以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第一の実施形態)
図1〜図5は、それぞれ本発明の第一の実施形態である眼科装置を示す正面図、側面図及び背面図である。
なお、本明細書を通じて各図に記すようにX軸、Y軸及びZ軸を取り、図1(b)における左右方向(X軸正方向が左方向、負方向が右方向)、前後方向(Y軸正方向が後方向、負方向が前方向)及び上下方向(Z軸正方向が上方向、Z軸負方向が下方向)を基準として明細書中の説明を行う。また、水平方向とはX−Y平面に沿った方向、垂直方向とはZ軸に沿った方向である。
より詳細には、図1は検者が眼科装置を間に介して被検者に向かい合って検査を行う場合のモニタ部の位置を説明するための図であり、図1(a)はモニタ部の表示面が検者の側に向けられている状態を示す側面図、図1(b)は図1(a)に示す矢印A方向からモニタ部の表示画面を目視した状態を示す正面図である。
また、図2は被検者と同じ側に検者が立って検査を行う場合のモニタ部の位置を説明するための図であり、図2(a)はモニタ部の表示面が被検者の側に向けられている状態を示す側面図、図2(b)は図2(a)に示す矢印B方向からモニタ部の表示画面を目視した状態を示す背面図である。
また、図3は眼科装置の右側に検者が立った状態で検査を行う場合のモニタ部の位置を説明するための図であり、図3(a)は図3(b)に示す矢印C方向からモニタ部の表示画面を目視した状態を示す眼科装置の側面図、図3(b)は被検者から見てモニタ部の表示画面が右側に向けられている状態を示す背面図である。
さらに、図4は眼科装置の右側に検者が座った状態で検査を行う場合のモニタ部の位置を説明するための図であり、図4(a)は図4(b)に示す矢印D方向からモニタ部の表示画面を目視した状態を示す側面図、図4(b)は被検者から見てモニタ部の表示画面が右側に向けられている状態を示す背面図である。
そして、図5は眼科装置の左側に検者が座った状態で検査を行う場合のモニタ部の位置を説明するための図であり、図5(a)は図5(b)に示す矢印E方向からモニタ部の表示画面を目視した状態を示す側面図、図5(b)は被検者から見てモニタ部の表示画面が左側に向けられている状態を示す背面図である。
これら図において、本実施の形態である眼科装置1は、ベース部2と測定ヘッド3とを有する。ベース部2の前方には顎受け部4が設けられ、この顎受け部4の上部には、この顎受け部4と一体に形成された額当て5が設けられている。本実施の形態である眼科装置1の被検者は、眼科装置1の前方に設けられた椅子等に座った状態で眼科装置1と対峙し、顎受け部4に顎を置き、額当て5に額を当てた状態で検査を受ける。
測定ヘッド3の内部には、図1〜図5に破線で示すように、公知の観察・撮影用の光学系6が設けられている。この光学系6により、被検者の前眼部、被検眼の角膜、眼底等が観察・撮影可能である。
ベース部2には、図1〜図5に破線で示すように、測定ヘッド3を駆動する公知の駆動機構・駆動回路8が設けられている。駆動機構・駆動回路8の駆動部には、例えば、図示を略すステッピングモータが用いられる。
測定ヘッド3は、モニタ部10のタッチパネル式の表示面25を操作することにより、駆動機構・駆動回路8によりベース部2に対して水平方向及びこれに垂直な垂直方向に駆動される。これにより、測定ヘッド3はベース部2に水平方向及びこれに垂直な垂直方向にそれぞれ可動可能に支持されている。
測定ヘッド3の左右両側面には、眼科装置1の前方及び後方が撮像可能なカメラ30a、30bがそれぞれ設けられている。このカメラ30a、30bは、眼科装置1の前方及び後方に検者または被検者が着座し、あるいは立ったとき、検者または被検者の位置を検出するとともに、眼科装置1の前方及び後方に位置する検者及び被検者の顔認証を行う。カメラ30a、30bによる検者及び被検者の認証の詳細については後述する。
また、モニタ部10には、図1〜図5に破線で示すように、眼科装置1の周囲に人間が存在するか否かを検知し、さらに人間を検知したらその人間がどの方向に存在するかを検出する人感センサ31が設けられている。人感センサ31としては、公知の人感センサが好適に適用可能である。一例として、赤外線を用いて周囲の温度変化を検知することで人間の存在及びその方向を検出するセンサ、音波(含む超音波)や光(含む赤外光)を周囲に放射してその反射波により人間の存在及びその方向を検出するセンサなどが好適に挙げられる。
また、検者または被検者が電波、音波(含む超音波)、光(含む赤外光)を放射するプローブ(端末)を常時所持しているならば、この電波、音波または光を検出するセンサであっても本実施の形態である眼科装置1に用いられる人感センサ31として好適に適用可能である。
このようなプローブには、特定の通信方式、例えばBluetooth(登録商標)、無線LAN、IrDAといった通信方式に則って電波等を放射するものも含まれ、このような場合、人感センサ31は個々のプローブとの間で通信を行うことで個々のプローブ、ひいては個々の検者または被検者の存在を検知し、認証することが可能である。
人感センサ31の検出距離、つまり、人感センサ31を中心としてどの程度の半径の円内に人間が立ち入ったら人感センサ31がその存在を検出するかについては適宜定められるが、一例として、7m程度の検出範囲を有することが好ましい。一定の検出範囲を有する人感センサ31を用いることにより、検者が眼科装置1に近接した時点で人感センサ31が検者を検出することができる。
本実施の形態である眼科装置1に備えられた人感センサ31が検知する人間の方向とは、少なくともこの眼科装置1を上から見た状態で、つまり平面視した状態で、基準とする方向に対してどの角度に人間が存在するかを指す。加えて、検知した人間が座位であるか立位であるかも、ここにいう方向に含まれることが好ましい。但し、眼科装置1を平面視した状態での角度、及び、座位であるか立位であるかについての解像度は精密なものである必要はなく、例えば、人間(検者)が眼科装置1の前後左右いずれの位置にいるか、また、座位であるか立位であるかが少なくとも判別できる程度のものでよい。
人感センサ31による検者及び被検者の検出の詳細については後述する。
測定ヘッド3の頂部9には、モニタ部10が取り付けられた取付部11が設けられている。モニタ部10は、被検眼像及び操作ボタン像を少なくとも提示可能なタッチパネル式の表示面25を有する。
取付部11の概略構成について、図6等を参照して説明する。図6に拡大して示すように、取付部11は、図6において図略の測定ヘッド3の頂部9に固定された固定部Rを有する。この固定部Rは、板金製の垂直軸受け部材12と、板金製の水平軸受け部材13とから概略構成されている。
垂直軸受け部材12は、略平板状の台座部12aと、この台座部12aの左右両端部に設けられ、この台座部12aから左右にそれぞれ延出する一対の固定板部12bとから概略構成されている。
固定板部12bは、ネジ等の図略の固定部材により、測定ヘッド3の頂部9に固定されている。台座部12aの略中央部には、長手方向が垂直方向に延在する垂直筒部14が、例えば溶着手段により溶着固定されている。
水平軸受け部材13は、図6及び図7に示すように、水平板部13aと、この水平板部13aの左右両端部から図中上方に立ち上げられて形成された一対の支承板部13bとから構成されている。
水平板部13aの略中央部には、図7に示すように、その中央に円形開口13cが形成されており、垂直筒部14はこの円形開口13cに挿入されている。
図8に示すように、垂直筒部14の上端部には径の狭い段差部14aが形成されている。垂直筒部14の段差部14aには、水平軸受け部材13の水平板部13aを図中上下から挟むようにして円板状の摩擦リング板15が挿入されていると共に、この摩擦リング板15と水平板部13aとを挟むようにして、摩擦リング板15よりも小径の円板状の抜け止めリング部材15′が嵌め込まれている。
これにより、水平板部13aは、垂直筒部14の段差部14aに支承され、さらに、抜け止めリング部材15′と摩擦リング板15により垂直軸方向に適宜の下方への圧力を受けつつ垂直筒部14の軸回り、より正確にはZ軸方向に沿った回転軸回りに適宜の力を受けて回動可能とされ、垂直軸(Z軸)回りの適宜の位置で停止状態を維持可能とされている。
一対の支承板部13b、13bには、図6及び図7に示すように、本発明の支持部を構成する支持アーム部材13dが取り付けられている。この支持アーム部材13dは、一対のアーム板部13e、13fと、これらアーム板部13e、13fの先端部に架け渡された取付けブラケット板部13gとを有する。
図6及び図7において左上側に位置するアーム板部13eには水平軸支部13hが設けられている。一方、図6及び図7において右下側に位置するアーム板部13fには円形開口13jが形成されている。
水平軸支部13hは一方の支承板部13b、すなわち図6及び図7において左上側に位置する支承板部13bに、水平軸回り、より正確にはX軸方向に沿った回転軸に沿って回動可能に支承されている。水平軸支部13hには公知のトルクヒンジ部材が用いられる。このトルクヒンジ部材により水平軸回りの回動力の調整を行うことができる。
他方の支承板部13b、すなわち図6及び図7において右下部に位置する支承板部13bには、円形開口13jに対向する位置に、この円形開口13jと略同径の円形開口13kが形成されている。そして、これら円形開口13j、13kには、図6、図7及び図9に示すように中空筒部19が挿通されている。この中空筒部19は他方の支承板部13bに固定されている。
これにより、支持アーム部材13dはこの中空筒部19と水平軸支部13hとにより水平軸回り、より正確にはX軸方向に沿った回転軸に沿って回動可能とされている。従って、これら中空筒部19及び水平軸支部13hにより、本実施形態の水平軸部Hが構成されている。一方、支持アーム部材13dは、これを支持する水平軸受け部材13が垂直筒部14、摩擦リング板15及び抜け止めリング部材15′により垂直軸回り、より正確にはZ軸方向に沿った回転軸に沿って回動可能とされている。従って、これら垂直筒部14、摩擦リング板15及び抜け止めリング部材15′により、本実施形態の垂直軸部Vが構成されている。
図8に詳細を示すように、垂直軸部Vには、水平軸受け部材13、より正確には支承板部13bを垂直軸回り、より正確にはZ軸方向に沿った回転軸に沿って回転駆動させる垂直回転駆動部32が設けられている。垂直回転駆動部32は、垂直軸受け部材12と水平軸受け部材13との間に図略の支持機構により支持されたDCモータ33と、このDCモータ33の出力軸33aの先端に取り付けられた歯車34と、水平軸受け部材13の支承板部13bの下部側面に円形開口13cと同心円状に設けられ、この歯車34に噛合するリング状の歯車35とを有する。
従って、垂直回転駆動部32のDCモータ33に駆動電源を供給すると、DCモータ33の出力軸33aが回転駆動され、出力軸33aの回転駆動に伴って歯車34、35が回転駆動されることで、水平軸受け部材13が垂直軸回りに回転駆動される。
また、垂直軸部Vには、水平軸受け部材13の回転位置を検出する垂直回転位置検出部36が設けられている。この垂直回転位置検出部36は、支承板部13bの下面に設けられたリング状の検出板37と、この検出板37に対向する位置に設けられ、検出板37の移動距離を検出する検出センサ38とを有する。一例として、検出板37は周期的に白黒模様が描かれた板であり、検出センサ38はこの検出板37からの反射光の強度を検出する光センサである。
また、図9に詳細を示すように、水平軸部Hには、支持アーム部材13dを水平軸周り、より正確にはX軸方向に沿った回転軸に沿って回転駆動させる水平回転駆動部40が設けられている。水平回転駆動部40は、一対のアーム板部13e、13f間に図略の支持機構により支持されたDCモータ41と、DCモータ41の出力軸41aの先端に取り付けられた歯車42と、図9において右側の支承板部13bに同軸状に設けられ、この歯車42に噛合する歯車43とを有する。
従って、水平回転駆動部40のDCモータ41に駆動電源を供給すると、DCモータ41の出力軸41aが回転駆動され、出力軸41aの回転駆動に伴って歯車42、43が回転駆動されることで、支持アーム部材13dが水平軸回りに回転駆動される。
また、水平軸部Hには、支持アーム部材13dの回転位置を検出する水平回転位置検出部であるエンコーダ44が設けられている。
中空筒部19には、図9に示すようにその軸方向(長手方向)に間隔を開けて一対の環状溝20、20が形成されている。これら環状溝20、20には、軸方向の抜け止めリング部材としてのC形止め輪21、21がそれぞれ装着されている。これにより、中空筒部19は支承板部13bに対する軸方向の抜け止めが図られている。
中空筒部19には、図9に示すように、樹脂製の軸受けフランジ部材22が貫挿されている。支持アーム部材13dは、この軸受けフランジ部材22に適宜の力を受けて回動可能に摺接されている。
なお、図9において、符号13f′はアーム板部13fに屈曲形成された屈曲板部であり、円形開口13jはこの屈曲板部13f′に形成され、アーム板部13fはこの屈曲板部13f′を介して中空筒部19に回動可能に支承されている。
中空筒部19を回動可能に支承する支承板部13bには、図6及び図10に拡大して示すように、水平軸回り方向、より正確には支承板部13bの周方向に間隔を開けて一対の突起部13m、13mが形成されている。図10に示すように、これら突起部13m、13mの間にC形止め輪21の開放端部21a、21aが配置されている。
中空筒部19は、突起部13m、13mの間にC形止め輪21の開放端部21a、21aが配置されることにより、中空筒部19の水平軸回り方向の回転が阻止され、中空筒部19の耐久性の向上が図られている。
図6に示すように、中空筒部19の貫通穴19a及び垂直筒部14の貫通穴14bを通じて、モニタ部10と測定ヘッド3とを電気的に接続するリード線16bが引き出されている。これにより、モニタ部10の回動操作に伴うリード線16bのねじれが防止される。
上述したように、取付けブラケット板部13gは、図6、図7及び図9に示すように、一対のアーム板部13e、13fの先端部に跨って配置されている。取付けブラケット板部13gには、図7に示すように、回路基板23が配設されている。
回路基板23の裏側には図略の制御回路ユニットが配設され、その表側には、図1(b)、図2(b)、図3(a)、図4(a)、図5(a)に示す表示面25を有する液晶ディスプレイ25jが回路基板23と略並行に配設されている。
図10に最もよく示すように、取付けブラケット板部13gと一対のアーム板部13e、13fの為す角度は鈍角である。より正確には、取付けブラケット板部13gの面の法線と水平軸部Hの回転軸(X軸)を通る垂直面(X−Z平面)との為す角度が鈍角となるように、取付けブラケット板部13g及びアーム板部13e、13fの形状が定められている。
そして、モニタ部10を構成する液晶ディスプレイ25jの表示面25は取付けブラケット板部13gの(右)面と略並行であるので、結果的にモニタ部10と支持アーム部材13dとの為す角度が鈍角となる。これにより、モニタ部10の検者に対面する側から被検者に対面する側への位置変更作業を支障なく行うことができる。
アーム板部13eと支承板部13bとには、図11に示すように、モニタ部10(一対のアーム板部13e、13f)の水平軸回りの回動を検出する検出センサ26a、26bが設けられている。これら検出センサ26a、26bは、例えば、モニタ部10の表示面25が水平状態のときにオンし、水平状態から所定角度を超えたときに、オフする構成とされている。
制御回路ユニット24は、その検出センサ26a、26bと協働して、モニタ部10が水平軸回りに回動されて、その表示面25が逆さまになる前と逆さまになったときとで、被検眼像と操作ボタン像との見た目上の位置が同じ位置となるように、かつ、表示面25に表示される画像情報が上下左右反転するように制御する。
制御回路ユニットは、例えば、その検出センサ26a、26bによる出力信号の立ち上がりと立ち下がりを検出すると、その表示面25による画像情報が上下左右反転するように制御する。
表示面25は、図11に拡大して示すように、矩形状とされている。表示面25には、被検眼像等表示領域25cと操作ボタン像表示領域とが設けられている。被検眼像等表示領域25cには、その画面中央に矩形状の目標エリアマーク25gと最小瞳孔径判定マーク25hとが表示されている。
操作ボタン像表示領域は、表示面25に向かってその被検眼像等表示領域25cを挟んでその左右両辺部と被検眼像等表示領域25cの下辺部とに設けられている。
操作ボタン像表示領域には、表示面25に向かって左側の表示領域25dにキーボードボタンB1、RボタンB2、顎受け上下動ボタンB3、測定モードボタンB4が配置されている。表示面25に向かって右側の表示領域25eにセットアップボタンB5、LボタンB6、測定ヘッド3を前後動させる測定ヘッド前後ボタン(Z方向ボタン)B7、スタートボタンB8、マニュアル・オート切り替えボタンB9が配置されている。
表示面25に向かって下辺部の表示領域25fに白内障ボタンB10、ターゲット像ボタンB11、角膜直径ボタンB12、プリントボタンB13、グラフィックプリントボタンB14、観察像表示ボタンB15、全測定値クリアボタンB16が配置されている。
キーボードボタンB1は患者のIDを入力するのに用いられ、測定モードボタンB4は、レフ(眼屈折力)、ケラト(角膜形状)、レフ/ケラトのいずれかの測定モードに切り替えるのに用いられ、RボタンB2は右眼を選択するのに用いられ、LボタンB6は左眼を選択するのに用いられ、スタートボタンB8はマニュアルモード時に測定を開始させるのに用いられ、セットアップボタンB5はセットアップ画面を表示するのに用いられる。
白内障ボタンB10は白内障等があって測定エラーが生じやすいときに用いられ、ターゲット像ボタンB11は記憶している測定ターゲットを表示面25に表示させる際に用いられ、角膜直径ボタンB12は角膜の直径を測定するモードに切り替える際に用いられる。
プリントボタンB13は測定結果をプリントアウトするのと紙送りをするのとに用いられ、グラフィックプリントボタンB14は屈折状態示す図形をプリントアウトするのに用いられ、観察像表示ボタンB15は観察像を表示するのに用いられ、全測定値クリアボタンB16は全測定値をクリアするのに用いられる。
顎受け上下動ボタンB3は、顎受け部4の高さを上下動させて、被検者の被検眼の高さを調整するのに用いられる。測定ヘッド前後ボタン(Z方向ボタン)B7は被検眼に対して測定ヘッド3を前後方向に駆動させる際に用いられる。
なお、最小瞳孔径判定マーク25hは、この最小瞳孔径判定マーク25h以下の瞳孔径の場合、測定を中止するのに用いられる。
被検眼像等表示領域25cには、観察中の前眼部像の他、測定結果やその他検査に関連する文字、記号、符号等の他、図形等の画像が適宜表示される。
本実施の形態である眼科装置では、被検眼像等表示領域25cには被検者の前眼部像Gfと測定結果S,C、Aが表示される。ここで、図11において、Gf′は虹彩像、Gf”は瞳孔像である。また、P1は角膜輝点像、P2はアライメント指標像である。
次に、図12を参照して、眼科装置1の制御系の構成を説明する。
本実施の形態である眼科装置1は、制御部50、駆動部51、位置検出部(検出部)52、測定部53、操作部54、検出センサ部55、カメラ部(撮像部)56、表示部57及び記憶部58を有する。
制御部50は、眼科装置1における電気制御系を構成するものであり、内蔵する内部メモリ50aに格納されたプログラムにより眼科装置1の各部を統括的に制御する。
制御部50は、測定部53からの測定結果及び操作部54からの操作指示に基づいて、駆動部51を適宜駆動制御して、位置検出部52による位置検出結果を参照しながらベース部2に対する測定ヘッド3の水平及び垂直方向の位置を調整する。加えて、制御部50は、位置検出部52からの支承板部13b及び支持アーム部材13dの回転位置検出結果に基づいて、駆動部51を適宜駆動制御して、支承板部13b及び支持アーム部材13dの回転位置を制御する。
また、制御部50は、操作部54からの操作指示に基づいて測定部53による被検眼像の観察及び検査を行い、撮像された被検眼像及び検査結果を、例えば図11に示すように表示部57の表示面25に表示する。さらに、制御部50は、図11に示すように表示部57の表示面25に各種操作ボタン像を表示させる。
また、制御部50は、内部メモリ50aに格納されたプログラムが実行されることにより、検者認識部50b及び駆動制御部50cとしても動作する。
検者認識部50bは、検出センサ部55及びカメラ部56から出力される信号に基づいて、少なくとも眼科装置1の検者、好ましくは加えて被検者の顔の方向を検出する。
また、駆動制御部50cは、位置検出部52及び検者認識部50bの検出結果に基づいて、モニタ部10の表示面25を検者顔の方向に向けるように駆動部51を制御する。
加えて、検者認識部50bは、カメラ部56による撮像結果に基づいて検者の顔認識を行い、駆動制御部50cは、検者認識部50bによる顔認証の結果、この顔認証が成功したら、モニタ部10の表示面25を検者の顔の方向に向けるように駆動部51を制御する。
これら検者認識部50b及び駆動制御部50cの動作の詳細については後述する。
駆動部51は、ベース部2に設けられた駆動機構・駆動回路8、及び、取付部11に設けられ、支承板部13b及び支持アーム部材13dを垂直軸回り及び水平軸周りにそれぞれ回転駆動する垂直回転駆動部32、水平回転駆動部40を含む。駆動部51は、駆動制御部50cを含む制御部50からの指示に基づいて、測定ヘッド3及び取付部11を駆動する。
位置検出部52は、駆動機構・駆動回路8が有する、ベース部2に対する測定ヘッド3の水平及び垂直位置の検出部、及び、垂直回転駆動部32と水平回転駆動部40とがそれぞれ有する垂直回転位置検出部36と水平回転位置検出部44を含む。位置検出部52は、これら検出部の検出結果を制御部50の検者認識部50bに出力する。
測定部53は、測定ヘッド3の内部に設けられた光学系6を含み、制御部50からの指示に基づいて眼科装置1の前方に位置する被検者の被検眼像を観察しつつ検査を行う。
操作部54は、モニタ部10の表示面25に設けられた図略のタッチパネルを含み、表示面25に表示された各種操作ボタン像に対する操作入力を受け入れ、この操作入力信号を制御部50に出力する。なお、眼科装置1のベース部2にジョイスティックや操作ボタンが備えられている場合、これらジョイスティック等も操作部54に含まれる。
検出センサ部55は、測定ヘッド3に設けられた人感センサ31を含み、眼科装置1の周囲の人間の存在を検出し、さらに人間が存在するときはその方向を検出する。検出センサ部55は、その検出結果を制御部50に出力する。
カメラ部56は、測定ヘッド3に設けられたカメラ30a、30bを含み、眼科装置1の前方及び後方を撮像してその撮像結果を制御部50に出力する。
表示部57はモニタ部10を含み、制御部50からの表示制御信号に基づいて表示面25に、一例として図11に示すような画像を表示する。
記憶部58は、制御部50による眼科装置1の制御中に用いられる各種データを一時的に格納する。また、記憶部58には、検者認識部50bによる検者の顔認識の際に用いられる検者データ58aが格納されている。この検者データ58aは、特定の検者の顔の特徴量等を含む。好ましくは、この検者データ58aは複数の検者のデータである。
次に、図13のフローチャートを参照して、本実施の形態である眼科装置1の動作について説明する。
図13に示すフローチャートは、眼科装置1の電源投入により開始する。まず、ステップS1では、制御部50の内部メモリ50aに格納されたプログラムが実行され、制御部50により各部の初期設定が行われる。
次いで、ステップS2では、人感センサ31を含む検出センサ部55の検出結果に基づいて、検者認識部50bは眼科装置1の周囲に人間(検者)が存在するか否か、存在するとすればその方向を検出する。
次いで、ステップS3では、カメラ30a、30bを含むカメラ部56の撮像結果に基づいて、検者認識部50bは検者の顔及びその方向を検出し、さらに、カメラ部56の撮像結果と記憶部58に格納されている検者データ58aとに基づいて、検者の顔認証を行う。
検者認識部50bによる顔認証動作の詳細については、周知の顔認証方式が好適に適用可能であるので、ここでは詳細な説明を省略する。一例として、顔を特徴的なパーツに分類し、各パーツの特徴を個々の検者毎に事前に登録しておき、検者データ58aとして記憶部58に格納しておく。そして、検者認識部50bは、カメラ部56の撮像結果から上述のパーツを抽出し、検者データ58aと照合することで顔認証を行う手法が挙げられる。
好ましくは、駆動制御部50cは、検者認識部50bによる顔認証の結果、顔認証が成功した場合のみ、以降のステップを実行する。当然、本実施の形態である眼科装置1において顔認証は必須ではなく、検者認識部50bは検者の顔及びその方向を検出し、駆動制御部50cはこの検出結果に基づいて以降のステップを実行してもよい。
あるいは、ステップS2の動作の後、ステップS3においてカメラ部56が検者の顔を認識するまで待機し、検者の顔が認識できたら顔認証動作を開始してもよい。これにより、検者の顔が認識できる程度まで検者が眼科装置1に近接したら、ステップS4以降の取付部11の駆動動作を開始することができる。
次いで、ステップS4では、駆動制御部50cが、ステップS2及びステップS3の検出結果に基づいて、モニタ部10の表示面25の方向及びモニタ部10の位置を決定する。
眼科装置1に対する検者の方向及び検者の顔の方向と、モニタ部10の表示面25の方向及びモニタ部10の位置との関係は任意に定めることができるが、一例として、図14に示すような関係が挙げられる。
まず、図14(a)に示すように、被検者が眼科装置1の前方に座り、検者が眼科装置1の右側方に立っている場合、図14(a)及び図3に示すように、モニタ部10の表示面25は眼科装置1の右側を向くように定められる。
次に、図14(b)に示すように、被検者が眼科装置1の前方に座り、検者は被検者の背面に立っている場合、図14(b)及び図2に示すように、モニタ部10の表示面25は眼科装置1の前方を向くように定められる。
さらに、図14(c)に示すように、被検者が眼科装置1の前方に座り、検者は眼科装置1の右後方に立っている場合、図14(c)に示すように、モニタ部10の表示面25は眼科装置1の右後方を向くように定められる。特に、検者が立位であるので、モニタ部10の表示面25はやや上方を向くように(図4、図5参照)定められる。
そして、図14(d)に示すように、被検者が眼科装置1の前方に座り、検者も眼科装置1の後方に座っている場合、図14(d)及び図1に示すように、モニタ部10の表示面25は眼科装置1の後方を向くように定められる。
図13に戻って、ステップS5では、ステップS4で定められたモニタ部10の表示面25の方向及びモニタ部10の位置に向けて、駆動制御部50cが垂直回転駆動部32及び水平回転駆動部40を含む駆動部51を用いて取付部11を駆動させる。
ステップS6では、垂直回転位置検出部36及び水平回転位置検出部44を含む位置検出部52の検出結果に基づいて、駆動制御部50cがモニタ部10の表示面25の方向及びモニタ部10の位置を検出する。
そして、ステップS7では、ステップS6で検出したモニタ部10の表示面25の方向及びモニタ部10の位置に基づいて、ステップS4で定められたモニタ部10の表示面25の方向及びモニタ部10の位置に到達したか否かが駆動制御部50cにより判定され、到達した(ステップS7においてYES)と判定されたらプログラムはステップS8に移行し、まだ到達していない(ステップS7においてNO)と判定されたらプログラムはステップS5に戻り、取付部11の駆動を継続する。
ステップS8では、制御部50が測定部53による各種測定の準備をし、ステップS9では制御部50が測定部53による測定を開始し、ステップS10では測定完了まで待ち、測定完了したら図13のフローチャートに示す動作を終了する。
好ましくは、ステップS8以降において駆動制御部50cによる取付部11の駆動を停止し、測定作業中に検者と眼科装置1との相対的位置関係が変化しても、モニタ部10の表示面25がこれに追従しないようにする(つまりモニタ部10の表示面25の位置及び方向を固定する)。
このように構成された本実施の形態である眼科装置1は、支持アーム部材13dを垂直軸回り及び水平軸回りに回転駆動させる駆動部51と、支持アーム部材13dの垂直軸回り及び水平軸回りの回転位置を検出する位置検出部52と、少なくとも眼科装置1の検者の顔の方向を検出する検者認識部50bと、位置検出部52及び検者認識部50bの検出結果に基づいて、モニタ部10の表示面25を検者の顔の方向に向けるように駆動部51を制御する駆動制御部50cとを有する。
従って、モニタ部10の表示面25が検者の顔の方向に向けられるように駆動制御部50cが駆動部51を制御するので、検者が都度モニタ部10の位置や表示面25の方向を手動で調整することなく、モニタ部10の位置及びその表示面25の方向が駆動制御部50cにより制御、調整される。これにより、モニタ部10の表示面25の位置や向きの調整の手間を簡略化することができる。
ここで、検者認識部50bが、測定ヘッド3の少なくとも一方に設けられた人感センサ31を有するので、眼科装置1の近傍に検者が到来したことを確実に検出することができる。
そして、この人感センサ31は、検者が保持する端末から放射される電磁波を検出することもできるので、電磁波の検出により検者をさらに確実に検出することができる。
さらに、検者認識部50bが、検者の顔を撮像するカメラ部56を有するので、カメラ部56の撮像結果により検者をさらに確実に検出することができる。加えて、検者認識部50bがカメラ部56による撮像結果に基づいて検者の顔認証を行い、検者認識部50bによる顔認証の結果、顔認証が成功したら、駆動制御部50cが、モニタ部10の表示面25を検者の顔の方向に向けるように駆動部51を制御するので、検者をさらに確実に検出することができる。
(第二の実施形態)
次に、図15及び図16を参照して、本発明の第二の実施形態である眼科装置について説明する。
図15は、本発明の第二の実施形態である眼科装置を含む検査システムの概略構成を示すブロック図、図16は第二の実施形態である眼科装置が設置される医療機関の間取りの一例を示す平面図である。
第二の実施形態である眼科装置1は、上述した第一の実施形態である眼科装置1と比較して、人感センサ31を省略している点で異なり、それ以外の構成は第一の実施形態における眼科装置1と同一である。従って、同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
本実施形態の形態である眼科装置1が適用される検査システムSYにおいて、本実施の形態である眼科装置1は、病院等の診察室、検査室及び暗室検査室にそれぞれ配置されている。眼科装置1はLAN(Local Area Network)60を介して管理サーバ61に接続され、この管理サーバ61によって眼科装置1の動作及び測定結果等が管理される。また、病院の検査室及び廊下には、上述の第一の実施形態と同様の人感センサ31を備えた検出センサ部55が設けられ、この検出センサ部55の検出結果は各々の眼科装置1に送出される。
このような構成の眼科装置1を含む検査システムSYにおいて、検者が検査室や診察室に立ち入ると、人感センサ31の検出範囲内にまで検者が近接した時点で検出センサ部55が検者の存在及びその方向を検出し、この検出結果を各々の眼科装置1に送出する。
眼科装置1は、検出センサ部55からの検出結果出力に応じて取付部11を駆動して、モニタ部10の表示面25を検者の顔の方向に向ける動作を行ってもよい。これにより、一人の検者が複数の眼科装置1のモニタ部10の表示面を視認することができ、効率的な検査を行うことができる。
当然、眼科装置1が備えるカメラ30a、30bを含むカメラ部56により検者の顔が認識されてから取付部11の駆動を開始してもよい。
従って、本実施の形態である眼科装置1によっても、上述の第一の実施形態における眼科装置1と同様の効果を得ることができる。
(その他)
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態及び実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
一例として、上述の各実施の形態では、個々の検者の認証は検者認識部50bによる顔認証に基づいていたが、例えば上述した無線方式に基づく検者の方向検出の際に、検者が所持するプローブが特定のIDを出力し、一方、記憶部58の検者データ58aに個々の検者のIDを予め格納しておき、これらIDが一致するかどうかで検者の認証を行ってもよい。
また、上述の各実施の形態では、検者認識部50bによる顔認証が成功したら駆動制御部50cによる取付部11の駆動を開始していたが、顔認証が失敗した場合でも、予め眼科装置1に対して検者の方向毎に複数パターンのモニタ部10の位置及びその表示面25の方向をティーチングして位置検出部52により検出してデータ化しておき、このティーチングデータを記憶部58の検者データ58aとして格納し、人感センサ31により検出された検者の方向に基づいて取付部11の駆動動作を行ってもよい。さらには、上述した検者のIDを用いた認証動作を行えば、検者毎のティーチングデータに基づいて取付部11の駆動動作を行うことができる。
あるいは、ティーチングデータによらず、人感センサ31により検出された検者の方向に基づいて複数パターンのモニタ部10の位置及びその表示面25の方向を予め定めておいてもよい。
さらに、眼科装置1の設置場所によっては検者と眼科装置1との相対的位置関係が制限される(例えば壁際に眼科装置1が設置された場合は検者は壁に近付いて検査動作がしづらい)ことがある場合、記憶部58に眼科装置1毎のデータを格納しておき、検者の位置によらずモニタ部10の位置及び表示面25の方向を制限してもよい。
さらに、上述の各実施の形態では、検者認識部50bにより検者の顔の方向を検出していたが、被検者の顔の方向も検出し、駆動制御部50cは、検者及び被検者の顔の方向に基づいて取付部11の駆動動作を行ってもよい。この場合、被検者に対しても顔認証またはIDによる認証を行うと、より精密かつ的確な取付部11の駆動動作を行うことができる。
そして、眼科装置1が検査開始時に検者及び被検者のIDを入力する構成である場合、この検者及び被検者のIDに基づいてモニタ部10の位置及び表示面25の方向を定めてもよい。具体的には、検者及び被検者毎に取付部11の駆動動作を行う/行わない事前設定を行うことができる。
さらに、垂直軸回り及び水平軸回りに回転可能にモニタ部を支持する支持部材の構成は上述の実施の形態に限定されず、モニタ部を垂直軸回り及び水平軸回りに回転可能に支持しうる構成であれば種々の構成が採用可能である。一例として、モニタ部を水平軸回りに回転可能に支持する支持部として、モニタ部の表示面を略上下方向に沿って支持しつつこのモニタ部を垂直軸回りに可動可能に支持する構成が挙げられる。また、モニタ部を支持部に水平軸回りに回動自在に取り付け、測定ヘッドの頂部又は支持部を、測定ヘッドの本体部に対して、垂直軸回りに回動自在に設ける構成も好適に採用可能である。さらに、支持部及びモニタ部を、測定ヘッドの本体部に対して着脱自在に構成してもよい。