JP2019167167A - クレーンのウインチシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】 吊荷25が宙吊り状態でウインチドラム13の回転を停止させた時に、ウインチドラム13から繰出された以降の部分で合成繊維ロープ14を把持し、ウインチドラム13部分の合成繊維ロープ14での伸び、食込み及び潰れの影響を受けないようにすることで吊荷25の降下を大幅に減少する。【解決手段】 合成繊維ロープ14を使用するクレーン2のウインチシステムであって、前記合成繊維ロープ14を巻き取り・巻き戻しするウインチ手段と、前記ウインチ手段のウインチドラム13から繰り出された以降の部分で合成繊維ロープ14を把持する把持手段17と、を備える。【選択図】 図1
Description
本発明は、合成繊維ロープ使用により発生する、「時間経過に伴う吊荷の降下」を低減するためのロープ把持装置を備えたウインチシステムに関する。
ワイヤロープと同等の強度を有しながらも単位長さ当たりの重量が小さいことから、クレーンのウインチシステムの吊荷用ロープとして合成繊維ロープの使用が検討されるようになってきた。
ところが、吊荷が宙吊りの状態でウインチドラムの回転を停止させたような、張力がかかったまま状態では、合成繊維ロープは伸びやウインチドラムでの食込み、潰れなどが発生する。そして、その為に時間の経過とともに吊荷が降下する現象が現れる。図5は、出願人が計測した「経過時間―吊荷の降下量」グラフである。
図5から分かるように、宙吊りにされた吊荷は初期に急速に降下したあと時間当たりの降下量が徐々に減少しつつも時間の経過とともに降下が継続し、数分間で数十mm降下する。なお、図5に示したグラフは、合成繊維ロープの特性の一例を示すものであって、合成繊維ロープの材質、編み方、長さ、直径、張力、温度、湿度、ウインチドラムでの巻層数、等により特性は大きく変化する。
出願人による実験によれば、ウインチドラム部分以外での合成繊維ロープの伸び自体は時間要素が少ないことが確認されている。それは、ウインチドラム部分以外では、吊荷による張力が合成繊維ロープに一瞬のうちに発生し、伸びも同時に発生するためと考えられる。
一方、ウインチドラム部分での合成繊維ロープの伸び、食込み及び潰れは時間要素が大きく、安定するまでに時間が掛かることが確認されている。すなわち、ウインチドラムに巻き取られた部分の合成繊維ロープは張力も小さく相互に摩擦力も作用するため、ウインチドラム部分での伸び、食込み及び潰れが時間の経過とともに徐々に進行するためと考えられる。
ところで、かご及び釣合重りを吊り下げる主索に合成繊維ロープを用いたエレベータにおいて、駆動シーブとそらせ車との間に移動可能な調整シーブを備えた主索の伸び補償装置が提案されている(特許文献1)。
しかし、クレーンのウインチは、釣合重りが存在しないなどエレベータとは構成が全く異なるため、特許文献1に記載された伸び補償装置を適用することは困難である。
そこで、本発明は、吊荷を宙吊り状態でウインチドラムの回転を停止させた時に、ウインチドラムから繰出された以降の部分で合成繊維ロープを把持し、ウインチドラム部分の合成繊維ロープの伸び、食込み及び潰れの影響を受けないようにすることで吊荷の降下を大幅に減少できるウインチシステムを提案する。
第1の発明のウインチシステムは、合成繊維ロープを使用するクレーンのウインチシステムであって、前記合成繊維ロープを巻き取り・巻き戻しするウインチ手段と、前記ウインチ手段から繰り出された以降の部分で合成繊維ロープを把持する把持手段と、を備えたことを特徴とする。
第1の発明のウインチシステムは、吊荷が宙吊り状態でウインチドラムの回転を停止させた時に、ウインチドラムから繰出された以降の部分で合成繊維ロープを把持手段により把持し、ウインチドラム部分の合成繊維ロープの伸び、食込み及び潰れの影響を受けないようにすることで吊荷の降下を大幅に減少できる。
第2の発明のウインチシステムは、前記クレーンは、伸縮ブームを備えた移動式クレーンであって、前記把持手段が、前記伸縮ブームに配置されることを特徴とする。
第2の発明のウインチシステムは、移動式クレーンのウインチシステムに合成繊維ロープを使用した場合にも、把持手段を伸縮ブームに配置することにより吊荷を宙吊り状態でウインチドラムの回転を停止させた時の吊荷の降下を大幅に減少できる。
第3の発明のウインチシステムは、前記ウインチ手段のウインチドラムが回転停止したとき、前記把持手段により前記合成繊維ロープを把持するよう、前記ウインチ手段と前記把持手段とを関連付けたことを特徴とする。
第3の発明のウインチシステムは、ウインチ手段のウインチドラムが回転停止すると自動的に把持手段が合成繊維ロープを把持するので、オペレータがいちいち把持手段を操作する手間が省ける。
第4の発明のウインチシステムは、前記把持手段は、把持装置と、油圧供給装置と、を備え、前記把持装置は、前記合成繊維ロープが貫通する円筒形弾性部と、前記円筒形弾性部の外周を密閉して取り囲む圧力容器部と、から構成され、前記円筒形弾性部はゴム又は樹脂により構成されており、前記圧力容器部に前記油圧供給装置から油圧が供給されると、前記円筒形弾性部の内径が縮小変形し前記合成繊維ロープの外周が圧迫されることで前記合成繊維ロープが把持されることを特徴とする。
第4の発明のウインチシステムは、把持装置内部に位置する合成繊維ロープの全長に渡って、円筒形弾性部が合成繊維ロープを均一に圧迫して把持するので、合成繊維ロープを傷めることなく確実に把持することができる。
本発明のウインチシステムは、吊荷が宙吊り状態でウインチドラムの回転を停止させた時に、ウインチドラムから繰出された以降の部分の合成繊維ロープを把持し、ウインチドラム部分の合成繊維ロープでの伸び、食込み及び潰れの影響を受けないようにすることで吊荷の降下を大幅に減少できる。
図1は、本発明の実施の形態に係るウインチシステムを搭載したラフテレーンクレーン2である。ラフテレーンクレーン2は、アウトリガのジャッキ3を接地したアウトリガ張り出し姿勢となっている。下部走行体4に対し旋回自在となるよう搭載された旋回フレーム5には運転室6が配置されている。運転室6内部には、ウインチ操作レバー7が配置されている。
旋回フレーム5に対して伸縮ブーム10が起伏自在となるよう、ピン11により連結されている。旋回フレーム5と伸縮ブーム10の間には、起伏シリンダ12が介装されている。旋回フレーム5に搭載されたウインチ手段のウインチドラム13から繰り出された合成繊維ロープ14は、伸縮ブーム10の背面8に沿ってブームヘッド15に送られている。
さらに、ブームヘッド15から吊り下げられた合成繊維ロープ14は、フックブロック20のシーブ21及びブームヘッド15のシーブ22に掛け回される。合成繊維ロープ14の端部は、フックブロック20又はブームヘッド15に係止される。フックブロック20のフック23には玉掛けワイヤ24が掛けられる。玉掛けワイヤ24によって吊荷25が吊り下げられている。
ベースブーム16の先端付近背面8には、合成繊維ロープ14を把持する把持手段17が配置されている。合成繊維ロープ14は、把持手段17の内部を貫通している。把持手段17には、旋回フレーム5よりベースブーム16に沿って油圧配管(図示しない)されている。
図2は実施の形態に係るウインチシステム30のブロック図である。ウインチドラム13の回転方向及び回転速度の操作信号が、ウインチ操作レバー7からコントローラ31に出力される。コントローラ31は、操作信号に対応する駆動信号をウインチ手段32に対し出力する。また、コントローラ31は、把持手段17に対しても駆動信号を出力する。
ウインチ手段32では、合成繊維ロープ14が巻き取られるウインチドラム13が、減速機34を介して油圧モーター35によって駆動される。油圧ポンプ36から吐出された圧油が、パイロット式切換弁37によって方向と流量を制御され油圧モーター35へ供給される。パイロット式切換弁37と油圧モーター35との間の油路にはカウンタバランス弁38が介装されている。
巻上げ側電磁比例弁40は、コントローラ31からの駆動信号に応じた巻上げ側パイロット圧を生成し、パイロット式切換弁37に供給する。巻下げ側電磁比例弁41は、コントローラ31からの駆動信号に応じた巻下げ側パイロット圧を生成し、パイロット式切換弁37に供給する。上述した構成によって、図2に示すウインチシステム30ではウインチ操作レバー7の操作方向と操作量に応じてウインチドラム13が駆動される。
図2に示したウインチシステム30では、ウインチ操作レバー7が中立位置に戻されると、コントローラ31から把持手段17に駆動信号が出力される。すなわち、ウインチ手段32のウインチドラム13が回転停止したとき把持手段17により合成繊維ロープ14を把持するよう、ウインチ手段32と把持手段17とが関連付けられている。
図3は、実施の形態に係る把持手段17の全体構成図である。把持手段17は、把持装置50と油圧供給装置51とを備えている。把持装置50の右半分は断面図で表している。把持装置50は、合成繊維ロープ14が貫通する円筒形弾性部52と、円筒形弾性部の外周を密閉して取り囲む圧力容器部53とから構成されている。
図4は、図3の把持装置50のA−A矢視断面詳細図である。図4に示した円筒形弾性部52は、ゴム又は樹脂により構成されており、圧力容器部53に油圧が供給されると、外周に加わる圧力Pにより円筒形弾性部52全体が弾性変形しその内径が縮小し、内部の合成繊維ロープ14の外周が圧迫されることで相互に摩擦力が発生し、合成繊維ロープ14が把持される。
図3に示した油圧供給装置51は、油圧ポンプ54が油圧タンク55から作動油を吸い込み加圧して吐出する。油圧ポンプ54から吐出された圧油は、リリーフ弁55で調圧され、アキュムレータ56で蓄圧される。電磁切換弁57はコントローラ31の駆動信号により切り換えられる。電磁切換弁57が連通側に切り換わると、油路58を経由して圧油が把持装置50の圧力容器部53に送られる。
以上、その構成を説明した実施の形態に係るウインチシステム30の機能について図1〜図4に基づき説明する。
ウインチ操作レバー7が巻上げ側あるいは巻下げ側に操作され、ウインチドラム13が回転している間は、コントローラ31は把持手段17に駆動信号を出力せず、把持手段17は合成繊維ロープ14を把持しない。すなわち、把持装置50(図3参照)内部を合成繊維ロープ14は自由に移動している。このとき、図4に示すように、円筒形弾性部52は自身の持つ弾性により円周方向に拡張しており、その内径も合成繊維ロープ14の外径よりも大きくなっている。そのため、合成繊維ロープ14は、円筒形弾性部52の長手方向に対し自由に移動が可能となっている。
ウインチ操作レバー7が巻上げ側あるいは巻下げ側から中立位置に操作され、ウインチドラム13が停止すると、コントローラ31は把持手段17に駆動信号を出力し、把持手段17は合成繊維ロープ14を把持する。すなわち、図3に示した電磁切換弁57が切り換えられ圧油が把持装置50の圧力容器部53に送られる。すると、円筒形弾性部52(図4参照)の内径が縮小変形し合成繊維ロープ14の外周が圧迫され合成繊維ロープ14が把持される。
これにより、図1に示すベースブーム16の背面8に配置された把持装置17が合成繊維ロープ14を把持しているので、ウインチドラム13部分の合成繊維ロープ14の伸び、食込み及び潰れの影響を受けない。そのため、宙吊り状態の吊荷25の降下が大幅に減少する。
次に、ウインチ操作レバー7を巻上げ側あるいは巻下げ側に操作すると、図2に示したコントローラ31からウインチ手段32に駆動信号が出力されウインチドラム13が回転起動すると同時に、図3に示した油圧供給装置51の電磁切換弁57が図示の状態(図2参照)に戻り圧力容器部53内部の圧油が油路58を経由して作動油タンク55に戻される。すると、把持装置50は合成繊維ロープ14を把持しなくなるので、合成繊維ロープ14は把持装置50内部を自由に移動できるようになる。
上述した実施の形態では、ウインチ手段32と把持手段17とを関連付け、ウインチ操作レバー7を中立位置に戻すと自動的に合成繊維ロープを把持する例を説明したが、オペレータが必要な時に把持手段17を手動操作するようにしても良い。図5の「経過時間―吊荷の降下量」グラフに示すように、合成繊維ロープで吊り下げた吊荷は比較的ゆっくりと降下するので操作は容易である。あるいは、ウインチ手段32と把持手段17とを関連付ける選択スイッチを設け、関連付けの有無を必要により選択するようにしてもよい。
2: ラフテレーンクレーン
10:伸縮ブーム
13:ウインチドラム
14:合成繊維ロープ
17:把持手段
30:ウインチシステム
50:把持装置
51:油圧供給装置
52:円筒形弾性部
53:圧力容器部
10:伸縮ブーム
13:ウインチドラム
14:合成繊維ロープ
17:把持手段
30:ウインチシステム
50:把持装置
51:油圧供給装置
52:円筒形弾性部
53:圧力容器部
Claims (4)
- 合成繊維ロープを使用するクレーンのウインチシステムであって、
前記合成繊維ロープを巻き取り・巻き戻しするウインチ手段と、
前記ウインチ手段から繰り出された以降の部分で合成繊維ロープを把持する把持手段と、
を備えたことを特徴とするクレーンのウインチシステム。 - 前記クレーンは、伸縮ブームを備えた移動式クレーンであって、
前記把持手段が、前記伸縮ブームに配置されることを特徴とする、
請求項1に記載されたクレーンのウインチシステム。 - 前記ウインチ手段のウインチドラムが回転停止したとき、前記把持手段により前記合成繊維ロープを把持するよう、前記ウインチ手段と前記把持手段とを関連付けたことを特徴とする、
請求項1又は2に記載されたクレーンのウインチシステム。 - 前記把持手段は、把持装置と、油圧供給装置と、を備え、
前記把持装置は、前記合成繊維ロープが貫通する円筒形弾性部と、前記円筒形弾性部の外周を密閉して取り囲む圧力容器部と、から構成され、
前記円筒形弾性部はゴム又は樹脂により構成されており、前記圧力容器部に前記油圧供給装置から油圧が供給されると、前記円筒形弾性部の内径が縮小変形し前記合成繊維ロープの外周が圧迫されることで前記合成繊維ロープが把持されることを特徴とする、
請求項1〜3に記載されたクレーンのウインチシステム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018053737A JP2019167167A (ja) | 2018-03-22 | 2018-03-22 | クレーンのウインチシステム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018053737A JP2019167167A (ja) | 2018-03-22 | 2018-03-22 | クレーンのウインチシステム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019167167A true JP2019167167A (ja) | 2019-10-03 |
Family
ID=68108035
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018053737A Pending JP2019167167A (ja) | 2018-03-22 | 2018-03-22 | クレーンのウインチシステム |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2019167167A (ja) |
-
2018
- 2018-03-22 JP JP2018053737A patent/JP2019167167A/ja active Pending
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