JP2019172568A - 熱強化ガラス基板の製造方法および太陽電池モジュール - Google Patents

熱強化ガラス基板の製造方法および太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】防眩性能、信頼性及び機械強度に優れる強化ガラスの製造方法と、それを用いた、太陽光の反射によるぎらつき等眩しさのない外観に優れた防眩型結晶太陽電池モジュールの提供。【解決手段】熱強化処理がされていないガラス基板の表面をF46以上F220以下の研磨剤でブラスト加工する第一工程と、前記第一工程を経たガラス基板を#240以上#2000以下の研磨剤でブラスト加工することによって、当該ガラス基板の表面の算術平均粗さを0.5μm以上5μm以下、当該ガラス基板の表面の最大高さ粗さを10μm以上50μm以下、当該ガラス基板の表面に存在するクラックの面積を1%未満とし、表面凹凸が形成されてなるガラス基板を形成する第二工程と、前記表面凹凸が形成されてなるガラス基板を熱強化処理する第三工程と、を含む熱強化ガラス基板の製造方法。【選択図】図3

Description

本発明は、太陽電池モジュールおよび、これに用いられる熱強化ガラス基板の製造方法に関するものである。
受光面側にカバーガラスを備える太陽電池モジュールは、一般住宅や工場の屋根上や壁面に設置されたり、遊休地等での地上に設置されるのが大半である。屋根上や壁面に設置される場合、太陽電池モジュールの表面が鏡の役割を果たして太陽光を反射することにより、「眩しさ」や「ぎらつき」などが近隣の住民や通行人から指摘される場合が有る。また、地上設置の設置場所が空港に近い場合、眩しさやぎらつきが航空機の安全運行に支障となり得る場合が有る。そこで、防眩性の高い太陽電池モジュールの開発が望まれており、特許文献1では、防眩性と防汚性を備える太陽電池モジュールが開示されている。
ガラスの表面に凹凸を付与する技術については、特許文献2や特許文献3に開示されており、また、強化ガラスの表面の凹凸については、特許文献4に開示が有る。
WO2014/203820号公報 特開2010−70445号公報 特開2016−29474号公報 特開平11−79769号公報
以下に、先行技術が抱えている課題を記載する。
特許文献1では、サンドブラスト加工でガラス基板に表面凹凸を形成する際に、ガラス表面に残留するクラックを除去する方法として、第一のサンドブラスト加工後に第一のサンドブラスト加工に使用した研磨剤よりも粒径の小さい研磨剤を用いて、第二のサンドブラスト加工を実施することが開示されている。しかしながら、特許文献1では、第二のサンドブラスト加工後のガラス基板の表面性状について、詳細な記載に乏しく、実施が困難である。
特許文献2や3ではフッ化水素酸等でエッチングする方法は、サンドブラスト加工で発生したクラックの量を低減することには有効であるが、劇毒物であるフッ化水素酸を使用することにより、廃液処理等の製造工程の負荷が大きく、人的及び環境的にも問題があり、また、そのためコスト高になるとの問題があった。
特許文献4では、ガラス端面の研磨面の表面凹凸の最大値が3μm以下であることが開示されているに過ぎない。
本発明の目的は、以上のような課題を解決し、ガラス表面に微細な凹凸が形成され、且つガラス表面のクラックの量が低減される、防眩性能、信頼性及び機械強度に優れる強化ガラスの製造方法と、それを用いた防眩型太陽電池モジュールを提供することにある。
本発明の第一は、熱強化処理がされていないガラス基板の表面をF46以上F220以下のJIS R6001−1:2017の粒度の研磨剤でブラスト加工する第一工程と、前記第一工程を経たガラス基板を#240以上#2000以下のJIS R6001−2:2017の粒度の研磨剤でブラスト加工することによって、当該ガラス基板の表面の算術平均粗さを0.5μm以上5μm以下、当該ガラス基板の表面の最大高さ粗さを10μm以上50μm以下、当該ガラス基板の表面に存在するクラックの面積を1%未満とし、表面凹凸が形成されてなるガラス基板を形成する第二工程と、前記表面凹凸が形成されてなるガラス基板を熱強化処理する第三工程と、を含む熱強化ガラス基板の製造方法である。この構成によって、ガラス基板上に防眩性能に優れ、正反射像の映り込みの無いガラス基板が作製出来るとともに、ガラス表面のクラックの量を低減することで、熱強化後のガラス表面が水分と接触した際に、該水分のpH値を低減でき、例えば、保管時の結露による外観変化の発生を抑制できる。また、同時にガラス表面のクラックにより散乱される入射光の量を低減し、出力特性の低下を抑制できる。
本発明は、また、前記第一工程で用いる研磨剤が、JIS R6001−1:2017の粒度でF46以上F220以下であり、前記第二工程で用いる研磨剤が、JIS R6001−1:2017の粒度で#240以上#2000以下である、前記の熱強化ガラス基板の製造方法である。この構成によって、ガラス基板上に防眩性能に優れ、正反射像の映り込みの無いガラス基板が作製出来る。
本発明の第二は、熱強化処理がされていないガラス基板の表面をF46以上F220以下のJIS R6001−1:2017の粒度の研磨剤、または#240以上#400以下のJIS R6001−2:2017の粒度の研磨剤でエアーブラスト加工する第一工程と、前記第一工程を経たガラス基板を#600以上#2000以下のJIS R6001−2:2017の粒度の研磨剤でエアーブラスト加工することによって、当該ガラス基板の表面の算術平均粗さを0.5μm以上5μm以下、当該ガラス基板の表面の最大高さ粗さを10μm以上50μm以下、当該ガラス基板の表面に存在するクラックの面積を1%未満とし、表面凹凸が形成されてなるガラス基板を形成する第二工程と、前記表面凹凸が形成されてなるガラス基板を熱強化処理する第三工程と、を含む熱強化ガラス基板の製造方法である。この構成によって、ガラス基板上に防眩性能に優れ、正反射像の映り込みの無いガラス基板が作製出来るとともに、ガラス表面のクラックの量を低減することで、熱強化後のガラス表面が水分と接触した際に、該水分のpH値を低減でき、例えば、保管時の結露による外観変化の発生を抑制できる。また、同時にガラス表面のクラックにより散乱される入射光の量を低減し、出力特性の低下を抑制できる。
本発明は、また、前記第一工程で用いる研磨剤が、JIS R6001−1:2017の粒度でF46以上F220以下、またはJIS R6001−2:2017の粒度で#240以上#400以下であり、前記第二工程で用いる研磨剤が、JIS R6001−1:2017の粒度で#600以上#2000以下である、前記の熱強化ガラス基板の製造方法である。この構成によって、ガラス基板上に防眩性能に優れ、正反射像の映り込みの無いガラス基板が作製出来る。
本発明は、また、前記熱強化処理する工程の熱強化処理条件は、熱強化処理後のガラス基板表面に接触させた水分のpHが熱強化処理前のガラス基板表面に接触させた水分のpHよりも減少するような条件である、前記の熱強化ガラス基板の製造方法である。この構成によって、保管時の結露によるガラス基板表面の外観変化の発生を抑制できる。
本発明は、また、前記の製造方法で製造されてなる強化ガラスを受光面側のカバーガラスとして含む、太陽電池モジュールである。この構成によって、防眩性能及び熱強化によって保管時の結露による外観変化の発生を抑制できる。
本発明にかかる方法によれば、ブラスト加工によりガラス基板に微細な表面凹凸を形成した強化ガラスを提供し、防眩性能、信頼性及び機械強度に優れる太陽電池モジュールを提供できる。
太陽光発電に用いられ、受光面側にカバーガラスを備える太陽電池モジュールには、いくつかあるが、その中のひとつであるシリコン系太陽電池モジュールには、大きく分けると結晶系、薄膜系の2種類があり、以下のような構成である。結晶系の太陽電池モジュール(以下、結晶太陽電池モジュール)は、10〜15cm角程度の結晶半導体の板から成る太陽電池セルを、モジュールの大きさに相当するガラス板(カバーガラス)の上に数十枚配置し、配線を行い、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)やPVB(ポリビニルブチラール)などの充填材、および裏面保護フィルムを用いて封止保護して構成される。また、薄膜系の太陽電池モジュール(以下、薄膜太陽電池モジュール)は、モジュールの大きさのガラス板の上に直接、透明電極層、薄膜半導体層、および裏面電極層を順次形成し、レーザスクライブ等のパターニング手段により各層を分離し、直列接続して、所望の電圧、電流を得ている。封止保護については、結晶太陽電池モジュールと同様の充填剤および表面保護フィルムが用いられる。このように構成される薄膜太陽電池モジュールは、発電に寄与する層が薄い、構造材料が1枚で済む、配線が簡略でかつモジュール全体の面積の中で太陽電池セルの占める面積の割合が大きい、色調が一定である、などの点で、結晶系の太陽電池モジュールよりも低コスト化の潜在力があり、かつ美観に優れるという特徴を持つ。薄膜系太陽電池モジュールであっても、受光面側にカバーガラスを備えるような太陽電池モジュールも存在する。
「眩しさ」や「ぎらつき」に関する上記の課題に対して、以下のような取組みがなされている。
例えば、結晶太陽電池モジュールにおいては、カバーガラスに型板ガラスを用いることにより、カバーガラス表面で光の乱反射や拡散を起こして眩しさを抑制する、防眩処理が一般的に行われている。型板ガラスとは、表面に凹凸模様をつけて、視線をさえぎるなどの目的で使用される板ガラスのことであり、一般に、型模様が刻まれたロールを使用し、ロールアウト法などで作られる。
しかしながら、結晶太陽電池モジュールの場合、型板ガラス基板の表面凹凸が、
ロール表面からの転写により形成されるため、微細でガラス基板全体に均一に分散する表面凹凸を効果的に形成することが困難であり、防眩効果は限定的で、十分に「眩しさ」や「ぎらつき」問題を解決できていない現状にある。
一方、薄膜太陽電池モジュールにおいては、小さな面積のサブモジュールを結晶太陽電池モジュールと同様な構造で封止して、そのカバーガラスとして上記の型板ガラスを用いたものが、いくつか提案されている。更に、完成した太陽電池モジュールの表面に、ビーズを混入した、光を拡散する樹脂を塗布することも提案されている。
本発明の目的は、前記眩しさ等の従来の課題を解決し、眩しさの低減された外観と機械強度に優れた防眩型の結晶太陽電池モジュール及びその原材料のひとつである熱強化ガラス基板の製造方法を提供することにある。
本発明は、太陽電池モジュールおよび、これに用いられる熱強化ガラス基板の製造方法に関するものである。特に結晶太陽電池モジュールにおいて、受光面側のガラス基板として好適に用いられうる、防眩処理された熱強化ガラスの製造方法に関するものである。
本発明の第一は、熱強化処理がされていないガラス基板の表面をF46以上F220以下のJIS R6001−1:2017の粒度の研磨剤でブラスト加工する第一工程と、前記第一工程を経たガラス基板を#240以上#2000以下のJIS R6001−2:2017の粒度の研磨剤でブラスト加工することによって、当該ガラス基板の表面の算術平均粗さを0.5μm以上5μm以下、当該ガラス基板の表面の最大高さ粗さを10μm以上50μm以下、当該ガラス基板の表面に存在するクラックの面積を1%未満とし、表面凹凸が形成されてなるガラス基板を形成する第二工程と、前記表面凹凸が形成されてなるガラス基板を熱強化処理する第三工程と、を含む熱強化ガラス基板の製造方法である。
本発明は、また、前記第一工程で用いる研磨剤が、JIS R6001−1:2017の粒度でF46以上F100以下であり、前記第二工程で用いる研磨剤が、JIS R6001−2:2017の粒度で#400以上#1000以下である、前記の熱強化ガラス基板の製造方法である。
本発明の第二は、熱強化処理がされていないガラス基板の表面をF46以上F220以下のJIS R6001−1:2017の粒度の研磨剤、または#240以上#400以下のJIS R6001−2:2017の粒度の研磨剤でエアーブラスト加工する第一工程と、前記第一工程を経たガラス基板を#600以上#2000以下のJIS R6001−2:2017の粒度の研磨剤でエアーブラスト加工することによって、当該ガラス基板の表面の算術平均粗さを0.5μm以上5μm以下、当該ガラス基板の表面の最大高さ粗さを10μm以上50μm以下、当該ガラス基板の表面に存在するクラックの面積を1%未満とし、表面凹凸が形成されてなるガラス基板を形成する第二工程と、前記表面凹凸が形成されてなるガラス基板を熱強化処理する第三工程と、を含む熱強化ガラス基板の製造方法である。
本発明は、また、前記第一工程で用いる研磨剤が、JIS R6001−1:2017の粒度でF46以上F100以下、またはJIS R6001−2:2017の粒度で#240以上#1000以下であり、前記第二工程で用いる研磨剤が、JIS R6001−2:2017の粒度で#600以上#2000以下である、前記の熱強化ガラス基板の製造方法である。
なお、JIS R6001−1:2017の粒度の規格においてFで表示されるべき粒度が、代わりに#で表示される場合も散見され、例えばF80を#80と表記されて砥粒が市販されている場合が有るため、留意を要する。本発明のJIS R6001−1:2017の粒度でF46以上F100以下とは、代わりに#で表記されるJIS R6001−1:2017の粒度で#46以上#100以下をも、意味するものとする。
本発明は、また、前記熱強化処理する工程の熱強化処理条件は、熱強化処理後のガラス基板表面に接触させた水分のpHが熱強化処理前のガラス基板表面に接触させた水分のpHよりも減少するような条件である、前記の熱強化ガラス基板の製造方法である。
本発明は、また、前記の製造方法で製造されてなる強化ガラスを受光面側のカバーガラスとして含む、太陽電池モジュールである。
本発明は、また、熱強化処理がされていないガラス基板の表面をF46以上F220以下のJIS R6001−1:2017の粒度の研磨剤、または#240以上#400以下のJIS R6001−2:2017の粒度の研磨剤でブラスト加工する第一工程と、
前記第一工程を経たガラス基板を#600以上#2000以下のJIS R6001−2:2017の粒度の研磨剤でブラスト加工することによって、当該ガラス基板の表面の算術平均粗さを0.5μm以上5μm以下、当該ガラス基板の表面の最大高さ粗さを10μm以上50μm以下、当該ガラス基板の表面に存在するクラックの面積を1%未満とし、表面凹凸が形成されてなるガラス基板を形成する第二工程と、
前記表面凹凸が形成されてなるガラス基板を熱強化処理する第三工程と、
を含む熱強化ガラス基板の製造方法、である。
本発明は、また、
前記第一工程のブラスト加工がショットブラスト法によるブラスト加工であり、用いる研磨剤が、JIS R6001−1:2017の粒度でF46以上F100以下であり、
前記第二工程で用いる研磨剤が、JIS R6001−2:2017の粒度で#400以上#1000以下である、
前記の熱強化ガラス基板の製造方法、である。
前記第一工程のブラスト加工がエアーブラスト法によるブラスト加工であり、用いる研磨剤が、JIS R6001−1:2017の粒度でF100以上F220以下、またはJIS R6001−2:2017の粒度で#240以上#400以下であり、
前記第二工程で用いる研磨剤が、JIS R6001−2:2017の粒度で#600以上#1000以下である、
前記の熱強化ガラス基板の製造方法、である。
本発明は、また、
前記熱強化処理する工程の熱強化処理条件が、熱強化処理後のガラス基板の表面に接触させた水分のpHの値が熱強化処理前のガラス基板の表面に接触させた水分のpHの値よりも減少するような条件である、前記記載の熱強化ガラス基板の製造方法、である。
本発明は、また、前記に記載の製造方法で製造されてなる強化ガラスを受光面側のカバーガラスとして含む、太陽電池モジュール、である。

以下に、本発明の実施の形態としての微細な表面凹凸を有する熱強化ガラス基板の製造方法と、同ガラス基板を用いた太陽電池モジュールの一態様として、結晶系太陽電池モジュールについて、説明する。なお、受光面側に同ガラス基板を使う限りにおいては、ペロブスカイト型太陽電池や化合物型半導体太陽電池、またシリコン薄膜太陽電池など、他の方式の太陽電池モジュールにも適用可能であることは、言うまでも無い。
[ガラス基板]
本発明のガラス基板としては、様々な組成のガラスを使用することが可能である。例えば、代表的なガラスとして、ソーダーライムガラス、ホウケイ酸ガラス等を挙げることができる。
本発明に使用できるガラスの組成は、特に限定されないが、一例として、SiOが50〜80重量%、Alが0.1〜10重量%、NaO+KOが1〜30重量%、CaOが1〜30重量%、MgOが0.1〜10重量%、Bが0〜20重量%である。また、その他成分として、BaO、ZrO、Feを含有してもよい。ただし、結晶太陽電池モジュールの受光面側のカバーガラスとして使用する場合は、ガラス組成における酸化鉄量は少ない方が近赤外領域の透過率を向上させるため、Fe換算0.04重量%以下が好ましく、さらに、好ましくは、0.02重量%以下である。
ガラスの製造方法としては、特に限定されないが、ガラス原料を1500〜1600℃で加熱したのち、成型して板状に加工することで製造できる。
ガラスの成型方法には種々の方法を用いることができるが、例えば、フロート法、ロールアウト法等を挙げることができる。ロールアウト法を用いるとガラス基板表面にエンボス状の凹凸を形成することができる。
このようなエンボス状の凹凸は、積層された結晶太陽電池モジュール等の受光面側のカバーガラスで、封止材側に用いる場合に、封止材との密着面積を増加することが出来るため、同太陽電池モジュールの信頼性を向上することができる。また、エンボス状の凹凸で受光面側から入射した太陽光の進行方向が、封止材との界面において、セル面に対して斜め方向に屈折することで、太陽電池モジュールの発電効率を向上できる可能性がある。
[微細な表面凹凸の形成]
本発明のガラス基板には、アルミナ粉体、二酸化珪素粉体、炭化珪素粉体等の研磨材をガラス基板の表面に高速で衝突させる方法を用いて、微細な表面凹凸を形成できる。
具体的には、コンプレッサーによる圧縮空気を用いて、表面に吹きつけるサンドブラスト法、回転体から遠心力で研磨材をガラス表面に投射して、微細な表面凹凸を生成するショットブラスト法を挙げることができる。また、ウエットブラストを使用することも出来る。
ここで用いることができる研磨材のJIS R6001−1:2017の粒度は、F46以上F220以下であり、さらに、F46以上F100以下が好ましい。
ショットブラスト法で用いることができる研磨材のJIS R6001−1:2017の粒度は、F46以上F220以下であり、さらに、F46以上F100以下が好ましい。
サンドブラスト法で用いることができる研磨材のJIS R6001−1:2017の粒度は、F46以上F220以下、またはJIS R6001−2:2017の粒度で、#240以上#400以下であり、さらに、F100以上F220、及び#240以上#400以下が好ましい。さらに、好ましくは、#240以上#400以下である。
ただし、該JIS規格に適合しない研磨材の場合は、該JIS規格の第3表−粗粒の標準粒度分布の「3段目の試験用ふるい:公称目開き及びふるい上に残らなければならない最小質量分率」に記載された公称目開きの全ての試験用ふるいを用いて粒度分布試験を実施した場合に、公称目開き及びふるい上に残った質量分率が最も大きい公称目開きの値を、該研磨材の粒度とする。
図1は、本発明の製造方法における第一工程(第一のブラスト加工)後のガラス基板の模式的断面図である。
上記方法で形成したガラス基板1の微細な表面凹凸2a〜2dには、クラック3a〜3jが残留し、熱強化処理時にガラス基板の割れを発生させる可能性がある。または、熱処理後のガラス基板の機械強度を著しく低減する可能性がある。
[ガラス基板の微細な表面凹凸に残留するクラックの除去]
ここで、ガラス基板1の微細な表面凹凸2a〜2dの形成に使用した研磨材よりも、十分に粒径の小さい研磨剤を用いて、同様にサンドブラスト法、または、ショットブラスト法等を使用し、ガラス基板表面1に対して第二工程(第二のブラスト加工)をすることで、微細な表面凹凸2a〜2dの形状を大きく変化させないままに、該微細な表面凹凸2a〜2dに残留するクラックを除去することができる。サンドブラスト法を用いる方法では、ガラス基板の微細な表面凹凸に残留するクラックの除去には、ガラス基板表面に対して低角度で研磨材を衝突させる方が効果的であるが、研磨力とのバランスから20°程度の角度に設定することが好ましい。ここで用いることが出来る研磨材の粒度は、#240以上#2000以下であり、さらに、#400以上#1000以下が好ましい。さらに好ましくは、#600以上#1000以下である。
該研磨材の粒度は、JIS R6001−2:2017「研削といし用研磨時の粒度−第2部:微粉」の同JISの表5−精密研磨用微粉の標準粒度分布(電気抵抗試験方法)で規定される。
ただし、該JISの規格である同JISの表5−精密研磨用微粉の標準粒度分布(電気抵抗試験方法)に適合しない研磨材の場合、該研磨材の粒度は、同JIS規格で規定された電気抵抗試験方法における累積高さ50%点の粒子径dS50で表される値とできる。
図2は、本発明の製造方法における第二工程(第二のブラスト加工)後のガラス基板の模式的断面図である。ガラス基板4の微細な表面凹凸5a〜5dは、前記第一工程(第一のブラスト加工)で形成された微細な表面凹凸2a〜2dが、第二工程(第二のブラスト加工)により研磨されたものに対応し、該第二工程(第二のブラスト加工)により、前記工程(第一のブラスト加工)で形成された微細な表面凹凸(図1の)2a〜2dに残留したクラック3a〜3jが、消失またはその大きさが減少した様子を示している。クラック6a、6bは、該クラック3a、3hの大きさが減少した様子を示している。
ガラス基板の微細な表面凹凸に残留するクラックを所望の割合に除去できたかどうか判断する方法として、光学顕微鏡で観察されるクラックの面積の割合を測定する方法を挙げることができる。具体的には、焦点位置にて例えば倍率100倍にて、視野1000μm×1000μm以上の拡大画像において、クラックに由来し、照射光の散乱反射により白色に観察されるクラックの領域の面積と、視野画像領域に対する面積の比から、クラックの面積の割合を求めることができる。また、画像処理により明暗の閾値を設けて、クラックの面積の割合を求める方法も簡便な方法として利用することができる。
上記の方法で、微細な表面凹凸をガラス基板の表面に形成せしめ、ガラス表面で太陽光を乱反射させ、太陽光の入射角に対して正反射する光の強さを低減し、さらに、太陽の像の映り込みを無くすことができる。太陽光の入射角に対する正反射する光の強さの指標として、光沢度を用いることができる。光沢度は、JIS Z8741−1997で記載されている鏡面光沢度測定方法に準拠する方法で測定し、入射角60度、測定角60度にて、少なくとも10以下であることが好ましく、さらに好ましくは5以下である。
映り込みの測定は、暗幕中で点灯したハロゲンランプを、ガラス基板に対して法線角度60度で目視観察し、ハロゲンランプのフィラメントが確認できるか否かを判別した。
これらの効果を有効に発現させるため、ガラス基板の表面凹凸の形状は、表面の算術平均粗さが0.5μm以上5μm以下、表面の最大高さ粗さが10μm以上50μm以下である。好ましくは、算術平均粗さが0.5μm〜3μm、最大高さ粗さが10μm以上〜40μm以下である。
前記の算術平均粗さ及び最大高さ粗さは、JIS B0601に従い、接触式表面粗さ計で測定することで得られる。ここで用いるカットオフ値λcは0.08mmとした。同様にレーザー顕微鏡等の光学測定機器を用いて、前記の算術平均粗さ及び最大高さ粗さを測定することもできる。また、線粗さ測定において、サンプル表面での測定箇所及び測定方向に対する測定値の誤差が大きい場合、レーザー顕微鏡等の光学測定機器を用いてISO 25178を適用し、面粗さを測定することが好ましい。同様に測定におけるカットオフ値は、0.08mmとした。この場合、得られた面粗さのパラメータである算術平均高さ及び最大高さの値を、それぞれ線粗さのパラメータである算術平均粗さ及び最大高さ粗さの値として用いた。
[熱強化処理]
熱強化処理は、ガラス基板をその軟化温度付近まで加熱した後、ガラス表面に空気を吹き付けて急冷して作製する。
図3は、本発明の製造方法における熱強化処理後のガラス基板の模式的断面図である。基板7の微細な表面凹凸8a〜8dは、前記第二工程(第二のブラスト加工)で形成された微細な表面凹凸5a〜5dが、熱強化処理されたものに対応する。
微細な表面凹凸を有するガラス基板では、ガラス基板表面に接触した水分のpHの値が増加する傾向がある。これは、水分の水素イオンとガラス基板の組成にあるNaイオンの交換が発生するためと説明できる。また、ガラス基板表面にある水分のpHの値が9を超えると、それ自体でガラス基板の溶解が発生する場合があり、大きくガラス表面の外観が損なわれる。したがって、ガラス基板表面にある水分のpHの値は、9未満であることが望ましく、好ましくは8〜7、さらに好ましくは7である。
微細な表面凹凸を有するガラス基板を熱強化処理することで、ガラス基板表面に接触させた水分のpHの値を低減できる。これによって、該ガラス基板保管時または、該ガラス基板を用いた太陽電池モジュールの保管時の結露による該ガラス基板表面の外観変化を抑制できる。また、微細な表面凹凸を有するガラス基板に残留するクラックの割合が小さい方が、熱強化後のガラス基板表面に接触させた水分のpHはより小さいものとなり有利である。微細な表面凹凸を有するガラス基板に残留するクラックの割合としては、少なくとも10%未満であることが望ましく、好ましくは5%未満である。さらに好ましくは、1%未満である。
ガラス基板表面に水分を接触させて、該ガラス表面の水分のpHとその外観を測定する試験方法の1つとして、前記微細な表面凹凸を有するガラス基板と、15cm×15cmサイズのポリエチレン製緩衝材(製品名エアーキャップ等)の間に、蒸留水2mlを12時間保持させ、該水分のpH測定と外観確認を行う湿潤試験を挙げることができる。
上記の熱強化処理による効果は、熱強化処理時のガラス基板の温度が高い程、また、その保持時間が長い程、発現し易い。
[太陽電池モジュールの基本的構成および作製方法]
図4は、本発明の一実施形態に係る防眩型結晶太陽電池モジュールの模式的断面図である。
結晶太陽電池セル14a〜14dの受光面側には、本発明の微細な表面凹凸を有する熱強化されたガラス基板11が配置されており、裏面側には保護材16が配置されている。微細な表面凹凸を有する熱強化されたガラス基板11と裏面側保護材16との間には封止材12、15が設けられており、封止材により、結晶太陽電池セル14a〜14dが封止されている。微細な表面凹凸を有する熱強化されたガラス基板11は、受光面側の表面に該微細な表面凹凸が設けてある。
防眩型結晶太陽電池モジュール10の作製においては、導電性部材13a〜13eを介して結晶太陽電池セル14a〜14dが電気的に接続されている。
このように接続された結晶太陽電池セル14a〜14dが、封止材12、15を介して、受光面側の微細な表面凹凸を有する熱強化されたガラス基板11および裏面側保護材16に挟持され、防眩型結晶太陽電池モジュールが形成される。この際、図4に示すように、微細な表面凹凸を有する熱強化されたガラス基板11の受光面側と逆の面上に、封止材12 、結晶太陽電池セル14a〜14d、封止材15および裏面側保護材16を順次積層して積層体とすることが好ましい。その後、上記積層体を所定条件で加熱することにより、封止材12、15を硬化させることが好ましい。そして、アルミニウムフレーム(不図示)等を取り付けることで防眩型結晶太陽電池モジュール10を作製することができる。積層体を加熱する際の条件は、温度140℃ 〜160℃、時間3分〜18分、圧力90kPa 〜120kPaが好ましい。
裏面側保護材16は、結晶太陽電池セル14a〜14dのそれぞれの裏面側に配置され、防眩型結晶太陽電池モジュール10の裏面を保護することが好ましい。裏面側保護材16としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂フィルム、アルミニウム箔を樹脂フィルムでサンドイッチした構造を有する積層フィルム、ガラス基板等を用いることができる。
封止材12、15は、微細な表面凹凸を有する熱強化されたガラス基板11と裏面側保護材16との間で結晶太陽電池セル14a〜14dを封止する。封止材としては、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂(EEA)、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)、シリコーン、ウレタン、アクリル、エポキシ等の透光性の樹脂を用いることができる。
封止材12、15としては、オレフィン系封止材を用いることもできる。オレフィン系封止材は、EVA等からなる封止材に比べて水蒸気透過率が低いため、モジュール内への水の侵入を抑制することができる。したがって、絶縁性部材等の劣化を防止することができ、モジュールの信頼性を向上できる。
オレフィン系封止材の材料としては、非架橋オレフィンおよび架橋オレフィンのいずれも用いることができる。非架橋オレフィンは、架橋オレフィンに比べて柔らかい。そのため、太陽電池モジュールを曲面形状に屈曲させて使用する場合には、オレフィン系封止材の材料を使い分けることが可能である。例えば、モジュール化後に太陽電池モジュールを屈曲させる場合には、非架橋オレフィンを好適に用いることができ、一方、屈曲させた状態でモジュールを作製する場合には、架橋オレフィンを好適に用いることができる。
以上のようにして防眩型結晶太陽電池モジュール10を作製することができるが、太陽電池モジュールの基本的構成および作製方法は、上記に限定されるものではない。
[太陽電池モジュールの構成]
本発明において、結晶太陽電池モジュールとしては、光電変換部が結晶シリコン基板を備えるものであれば、任意の結晶シリコン系太陽電池モジュールを用いることができる。
結晶シリコン系太陽電池モジュールの一形態では、一導電型(p型あるいはn型)の結晶シリコン基板の受光面側に、リン原子等の導電性不純物を拡散させ、逆導電型(n型あるいはp型)のシリコン層を形成することにより、半導体接合からなる光電変換部が形成される。このような拡散型の結晶シリコン太陽電池においては、透明電極層が形成されないため、半導体接合からなる光電変換部上に集電極が形成される。
なお、いわゆるヘテロ接合結晶シリコン系太陽電池モジュールの一形態では、一導電型(n型またはp型)の結晶シリコン基板の受光面側に、CVD法等によって、逆導電型(p型またはn型)のシリコン層を形成することにより、受光面側に半導体接合が形成される。また、さらに、前記の一導電型(n型またはp型)の結晶シリコン基板の受光面側に、CVD法等によって、同じ導電型(n型またはp型)のシリコン層を形成するような太陽電池モジュールも、一例として挙げられる。このようなヘテロ接合型の結晶シリコン太陽電池においても、集電極が形成される。
(集電極)
集電極は、複数のフィンガー電極と、フィンガー電極により収集された電流を集めるバスバー電極とによって構成されてもよい。一般的に、バスバー電極は、フィンガー電極に略直交するように形成される。
フィンガー電極間の距離、フィンガー電極の幅およびバスバー電極の幅等は、光電変換部の受光面側に形成される透明電極層の抵抗に応じて適宜選択することができる。
集電極の形成材料としては、バインダー樹脂等を含有するペースト等を用いることができる。スクリーン印刷法により形成された集電極の導電性を十分向上させるためには、熱処理により集電極を硬化させることが望ましい。したがって、ペーストに含まれるバインダー樹脂としては、乾燥温度にて硬化させることができる材料を用いることが好ましく、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アクリル系樹脂等が適用可能である。
集電極は、インクジェット法、スクリーン印刷法、導線接着法、スプレー法、真空蒸着法、スパッタ法、めっき法等の公知の方法によって形成できる。例えば、パターン形状に対応したマスクを用いて、真空蒸着法やスパッタ法により集電極を形成できる。中でも、細線化が可能であることから、めっき法により集電極を形成することが好ましい。
(裏面電極)
裏面側の透明電極層上には、裏面電極が形成される。受光面側の集電極と同様、裏面側の透明電極層の表面に、裏面電極(補助電極としての金属電極)を設けることで、電流の取り出し効率を高めることができる。
裏面電極としては、近赤外から赤外域の光の反射率が高く、かつ導電性や化学的安定性が高い材料を用いることが望ましい。このような特性を満たす材料としては、銀やアルミニウム等が挙げられる。裏面電極の製膜方法は、特に限定されず、スパッタ法や真空蒸着法等の物理気相堆積法、スクリーン印刷等の印刷法、めっき法等が適用可能である。
裏面電極は、受光面とは反対側の集電極として用いられるため、光電変換部の全面を覆うように形成されていてもよい。また、受光面側の集電極と同様に、パターン状に裏面電極が形成されていてもよい。
以上、本発明の太陽電池モジュールは、受光面側のカバーガラスを含んでいるものであれば何であってもよく、以上、本発明の太陽電池モジュールを構成する太陽電池セルは、結晶シリコン基板を含むものや、ペロブスカイト型、化合物型など、特に限定されない。
(実施例1)
大きさが300mm×333mm×3.2mm厚であって、SiOが71〜73重量%、Alが0.6〜1.5重量%、NaO+KOが13.5〜15重量%、CaOが8〜10重量%、MgOが3〜4.5重量%、SOが0.5重量%未満、Feが0.015重量%未満の組成からなり、受光面の逆側にエンボスを有する型板ガラス基板(非強化)を準備した。
該ガラス基板の受光面側を白色溶融アルミナ製のJIS R6001−1:2017「研削といし用時の粒度−第1部:粗粒」に適合する粒度分布を有し、同JISの第3表−粗粒の標準粒度分布の粒度F80に対応する研磨材(中心粒径180μm〜150μm)を用いて第一工程のブラスト加工を実施し、該ガラス基板のおもて面(表面)側に微細な表面凹凸を形成した。表1に得られたガラス基板の微細な凹凸の算術平均粗さ、最大高さ粗さ、クラックの面積の割合、光沢度、及び移り込みの状態を示した。
上記の微細な表面凹凸を形成したガラス基板に対して、白色溶融アルミナ製のJIS R6001−2:2017「研削といし用研磨時の粒度−第2部:微粉」適合する粒度分布を有し、同JISの表5−精密研磨用微粉の標準粒度分布(電気抵抗試験方法)の粒度#800に対応した)の研磨材(中心粒径14μm)を用いて第二のブラスト加工を実施し、該ガラス基板の微細な表面凹凸に残留するクラックを除去した。表1から、算術平均粗さ、及び最大高さ粗さ大きさはやや小さくなるものの、ガラス基板表面の光沢度の値が6.5から4.4に減少し、さらに映り込みが無くなるとともに、該微細な表面凹凸のクラックの面積の割合を0.2%までに低減することができた。
得られたガラス基板の微細な表面凹凸の算術平均粗さ及び最大高さ粗さの測定は、測定方向にて誤差が大きいため、ISO 25178に従って面粗さの測定値とした。キーエンス製VK9700レーザー顕微鏡を用いて、94μm×71μmの領域のレーザー像から算術平均高さ及び最大高さを求め、それぞれ算術平均粗さ及び最大高さ粗さの値とした。カットオフ値は0.08mmとした。
得られたガラス基板の微細な表面凹凸に残留するクラックの面積の割合は、キーエンス製VK9700レーザー顕微鏡を用いて、1414μm×1061μmの大きさの凡そ100倍に拡大した光学像を画像処理し、ガラス基板の微細な表面凹凸に残留するクラックに由来して、照射光の散乱反射により白色に観察されるクラックの領域の割合を求めた。
光沢度の測定には、日本電色製ハンディ型光沢度計PG−IIを使用し、入射角60度、測定角60度で、測定を実施した。
熱強化処理は、上記ガラス基板を凡そ650℃に加熱した後、ガラス表面に空気を吹き付けて急冷して実施した。
表1に示したように、熱強化処理前後では、前記微細な表面凹凸を有するガラス基板の算術平均粗さ、最大粗さ、及びクラックの面積の割合に変化は見られなかった。しかしながら、湿潤試験後のpHの値が9〜8から7に減少するとともに、湿潤試験後の該微細な表面凹凸を有するガラス基板表面の外観が改善するのが分かった。
(実施例2-1)
実施例1と同じ型板ガラス基板(非強化)を準備した。
該ガラス基板の受光面側を白色溶融アルミナ製のJIS R6001−2:2017「研削といし用研磨時の粒度−第2部:微粉」適合する粒度分布を有し、同JISの表5−精密研磨用微粉の標準粒度分布(電気抵抗試験方法)の粒度#400に対応した)の研磨材(中心粒径30μm)を用いて第一のエアーブラスト加工を実施し、該ガラス基板のおもて面(表面)側に微細な表面凹凸を形成した。表2に得られたガラス基板の微細な凹凸の算術平均粗さ、最大高さ粗さ、クラックの面積の割合、光沢度、及び移り込みの状態を示した。
上記の微細な表面凹凸を形成したガラス基板に対して、白色溶融アルミナ製のJIS R6001−2:2017「研削といし用研磨時の粒度−第2部:微粉」適合する粒度分布を有し、同JISの表5−精密研磨用微粉の標準粒度分布(電気抵抗試験方法)の粒度#800に対応した)の研磨材(中心粒径14μm)を用いて第二のエアーブラスト加工を実施し、該ガラス基板の微細な表面凹凸に残留するクラックを除去した。表1から、算術平均粗さ、及び最大高さ粗さ大きさはやや小さくなるものの、ガラス基板表面の光沢度の値が4.5から1.7に減少し、さらに映り込みが無くなるとともに、該微細な表面凹凸のクラックの面積の割合を0.2%までに低減することができた。
表2に示したように、熱強化処理前後では、前記微細な表面凹凸を有するガラス基板の算術平均粗さ、最大粗さ、及びクラックの面積の割合に変化は見られなかった。しかしながら、湿潤試験後のpHの値が8から7に減少するとともに、湿潤試験後の該微細な表面凹凸を有するガラス基板表面の外観が改善するが分かった。
(実施例2-2)
実施例1と同じ型板ガラス基板(非強化)を準備した。
該ガラス基板の受光面側を白色溶融アルミナ製のJIS R6001−2:2017「研削といし用研磨時の粒度−第2部:微粉」適合する粒度分布を有し、同JISの表5−精密研磨用微粉の標準粒度分布(電気抵抗試験方法)の粒度#320に対応した)の研磨材(中心粒径40μm)を用いて第一のエアーブラスト加工を実施し、該ガラス基板のおもて面(表面)側に微細な表面凹凸を形成した。表2に得られたガラス基板の微細な凹凸の算術平均粗さ、最大高さ粗さ、クラックの面積の割合、光沢度、及び移り込みの状態を示した。
上記の微細な表面凹凸を形成したガラス基板に対して、白色溶融アルミナ製のJIS R6001−2:2017「研削といし用研磨時の粒度−第2部:微粉」適合する粒度分布を有し、同JISの表5−精密研磨用微粉の標準粒度分布(電気抵抗試験方法)の粒度#800に対応した)の研磨材(中心粒径14μm)を用いて第二のエアーブラスト加工を実施し、該ガラス基板の微細な表面凹凸に残留するクラックを除去した。表1から、算術平均粗さ、及び最大高さ粗さ大きさはやや小さくなるものの、ガラス基板表面の光沢度の値が4.5から1.6に減少し、さらに映り込みが無くなるとともに、該微細な表面凹凸のクラックの面積の割合を0.2%までに低減することができた。
表2示したように、熱強化処理前後では、前記微細な表面凹凸を有するガラス基板の算術平均粗さ、最大粗さ、及びクラックの面積の割合に変化は見られなかった。しかしながら、湿潤試験後のpHの値が8から7に減少するとともに、湿潤試験後の該微細な表面凹凸を有するガラス基板表面の外観が改善するのが分かった。
(比較例1)
実施例1において、第二のブラスト加工を実施しない場合には、ガラス基板の微細な表面凹凸に残留したクラックの割合が13.5%と大きくなり、熱強化後の湿潤試験においてもpHが8と増大し、湿潤試験後の外観変化も大きいとの結果となった。図5に熱強化処理後の該微細な表面凹凸を有するガラス基板表面における湿潤試験後の外観比較を示した。図5の左側が、実施例1のガラス基板であり、図5の右側が、比較例1のガラス基板である。
(比較例2)
実施例1と同様に第一のブラスト加工でガラス基板を加工した後、第二のブラスト加工で、微細な表面凹凸を有するガラス基板に残留するクラックを除去した。クラックの面積の割合は、1.3%であり、実施例1と比較すると湿潤試験後の外観変化は同等レベルであった。しかしながら、未加工のガラス基板に対する透過率の保持率(400nm−1200nmにおける透過率の平均値から計算したもの)は、クラックの面積の割合が1.3%と大きい影響で、実施例1の98.3%から97.0%に低下した。
(実施例3)
実施例1で得られた熱強化された微細な表面凹凸を有するガラス基板を、該微細な表面凹凸を有するガラス面側を受光面側に配置し、結晶太陽電池モジュールを作製した。
結晶太陽電池モジュールの裏面側の保護材には、フッ素樹脂フィルム、ガスバリヤ性PET樹脂フィルム、及びプライマー付PET樹脂フィルムから成る、合計厚み82μmの張り合わせフィルムを使用した。該微細な表面凹凸を有する熱強化されたガラス基板と6インチ角サイズの結晶太陽電池セル1枚との間には、厚み0.5mmのファーストキュアタイプのEVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)が配置され、該結晶太陽電池セルと該保護材との間には、同様に厚み0.5mmのファーストキュアタイプのEVAが配置され、真空ラミネーターを用いて封止するとともに、EVAを熱硬化させた。
ここで真空ラミネーターの条件は、ガラス基板温度140℃、真空時間3分で、プレス時間5分、プレス圧力90kPaであった。
また、6インチ角サイズの結晶太陽電池セルの受光面側には、Agペーストを熱硬化させてなるフィンガー電極とバスバー電極が形成されている。裏面側はAgペーストが一定厚みに形成された裏面電極とアイランド状のバスバー電極が形成されている。それぞれ受光面側及び裏面側において2mm幅の半田ディップ銅箔が用いられて電気的に接続され、封止して得られた結晶太陽電池モジュールの端部より、前記銅箔が端子箱等に接続するために、外部へ引き出された。
得られた太陽電池モジュールの最大出力は4.22W、開放電圧は0.631V、短絡電流は9.18Aであった。
本発明の製造方法における第一工程(第一のブラスト加工)後のガラス基板の模式的断面図である。 本発明の製造方法における第二工程(第二のブラスト加工)後のガラス基板の模式的断面図である。 本発明の製造方法における熱強化処理後のガラス基板の模式的断面図である。 本発明の微細な表面凹凸を有する熱強化されたガラス基板を用いた、防眩型結晶太陽電池モジュールの模式的断面図である。 本発明の微細な表面凹凸を有する熱強化されたガラス基板を、湿潤試験にて評価した後のガラス表面の外観の比較
1 第一のブラスト加工後のガラス基板表面の模式図
2a〜2d 第一のブラスト加工後のガラス基板表面に形成された表面凹凸
3a〜3j 第一のブラスト加工後のガラス基板表面に残留するクラック
4 第二のブラスト加工後のガラス基板表面の模式図
5a〜5d 第二のブラスト加工後のガラス基板表面に形成された表面凹凸
6a、6b 第二のブラスト加工後のガラス基板表面に残留するクラック
7 熱強化処理後のガラス基板表面の模式図
8a〜8d 熱強化処理後のガラス基板表面に形成された表面凹凸
9a〜9b 熱強化処理後のガラス基板表面に残留するクラック
10 防眩型結晶太陽電池モジュール
11 微細な表面凹凸を有する熱強化されたガラス基板
12、15 封止材
13 導電性部材
14 結晶太陽電池セル
16 裏面側保護材

Claims (9)

  1. 熱強化処理がされていないガラス基板の表面をF46以上F220以下のJIS R6001−1:2017の粒度の研磨剤でブラスト加工する第一工程と、
    前記第一工程を経たガラス基板を#240以上#2000以下のJIS R6001−2:2017の粒度の研磨剤でブラスト加工することによって、当該ガラス基板の表面の算術平均粗さを0.5μm以上5μm以下、当該ガラス基板の表面の最大高さ粗さを10μm以上50μm以下、当該ガラス基板の表面に存在するクラックの面積を1%未満とし、表面凹凸が形成されてなるガラス基板を形成する第二工程と、
    前記表面凹凸が形成されてなるガラス基板を熱強化処理する第三工程と、
    を含む熱強化ガラス基板の製造方法。
  2. 前記第一工程で用いる研磨剤が、JIS R6001−1:2017の粒度でF46以上F100以下であり、
    前記第二工程で用いる研磨剤が、JIS R6001−2:2017の粒度で#400以上#1000以下である、
    請求項1記載の熱強化ガラス基板の製造方法。
  3. 前記熱強化処理する工程の熱強化処理条件が、熱強化処理後のガラス基板の表面に接触させた水分のpHの値が熱強化処理前のガラス基板の表面に接触させた水分のpHの値よりも減少するような条件である、請求項1または2に記載の熱強化ガラス基板の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法で製造されてなる強化ガラスを受光面側のカバーガラスとして含む、太陽電池モジュール。
  5. 熱強化処理がされていないガラス基板の表面をF46以上F220以下のJIS R6001−1:2017の粒度の研磨剤、または#240以上#400以下のJIS R6001−2:2017の粒度の研磨剤でブラスト加工する第一工程と、
    前記第一工程を経たガラス基板を#600以上#2000以下のJIS R6001−2:2017の粒度の研磨剤でブラスト加工することによって、当該ガラス基板の表面の算術平均粗さを0.5μm以上5μm以下、当該ガラス基板の表面の最大高さ粗さを10μm以上50μm以下、当該ガラス基板の表面に存在するクラックの面積を1%未満とし、表面凹凸が形成されてなるガラス基板を形成する第二工程と、
    前記表面凹凸が形成されてなるガラス基板を熱強化処理する第三工程と、
    を含む熱強化ガラス基板の製造方法。
  6. 前記第一工程のブラスト加工がショットブラスト法によるブラスト加工であり、用いる研磨剤が、JIS R6001−1:2017の粒度でF46以上F100以下であり、
    前記第二工程で用いる研磨剤が、JIS R6001−2:2017の粒度で#400以上#1000以下である、
    請求項5記載の熱強化ガラス基板の製造方法。
  7. 前記第一工程のブラスト加工がエアーブラスト法によるブラスト加工であり、用いる研磨剤が、JIS R6001−1:2017の粒度でF100以上F220以下、またはJIS R6001−2:2017の粒度で#240以上#400以下であり、
    前記第二工程で用いる研磨剤が、JIS R6001−2:2017の粒度で#600以上#1000以下である、
    請求項5記載の熱強化ガラス基板の製造方法。
  8. 前記熱強化処理する工程の熱強化処理条件が、熱強化処理後のガラス基板の表面に接触させた水分のpHの値が熱強化処理前のガラス基板の表面に接触させた水分のpHの値よりも減少するような条件である、請求項5〜7のいずれか1項に記載の熱強化ガラス基板の製造方法。
  9. 請求項5〜8のいずれか1項に記載の製造方法で製造されてなる強化ガラスを受光面側のカバーガラスとして含む、太陽電池モジュール。
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