JP2019171668A - 二軸延伸ポリプロピレン積層シート及び成形体 - Google Patents

二軸延伸ポリプロピレン積層シート及び成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】剛性と透明性に優れ、熱成形可能温度範囲が広い、二軸延伸ポリプロピレン積層シートと、該シートを熱成形した成形体を提供する。【解決手段】主層1と、該主層1の両側にそれぞれ位置する表層2a,2bとを備え、表層2a,2bの融点は165℃以上であり、主層1の融点は表層2a,2bの融点よりも低く、表層2a,2bと主層1との融点差は3℃以上9℃以下であり、シート全厚Tは100μm以上500μm以下であり、シート全厚Tに対する表層2a,2bの片側厚みT2a,T2bの比率は3%以上18%以下であり、シート全厚Tに対する表層2a,2bの合計厚みの比率は6%以上28%以下であり、ヘーズは2.5%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、プロピレン系樹脂積層体を二軸延伸してなるシート、及び該シートを熱成形してなる成形体に関する。
真空圧空成形等の方法でシートを熱成形した包装用容器は、種々の食品を収容するために用いられている。このシートには、剛性や透明性、熱成形性等の観点から二軸延伸ポリスチレンシートやアモルファスポリエチレンテレフタレートシートが用いられている他、近年では、ポリプロピレンシートの使用も検討されている。
一般的にポリプロピレンは、ポリスチレンやポリエチレンテレフタレートに比して透明性や剛性に劣る。しかしながら、延伸加工によって透明性と剛性が向上するため、熱成形用のシートに二軸延伸ポリプロピレンシートを用いることは有効な手段である。
延伸、未延伸によらず、結晶性のポリプロピレンシートは、非晶性の二軸延伸ポリスチレンシートやアモルファスポリエチレンテレフタレートシートに比して、熱成形可能な加工温度範囲が狭い。結晶性のポリプロピレンシートの熱成形可能温度は、ポリプロピレンの融点近傍の限られた狭い範囲にあるので、少しの加熱不足で型再現不足が生じたり、少しでも加熱過剰になると急激な伸長粘度の低下による破れやシート表面の焦げが発生する。特に真空圧空成形等の大量生産向けの生産方法においては、シートをムラなく均一に加熱することにはある程度限界があるため、ポリプロピレンシート自体の熱成形可能温度範囲を広げることは、安定的な生産性を確保するためには解決すべき課題である。
下記特許文献1には、メタロセン触媒により製造されたプロピレン系樹脂からなる熱成形用の二軸延伸ポリプロピレンシートが記載されている。低融点のプロピレン系樹脂を適宜配合することで、透明性が向上すると同時に、シートの熱成形可能温度範囲が広がることが記載されている。しかしながら、エチレン等のα−オレフィンを共重合させたり立体規則性を低下させたりすることで低融点にしたプロピレン系樹脂をシート全体に配合すると、シート及びそのシートから熱成形した熱成形品の剛性が著しく低下する。
特開2006−328300号公報
本発明は、剛性と透明性に優れ、熱成形可能温度範囲が広い、二軸延伸ポリプロピレン積層シートと、該シートを熱成形した成形体を提供することを課題とする。
本発明に係る二軸延伸ポリプロピレン積層シートは、主層と、該主層の両側にそれぞれ位置する表層とを備え、表層の融点は165℃以上であり、主層の融点は表層の融点よりも低く、表層と主層との融点差は3℃以上9℃以下であり、シート全厚は100μm以上500μm以下であり、シート全厚に対する表層の片側厚みの比率は3%以上18%以下であり、シート全厚に対する表層の合計厚みの比率は6%以上28%以下であり、ヘーズは2.5%以下である。
特に、表層は、800ppm以上1900ppm以下の核剤を含み、主層は、核剤を含まない、又は、800ppm以下の核剤を含み、主層のMw/Mnは、7以上14以下であることが好ましい。
更に、厚薄精度は12%以下であり、引張弾性率は1800MPa以上であることが好ましい。
また、本発明に係る成形体は、これらのシートを熱成形したものである。
本発明による二軸延伸ポリプロピレン積層シートは、剛性と透明性に優れ、しかも、広い範囲の加工温度で熱成形できる。
本発明の一実施形態における二軸延伸ポリプロピレン積層シートの部分拡大断面図。
以下、本発明の一実施形態に係る二軸延伸ポリプロピレン積層シート(以下、単にシートという。)とそれを用いた成形体について説明する。図1に本実施形態におけるシートの要部を断面図で示している。シートは、主層1と、該主層1の表裏表側にそれぞれ位置する第一の表層2a及び第二の表層2bとを備えている。尚、第一及び第二の表層2a,2bを特に区別することなくまとめて表層2a,2bと称する。主層1は、単層であってもよいし、多層であってもよい。
表層2a,2bは、融点が165℃以上のプロピレン系樹脂から構成されている。主層1は、表層2a,2bよりも融点が3℃〜9℃低いプロピレン系樹脂から構成されている。シートの厚薄精度は、12%以下であることが好ましい。シートの引張弾性率は、1800MPa以上であることが好ましい。シートのヘーズは、2.5%以下であることが好ましい。透過法によるシートの像鮮明度は、60%以上であることが好ましい。シートを熱成形する際の成形可能温度の範囲は、8℃以上であることが好ましい。
表層2a,2bを構成するプロピレン系樹脂としては、融点が165℃以上であればよく、プロピレン単独重合体、プロピレンとαオレフィンとのランダム共重合体などが含まれる。ここで、αオレフィンとしては、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチル−ペンテン−1等を用いることができる。これらのなかで最も好ましくは、プロピレン単独重合体である。表層2a,2bの融点が165℃を下回ると、それに伴い主層1を構成するポリプロピレンの融点が低下すると同時に、シート全体の剛性が低下するため好ましくない。
主層1を構成するプロピレン系樹脂は、表層2a,2bを構成するプロピレン系樹脂よりも融点が3℃〜9℃低いものが好ましく、プロピレン単独重合体や、プロピレン−αオレフィン共重合体などが含まれる。ここでαオレフィンとしては、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチル−ペンテン−1等を用いることができる。これらのなかで好ましくは、プロピレン−αオレフィン共重合体であり、最も好ましくはエチレンとのランダム共重合体である。
<融点差>
表層2a,2bと主層1との融点差は、3℃〜9℃であることが好ましい。表層2a,2bと主層1との融点差がこの範囲を上回ると、二軸延伸時のシートの厚薄精度が低下する。厚薄精度が低下すると、熱成形における低温側の加工温度域において、厚みの大きい箇所では部分的な型再現不足が生じ、厚みの薄い箇所では極度の薄肉が生じやすく、結果としてシートの成形可能温度範囲を狭めることになりやすい。逆に、上記した範囲よりも融点差が小さい場合も、主層1の融点が、高融点の表層2a,2bの融点と変わらなくなるため、熱成形における低温側の成形可能温度範囲を狭めることになりやすい。
<MFR>
表層2a,2bに用いるポリプロピレンのMFRは1〜30g/10分であり、2〜20g/10分が好ましく、主層1に用いるポリプロピレンのMFRは1〜15g/10分であり、2〜10g/10分が好ましい。該MFRが上記範囲内であると、延伸前の積層体を押出成形する際の加工性に優れる。
<エチレン含有量>
エチレンを共重合させる場合のエチレン含有量は1.0重量%以下であり、0.1〜0.6重量%以下が好ましい。エチレン含有量がこの範囲にあることで、透明性、剛性のバランスがとれている。
<Mw/Mn>
主層1を構成するポリプロピレンのMw/Mnは7以上14以下が好ましい。主層1を構成するポリプロピレンのMw/Mnが7を下回ると二軸延伸時の厚薄精度の低下を引き起こしやく、その結果、シートの熱成形可能温度範囲を狭めることになりやすい。
<核剤>
表層2a,2bには、結晶核剤を含むことが好ましい。表層2a,2bの核剤の含有量は、800ppm〜1900ppmが好ましい。表層2a,2bに含まれる核剤の量が800ppmを下回ると、ヘーズ値が上昇し、シートの像鮮明度が低下する。表層2a,2bに含まれる核剤の量が1900ppmを超えると、表層2a,2bの結晶化スピードが上がり、二軸延伸時の厚薄精度の低下を引き起こしやすい。その結果、シートの熱成形可能温度範囲を狭めることになりやすい。
主層1には核剤を含まないことが好ましい。あるいは、主層1に核剤が含まれているとしても、その含有量は800ppm以下であることが好ましい。主層1に含まれる核剤の量が800ppmを超えると、主層1の結晶化スピードが上がり、二軸延伸時の厚薄精度の低下を引き起こしやすい。その結果、シートの熱成形可能温度範囲を狭めることになりやすい。
結晶核剤としては、ノニトール系核剤、ソルビトール系核剤、リン酸エステル系核剤、トリアミノベンゼン誘導体核剤、カルボン酸金属塩核剤、およびキシリトール系核剤から選択されることが好ましい。特に熱成形後の透明性を維持するためには、ノニトール系核剤またはソルビトール系核剤の使用がより好ましい。また、これらの結晶核剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
シートには、結晶核剤以外のその他の添加剤を含有させることができる。その他の添加剤の例としては、酸化防止剤、中和剤、塩素吸収剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、内部滑剤、外部滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、分散剤、銅害防止剤、可塑剤、架橋剤、過酸化物、油展および他の有機および無機顔料等のポリオレフィンに通常用いられる慣用の添加剤が挙げられる。
シート表面に帯電防止剤、防曇剤、滑剤などを塗布することもできる。ここで、防曇剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、水溶性高分子等が使用され、滑剤としてはシリコーンオイルなどが使用され得る。
<厚み>
シートの全厚Tは、100〜500μmであることが好ましく、特に130〜350μmが好ましい。成形品の実用的な剛性を考慮すると、シートの全厚Tの下限としては100μmが妥当である。シートの全厚Tが500μmを超えるものを得ようとすると、二軸延伸の際に、シートを挟んで保持しているチャックが外れやすく、二軸延伸不可となりやすい。
シートの全厚Tに対する表層2a,2bの片側厚みの比率は、3%〜18%であることが好ましい。シートの全厚Tに対する表層2a,2bの片側厚みの比率は、シートの全厚Tに対する第一の表層2aの厚みT2aの比率、及び、シートの全厚Tに対する第二の表層2aの厚みT2bの比率である。高融点である表層2a,2bの片側厚みが3%を下回ると、即ち、シートの全厚Tに対する第一の表層2aの厚みT2aの比率とシートの全厚Tに対する第二の表層2aの厚みT2bの比率のうち、一方でも3%を下回ると、熱成形時にシート表面の焦げが発生し易くなり、結果として高温側の成形可能温度範囲を狭めることになる。逆に高融点である表層2a,2bの片側厚みが18%を超えると、低温側の成形可能温度範囲を狭めることになる。
シートの全厚Tに対する両表層2a,2bの合計厚み(T2a+T2b)の比率は、6%〜28%であることが好ましい。下限の6%以上は、前述の片側厚み3%以上に依拠する。高融点である表層2a,2bの合計厚みが28%を超えた場合、低温側の熱成形可能温度範囲を狭めることになる。また、高融点のポリプロピレン層の構成比率が上がることにより、二軸延伸時の厚薄精度が低下し好ましくない。
<延伸倍率>
シートの延伸倍率は、縦横共に3〜6倍とすることが好ましい。延伸倍率が3倍を下回ると、延伸加工による剛性向上の効果が十分なものでなくなり、延伸倍率が6倍を超えると、熱成形が困難となる。
<評価方法>
<示差走査熱量計(DSC)で測定される融点>
3.0mgの試料を秤量後アルミパンに封入し、示差走査熱量計(型式:DSC−60、島津製作所製)にて、20ml/分で供給される窒素気流中で210℃まで昇温し、この温度で3分間保持し、次いで降温速度10℃/分で30℃まで冷却する。次いで、昇温速度10℃/分で210℃まで昇温する際に得られる吸熱曲線において最大吸熱を示すピーク温度を融点とした。
<メルトフローレート(MFR)>
原料のプロピレン系樹脂のメルトフローレートは、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定した。
<共重合体中のエチレン含有量>
共重合体中のエチレン含有量は、1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解した試料について、日本電子社製JNM LA−400(13C共鳴周波数100MHz)を用い、13C−NMR法で測定した値から算出した。
<分子量分布(Mw/Mn)>
重合体または共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定し、Mw/Mnを算出して得られる値である。装置としてポリマーラボラトリーズ社製PL GPC220を使用し、酸化防止剤を含む1,2,4−トリクロロベンゼンを移動相とし、カラムとして昭和電工社製UT−G(1本)、UT−807(1本)、UT−806M(2本)を直列に接続したものを使用し、検出器として示差屈折率計を使用した。また、ポリプロピレン組成物の試料溶液の溶媒としては移動相と同じものを使用し、1mg/mLの試料濃度で、150℃の温度で振とうさせながら2時間溶解して測定試料を調整した。これにより得た試料溶液500μLをカラムに注入し、流速1.0mL/分、温度145℃、データ取り込み間隔1秒で測定した。カラムの較正には、分子量580〜745万のポリスチレン標準試料(Shodex STANDARD、昭和電工株式会社製)を使用し、三次式近似で行った。Mark−Houkinsの係数は、ポリスチレン標準試料に関しては、K=1.21×10−4、α=0.707、プロピレン系重合体に関しては、K=1.37×10−4、α=0.75を使用した。
<シートの厚みと厚薄精度>
シートの厚みと厚薄精度は、連続厚み計(山文電気社製TOF−4R05)を用いて、シートの幅方向に1mmピッチで200点の測定を行い、これを流れ方向に20mm間隔で10本分測定した際の、平均厚みA(μm)と標準偏差σ(μm)を求め、次式にて求めた値を用いた。
厚薄精度[%]=(2σ/A)×100
厚薄精度の値が小さいほど厚みムラが小さいことを意味し、延伸シートの場合は均一延伸性に優れることを意味する。
<引張弾性率>
シートの引張弾性率は、JIS K7161−1に従い、室温23℃の雰囲気中で引張速度1mm/分で測定した。
<透過法による像鮮明度>
シートの透過法による、くし幅1.0mmにおける像鮮明度をJIS K 7374に準拠して測定した。像鮮明度の値が大きいほど曇り感が少なく、透明性に優れている。
<ヘーズ>
シートのヘーズは、JIS K 7136に準拠して、ヘーズメーター(型式:NDH4000、日本電色製)で測定した。熱成形体のヘーズも同様に測定した。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明は以下の記載例に限定されるものではない。
<使用原料>
使用した原料の一覧を表1に示す。
Figure 2019171668
<試験用シートの作製>
[実施例1〜7、比較例1〜11]
以下のようにして試験用のシートを作製した。まず、上記したポリプロピレン材料を用い、表2〜表4に示された層構成のシートを、多層シート成形機((株)プラスチック工学研究所製)を使用して次のように作製した。表2に実施例1〜7を示し、表3及び表4に比較例1〜11を示している。
加工条件としては、押出機の溶融温度およびダイス温度は230℃にし、40℃にした金属製のキャスティングドラムで押し出されたシートを挟み込み、厚さ3.2mmの積層体を作製した。結晶核剤として、ノニトール系核剤(Millad NX8000、ミリケンジャパン社製)のマスターバッチを、表中に記載された濃度になるように適量添加した。上記作製した未延伸の積層体を120mm×120mmの大きさに切り取り、これを二軸延伸装置(Bruckner社製、KARO IV)にセットし、160℃の雰囲気化で3分間加熱し、延伸速度100%/秒、縦横4.0倍の延伸倍率で縦横同時延伸を行い、200μm厚の二軸延伸ポリプロピレン積層シートを作製した。
<シートの成形可能温度>
二軸延伸積層ポリプロピレンシートの熱成形可能温度は、真空圧空成形機を使用して半球形状の容器(成形体)を成形することによって評価した。まず、熱成形するシートの表面に熱電対を貼り付け、これをヒーター温度300℃に設定した加熱炉で、10秒からスタートして0.5秒刻みで加熱時間を延ばして成形し、それぞれの加熱時間における成形容器を得た。この時、熱電対で実測されたシート温度をシートの加工温度とし、その加工温度における成形体に破れやシート表面の焦げ、又は型再現不足や薄肉がなかった場合に、その加工温度を熱成形可能温度とした。シートが熱成形可能温度を超えて加熱された際に発生する、破れ又は焦げの有無については目視による観察を行った。
シートが熱成形可能温度を下回った際に生じる全体的な型再現不足、及びシートの厚薄ムラによって生ずる部分的な型再現不足や薄肉については、次のように判定した。まず、シートが熱成形によって容器に展開された時の二次元的な歪を次のように定義する。この二次元的な歪とは、シート面積の増加量を元のシート面積で除した値であり、以下、「面歪」という。
面歪=(B−A)/A
A:容器の開口面積
B:容器の開口部から外側に延びる平坦部を除いた、容器内面の面積
ところで、成形前後の面積と厚みは次の関係にある。
A×a=B×b
a:成形前のシート厚み
b:成形された容器の厚み
すなわち、「A:B=b:a」の関係が成り立つため、面歪はシートの成形前後の厚みを用いて、次式のように変換することができる。
面歪=(a−b)/b
厚み200μmのシートを用い、計算上の理想面歪が100%となる容器の金型(φ60mmの半球容器。理想面歪100%=(2Πr−Πr)/Πr。理想状態の成形がされれば、容器厚みは100μmとなる。)を使用して熱成形を行った。
各加工温度で成形された容器の厚みを5箇所測定し、測定箇所すべての面歪が95%以上105%以下であれば、十分かつ均一な型再現がされているとし、測定箇所のうち面歪95%未満のところや面歪105%を超えるところが一つでもあれば、全体的な型再現不足又は不均一な型再現であると判定した。総じて破れ又は焦げがなく、かつ、測定箇所の面歪が全て95%以上105%以下であった成形品の加工温度を熱成形可能温度とした。
表2〜表4において、「表層片厚比」とは、シート全厚Tに対する表層2a,2bの片側厚みの比率であり、「表層総厚比」とは、シート全厚Tに対する表層2a,2bの合計厚みの比率である。
Figure 2019171668
Figure 2019171668
Figure 2019171668
<実施例1〜7>
表2のように、実施例1〜7のシートは、何れも、熱成形可能な温度範囲が8℃あるいは9℃となり、広い温度範囲で熱成形が可能である。例えば、実施例1のシートの場合には、154℃では面歪が93%の測定箇所があり、163℃では焦げが発生したが、155℃〜162℃で熱成形可能であり、8℃という広い熱成形可能温度範囲が得られた。また、実施例1〜7のシートのヘーズは2.5%以下、特には2.0%以下であり、また、シートの像鮮明度は60%以上、特には70%以上であって、透明性に優れている。また、シートのヘーズをシートの全厚Tで割った値(ヘーズ/厚み)は、10%/mm以下であった。また、厚薄精度は12%以下であり、厚みの均一性が優れている。引張弾性率は、1800MPa以上、特には1900Mpa以上であって、高い剛性が得られた。このように、高い剛性と、優れた透明性を有し、均一な厚みで、熱成形可能温度範囲も広いシートが得られた。
<比較例1〜11>
比較例1のシートは、単層シートであり、比較例2〜11のシートは積層シートである。比較例1のシートは、熱成形可能温度範囲が5℃と狭くなった。比較例2のシートは、主層1と表層2a,2bとの融点差が1℃と小さいものであり、熱成形可能温度範囲は5℃と狭かった。比較例3のシートは、主層1と表層2a,2bとの融点差が10℃と大きいものであり、厚薄精度は20%と悪く、熱成形可能温度範囲は5℃と狭く、引張弾性率は1720Mpaとやや剛性不足であった。比較例4のシートは、一方の表層2a,2bにおける表層片厚比が2.5%と小さいものであり、熱成形可能温度範囲は5℃と狭かった。比較例5のシートは、一方の表層2a,2bにおける表層片厚比が20%と大きいものであり、熱成形可能温度範囲は5℃と狭かった。比較例6のシートは、表層総厚比が30%と大きいものであり、熱成形可能温度範囲は4℃と狭かった。比較例7のシートは、表層2a,2bの核剤の含有量が2000ppmと多いものであり、熱成形可能温度範囲は3℃と狭く、厚薄精度も23%と悪い。比較例8のシートは、表層2a,2bの核剤の含有量が500ppmと少ないものであり、ヘーズが2.9%、ヘーズ/厚みが14.5%、像鮮明度が52%と、透明性の点で問題があった。比較例9のシートは、主層1のMw/Mnが5のものであり、厚薄精度が15%とやや悪く、熱成形可能温度範囲は5℃と狭かった。比較例10のシートは、表層2a,2bの融点が162℃と低いものであり、引張弾性率が1620Mpaとなって、やや剛性不足であった。比較例11のシートは、主層1の核剤の含有量が1000ppmと多いものであり、厚薄精度が15%とやや悪く、熱成形可能温度範囲は5℃と狭かった。
1 主層
2a 第一の表層
2b 第二の表層
T2a 第一の表層の厚み
T2b 第二の表層の厚み
T シートの全厚

Claims (4)

  1. 主層と、該主層の両側にそれぞれ位置する表層とを備え、
    表層の融点は165℃以上であり、
    主層の融点は表層の融点よりも低く、表層と主層との融点差は3℃以上9℃以下であり、
    シート全厚は100μm以上500μm以下であり、
    シート全厚に対する表層の片側厚みの比率は3%以上18%以下であり、
    シート全厚に対する表層の合計厚みの比率は6%以上28%以下であり、
    ヘーズは2.5%以下である、二軸延伸ポリプロピレン積層シート。
  2. 表層は、800ppm以上1900ppm以下の核剤を含み、
    主層は、核剤を含まない、又は、800ppm以下の核剤を含み、
    主層のMw/Mnは、7以上14以下である、請求項1記載の二軸延伸ポリプロピレン積層シート。
  3. 厚薄精度は12%以下であり、
    引張弾性率は1800MPa以上である、請求項2記載の二軸延伸ポリプロピレン積層シート。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載のシートを熱成形してなる成形体。
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