JP2019169619A - 金属ベース基板およびモジュール - Google Patents
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Abstract
Description
(1)2.5≧λ
(2)100≦λ×VF/T
この場合、絶縁体は、絶縁性が高い樹脂と熱伝導度が高いセラミック粒子とを含むので、絶縁性を維持しつつ、厚み方向の熱伝導性を高くすることができる。
この場合、25℃におけるヤング率が1GPa以下と柔らかい軟質層を介して、金属箔と絶縁体とが積層されるので、絶縁体と金属箔との密着性が向上し、金属箔と絶縁体との間の熱抵抗が低くなり、厚み方向の熱伝導性を高くすることができる。
このような構成とされた本発明のモジュールによれば、上述の金属ベース基板の金属箔の上に電子部品が実装されているので、金属ベース基板の平面方向に熱が伝達しにくいので、熱干渉による電子部品の劣化が起こりにくくなる。
図1において、モジュール1は、金属ベース基板2と、金属ベース基板2の上に実装された電子部品3とを含む。金属ベース基板2は、金属基板10と、絶縁体20と、金属箔50とがこの順で積層された積層体である。金属箔50は、回路パターン状に形成されている。その回路パターン状に形成された金属箔50の上に、電子部品3がはんだ4を介して接合されている。
(1)2.5≧λ
(2)100≦λ×VF/T
高絶縁性樹脂層30の耐電圧性の低下を抑えるために、セラミック粒子32の比表面積は、10m2/g以上であることがより好ましく、50m2/g以上であることが特に好ましい。
BET径=6/(密度×BET比表面積)・・・(1)
また、セラミック粒子32は結晶性が高いことが好ましく、一次粒子が単結晶粒子であることがより好ましい。結晶性が高い単結晶のセラミック粒子は熱伝導性に優れるので、これを含む高絶縁性樹脂層30は熱伝導度がより効率的に向上する。
また、セラミック粒子32の凝集粒子の平均粒子径は、上記のBET径に対して、5倍以上であることが好ましく、5倍以上100倍以下の範囲内にあることが好ましい。また、凝集粒子の平均粒子径は、20nm以上500nm以下の範囲内にあることが好ましい。凝集粒子の平均粒子径が上記の範囲にあると、高絶縁性樹脂層30の熱伝導度を確実に向上させることができる。
高絶縁性樹脂層30の熱伝導性を確実に向上させるためには、セラミック粒子32の含有量は10体積%以上であることが好ましい。また、高絶縁性樹脂層30の形状の安定性を確実に向上させ、表面粗さRaを低くするためには、セラミック粒子32の含有量は50体積%以下であることが特に好ましい。
本実施形態の金属ベース基板2は、例えば、金属基板10の上に、高絶縁性樹脂層30と軟質層40とをこの順で積層し、次いで軟質層40の上に金属箔50を貼り付ける方法によって製造することができる。
塗布法は、高絶縁性樹脂層形成用の樹脂31とセラミック粒子32と溶剤とを含む高絶縁性樹脂層形成用塗布液を、金属基板10の表面に塗布して塗布層を形成し、次いで塗布層を加熱し、乾燥させて高絶縁性樹脂層30を金属基板10の上に形成する方法である。高絶縁性樹脂層形成用塗布液を、金属基板10の表面に塗布する方法としては、スピンコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法、ディップコート法などを用いることができる。
電着法は、電荷を有する絶縁樹脂粒子が分散されている電着液に、金属基板10と電極とを浸漬し、金属基板10と電極との間に直流電圧を印加することによって、金属基板10の表面に絶縁樹脂粒子を電着させて電着層を形成し、次いで電着層を加熱し、乾燥させて絶縁層20を金属基板10の上に形成する方法である。電着液は、例えば、絶縁樹脂溶液に、絶縁樹脂の貧溶媒を加えて、絶縁樹脂を析出させることによって調製することができる。絶縁樹脂の貧溶媒としては、例えば、水を用いることができる。
軟質層40は、軟質層形成用の樹脂と溶剤と必要に応じて添加される無機物粒子とを含む軟質層形成用塗布液を、高絶縁性樹脂層30の表面に塗布して塗布層を形成し、次いで塗布層を加熱し、乾燥させることによって形成することができる。軟質層形成用塗布液を高絶縁性樹脂層30の表面に塗布する方法としては、スピンコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法、ディップコート法などを用いることができる。
例えば、本実施形態では、絶縁体20を、金属基板10側に設けられた高絶縁性樹脂層30と、金属箔50側に設けられた軟質層40との2層を有する積層体としたものとして説明したがこれに限定されることはない。例えば、高絶縁性樹脂層30単独で金属箔50との密着性を十分に確保できる場合は、軟質層40を設けなくてもよい。
<セラミック粒子分散樹脂溶液の調製>
アルミナ粒子(Alu65、アエロジル社)を用意した。
用意したアルミナ粒子1.0gを、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)を62.5g、1M2P(1−メトキシ−2−プロパノール)を10g、AE(アミノエーテル)を0.22gの質量で含む混合溶媒に投入し、30分間超音波処理して、アルミナ粒子分散液を調製した。
次いで、調製したアルミナ粒子分散液とポリアミドイミド溶液とを、ポリアミドイミドとアルミナ粒子とが体積比で70:30となる割合で混合して、アルミナ粒子含有ポリアミドイミド溶液を調製した。
調製したアルミナ粒子含有ポリアミドイミド溶液を、5000rpmの回転速度で撹拌しながら、そのセラミック粒子分散樹脂溶液に水を21g滴下して、電着液を調製した。
調製した電着液に、厚み1mmで30mm×20mmの銅基板と、ステンレス電極とを浸漬した。次いで、銅基板を正極、ステンレス電極を負極として、100Vの直流電圧を印加して、銅基板の表面に電着層を、加熱によって生成する高絶縁性樹脂層の膜厚が0.009mmとなるように形成した。次に、電着層を形成した銅基板を、大気雰囲気下、250℃で3分間加熱して、電着層を乾燥させて、銅基板の表面に高絶縁性樹脂層を形成して、高絶縁性樹脂層付き銅基板を作製した。
25℃における弾性率が0.2GPaのポリアミドイミドとNMPとを、質量比で1:6となる割合で混合し、ポリアミドイミドを溶解させてポリアミドイミド溶液を調製した。このポリアミドイミド溶液に上記高絶縁性樹脂層付銅基板の高絶縁性樹脂層側の面を浸漬して、高絶縁性樹脂層の表面に塗布層を形成した。次いで、塗布層を形成した高絶縁性樹脂層付き銅基板を、250℃で30分間加熱し、塗布層を乾燥させて、高絶縁性樹脂層の表面に膜厚が0.001mmのポリアミドイミド層を形成して、銅基板、高絶縁性樹脂層、ポリアミドイミド層(軟質層)がこの順で積層した積層体を作製した。
上記のようにして作製した積層体の軟質層と、厚み18μmで幅1cmの銅箔(CF−T4X−SV−18:福田金属箔粉工業(株)製)とを重ね合わせ、次いで、カーボン治具を用いて30MPaの圧力を付与しながら、真空中にて215℃の温度で20分間加熱して軟質層と銅箔とを熱圧着させた。
以上のようにして、銅基板と絶縁体(高絶縁性樹脂層と軟質層)と銅箔とがこの順で積層された金属ベース基板を作製した。
<ポリアミック酸溶液の合成>
容量300mLのセパラブルフラスコに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、およびNMP(N−メチル−2−ピロリドン)を仕込んだ。NMP量は、得られるポリアミック酸の濃度が40質量%になるように調整した。常温で撹拌して、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを完全に溶解させた後、内温が30℃を超えないよう、所定量のテトラカルボン酸2無水物を少量ずつ添加した。その後、窒素雰囲気下で16時間の撹拌を続け、ポリアミック酸(ポリイミド樹脂前駆体)溶液を調製した。
アルミナ粒子(AA−05:住友化学社)を用意した。用意したアルミナ粒子1.0gを、NMP10gに投入し、30分間超音波処理して、アルミナ粒子分散液を調製した。
次いで、上記のようにして調製したポリアミック酸溶液とアルミナ粒子分散液とを、加熱によって生成するポリイミド樹脂とアルミナ粒子とが体積比で70:30となる割合で、かつ混合し、次いで、混合物中のポリアミック酸濃度が5質量%となるように希釈した。得られた混合物を、続いて得られた混合物を、株式会社スギノマシン社製スターバーストを用い、圧力50MPaの高圧噴射処理を10回繰り返すことにより分散処理を行って、アルミナ粒子含有ポリアミック酸溶液を調製した。
調製したアルミナ粒子含有ポリアミック酸溶液を、厚さ1mmで30mm×20mmの銅基板の表面に、加熱後の膜厚が0.009mmとなるようにバーコート法により塗布して塗布層を形成した。次いで塗布層を形成した銅基板をホットプレート上に配置して、室温から3℃/分で60℃まで昇温し、60℃で100分間、さらに1℃/分で120℃まで昇温し、120℃で100分間加熱して、乾燥して乾燥膜とした。その後、乾燥膜を250℃で1分間、400℃で1分間加熱して、銅基板の表面に高絶縁性樹脂層を形成して、高絶縁性樹脂層付き銅基板を作製した。
25℃における弾性率が0.2GPaのポリアミドイミドとNMPとを、質量比で1:6となる割合で混合し、ポリアミドイミドを溶解させてポリアミドイミド溶液を調製した。このポリアミドイミド溶液を、上記高絶縁性樹脂層付銅基板の高絶縁性樹脂層側の面に、回転数4000rpmの条件でスピンコート法によって塗布して高絶縁性樹脂層の表面に塗布層を形成した。次いで、塗布層を形成した高絶縁性樹脂層付き銅基板を、250℃で30分間加熱し、塗布層を乾燥させて、高絶縁性樹脂層の表面に膜厚が0.001mmのポリアミドイミド層を形成して、銅基板、高絶縁性樹脂層、ポリアミドイミド層(軟質層)がこの順で積層した積層体を作製した。
上記のようにして作製した積層体を用いたこと以外は、本発明例1と同様にして、積層体の軟質層と銅箔とを熱圧着させた。
以上のようにして、銅基板と絶縁体(高絶縁性樹脂層と軟質層)と銅箔とがこの順で積層された金属ベース基板を作製した。
本発明例1〜2で作製した金属ベース基板について、以下の項目を評価した。その結果を表1に示す。
耐電圧は、株式会社計測技術研究所製の多機能安全試験器7440を用いて測定した。金属ベース基板の銅基板と銅箔に電極(φ6mm)をそれぞれ配置した。配置した電極を電源に接続し、6000Vまで30秒で昇圧した。銅基板と銅箔との間に流れる電流値が5000μAになった時点の電圧を絶縁体の耐電圧とした。
熱抵抗を、Mentor Graphics社製のT3Sterを用いて測定した。
発熱体パッケージはTO−3Pを用いた。測定条件は、加熱電流:10A、測定電流:10mA、測定時間:120秒、加熱時間:60秒とした。
熱伝導率は、下記の式より算出した。
熱伝導率=絶縁体の厚み/(熱抵抗×放熱面積)
絶縁体の厚みは、高絶縁性樹脂層と軟質層の合計厚み(0.011mm)とした。放熱面積は、発熱体パッケージの放熱面積(200mm2)とした。
発熱体を設置した金属ベース基板の熱拡散を、下記の条件でシミュレーションした。その結果を、図2に示す。
(1)金属ベース基板の構成は、銅基板と絶縁体と銅箔とがこの順で積層された積層体とする。金属ベース基板は、平面視したときの縦横のサイズを9mm×9mmとする。
(2)銅基板は、厚みを1mmとし、熱伝導度を300W/mKとする。
(3)絶縁体は、厚みを0.01mmとし、熱伝導度λを1W/mK、耐電圧VFを2kV、λ×VF/Tを200とする。
(4)銅箔は、厚みを35μmとし、熱伝導度を300W/mKとする。
(5)発熱体は、銅箔の中央に、はんだを介して配置する。
(6)発熱体は、平面視したときの縦横のサイズを0.4mm×0.4mmとし、厚みを0.5mmとする。発熱体内部の発熱密度は6000000000W/m3とする。
(7)はんだは発熱体の直下にのみ存在するものとし、厚みを100μm、熱伝導度を40W/mKとする。
(8)熱は発熱体からのみ発生するものとし、銅基板の下面からのみ放熱されるものとする。
(9)金属ベース基板、発熱体およびはんだの周囲の温度は0℃とする。
上記(3)の条件を、下記の(3)’としたこと以外は、本発明例3と同様の条件として金属ベース基板に発熱体を設置したときの熱拡散をシミュレーションした。その結果を、図3に示す。
(3)’絶縁体は、厚みを0.1mm、熱伝導度λを9.7W/mK、耐電圧VFを2kV、λ×VF/Tを194とする。
図3は、比較例1で行ったシミュレーションの結果を示す図であって、金属ベース基板の銅箔を平面視した拡大平面図である。
図2と図3に示すように、本発明例3の金属ベース基板と比較例1の金属ベース基板は、発熱体の最高温度は共に約169.6℃で同じであるが、発熱体の周囲の温度は、本発明例3の金属ベース基板の方が比較例1の金属ベース基板と比較して、2〜4%低くなった。すなわち、本発明例3の金属ベース基板は、厚み方向の熱伝導性においては比較例1の金属ベース基板と同等に高く、平面方向の熱伝導性においては比較例1の金属ベース基板よりも低く抑えられていることが確認された。このため、本発明例3の銅箔の上に実装した電子部品は、比較例1の銅箔の上に実装した電子部品と比較して、熱干渉が起こりにくくなる。
2 金属ベース基板
3 電子部品
4 はんだ
10 金属基板
20 絶縁体
30 高絶縁性樹脂層
31 樹脂
32 セラミック粒子
40 軟質層
50 金属箔
Claims (4)
- 金属基板と、絶縁体と、金属箔とがこの順で積層された金属ベース基板であって、
前記絶縁体は、単位がW/mKで表される厚み方向の熱伝導率をλとし、単位がmmで表される厚みをTとし、単位がkVで表される耐電圧をVFとしたときに下記の式(1)および式(2)を満足することを特徴とする金属ベース基板。
(1)2.5≧λ
(2)100≦λ×VF/T - 前記絶縁体が、ポリイミド、またはポリアミドイミド、もしくはこれらの混合物からなる樹脂と、粒子径が1μm以下のセラミック粒子とを含む樹脂層を有することを特徴とする請求項1に記載の金属ベース基板。
- 前記絶縁体が、前記金属基板側に設けられた高絶縁性樹脂層と、前記金属箔側に設けられた軟質層との2層を有する積層体であって、前記軟質層は、25℃におけるヤング率が1GPa以下の層であることを特徴とする請求項1に記載の金属ベース基板。
- 請求項1から3のいずれか一項に記載の金属ベース基板と、前記金属ベース基板の前記金属箔の上に実装された電子部品とを含むことを特徴とするモジュール。
Priority Applications (1)
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JP2018056539A JP2019169619A (ja) | 2018-03-23 | 2018-03-23 | 金属ベース基板およびモジュール |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2023058667A1 (ja) * | 2021-10-05 | 2023-04-13 | 三菱マテリアル株式会社 | 金属ベース基板 |
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2018
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