JP2019171698A - 熱収縮性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】包装をしたときに余剰部分においてフィルムの内表面同士が適切に密着し、内容物の液体成分が浸透可能なしわが生じにくい熱収縮性フィルム及びそれを用いた袋を提供することを目的とする。【解決手段】最内層に配される、融点が85〜120℃であるエチレン共重合体を含む層Iと、塩化ビニリデン共重合体を含む層IIと、を有する、少なくとも3層以上からなる熱収縮性フィルムであって、前記層Iが、脂肪酸アミド及び/又は脂肪酸エステルを含み、前記脂肪酸アミド及び前記脂肪酸エステルの総含有量が、前記層Iの総量に対して、0.4〜3質量%である、熱収縮性フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、熱収縮性フィルム及びそれを用いた袋に関する。
一般的に肉類、加工肉類、水産品、水産加工品、機械部品等の熱収縮包装には熱収縮性フィルムが用いられる。熱収縮性フィルムは様々な性質を有する各層により、用途に応じた機能が付与される。具体的には、熱をかけることにより収縮し内容物に密着して包装する熱収縮性、内容物の長期保存の観点からは酸素等の通過させないバリア性、内容物の視認性及び製品の外観の観点から要求される透明性、包装袋の口を閉じることのできるヒートシール性、効率性の観点からは複数の包装袋を同時にヒートシールした場合に包装袋同士が溶着しない重ねシール性が挙げられる。
実際には全ての性能を満足することは容易ではないが、一例として、特許文献1には、重ねシール性と透明性に優れ、熱収縮性、バリア性、ヒートシール性も兼ね備えた延伸積層フィルムを提供することを目的として、表面層の融解温度条件とバリア層の融解温度条件を規定した延伸積層フィルムが開示されている。
国際公開WO2008/099799号公報
ところで、熱収縮性フィルムにより包装される内容物の形状は様々であり、フィルムを熱収縮させると、内容物に密着するフィルム部分と内容物に密着しないフィルム部分とが生じる。図1に、肉類を熱収縮性フィルムで包装した例を示す。内容物に密着しないフィルムの余剰部分(スカート部ともいう)ではフィルムの内表面同士が密着するが、その態様にはいくつかの種類がある。例えば、フィルムの内表面同士が適切に密着しておらず、余剰部分に内容物の液体成分、例えば肉類の場合はドリップが浸透できる態様;フィルムの内表面同士が部分的に密着しているが、熱収縮と内表面の密着が同時に起こることに起因して部分的に血管のようなしわが発生し、当該しわに内容物の液体成分が浸透できる態様;フィルムの内表面同士が適切に密着し、余剰部分に内容物の液体成分が浸透せず、また、液体成分が浸透できるしわも生じない態様が挙げられる。このなかでも、フィルムの内表面同士の密着はその包装条件(シュリンク条件)を調整することにより比較的解消しやすいものであるが、熱収縮と内表面の密着が同時に起こることに起因するしわの発生については、熱収縮温度と密着が生じる温度が近いために、包装条件を調整しても解消することが困難である。
特に、肉類、加工肉類、水産品、水産加工品等の形状は様々であり、これらを内容物としたときには、余剰部分においてしわが発生しやすい傾向にある。さらに、肉類、加工肉類、水産品、水産加工品は、その性質上、ドリップ等が滲み出やすく、これが浸透すると製品外観を損ねたり、腐敗の原因になったりする。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、包装をしたときの余剰部分においてフィルムの内表面同士が適切に密着し、内容物の液体成分が浸透可能なしわが生じにくい熱収縮性フィルム及びそれを用いた袋を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、最内層に脂肪酸アミド及び/又は脂肪酸エステルを所定量用いることにより、上記課題が解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕
最内層に配される、融点が85〜120℃であるエチレン共重合体を含む層Iと、
塩化ビニリデン共重合体を含む層IIと、を有する、
少なくとも3層以上からなる熱収縮性フィルムであって、
前記層Iが、脂肪酸アミド及び/又は脂肪酸エステルを含み、
前記脂肪酸アミド及び前記脂肪酸エステルの総含有量が、前記層Iの総量に対して、0.4〜3質量%である、
熱収縮性フィルム。
〔2〕
70℃におけるTD方向及びMD方向の熱収縮率が、20〜50%であり、
70℃におけるTD方向及びMD方向の熱収縮応力が、1.0〜3.5N/mm2である、
〔1〕に記載の熱収縮性フィルム。
〔3〕
70℃熱収縮後フィルムのTD方向及びMD方向のループスティフネスが、20〜32N/15mmである、
〔1〕又は〔2〕に記載の熱収縮性フィルム。
〔4〕
生肉、鮮魚、甲殻類の包装用である、
〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の熱収縮性フィルム。
〔5〕
〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の熱収縮性フィルムからなる、
袋。
本発明によれば、包装をしたときの余剰部分においてフィルムの内表面同士が適切に密着し、内容物の液体成分が浸透可能なしわが生じにくい熱収縮性フィルム及びそれを用いた袋を提供することができる。
従来の熱収縮フィルムで生肉を包装した場合の余上部の写真。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、本実施形態において、「MD方向」とは、熱収縮性フィルムを押出成形した際の流れ方向(長尺方向)をいい、「TD方向」とは、熱収縮性フィルムの横方向(幅方向)であって、MD方向と直交する方向をいう。
〔熱収縮性フィルム〕
本実施形態の熱収縮性フィルムは、最内層に配される、融点が85〜120℃であるエチレン共重合体を含む層Iと、塩化ビニリデン共重合体を含む層IIと、を有する、少なくとも3層以上からなる熱収縮性フィルムであって、前記層Iが、脂肪酸アミド及び/又は脂肪酸エステルを含み、前記脂肪酸アミド及び前記脂肪酸エステルの総含有量が、前記層Iの総量に対して、0.4〜3質量%である。なお、本実施形態において、「熱収縮性」とは、熱によりフィルムが収縮する性質をいう。熱収縮性は延伸しやすい層により付与される。熱収縮性を有するフィルムで真空包装された製品に対して、温水シャワー、熱風、温水層等により熱をかけることにより、フィルムが内容物に密着して収縮し、内容物が包装される。
従来の熱収縮性フィルムは、包装時の余剰部分において、しわが生じやすいという問題を有していた。特に、肉類、加工肉類、水産品、水産加工品等の様々な形状を有する内容物を包装した時には、その余剰部分も様々な形態をとるため、しわの発生による問題が生じやすい。また、この問題に起因して、液体成分が滲みやすい内容物の場合は、しわの発生した部分に液体成分が滲みだすことにより、製品外観が損なわれ、腐敗の原因となる等の特有の問題も生じ得る。
このようなしわが生じる原因としては、熱収縮温度と密着が生じる温度が近く、熱収縮と内表面の密着が同時に起こるためと考えられる。もともと、包装用の熱収縮フィルムにおいては、熱をかけることにより収縮し内容物に密着することと、フィルムの内表面が互いに密着することにより内容物が包装されることが求められるため、熱収縮温度と内表面の密着は同時に起こることが求められる。この過程では、まずフィルムの熱収縮が進行し、収縮することで互いに近づいた内表面同士が至る所で密着し固定され、その上でさらに熱収縮と溶着が進行していくと想定される。ここで、同じ面積の内表面同士が互いに密着し熱収縮をすれば、基本的にはしわは生じにくいと考えられるが、同じ面積の内表面同士が偶然に密着するということは通常の包装において想定し難い。通常は、熱収縮の過程で内表面同士の固定(密着)が至る所で起こると、熱収縮フィルムの内表面同士が固定された箇所と、固定された箇所以外の領域で熱収縮フィルムが比較的余っている箇所や、比較的足りない箇所が各所で生じることとなる。そして、そのまま収縮や密着が進行すると、最終的には、熱収縮フィルムが比較的余っていた箇所にしわが生じる結果となる。
上記問題を解決する観点から、熱収縮温度と内表面の密着を同時に行わないようにするため、例えば、先に熱収縮だけを行い、後により高い温度で内表面の密着を進行させる(より高い温度で密着する最内層を使用する)ことも考えられるが、このような方法では、包装工程が複雑化・多段階化する上、内容物に過度又は多段階の熱履歴をかける結果となり、内容物の生鮮性等の観点から妥当しない。
これに対して、本実施形態の熱収縮性フィルムは、融点が85〜120℃であるエチレン共重合体と脂肪酸アミド及び/又は脂肪酸エステルとを所定量含む層Iを最内層とすることにより、熱収縮と最内層の密着を同一温度で行うこととしつつも、最内層の溶着性の発現を遅延させることで、熱収縮を相対的に先に進行させ、その後に最内層の密着が進行するようにすることで、しわの発生を抑制することができる。また、最内層同士の溶着強度が高くなりすぎることを抑制することも可能となる。溶着強度を低くすることにより、包装後の熱収縮性フィルム(以下、「包装体」ともいう。)が落下等の衝撃により破袋することを抑制することができる。これは、包装体のうち溶着強度の高い部分は特に固くなり、衝撃による応力集中により破袋が生じやすいことに起因する。以下、詳細な構成について説明する。
〔構成〕
本実施形態の熱収縮性フィルムの有する3層以上の構成としては、最内層と、1層以上の中間層と、最外層とを有するものが挙げられる。ここで、最内層とは熱収縮性フィルムを袋状に加工した場合に内側表面となる層であり、最外層とは熱収縮性フィルムを袋状に加工した場合に外側表面となる層である。また、中間層とは最内層と最外層との間に挟まれる層である。
本実施形態において、最内層は、融点が85〜120℃であるエチレン共重合体を含む層Iであり、塩化ビニリデン共重合体を含む層IIは中間層又は最外層に配され得る。層I及びII以外の層としては、2つの層を接着させる目的で中間層に配される層III、主に熱収縮性フィルムの強度やバリア性の観点から中間層又は最外層に配される層IVが挙げられる。本実施形態の熱収縮性フィルムの有する層構成としては、以下のものが挙げられる。
このなかでも、余剰部分において不密着部分やしわの発生を抑制できるという観点のほか、熱収縮性、バリア性、透明性、ヒートシール性、及び重ねシール性の全体的なバランスの観点から、パターン1〜4が好ましく、パターン4がより好ましい。以下、各層I〜IVについて詳説する。
〔層I〕
層Iは、融点が85〜120℃であるエチレン共重合体と、脂肪酸アミド及び/又は脂肪酸エステルと、を含む。脂肪酸アミド及び脂肪酸エステルが最内層表面に存在することにより、熱収縮フィルムの内表面同士(最内層を構成するエチレン共重合体同士)が接触したとしても、直ぐに密着しにくくなり、最内層の溶着性の発現に少し時間を要するよう調整することができる。そのため、熱収縮を先に進行させることが可能となり、余剰部分においても無用な空隙が発生することが抑制され、結果として、しわの発生が抑制される。また、最終的に得られる包装体において最内層同士の溶着強度が高くなりすぎることも抑制することが可能となり、包装体が落下等の衝撃により破袋することを抑制することもできる。なお、本実施形態においては、層Iには脂肪酸アミド及び脂肪酸エステルは少なくとも一方が含まれればよいが、しわ抑制の観点からは脂肪酸アミド及び脂肪酸エステルの両方を含むことが好ましい。
エチレン共重合体としては、特に制限されないが、例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体が挙げられる。このなかでも、エチレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。このようなエチレン共重合体を用いることにより、余剰部分における内部密着が促進され、しわの発生が抑制されるほか、熱収縮性、ヒートシール性もより向上する傾向にある。エチレン共重合体は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
α−オレフィンとしては、特に制限されないが、例えば、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンが挙げられる。α−オレフィンは1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、不飽和カルボン酸としては、特に制限されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。不飽和カルボン酸は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。さらに、不飽和カルボン酸エステルとしては、特に制限されないが、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルが挙げられる。不飽和カルボン酸エステルは1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
エチレン共重合体の融点は、85〜120℃であり、好ましくは90〜115℃であり、より好ましくは90〜110℃であり、さらに好ましくは95〜105℃である。エチレン共重合体の融点が85℃以上であることにより、しわの発生がより抑制される。また、エチレン共重合体の融点が120℃以下であることにより、溶着性がより向上し、余剰部分の密着不良を抑制できるほか、ヒートシール性もより向上する。なお、融点は、コモノマーの種類及び共重合割合を調整することにより制御することができる。また、融点は、JIS K 7121の融解温度の測定に従って示差走査式熱量計(DSC)を用いて測定することができる。なお、融解ピークが2以上ある場合には、低い方の温度を本実施形態の融点として採用する。
エチレン共重合体の含有量は、層Iの総量に対して、好ましくは97〜99.6質量%であり、より好ましくは97〜99質量%であり、さらに好ましくは97〜98.5質量%である。エチレン共重合体の含有量が上記範囲内であることにより、余剰部分における内部密着が促進され、しわの発生が抑制されるほか、熱収縮性、ヒートシール性もより向上する傾向にある。
脂肪酸アミドは、脂肪酸のカルボキシル基がアミド基(−CONH)となった化合物である。脂肪酸としては、特に制限されないが、例えば、飽和脂肪族基又は不飽和脂肪族基を有するものが挙げられ、このなかでも飽和脂肪族基を有するものが好ましい。また、脂肪族基の炭素数は、好ましくは炭素数16〜24であり、より好ましくは18〜22である。
このような脂肪酸アミドとしては、具体的には、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミド、ベヘイン酸アミドが挙げられる。このような脂肪酸アミドを用いることにより、しわの発生がより抑制されるほか、ヒートシール性もより向上する傾向にある。
また、脂肪酸アミドの融点は、用いるエチレン共重合体の融点よりも高いものが好ましく、具体的には、好ましくは90〜120℃であり、より好ましくは95〜115℃であり、さらに好ましくは100〜110℃である。脂肪酸アミドの融点が高いことにより、脂肪酸アミドが最内層表面にロウ状のまま存在しやすくなり、最内層の溶着性の発現を遅延させやすい傾向にある。また、脂肪酸アミドの融点が120℃以下であることにより、最内層内に含まれる脂肪酸アミドが最内層表面にブリードしやすく、最内層の溶着性の発現を遅延させやすい傾向にある。そのため、脂肪酸アミドの融点が上記範囲内であることにより、しわの発生をより抑制しやすい傾向にある。また、これに加えて、得られる包装体の溶着強度が少し低下するため、包装体の耐衝撃性がより向上する傾向にある。
脂肪酸アミドの含有量は、層Iの総量に対して、好ましくは0.3〜2.5質量%であり、より好ましくは0.4〜2質量%であり、さらに好ましくは0.5〜1.5質量%である。脂肪酸アミドの含有量が0.3質量%以上であることにより、しわの発生がより抑制される傾向にある。また、脂肪酸アミドの含有量が2.5質量%以下であることにより、溶着性がより向上し、余剰部分の密着不良を抑制できるほか、ヒートシール性もより向上する傾向にある。
脂肪酸エステルは、多価アルコールのヒドロキシル基の1つ又は2つに対して脂肪酸がエステル結合した化合物である。脂肪酸としては、特に制限されないが、例えば、飽和脂肪族基又は不飽和脂肪族基を有するものが挙げられ、このなかでも飽和脂肪族基を有するものが好ましい。多価アルコールに対する脂肪酸の結合数は1〜2であり、好ましくは1である。また、脂肪族基の炭素数は、好ましくは炭素数16〜24であり、より好ましくは18〜22である。
多価アルコールとしては、特に制限されないが、例えば、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビタン、プロピレングリコール、ショ糖が挙げられる。このなかでも、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビタンが好ましく、グリセリン及びソルビタンがさらに好ましい。
このような脂肪酸エステルとしては、具体的には、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンジベヘネート、グリセリンモノラウレート、グリセリンジラウレート等のグリセリン脂肪酸エステル;ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンジステアレート、ジグリセリンモノベヘネート、ジグリセリンジベヘネート、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンジラウレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル;ソルビタンステアレート、ソルビタンベヘネート、ソルビタンラウレート等のソルビタン脂肪酸エステル;ショ糖ステアレート、ショ糖ベヘネート、ショ糖ラウレート等のショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。
また、脂肪酸エステルの融点は、用いるエチレン共重合体の融点よりも低いものが好ましく、好ましくは55〜110℃であり、より好ましくは60〜100℃であり、さらに好ましくは65〜90℃である。脂肪酸エステルの融点が低いほど、最内層内に含まれる脂肪酸エステルが最内層表面にブリードしやすく、最内層の溶着性の発現を遅延させやすい傾向にある。また、脂肪酸エステルの融点が55℃以上であることにより、脂肪酸エステルが最内層表面にロウ状のまま存在しやすくなり、最内層の溶着性の発現を遅延させやすい傾向にある。そのため、脂肪酸エステルの融点が上記範囲内であることにより、しわの発生をより抑制しやすい傾向にある。また、これに加えて、得られる包装体の溶着強度が少し低下するため、包装体の耐衝撃性がより向上する傾向にある。さらに、脂肪酸エステルは、上記に加え帯電防止効果を有するため、例えば、溶着していなくとも静電気によって内表面同士がくっつくことを抑制することができ、しわの発生をより抑制しやすい傾向にある。
なお、脂肪酸アミドの融点が比較的高いものが好ましく、脂肪酸エステルの融点が比較的低いものが好ましいとするのは、ブリードのしやすさの相違によるものである。
脂肪酸エステルは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。このなかでも、本実施形態においては、少なくとも2種の脂肪酸エステルを併用することが好ましい。2種の脂肪酸エステルを併用する場合において、その組み合わせとしては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より少なくとも2種の化合物を選択してもよいし、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、又はショ糖脂肪酸エステルの同一カテゴリーの中から少なくとも2種の化合物を選択してもよい。このなかでも、化合物間の親和性の観点から、同一カテゴリーの中から少なくとも2種の化合物を選択することが好ましく、グリセリン脂肪酸エステルから少なくとも2種の化合物を選択することが好ましい。脂肪酸エステルを少なくとも2種以上用いることにより、最内層の溶着が遅延しやすく、帯電防止性が良好となり、しわの抑制効果がより向上する傾向にある。
グリセリン脂肪酸エステルから少なくとも2種の化合物を選択する場合としては、例えば、脂肪族基の異なる化合物の組み合わせ、グリセリンに対する脂肪酸の結合数の異なる化合物の組み合わせ、これら両方が異なる化合物の組み合わせが挙げられる。より具体的には、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンジベヘネート、グリセリンモノラウレート、及びグリセリンジラウレートからなる群より選ばれる少なくとも2種以上が好ましく、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノベヘネート、及びグリセリンモノラウレートからなる群より選ばれる少なくとも2種以上がより好ましく、グリセリンモノステアレートと、その他のグリセリン脂肪酸エステルとの組み合わせがより好ましい。このような組み合わせとすることにより、最内層の溶着が遅延しやすく、帯電防止性が良好となり、しわの抑制効果がより向上する傾向にある。
また、脂肪酸エステルを少なくとも2種以上用いる場合には、低融点脂肪酸エステルと高融点脂肪酸エステルを併用することが好ましい。低融点脂肪酸エステルの融点は、好ましくは55〜75℃であり、より好ましくは55〜72℃であり、さらに好ましくは60〜70℃である。また、高融点脂肪酸エステルの融点は、好ましくは77〜110℃であり、より好ましくは77〜100℃であり、さらに好ましくは80〜90℃である。低融点脂肪酸エステルと高融点脂肪酸エステルを併用することにより、最内層の溶着が遅延しやすく、帯電防止性が良好となり、しわの抑制効果がより向上する傾向にある。
脂肪酸エステルの含有量は、層Iの総量に対して、好ましくは0.3〜3質量%であり、より好ましくは0.4〜2.5質量%であり、さらに好ましくは0.75〜2質量%である。脂肪酸エステルの含有量が0.3質量%以上であることにより、しわの発生がより抑制される傾向にある。また、脂肪酸エステルの含有量が3質量%以下であることにより、溶着性がより向上し、余剰部分の密着不良を抑制できるほか、ヒートシール性もより向上する傾向にある。
なお、低融点脂肪酸エステルと高融点脂肪酸エステルを併用する場合においては、低融点脂肪酸エステルの含有量は、層Iの総量に対して、好ましくは0.2〜1質量%であり、より好ましくは0.3〜0.9質量%であり、さらに好ましくは0.4〜0.7質量%である。また、高融点脂肪酸エステルの含有量は、層Iの総量に対して、好ましくは0.2〜1質量%であり、より好ましくは0.3〜0.9質量%であり、さらに好ましくは0.4〜0.7質量%である。
脂肪酸アミド及び脂肪酸エステルの総含有量は、層Iの総量に対して、0.4〜3質量%であり、好ましくは0.7〜3質量%であり、より好ましくは1〜3質量%である。脂肪酸アミド及び脂肪酸エステルの総含有量が0.4質量%以上であることにより、しわの発生がより抑制される。また、脂肪酸アミド及び脂肪酸エステルの総含有量が3質量%以下であることにより、溶着性がより向上し、余剰部分の密着不良を抑制できるほか、ヒートシール性もより向上する。
層Iは、必要に応じて、公知の可塑剤、熱安定剤、着色剤、滑剤、界面活性剤、酸化防止剤、帯電防止剤、ミネラルオイル、加工助剤、アンチブロッキング剤等その他の添加剤を含んでいてもよい。
層Iの厚みは、好ましくは4〜40μmであり、より好ましくは6〜35μmであり、さらに好ましくは8〜30μmである。また、層Iの厚み比率は、熱収縮性フィルムの総厚みに対して、好ましくは5〜60%であり、より好ましくは10〜25%である。層Iの厚みが上記範囲内であることにより、しわの発生がより抑制され、余剰部分の密着不良を抑制でき、ヒートシール性もより向上するほか、透明性、熱収縮性がより向上する傾向にある。
〔層II〕
層IIは、塩化ビニリデン共重合体を含む。このような層IIを有することにより、バリア性、特に酸素バリア性がより向上する。これにより、内容物の酸化劣化が抑制される傾向にある。塩化ビニリデン共重合体としては、塩化ビニリデンと塩化ビニリデンと共重合可能なモノマー(以下、「コモノマー」ともいう。)との共重合体であれば特に制限されない。塩化ビニリデンと共重合可能なモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、塩化ビニル;アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、メチルアクリロニトリル等のアクリロニトリル;酢酸ビニル等が挙げられる。このなかでも、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルが好ましく、塩化ビニル、メタクリル酸エステルがより好ましい。
塩化ビニリデン共重合体における塩化ビニリデンの含有量は、塩化ビニリデン共重合体の総量に対して、好ましくは75〜98質量%であり、より好ましくは77〜95質量%未満であり、さらに好ましくは80〜85質量%である。塩化ビニリデンの含有量が75質量%以上であることにより、バリア性及び透明性がより向上する傾向にある。また、余剰部分に少量のドリップが浸透したとしても、ドリップが酸素等の影響により変色すること等が抑制され、製品外観がより向上する傾向にある。
塩化ビニルをコモノマーとする場合、塩化ビニルの含有量は、塩化ビニリデン共重合体の総量に対して、好ましくは10〜25質量%であり、より好ましくは12〜22質量%であり、さらに好ましくは15〜19質量%である。塩化ビニルの含有量が10質量%以上であることにより、押出時の溶融特性がより向上する傾向にある。また、塩化ビニリデン共重合体のコモノマー含有量が25質量%以下であることにより、バリア性及び透明性がより向上する傾向にある。また、余剰部分に少量のドリップが浸透したとしても、ドリップが酸素等の影響により変色すること等が抑制され、製品外観がより向上する傾向にある。
アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルをコモノマーとする場合、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの含有量は、塩化ビニリデン共重合体の総量に対して、好ましくは1〜15質量%であり、より好ましくは2〜12質量%であり、さらに好ましくは5〜9質量%である。アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの含有量が1質量%以上であることにより、押出時の溶融特性がより向上する傾向にある。また、塩化ビニリデン共重合体のコモノマー含有量が15質量%以下であることにより、バリア性及び透明性がより向上する傾向にある。また、余剰部分に少量のドリップが浸透したとしても、ドリップが酸素等の影響により変色すること等が抑制され、製品外観がより向上する傾向にある。
塩化ビニリデン共重合体の含有量は、層IIの総量に対して、好ましくは97〜100質量%であり、より好ましくは98〜100質量%であり、さらに好ましくは99〜100質量%である。塩化ビニリデン共重合体の含有量が上記範囲内であることにより、バリア性が向上するほか、透明性、熱収縮性もより向上する傾向にある。
層IIは、必要に応じて、公知の可塑剤、熱安定剤、着色剤、滑剤、界面活性剤、酸化防止剤、帯電防止剤、ミネラルオイル、加工助剤、アンチブロッキング剤等その他の添加剤を含んでいてもよい。
層IIの厚みは、好ましくは2〜30μmであり、より好ましくは3〜28μmであり、さらに好ましくは4〜25μmである。また、層IIの厚み比率は、熱収縮性フィルムの総厚みに対して、好ましくは5〜30%であり、より好ましくは6〜20%である。層IIの厚み及び厚み比率が上記範囲内であることにより、バリア性が向上するほか、しわの発生がより抑制され、透明性、熱収縮性もより向上する傾向にある。
〔層III〕
層IIIは、2つの層を接着させる目的で中間層に配される層である。層IIIに含まれる樹脂としては、特に制限されないが、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、アイオノマー、酸変性ポリオレフィンが挙げられる。このなかでも、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。このような樹脂を用いることにより、層IIIに接する層の接着強度(層間接着強度)、延伸性、熱収縮性がより向上する傾向にある。また、後述する電子線照射処理をする場合には、架橋特性にも優れる傾向にある。
エチレン−酢酸ビニル共重合体の共重合比率は、好ましくは10〜27質量%であり、より好ましくは12〜25質量%であり、さらに好ましくは14〜23質量%である。このような共重合体を用いることにより、層IIIに接する層の接着強度(層間接着強度)、熱収縮性がより向上する傾向にある。
上記共重合体の含有量は、層IIIの総量に対して、好ましくは97〜100質量%であり、より好ましくは98〜100質量%であり、さらに好ましくは99〜100質量%である。共重合体の含有量が上記範囲内であることにより、接着強度(層間接着強度)、熱収縮性がより向上する傾向にある。
層IIIは、必要に応じて、公知の可塑剤、熱安定剤、着色剤、滑剤、界面活性剤、酸化防止剤、帯電防止剤、ミネラルオイル、加工助剤、アンチブロッキング剤等その他の添加剤を含んでいてもよい。
層IIIの厚みは、好ましくは5〜40μmであり、より好ましくは7〜35μmであり、さらに好ましくは9〜30μmである。また、層IIIの厚み比率は、熱収縮性フィルムの総厚みに対して、好ましくは5〜40%であり、より好ましくは10〜30%である。層IIIの厚み及び厚み比率が上記範囲内であることにより、接着強度(層間接着強度)、熱収縮性、及び透明性がより向上する傾向にある。
〔層IV〕
層IVは、主に熱収縮性フィルムの強度やバリア性等の観点から中間層又は最外層に配される層である。層IVに含まれる樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ポリアミド系樹脂、エステル共重合体、ポリ乳酸が挙げられる。このなかでも、ポリアミド系樹脂が好ましい。このような樹脂を用いることにより、耐熱性、透明性、熱収縮性がより向上する傾向にある。また、層IVが最外層を構成する場合には、重ねシール性もより向上する傾向にある。
ポリアミド系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド同士の共重合体、芳香族ポリアミド同士の共重合体、及び脂肪族ポリアミドと芳香族ポリアミドの共重合体が挙げられる。脂肪族ポリアミド、脂肪族ポリアミド同士の共重合体が好ましく、脂肪族ポリアミド同士の共重合体がより好ましい。このようなポリアミド系樹脂を用いることにより、熱収縮性に優れ、かつ、熱収縮性フィルムの強度がより向上する傾向にある。
脂肪族ポリアミドとしては、特に限定されないが、例えば、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリウンデカラクタム(ナイロン11)ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリテトラメチレンセバカミド(ナイロン410)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン106)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ナイロン1012)等が挙げられる。
また、芳香族ポリアミドとしては、特に制限されないが、例えば、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリパラキシリレンアジパミド(ナイロンPXD6)、ポリテトラメチレンテレフタルアミド(ナイロン4T)、ポリペンタメチレンテレフタルアミド(ナイロン5T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミド(ナイロンM−5T)、ポリヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ナイロン6T(H))、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン10T)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン11T)、ポリドデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン12T)、ポリビス(3−メチル−4−アミノヘキシル)メタンテレフタルアミド(ナイロンPACMT)、ポリビス(3−メチル−4−アミノヘキシル)メタンイソフタルアミド(ナイロンPACMI)等が挙げられる。
エステル共重合体としては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
層IVは、必要に応じて、公知の可塑剤、熱安定剤、着色剤、滑剤、界面活性剤、酸化防止剤、帯電防止剤、ミネラルオイル、加工助剤、アンチブロッキング剤等その他の添加剤を含んでいてもよい。
上記樹脂の含有量は、層IVの総量に対して、好ましくは97〜100質量%であり、より好ましくは98〜100質量%であり、さらに好ましくは99〜100質量%である。樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、耐熱性、透明性、熱収縮性、重ねシール性がより向上する傾向にある。
層IVの厚みは、好ましくは0.1〜5.5μmであり、より好ましくは0.1〜5.0μmであり、さらに好ましくは0.1〜4.5μmである。また、層IVの厚み比率は、熱収縮性フィルムの総厚みに対して、好ましくは0.5〜20%であり、より好ましくは1〜15%であり、さらに好ましくは1〜5%である。層IVの厚みが上記範囲内であることにより、耐熱性、透明性、熱収縮性、重ねシール性がより向上する傾向にある。
〔厚み〕
熱収縮性フィルムの総厚みは、好ましくは20〜150μmであり、より好ましくは25〜80μmであり、さらに好ましくは35〜70μmである。熱収縮性フィルムの総厚みが上記範囲内であることにより、透明性、しわの発生抑制、バリア性、機械的強度、生産性がより向上する傾向にある。
〔熱収縮率〕
本実施形態の熱収縮性フィルムは、一定の熱収縮性としわの発生抑制性とを併せ持つ観点から所定の熱収縮率を有することが好ましい。MD方向の70℃における熱収縮率は、好ましくは20〜50%であり、より好ましくは22〜48%であり、さらに好ましくは24〜45%である。また、TD方向の70℃における熱収縮率は、好ましくは20〜50%であり、より好ましくは22〜48%であり、さらに好ましくは24〜45%である。さらに、TD方向及びMD方向の70℃における熱収縮率の平均値は、好ましくは20〜50%であり、より好ましくは22〜48%であり、さらに好ましくは24〜45%である。各熱収縮率の下限値が上記以上であることにより、内容物がタイトに美麗に包装される傾向にある。また、各熱収縮率の上限値が上記以下であることにより、余剰部分におけるしわの発生が抑制される傾向にある。なお、熱収縮率を調整するには、延伸温度、TD方向及びMD方向の延伸倍率及び各層の厚みを適宜調整すればよい。なお、熱収縮率は、ASTM D−2732に準じて測定することができる。
なお、70℃におけるTD方向及びMD方向の熱収縮率の差は、好ましくは0〜20%であり、より好ましくは、0〜15%であり、さらに好ましくは0〜10%であり、特に好ましくは0〜7%である。TD方向及びMD方向の方向がそろった熱収縮性フィルムの内表面同士が溶着するとは限らないため、面内の収縮率差が大きいほどしわも発生しやすくなる。そのため、熱収縮率の差が上記範囲内であることにより、しわの発生が抑制される傾向にある。
一方で、70℃におけるTD方向及びMD方向の熱収縮率の合計は、好ましくは40〜90%であり、より好ましくは40〜80%であり、さらに好ましくは40〜70%であり、特に好ましくは40〜64%である。TD方向及びMD方向の熱収縮率の合計が40%以上であることにより、内容物がタイトに美麗に包装される傾向にある。また、TD方向及びMD方向の熱収縮率の合計が90%以下であることにより、余剰部分におけるしわの発生が抑制される傾向にある。
〔熱収縮応力〕
本実施形態の熱収縮性フィルムは、一定の熱収縮性としわの発生抑制性とを併せ持つ観点から所定の熱収縮応力を有することが好ましい。MD方向の70℃における熱収縮応力は、好ましくは1.0〜3.5N/mm2であり、より好ましくは1.2〜3.0N/mm2であり、さらに好ましくは1.3〜2.5N/mm2である。また、TD方向の70℃における熱収縮応力は、好ましくは1.0〜3.5N/mm2であり、より好ましくは1.5〜3.0N/mm2であり、さらに好ましくは1.8〜2.5N/mm2である。さらに、TD方向及びMD方向の70℃における熱収縮応力の平均値は、好ましくは1.0〜3.5N/mm2であり、より好ましくは1.5〜3.0N/mm2であり、さらに好ましくは1.8〜2.5N/mm2である。各熱収縮応力の下限値が上記以上であることにより、内容物がタイトに美麗に包装される傾向にある。また、各熱収縮応力の上限値が上記以下であることにより、余剰部分におけるしわの発生が抑制される傾向にある。なお、熱収縮応力を調整するには、延伸温度、TD方向及びMD方向の延伸倍率及び各層の厚みを適宜調整すればよい。なお、熱収縮応力は、ASTM D−2838に準じて測定することができる。
なお、70℃におけるTD方向及びMD方向の熱収縮応力の差は、好ましくは0〜2.0N/mm2であり、より好ましくは0〜1.5N/mm2であり、さらに好ましくは0〜1.0N/mm2である。内部密着はTD方向及びMD方向の方向がそろった熱収縮性フィルムの内表面同士が溶着するとは限らないため、面内の熱収縮応力差が大きいほどしわも発生しやすくなる。そのため、熱収縮応力の差が上記範囲内であることにより、しわの発生が抑制される傾向にある。
〔ループスティフネス(曲げ剛性)〕
本実施形態の熱収縮性フィルムは、しわの発生抑制性の観点から所定のループスティフネスを有することが好ましい。ループスティフネスとは、テープ状試験片の反発係数及び反発力を評価する指標であり、本実施形態においては、熱収縮フィルムが収縮して溶着する過程におけるしわの発生のしやすさに関する。ループスティフネスは、東洋精機(株)製、「ループスティフネステスタ」を用い、フィルム幅15mm、ループ周長50mmとなるフィルムを用意し、そのループ状の試験片に圧子で押圧してループが変形していくときに圧子にかかる荷重から測定することができ、本実施形態においては押し込み量10mmでのループスティフネス値を測定する。また、70℃熱収縮後のループスティフネスについては、70℃の温水に4秒浸漬させて収縮した後の熱収縮性フィルムからサンプルを切り出して測定する。
70℃熱収縮前のMD方向の熱収縮性フィルムのループスティフネスは、好ましくは5〜7.5N/15mmであり、より好ましくは5.5〜7.0N/15mmであり、さらに好ましくは5.8〜6.7N/15mmである。70℃熱収縮前のTD方向の熱収縮性フィルムのループスティフネスは、好ましくは5〜7.5N/15mmであり、より好ましくは5.5〜7.0N/15mmであり、さらに好ましくは5.8〜6.7N/15mmである。さらに、TD方向及びMD方向の70℃熱収縮前のループスティフネスの平均値は、好ましくは5〜7.5N/15mmであり、より好ましくは5.5〜7.0N/15mmであり、さらに好ましくは5.8〜6.7N/15mmである。各ループスティフネスの下限値が上記以上であることにより、内容物がタイトに美麗に包装される傾向にある。また、各ループスティフネスの上限値が上記以下であることにより、しわの発生抑制効果がより向上する傾向にある。なお、70℃熱収縮前のループスティフネスを調整するには、延伸温度、TD方向及びMD方向の延伸倍率及び各層の厚みを適宜調整すればよい。
70℃熱収縮後のMD方向の熱収縮性フィルムのループスティフネスは、好ましくは20〜32N/15mmであり、より好ましくは22〜30N/15mmであり、さらに好ましくは23〜28N/15mmである。70℃熱収縮後のTD方向の熱収縮性フィルムのループスティフネスは、好ましくは20〜32N/15mmであり、より好ましくは22〜30N/15mmであり、さらに好ましくは23〜28N/15mmである。さらに、TD方向及びMD方向の70℃熱収縮後のループスティフネスの平均値は、好ましくは20〜32N/15mmであり、より好ましくは22〜30N/15mmであり、さらに好ましくは23〜28N/15mmである。各ループスティフネスの下限値が上記以上であることにより、内容物がタイトに美麗に包装される傾向にある。また、各ループスティフネスの上限値が上記以下であることにより、しわの発生がより抑制される傾向にある。なお、70℃熱収縮後のループスティフネスを調整するには、延伸温度、TD方向及びMD方向の延伸倍率及び各層の厚みを適宜調整すればよい。
70℃熱収縮前後のMD方向の熱収縮性フィルムのループスティフネスの変化率は、好ましくは3〜5倍であり、より好ましくは3.5〜4.7倍であり、さらに好ましくは3.7〜4.7倍である。また、70℃熱収縮前後のTD方向の熱収縮性フィルムのループスティフネスの変化率は、好ましくは3〜5倍であり、より好ましくは3.5〜4.7倍であり、さらに好ましくは3.7〜4.7倍である。さらに、TD方向及びMD方向の70℃熱収縮前後のループスティフネスの変化率は、好ましくは3〜5倍であり、より好ましくは3.5〜4.7倍であり、さらに好ましくは3.7〜4.7倍である。各ループスティフネスの変化率の下限値が上記以上であることにより、内容物がタイトに美麗に包装される傾向にある。また、各ループスティフネスの変化率の上限値が上記以下であることにより、しわの発生がより抑制される傾向にある。なお、ループスティフネスの変化率を調整するには、延伸温度、TD方向及びMD方向の延伸倍率及び各層の厚みを適宜調整すればよい。
〔熱収縮性フィルムの製造方法〕
熱収縮性フィルムの製造方法としては、各層が積層された未延伸積層チューブ又は未延伸積層フィルムを得る押出工程と、未延伸積層チューブ又は未延伸積層フィルムをMD方向及びTD方向に延伸して延伸積層チューブ又は延伸積層フィルムを得る延伸工程とを有する方法であれば特に制限されないが、例えば、シングルバブルインフレーション法、ダブルバブルインフレーション法、トリプルバブルインフレーション法、テンター法が挙げられる。このなかでも、得られるフィルムの諸物性のバランスからダブルバブルインフレーション法、トリプルバブルインフレーション法が好ましい。
〔押出工程〕
押出工程は、各層が積層された未延伸積層チューブ又は未延伸積層フィルムを得る工程である。具体的には、目的とする熱収縮性フィルムの層数に対応した台数の押出機を用意し、各押出機に各層を構成する樹脂及び添加剤を投入して、各層を同時に押出し、マルチダイを介して連続押出成形して未延伸積層フィルムを得る。この際、バブルインフレーション法等の場合には、環状ダイを用いて未延伸積層チューブを押出し、テンター法等の場合には、T型ダイを用いて未延伸積層フィルムを押出す。ここで、各層の押出量を調整することで、目的とする熱収縮性フィルムの層の厚み比率を調整することができる。なお、各押出機は投入された樹脂を溶融温度以上に加熱するために、複数の温度調節ブロックを有していてもよい。
脂肪酸アミド及び脂肪酸エステルの添加方法については、特に制限されないが、例えば、最内層の原料準備の際に脂肪酸アミド及び/又は脂肪酸エステルを含んだマスターバッチを樹脂にブレンドし溶融押出する方法;最内層の原料とともにホッパー部に脂肪酸アミド及び/又は脂肪酸エステルを紛体添加する方法;サイドフィーダー等で脂肪酸アミド及び/又は脂肪酸エステルを紛体添加する方法;押出機シリンダの途中で直接液体添加する方法が挙げられる。
次いで、マルチダイから押出された未延伸積層チューブ又は未延伸積層フィルムは、水等を用いて冷却される。冷却方法としては、水冷槽や水冷リングを用いて外部から冷却する方法や、未延伸積層チューブの場合はソック液により内部から冷却する方法が挙げられる。
続く延伸工程の前に、未延伸積層チューブ又は未延伸積層フィルムは延伸に適した温度まで予熱されることが好ましい。予熱温度は、好ましくは50℃〜100℃であり、より好ましくは55〜100℃であり、さらに好ましくは60〜95℃である。
〔延伸工程〕
延伸工程は、未延伸積層チューブ又は未延伸積層フィルムをMD方向及びTD方向に延伸して延伸積層チューブ又は延伸積層フィルムを得る工程である。ここで、未延伸積層チューブを用いる場合におけるTD方向への延伸は、バブルインフレーション法等により、未延伸積層チューブ内に注入された空気の内圧により行い、MD方向への延伸は、TD方向延伸部の上流に設けられた未延伸積層チューブを送り出すロールと下流に設けられた延伸積層チューブを巻き取るロールの速度比を調整することにより行うことができる。また、未延伸積層フィルムを用いる場合におけるTD方向への延伸は、テンター法等により、ピンチクリップを用いて未延伸積層フィルムの幅方向に張力をかけることにより行い、MD方向への延伸は、TD方向延伸部の上流に設けられた未延伸積層チューブを送り出すロールと下流に設けられた延伸積層チューブを巻き取るロールの速度比を調整することにより行うことができる。
延伸倍率は、MD方向及びTD方向ともに、好ましくは2〜6倍であり、より好ましくは2.8〜5倍であり、さらに好ましくは2.5〜4倍である。延伸倍率が上記範囲内であることにより、しわの発生抑制性のほか、内表面同士の溶着性、熱収縮性、収縮後の透明性、生産安定性がより向上する傾向にある。
延伸温度は、好ましくは10〜90℃であり、より好ましくは15〜50℃であり、さらに好ましくは15〜35℃である。延伸温度が上記範囲内であることにより、しわの発生抑制性のほか、内表面同士の溶着性、熱収縮性、収縮後の透明性、生産安定性がより向上する傾向にある。なお、延伸温度は、未延伸積層チューブ又は未延伸積層フィルムを延伸し始めるネック部におけるフィルム表面温度として測定することができる。
延伸工程後、必要に応じて、得られた延伸積層チューブ又は延伸積層フィルムを熱処理する熱固定工程を行ってもよい。熱固定工程を行うことにより、熱収縮性フィルムのカールの発生が抑制され、連続製袋時、スリット時、袋詰め時の使い勝手がより向上する傾向にある。熱固定工程における温度は、好ましくは40〜80℃であり、より好ましくは60〜80℃である。また、熱固定工程の時間は、通常数秒程度である。
〔その他の工程〕
上記のようにして得られた延伸積層チューブ又は延伸積層フィルムを、適宜切断することで熱収縮性フィルムを得ることができる。得られた熱収縮性フィルム又は延伸積層チューブ若しくは延伸積層フィルムに対しては、必要に応じて、コロナ処理やプラズマ処理等の表面処理工程や印刷処理工程を有してもよい。また、澱粉粉末のようなダストをフィルム内面に噴霧し、フィルム内面同士のブロッキングを防止して、袋を開けやすくして内容物を投入しやすいように処理してもよい。
さらに、延伸工程前に未延伸積層チューブ又は未延伸積層フィルムに対して、電離性放射線を照射する工程を有していてもよい。電離性放射線照射工程を有することにより、主に層IIIを構成する樹脂が架橋され、未延伸積層チューブ又は未延伸積層フィルムの延伸性がより向上する傾向にある。なお、電離性放射線照射としては、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等が挙げられる。
〔形態〕
本実施形態の熱収縮性フィルムは袋として使用できる。袋としては、上記熱収縮性フィルムからなるものであれば、特に制限されないが、例えば、一般に底シールバッグと呼ばれるような、2辺シール式の袋とすることができる。より具体的には、主に筒状又はチューブ状の熱収縮性フィルムの一辺を幅方向にシールとカットを行って袋状にし、内容物を入れて、口をシールして製造する。また、一般にサイドシールバッグと呼ばれる袋としても使用できる。該袋はフィルムに溶断シール等を行って製造する。
熱収縮性フィルムを製袋加工した袋の熱をかける部分を重ね、ヒートシールしても、袋が互いに溶着することはない。ブロック肉のような比較的嵩高い内容物の包装も効率良く行える。
〔用途〕
本実施形態の熱収縮性フィルム及び当該熱収縮性フィルムを用いて得られる袋等は、肉類、加工肉類、水産品、水産加工品、機械部品等の包装に公的に用いることができるが、このなかでも生肉、鮮魚、甲殻類の包装用に用いることが好ましい。本実施形態の熱収縮性フィルムで真空包装された包装体は、70〜90℃の熱水槽に数秒間漬け込むことにより、熱収縮をしてタイトで美麗な包装体に仕上がる。例えば、生肉包装では、タイトに緊張包装することによって、包装肉の見栄えが良くなり商品価値が上がる。また、本実施形態の熱収縮性フィルム及びその袋は、余剰部分において肉汁や血の溜まり等の液体成分の浸透が抑制されたものとなり、外観の向上のほかに、内容物の腐敗を抑制する効果も得られる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、特に記載がない限り、測定は温度23℃、相対湿度50%の条件で行った。
〔融点(Tm)〕
JIS−K7121に準じて、下記温度プログラムを用いて、パーキンエルマー社製Diamond DSC(商品名、入力補償DSC:入力補償示差走査式熱量計)により測定した。
(温度プログラム)
段階1:0℃から200℃まで10℃/分で昇温し、200℃で1分保持
段階2:200℃から0℃まで10℃/分で冷却し、0℃で1分保持
段階3:0℃から200℃まで10℃/分で昇温
※ 段階3(2回目加熱)において測定される融解温度を融点(Tm)とした。なお、複数のピークを有するものについては低温側に生じたピークを融点(Tm)とした。
〔70℃における熱収縮率〕
70℃における熱収縮率の測定方法は、ASTM D−2732に準じて行った。具体的には、150mm角にカットした熱収縮フィルムを用意し、該フィルムのMD方向、TD方向に100mmの線や点の印をつけて、70℃の温水槽に4秒間浸漬して自由熱収縮させた。その後、印の間隔を測定し、次式より熱収縮フィルムの熱収縮率を求めた。
70℃における熱収縮率(%)=((100(mm)−収縮後寸法(mm))/100(mm))×100
〔70℃における熱収縮応力〕
70℃における熱収縮応力の測定方法は、ASTM D−2838に準じて行った。具体的には、熱収縮性フィルムをTD方向に10mm、MD方向に90mm(測定長さ50mm+チャックつかみ長さ40mm)の短冊状にサンプリングし、70℃のバスに3分間浸漬させた場合の最大の熱収縮応力(MPa)をMD方向の熱収縮応力として測定した。また、TD方向に90mm、MD方向に10mmとしたサンプルを用いて同様にTD方向の熱収縮応力を測定した。それぞれ3回の測定を行い、平均値を各方向の熱収縮応力とした。
〔ループスティフネス〕
ループスティフネスは、東洋精機(株)製、「ループスティフネステスタ」を用いて測定した。具体的には、熱収縮性フィルムをTD方向に200mm、MD方向に15mmの短冊状にサンプリングし、ループ周長50mmとなるようにループスティフネステスタにセットした。ついで、ループの上から、圧子の押し込み速度を3.3mm/secとし、圧子の押し込み量が圧子がループと接触した時点から10mmとなるように押し込んで、TD方向のループスティフネス:曲げ剛性(N/15m)を測定した。また、同様に、TD方向に15mm、MD方向に200mmとしたサンプルを用いて同様にMD方向のループスティフネスを測定した。それぞれ3回の測定を行い、平均値を各方向のループスティフネスとした。
また、70℃熱収縮後のループスティフネスについては、70℃の温水に4秒浸漬させて収縮した後の熱収縮性フィルムからサンプルを切り出して、上記と同様にして測定を行った。
〔外観〕
熱収縮性フィルムを用いて幅300×長さ400mmの袋を作製し、その中に赤色に着色をした液体を染み込ませ軽く絞った幅150×長さ200×高さ70mmのシーツ状の布を袋に詰め、80℃のシュリンクバスに通した。その後、袋の余剰部分に生じるしわの状態を、「総余剰部分に対するしわの面積割合」で示し、下記の基準で評価した。なお、上述の液体が浸み込んだシーツ状の布は、生肉とドリップを想定したものであり、比較可能な評価をする観点から生肉に代えて用いたものである。
5: 5%以下
4: 5%超過10%以下
3: 10%超過20%以下
2: 20%超過30%未満
1: 30%以上
〔溶着強度〕
熱収縮性フィルムを切り出して100mm角のサンプルを2枚作製した。サンプルの最内層同士が対向し接するように重ね合わせ、80℃ 0.6MPaで各秒間(シール時間)プレスし、最内層がヒートシールされた溶着サンプルを作製した。得られた溶着サンプルの溶着強度(N/10mm)を300mm/minの引張試験(JIS K 7127)にて測定した。
〔熱収縮後の溶着強度〕
上記外観試験で包装した収縮後の袋を用いて、余剰部分のみを切り取ってサンプルとし、その溶着強度を上記と同様にして測定した。
〔実施例1〕
最内層から、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン共重合体(塩化ビニリデン/塩化ビニル=83.0/17.0(質量%))、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ナイロン−6,66共重合体の順で層を形成するように、共押出多層筒状ダイを装着した溶融押出設備を用いて筒状に連続押出した。その後、水冷リングを用いて水で均一に冷却しながら未延伸積層チューブを得た。なお、最内層を押出す押出機には、樹脂に加え、ベヘイン酸アミド、グリセリンモノステアレート、及びグリセリンモノベヘネートを合わせて添加して、押出を行った。また、押出にあたっては、表2〜5に示す層の厚み比率となるように各層の押出量を調整した。
続いて、未延伸積層チューブを80℃で予熱し、段階的に赤外加熱ヒーターにて加熱しつつ、バブルインフレーション法により延伸を行った。なお、この際の延伸温度は、20℃であった。続いて、所定の延伸倍率までバブルブローアップされたチューブを、空冷リングで冷却しながらデフレーターで折りたたんだ。
折りたたんだフィルムを70℃の加熱ロール2本を通過させて熱固定し、冷却ロールを通過させて冷却し、しわ取りロールでフィルムをフラットにしながら巻き取った。なお、フィルムの延伸倍率については、MD方向の延伸倍率は、延伸部を間に挟むピンチロールと巻取機ロールとの速度比で表現し、TD方向の延伸倍率はフィルム幅をパリソン折幅で割り算した値で表現した。
この熱収縮性フィルムを、製袋機で底シールして袋(袋幅300mm、袋長400mm)を得た。
〔実施例2〜13及び比較例1〜2〕
各層の組成、厚みを表2〜5に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様に熱収縮性フィルムを製造し、袋を作製した。
本発明の熱収縮性フィルムは、生肉、鮮魚、甲殻類等の包装用に用いられるフィルムとして産業上の利用可能性を有する。

Claims (5)

  1. 最内層に配される、融点が85〜120℃であるエチレン共重合体を含む層Iと、
    塩化ビニリデン共重合体を含む層IIと、を有する、
    少なくとも3層以上からなる熱収縮性フィルムであって、
    前記層Iが、脂肪酸アミド及び/又は脂肪酸エステルを含み、
    前記脂肪酸アミド及び前記脂肪酸エステルの総含有量が、前記層Iの総量に対して、0.4〜3質量%である、
    熱収縮性フィルム。
  2. 70℃におけるTD方向及びMD方向の熱収縮率が、20〜50%であり、
    70℃におけるTD方向及びMD方向の熱収縮応力が、1.0〜3.5N/mm2である、
    請求項1に記載の熱収縮性フィルム。
  3. 70℃熱収縮後フィルムのTD方向及びMD方向のループスティフネスが、20〜32N/15mmである、
    請求項1又は2に記載の熱収縮性フィルム。
  4. 生肉、鮮魚、甲殻類の包装用である、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱収縮性フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱収縮性フィルムからなる、
    袋。
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