JP2019172770A - 導電性高分子組成物、導電性高分子薄膜の製造方法 - Google Patents

導電性高分子組成物、導電性高分子薄膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性及び密着性に優れ且つ初期導電率を高めることが可能な導電性高分子薄膜を製造可能な導電性高分子組成物を提供する。【解決手段】本発明によれば、有機溶剤と、導電性高分子と、添加剤を含む導電性高分子組成物であって、前記導電性高分子は、π共役系高分子とドーパントからなり、前記導電性高分子は、前記有機溶剤中において、動的光散乱型粒径測定装置で測定したD50が300nm以下であり、前記添加剤は、以下の条件(1)又は(2)を充足する、導電性高分子組成物。(1)前記添加剤は、リン酸、カルボン酸、スルホン酸、及びスルホン酸誘導体より選ばれる少なくとも一種の化合物であって、酸の形態における125℃24時間後の重量減少率が0〜30wt%である。(2)前記添加剤は、スルホ基又はその誘導体以外の反応性置換基と、スルホ基又はその誘導体を有するが提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、導電性高分子組成物、導電性高分子薄膜の製造方法に関する。
導電性高分子の用途の一つとしてコンデンサの固体電解質が挙げられる。過酷な環境での使用が想定される車載用のコンデンサの固体電解質に適応する場合、高熱・高湿環境下における信頼性が求められる。チオフェン系に代表される水分散型導電性高分子は、ドープに使用されない余剰スルホン酸によって水に分散させる設計となっているため、この余剰スルホン酸によって、製造工程中に著しく吸湿が生じ、熱環境使用時の基材密着性(酸化タンタル等)を悪化させる原因の一つとなるため、コンデンサの信頼性を損なうことが課題となっていた。PEDOT/PSSにおける低吸湿化の手段として、余剰スルホン酸の低減が考えられるが、一方で、水への分散性はこの余剰スルホン酸に依存するため、細孔への含浸性と密着性の両立は難しかった。
そこで、密着性を改善するため、溶媒への分散安定に過剰なスルホン酸を必要としない溶剤型導電性高分子の開発が進められてきた。しかし、それらは密着性の点で優れるが、余剰スルホン酸が少ないことで、熱条件下で脱ドープしやすく、耐熱性が悪いという課題があった。
ところで、耐熱性向上手段として、導電性高分子のinsitu重合を行う際に添加するドーパントを工夫することが考えられてきた。具体的には、ドーパント構造をナフタレン骨格等、分子構造を調整(分子サイズが小さすぎると脱ドープしやすく、嵩高すぎても、ドーパントとして取り込まれにくく低導電となるため)することで脱ドープを抑制する方法(特許文献1〜2)や、さらにドーパントに熱条件下で分解する構造を導入する方法が挙げられる(特許文献3)。
特公平6−82590 特許第3909666 特許第4688125
しかしながら、これら手段は、ドーパントの骨格に脱ドープを抑制するために嵩高い構造を導入するため、初期導電率が低くなってしまうので、導電性と耐熱性の両立が課題となっていた。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、耐熱性及び密着性に優れ且つ初期導電率を高めることが可能な導電性高分子薄膜を製造可能な導電性高分子組成物を提供するものである。
本発明によれば、有機溶剤と、導電性高分子と、添加剤を含む導電性高分子組成物であって、前記導電性高分子は、π共役系高分子とドーパントからなり、前記導電性高分子は、前記有機溶剤中において、動的光散乱型粒径測定装置で測定したD50が300nm以下であり、前記添加剤は、以下の条件(1)又は(2)を充足する、導電性高分子組成物。(1)前記添加剤は、リン酸、カルボン酸、スルホン酸、及びスルホン酸誘導体より選ばれる少なくとも一種の化合物であって、酸の形態における125℃24時間後の重量減少率が0〜30wt%である。(2)前記添加剤は、スルホ基又はその誘導体以外の反応性置換基と、スルホ基又はその誘導体を有するが提供される。
本発明者が耐熱性を高めるべく鋭意検討を行ったところ、導電性高分子薄膜に上記添加剤を含めることによって、導電性高分子薄膜の耐熱性が著しく向上することを見出した。このため、ドーパントに嵩高い構造を導入しなくても高耐熱性を実現できるので、ドーパントを適切に選択することによって初期導電率を高めることが可能になる。また、導電性高分子の有機溶剤中における粒子径を小さくすることによって密着性を高めることができた。
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記記載の導電性高分子組成物であって、前記添加剤は、条件(1)を充足し、かつスルホン酸である、導電性高分子組成物である。
好ましくは、前記記載の導電性高分子組成物であって、前記導電性高分子は、一般式(1)又は下記一般式(2)で表される構成単位の少なくとも1つを有する、導電性高分子組成物である。
(一般式(1)及び(2)中、Rは、それぞれ置換基を有していてもよい、炭素数1以上12以下のアルキル基、炭素数1以上12以下のアルコキシ基、炭素数1以上12以下のアルキレンオキサイド基、芳香族基、又は複素環基を表す。Aは、ドーパント由来のモノアニオンである。nは、2以上300以下である。)
本発明の別の観点によれば、薄膜形成工程を備える導電性高分子薄膜の製造方法であって、前記薄膜形成工程では、基材に導電性高分子組成物を含浸させた後に乾燥させて薄膜を形成し、前記導電性高分子組成物は、有機溶剤と、導電性高分子を含み、前記薄膜が添加剤を含み、前記導電性高分子は、前記有機溶剤中において、動的光散乱型粒径測定装置で測定したD50が300nm以下であり、前記添加剤は、以下の条件(1)又は(2)を充足する、方法である。
(1)前記添加剤は、リン酸、カルボン酸、スルホン酸、スルホン酸誘導体より選ばれる化合物であって、酸の形態における125℃24時間後の重量減少率が0〜30wt%である。
(2)前記添加剤は、スルホ基又はその誘導体以外の反応性置換基と、スルホ基又はその誘導体を有する。
好ましくは、前記記載の導電性高分子薄膜の製造方法であって、添加剤接触工程を備え、前記添加剤接触工程では、前記薄膜に前記添加剤を接触させる、方法である。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
1.導電性高分子組成物
本発明の一実施形態の導電性高分子組成物は、有機溶剤と、導電性高分子と、添加剤を含む。以下、各構成要素について詳述する。
1−1.有機溶剤
有機溶剤としては、導電性高分子を溶解又は分散可能なものであれば特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル等のグリコール系溶媒、乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸系溶媒、トルエン、酢酸エチル、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、トルエン、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド、メタノール、ベンジルアルコール等があげられるが、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、トルエン、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド、メタノール、ベンジルアルコール等が特に好ましい。有機溶剤は、複数の溶媒を組み合わせて用いてもよく、導電性高分子の合成に用いる溶媒と同じであっても異なっていてもよい。
導電性高分子を水に分散安定させるには、ドープに寄与しない余剰スルホン酸が必要であるが、導電性高分子組成物が有機溶剤を含む場合、余剰スルホン酸が少ない量でも、導電性高分子を有機溶剤中に安定的に溶解又は分散させることが可能である。
導電性高分子組成物のうち、有機溶剤を除いた不揮発分は、特に制限されないが、例えば0.1質量%以上20.0質量%以下である。具体的には、0.1、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、5.0、10.0、15.0、20.0質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
導電性高分子組成物の溶媒又は分散媒は、上記有機溶剤以外に水を含んでも良いが、基材密着性の観点から含水率は分散媒に対して50%以下であることが好ましく、10%以下がより好ましい。
1−2.導電性高分子
本発明の導電性高分子は、π共役系高分子とドーパントからなり、上記有機溶剤中において、動的光散乱型粒径測定装置で測定した体積基準の粒子径(D50)はが300nm以下である。
粒子径(D50)は、例えば0.1〜300nmであり、0.5〜10nmが好ましく、具体的には例えば、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、50、100、200、300nmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
π共役系高分子としては、π共役系を有する任意の高分子が挙げられ、例えば、アニリン、ピロール、チオフェン又はその誘導体を骨格に含むものが挙げられ、チオフェン骨格を有する高分子が好ましく、3,4−エチレンジオキシチオフェン骨格を含む高分子がより好ましい。
ドーパントとしては、π共役系高分子に導電性を付与可能な任意の化合物が挙げられ、高分子ドーパントと低分子ドーパントの何れであってもよい。高分子ドーパントとしては、ポリスチレンスルホン酸(PSS)等の多価酸が例示される。高分子ドーパントとしては、π共役系高分子から電子を受け取ってポリアニオンとなるものが好ましい。低分子ドーパントとしては、p−トルエンスルホン酸、ドデシルスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸、テトラフルオロホウ酸、トリフルオロ酢酸、ヘキサフルオロリン酸、トリフルオロメタンスルホンイミド等の一価酸、又はそのアルカリ金属塩等が挙げられる。低分子ドーパントとしては、π共役系高分子から電子を受け取ってモノアニオンとなるものが好ましく、スルホ基を有するモノアニオンが好ましく、アルキル鎖とスルホ基が結合した構造を有するモノアニオンが更に好ましい。モノアニオンとなるドーパントを用いると導電性高分子の導電率が向上しやすいので、モノアニオンとなるドーパントを用いることが好ましい。
導電性高分子は、一般式(1)又は下記一般式(2)で表される構成単位の少なくとも1つを有するものが好ましい。この導電性高分子に含まれるπ共役系高分子は、Rを有することによって有機溶剤への分散性が高められている。
(一般式(1)及び(2)中、Rは、それぞれ置換基を有していてもよい、炭素数1以上12以下のアルキル基、炭素数1以上12以下のアルコキシ基、炭素数1以上12以下のアルキレンオキサイド基、芳香族基、又は複素環基を表す。Aは、ドーパント由来のモノアニオンである。nは、2以上300以下である。)
前記炭素数1以上12以下のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状等のいずれでもよく、例えば、炭素数1以上8以下、炭素数1以上6以下、炭素数1以上4以下等であってもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基等があげられる。
前記炭素数1以上12以下のアルコキシ基としては、直鎖状、分岐状、環状等のいずれでもよく、例えば、炭素数1以上8以下、炭素数1以上6以下、炭素数1以上4以下等である。
前記炭素数1以上12以下のアルキレンオキサイド基としては、炭素数1以上8以下、炭素数1以上6以下、炭素数1以上4以下等があげられる。
前記芳香族基としては、フェニル基、ベンジル基等の他にも各種の縮合環基をあげることができる。縮合環基としては、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピラントレン環等があげられる。
前記複素環基としては例えば、シロール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンズイミダゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、チエノチオフェン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環(カルバゾール環を構成する炭素原子の任意の一つ以上が窒素原子で置き換わったものを表す)、ジベンゾシロール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ベンゾチオフェン環やジベンゾフラン環を構成する炭素原子の任意の一つ以上が窒素原子で置き換わった環、ベンゾジフラン環、ベンゾジチオフェン環、アクリジン環、ベンゾキノリン環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、サイクラジン環、キンドリン環、テペニジン環、キニンドリン環、トリフェノジチアジン環、トリフェノジオキサジン環、フェナントラジン環、アントラジン環、ペリミジン環、ナフトフラン環、ナフトチオフェン環、ナフトジフラン環、ナフトジチオフェン環、アントラフラン環、アントラジフラン環、アントラチオフェン環、アントラジチオフェン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、ジベンゾカルバゾール環、インドロカルバゾール環、ジチエノベンゼン環、エポキシ環、アジリジン環、チイラン環、オキセタン環、アゼチジン環、チエタン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、オキサゾリジン環、テトラヒドロチオフェン環、スルホラン環、チアゾリジン環、ε−カプロラクトン環、ε−カプロラクタム環、ピペリジン環、ヘキサヒドロピリダジン環、ヘキサヒドロピリミジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピラン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、トリオキサン環、テトラヒドロチオピラン環、チオモルホリン環、チオモルホリン−1,1−ジオキシド環、ピラノース環、ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、オキサントレン環、チオキサンテン環、フェノキサチイン環から導出される1価の基等があげられる。
が有していてもよい置換基としては例えば、炭素数1以上12以下のアルキル基、炭素数1以上12以下のアルコキシ基、炭素数1以上12以下のアルキレンオキサイド基、芳香族基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、アルデヒド基、アミノ基、炭素数3以上8以下のシクロアルキル基等があげられ、ヒドロキシ基、カルボキシル基が好ましい。
導電性高分子が有する構成単位(1)及び(2)の数としては特に制限されないが、好ましくは2以上300以下である。具体的には例えば、2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200又は300であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
導電性高分子中に含まれる構成単位(1)及び(2)の含有割合は、EDOTとアルデヒドの添加量の比によって調整することができる。EDOTとアルデヒドの添加量のモル比EDOT/アルデヒドは、例えば1/1、2/1、3/1、4/1、5/1等であり、これらの数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよいが、可溶性と導電性のバランスの観点から1/1〜4/1の比が好ましく、1/1〜2/1の比がより好ましい。
導電性高分子を合成する方法としては、特に限定されないが、例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)とアルデヒドに、ドーパントと酸化剤を加え不活性ガス雰囲気下の溶媒中で、加熱撹拌して重合することで得ることができる。また、酸化剤の分解促進剤を加えても良い。
酸化剤としては、特に限定されないが、重合反応が進行する酸化剤であればよく、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、水酸化鉄(III)、テトラフルオロホウ酸鉄(III)、ヘキサフルオロリン酸鉄(III)、硫酸銅(II)、塩化銅(II)、テトラフルオロホウ酸銅(II)、ヘキサフルオロリン酸銅(II)およびオキソ二硫酸アンモニウム、有機過酸化物等があげられる。
溶媒としては、特に限定されないが、ヘテロ環化合物とアルデヒド誘導体の反応が進行する溶媒であればよく、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、アセトニトリル、tert−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、ベンゼン、ヘプタン、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル等のグリコール系溶媒、乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸系溶媒等があげられる。酸化剤の効率から、非プロトン性溶媒であることが好ましい。
1−3.添加剤
添加剤は、導電性高分子薄膜の耐熱性を向上させるために添加される。添加剤は、ドーパントの脱ドープを抑制する機能を有する。ドーパントは、導電性高分子に配位することによって導電性高分子に導電性を付与する機能を有しているが、添加剤は、それ自体が導電性高分子に導電性を付与する機能を有している必要はなく、添加剤を添加しても通常は、初期導電性は向上しない。また、添加剤として添加される酸又はその誘導体とドーパントの交換反応も実質的に起こらない。このため、添加剤は、ドーパントと明確に区別可能である。添加剤は、通常は、ドーパントとは異なる化合物であるが、ドーパントと同じ化合物であってもよい。
この添加剤は、以下の条件(1)又は(2)を充足する。添加剤の添加量は、特に限定されないが、添加量が多いと初期導電率が低下する傾向があるため、有機溶剤と導電性高分子の合計質量100gに対して、0.01〜50mmolが好ましく、0.1〜20mmolがさらに好ましい。この添加量は、具体的には例えば、0.01、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30,40,50mmolであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
<条件(1)>
条件(1)では、添加剤は、リン酸、カルボン酸、スルホン酸、及びスルホン酸誘導体より選ばれる少なくとも一種の化合物であって、酸の形態における125℃24時間後の重量減少率が0〜30wt%であり、カルボン酸、スルホン酸、及びスルホン酸誘導体より選ばれる少なくとも一種の化合物であることが好ましく、スルホン酸、及びスルホン酸誘導体が更に好ましい。
上記列挙した化合物からなる添加剤を導電性高分子薄膜に存在させることで脱ドープが抑制される。また、重量減少率が上記範囲内である添加剤は、導電性高分子薄膜が長時間高温にさらされても重量減少しにくいので、導電性高分子薄膜の耐熱性を向上させることができる。
カルボン酸の例としては、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1−ナフタレンカルボン酸、2−ナフタレンカルボン酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジスルホン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1−アントラセンカルボン酸、2−アントラセンカルボン酸、9−アントラセンカルボン酸、1,2−ナフタル酸無水物、2,3−ナフタル酸無水物、が挙げられる。
スルホン酸の例としては、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ナフタレントリスルホン酸、カンファースルホン酸が挙げられる。
スルホン酸誘導体の例としては、上記のスルホン酸のエステルが挙げられ、より具体的には、p−トルエンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸メチル、ドデシルベンゼンスルホン酸メチル、1,2−ビス(トシルオキシ)メタン、1,8−ナフトスルトン、1,5−ナフタレンジスルホン酸ジメチル等が挙げられる。
重量減少率は、酸又はカルボン酸無水物の形態での値であるので、スルホン酸誘導体については、加水分解等することによって、酸の形態にした状態で重量減少率を測定する。重量減少率は、例えば、125℃に設定した乾燥機内に添加剤を24時間貯蔵し、初期重量から24時間貯蔵後の重量を引いた時の差を初期重量で割り、パーセント(%)で示すことによって、決定することができる。重量減少が起こる原因としては、添加剤がそのまま揮発したり、添加剤が熱分解したりすることが挙げられる。重量減少率は、好ましくは、0.1〜15wt%であり、さらに好ましくは、0.5〜10wt%である。重量減少率は、具体的には例えば、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30wt%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
<条件(2)>
条件(2)では、添加剤は、スルホ基又はその誘導体以外の反応性置換基と、スルホ基又はその誘導体を有する。
上記添加剤を導電性高分子薄膜に存在させることで脱ドープが抑制される。また、条件(2)で想定している添加剤としては、重合可能なものであり、かつ重合体の重量減少が小さいものを想定している。単量体の状態で重量減少しやすい化合物であったとしても、重合体になった状態で重量減少しにくくなれば、条件(1)で説明したのと同様の作用により、導電性高分子薄膜の耐熱性を向上させることができる。従って、重合体は、125℃24時間後の重量減少率が上記条件(1)で規定した範囲内であることが好ましい。
反応性置換基としては、重合反応によって添加剤の分子量を増大させることができる置換基が挙げられ、重合反応の例としては、ラジカル重合反応や架橋反応が挙げられる。添加剤は、重合反応を引き起こす反応剤と共と用いることが好ましい。
反応性置換基の例としては、ビニル基、水酸基、カルボキシル基、チオール基が挙げられる。
反応性置換基がビニル基である場合、添加剤とともに反応剤(重合開始剤)が導電性高分子組成物に添加されることが好ましい。これによってラジカル重合がスムーズに進行する。重合開始剤としては、過酸化物、アゾ開始剤、金属酸化物、光酸発生剤等が挙げられる。
反応性置換基がビニル基である添加剤の例としては、ビニルスルホン酸、アクリルアミドt−ブチルスルホン酸(ATBS)、ビニルベンゼンスルホン酸、アリルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸が挙げられる。
反応性置換基が水酸基、カルボキシル基、又はチオール基である場合、添加剤とともに反応剤(架橋剤)が導電性高分子組成物に添加されることが好ましい。これによって架橋反応がスムーズに進行する。反応性置換基が水酸基又はチオール基である場合、架橋剤としては、イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、カルボン酸無水物、カルボン酸等が用いられる。反応性置換基がカルボキシル基である場合、架橋剤としては、水酸基、イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、アミン等が用いられる。
反応性置換基が水酸基である添加剤の例としては、3−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ナフトールスルホン酸、4−ヒドロシキベンゼンスルホン酸が挙げられる。
反応性置換基がカルボキシル基である添加剤の例としては、4−スルホフタル酸、3−スルホ安息香酸が挙げられる。
反応性置換基がチオール基である添加剤の例としては、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸、2−メルカプトエタンスルホン酸が挙げられる。
条件(2)を充足する添加剤としては、上記のスルホン酸の誘導体も挙げられる。スルホン酸の誘導体の例としては、スルホン酸のエステルが挙げられる。
条件(2)を充足する添加剤の重合反応は、導電性高分子組成物中に生じさせてもよく、導電性高分子薄膜において生じさせてもよい。前者の場合、反応剤は、導電性高分子組成物中に含めることができる。後者の場合、反応剤は、導電性高分子組成物中に含めてもよく、導電性高分子薄膜の形成後に薄膜に添加してもよい。
2.導電性高分子薄膜の製造方法
本発明の一実施形態の導電性高分子薄膜の製造方法は、薄膜形成工程を備える。
薄膜形成工程では、基材に導電性高分子組成物を含浸させた後に乾燥させて薄膜を形成する。
基材は、特に限定されないが、本実施形態の方法によれば、基材の細孔内にも導電性高分子が入り込みやすく、かつ形成される導電性高分子薄膜の密着性が優れているので、基材が細孔を有する場合に、本発明を適用する技術的意義が特に大きい。
細孔を有する基材として、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ又はこれらの合金を含むものを用いることができる。
アルミニウムを基材として用いる場合には、例えば、平板状のアルミニウム箔の表面をエッチング処理することで、細孔を有する基材とすることができる。アルミニウム箔の表面をエッチング処理する方法としては、通常は交流エッチングが用いられる。タンタル、ニオブを基材として用いる場合には、例えば、タンタルやニオブの粒子を焼結することで、細孔を有する基材とすることができる。粒子を焼結する方法としては、特に制限されないが、粒子を一度ペレット上に圧縮して、その後に加熱して焼結させる方法等が挙げられ、例えば、日本電子機械工業会規格EIAJ RC−2361A「タンタル電解コンデンサ用タンタル焼結素子の試験方法」附属書の表1に規定された100kCV粉末の試験条件に準拠して、タンタル焼結素子を製造することができる
細孔を有する基材の平均の細孔径は、0.01μm以上10.0μm以下が好ましく、0.03μm以上5.0μm以下がより好ましく、例えば、0.01、0.02、0.03、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.8、1.0、1.5、2.0、3.0、5.0、6.0、8.0、10.0μm等であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。基材の平均の細孔径は、水銀圧入法によって測定することができる。
基材の表面には、誘電体層を形成してもよい。誘電体層は、例えば、表面を酸化処理することによって形成することができる。基材の表面を酸化処理する方法としては、特に制限されないが、例えば、リン酸、アジピン酸等の弱酸が含まれる水溶液中で、5〜90分程度の間、電圧をかけて陽極酸化処理する方法があげられる。
基材の表面に形成された誘電体層を介して導電性高分子薄膜を形成することによって、固体電解コンデンサの陽極体を形成することができる。また、この陽極体を用いて、固体電解コンデンサを製造可能である。
薄膜形成工程では、導電性高分子組成物として、有機溶剤と導電性高分子を含むものを用いることができる。導電性高分子の詳細は、「1−2.導電性高分子」で説明した通りである。導電性高分子組成物には添加剤が含まれていてもいなくてもよい。添加剤の詳細は、「1−3.添加剤」で説明した通りである。
導電性高分子組成物に添加剤が含まれている場合、導電性高分子薄膜にも添加剤が含まれるので、耐熱性が高い導電性高分子薄膜が得られる。
導電性高分子組成物に添加剤が含まれていない場合や、導電性高分子薄膜中の添加剤量を増やしたい場合は、薄膜形成工程後に、添加剤接触工程を行うことができる。
添加剤接触工程では、導電性高分子薄膜に添加剤を接触させる。これによって、導電性高分子薄膜に添加剤を含めることができ、導電性高分子薄膜の耐熱性を向上させることができる。導電性高分子薄膜に添加剤を接触させる方法は特に限定されないが、例えば導電性高分子薄膜上に添加剤を塗布する方法が挙げられる。
1.添加剤の重量減少率の測定
1−1.添加剤が反応性置換基を有しない酸である場合
表1に示す添加剤1.5gを100mlビーカーに入れ、乾燥機で105℃30分保持した後の重量を初期重量とし、その後、125℃の乾燥機で24時間保持した後の重量を初期重量で割り、パーセントで示したものを重量減少率とした。
1−2.添加剤が反応性置換基(ビニル基以外)を有する場合
表2に示す添加剤1.0gを6Kガラス瓶に入れ、同じ容器にテトラッドX(三菱ガス化学株式会社製)を、添加剤の反応性置換基に対して等モル量になるよう0.63g添加して撹拌し、それをバットに移し乾燥機で125℃4時間保持することで、乾燥物を得た。その後、その乾燥物100mlビーカーに1.5g測りとり105℃で30分保持し、その重量を初期重量とし、そこから更に125℃の乾燥機で24時間保持してから重量を測定した。この重量を初期重量で割り、パーセントで示すことで、重量減少率とした。
1−3.添加剤が反応性置換基(ビニル基)を有する場合
パドル型攪拌翼、ジムロート冷却管、温度計及び窒素導入管を備えたガラス製2000mLフラスコにイオン交換水1120gを入れ、ビニル基を有する酸480gを攪拌冷却しながら混合した。次に、前記フラスコにラジカル重合開始剤V−50(2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩 和光純薬工業製)を0.480g仕込み、窒素バブリングを30分続け窒素置換を行った。その後、前記フラスコ内の水溶液を、60℃で11時間攪拌し、V−50を0.486g加え、60℃で6時間攪拌した。更にV−50を0.482g加えた後、70℃に昇温し10時間攪拌を行ってポリビニルスルホン酸水溶液を得た水溶液10gをバットに移し、乾燥機で125℃4時間保持することで乾燥物を得た。その後、その乾燥物を100mlビーカーに1.5g測りとり、105℃で30分保持し、その重量を初期重量とし、そこから更に125℃の乾燥機で24時間保持してから重量を測定した。この重量減少量を初期重量で割り、パーセントで示すことで重量減少率とした。
2.導電性高分子の製造
表4に示す導電性高分子を以下の方法で製造した。
2−1.(製造例1)導電性高分子1の製造方法
1Lフラスコにプロピレンカーボネート350g、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)6.7g、メタンスルホン酸1.5gを加えて0.5時間撹拌した。次いで、窒素パージ下、トリスパラトルエンスルホン酸鉄(III)(Fe(PTS))0.09g、フタルアルデヒド酸3.6g、過酸化ベンゾイル(純度75質量%、日油製)10g、プロピレンカーボネート160gを加え60℃にて4時間後80℃1時間に加熱し重合物を得た。得られた重合物にプロピレンカーボネート550gを加え希釈した。次いで、イオン交換樹脂のレバチットMP62WS(ランクセス製)1gとレバチットモノプラスS108H(ランクセス製)1gを加えて5時間撹拌し、濾過した。得られた濾液を超音波ホモジナイザーにて処理し、不揮発分1.0質量%、分散媒がプロピレンカーボネートである導電性高分子分散液1を得た。
2−2.(製造例2)導電性高分子2の製造方法
撹拌機、窒素ガス導入管、環流冷却器、投入口および温度計を備えた容量1Lの四つ口フラスコに、2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸ナトリウムを78.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを15.0g、2−エチルヘキシルメタクリレートを7.0g、イオン交換水を200g、イソプロピルアルコールを150g投入した。フラスコ内に窒素ガスを導入しながら、フラスコ内の混合物を70℃まで昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリルを0.2gフラスコ内に投入し、70℃を保ち、18時間重合反応を行ってポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液の全量を、2Lのビーカーに移し、スターラーにより撹拌しながらイソプロピルアルコール600gを添加した。その後、撹拌を止めたところ沈殿物が得られた。それを減圧ろ過し、残渣を100℃で24時間乾燥した後、乳鉢で粉砕して高分子化合物の粉体を得た。
撹拌機、窒素ガス導入管、環流冷却器、投入口および温度計を備えた容量1Lの四つ口フラスコに、得られた高分子化合物の粉体(高分子ドーパント)を1.38g、イオン交換水を500g、25%塩酸水溶液を1.46g投入し、60℃に加熱して3時間撹拌を行った後、25℃まで冷却した。フラスコ内の溶液は、均一透明なものであった。ついで、フラスコ内の溶液に3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)を1.42g投入し、攪拌して均一な乳化液とした後、80℃に昇温した。ついで、14.3gの硫酸鉄(III)n水和物(硫酸鉄(III)としての含有量60〜80%)をイオン交換水30gに溶解したものを、80℃に保ったフラスコ内に2時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃を保ちながら、48時間重合反応を続けた。
重合反応終了後の反応液の全量をエバポレーターに移し、反応液の容量が50gになるまで減圧下加熱留去を行った後、反応液を減圧ろ過し、残渣を0.5Lビーカーに移し、イオン交換水50gを投入し、スターラーで30分撹拌して、再度減圧ろ過を行うことで水洗浄をおこなった。同様の水洗浄をさらに3回繰り返して行った後、残渣を0.5Lビーカーに移し、n−ヘキサン50gを添加し、30分撹拌混合し、減圧ろ過を行った。残渣を減圧下、70℃にて24時間乾燥して(メタ)共重合体をドーパントとする導電性ポリマーを得た。この導電性ポリマー1.0gをメタノール80g、ベンジルアルコール20gの混合溶媒に投入し、室温で撹拌、分散させて導電性高分子分散液2を得た。
2−3.(製造例3)導電性高分子3の製造方法
300mlフラスコにプロピレンカーボネート214g、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)3.2g、メタンスルホン酸1.3gを加えて0.5時間撹拌した。次いで、窒素パージ下、トリスパラトルエンスルホン酸鉄(III)(Fe(PTS))0.04g、過酸化ベンゾイル(純度75質量%、日油製)6g、プロピレンカーボネート70gを加え40℃にて6時間撹拌した。次いで、イオン交換樹脂のレバチットMP62WS(ランクセス製)1gとレバチットモノプラスS108H(ランクセス製)1gを加えて5時間撹拌し、濾過した。得られた濾液を超音波ホモジナイザーにて処理し、不揮発分1.5質量%、分散媒がプロピレンカーボネートである導電性高分子3分散液を得た。
2−4.(製造例4)導電性高分子4の製造方法
1Lフラスコにプロピレンカーボネート300g、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)4.0g、2−ナフタレンスルホン酸3.0gを加えて0.5時間撹拌した。次いで、窒素パージ下、トリスパラトルエンスルホン酸鉄(III)(Fe(PTS))0.006g、フタルアルデヒド酸2.2g、過酸化ベンゾイル(純度75質量%、日油製)10gを加え40℃にて20時間撹拌した。得られた重合物にプロピレンカーボネート400gを加え希釈した。次いで、イオン交換樹脂のレバチットMP62WS(ランクセス製)1gとレバチットモノプラスS108H(ランクセス製)1gを加えて5時間撹拌し、濾過した。得られた濾液を超音波ホモジナイザーにて処理し、不揮発分1.0質量%、分散媒がプロピレンカーボネートである導電性高分子分散液4を得た。
2−5.(製造例5)PEDOT:PSSの製造方法
脱イオン水868g、ならびに平均分子量70000および固形分3.8wt%のポリスチレンスルホン酸水溶液330gを、攪拌機および内部温度計付きの2L三つ口フラスコにいれた。反応温度を20〜25℃に維持した。3,4−エチレンジオキシチオフェン5.1gを撹拌しながら加えた。この溶液を30分間撹拌した。次に、硫酸鉄(III)(Fe(SO)0.03gおよび過硫酸ナトリウム9.5gを加え、この溶液をさらに24時間撹拌した。反応の終了後、無機塩を除去するために、強酸性カチオン交換剤100mLおよび弱塩基性アニオン交換剤250mLを加え、その溶液をさらに2時間撹拌した。イオン交換剤をろ過によって除去した。得られた分散液を、超音波ホモジナイザーにて処理した。そして、分散液を固形分1.6%まで濃縮した。
3.実施例
以下の方法で実施例・比較例を実施した。表5中の添加剤について数値は、溶媒/分散媒と導電性高分子の合計100gに対する添加剤の添加量(mmol)を示す。
<実施例1>
製造例1によって得られた導電性高分子1に、パラトルエンスルホン酸を分散液100gに対して3mmolを添加し、その溶液を用いて、粒子径の評価、導電率の評価、耐熱試験後の導電率評価、密着性の評価を行なった。結果を表5に示す。
<実施例2〜実施例10、比較例1〜7>
表5に示す溶媒/分散媒、導電性高分子、添加剤を用いた以外は、実施例1と同様の手順でサンプルの作製、評価を行なった。結果を表5に示す。
<実施例11>
製造例1によって得られた導電性高分子1に、ビニルスルホン酸を分散液100gに対して6mmol、重合開始剤としてV−60を16mmol添加し、その溶液を用いて、粒子径の評価、80℃4時間150℃30分の条件で乾燥させ乾燥膜を作成し、導電率の評価、耐熱試験後の導電率評価、密着性の評価を行なった。結果を表5に示す。
<実施例12>
実施例11記載のビニルスルホン酸を2−メルカプトエタンスルホン酸3mmol、架橋剤としてテトラッドX 0.75mmolに変更した他は同じ条件で評価を行なった。結果を表5に示す。
<実施例13>
製造例1によって得られた導電性高分子1を、ガラス基板2cm×2cmの大きさに、0.3g滴下し、150℃30分で乾燥して薄膜を形成した。その薄膜上に、ナフタレンスルホン酸のプロピレンカーネート1%溶液を0.19g(滴下した分散液100gに対して3mmol)のナフタレンスルホン酸を滴下し、150℃で30分乾燥させた膜をサンプルとして、導電率の評価、耐熱試験後の導電率評価、密着性の評価を行った。結果を表5に示す。
4.評価方法
上記実施例・比較例での評価は、以下の方法で行った。
<導電性高分子の粒子径>
粒子径分布測定装置(Nanotrac UPA−UT151、日機装製)を用いて、光動的散乱法により体積基準でのD50を測定した。
<初期導電率導電性>
実施例・比較例で用いた分散液をそれぞれガラス基板に2cm×2cmの大きさで塗布し、その後150℃で乾燥して5μmの薄膜を形成した。その後、抵抗率計(ロレスタGP,三菱ケミカルアナリテック製)を用いて、各薄膜の導電率を測定した。
<耐熱後導電率>
125℃100時間貯蔵後の導電率を、ロレスタGPにて測定した。
<導電率維持率>
耐熱試験前後の導電率から、下記式によって導電率の維持率を算出した。
導電率維持率=耐熱後の導電率/初期導電率×100(%)
<導電率維持率比>
下記式によって導電率維持率比を算出した。
導電率維持率比=(対象サンプルの導電率維持率)/(対象サンプルから添加剤を除いたサンプルの導電率維持率
実施例1〜8及び実施例10〜12から添加剤を除いたサンプルは、比較例1であるので、これらの実施例については、「導電率維持率比=(対象サンプルの導電率維持率)/(比較例1の導電率維持率)」となる。
実施例9から添加剤を除いたサンプルは、比較例4であるのであ、実施例9については、「導電率維持率比=(実施例9の導電率維持率)/(比較例4の導電率維持率)」となる。
<密着性>
タンタル基板(ニラコ株式会社製)を60℃のリン酸水溶液中にて、20Vの電圧を24時間印加させて化成処理を施し、五酸化タンタルで被覆されたタンタル基板を形成した。
実施例13以外では、酸化タンタル基材上に2cm×2cm、膜厚約5μmの塗膜を作製した。その後、150℃乾燥機で5分間加熱後、保冷剤にて0℃で5分間急冷するという工程を3回繰り返した後、塗膜にマスキングテープを貼り付け、勢いよく剥がし、基材に残った量によって、以下の基準で密着性を判定した。
実施例13では、酸化タンタル基板上に、導電性高分子1を、ガラス基板2cm×2cmの大きさに、0.3g滴下し、150℃30分で乾燥して薄膜を形成した。その薄膜上に、ナフタレンスルホン酸プロピレンカーネート1%溶液を0.19g滴下し、150℃30分で乾燥させた膜をサンプルとして、150℃で5分間加熱後、保冷剤にて0℃で5分間急冷するという工程を3回繰り返した後、塗膜にマスキングテープを貼り付け、勢いよく剥がし、基材に残った量によって、以下の基準で密着性を判定した。
×:完全に剥がれ
△:51−99%の剥がれ
○:1−50%の剥がれ
◎:変化なし
5.参考実験
ドーパントと添加剤は、どちらも酸又はその誘導体であるが、導電性高分子組成物中において、ドーパント交換反応は起こらないので、ドーパントと添加剤は、構成上、異なるものである。この点を以下の参考実験で示す。
表6に示す溶媒/分散媒、導電性高分子、添加剤を用いた以外は、実施例1と同様の手順で参考例1〜3のサンプルの作製、評価を行なった。結果を表6に示す。
参考例1〜2に示すように、添加剤を添加していないサンプルでは、ドーパントがメタンスルホン酸である場合の初期導電率は、ドーパントがナフタレンスルホン酸である場合の初期導電率よりも大幅に高かった。
参考例3では、添加剤として、メタンスルホン酸を添加した以外は、参考例2と同じ条件でサンプルを作成した。参考例2の初期導電率が0.3S/cmという非常に低い値なので、仮に、ドーパント交換反応が起こって、導電性高分子4のドーパントであるナフタレンスルホン酸が、添加剤のメタンスルホン酸と入れ替わるとすれば、参考例3の初期導電率は、参考例2よりも高い値になるはずである。しかし、実際は、初期導電率の向上は起こらなかった。この結果は、ドーパント交換が起こってないことを示す。なお、導電性高分子4の製造例である製造例4記載のπ共役系高分子とドーパントの仕込みによる重量比は、フタルアルデヒド酸+EDOT:ナフタレンスルホン酸=6.2:3.0である。メタンスルホン酸の添加量が導電性高分子分散液100gに対して5mmolの場合は固形分に対して47%になる。即ち、参考例3の重量比は、π共役系高分子:ドーパント:添加剤=6.2:3.0:4.4となり、添加剤をドーパントに対してほぼ1.5倍で添加していることになる。それにも関わらず、導電率の変化がないということは、ドーパント交換が起こっていないことを示す。
6.考察
条件(1)を充足する添加剤を添加した実施例1〜10及び13、及び条件(2)を充足する添加剤を添加した実施例11〜12では、何れも、初期導電率、導電率維持率、導電率維持率比、及び密着性の全てにおいて優れていた。導電率維持率比は、添加剤を添加することによる耐熱性の向上を示す指標であり、この値が大きいことは耐熱性が優れていることを意味する。
添加剤を添加していない比較例1、重量減少率の大きい添加剤を添加した比較例2、酸又はその誘導体ではない添加剤を添加した比較例3では、導電率維持率が低かった。
添加剤を添加していない比較例4では、条件(1)を充足する添加剤を添加した実施例9よりも導電率維持率が低かった。
溶媒が水である比較例5、及び導電性高分子の粒子径が大きい比較例6〜7は、密着性が悪かった。

Claims (5)

  1. 有機溶剤と、導電性高分子と、添加剤を含む導電性高分子組成物であって、
    前記導電性高分子は、π共役系高分子とドーパントからなり、
    前記導電性高分子は、前記有機溶剤中において、動的光散乱型粒径測定装置で測定したD50が300nm以下であり、
    前記添加剤は、以下の条件(1)又は(2)を充足する、導電性高分子組成物。
    (1)前記添加剤は、リン酸、カルボン酸、スルホン酸、及びスルホン酸誘導体より選ばれる少なくとも一種の化合物であって、酸の形態における125℃24時間後の重量減少率が0〜30wt%である。
    (2)前記添加剤は、スルホ基又はその誘導体以外の反応性置換基と、スルホ基又はその誘導体を有する。
  2. 請求項1に記載の導電性高分子組成物であって、
    前記添加剤は、条件(1)を充足し、かつスルホン酸である、導電性高分子組成物。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の導電性高分子組成物であって、
    前記導電性高分子は、一般式(1)又は下記一般式(2)で表される構成単位の少なくとも1つを有する、導電性高分子組成物。
    (一般式(1)及び(2)中、Rは、それぞれ置換基を有していてもよい、炭素数1以上12以下のアルキル基、炭素数1以上12以下のアルコキシ基、炭素数1以上12以下のアルキレンオキサイド基、芳香族基、又は複素環基を表す。Aは、ドーパント由来のモノアニオンである。nは、2以上300以下である。)
  4. 薄膜形成工程を備える導電性高分子薄膜の製造方法であって、
    前記薄膜形成工程では、基材に導電性高分子組成物を含浸させた後に乾燥させて薄膜を形成し、
    前記導電性高分子組成物は、有機溶剤と、導電性高分子を含み、
    前記薄膜が添加剤を含み、
    前記導電性高分子は、前記有機溶剤中において、動的光散乱型粒径測定装置で測定したD50が300nm以下であり、
    前記添加剤は、以下の条件(1)又は(2)を充足する、方法。
    (1)前記添加剤は、リン酸、カルボン酸、スルホン酸、スルホン酸誘導体より選ばれる化合物であって、酸の形態における125℃24時間後の重量減少率が0〜30wt%である。
    (2)前記添加剤は、スルホ基又はその誘導体以外の反応性置換基と、スルホ基又はその誘導体を有する。
  5. 請求項4に記載の導電性高分子薄膜の製造方法であって、
    添加剤接触工程を備え、
    前記添加剤接触工程では、前記薄膜に前記添加剤を接触させる、方法。
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