JP2019164363A - レーザ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複雑な構成を用いることなく、レーザー光と媒質の相互作用における線形及び非線形の光学特性を操作する光学過程の操作方法及びレーザー装置を提供する。【解決手段】レーザー装置において、離散的なスペクトルからなるレーザー光を、軸性のある結晶板に透過させ、該結晶板の厚さ及び/又は角度を変化させることで、任意のスペクトル偏光分布を作り出す。【選択図】図13

Description

達成したい光学過程を効率よく実現できる線形及び/又は非線形光学過程の操作方法、並びに、レーザー装置に関する。
本発明は、光の設計方法及び装置、特に、レーザー光を構成する離散的なスペクトルの強度分布、偏光分布、スペクトル位相を任意に変化させることができる手法を提供し、さらに、これらの手法を組み合わせることで、種々の光波形を持つレーザー光を作り出すことができるレーザー光の設計方法及びレーザー装置に関する。
レーザー光の性能の向上、特に高出力化や短波長化の技術の発展に伴って、LSI製造のためのリソグラフィ用の光源をはじめ、レーザーを用いた加工技術が今や産業の基幹技術の一つに成長しつつある。レーザー光のさらなる高出力化や高効率化に加え、より微細かつ高精度な加工を実現するために、レーザー光の短波長化が極めて重要な課題として取り上げられている。
また、近年では、アト秒光源の高強度化による非線形分光学も開拓されつつある(例えば、非特許文献1、非特許文献2等を参照。)。これらの技術は、軟X線の波長域を対象とするものである。
P.B. Corkum, F. Krausz, Nature Physics 3, 381 (2007) G. Sansone, et al, Nature Photonics 5. 655 (2011)
ここで、上述したようなレーザー(例えば、エキシマレーザー)を直接発振し、半導体リソグラフィ光源、短波長加工レーザー光源等の用途に採用した場合、高出力且つ短波長のレーザー光を得ることができるものの、空間におけるビーム品質(狙った部分に焦点が絞れること、M因子)が悪いという問題があった。
また、上記ビーム品質の問題を解決するため、固体レーザー等の長波長のレーザー光について、非線形光学結晶等の波長変換用結晶を用いることによって、レーザー光の波長を長波長から短波長へと変換する技術が考えられる。しかしながら、高出力のレーザー光の波長を短波長へと変換する場合、波長変換用結晶は熱応力等によってすぐに劣化し、破壊されるという問題がある。そのため、設備の維持を図る観点からは、上記波長変換技術を、半導体リソグラフィ光源や短波長加工レーザー光源等の用途に採用する際に現実的な困難があった。
以上の課題に鑑み、本発明は、複雑な構成を用いることなく、非線形光学特性を操作できる非線形光学過程の操作方法、並びに、高出力且つビーム品質の高い長波長域や短波長域のレーザー光を長期間照射できるレーザー装置を提供することを目的とする。
また、上述したようなレーザーを、例えば理化学機器等の用途に採用することを考慮した場合、ビームの強度や、空間におけるビーム品質の向上だけでなく、レーザー光の波形を所望の形に作り出すことができる技術の開発や、さらにその技術を用いて、目的の線形及び非線形光学過程を効率よく実現するための該線形及び非線形光学過程の操作が望まれていた。
以上の課題に鑑み、本発明は、複雑な構成を用いることなく、種々の波形を持つレーザー光を作り出すことができる、レーザー光の設計方法及びレーザー装置を提供すること、さらに、その手法を用いて、線形及び非線形光学過程を操作することを目的とする。
本発明者は、一又は複数の周波数の入射レーザー光を用いた非線形光学過程において、発生レーザー光を含む該光学過程に関与する各異なる周波数からなるレーザー光間の相対位相関係を操作することで、達成したい光学過程を効率よく実現する非線形光学過程の操作方法を見出した。
そして、さらなる鋭意研究を行った結果、非線形光学過程において、前記入射レーザー光を非線形光学媒質に入射させ、前記光学媒質は、その内部に透明な分散媒質を1つ以上有し、該分散媒質について、前記レーザー光の伝搬方向に沿った該分散媒質の位置及び該分散媒質の実効的厚みを調節することで、複雑な構成を用いることなく、誘導ラマン散乱過程において、前記相対位相を所望の値に制御できることを発見した。さらに、この技術を用いれば、波長変換用結晶のように熱応力によって破壊されることがなく、長期間使用できることを究明し、本発明を完成するに至った。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、その要旨は以下の通りである。
本発明の非線形光学過程の操作方法は、一又は複数の周波数の入射レーザー光を用いた非線形光学過程において、発生レーザー光を含む該光学過程に関与する各異なる周波数からなるレーザー光間の相対位相関係を操作することで、目的とする光学過程を実現することを特徴とする。
また、非線形光学過程では、前記入射レーザー光を非線形光学媒質に入射させ、前記光学媒質は、その内部に透明な分散媒質を1つ以上有し、該分散媒質について、前記レーザー光の伝搬方向に沿った該分散媒質の位置及び該分散媒質の実効的厚みを調節することで、発生レーザー光を含むこの光学過程に関与する各異なる周波数のレーザー光間の相対位相関係を、前記目的とする光学過程に応じた値に操作することが好ましい。
さらに、本発明の非線形光学過程の操作方法では、前記レーザー光の伝搬方向に沿った位置(ω)に配置される前記分散媒質の実効的厚み(x)を、下記の複数の式を近似的に満たすように決めることが好ましい。
mod[Δφ1,2,t')+2π[ν(ν)−ν(ν)]x/c,2π]
=Δφ1,2 (ω,t)・・・式(1)
mod[Δφ2,3,t')+2π[ν(ν)−ν(ν)]x/c,2π]
=Δφ2,3 (ω+x,t)・・・式(2)

mod[Δφj+1,t')+2π[νj+1(νj+1)−ν(ν)]x/c,2π]
=Δφj,j+1 (ω+x,t)・・・式(j)

mod[Δφm-1(ω,t')+2π[ν(ν)−νm-1(νm-1)]x/c,2π]
=Δφm-1,m (ω+x,t)・・・式(m−1)
ここで、φ(z,t)は、レーザー光のうち周波数νをもつレーザー光の、位置z及び時刻tにおける位相を意味する。Δφj,j+1(z,t)は、この光学過程に関与するレーザー光のうち周波数νをもつレーザー光と周波数νj+1をもつレーザー光との間の、位置z及び時刻tにおける相対位相であり、Δφj,j+1(z,t)=φj+1(z,t)−φ(z,t)を意味する。そして、Δφj,j+1(z,t)は、2πを周期とする周期関数であるため、0≦Δφj,j+1(z,t)<2πである。modは合同式を意味し、例えばmod[f(x),2π]=aは関数f(x)を2πで割ったときの余りがaであることを意味する。
ωはi番目の分散媒質のレーザー光の光学媒質入射面からの位置であり、xはi番目の分散媒質の実効的厚みである。mはこの光学過程に関与する異なる周波数をもったレーザー光(入射レーザー光と発生レーザー光の両方を含む)の数であり、2以上の自然数である。n(ν)は、i番目の分散媒質の周波数νにおける屈折率であり、cは真空中の光速である。
Δφj,j+1 (z,t)は目的の光学過程を実現する前記相対位相Δφj,j+1(z,t)に関する位置z及び時刻tにおける理想値を示す。各式の意味するところの詳細については後述する。
さらにまた、本発明の非線形光学過程の操作方法では、前記非線形光学媒質が、液体又は気体であり、前記分散媒質は、固体であることが好ましい。
また、本発明の非線形光学過程の操作方法では、前記入射レーザー光と発生レーザー光の異なる周波数間の間隔が10THz以上であることが好ましい。
本発明のレーザー装置は、一つ又は複数の光源から発生した、一つ又は複数の周波数からなる入射レーザー光を非線形光学媒質に入射させるレーザー装置であって、
前記光学媒質は、その内部に透明な分散媒質を1つ以上有し、該分散媒質について、前記レーザー光の伝搬方向に沿った位置及び実効的厚みを調節することで、発生レーザー光を含むこの光学過程に関与する複数のレーザー光の異なる周波数間の相対位相関係を、目的とする光学過程に応じた値に操作することで、目的とする光学過程を実現することを特徴とする。
また、本発明のレーザー装置は、前記レーザー光の伝搬方向に沿った位置(ω)に配置される前記分散媒質の実効的厚み(x)を、下記の複数の式を近似的に満たすように決めることが好ましい。
mod[Δφ1,2,t')+2π[ν(ν)−ν(ν)]x/c,2π]
=Δφ1,2 (ω,t)・・・式(1)
mod[Δφ2,3,t')+2π[ν(ν)−ν(ν)]x/c,2π]
=Δφ2,3 (ω+x,t)・・・式(2)

mod[Δφj+1,t')+2π[νj+1(νj+1)−ν(ν)]x/c,2π]
=Δφj,j+1 (ω+x,t)・・・式(j)

mod[Δφm-1(ω,t')+2π[ν(ν)−νm-1(νm-1)]x/c,2π]
=Δφm-1,m (ω+x,t)・・・式(m−1)
ここで、φ(z,t)は、レーザー光のうち周波数νをもつレーザー光の、位置z及び時刻tにおける位相を意味する。Δφj,j+1(z,t)は、この光学過程に関与するレーザー光のうち周波数νをもつレーザー光と周波数νj+1をもつレーザー光との間の、位置z及び時刻tにおける相対位相であり、Δφj,j+1(z,t)=φj+1(z,t)−φ(z,t)を意味する。そして、Δφj,j+1(z,t)は、2πを周期とする周期関数であるため、0≦Δφj,j+1(z,t)<2πである。modは合同式を意味し、例えばmod[f(x),2π]=aは関数f(x)を2πで割ったときの余りがaであることを意味する。
ωはi番目の分散媒質のレーザー光の光学媒質入射面からの位置であり、xはi番目の分散媒質の実効的厚みである。mはこの光学過程に関与する異なる周波数をもったレーザー光(入射レーザー光と発生レーザー光の両方を含む)の数であり、2以上の自然数である。n(ν)は、i番目の分散媒質の周波数νにおける屈折率であり、cは真空中の光速である。
Δφj,j+1 (z,t)は目的の光学過程を実現する前記相対位相Δφj,j+1(z,t)に関する位置z及び時刻tにおける理想値を示す。
さらに、本発明のレーザー装置では、非線形光学媒質は液体又は気体であり、前記分散媒質は固体であることが好ましく、前記光源から発生したレーザーは固体レーザーであることが好ましい。
さらにまた、本発明のレーザー装置では、前記光学媒質から出射されたレーザー光を増幅させるための増幅手段をさらに備えることが好ましい。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、光源から発生したレーザー光を、軸性のある結晶板及び偏光子に順次透過させることで、該結晶板がレーザー光を偏光させ、その後の偏光子が偏光したレーザー光の透過量を調整することが可能となり、離散的なスペクトルの強度分布を制御することができることを発見した。さらに、前記レーザー光を、再び軸性のある結晶板を透過させることで、強度分布が制御された該離散スペクトルの偏光分布を制御することができる。さらにまた、強度分布及び偏光分布が制御された該離散スペクトルを透明な分散媒質に透過させ、必要に応じてかかる分散媒質の厚さを調節することで、媒質を透過する離散的なスペクトルの位相を操作することができる。このように、本発明者は、偏光を含むレーザー光の光波形を所望の形に作り出すことができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、その要旨は以下の通りである。
本発明のレーザー光の設計方法は、離散的なスペクトルからなるレーザー光を、軸性のある結晶板に透過させることで任意のスペクトル偏光分布を作り出すことを特徴とする。 または、その後さらに偏光子に透過させることで任意のスペクトル強度分布を作り出すことを特徴とする。
また、前記レーザー光を、前記軸性のある結晶板に透過させ、さらに前記偏光子に透過させた後に、第2の軸性のある結晶板に透過させ、該第2の軸性のある結晶板の厚さ及び/又は角度を変化させることで、前記離散的なスペクトルに、任意の強度分布と任意の偏光分布を作り出すことがより好ましい。
さらに、本発明のレーザー光の設計方法は、前記軸性のある結晶板に透過させたあと、または、前記軸性のある結晶板に透過させ、さらに前記偏光子に透過させたあと、または、前記軸性のある結晶板に透過させ、さらに前記偏光子に透過させた後に第2の軸性のある結晶板に透過させたあとのいずれか一つに、さらに、透明な分散媒質に透過させることで任意の相対位相関係を作り出し、光波形を整形することが好ましい。
また、本発明のレーザー光の設計方法は、前記軸性のある結晶板を複数設けることが好ましい。
さらに、本発明のレーザー光の設計方法は、前記第2の軸性のある結晶板を複数設けることが好ましい。
またさらに、本発明のレーザー光の設計方法は、前記偏光子を複数設けることが好ましい。
さらにまた、本発明のレーザー光の設計方法は、前記離散スペクトルの周波数間隔が10THz以上であることが好ましい。
本発明のレーザー装置は、離散的なスペクトルからなるレーザー光を、軸性のある結晶板に透過させることで任意のスペクトル偏光分布を作り出すことを特徴とする。
また、その後さらに偏光子に透過させることで任意のスペクトル強度分布を作り出すことを特徴とする。
本発明の非線形光学過程の操作方法によれば、複雑な構成を用いることなく、レーザー光と媒質の相互作用における非線形光学特性を操作できる。また、本発明のレーザー装置によれば、複雑な構成を用いることなく、レーザー光と媒質の相互作用における非線形光学特性を操作できるとともに、高出力且つビーム品質の高い長波長域や短波長域のレーザー光を長期間照射できる。
また、本発明のレーザー光の設計方法及びレーザー装置によれば、複雑な構成を用いることなく、所望のスペクトル強度分布を得ることができ、さらに、偏光特性を含む種々の光波形を持つレーザー光を作り出すことができる。また、この操作手法を、非線形光学媒質中に、一個又は複数個組み込み、さらに、該非線形光学媒質中を伝搬するレーザー光の進行方向に沿ってそれらの位置を調整することで、目的の光学過程を効率よく達成するよう、関与する非線形光学過程を操作することができる。
(a)は、本発明のレーザー装置の構成の一部を模式的に示した斜視図であり、(b)は、レーザー装置中の媒質について模式的に示した断面図である。 本発明を誘導ラマン散乱過程に適用した際の模式図である。 本発明を誘導ラマン散乱過程に適用した場合の具体例であり、本発明の分散媒質について、レーザー光の伝搬方向に沿った位置及び光学的厚みを調節した際の、レーザー光の波長ごとの強度(量子変換効率)分布と、非線形光学媒質の位置との関係を示した図である。 本発明を誘導ラマン散乱過程に適用した場合の具体例であり、本発明の分散媒質について、レーザー光の伝搬方向に沿った位置及び光学的厚みを調節した際の、37.385cmの非線形光学媒質長における、レーザー光の波長ごとの強度(量子変換効率)分布を示した図である。 実施例に用いたレーザー装置の構成を模式的に示した斜視図である。 関心のある光学過程に関与する全てのレーザー光(入射レーザー光、及び、発生レーザー光)における相対位相を、分散媒質を挿入することで、目的の光学過程を実現する理想的な相対位相に近い値へと操作する際の位相関係を説明する図である。 n倍波(n=2,3,4,−−−−)の発生過程のスキームを示した図である。 和周波光、及び、差周波光の発生過程のスキームを示した図である。 (a)は、一つ又は複数の光を共振器内に効率よく閉じ込めるために当該発明技術を用いた際の構成を模式的に示した図であり、(b)は、本発明を用いて位相操作をおこなって、効率よく目的の光学過程を実現するための構成を模式的に示した図である。 本発明を用いて、ソリトン光の生成が効率よく実現された状態を示した図である。 図2に示す誘導ラマン散乱過程において、関与するレーザー光の相対位相関係を媒質中で人工的に所望の値に操作したときに可能となる人工的に操作された非線形光学過程の例(数値計算結果)を示した図である。 本発明のレーザー装置の構成の一部を模式的に示した斜視図である。 (a)は、レーザー光が軸性のある結晶板及び偏光子を透過する際の、レーザー光の状態を説明するための図であり、(b)は、その際のレーザー光の状態を数式で表したものである。 レーザー光が分散媒質を透過する際の、離散的なスペクトルの位相変化を示したものである。 軸性のある結晶板の厚さに対するレーザー光の強度を説明するための図である。 軸性のある結晶板の方向に対するレーザー光の強度を説明するための図である。 実施例に用いた離散的なスペクトルの状態を示した図である。 (a)は、実施例において、鋸歯状の光波形を作り出すのに好ましいスペクトルの強度分布と位相分布を作り出したことを示した図であり、(b)は、実施例において、鋸歯状の光波形が作り出されたことを示す図である。 誘導ラマン散乱過程に、光の強度、位相、偏光を自在に操作する本発明技術を組み込んで、この非線形光学過程を目的の光学過程に効率よく実現するによう操作することを説明するための図である。
非線形光学過程の操作方法、並びに、レーザー装置
以下、本願の第1の発明による非線形光学過程の操作方法及びレーザー装置について、必要に応じて図面を参照しつつ、具体的に説明する。
<非線形光学過程の操作方法>
まず、本発明の非線形光学過程の操作方法について説明する。
本発明による方法は、図1(a)に示すように、光源10から発生したレーザー光(矢印)を媒質20に入射させる非線形光学過程に関する。
物質が光と相互作用するとき、光の強度が低い場合は物質中に線形な分極が生成され、物質を通過した光の周波数は通過する前と変わらない。一方、光の強度が高くなると、物質中に生成される分極は線形からずれ、非線形な振る舞いが顕著になる。この場合、物質を通過した光には、一般に入射レーザー光と異なる周波数成分が含まれる。
このように線形光学媒質か非線形光学媒質かは、入射レーザー光との関係で相対的に決まる。そのため、本願において線形光学媒質とは、入射レーザー光に対して媒質中に生成される分極が線形な振る舞いをするものをいう。
光と物質の相互作用を通して物質中に生成された分極は高周波で振動し、電磁波を放出する。入射レーザー光に対して線形な分極が生成される場合は、放出される電磁波は入射レーザー光と同じ周波数となるが、非線形な分極が生成されると、放出される電磁波には一般に入射レーザー光と異なる周波数成分が含まれるようになる。本願ではこの電磁波を発生レーザー光と呼ぶ。
上記の通り、入射レーザー光の強度が高い場合には、発生レーザー光の周波数成分は入射する電磁波の周波数と一致するものだけではなく、入射波の2倍の周波数のものや、2つの入射波がある場合はそれらの和及び差周波数のものなどが含まれる。このように、多くの非線形光学過程では、発生レーザー光と入射レーザー光の周波数は、ある程度周波数間隔があき、離散的に存在する。同様に、複数発生する各発生レーザー光同士の周波数も、離散的である。入射レーザー光、及び発生レーザー光は、媒質の中で非線形な相互作用(非線形分極)を通じて、その異なる周波数成分間でエネルギーのやりとりをしながら、媒質を通過する。
本願において非線形光学媒質とは、入射レーザー光に対して媒質中に非線形分極が形成される媒質をいう。
発生レーザー光としてどの周波数成分がどの程度強く得られるかは、入射レーザー光の強度、媒質の性質に基づく非線形光学応答の強さ、入射レーザー光を含む発生レーザー光の異なる周波数成分間の相対位相関係、位相整合条件などで決まる。例えば、適当な条件の下では、周波数ωの入射レーザー光を周波数2ωにほぼ100%の効率で変換することも可能である。周波数が2倍になることは、レーザーの波長が1/2になることを意味する。代表的な例を挙げれば、800nmのTi:sapphireレーザーの光を、BBOといった非線形光学結晶を用いることにより、400nmの紫色の光に効率良く変換することができる。
以下、本発明による非線形光学過程の操作方法の各構成要素について説明する。
(レーザー)
本発明の非線形光学過程において用いられる入射レーザー光は、図1(a)に示すように、光源10から発生し、媒質20に入射させた後、外部へと出射される。用いられるレーザーの種類については特に限定はされず、例えば、III−V族半導体等を用いた半導体レーザーやYAGレーザー等の固体レーザー、液体レーザー、エキシマレーザーやC0レーザー等の気体レーザーを用いることができる。
ここで、入射レーザー光は、単一周波数のレーザーでも、異なる複数の周波数を含むレーザーでも良い。複数の周波数を含む場合には、各周波数は離散的なスペクトルによって構成されることが好ましい。さらに、前記離散的なスペクトルの間隔すなわち周波数間隔は10THz以上であることがより好ましい。
なお、上述の「離散的なスペクトル」とは、レーザー光において、離散的に複数のピーク波長が存在する状態のことをいう。
また、良好なビーム品質を得られる点から、前記レーザー光の波長は、200nmよりも長波長のレーザー光を用いることが好ましい。
さらに、上記波長範囲のレーザー光を安定して発振できる点からは、レーザーの種類として固体レーザーを用いることが好ましい。
(媒質)
本発明の非線形光学過程において用いられる媒質20は、透明な分散媒質を含む。具体的には、図1(a)に示すように、非線形光学媒質からなる光学媒質21中に、透明な分散媒質22を1つ以上挿入してなる。図1(a)では直方体状の4つの分散媒質22a〜22dを挿入した例を示す。後述するように、前記媒質20を、光学媒質21と複数の分散媒質22から構成することで、この光学過程に関与する複数のレーザー光の異なる周波数間の相対位相を変化させることが可能となる。さらに、該分散媒質の位置や実効的厚みを調整することで、該相対位相を、達成したい光学過程に対して最適に近い値に操作することができる。その結果、達成したい光学過程を効率よく実現することが可能となる。
ここで、光学媒質21は、液体又は気体であり、分散媒質22は、固体であることが好ましい。光学媒質21が、液体又は気体であることが望ましいのは、分散媒質22を任意の場所に容易に挿入することができるからである。また、分散媒質22に固体を用いるのは、分散媒質22の傾きを変えたり、くさび形状のペアからなる分散媒質22の一方の挿入厚みを変えたりすることで、実効的厚みを変化させることができるからである。
一例として、光学媒質21は、入射口と出射口にガラス窓を設けた、銅板で構成された気密性ボックスに充填されている。例えば、非線形光学媒質からなる光学媒質21としては、水素ガス、窒素ガス、希ガス等が挙げられる。非線形光学媒質か線形光学媒質かは、入射レーザー光との関係で相対的に決まる。
また、分散媒質22としては、ケイ酸塩、ガラス、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム等が挙げられる。分散媒質22は透明であることが必要であるが、ここでいう「透明」とは、レーザー光が透過できることを意味し、該分散媒質に色や曇りがある場合も含まれ、完全な透明(分散媒質とレーザー光との間に相互作用が起こらず、電磁波の吸収及び散乱が全く生じない場合)のみを意味するものではない。
また、本願において分散媒質とは、屈折率が周波数もしくは波長に依存する媒質をいう。
(レーザー光と媒質の非線形な相互作用特性の操作)
そして、本発明による非線形光学過程の操作方法は、分散媒質について、レーザー光の伝搬方向に沿った位置及び実効的厚みを調節することで、レーザー光と光学媒質の相互作用における非線形光学特性を操作することを特徴とする。
レーザー光の伝搬方向に沿った位置及び実効的厚みを調節することで、この光学過程に関与する複数のレーザー光の相対位相を制御することが可能となる結果、複雑な装置等を用いなくとも特定の分散媒質を準備するだけで、入射レーザー光と光学媒質の相互作用における非線形の光学特性を操作できるという効果を奏する。また、本発明では、熱応力等によって劣化しやすい波長変換用結晶を用いなくても効率の良い波長変換を実現できるため、レーザー装置の長寿命化にも寄与できる。
ここで、前記分散媒質のレーザー光の伝搬方向に沿った位置とは、入射レーザー光が光学媒質に入射してから分散媒質に到るまでの距離をいう。例えば図1(b)に示すように、距離ω,ω,ω,ωを、各分散媒質22a,22b,22c,22dの位置とすることができる。
また、図1(b)に示すように、直方体からなる各分散媒質22a〜22dの厚みは、それぞれx〜xである。前記分散媒質のレーザー光の伝搬方向に沿った実効的厚みは、図1(b)に示す場合には、各分散媒質22a,22b,22c,22dのレーザー光の伝搬方向に沿った厚さであるx,x,x,xのことをいう。
本願において、分散媒質の実効的厚みとは、前記分散媒質の板厚のことではなく、直進するレーザー光が分散媒質中を透過する距離を意味する。例えば、図1(c)に示すように、各分散媒質22a〜22dの板面がレーザー光の経路に対して垂直に配置されていない場合には、レーザー光が分散媒質中を実際に透過する経路長x'〜x'が実効的厚みである。
本発明において、前記分散媒質の前記レーザー光の伝搬方向に沿った位置及び実効的厚みを調節することで光学特性を操作できる理由は、次の通りである。
例えば、図2に示すように、誘導ラマン散乱過程は、この光学過程に関与するレーザー光の相対位相関係によって、関与する該レーザー光の間のエネルギーの流れ(もしくは、やりとり)が決定される。例えば、W,Wp+1,W'の三種類の周波数が関係する図2(b)の中の一つの誘導ラマン散乱過程では、該三種類の周波数のそれぞれの位相、φ,φp+1,φの相対的な関係によって、このW,Wp+1の二種類の周波数のレーザー光間のエネルギーの流れが決定される。
一方、該分散媒質の挿入は、この相対位相関係を変化させ、さらに、該分散媒質の実効的厚みを調整することで、所望の相対位相関係に制御することが可能である。さらに、該分散媒質を挿入する位置を選ぶことで、任意の位置でこの相対位相関係の制御をおこなうことができる。
以上の理由により、各分散媒質の位置と実効的厚みを調整し、各レーザー光間の相対位相関係を制御することで、たとえば、所望の周波数をもったレーザー光にエネルギーを集中させる特殊な誘導ラマン散乱過程を実現することが可能になる。
ここで、パラ水素からなる非線形光学媒質中にフッ化マグネシウムからなる分散媒質を挿入した媒質を用いた場合について、図3に例示する。図3は、分散媒質のレーザー光の伝搬方向に沿った位置及び厚さを調節した際の、発生レーザー光を含むこの光学過程に関与する複数のレーザー光の波長ごとの強度(量子変換効率)分布と、光学媒質の入射面からの位置(cm)との関係を示したものである。分散媒質の条件(位置及び実効的厚さ)を変更することで、種々の波長にエネルギーの集中したレーザー光が、光学媒質の入射面からの位置に応じて、段階的に得られることがわかる。このことから、分散媒質の条件と光学媒質の長さ(T)を変更することで、最終的に希望する波長にエネルギーの集中したレーザー光を得られることがわかる。なお、図3に示す例では非線形光学媒質に巨大な非線形分極を誘起するために、入射レーザー光以外にポンプ光も入射させている。
また、図4は、分散媒質について、レーザー光の伝搬方向に沿った位置及び実効的厚みを調節した際の、発生レーザー光を含むこの光学過程に関与する全てのレーザー光の波長ごとの強度(量子変換効率:Q.E.)分布を示したものである。分散媒質の条件と非線形光学媒質の長さ(図4では、37.385cm)を調整することで、特定の波長(図4では123.5978nm:Stokes orderで+8次)のレーザー光を得られることがわかる。
図6を用いて本発明をより詳細に説明する。図6において、φ(z,t)は、レーザー光のうち周波数νをもつレーザー光の、位置z及び時刻tにおける位相を意味する。
図6(a)に示す例では、非線形光学媒質21に入射する入射光は、周波数ν、位相φ(z,t)の入射レーザー光である。入射レーザー光が非線形光学媒質21に入射すると、生成された非線形分極により複数の発生レーザー光が発生する。ここでは、複数の発生レーザー光として、周波数と位相がそれぞれ、ν,φ(z,t)のレーザー光1、ν,φ(z,t)のレーザー光2、・・・ν,φ(z,t)のレーザー光j、νj+1,φj+1(z,t)のレーザー光j+1、・・・ν,φ(z,t)のレーザー光mが発生した場合を例として示す。
次に、隣接する周波数のレーザー光同士の相対位相を求める。Δφj,j+1(z,t)は、この光学過程に関与するレーザー光のうち周波数νをもつレーザー光と周波数νj+1をもつレーザー光との間の、位置z及び時刻tにおける相対位相であり、Δφj,j+1(z,t)=φj+1(z,t)−φjに、Δφ1,2(ω,t')、Δφ2,3(ω,t')、・・・Δφj,j+1(ω,t')、・・・Δφm−1,m(ω,t')となる。
さらに、本願では非線形光学媒質21の出口となるzにおける出射レーザー光が、ν,φ(z,t),Iとなるようにすることを目標とする。ここで、Iは出射レーザー光の強度である。また、出射レーザー光は複数の周波数成分からなるものでもよい。複数のレーザー光が非線形光学媒質21内を進むときに、非線形分極によってどのような周波数のレーザー光がどのような強度分布、及びどのような位相関係で生成されるかは各レーザー光間の相対位相によって決まる。尚、一般的に出射レーザー光は、複数の周波数成分からなり、さらにその周波数成分間の様々な強度分布(および相対位相分布)を含めたものが、得たい所望の結果となる。また、複数のレーザー光が分散媒質22内を進むときに、各レーザー光間の相対位相が分散によってどのように変化するかは、分散媒質の屈折率分散によって決まる。そのため、目標とする出射レーザー光をν,φ(z,t)と設定すれば、i番目(iは1以上の自然数)の分散媒質の出射面の位置(z=ωi+)において各レーザー光の相対位相のあるべき理想値が必然的に決まる。
上記のように決定される相対位相の理想値を、Δφ1,2 (ω+x,t)、Δφ2,3 (ω+x,t)、・・・Δφj,j+1 (ω+x,t)、・・・Δφm−1,m (ω+x,t)と表現する。
次に、Δφ1,2(ω,t')とΔφ1,2 (ω+x,t)の関係を考えると、Δφ1,2 (ω+x,t)は、Δφ1,2(ω,t')からν,νの各レーザー光が分散媒質内をxだけ進んだときの位相差であることがわかる。
すなわち、以下の式が成り立つ。
mod[Δφ1,2,t')+2π[ν(ν)−ν(ν)]x/c,2π]
=Δφ1,2 (ω+x,t)・・・式(1)
modは合同式を意味し、例えばmod[f(x),2π]=aは関数f(x)を2πで割ったときの余りがaであることを意味する。ni(νj真空中の光速である。図6では説明を簡略化するために、i番目の分散媒質とi+1番目の分散媒質のみを図示し、その他の分散媒質の図示を省略している。なお、分散媒質の数は、1個であっても良い。
レーザー光2が分散媒質nを透過したときに進む位相は、2πν(ν)x/cである。一方、レーザー光1が分散媒質nを透過したときに進む位相は、2πν(ν)x/cである。したがって、レーザー光2とレーザー光1が分散媒質nを透過したときに進む相対位相は、2π[ν(ν)−ν(ν)]x/cとなる。
分散媒質の入射面の位置(z=ω)における時刻t'のときのレーザー光1,2の相対位相が、Δφ1,2(ω,t')であるから、分散媒質の出射面の位置(z=ωi+)における相対位相は、Δφ1,2(ω,t')+2π[ν(ν)−ν(ν)]x/cと表すことができる。
相対位相は2πを周期とする周期関数であるから、これを理想値であるΔφ1,2 (ω,x,t)と等値すると、
mod[Δφ1,2,t')+2π[ν(ν)−ν(ν)]x/c,2π]
=Δφ1,2 (ω+x,t)・・・式(1)
となる。
ここで、時刻t'は、レーザー光が分散媒質の入射面の位置(z=ω)に達したときの時刻である。Δφ1,2 (ωi+,t)のtは、分散媒質の出射面の位置(z=ω+x)における時刻を表しており、レーザー光が分散媒質内をxだけ進むのに要する時間分だけt'から進んだ時刻である。
その他のレーザー光についても同様に考えると、
mod[Δφ2,3((,t')+2π[ν(ν)−ν(ν)]x/c,2π]
=Δφ2,3 (ω+x,t)・・・式(2)

mod[Δφj,j+1(ω,t')+2π[νj+1(νj+1)−ν(ν)]x/c,2π]
=Δφj,j+1 (ω+x,t)・・・式(j)

mod[Δφm−1,m(ω,t')+2π[ν(ν)−νm−1(νm−1)]x/c,2π]
=Δφm−1,m (ω+x,t)・・・式(m−1)
の式が導かれる。
なお、Δφj,j+1(z,t)は、2πを周期とする周期関数であるため、0≦Δφj,j+1(z,t)<2πである。
上記式(1)〜式(m−1)のすべてを最も良く満たす近似解としてのxiにしたがって、まず始めに、最後にどういう結果(非線形光学現象)を得たいのかという観点から逆に遡って、どの位置ωで、どのような位相操作を施すべきかを決定する。次に、その決定された位置ωの場合に、上記式(1)〜式(m−1)から分散媒質の実効的厚みxを求める。このようにωは、得たい結果(非線形光学現象)から逆算して、非線形光学現象に関する数値シミュレーションを繰り返して決めることができる。
図6では、周波数ν、位相φ(z,t)の入射レーザー光に対して発生する、全ての発生レーザー光1〜mを対象として式(1)〜式(m−1)を立てた。しかし、例えば式(1)から式(j)までのように、一部の発生レーザー光についてのみ式を立てて、近似解としてのxを求めても良い。あるいは、式(1)〜式(m−1)の一部の式に対してのみ重み付けを行って、近似解としてのxを求めても良い。
i+1番目の分散媒質についても同様に考えることができ、以下の式が導かれる。
mod[Δφ1,2,t')+2π[ν(ν)−ν(ν)]x/c,2π]
=Δφ1,2 (ω,t)・・・式(1)
mod[Δφ2,3,t')+2π[ν(ν)−ν(ν)]x/c,2π]
=Δφ2,3 (ω+x,t)・・・式(2)

mod[Δφj+1,t')+2π[νj+1(νj+1)−ν(ν)]x/c,2π]
=Δφj,j+1 (ω+x,t)・・・式(j)

mod[Δφm-1(ω,t')+2π[ν(ν)−νm-1(νm-1)]x/c,2π]
=Δφm-1,m (ω+x,t)・・・式(m−1)
上記式(1)〜式(m−1)から、位置ωi+1における分散媒質の実効的厚みxi+1を求める。
非線形光学媒質中に分散媒質をn個配置する場合には、式(1)〜式(m−1)がnセット形成される。そして、式(1)〜式(m−1)から最適なx〜xを求めることができる。なお、上記の例では非線形光学媒質の入射面に近いxを先に求め、次にxi+1を求める例を示したが、xi+1を求めてからxを求めても良い。このように本発明において、各x〜xを求める順序に決まりはない。
また、前記分散媒質の前記レーザー光の伝搬方向に沿った位置(ω)及び実効的厚み(x)は、目的の光学過程を効率よく実現するために要請される理想値から前記相対位相がずれ、そのずれが無視できなくなったときに、該相対位相を再び理想値に近づける操作ができれば特に限定されないが、確実にレーザー光の位相操作が行えるという点から、上記の全ての式を近似的に満たすように決めることが好ましい。さらに前記分散媒質の位置は、目的の光学過程を効率よく達成するために必要となる前記分散媒質の総枚数が少なくなるように決めることがより好ましい。
また、図6では、入射レーザー光として、周波数ν、位相φ(z,t)の入射レーザー光を一本入射させる例を示したが、入射レーザー光は一本に限られるものではなく、複数本であっても良い。
<線形光学過程の操作方法>
上述の<非線形光学過程の操作方法>は線形光学過程においても利用することができる。線形光学媒質中において、目標値をν,φ(z,t)に設定する。そして、目標とする出射レーザー光をν,φ(z,t)と設定すれば、分散媒質の出射面の位置(z=ωi+)における各レーザー光の相対位相の理想値が必然的に決まり、分散媒質の出射面における各レーザー光の相対位相が理想値になるような位置ω及び実効的厚みxを求めれば良い。
<レーザー装置>
次に、本発明によるレーザー装置について説明する。
本発明によるレーザー装置は、図1(a)に示すように、レーザー光を発生させる光源10と、発生したレーザー光を入射させる媒質20とを備えるレーザー装置であって、前記媒質20は、非線形光学媒質21中に、透明な分散媒質22を複数挿入してなり(図1(a)では4つの分散媒質22a〜22dを挿入)、各分散媒質22a〜22dについて、前記レーザー光の伝搬方向に沿った位置ω〜ω及び実効的厚みx〜xを調節することで、前記レーザー光と媒質の相互作用における光学特性を操作することを特徴とする。
本発明のレーザー装置は、上記構成を具えることで、複雑な構成を用いることなく、レーザー光と媒質の相互作用における光学特性を操作できるとともに、高出力且つビーム品質の高い長波長及び短波長域のレーザー光を長期間照射できる、という効果を奏する。
なお、本発明のレーザー装置における、各構成要素(レーザー光、媒質及びレーザー光の非線形光学特性の操作方法など)については、本発明の非線形光学過程の操作方法の中で説明した内容と同様である。
また、本発明のレーザー装置は、半導体リソグラフィ光源、短波長加工レーザー光源、遠隔環境計測レーザー光源等の用途で用いられる場合には、図1(a)に示すように、前記媒質21から出射されたレーザー光を増幅させるための増幅手段30をさらに備えることもできる。ここで、前記増幅手段30の例としては、エキシマレーザー、炭酸ガスレーザー等が挙げられる。
上述した増幅手段の他にも、本発明のレーザー装置の用途に応じて、公知の構成を加えることが可能である。
レーザー光の設計方法及びレーザー装置
以下、本願の第2の発明によるレーザー光の設計方法及びレーザー装置について、必要に応じて図面を参照しつつ、具体的に説明する。
<レーザー光の設計方法>
まず、本発明のレーザー光の設計方法について説明する。
本発明による方法は、図12に示すように、光源110から発生したレーザー光(矢印)を軸性のある結晶板120及び偏光子130に順次透過させた後、好ましくは再び、第2の軸性のある結晶板150を透過させ、最後に、透明な分散媒質140に透過させる。
前記結晶板120がレーザー光の偏光状態を変化させ、その後の偏光子130が偏光したレーザー光の透過量を調整することが可能となるため、離散的なスペクトルの振幅(強度分布)を制御することができる。また、前記レーザー光を、再び第2の軸性のある結晶板150を透過させることで、強度分布が制御された該離散スペクトルの偏光分布を制御することができる。さらに、強度分布及び偏光分布が制御された該離散スペクトルを、透明な分散媒質に透過させ、必要に応じてかかる分散媒質の厚さを調節することで、媒質を透過する離散的なスペクトルの位相を操作し、偏光を含むレーザー光の光波形を所望の形に作り出すことが可能となる。
前記離散的なスペクトルは、図13(a)に示すように、軸性のある結晶板120を透過した後、偏光状態が変化することとなる。そして、偏光状態が変化した各スペクトルが偏光子を透過すると、偏光状態によって透過するスペクトルと透過しないスペクトルが出てくる結果、離散的なスペクトルの振幅を操作することが可能となり、所望の強度分布を得ることができる。
より詳細には、図13(b)に示すように、Fast軸とSlow軸で位相速度が異なるので、それぞれの軸への射影成分の重みや軸性結晶の実効的な厚みdを操作することで所望の偏光分布を作り出すことができる。
その後、所望の強度分布となった前記離散的なスペクトルは、図12に示すように、再び軸性のある結晶板150を透過させることで、強度分布が制御された該離散スペクトルの偏光分布の制御がおこなわれる。さらに、強度分布及び偏光分布が制御された該離散スペクトルを透明な分散媒質140に透過させ、必要に応じてかかる分散媒質の厚さを調節することで、媒質を透過する離散的なスペクトルの位相を操作し、偏光を含むレーザー光の光波形を所望の形に作り出すことが可能となる。
その結果、本発明のレーザー光の設計方法は、複雑な構成を用いることなく、種々の波形を持つレーザー光を作り出すことができる。
以下、本発明による非線形光学過程の操作方法の各構成要素について説明する。
(レーザー)
本発明の非線形光学過程において用いられるレーザー光は、図12に示すように、光源110から発生し、軸性のある結晶板120を透過した後、外部へと放出する。用いられるレーザーの種類については特に限定はされず、例えば、III−V族半導体等を用いた半導体レーザーやYAGレーザー等の固体レーザー、液体レーザー、エキシマレーザーやC0レーザー等の気体レーザーを用いることができる。
ここで、前記レーザー光は、離散的なスペクトルによって構成される。レーザー光が離散的なスペクトルによって構成される場合のほうが、スペクトルの強度分布、及び、偏光分布、及び、スペクトル位相を任意に変化させることができ、種々の光波形を持つレーザー光を作り出す、という本発明の効果がより有効となる。
なお、上述の通り「離散的なスペクトル」とは、レーザー光において、離散的に複数のピーク波長が存在する状態のことをいう。
(軸性のある結晶板)
本発明のレーザー光の設計方法において用いられる軸性のある結晶は、図13(a)に示すように、光源110から発生したレーザー光のスペクトルの偏光分布を操作するための結晶板120と、偏光子130からの透過光を再び偏光させるための結晶板150である。
前記結晶板120及び150は、Fast軸とSlow軸の偏光成分間に所定の位相差を与える光学機能素子であり、前記レーザー光の偏光状態を操作することができるものであれば特に限定はされない。例えば、1/2波長板や、1/4波長板、1/8波長板等を用いることができる。
また、前記軸性のある結晶板120,150の厚さ及び/又は角度を変化させることで、前記離散的なスペクトルに任意の偏光分布を作り出すことが好ましい。
前記スペクトルの偏光状態は、前記結晶板の厚さ及び角度に大きく依存するため、厚さ及び/又は角度を変えることで、効果的に偏光状態の調整を行える。
図15は、前記軸性のある結晶板120,150の厚さdと、離散的なスペクトル(Ω−2、Ω−1、Ω、Ω、Ω)の透過量との関係を示したグラフである。入射光の偏光方向は垂直方向(T//に平行な方向)で、偏光子の透過方向に一致している。ここで波長板には1軸性の結晶板(Crystal Quarts:CQ)を用い、光学軸を垂直方向から45度傾けて配置している。グラフから、厚さによって、各スペクトルの透過量が大きく変わっており、前記スペクトルの偏光状態が大きく変化することがわかる。
また、図16は、前記軸性のある結晶板120,150の厚さを100μmで固定した場合の、該軸性のある結晶板の角度θと、離散的なスペクトル(Ω−2、Ω−1、Ω、Ω、Ω)の透過量との関係を示したグラフである。入射光の偏光方向は垂直方向(T//に平行な方向)で、偏光子の透過方向に一致している。波長板には1軸性の結晶板(Crystal Quarts:CQ)を用いた。グラフから、該軸性のある結晶板の角度θが変化することによって、各スペクトルの透過量が大きく変わっており、前記スペクトルの偏光が大きく変化することがわかる。尚、ここでは波長板の厚みdが100μmの場合と500μmの場合が示されている。
さらに、前記軸性のある結晶板120,150は、必要に応じて複数設けることが好ましい。上述した結晶板の厚さや角度に加えて、複数の結晶板を組み合わせることで、偏光の状態をより精度良く制御できるためである。
(偏光子)
本発明のレーザー光の設計方法において用いられる偏光子130は、図13(a)に示すように、前記軸性のある結晶板120を透過したレーザー光を構成する各スペクトルについて、特定方向に偏光したものだけを透過させるためのものである。
前記偏光子の種類については特に限定はされず、市販の偏光子を用いればよい。
また、前記偏光子は複数設けることがより好ましい。特定方向に偏光したスペクトルの抽出がより高精度に行えるからである。
(分散媒質)
本発明の線形及び/又は非線形光学過程において用いられる分散媒質140は、透明であり、図14に示すように、スペクトル強度分布、及び/又は、スペクトル偏光分布が所望の分布に制御されたレーザー光を透過させることで、後述するように、透過したレーザー光のスペクトル位相を任意に変化させることが可能となり、所望の波形のレーザー光を実現できる。
なお、前記分散媒質140は透明であることが必要であるが、ここでいう「透明」とは、レーザー光が透過できることを意味し、該分散媒質に色や曇りがある場合も含まれ、完全な透明(分散媒質とレーザー光との間に相互作用が起こらず、電磁波の吸収及び散乱が全く生じない場合)のみを意味するものではない。また、前記分散媒質140としては、ケイ酸塩、ガラス、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム等が挙げられる。
ここで、図14に示すように、前記分散媒質140は複数設けられ(140a、140b、140c)、厚さdを調節することが好ましい。各分散媒質の厚さdを調整することで、前記レーザー光を構成するスペクトルの位相を操作することができるためである。
ここで、前記分散媒質のレーザー光の透過方向に沿った厚さとは、図14に示すように、各分散媒質140a,140b,140cのレーザー光の透過方向沿った厚さdのことをいう。
本発明において、前記レーザー光の透過方向に沿って、本発明のレーザー光のスペクトル強度分布、スペクトル偏光分布、スペクトル位相分布の三つを自在に操作する手法を組み込む位置を調節することで、線形及び/又は非線形光学特性を、目的の光学過程を効率よく達成するように操作できる理由としては、次の通りである。
例えば、図19に示すように、Ω、Ω−1のスペクトルから構成されるレーザー光による誘導ラマン散乱過程は、Ω、Ω−1に加え、この非線形光学過程において発生する高次の誘導ラマン散乱光系列間の相対的な強度、位相、偏光特性に支配される。それゆえ、本発明のスペクトル強度分布、スペクトル偏光分布、スペクトル位相分布の三つを自在に操作する手法を、線形及び/又は非線形光学媒質中に、一つ、又は複数個、組み込み、さらに、該線形及び/又は非線形光学媒質中を伝搬する光の進行方向に沿って、該強度・位相・偏光操作手法を組み込む位置を調整することで、目的の光学過程を効率よく達成するよう、この線形及び/又は非線形光学過程を操作することが可能となる。
<レーザー装置>
次に、本発明によるレーザー装置について説明する。本発明による方法は、図12に示すように、光源110から発生したレーザー光(矢印)を軸性のある結晶板120及び偏光子130に順次透過させた後、好ましくは、再び、第2の軸性のある結晶板150に透過させ、最後に、透明な分散媒質140に透過させる。
前記結晶板120がレーザー光の偏光状態を変化させ、その後の偏光子130が偏光したレーザー光の透過量を調整することが可能となるため、離散的なスペクトルの振幅(強度分布)を制御することができる。また、前記レーザー光を、再び第2の軸性のある結晶板150を透過させることで、強度分布が制御された該離散スペクトルの偏光分布を制御することができる。さらに、強度分布及び偏光分布が制御された該離散スペクトルを、透明な分散媒質に透過させ、必要に応じてかかる分散媒質の厚さを調節することで、媒質を透過する離散的なスペクトルの位相を操作し、偏光を含むレーザー光の光波形を所望の形に作り出すことが可能となる。
なお、本発明のレーザー装置における、各構成要素(レーザー光、軸性のある結晶板、偏光子及び分散媒質など)については、本発明のレーザー光の設計方法中で説明した内容と同様である。
(実施例1)
実施例1では、図5に示すように、レーザー光源10と波長変換用結晶40と一つ又は複数の分散媒質22をその中に含む非線形光学媒質21を備えるレーザー装置を作製し、レーザー光を入射させた場合の結果を計算により表した。
なお、レーザー光源10としては注入同期チタンサファイアレーザーをもとに発生させた三波長のレーザー光(801.0817nm,1207.6282nm,840.0000nm)を、非線形光学媒質21としてはパラ水素ガス(密度:2.6x1018cm−3)、分散媒質22としてはフッ化マグネシウム板を用いた。1207.6282nmのレーザー光は、801.0817nmのチタンサファイアレーザー光を励起光として、注入同期型のパラメトリック発生過程を用いて発生させた。また、入射させるレーザー光の波長を制御するため、レーザー光源10と媒質20との間に、波長変換用結晶40であるBBO非線形光学結晶3個を設けた。挿入したフッ化マグネシウム板の位置と実効的厚みは表1の通りである。801.0817nm,1207.6282nmの二波長のレーザー光は、図2(a)のW',W−1'にそれぞれ対応し、パラ水素の振動運動を励起するpump光として用いた。840.0000nmのレーザー光は、BBO非線形光学結晶で四倍高調波をとることで210.0000nmに変換された。この210.0000nmのレーザー光は、図2(a)のWに対応する。
作製したレーザー装置について、各分散媒質22のレーザー光の透過方向に沿った位置及び実効的厚みを種々の値に調節した。そして、調節した際の、レーザー光の波長ごとの強度(量子変換効率)分布と、非線形光学媒質の長さとの関係を図3に示す。
図3から、分散媒質の位置及び実効的厚みの条件を変更することで、種々の波長のレーザー光が得られており、分散媒質の位置及び実効的厚みの条件を調節することで、所望の波長のレーザー光が得られることがわかる。また、37.385cmの光学媒質長において測定されたレーザー光の波長は123.5978nmであった。図3より、光学媒質の前後でレーザー光の波長が大きく変化していることが分かる。
(実施例2)
また、レーザー光の異なる周波数間の相対位相関係を操作することで、種々の波長のレーザー光が得られることを示すため、前記位相関係の条件を人為的に所望の値に調節した際に得られるレーザー光の波長ごとの強度(量子変換効率)分布と、非線形媒質の長さとの関係を図11に示す。
図11から、本願発明による方法を実施することで、あらゆる非線形光学過程を実現できることがわかった。
(実施例3)
n倍波(n=2,3,4,−−−−)の発生過程に当該発明技術を適用する際のスキームの例を図7に示した。
(実施例4)
和周波光、及び、差周波光の発生過程に当該発明技術を適用する際のスキームの例を、図8(a)(b)に示した。
(実施例5)
実施例5では、図9(a)に、複数の光を共振器内に効率よく閉じ込めるために当該発明技術を用いるための構成、及び、(b)複数の光を共振器内に効率よく閉じ込めると同時に、当該発明技術を用いて、目的の線形、及び非線形光学過程を効率よく実現するために要請される所望の相対位相関係を満たすように位相操作をおこなって、効率よく目的の光学過程を実現するための構成を示した。
(実施例6)
実施例6では、当該発明技術を用いて、ソリトン光の生成を効率よく実現できることを図10に示した。
(実施例7)
実施例7では、図17に示すように、5種類の離散的なスペクトルから構成されたレーザー光について、図12に示すように、結晶板120、偏光子130、及び分散媒質140を順次透過させた。
なお、レーザー光源110としては、図17の5種類の周波数からなるレーザー光(高次の誘導ラマン散乱過程で発生が可能)、結晶板120としては1個の水晶板、偏光子130としては1個のフッ化マグネシウムポーラライザー、分散媒質140としては1個の石英ガラス板を用いた。
作製したレーザー装置について、軸性のある結晶板120、偏光子130、及び分散媒質140を調節した。具体的には、軸性のある結晶板120の軸からの角度と実効的な厚み、及び、分散媒質の厚みを調整して、鋸歯状の光波形を実現するのに最適な強度分布と位相分布に可能な限り近づけるようにした。
そして、調節した後の、レーザー光の各スペクトルの強度、位相を図18(a)に、並びに、得られたレーザー光の波形を図18(b)に示す。
図18からわかるように、結晶板120、偏光子130及び分散媒質140の条件を変更することで、鋸歯状のレーザー光が得られており、離散的なスペクトルの強度分布を任意に作り出すことができた。そのため、本発明による方法によれば、所望の形状のレーザー光が得られることがわかる。
本発明によれば、複雑な構成を用いることなく、レーザー光と媒質の相互作用における非線形の光学特性を操作でき、さらに、高出力且つ高ビーム品質の長波長域、及び短波長域のレーザー光を長期間照射できる、非線形光学過程の操作方法及びレーザー装置の提供が可能となる。
10 光源
20 媒質
21 光学媒質
22 分散媒質
30 増幅手段
40 波長変換用結晶
110 光源
120 軸性のある結晶板
130 偏光子
140 分散媒質
150 第2の軸性のある結晶板

Claims (9)

  1. 離散的なスペクトルからなるレーザー光を、軸性のある結晶板に透過させ、該結晶板の厚さ及び/又は角度を変化させることで、任意のスペクトル偏光分布を作り出すことを特徴とする、レーザー装置。
  2. 前記結晶板に透過させた後に、偏光子に透過させることで任意のスペクトル強度分布を作り出すことを特徴とする、請求項1に記載のレーザー装置。
  3. 前記偏光子に透過させた後に、第2の軸性のある結晶板に透過させ、該第2の軸性のある結晶板の厚さ及び/又は角度を変化させることで、スペクトル強度分布を操作した前記離散的なスペクトルに、さらに任意の偏光分布を作り出すことを特徴とする、請求項2に記載のレーザー装置。
  4. 前記レーザー光を、さらに、1又は複数の透明な分散媒質に透過させ、該分散媒質の光学的厚みを調整することで、スペクトル間に任意の相対位相関係を作り出し、光波形を整形することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザー装置。
  5. 前記軸性のある結晶板を複数設けることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザー装置。
  6. 前記第2の軸性のある結晶板を複数設けることを特徴とする、請求項3に記載のレーザー装置。
  7. 前記偏光子を複数設けることを特徴とする、請求項2または3に記載のレーザー装置。
  8. 前記離散的なスペクトルの周波数間隔が10THz以上であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のレーザー装置。
  9. 前記分散媒質を線形及び/又は非線形光学媒質中に、一又は複数個、組み込み、さらに、該線形及び/又は非線形光学媒質中を伝搬するレーザー光の進行方向に沿ってそれらの位置を調整することで、目的の光学過程を効率よく達成するよう、関与する線形および非線形光学過程が操作されることを特徴とする請求項4に記載のレーザー装置。
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