップS05参照)について説明する。
図4は、実施形態の油温センサ診断装置におけるエンジン始動後経過時間の更新処理を示すフローチャートである。
以下、ステップ毎に順を追って説明する。
<ステップS51:アイドルストップ実行中判断>
エンジン制御ユニット100は、エンジン1が、アイドルストップ制御により停止中であるか否かを判別する。
エンジン1が停止中である場合はステップS53に進み、エンジン1が運転中である場合はステップS52に進む。
<ステップS52:エンジン始動後経過時間カウントアップ>
エンジン制御ユニット100は、エンジン始動後経過時間を、実際の時間経過に応じて加算(カウントアップ)する。
その後、一連の処理を終了する。(図3のステップS03に進む)
<ステップS53:外気温検出>
エンジン制御ユニット100は、外気温センサ120の出力に基づいて、外気温に関する情報を取得する。
その後、ステップS54に進む。
<ステップS54:エンジン始動後経過時間減算>
エンジン制御ユニット100は、エンジン始動後経過時間から減算する減算量を演算する。
エンジン始動後経過時間の減算量は、エンジン1の停止時間増加に応じて大きくなるように設定され、例えば、停止時間に比例して増加する。
また、エンジン始動後経過時間の減算量は、外気温が低いほどエンジン停止中のオイルの冷却量が増加することを考慮して、外気温の低下に応じて大きくなる(外気温の上昇に応じて小さくなる)ように設定される。
このようなエンジン始動後経過時間の減算量は、例えば、エンジン1の再始動時に演算することができる。
エンジン制御ユニット100は、エンジン始動後経過時間の減算量を算出後、直前のエンジン始動後経過時間から減算する。
その後、一連の処理を終了する。(図3のステップS03に進む)
図5は、実施形態の油温センサ診断装置における油温センサ診断中のエンジン回転数、エンジン始動後経過時間、エンジン始動後経過時間減算量の推移の一例を示す図である。
縦軸はエンジン回転数、エンジン始動後経過時間、エンジン始動後経過時間減算量を示し、横軸は時間を示している。
時間T1においてエンジン1は冷間始動(コールドスタート)される。
その後、エンジン始動後経過時間は、運転時間の経過に比例して増加する。
時間T2において、アイドルストップ制御が実行され、エンジン1は一時的に停止される。
このとき、エンジン始動後経過時間の加算は中止される。
時間T3において、再始動制御が実行されてエンジン1は再始動される。
このとき、エンジン始動後経過時間は、アイドルストップ制御によるエンジン1の停止時間に応じて設定される減算量だけ減算される。
図5において、通常時の減算量を実線、通常時に対して低外気温時の減算量を点線、通常時に対して高外気温時の減算量を一点鎖線で示している。
図5に示すように、減算量はアイドルストップによるエンジン停止時間に実質的に比例して増加するとともに、外気温の低下に応じて大きく(外気温の上昇に応じて小さく)なるように設定されている。
エンジン始動後経過時間は、算出された減算量だけを減算され減少した後、再びエンジン1の運転時間に応じて加算される。
図5において、上述したアイドルストップ制御に伴う減算を行わなかった場合のエンジン始動後経過時間を点線で示す。
アイドルストップ制御に伴う減算を行わない場合、エンジン1が停止して、燃焼による発熱がなく、オイルへの入熱が実質的に中断されている期間も、単純にエンジン始動後経過時間の加算が継続されることから、このエンジン始動後経過時間に基づいて油温センサの特性診断を行った場合には、適切に診断を行えないことが懸念される。
例えば、油温センサ110が正常であるにも関わらず、異常判定が成立する誤診断が懸念される。
これに対し、実施形態においては、エンジン停止時におけるオイルへの入熱の中断、及び、外気によるオイルパン210の冷却の影響を考慮し、アイドルストップ中にエンジン停止時間に応じて油温が低下するという物理現象を適切に反映させて油温センサ110の診断を行うことができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)アイドルストップ制御によるエンジン停止時に、エンジン始動後経過時間(実施形態における診断値)の加算を停止することによって、エンジン1内において燃焼による発熱がないエンジン停止時の油温挙動をエンジン始動後経過時間に適切に反映し、油温センサ110の診断精度を向上することができる。
(2)アイドルストップ制御によるエンジン停止時に、停止時間に応じた減算量だけエンジン始動後経過時間を減算することによって、エンジン停止時にオイルがオイルパン210等から外気への放熱によって冷却される現象を、エンジン始動後経過時間に反映させることができ、エンジン始動後経過時間をより適切に設定して油温センサ110の診断精度をより向上することができる。
(3)外気温に応じてエンジン始動後経過時間の減算量を変化させることにより、エンジン停止中における油温低下をより適切に診断値に反映させることが可能となり、油温センサ110の診断精度をさらに向上することができる。
(変形例)
本発明は、以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)油温センサ診断装置及びエンジンの構成は、上述した実施形態に限定されることなく適宜変更することが可能である。
例えば、実施形態においては、エンジンは水平対向の直噴ガソリンエンジンであるが、本発明は他種の内燃機関にも適用することができる。
例えば、シリンダレイアウト、気筒数、燃料噴射方式、過給機の有無等は特に限定されない。
また、本発明は、ガソリンエンジンに限らず、ガソリン以外の燃料を用いるエンジン(ディーゼルエンジン等)にも適用することができる。
また、実施形態では、油温センサをオイルパンに設けているが、油温センサの設置箇所は特に限定されず、潤滑油路における任意の箇所に設けることが可能である。
(2)実施形態においては、エンジン始動後経過時間の減算量を、外気温に基づいて変化させるようにしているが、外気温以外のパラメータであって外気温に相関するものに基づいて減算量を変化させるようにしてもよい。
例えば、エンジン1における新気の温度(吸気温度)などに応じて減算量を変化させるようにしてもよい。
また、外気温を外気温センサにより車両上で取得することに代えて、通信装置を用いて外気温に関する情報を、例えば気象情報等を用いて外部から取得するようにしてもよい。
(3)実施形態においては、設定された油温に達するまでのエンジン始動後経過時間に基づいて診断を行っているが、これに代えて、設定されたエンジン始動後経過時間における油温の上昇量に基づいて診断を行ってもよい。
1 エンジン
10 クランクシャフト 11 クランク角センサ
20 シリンダブロック
20R 右側シリンダブロック 20L 左側シリンダブロック
21 ノックセンサ
30 シリンダヘッド
30R 右側シリンダヘッド 30L 左側シリンダヘッド
31 燃焼室
32 点火プラグ 33 吸気ポート
34 排気ポート 35 吸気バルブ
36 排気バルブ 37 吸気カムシャフト
38 排気カムシャフト 39 インジェクタ
40 インテークシステム 41 インテークダクト
42 チャンバ 43 エアクリーナ
44 エアフローメータ 45 スロットルバルブ
46 インテークマニホールド 47 吸気圧センサ
50 エキゾーストシステム 51 エキゾーストマニホールド
52 エキゾーストパイプ 53 フロント触媒
54 リア触媒 55 サイレンサ
56 空燃比センサ 57 リアOセンサ
60 EGR装置 61 EGR流路
62 EGRクーラ 63 EGRバルブ
100 エンジン制御ユニット(ECU)
101 アクセルペダルセンサ 110 油温センサ
120 外気温センサ 130 アイドルストップ制御ユニット
200 潤滑装置 210 オイルパン
220 オイルストレーナ 230 オイルポンプ
240 オイルフィルタ

Claims (3)

  1. エンジンと、
    前記エンジンの潤滑油の油温を検出する油温センサと、
    所定のアイドルストップ条件を充足した場合に前記エンジンを停止するとともに所定の再始動条件を充足した場合に前記エンジンを自動的に再始動するアイドルストップ制御を行うアイドルストップ制御部と
    を備える車両に設けられ前記油温センサの異常を検出する油温センサ診断装置であって、
    前記油温センサ診断装置は、
    前記エンジンの冷間始動後における運転時間経過に応じて加算される診断値を設定する診断値設定部と、
    前記油温センサの出力に基づいて算出される油温の上昇量が前記診断値の増加量に対して小さい場合に前記油温センサの異常を判定する異常判定部とを備え、
    前記アイドルストップ制御部は、前記異常判定部による判定成立前に前記アイドルストップ制御を行う機能を有し、
    前記診断値設定部は、前記アイドルストップ制御による前記エンジンの停止中は、前記診断値の前記加算を中止すること
    を特徴とする油温センサ診断装置。
  2. 前記診断値設定部は、前記アイドルストップ制御による前記エンジンの停止が行われた際は、停止時間に応じて増加する減算量だけ前記診断値を減算すること
    を特徴とする請求項1に記載の油温センサ診断装置。
  3. 前記油温センサ診断装置は、前記車両の外気温に相関するパラメータを検出する外気温検出部を備え、
    前記診断値設定部は、前記外気温の低下に応じて前記減算量を大きくすること
    を特徴とする請求項2に記載の油温センサ診断装置。
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