次に、図1から図9の各図に基づいて本発明の各実施の形態について説明する。なお、各図において矢印FRは、本発明の実施の形態に係る車両用シート10のシート(seat)前側(シート前後方向前側)を示し、矢印UPは、シート上側(シート上下方向上側)を示し、矢印LHは、シート左側(シート左右方向左側)を示す。また、以下の各実施の形態を説明するにあたり、説明している実施の形態よりも前出の実施の形態と基本的に同一の部位に関しては同一の符号を付与してその詳細な説明を省略する。
<第1の実施の形態の構成>
図1に示されるように、車両用シート10は、シート本体としてのシートクッション12、シート本体としてのシートバック14、ヘッドレスト16を備えている。シートクッション12は、車両用シート10の座面部分を構成しており、乗員S(図2参照)は、シートクッション12のシート上側(シート表側)に着座する。シートクッション12の厚さ方向は、概ね、シート上下方向(図1等の矢印UP方向及びその反対方向)とされている。
シートバック14は、シートクッション12のシート後側(図1等の矢印FRとは反対方向側)に設けられており、車両用シート10の背凭れ部分を構成しており、シートクッション12に着座した乗員Sの背中をシート後側(シート裏側)から支持できる。シートバック14の厚さ方向は、概ね、シート前後方向(図1等の矢印FR方向及びその反対方向)とされている。但し、シートバック14が、シートバック14のシート下側端部近傍を中心にシート前後方向に回動可能とされている場合、すなわち、本車両用シート10が、リクライニング機能を備えている場合、シートバック14の厚さ方向は、シートバック14の回動位置によって異なる。さらに、ヘッドレスト16は、シートバック14のシート上側に設けられており、車両用シート10に着座した乗員Sの頭部をシート後側から支えることができる。
また、図3に示されるように、シートバック14は、シートバックフレーム32を備えている。シートバックフレーム32は、アッパフレーム(図示省略)を備えている。アッパフレームの長手方向は、シート幅方向とされており、アッパフレームのシート幅方向両端側には、サイドフレーム34が設けられている。サイドフレーム34の長手方向は、概ね、シート上下方向とされており、シート左側のサイドフレーム34のシート上側端は、アッパフレームのシート左側端に繋がっており、シート右側のサイドフレーム34のシート上側端は、アッパフレームのシート右側端に繋がっている。これらのサイドフレーム34の間には、例えば、シート前側からの荷重によって弾性変形可能なばね機構が設けられている。
また、図1及び図3に示されるように、シートバック14は、シートパッド18を備えている。シートパッド18は、パッド中央側部20を備えている。パッド中央側部20のシート左側には、シート側部としてのパッド側部22Lが設けられており、パッド中央側部20のシート右側には、シート側部としてのパッド側部22Rが設けられている。パッド側部22L、22Rは、パッド中央側部20よりもシート前側(シート表側)へ突出されている。シート側部としてのパッド側部22L、22Rのシート表側端としてのパッド前側端24は、パッド前側端24よりもシート後側(シート裏側)の所定位置を曲率の中心としてシート前側へ膨らむように湾曲されている。
図3に示されるように、シートパッド18は、クッション部材としてのパッド本体26を備えている。パッド本体26は、例えば、ポリウレタンフォーム(発泡ポリウレタン)等の弾性を有する合成樹脂材等によって厚肉の板状に形成されている。さらに、図1及び図2に示されるように、シートパッド18は、表皮38を備えている。表皮38は、皮、合成皮革、布等の可撓性を有するシート(sheet)部材によって形成されており、パッド本体26のシート前側面、シート前後方向を軸方向とする軸周り方向のシート外周面等は、表皮38によって覆われている。
また、図3に示されるように、シートパッド18のパッド本体26のシート後側には、バックボード50が設けられている。バックボード50は、例えば、合成樹脂材を成形することによって形成されている。図2及び図3に示されるように、バックボード50は、背板部52を備えている。背板部52は、板状とされており、背板部52の幅方向は、シート幅方向に沿い、背板部52の厚さ方向は、概ね、シート前後方向に沿っている。背板部52は、パッド本体26のシート後側面及びシートバックフレーム32の両サイドフレーム34に対してシート後側に離れて配置されている。
背板部52のシート左側には、側板部54Lが設けられており、背板部52のシート右側には、側板部54Rが設けられている。側板部54L、54Rは、板状とされており、側板部54L、54Rの長手方向は、概ね、シート上下方向とされている。また、シート左側の側板部54Lの幅方向は、シート前側に対してシート左側へ傾いた方向とされており、側板部54Lのシート後側端は、背板部52のシート左側端に繋がっている。これに対して、シート右側の側板部54Rの幅方向は、シート前側に対してシート右側へ傾いた方向とされており、側板部54Rのシート後側端は、背板部52のシート右側端に繋がっている。
また、図3に示されるように、バックボード50には、複数のリブ56L、56R、58L、58R、60L、60R、62L、62Rが設けられている。これらのリブ56L〜62Rの各々は、板状とされており、リブ56L〜62Rの各々の厚さ方向は、概ね、シート上下方向に沿っている。
これらのリブ56L〜62Rのうち、リブ56L、58L、60L、62Lは、背板部52のシート左側部分のシート前側で且つシート左側の側板部54Lのシート後側部分のシート右側に配置されている。このシート左側のリブ56L〜62Lは、シート上下方向に所定の間隔をおいて設けられている。リブ56L〜62Lにおいて背板部52のシート前側と対向する面は、背板部52に繋がり、リブ56L〜62Lにおいて側板部54Lのシート右側面と対向する面は、側板部54Lに繋がっている。
これに対して、これらのリブ56L〜62Rのうち、リブ56R、58R、60R、62Rは、背板部52のシート右側部分のシート前側で且つシート右側の側板部54Rのシート後側部分のシート左側に配置されている。このシート右側のリブ56R〜62Rは、シート上下方向に所定の間隔をおいて設けられている。リブ56R〜62Rにおいて背板部52のシート前側と対向する面は、背板部52に繋がり、リブ56R〜62Rにおいて側板部54Rのシート左側面と対向する面は、側板部54Rに繋がっている。このようなリブ56L〜62Rがバックボード50に設けられることによって、バックボード50の剛性が補われており、両側板部54L、54Rが背板部52に対してシート幅方向側へ回動するようなバックボード50の変形が抑制されている。
一方、図2及び図3に示されるように、バックボード50の背板部52とシートパッド18との間には、ダクト部材としてのダクト64が設けられている。これらのダクト64は、ゴム又はゴム程度の弾性を有する合成樹脂材によって形成されている。ダクト64は、ダクト基部66を備えている。ダクト基部66をシート上下方向に対して直交する方向に切った断面形状は、シート後側へ向けて開口した凹形状とされている。ダクト基部66のシート後端は、バックボード50の背板部52のシート前側面へ溶着等によって一体的に固着されている。
これによって、ダクト64のダクト基部66のシート後側端がバックボード50の背板部52によって閉止される。ダクト64のダクト基部66のシート下側端部は、空気送給装置としてのブロア(図示省略)に繋がっている。ブロアは、例えば、シートクッション12のシートクッションフレームに設けられており、ブロアが作動されると、空気がブロアからダクト64のダクト基部66に送られると、空気がダクト64のダクト基部66内をシート下側からシート上側へ流れる。
一方、ダクト64は、ダクト左上側部68Lとダクト右上側部68Rとを備えている。これらのダクト左上側部68L及びダクト右上側部68Rの各々の基端は、ダクト64のダクト基部66のシート上側端に繋がっており、ダクト64は、ダクト基部66のシート上側で二股に分岐されている。
ダクト64のダクト左上側部68Lは、基端側部分70Lを備えている。ダクト左上側部68Lの基端側部分70Lは、ダクト64のダクト基部66のシート上側端からバックボード50の背板部52のシート前側面に沿って概ねシート左側へ延びている。ダクト左上側部68Lの基端側部分70Lをダクト64のダクト基部66からの延出方向に対して直交する方向に切った断面形状は、シート後側へ開口した凹形状とされており、シート上下方向に対向する一対の基端側壁部72Lを備えている。ダクト左上側部68Lの基端側部分70Lの両基端側壁部72Lのシート後側端は、バックボード50の背板部52のシート前側面へ溶着等によって一体的に固着されている。
また、ダクト左上側部68Lは、中間部分74Lを備えている。中間部分74Lは、ダクト左上側部68Lの基端側部分70Lの長手方向先端(基端側部分70Lにおけるダクト64のダクト基部66とは反対側端)に繋がっている。ダクト左上側部68Lの中間部分74Lは、バックボード50におけるシート左側の角部に対応して設けられている。
ダクト左上側部68Lの中間部分74Lにおいてバックボード50の背板部52に沿って配置される部分では、中間部分74Lにおけるダクト左上側部68Lの基端側部分70Lからの延出方向に対して直交する方向に切った断面形状がシート後側へ向けて開口した凹形状とされている。これに対して、ダクト左上側部68Lの中間部分74Lにおいてバックボード50のシート左側の側板部54Lに沿って配置される部分では、中間部分74Lにおけるダクト左上側部68Lの基端側部分70Lからの延出方向に対して直交する方向に切った断面形状がシート左側へ向けて開口した凹形状とされている。
図4に示されるように、ダクト左上側部68Lの中間部分74Lは、シート上下方向に対向する一対の中間壁部76Lを備えている。この一対の中間壁部76Lの間には、補強部としてのシート左側のリブ58L、60Lが配置されている。ダクト左上側部68Lの中間部分74Lにおいてシート上下方向にリブ58Lのシート上側面と対向する部分は、溶着によってリブ58Lのシート上側面へ一体的に固着されている。これに対して、ダクト左上側部68Lの中間部分74Lにおいてシート上下方向にリブ60Lのシート下側面と対向する部分は、溶着によってリブ60Lのシート下側面へ一体的に固着されている。
さらに、図2及び図3に示されるように、ダクト左上側部68Lは、先端側部分78Lを備えている。先端側部分78Lは、ダクト左上側部68Lの中間部分74Lにおけるダクト左上側部68Lの基端側部分70Lとは反対側端に繋がっており、バックボード50のシート左側の側板部54Lのシート右側面に沿って概ねシート前側へ延びている。先端側部分78Lの中間部分74Lからの延出方向に対して直交する方向に切った断面形状は、シート左側へ開口した凹形状とされており、ダクト左上側部68Lの先端側部分78Lは、シート上下方向に対向する一対の先端側壁部80Lを備えている。ダクト左上側部68Lの先端側部分78Lの両先端側壁部80Lのシート左側端は、バックボード50のシート左側の側板部54Lのシート右側面へ溶着等によって一体的に固着されている。
一方、ダクト64のダクト右上側部68Rは、基端側部分70Rを備えている。ダクト右上側部68Rの基端側部分70Rは、ダクト64のダクト基部66のシート上側端からバックボード50の背板部52のシート前側面に沿って概ねシート右側へ延びている。ダクト右上側部68Rの基端側部分70Rをダクト64のダクト基部66からの延出方向に対して直交する方向に切った断面形状は、シート後側へ開口した凹形状とされており、シート上下方向に対向する一対の基端側壁部72Rを備えている。ダクト右上側部68Rの基端側部分70Rの両基端側壁部72Rのシート後側端は、バックボード50の背板部52のシート前側面へ溶着等によって一体的に固着されている。
また、ダクト右上側部68Rは、中間部分74Rを備えている。中間部分74Rは、ダクト右上側部68Rの基端側部分70Rの長手方向先端(基端側部分70Rにおけるダクト64のダクト基部66とは反対側端)に繋がっている。ダクト右上側部68Rの中間部分74Rは、バックボード50におけるシート右側の角部に対応して設けられている。
ダクト右上側部68Rの中間部分74Rにおいてバックボード50の背板部52に沿って配置される部分では、中間部分74Rにおけるダクト右上側部68Rの基端側部分70Rからの延出方向に対して直交する方向に切った断面形状がシート後側へ向けて開口した凹形状とされている。これに対して、ダクト右上側部68Rの中間部分74Rにおいてバックボード50のシート右側の側板部54Rに沿って配置される部分では、中間部分74Rにおけるダクト右上側部68Rの基端側部分70Rからの延出方向に対して直交する方向に切った断面形状がシート右側へ向けて開口した凹形状とされている。
このダクト右上側部68Rの中間部分74Rは、シート上下方向に対向する一対の中間壁部76Rを備えている。この一対の中間壁部76Rの間には、補強部としてのシート右側のリブ58R、60Rが配置されている。ダクト右上側部68Rの中間部分74Rにおいてシート上下方向にリブ58Rのシート上側面と対向する部分は、溶着によってリブ58Rのシート上側面へ一体的に固着されている。これに対して、ダクト右上側部68Rの中間部分74Rにおいてシート上下方向にリブ60Rのシート下側面と対向する部分は、溶着によってリブ60Rのシート下側面へ一体的に固着されている。
さらに、ダクト右上側部68Rは、先端側部分78Rを備えている。先端側部分78Rは、ダクト右上側部68Rの中間部分74Rにおけるダクト右上側部68Rの基端側部分70Rとは反対側端に繋がっており、バックボード50のシート右側の側板部54Rのシート左側面に沿って概ねシート前側へ延びている。先端側部分78Rの中間部分74Rからの延出方向に対して直交する方向に切った断面形状は、シート右側へ開口した凹形状とされており、ダクト右上側部68Rの先端側部分78Rは、シート上下方向に対向する一対の先端側壁部80Rを備えている。ダクト右上側部68Rの先端側部分78Rの両先端側壁部80Rのシート右側端は、バックボード50のシート右側の側板部54Rのシート左側面へ溶着等によって一体的に固着されている。
以上の構成のダクト64は、バックボード50の背板部52のシート前側面、シート左側の側板部54Lのシート右側面、シート左側のリブ58Lのシート上側面、シート左側のリブ60Lのシート下側面、シート右側の側板部54Rのシート左側面、シート右側のリブ58Rのシート上側面、シート右側のリブ60Rのシート下側面へ溶着されることによってダクト64の断面形状における開口側が封止される。これによって、ダクト64のダクト基部66内をシート下側からシート上側へ流れた空気は、ダクト64のダクト左上側部68L、ダクト右上側部68Rの各々に分かれて流れる。
ダクト左上側部68Lへ流れた空気は、ダクト左上側部68Lの先端側部分78Lの先端(先端側部分78Lにおけるダクト左上側部68Lの中間部分74Lとは反対側端)からシート前側へ噴出される。ダクト左上側部68Lの先端側部分78Lの先端から噴出された空気は、シート左側の側板部54Lに沿って流れる。さらに、側板部54Lに沿って流れた空気は、側板部54Lとシート左側のパッド側部22Lとの間を流れ、側板部54Lとパッド側部22Lとの間から本車両用シート10の外へ流れ出る。
一方、ダクト右上側部68Rへ流れた空気は、ダクト右上側部68Rの先端側部分78Rの先端(先端側部分78Rにおけるダクト右上側部68Rの中間部分74Rとは反対側端)からシート前側へ噴出される。ダクト右上側部68Rの先端側部分78Rの先端から噴出された空気は、シート右側の側板部54Rに沿って流れる。さらに、側板部54Rに沿って流れた空気は、側板部54Rとシート右側のパッド側部22Rとの間を流れ、側板部54Rとパッド側部22Rとの間から本車両用シート10の外へ流れ出る。
<第1の実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
本実施の形態では、ブロアが作動されると、ダクト64のダクト基部66に空気が送られ、空気は、ダクト基部66の内側をシート下側からシート上側へ流れる。このように、ダクト基部66のシート上側へ流れた空気は、ダクト64のダクト左上側部68Lへ流れる空気とダクト右上側部68Rへ流れる空気とに分かれる。
ダクト左上側部68Lへ流れた空気は、ダクト左上側部68L内を流れてダクト左上側部68Lの先端側部分78Lの先端(先端側部分78Lにおけるダクト左上側部68Lの中間部分74Lとは反対側端)からシート前側へ噴出される。ダクト左上側部68Lの先端側部分78Lの先端から噴出された空気は、シート左側の側板部54Lに沿って流れる。さらに、側板部54Lに沿って流れた空気は、側板部54Lとシート左側のパッド側部22Lとの間を流れ、側板部54Lとパッド側部22Lとの間から本車両用シート10の外へ流れ出る。
このようにして本車両用シート10の外側へ流れ出た空気は、パッド側部22Lに沿って更にシート前側へ流れる。この状態で、例えば、本車両用シート10のシート前側に配置された車両用の空調装置が作動され、空調装置から、例えば、冷風が本車両用シート10に着座した乗員S側へ送られると、パッド側部22Lに沿って更にシート前側へ流れた空気が冷風に合流され、乗員S側へ送られる。
これに対して、ダクト右上側部68Rへ流れた空気は、ダクト右上側部68R内を流れてダクト右上側部68Rの先端側部分78Rの先端(先端側部分78Rにおけるダクト右上側部68Rの中間部分74Rとは反対側端)からシート前側へ噴出される。ダクト右上側部68Rの先端側部分78Rの先端から噴出された空気は、シート右左側の側板部54Rに沿って流れる。さらに、側板部54Rに沿って流れた空気は、側板部54Rとシート右側のパッド側部22Rとの間を流れ、側板部54Rとパッド側部22Rとの間から本車両用シート10の外へ流れ出る。
このようにして本車両用シート10の外側へ流れ出た空気は、パッド側部22Rに沿って更にシート前側へ流れる。この状態で、例えば、本車両用シート10のシート前側に配置された車両用の空調装置が作動され、空調装置から、例えば、冷風が本車両用シート10に着座した乗員S側へ送られると、パッド側部22Rに沿って更にシート前側へ流れた空気が冷風に合流され、乗員S側へ送られる。
空調装置の作動状態では、上記のブロアが吸引する空気も空調装置によって温度が調整された冷風である。このため、乗員Sの身体を冷風によって効果的に冷やすことができる。このように、乗員Sの身体を冷風によって効果的に冷やすことができるため、空調装置の出力を抑制できる。これによって、例えば、車両の燃費の向上を図ることができる。
一方、本実施の形態では、ダクト64のダクト左上側部68Lの中間部分74Lでは、シート左側のリブ58L、60Lが中間部分74Lにおけるシート上側の中間壁部76Lとシート下側の中間壁部76Lとの間に配置されている。ところで、ダクト64のダクト左上側部68Lがシート左側のリブ58L、60Lを避けるため、ダクト左上側部68Lがリブ58L、60Lよりもシート前側及びシート右側に配置される構成にすると、バックボード50のシート前側においてリブ56L、58Lのシート前側等にダクト64の配置スペースが必要になる。
しかしながら、本実施の形態では、リブ56L、58Lが中間部分74Lにおけるシート上側の中間壁部76Lとシート下側の中間壁部76Lとの間にシート左側のリブ58L、60Lが配置される。このため、リブ56L、58Lのシート前側等におけるダクト64の配置スペースの大型化を抑制できる。また、ダクト64のダクト右上側部68Rの中間部分74Rに関しても同様である。これによって、バックボード50の大型化を抑制できる。
さらに、本実施の形態では、ダクト64のダクト左上側部68Lの中間部分74Lでは、シート左側のリブ58Lのシート上側面(リブ58Lの厚さ方向一方の側の面)と中間部分74Lにおけるシート上側の中間壁部76Lのシート下側面(シート上側の中間壁部76Lの厚さ方向他方の側の面)とが溶着によって一体的に固着されている。また、ダクト64のダクト左上側部68Lの中間部分74Lでは、シート左側のリブ60Lのシート下側面(リブ60Lの厚さ方向他方の側の面)と中間部分74Lにおけるシート下側の中間壁部76Lのシート上側面(シート下側の中間壁部76Lの厚さ方向一方の側の面)とが溶着によって一体的に固着されている。
このように、リブ58L及びシート上側の中間壁部76Lの各々の厚さ方向側の面が溶着され、リブ60L及びシート下側の中間壁部76Lの各々の厚さ方向側の面が溶着される構成であるため、溶着される面積を大きくでき、ダクト64のダクト左上側部68Lの中間部分74Lでは、バックボード50との固着の機械的強度を高くできる。
また、本実施の形態では、ダクト64の断面形状は凹形状で、ダクト64の開口側がバックボード50によって閉止される。このため、ダクト64の開口側を閉止してダクト64の断面形状を閉じた矩形状にするための板状部分が不要である。これによって、ダクト64の大型化を抑制できる。また、ダクト64の大型化を抑制できることで、バックボード50とシート前側におけるダクト64の配置スペースの大型化を抑制できる。これによって、バックボード50の大型化を抑制できる。
さらに、本実施の形態では、上述したように、リブ56L〜62Rがバックボード50に設けられることによって、バックボード50の剛性が補われる。これによって、両側板部54L、54Rが背板部52に対してシート幅方向側へ回動するようなバックボード50の変形を抑制できる。しかも、バックボード50の剛性がリブ56L〜62Rにより補われることで、バックボード50の薄型化が可能になり、この意味でも、バックボード50の大型化を抑制でき、バックボード50の軽量化等を図ることができる。
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。
図5に示されるように、本実施の形態は、ダクト64のダクト左上側部68Lの中間部分74Lの車両上下方向寸法がシート左側のリブ58Lのシート上側面とシート左側のリブ60Lのシート下側面との間隔よりも大きく設定されている。また、ダクト左上側部68Lの中間部分74Lにおけるシート上側の中間壁部76Lは、シート左側のリブ58Lに対してシート上側へ離れて配置されており、シート上側の中間壁部76Lの先端がバックボード50の背板部52のシート前側面又はシート左側の側板部54Lのシート右側面へ溶着によって一体的に固着されている。
さらに、ダクト左上側部68Lの中間部分74Lにおけるシート下側の中間壁部76Lは、シート左側のリブ60Lに対してシート下側へ離れて配置されており、シート下側の中間壁部76Lの先端がバックボード50の背板部52のシート前側面又はシート左側の側板部54Rのシート右側面へ溶着によって一体的に固着されている。
このような構成では、ダクト64のダクト左上側部68Lの中間部分74Lにおいて空気が流れる流路のシート上下方向長さをシート左側のリブ58Lとリブ60Lとの間隔よりも大きくでき、しかも、中間部分74Lでは、空気が流れる流路をリブ58L、60Lによって3分割できる。
また、本実施の形態では、中間部分74Lの両中間壁部76Lとバックボード50との溶着位置が前記第1の実施の形態とは異なる。このため、リブ58L及びシート上側の中間壁部76Lの各々の厚さ方向側の面が溶着され、リブ60L及びシート下側の中間壁部76Lの各々の厚さ方向側の面が溶着される構成であることによる作用及び効果を除く第1の実施の形態の作用及び効果と同等の作用及び効果を本実施の形態は、得ることができる。
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について説明する。
図6に示されるように、本実施の形態は、ダクト64のダクト左上側部68Lの中間部分74Lは、両中間壁部76Lを備えていない。したがって、本実施の形態において中間部分74Lは、板状とされ、板状の中間部分74Lの厚さ方向は、バックボード50の背板部52又はシート左側の側板部54Lとの対向方向に沿っている。
ダクト左上側部68Lの中間部分74Lの厚さ方向一方の面における中間部分74Lの幅方向一端には、シート左側のリブ58Lの先端(リブ58Lにおけるバックボード50の背板部52又はシート左側の側板部54Lからの延出方向側端)が溶着によって一体的に固着されている。また、ダクト左上側部68Lの中間部分74Lの厚さ方向一方の面における中間部分74Lの幅方向他端には、シート左側のリブ60Lの先端(リブ60Lにおけるバックボード50の背板部52又はシート左側の側板部54Lからの延出方向側端)が溶着によって一体的に固着されている。
以上の構成の本実施の形態では、ダクト64のダクト左上側部68Lの中間部分74Lとバックボード50との溶着位置が前記第1の実施の形態とは異なる。このため、リブ58L及びシート上側の中間壁部76Lの各々の厚さ方向側の面が溶着され、リブ60L及びシート下側の中間壁部76Lの各々の厚さ方向側の面が溶着される構成であることによる作用及び効果を除く第1の実施の形態の作用及び効果と同等の作用及び効果を本実施の形態は、得ることができる。
なお、上記の第2の実施の形態及び第3の実施の形態は、ダクト64のダクト左上側部68Lの中間部分74Lに適用されているが、ダクト64のダクト右上側部68Rの中間部分74Rを第2の実施の形態又は第3の実施の形態と同様の構成にしてもよい。
また、上記の第1から第3の各実施の形態では、バックボード50におけるシート左側のリブ58L、60Lが、ダクト64のダクト左上側部68Lの中間部分74Lに対応して設けられており、バックボード50におけるシート右側のリブ58R、60Rが、ダクト64のダクト右上側部68Rの中間部分74Rに対応して設けられた構成であった。しかしながら、ダクト64のダクト左上側部68L及びダクト右上側部68Rの少なくとも一方の全ての部分に対応するようにバックボード50にリブが設けられる構成であってもよいし、ダクト64の全てに対応するようにバックボード50にリブが設けられる構成であってもよい。
<第4の実施の形態>
次に、第4の実施の形態について説明する。
図7に示されるように、本実施の形態では、バックボード50にダクト溝92が形成されている。ダクト溝92は、溝基部94を備えている。溝基部94は、バックボード50の背板部52に形成されている。溝基部94の長手方向は、概ね、シート上下方向とされている。溝基部94のシート上側には、溝基部94と共にダクト溝92を構成する補強部としての溝左上側部96Lと補強部としての溝右上側部96Rとが形成されている。溝左上側部96Lの基端及び溝右上側部96Rの基端は、溝基部94の先端(溝基部94のシート上側端)に繋がっており、ダクト溝92は、溝基部94のシート上側で溝左上側部96Lと溝右上側部96Rとに分岐されている。
溝左上側部96Lは、溝基部94のシート上側端から概ねシート左側へ延びている。さらに、溝左上側部96Lの先端側(溝左上側部96Lの溝基部94とは反対側)は、バックボード50の背板部52のシート左側端から更にバックボード50のシート左側の側板部54Lへ延びている。溝左上側部96Lは、側板部54Lでシート前側へ延びており、溝左上側部96Lの先端は、側板部54Lのシート前側端で開口されている。
これに対して、溝右上側部96Rは、溝基部94のシート上側端から概ねシート右側へ延びている。さらに、溝右上側部96Rの先端側(溝右上側部96Rの溝基部94とは反対側)は、バックボード50の背板部52のシート右側端から更にバックボード50のシート右側の側板部54Rへ延びている。溝右上側部96Rは、側板部54Rでシート前側へ延びており、溝右上側部96Rの先端は、側板部54Rのシート前側端で開口されている。
以上のように、溝基部94、溝左上側部96L、溝右上側部96Rを含んで構成されるダクト溝92は、溝底壁98を備えている。ダクト溝92においてバックボード50の背板部52に形成された部分では、溝底壁98は、背板部52よりもシート前側に配置されている。また、ダクト溝92の溝左上側部96Lにおいてバックボード50のシート左側の側板部54Lに形成された部分では、溝底壁98は、側板部54Lよりもシート右側に配置され、ダクト溝92の溝右上側部96Rにおいてバックボード50のシート右側の側板部54Rに形成された部分では、溝底壁98は、側板部54Rよりもシート左側に配置されている。
この溝底壁98の幅方向両端とバックボード50の背板部52、側板部54L、54Rとは、側壁100によって連結されている。このため、ダクト溝92においてバックボード50の背板部52に形成された部分の断面形状は、シート後側へ向けて開口した凹形状とされている。また、ダクト溝92においてバックボード50のシート左側の側板部54Lに形成された部分の断面形状は、シート左側へ向けて開口した凹形状とされ、ダクト溝92においてバックボード50のシート右側の側板部54Rに形成された部分の断面形状は、シート右側へ向けて開口した凹形状とされている。
このダクト溝92には、ダクト部材としての蓋部材102が設けられている。蓋部材102は、蓋本体104を備えている。蓋本体104は、細幅板状に形成されており、図8に示されるように、蓋本体104の厚さ方向に蓋本体104を見た形状は、ダクト溝92の溝底壁98と略同形状とされている。蓋本体104の幅方向両側には、脚板106が設けられている。
脚板106は、蓋本体104の幅方向両端から蓋本体104の厚さ方向一方の側へ延びており、蓋本体104がダクト溝92の溝底壁98と対向して配置され、ダクト溝92の開口側が蓋本体104によって閉じられた状態で、脚板106は、ダクト溝92の内側に入る。蓋本体104を挟んで互いに対向する脚板106の一方の他方とは反対側の面は、ダクト溝92の側壁100と直接対向されており、脚板106と側壁100との互いに対向する面は、溶着によって一体的に固着されている。
このように、蓋部材102によって開口側が閉じられたダクト溝92の溝基部94のシート下側端は、ブロアに繋がっており、ブロアが作動されると、ダクト溝92の溝基部94に空気が送られ、空気は、溝基部94の内側をシート下側からシート上側へ流れる。このように、溝基部94のシート上側へ流れた空気は、ダクト溝92の溝左上側部96Lへ流れる空気と溝右上側部96Rへ流れる空気とに分かれる。
溝左上側部96Lへ流れた空気は、溝左上側部96L内を流れて溝左上側部96Lの先端(溝左上側部96Lの溝基部94とは反対側端)からシート前側へ噴出される。また、溝右上側部96Rへ流れた空気は、溝右上側部96R内を流れて溝右上側部96Rの先端(溝右上側部96Rの溝基部94とは反対側端)からシート前側へ噴出される。このようにして、溝左上側部96Lの先端及び溝右上側部96Rの先端から噴出された空気は、前記第1の実施の形態と同様に更にシート前側へ流れる。
この状態で、例えば、本車両用シート10のシート前側に配置された車両用の空調装置が作動され、空調装置から、例えば、冷風が本車両用シート10に着座した乗員S側へ送られると、シートパッド18のパッド側部22L、22Rに沿って更にシート前側へ流れた空気が冷風に合流され、乗員S側へ送られる。このため、本実施の形態では、乗員Sの身体を冷風によって効果的に冷やすことができるため、空調装置の出力を抑制できる。これによって、例えば、車両の燃費の向上を図ることができる。
また、本実施の形態では、バックボード50にダクト溝92が形成されており、ダクト溝92の溝左上側部96Lは、バックボード50の背板部52からバックボード50のシート左側の側板部54Lに亘って設けられ、ダクト溝92の溝右上側部96Rは、バックボード50の背板部52からバックボード50のシート右側の側板部54Rに亘って設けられる。ここで、ダクト溝92は、側壁100を備えており、この側壁100が、バックボード50の背板部52から両側板部54L、54Rの各々に亘って設けられる。
これによって、両側板部54L、54Rを背板部52に対してシート幅方向側へ回動させるような曲げ荷重に対するバックボード50の剛性が向上され、このような曲げ荷重によるバックボード50の変形を抑制できる。しかも、バックボード50の剛性がダクト溝92の側壁100により補われることで、バックボード50の薄型化が可能になり、バックボード50の大型化を抑制でき、バックボード50の軽量化等を図ることができる。さらに、ダクト溝92において溝底壁98の幅方向両側の側壁100は、溝底壁98によって繋がっている。これによって、上記の曲げ荷重に対するバックボード50の剛性を更に向上できる。
さらに、バックボード50におけるダクト溝92の形成部分に前記第1の実施の形態におけるリブ58L、60L、58R、60Rを設けなくてもダクト溝92がバックボード50に形成されることによって上記の曲げ荷重に対するバックボード50の剛性を向上できる。このため、バックボード50の大型化を抑制できる。
また、本実施の形態では、蓋部材102の脚板106の厚さ方向側面と、ダクト溝92の側壁100において蓋部材102の脚板106と対向する面とが溶着によって一体的に固着されている。このため、バックボード50と蓋部材102との固着の機械的強度を高くできる。
また、バックボード50に対する蓋部材102の配置位置をダクト溝92の開口方向側又はその反対方向側へずらし、これによって、ダクト溝92の溝底壁98と蓋部材102の蓋本体104とを接近又は離間させて蓋部材102をバックボード50へ固定することもできる。これによって、ダクト溝92の長手方向に対して直交する方向に切ったダクト溝92と蓋部材102とで囲まれた空間の断面積を変えることができ、これによって、蓋部材102を変えることなくダクト溝92内での単位時間当たりの空気の流量を制御でき、しかも、バックボード50の意匠性も向上する。
<第5の実施の形態>
次に、第5の実施の形態について説明する。
図9に示されるように、本実施の形態では、蓋部材102は、中板108を備えている。中板108は、蓋部材102において互いに対向する脚板106の間に配置されており、中板108の幅方向一端は、蓋部材102の蓋本体104に繋がっている。
このため、本実施の形態では、ダクト溝92と蓋部材102とで囲まれた空間を中板108の厚さ方向一方の側と他方の側とに分けられる。したがって、蓋部材102において互いに対向する脚板106の対向方向に沿った中板108の配置位置を設定することによって中板108と一方の脚板106との間における空気の流量と、中板108と他方の脚板106との間における空気の流量とを調整できる。
なお、前記第4の実施の形態及び前記第5の実施の形態では、蓋部材102の蓋本体104の幅方向両側に脚板106が設けられた構成であった。しかしながら、蓋本体104の幅方向一方の側にのみ脚板106を設け、蓋本体104の幅方向他方の端部を溶着によってバックボード50のダクト溝92における溝底壁98とは反対側の端部に固着する構成としてもよいし、蓋部材102に脚板106を設けない構成として蓋本体104の幅方向両端部を溶着によってバックボード50のダクト溝92における溝底壁98とは反対側の端部に固着する構成としてもよい。