以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
図1は、この実施の形態に係る電池モジュール1が搭載された車両2を模式的に示す図である。図1を参照して、車両2は、バッテリユニット3を含む。バッテリユニット3は、複数の電池モジュール1を収容するバッテリケース4と、バッテリケース4内に冷却風を供給する送風機5(たとえば、ファン)とを含む。
図2は、電池モジュール1の断面構造を示す図である。以下で用いられる各図において、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸のうち、X軸は電池の幅方向を、Y軸は電池の長さ方向を、Z軸は電池の厚み方向を示している。以下、X軸、Y軸、Z軸の矢印が指し示す方向には「+」を、その反対の方向には「−」を付けて表す。また、+Z方向を「上」、−Z方向を「下」と称する場合がある。板状の部材(又は、その積層体)の2つの主面(表裏面)に関して、上(+Z方向)の面を「第1主面」、下(−Z方向)の面を「第2主面」と称する場合がある。
図2を参照して、電池モジュール1は、積層体B10を含む。積層体B10は、複数の単位電池100と複数の集電板30とが交互に積層されて構成される。Z軸方向は、単位電池100の積層方向に相当する。各単位電池100は、隣接する2つの集電板30で積層方向に挟まれている。以下、1つの単位電池100から見て、上に位置する集電板30を「第1集電板」、下に位置する集電板30を「第2集電板」と称する場合がある。
積層体B10は、複数の単位電池100が直列に接続されて構成され、最外集電板間(最上層に位置する集電板30と最下層に位置する集電板30との間)に電位差(電池電圧)が生じる。この実施の形態では、単位電池100がニッケル水素電池である。ニッケル水素電池は、正極と、負極と、水系電解液(たとえば、アルカリ水溶液)とを有する二次電池である。電解液は、以下に説明するシール部材52の内側に収容される。また、集電板30としては、平面視(X−Y平面)で矩形状のニッケル箔(Ni箔)を採用する。ただし、集電板はNi箔に限られず、任意の集電板を採用できる。Ni箔以外の例としては、ニッケルめっき鋼板が挙げられる。
電池モジュール1は、シール部材51及び52をさらに含む。シール部材51は、たとえばシールリングであり、各集電板30の周縁(全周)に取り付けられている。シール部材52は、たとえば筒状の樹脂枠であり、各シール部材51を保持するための凹部を内周面に有する。シール部材51は、シール部材52の凹部に取り付けられ、シール部材52によって保持されている。シール部材52が積層体B10の周囲を取り囲むように設けられることによって、シール部材52の内側空間が密閉されている。
電池モジュール1は、積層体B10を拘束する拘束具をさらに含む。拘束具は、押圧板61,62と接続軸63,64とボルト71〜74とを含む。押圧板61はそれぞれボルト71、73によって接続軸63、64に連結されている。また、押圧板62はそれぞれボルト72、74によって接続軸63、64に連結されている。ボルト71〜74を締め付けることにより、押圧板61によって積層体B10の第1主面F1が押圧されるとともに、押圧板62によって積層体B10の第2主面F2が押圧され、積層体B10にZ軸方向の圧力(拘束力)が加わる。
図3は、単位電池100の断面構造を示す図である。図3を参照して、単位電池100は、第1集電板30Aと第2集電板30Bとの間に形成されている。単位電池100は、第1集電板30Aから第2集電板30Bへ向かって、第1負極層N1、第2正極層P2、第2負極層N2、第1正極層P1が積層されて構成され、以下に説明する積層体B1〜B4を含む。
詳細は後述するが、積層体B1〜B4の各々は、負極と、電解質を保持するセパレータと、正極とが積層されて構成される。積層体B1〜B4は、X軸方向に並ぶように形成され、積層体B1の外側、積層体B1と積層体B2との間、積層体B2と積層体B3との間、積層体B3と積層体B4との間、積層体B4の外側には、それぞれ後述する支持部材を配置するためのスペースR1、R2、R3、R4、R5が確保されている。
図4は、単位電池100の形成に用いられる第1ユニット200A(負極ユニット)及び第2ユニット200B(正極ユニット)の構成を説明するための断面図である。
図4を参照して、第1ユニット200Aは、第1集電板30A及び負極形成部10を含む。負極形成部10は、第1負極層N1、第2負極層N2、及び支持部材31a〜31cを含む。第2ユニット200Bは、第2集電板30B及び正極形成部20を含む。正極形成部20は、第1正極層P1、第2正極層P2、支持部材32a、32b、及びセパレータ41a〜41d、42a〜42dを含む。
上記のような第1ユニット200A及び第2ユニット200Bを、第1集電板30A、第1負極層N1、第2正極層P2、第2負極層N2、第1正極層P1、及び第2集電板30Bが、この順に積層されるように配置することによって、第1集電板30Aと第2集電板30Bとの間に単位電池100を形成することができる。負極層と正極層との間にはセパレータが配置される。
第1ユニット200Aにおいて、第1負極層N1は複数の表面負極11a〜11dを含み、第2負極層N2は複数の中間負極12a〜12dを含む。第1負極層N1に含まれる表面負極11a〜11dの各々は、第1集電板30Aの第2主面F12上に配置され、第1集電板30Aの表面に接触することにより第1集電板30Aに電気的に接続されている。第2負極層N2に含まれる中間負極12a〜12dの各々は、第1導電部材(より特定的には、後述する支持部材31a〜31c)を介して第1集電板30Aに電気的に接続されている。
第2ユニット200Bにおいて、第1正極層P1は複数の表面正極21a〜21dを含み、第2正極層P2は複数の中間正極22a〜22dを含む。第1正極層P1に含まれる表面正極21a〜21dの各々は、第2集電板30Bの第1主面F21上に配置され、第2集電板30Bの表面に接触することにより第2集電板30Bに電気的に接続されている。第2正極層P2に含まれる中間正極22a〜22dの各々は、第2導電部材(より特定的には、後述する支持部材32a、32b)を介して第2集電板30Bに電気的に接続されている。
第2ユニット200Bにおいて、表面正極21a〜21dの表面にはそれぞれセパレータ41a〜41dが設けられている。各セパレータは各表面正極の表面を覆っている。また、中間正極22a〜22dには、それぞれ袋状のセパレータ42a〜42dが被せられ、中間正極22a〜22dの各々の先端から基端まで(ただし、各中間正極と支持部材32a又は32bとの接続部を除く)が各セパレータによって覆われている。各セパレータは各中間正極の両面を覆っている。この実施の形態では、各セパレータとしてポリオレフィン製の不織布を採用する。ただし、ニッケル水素電池においては多種のセパレータが公知であり、上記に限られず任意のセパレータを採用できる。また、この実施の形態では、第2ユニット200B(正極ユニット)にセパレータを設けているが、第1ユニット200A(負極ユニット)にセパレータを設けてもよい。
図5は、第1ユニット200Aを下から見た平面図である。図5を参照して、表面負極11a〜11d及び中間負極12a〜12dの各々は、平面視において長方形状(より特定的には、短冊形状)を有し、幅方向(X軸方向)よりも長さ方向(Y軸方向)に長尺に形成されている。
中間負極12a〜12dの各々は、対応する表面負極と同一の平面形状(X−Y平面)を有し、平面視で表面負極に重なるように配置されている。重なる表面負極11a(上)と中間負極12a(下)との各々は幅D11、長さD1の短冊形状を有し、重なる表面負極11b(上)と中間負極12b(下)との各々は幅D12、長さD1の短冊形状を有し、重なる表面負極11c(上)と中間負極12c(下)との各々は幅D13、長さD1の短冊形状を有し、重なる表面負極11d(上)と中間負極12d(下)との各々は幅D14、長さD1の短冊形状を有する。幅D11〜D14の各々は、たとえば40mmであり、長さD1は、たとえば200mmである。表面負極11aと表面負極11bとの間隔D15、表面負極11bと表面負極11cとの間隔D16、及び表面負極11cと表面負極11dとの間隔D17の各々は、たとえば10mm〜20mmである。
図5に示されるように、第1集電板30Aの表面(より特定的には、図4に示す第2主面F12)において表面負極11a〜11dは幅方向に並べて配置されている。支持部材31a、支持部材31b(より特定的には、後述する枝部311、312)、支持部材31cは、それぞれ中間負極12a、12b、12c、12dの長辺S11、S12、S13、S14(長さ方向に延びる辺)に接続されている。そして、中間負極12a〜12dは、それぞれ上記の支持部材によって表面負極11a〜11dに対向するように支持されている。
図6は、第2ユニット200Bを上から見た平面図である。図6を参照して、表面正極21a〜21d及び中間正極22a〜22dの各々は、平面視において長方形状(より特定的には、短冊形状)を有し、幅方向(X軸方向)よりも長さ方向(Y軸方向)に長尺に形成されている。
中間正極22a〜22dの各々は、対応する表面正極と同一の平面形状(X−Y平面)を有し、平面視で表面正極に重なるように配置されている。重なる表面正極21a(下)と中間正極22a(上)との各々は幅D21、長さD2の短冊形状を有し、重なる表面正極21b(下)と中間正極22b(上)との各々は幅D22、長さD2の短冊形状を有し、重なる表面正極21c(下)と中間正極22c(上)との各々は幅D23、長さD2の短冊形状を有し、重なる表面正極21d(下)と中間正極22d(上)との各々は幅D24、長さD2の短冊形状を有する。幅D21〜D24の各々は、たとえば40mmであり、長さD2は、たとえば200mmである。表面正極21aと表面正極21bとの間隔D25、表面正極21bと表面正極21cとの間隔D26、及び表面正極21cと表面正極21dとの間隔D27の各々は、たとえば10mm〜20mmである。
図6に示されるように、第2集電板30Bの表面(より特定的には、図4に示す第1主面F21)において表面正極21a〜21dは幅方向に並べて配置されている。支持部材32a(より特定的には、後述する枝部321、322)、支持部材32b(より特定的には、後述する枝部323、324)は、それぞれ中間正極22a、22b、22c、22dの長辺S21、S22、S23、S24(長さ方向に延びる辺)に接続されている。そして、中間正極22a〜22dは、それぞれ上記の支持部材によって表面正極21a〜21dに対向するように支持されている。
この実施の形態では、表面負極11a〜11d、中間負極12a〜12d、表面正極21a〜21d、及び中間正極22a〜22dが、互いに同じ平面形状を有する。平面視において、表面負極11a、中間正極22a、中間負極12a、及び表面正極21aがこの順で重なるように配置されることで、図3に示す積層体B1が形成される。積層体B1において、表面負極11aと中間正極22aとの間、及び中間正極22aと中間負極12aとの間にはセパレータ42aが配置され、中間負極12aと表面正極21aとの間にはセパレータ41aが配置される。また、図3に示す積層体B2〜B4も、積層体B1に準ずる態様で、第1集電板30A側から、表面負極、セパレータ、中間正極、セパレータ、中間負極、セパレータ、表面正極の順の積層構造を有する。
以下、図7及び図8を用いて、第1ユニット200Aの構造について詳述する。
図7は、第1ユニット200Aの構造を説明するための図である。図7を参照して、表面負極11a〜11dの各々は負極活物質を含む。表面負極11a〜11dは、たとえば負極活物質を含有する負極合材を第1集電板30Aの第2主面F12に塗工することにより、図5に示すような短冊状に形成される。
支持部材31a〜31cの各々は、導電性を有する導電部材であり、本開示に係る「第1導電部材」の一例に相当する。各支持部材の材料としては、金属が好ましく、ニッケル水素電池においては、ニッケル、又は表面にニッケルめっきを施した金属(鉄や鉄鋼等)が特に好ましい。この実施の形態では、支持部材31a〜31cの各々の材料として、第1集電板30Aと同じ材料(すなわち、ニッケル)を採用する。
支持部材31aは、表面負極11aの外側(図3に示すスペースR1)で第1集電板30Aに接続され、その接続部から中間負極12aに向かって延びる板状部材である。支持部材31bは、表面負極11bと表面負極11cとの間(図3に示すスペースR3)で第1集電板30Aに接続され、その接続部から中間負極12b、12cに向かって分岐した断面V字状の板状部材である。支持部材31bは、中間負極12bに向かって分岐した枝部311と、中間負極12cに向かって分岐した枝部312とを含む。支持部材31cは、表面負極11dの外側(図3に示すスペースR5)で第1集電板30Aに接続され、その接続部から中間負極12dに向かって延びる板状部材である。上記の各接続部(より特定的には、以下に説明する溶接部)は、第1集電板30Aの第2主面F12において第1負極層N1(表面負極11a〜11d)の隙間(表面負極間、及び表面負極の外側)に存在する。
図7において、接続部wdは、第1集電板30Aと各支持部材との境界(接続部)を示している。この実施の形態では、第1集電板30Aと各支持部材とを別々に形成して、第1集電板30Aに各支持部材を溶接している。こうすることで、第1集電板30Aと各支持部材とを高い接続強度で安定して接続することができる。ただし、第1集電板30Aと各支持部材との接続方法は、これらを物理的かつ電気的に接続できれば任意である。たとえば、第1集電板30Aと各支持部材とを一体的に形成して、これらが継ぎ目なしで接続されるようにしてもよい。ただし、こうした接続方法では、溶接に比べて製造工程が複雑になりやすい。また、別々に形成した第1集電板30Aと各支持部材とを導電性接着剤等で接続してもよい。ただし、こうした接続方法では、電解液中で接着剤が劣化したり剥がれたりする可能性があり、接続が不安定になりやすい。なお、後述する第2集電板30Bと各支持部材との接続方法についても同様のことがいえる。
中間負極12aは、支持部材31aを介して第1集電板30Aに電気的に接続されている。中間負極12dは、支持部材31cを介して第1集電板30Aに電気的に接続されている。中間負極12b及び中間負極12cは、どちらも支持部材31b(共通の支持部材)を介して第1集電板30Aに電気的に接続されている。中間負極12bには枝部311が接続され、中間負極12cには枝部312が接続されている。複数の中間負極を共通の支持部材で支持することによって、少ない支持部材で多くの中間負極を支持することが可能になり、部品点数の増加や電池体格の増大を抑制することが可能になる。
支持部材31a〜31cは、第1集電板30A(ひいては、表面負極11a〜11d)から浮かした状態で中間負極12a〜12dを支持している。これにより、表面負極11a〜11dと中間負極12a〜12dとの間にはそれぞれ空間R11〜R14が形成される。そして、空間R11〜R14には、それぞれ図4に示した中間正極22a〜22d及びセパレータ42a〜42dが配置される。図3に示される単位電池100において、支持部材31a〜31cの各々は、第2負極層N2(中間負極12a〜12d)との接続部から、第2正極層P2(中間正極22a〜22d)の隙間(中間正極間、及び中間正極の外側)を通過して第1集電板30Aに到達している。
図8は、図7の一部(中間負極12a)を拡大して示す図である。中間負極12a〜12dの構成は共通であるため、図8には1つの中間負極12aのみを代表的に示している。
図8を参照して、中間負極12aは、支持部材31aに接続される導電基材120と、導電基材120の両面に形成される負極活物質層121及び122とを含む。この実施の形態では、支持部材31aと導電基材120とが一体的に形成されている。すなわち、導電基材120は支持部材31aから連続して形成され、支持部材31aと導電基材120との間に継ぎ目は存在しない。支持部材31aと導電基材120とは、たとえば1枚の矩形板(より特定的には、ニッケル板)を曲げ加工することによって形成することができる。負極活物質層121及び122は、たとえば負極活物質を含有する負極合材を導電基材120の両面に塗工することにより形成することができる。なお、図7に示す断面V字状の支持部材31bは、1枚の矩形板を加工して形成してもよいし、2枚の矩形板を接合(たとえば、溶接)して形成してもよい。
支持部材31aと導電基材120との角度θ1は、両者の境界部(接続部)を曲げることによって調整できる。たとえば、角度θ1を略90°にして導電基材120(ひいては、中間負極12a)を第1集電板30Aに平行に配置させることもできるし、図8中に二点鎖線で示すように、角度θ1を広げて略180°にすることもできる。
なお、支持部材31aと導電基材120との接続方法は、これらを物理的かつ電気的に接続できれば任意である。たとえば、別々に形成した支持部材31aと導電基材120とを溶接又は導電性接着剤等により接続してもよい。なお、後述する支持部材32a(枝部321)と導電基材220との接続方法についても同様のことがいえる。
表面負極11a〜11d及び各中間負極の負極活物質層121、122に含まれる負極活物質としては、水素吸蔵合金を採用できる。水素吸蔵合金は、たとえば、水素吸蔵能力に優れる金属(La、Ti、Zr、Pd、Mg等)と水素放出能力に優れる金属(Fe、Co、Ni等)との合金である。水素吸蔵合金の例としては、LaNi5、MmNi5(「Mm」はミッシュメタルと称される希土類金属の混合物を示す)のようなAB5型合金が挙げられる。なお、表面負極11a〜11d及び各中間負極の負極活物質層121、122は、負極活物質に加えてバインダ及び導電助剤等をさらに含んでいてもよい。
次に、図9及び図10を用いて、第2ユニット200Bの構造について詳述する。
図9は、第2ユニット200Bの構造を説明するための図である。図9を参照して、表面正極21a〜21dの各々は正極活物質を含む。表面正極21a〜21dは、たとえば正極活物質を含有する正極合材を第2集電板30Bの第1主面F21に塗工することにより、図6に示すような短冊状に形成される。
支持部材32a及び32bの各々は、導電性を有する導電部材であり、本開示に係る「第2導電部材」の一例に相当する。各支持部材の材料としては、金属が好ましく、ニッケル水素電池においては、ニッケル、又は表面にニッケルめっきを施した金属(鉄や鉄鋼等)が特に好ましい。この実施の形態では、支持部材32a及び32bの各々の材料として、第2集電板30Bと同じ材料(すなわち、ニッケル)を採用する。
支持部材32aは、表面正極21aと表面正極21bとの間(図3に示すスペースR2)で第2集電板30Bに接続され、その接続部から中間正極22a、22bに向かって分岐した断面V字状の板状部材である。支持部材32aは、中間正極22aに向かって分岐した枝部321と、中間正極22bに向かって分岐した枝部322とを含む。支持部材32bは、表面正極21cと表面正極21dとの間(図3に示すスペースR4)で第2集電板30Bに接続され、その接続部から中間正極22c、22dに向かって分岐した断面V字状の板状部材である。支持部材32bは、中間正極22cに向かって分岐した枝部323と、中間正極22dに向かって分岐した枝部324とを含む。上記の各接続部(より特定的には、以下に説明する溶接部)は、第2集電板30Bの第1主面F21において第1正極層P1(表面正極21a〜21d)の隙間(表面正極間)に存在する。単位電池100においては、図3に示されるように、幅方向の一端(たとえば、スペースR1側の端)から他端(たとえば、スペースR5側の端)に向かって、第1ユニット200Aの支持部材と第2ユニット200Bの支持部材とが交互に配置されることになる。
図9において、接続部wdは、第2集電板30Bと各支持部材との境界(接続部)を示している。この実施の形態では、第2集電板30Bと各支持部材とを別々に形成して、第2集電板30Bに各支持部材を溶接している。こうすることで、第2集電板30Bと各支持部材とを高い接続強度で安定して接続することができる。ただし、第2集電板30Bと各支持部材との接続方法は、これらを物理的かつ電気的に接続できれば任意である。
中間正極22a及び22bは、どちらも支持部材32a(共通の支持部材)を介して第2集電板30Bに電気的に接続されている。中間正極22aには枝部321が接続され、中間正極22bには枝部322が接続されている。また、中間正極22c及び22dは、どちらも支持部材32b(共通の支持部材)を介して第2集電板30Bに電気的に接続されている。中間正極22cには枝部323が接続され、中間正極22dには枝部324が接続されている。複数の中間正極を共通の支持部材で支持することによって、少ない支持部材で多くの中間正極を支持することが可能になり、部品点数の増加や電池体格の増大を抑制することが可能になる。
支持部材32a及び32bは、第2集電板30B(ひいては、表面正極21a〜21d)から浮かした状態で中間正極22a〜22dを支持している。これにより、セパレータ41a〜41dで覆われた表面正極21a〜21dと、セパレータ42a〜42dで覆われた中間正極22a〜22dとの間には、それぞれ空間R21〜R24が形成される。そして、空間R21〜R24には、それぞれ図4に示した中間負極12a〜12dが配置される。図3に示される単位電池100において、支持部材32a及び32bの各々は、第2正極層P2(中間正極22a〜22d)との接続部から、第2負極層N2(中間負極12a〜12d)の隙間(中間負極間)を通過して第2集電板30Bに到達している。
図10は、図9の一部(中間正極22a)を拡大して示す図である。中間正極22a〜22dの構成は共通であるため、図10には1つの中間正極22aのみを代表的に示している。
図10を参照して、中間正極22aは、支持部材32aの枝部321に接続される導電基材220と、導電基材220の両面に形成される正極活物質層221及び222とを含む。中間正極22aの先端から基端まで(ただし、導電基材220と枝部321との接続部を除く)がセパレータ42aによって覆われている。この実施の形態では、支持部材32aの枝部321と導電基材220とが一体的に形成されている。すなわち、導電基材220は枝部321から連続して形成され、枝部321と導電基材220との間に継ぎ目は存在しない。支持部材32aと導電基材220とは、たとえば1枚の矩形板(より特定的には、ニッケル板)を、図9に示すような断面形状になるように曲げ加工することによって形成することができる。正極活物質層221及び222は、たとえば正極活物質を含有する正極合材を導電基材220の両面に塗工することにより形成することができる。なお、断面V字状の支持部材(支持部材32a及び32b)の形成方法は上記の方法に限られず任意であり、たとえば2枚の矩形板を接合(たとえば、溶接)して断面V字状の支持部材を形成してもよい。
支持部材32a(枝部321)と導電基材220との角度θ2は、両者の境界部(接続部)を曲げることによって調整できる。たとえば、角度θ2を略90°にして導電基材220(ひいては、中間正極22a及びセパレータ42a)を第2集電板30Bに平行に配置させることもできるし、図10中に二点鎖線で示すように、角度θ2を広げて略180°にすることもできる。
表面正極21a〜21d及び各中間正極の正極活物質層221、222に含まれる正極活物質としては、水酸化ニッケル(より特定的には、Ni(OH)2及び/又はNiOOH)を採用できる。なお、水酸化ニッケルは、充電によりNi(OH)2からNiOOHに変化し、放電によりNiOOHからNi(OH)2に変化するという特性を有する。なお、表面正極21a〜21d及び各中間正極の正極活物質層221、222は、正極活物質に加えてバインダ及び導電助剤等をさらに含んでいてもよい。
上記のような第1ユニット200Aと第2ユニット200Bとを組み合わせることによって、図3に示すような単位電池100を形成することができる。図11は、第1ユニット200Aと第2ユニット200Bとを組み合わせて単位電池を形成する方法の一例を説明するための図である。
図11を参照して、第1ユニット200Aと第2ユニット200Bとを組み合わせる際には、たとえば、各支持部材を広げた状態(すなわち、図8、図10に示す角度θ1、θ2を広げた状態)で、第1ユニット200Aと第2ユニット200BとをZ軸方向に近づける。各支持部材を広げることによって、中間負極間及び中間正極間の間隔が大きくなり、中間正極を表面負極に、中間負極を表面正極に近づけやすくなる。各支持部材(ニッケル板)は比較的軟らかいため、容易に折り曲げることができる。各支持部材の曲げやすさ及び強度は、たとえば各支持部材の厚みを変えることによって調整することができる。
次いで、各支持部材の角度を狭めながら、表面正極と中間正極との間に中間負極を収容するとともに、表面負極と中間負極との間に中間正極を収容して、中間負極及び中間正極の各々を集電板(第1集電板30A及び第2集電板30B)に対して平行にする。これにより、図7に示した空間R11〜R14にそれぞれ中間正極22a〜22d及びセパレータ42a〜42dが配置されるとともに、図9に示した空間R21〜R24にそれぞれ中間負極12a〜12dが配置され、図3に示すような単位電池100が形成される。単位電池100は、図2に示すシール部材52の内側に形成され、第1集電板30Aと第2集電板30Bとの間には電解液(たとえば、水酸化カリウム水溶液又は水酸化ナトリウム水溶液)が充填される。セパレータ41a〜41d及び42a〜42dの各々は、電解液を保持した状態で負極と正極との間に存在する。
上記のような方法により、単位電池100を形成することができる。次に、図2に示す積層体B10を形成する方法について説明する。図12は、積層体B10を形成する方法の一例を説明するための図である。
図2とともに図12を参照して、ユニット201と、ユニット202と、複数のユニット203とを組み合わせることによって、積層体B10を形成することができる。ユニット201とユニット202との間に複数のユニット203が挟まれるように配置する。ユニット201は、集電板30と、集電板30の第2主面に形成された負極形成部10とを含む。ユニット202は、集電板30と、集電板30の第1主面に形成された正極形成部20とを含む。複数のユニット203の各々は、集電板30と、集電板30の第2主面に形成された負極形成部10と、集電板30の第1主面に形成された正極形成部20とを含む。ユニット203の数は、積層体B10の積層数に対応させる。積層体B10の積層数は、たとえば電池モジュール1の容量等を考慮して決められる。
図12において、各ユニットの負極形成部10は、前述した第1ユニット200Aの負極形成部10(図7及び図8参照)と同じである。各ユニットの正極形成部20は、前述した第2ユニット200Bの正極形成部20(図9及び図10参照)と同じである。各ユニットの集電板30の周縁部にはシール部材51(図2)が設けられている。
図12に示すユニット201とユニット202と複数のユニット203とは、前述した単位電池100の形成方法(図11参照)により組み合わせることができる。前述したように、各支持部材の角度を変えながら負極形成部10と正極形成部20とを組み合わせることによって、各集電板30間に単位電池100を形成することができる。各集電板30間に単位電池100が形成されることによって、Z軸方向に複数の単位電池100と複数の集電板30とが交互に積層される。すなわち、図2に示すような積層体B10が形成される。積層体B10において、各集電板30は、両面に異なる極性の電極(負極及び正極)を有するバイポーラ電極に相当し、単位電池100における各中間負極及び各中間正極は、両面に同一極性の電極を有するモノポーラ電極に相当する。また、上記のように形成された積層体B10に、シール部材52及び拘束具(押圧板61,62、接続軸63,64、及びボルト71〜74)を取り付けることによって、電池モジュール1を製造することができる。
以上説明したように、電池モジュール1では、第1ユニット200Aと第2ユニット200Bとを組み合わせることによって容易に単位電池100を形成することができる。
また、電池モジュール1では、表面負極11a〜11d及び中間負極12a〜12dの各々が、長尺状に形成されている(図5参照)。そして、各中間負極が第1導電部材(支持部材31a〜31c)によって支持され、表面負極11a〜11dと中間負極12a〜12dとがそれぞれ対向するように配置されている(図4及び図5参照)。このように各中間負極が第1導電部材で支持されることによって、表面負極11a〜11dと中間負極12a〜12dとの間に、対極(中間正極)を配置するためのスペース(空間R11〜R14)を確保することができる(図7参照)。また、幅方向に並べられた長尺状の電極の隙間(電極間、及び電極の外側)に、第1及び第2導電部材を配置するためのスペースR1〜R5(図3)を確保することができる。
また、電池モジュール1では、各中間負極の長辺S11〜S14に第1導電部材(支持部材31a〜31c)が接続されている(図5参照)。このため、第1集電板30Aの電位は第1導電部材を介して各中間負極の長辺S11〜S14に印加される。印加された電位は、各中間負極において第1導電部材に接続される長辺S11〜S14(基端)から反対側の長辺(先端)に近づくにつれて減衰する。しかし、第1導電部材が中間負極の長辺に接続される場合には、第1導電部材が中間負極の短辺に接続される場合と比べて、基端から先端までの距離が短くなり、電位の減衰は少なくなる。このため、各中間負極における電位分布のばらつきを抑制することができる。
また、表面負極11a〜11dと中間負極12a〜12dとはいずれも第1集電板30Aに電気的に接続されている。すなわち、表面負極11a〜11dと中間負極12a〜12dとは互いに並列に接続されている。第1集電板30Aから同じ電位が表面負極11a〜11dと中間負極12a〜12dとに印加されるため、表面負極11a〜11dと中間負極12a〜12dとの間での電位のばらつきを抑制することができる。
電池モジュール1では、表面負極11a〜11dの各々が第1集電板30Aの表面で第1集電板30Aに電気的に接続されているため、各表面負極における電位分布のばらつきはほとんど生じない。そして、各中間負極における電位分布のばらつきも、上述のように抑制される。さらに、同様の構造を有する正極(表面正極及び中間正極)における電位分布のばらつきも、負極と同様に抑制される。
負極及び正極の各々における電位分布の均一化を図るためには、負極及び正極の各々の幅(たとえば、図5に示す幅D11〜D14、及び図6に示す幅D21〜D24)を5mm以上40mm以下にすることが好ましい。また、負極及び正極の各々の長さ(たとえば、図5に示す長さD1、及び図6に示す長さD2)は、その電極の幅の5倍以上であることが好ましい。負極及び正極の各々の長さをどの程度長くするか(ひいては、各電極の面積をどの程度にするか)は、たとえば電池モジュール1の容量等を考慮して決められる。
単位電池100では、表面負極、中間正極、中間負極、及び表面正極によって、図3に示すような積層体B1〜B4が形成され、正極の電位が負極の電位よりも高くなることによって負極と正極との間に電位差(電池電圧)が生じ、電池電流が各積層体の積層方向(Z軸方向)に流れる。上記の構造によれば、各電極における電位分布が均一になるため、上記の積層体B1〜B4の各々を構成する各電極面内での電流分布を均一にすることができる。
単位電池100においては、長尺状の電極が幅方向(X軸方向)に複数配置され、さらに厚み方向(Z軸方向)にも複数の電極(表面/中間)が配置されている(図3〜図6参照)。こうした構造により、単位電池100の十分な容量を確保しやすくなる。より具体的には、単位電池100間の接続抵抗(ひいては、電池の内部抵抗)を低く維持したまま単位電池100の容量を大きくすることができる。厚み方向に複数の電極が配置されることで、電極面積の増大(ひいては、電池体格の増大)を抑制しつつ単位電池100の容量を大きくすることが可能になる。また、厚み方向に配置された複数の電極が並列に接続されることで、接続抵抗の上昇が抑制される。
図5及び図6において、各電極間隔(たとえば、図5に示す間隔D15〜D17、及び図6に示す間隔D25〜D27)は任意に設定できる。たとえば、各支持部材を配置するためのスペースを確保できる範囲で各電極間隔を狭くしてもよい。
また、電池モジュール1では、第1導電部材(支持部材31a等)が、中間負極の一部(導電基材120)と一体的に形成され、中間負極とは反対側の第1導電部材の端部が第1集電板30Aに溶接されている。また、第2導電部材(支持部材32a等)が、中間正極の一部(導電基材220)と一体的に形成され、中間正極とは反対側の第2導電部材の端部が第2集電板30Bに溶接されている。こうした構造によれば、各電極における電位分布を均一にしやすくなる。しかしこれに限られず、たとえば各電極の1つの長辺に複数の線状導電部材(第1導電部材又は第2導電部材)が溶接又は導電性接着剤等により接続されてもよい。
電池モジュール1では、各支持部材が折り曲げ可能な材料及び形態で形成されている。これにより、第1ユニット200Aと第2ユニット200Bとを組み合わせる工程が容易になる。また、電池モジュール1では、複数の中間電極(中間負極、中間正極)を共通の支持部材(たとえば、断面V字状の支持部材)で支持することによって、部品点数の増加や電池体格の増加を抑制している。しかしこれに限られず、たとえば各支持部材が中間電極を1つずつ支持するようにしてもよい。
電池モジュール1では、各電極が、幅方向(X軸方向)に分割されているが、長さ方向(Y軸方向)には分割されていない(図5及び図6参照)。こうした構造によれば、部品点数(極板の枚数)を少なくすることが可能になる。しかしこれに限られず、たとえば各電極は幅方向及び長さ方向の両方に分割されてもよい。ただし、各電極の平面形状が長尺形状になるようにする。
電池モジュール1では、単位電池100が中間負極層と中間正極層とを1層ずつ(第2負極層N2、第2正極層P2)有する。こうした構造によれば、第1ユニット200Aと第2ユニット200Bとを組み合わせる工程が容易になる。しかしこれに限られず、単位電池が中間負極層及び中間正極層の各々を複数層有してもよい。たとえば、第1ユニット200Aに、第1集電板30Aに第3導電部材を介して物理的かつ電気的に接続された複数の中間負極(より特定的には、第2負極層の中間負極に対向する長尺状の電極)を含む第3負極層を追加するとともに、第2ユニット200Bに、第2集電板30Bに第4導電部材を介して物理的かつ電気的に接続された複数の中間正極(より特定的には、第2正極層の中間正極に対向する長尺状の電極)を含む第3正極層を追加し、第1集電板30A、第1負極層N1、第2正極層P2、第2負極層N2、第3正極層、第3負極層、第1正極層P1、及び第2集電板30Bがこの順に積層されるように第1ユニット200A及び第2ユニット200Bを配置して、第1集電板30Aと第2集電板30Bとの間に単位電池を形成してもよい。
第1ユニット200Aと第2ユニット200Bとで、極性(負極/正極)を逆にしてもよい。すなわち、図5、図7、及び図8に示すような構造を有するユニットで正極(表面正極及び中間正極)を形成し、図6、図9、及び図10に示すような構造を有するユニットで負極(表面負極及び中間負極)を形成してもよい。
図2に示した電池モジュールの構成を適宜変更してもよい。たとえば、シール部材及び拘束具の材質や構造は任意に変更できる。また、電位均等化のため、積層体B10における所定の集電板30間に均等化回路(抵抗素子やスイッチング素子等)を設けてもよい。
単位電池の種類は、ニッケル水素電池に限られず任意であり、たとえば、固体電解質を用いたバイポーラリチウムイオン電池(全固体電池)を上記のような構造にしてもよい。
電池モジュールが適用される対象は、車両に限られず任意である。適用対象は、たとえば、他の乗り物(船、飛行機等)であってもよいし、建物(住宅、工場等)であってもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。