JP2019163410A - 樹脂組成物およびそれより得られる樹脂フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性や透明性に優れ、溶液キャスト法によってフィルム化が可能であり、フィルム形態時の耐薬品性に優れる樹脂組成物およびフィルムを提供する。【解決手段】ポリアリレート樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)を含有する樹脂組成物であって、前記ポリアリレート樹脂(A)のガラス転移温度が190℃以上であり、前記樹脂組成物におけるポリアリレート樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)の含有比率(A)/(B)が99/1〜71/29(質量比)である樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明はポリアリレート樹脂を含有する樹脂組成物およびそれからなるフィルムに関する。
近年、有機ELやタッチパネルのフレキシブル化や軽量化を目的とした基板のフィルム化が進んでいる。基板フィルムは、基材となるフィルムに対し各種機能性層を積層し目的とする性能の付与を行っているが、基板の製造工程において各種塗剤の塗布、乾燥を行うため、それら加工に耐えうる耐熱性、耐薬品性が求められる。また、基板を組み込み得られるディスプレイ等においては使用時の発熱や、使用環境おける耐熱性も求められる。
上記のように基板フィルムに求められる性能としては、透明性、耐熱性、耐薬品性が挙げられる。
上記のように基板フィルムに求められる性能としては、透明性、耐熱性、耐薬品性が挙げられる。
基板材料として用いられるフィルムとしては、透明性、耐熱性に優れた非晶性樹脂が用いられ、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂等からなるフィルムが用いられている。このようなフィルムは、非晶性樹脂が有する特性上耐薬品性が乏しい。
一方前記フィルムの製造方法としては、溶融押出法と溶液キャスト法が挙げられるが、有機ELやタッチパネルの基板フィルムへの適用を考えた場合、炭化物等の異物が発生しにくい溶液キャスト法のほうが好ましい。
この点で前記非晶性樹脂はクロロホルム、トルエン等汎用有機溶剤への溶解性に優れ、それら有機溶剤に樹脂を溶解した樹脂溶液を用い、流延、乾燥することで溶液キャスト法によるフィルム化が容易であった。
一方前記フィルムの製造方法としては、溶融押出法と溶液キャスト法が挙げられるが、有機ELやタッチパネルの基板フィルムへの適用を考えた場合、炭化物等の異物が発生しにくい溶液キャスト法のほうが好ましい。
この点で前記非晶性樹脂はクロロホルム、トルエン等汎用有機溶剤への溶解性に優れ、それら有機溶剤に樹脂を溶解した樹脂溶液を用い、流延、乾燥することで溶液キャスト法によるフィルム化が容易であった。
特許文献1には、透明性や耐熱性に優れることに加え、溶液キャスト法によるフィルム化が可能な溶剤溶解性に優れるポリアリレート樹脂が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示されているフィルムは、ポリアリレート樹脂をクロロホルム等の有機溶剤に溶解した樹脂溶液を基材上に流延し、乾燥して得られるフィルムであり、透明性、耐熱性に優れるものの耐薬品性が不十分という問題があった。
本発明は、耐熱性や透明性に優れ、溶液キャスト法によってフィルム化が可能であり、フィルム形態時の耐薬品性に優れる樹脂組成物およびフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、上記目的が達成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)ポリアリレート樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)を含有する樹脂組成物であって、前記樹脂組成物におけるポリアリレート樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)の含有比率(A)/(B)が99/1〜71/29(質量比)である樹脂組成物。
(2)ポリアリレート樹脂(A)を構成する二価フェノール成分として、下記一般式(i)〜(iv)で示される二価フェノール成分から選択される1種以上を含有する(1)の樹脂組成物。
[一般式(i)中、R1、R2、R3およびR4は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の脂環族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる]
[一般式(ii)中、R6、R7、R8およびR9は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の脂環族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる]
[一般式(iii)中、R10、R11、R12およびR13は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の脂環族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる]
[一般式(iv)中、R16、R17、R18およびR19は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の脂環族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる]
(3)ポリアリレート樹脂(A)の芳香族エステル基当量が150〜300g/eqである(1)または(2)の樹脂組成物。
(4)ポリアリレート樹脂(A)を構成する二価フェノール成分として、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)を含有する(1)〜(3)の樹脂組成物。
(5)(1)〜(4)の樹脂組成物と有機溶媒とを含有する樹脂溶液。
(6)(5)の樹脂溶液を用いて形成させた樹脂フィルム。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)ポリアリレート樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)を含有する樹脂組成物であって、前記樹脂組成物におけるポリアリレート樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)の含有比率(A)/(B)が99/1〜71/29(質量比)である樹脂組成物。
(2)ポリアリレート樹脂(A)を構成する二価フェノール成分として、下記一般式(i)〜(iv)で示される二価フェノール成分から選択される1種以上を含有する(1)の樹脂組成物。
(3)ポリアリレート樹脂(A)の芳香族エステル基当量が150〜300g/eqである(1)または(2)の樹脂組成物。
(4)ポリアリレート樹脂(A)を構成する二価フェノール成分として、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)を含有する(1)〜(3)の樹脂組成物。
(5)(1)〜(4)の樹脂組成物と有機溶媒とを含有する樹脂溶液。
(6)(5)の樹脂溶液を用いて形成させた樹脂フィルム。
本発明によれば、耐熱性や透明性に優れ、溶液キャスト法によってフィルム化が可能であり、フィルム形態時の耐薬品性に優れる樹脂組成物およびフィルムが得られる。
[ポリアリレート樹脂]
本発明のポリアリレート樹脂は、二価フェノール成分および芳香族ジカルボン酸成分をモノマー成分として含有するポリエステルである。
本発明のポリアリレート樹脂は、二価フェノール成分および芳香族ジカルボン酸成分をモノマー成分として含有するポリエステルである。
二価フェノール成分は、1分子中、2個のフェノール性ヒドロキシル基を含有するあらゆる有機化合物であってもよい。フェノール性ヒドロキシル基とは、芳香族環に直接的に結合したヒドロキシル基のことである。
二価フェノール成分としては、得られる樹脂組成物の耐熱性を向上し、有機溶剤に対する溶解性を向上させる観点から、下記一般式(i)〜(iv)で表される二価フェノールからなる群から選択される1種以上の二価フェノール成分が好ましい。
一般式(i)中、R1、R2、R3およびR4は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の脂環族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる。前記ハロゲン原子として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。好ましいハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子である。前記脂肪族炭化水素基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などのアルキル基、およびビニル基、アリル基などのアルケニル基が挙げられる。好ましい脂肪族炭化水素基はアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜10、さらに好ましくは1〜5、特に1〜3のアルキル基である。前記脂環族炭化水素基として、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基などのシクロアルキル基が挙げられる。好ましい脂環族炭化水素基は炭素数3〜10、特に3〜6のシクロアルキル基である。前記芳香族炭化水素基として、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基などのアリール基が挙げられる。好ましい芳香族炭化水素基は炭素数6〜14、特に6〜10のアリール基である。
R5は、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の脂環族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基からなる群より選ばれる。前記脂肪族炭化水素基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などのアルキル基、およびビニル基、アリル基などのアルケニル基が挙げられる。好ましい脂肪族炭化水素基はアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜10、さらに好ましくは1〜5、特に1〜3のアルキル基である。前記脂環族炭化水素基として、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基などのシクロアルキル基が挙げられる。好ましい脂環族炭化水素基は炭素数3〜10、特に3〜6のシクロアルキル基である。前記芳香族炭化水素基として、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基などのアリール基が挙げられる。好ましい芳香族炭化水素基は炭素数6〜14、特に6〜10のアリール基である。前記ハロゲン化アルキル基は炭素数が1〜10、さらに好ましくは1〜5、特に1〜3のアルキル基において、1〜2個の水素原子がハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)によって置換されたアルキル基である。好ましいハロゲン化アルキル基として、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、モノクロロメチル基、ジクロロメチル基が挙げられる。後述するmが2以上の整数のとき、当該2以上のR5は各々独立に上記群より選ばれればよい。
kは2〜12の整数であり、好ましくは4〜11、より好ましくは4〜6の整数である。当該kの値により構成炭素原子の数が変動する炭素環において、各炭素原子が有する水素原子は省略されている。mが1以上のとき、当該1以上のR5は、当該炭素環を構成する炭素原子が有する水素原子と置換されている。mは0以上であって、2k以下の整数であり、好ましくは0〜4、より好ましくは1〜4の整数である。
好ましい一般式(i)の二価フェノールにおいては、R1およびR3は、各々独立に、好ましくは同時に、水素原子、または炭素数1〜10、特に1〜3のアルキル基である;R2およびR4は、各々独立に、好ましくは同時に、水素原子、または炭素数1〜10、特に1〜3のアルキル基である;R5は、炭素数1〜10、特に1〜3のアルキル基である;特にmが2以上の整数のとき、当該2以上のR5は各々独立に上記アルキル基であればよく、好ましくは同時に、炭素数1〜10、特に1〜3のアルキル基である;kは4〜11、特に4〜6の整数である;mは0〜4、特に1〜4の整数である。
より好ましい一般式(i)の二価フェノールにおいては、R1〜R4は、同時に、水素原子、または炭素数1〜10、特に1〜3のアルキル基である;R5は、炭素数1〜10、特に1〜3のアルキル基である;特にmが2以上の整数のとき、当該2以上のR5は同時に、炭素数1〜10、特に1〜3のアルキル基である;kは4〜6の整数である;mは2〜4の整数である。
一般式(i)で示される二価フェノールの具体例として、例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5,5−テトラメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,4−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−エチル−シクロヘキサン、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス−(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロオクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロウンデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロドデカン(BisCDE)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロトリデカン等が挙げられる。
一般式(ii)中、R6、R7、R8およびR9は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の脂環族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる。前記ハロゲン原子は、一般式(i)におけるハロゲン原子と同様であり、好ましいハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子である。前記脂肪族炭化水素基は、一般式(i)における脂肪族炭化水素基と同様であり、好ましい脂肪族炭化水素基はアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜10、さらに好ましくは1〜5、特に1〜3のアルキル基である。前記脂環族炭化水素基は、一般式(i)における脂環族炭化水素基と同様であり、好ましい脂環族炭化水素基は炭素数3〜10、特に3〜6のシクロアルキル基である。前記芳香族炭化水素基は、一般式(i)における芳香族炭化水素基と同様であり、好ましい芳香族炭化水素基は炭素数6〜14、特に6〜10のアリール基である。
好ましい一般式(ii)の二価フェノールにおいては、R6およびR8は、各々独立に、好ましくは同時に、水素原子、炭素数1〜10、特に1〜3のアルキル基、または炭素数6〜14、特に6〜10のアリール基である;R7およびR9は、各々独立に、好ましくは同時に、水素原子、または炭素数1〜10、特に1〜3のアルキル基、である。
より好ましい一般式(ii)の二価フェノールにおいては、R6およびR8は、各々独立に、好ましくは同時に、炭素数1〜10、特に1〜3のアルキル基である;R7およびR9は、同時に、水素原子である。
一般式(ii)で示される二価フェノールの具体例として、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(BCF)、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン等が挙げられる。
一般式(iii)中、R10、R11、R12およびR13は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の脂環族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる。前記ハロゲン原子は、一般式(i)におけるハロゲン原子と同様であり、好ましいハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子)である。前記脂肪族炭化水素基は、一般式(i)における脂肪族炭化水素基と同様であり、好ましい脂肪族炭化水素基はアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜10、さらに好ましくは1〜5、特に1〜3のアルキル基である。前記脂環族炭化水素基は、一般式(i)における脂環族炭化水素基と同様であり、好ましい脂環族炭化水素基は炭素数3〜10、特に3〜6のシクロアルキル基である。前記芳香族炭化水素基は、一般式(i)における芳香族炭化水素基と同様であり、好ましい芳香族炭化水素基は炭素数6〜14、特に6〜10のアリール基である。
R14は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の脂環族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる。前記ハロゲン原子は、一般式(i)におけるハロゲン原子と同様であり、好ましいハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子である。前記脂肪族炭化水素基は、一般式(i)における脂肪族炭化水素基と同様であり、好ましい脂肪族炭化水素基はアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜10、さらに好ましくは1〜5、特に1〜3のアルキル基である。前記脂環族炭化水素基は、一般式(i)における脂環族炭化水素基と同様であり、好ましい脂環族炭化水素基は炭素数3〜10、特に3〜6のシクロアルキル基である。前記芳香族炭化水素基は、一般式(i)における芳香族炭化水素基と同様であり、
好ましい芳香族炭化水素基は炭素数6〜14、特に6〜10のアリール基である。
好ましい芳香族炭化水素基は炭素数6〜14、特に6〜10のアリール基である。
R15は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる。前記芳香族炭化水素基は、一般式(i)における芳香族炭化水素基と同様であり、好ましい芳香族炭化水素基は炭素数6〜14、特に6〜10のアリール基である。
好ましい一般式(iii)の二価フェノールにおいては、R10およびR12は、各々独立に、好ましくは同時に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10、特に1〜3のアルキル基、または炭素数6〜20、特に6〜10のアリール基である;R11およびR13は、各々独立に、好ましくは同時に、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜10、特に1〜3のアルキル基である;R14は、水素原子、または炭素数1〜10、特に1〜3のアルキル基である;R15は、炭素数6〜20、特に6〜10のアリール基である。
より好ましい一般式(iii)の二価フェノールにおいては、R10〜R13は、同時に、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜10、特に1〜3のアルキル基である;R14は、水素原子、または炭素数1〜10、特に1〜3のアルキル基である;R15は、炭素数6〜20、特に6〜10のアリール基である。
上記一般式(iii)の二価フェノールを導入するための化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(BisAP)、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1−フェニルエタン等が挙げられる。
一般式(iv)中、R16、R17、R18およびR19は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の脂環族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる。前記ハロゲン原子は、一般式(i)におけるハロゲン原子と同様であり、好ましいハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子である。前記脂肪族炭化水素基は、一般式(i)における脂肪族炭化水素基と同様であり、好ましい脂肪族炭化水素基はアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜10、さらに好ましくは1〜5、特に1〜3のアルキル基である。前記脂環族炭化水素基は、一般式(i)における脂環族炭化水素基と同様であり、好ましい脂環族炭化水素基は炭素数3〜10、特に3〜6のシクロアルキル基である。前記芳香族炭化水素基は、一般式(i)における芳香族炭化水素基と同様であり、好ましい芳香族炭化水素基は炭素数6〜14、特に6〜10のアリール基である。
好ましい一般式(iv)の二価フェノールにおいては、R16およびR18は、各々独立に、好ましくは同時に、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜10、特に1〜3のアルキル基である;R17およびR19は、各々独立に、好ましくは同時に、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜10、特に1〜3のアルキル基である。
上記一般式(iv)の二価フェノールを導入するための化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン等が挙げられる。
二価フェノール成分は、上記の二価フェノールを単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよいが、汎用溶媒への溶解性が高くなることから、複数種を用いることが好ましい。中でも、二価フェノール成分は、BisAおよび/またはBisAPと、BisTMCおよび/またはBisCDEとを組み合わせて含有することが好ましい。BisAおよび/またはBisAPと、BisTMCおよび/またはBisCDEとを用いる場合、BisAおよびBisAPの合計含有量とBisTMCおよびBisCDEの合計含有量との含有比率((BisA+BisAP)/(BisTMC+BisCDE))は、10/90〜90/10(モル比)とすることが好ましく、特にメチルエチルケトンへの溶解性が高くなることから、15/85〜85/15(モル比)とすることがより好ましく、30/70〜70/30(モル比)とすることがさらに好ましい。汎用溶媒への溶解性の観点から、BisA/BisTMCが30/70〜70/30(モル比)とすることがより好ましい。
ポリアリレート樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記一般式(i)〜(iv)で表される二価フェノール以外の二価フェノールを導入してもよい。そのようなビスフェノール類として、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、4−メチル−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、N−フェニル−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン、N−メチル−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン等を挙げることができる。
芳香族ジカルボン酸成分は、1分子中、芳香族環に直接的に結合した2個のカルボキシル基を含有するあらゆる有機化合物であってもよい。芳香族ジカルボン酸成分の具体例として、例えば、テレフタル酸(TPA)、イソフタル酸(IPA)、オルトフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,2’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸成分は、上記のうち1種の化合物を単独で用いてもよいし、複数種の化合物を併用してもよい。中でも、ポリアリレート樹脂の汎用溶媒への溶解性の観点から、TPAとIPAとを併用して用いることが好ましい。IPAの含有比率は、全芳香族ジカルボン酸成分に対して、20モル%以上とすることが好ましく、40モル%以上とすることがより好ましく、50モル%以上とすることがさらに好ましく、60モル%以上とすることが最も好ましい。
ポリアリレート樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記した二価フェノール成分、芳香族ジカルボン酸成分およびヒドロキシカルボン酸成分以外の他のモノマー成分を含有してもよい。他のモノマー成分の具体例として、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール等の脂環族ジオール;アジピン酸およびセバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸および脂環族ジカルボン酸は、その誘導体やその無水物であってもよい。他のモノマー成分の含有比率は、全モノマー成分100モル%に対して、通常は10モル%以下であり、好ましくは5モル%以下であり、より好ましくは0モル%である。
ポリアリレート樹脂を製造する方法としては、界面重合法、溶液重合法等が挙げられる。界面重合法は溶液重合法と比較すると、反応が速いため、酸ハライドの加水分解を抑えることができ、結果として高分子量のポリマーを得ることができる。
界面重合法としては、ジカルボン酸成分のハライドを水と相溶しない有機溶媒に溶解させた溶液(有機相)を、ジオール成分、末端封止剤、酸化防止剤および重合触媒を含むアルカリ水溶液(水相)に混合し、50℃以下の温度で1〜8時間撹拌しながら重合反応をおこなう方法が挙げられる。
有機相に用いる溶媒としては、水と相溶せずポリアリレート樹脂を溶解する溶媒が好ましい。前記溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム等が挙げられ、製造上使用しやすいことから、塩化メチレンが好ましい。
本発明のポリアリレート樹脂の芳香族エステル基当量は、150〜300g/eqとすることが好ましい。この範囲となることで、樹脂組成物としての耐熱性および溶解性に優れ、フィルム形態時の耐薬品性が十分となる。
本発明のポリアリレート樹脂の数平均分子量は、10000〜60000とすることが好ましく、20000〜50000とすることがより好ましい。数平均分子量が10000未満の場合、得られる樹脂組成物の可撓性が劣ったものとなる。一方、数平均分子量が60000以上の場合、得られる樹脂組成物の溶液粘度が高くなるため製膜性が悪くなることがあり好ましくない。
ポリアリレート樹脂の分子量を所定の範囲とするには、重合時間を調節することで反応率を制御し分子量を調整する方法、芳香族ジカルボン酸成分あるいは二価フェノール成分のモノマーの配合比率をいずれかの成分をわずかに過剰に配合して重合することで分子量を調整する方法、反応性官能基を分子中に1つだけ有する脂肪族モノアルコール類、フェノール類、あるいは、モノカルボン酸類を末端封鎖剤としてモノマーとともに添加して分子量を調整する方法などが挙げられる。これらの中では末端封鎖剤を添加する方法が分子量の制御をしやすく好適である。
前記末端封鎖剤としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等の脂肪族モノアルコール類;フェノール、クレゾール、2,6−キシレノール、2,4−キシレノール、p−tert−ブチルフェノール(PTBP)、p−tert−オクチルフェノール、クミルフェノール等のフェノール類;および安息香酸、メチル安息香酸、ナフトエ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オレイン酸、ステアリン酸等のモノカルボン酸類、あるいはそれらの誘導体が挙げられる。
本発明で用いるポリアリレート樹脂のガラス転移温度は190℃以上であることが好ましく、190〜300℃であることがより好ましく、210〜250℃であることがさらに好ましい。ガラス転移温度を所定範囲とすることで、得られる樹脂組成物の耐熱性が高いものとなる。ガラス転移温度が190℃未満の場合、樹脂組成物の耐熱性が劣ったものとなる。ガラス転移温度が300℃以上の場合、樹脂組成物を溶液キャスト法でフィルム化する際の脱溶剤がしにくく好ましくない。
本発明のポリアリレート樹脂は、その特性を損なわない範囲で、ヒドロキシル基を、エポキシ基、アクリレート基、ビニル基、イソシアネート基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、または、シラノール基を有する化合物で修飾してもよい。
[エポキシ樹脂]
本発明で用いられるエポキシ樹脂は、特に限定はされず、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。エポキシ樹脂は、エポキシ基以外の他の官能基を有してもよい。
本発明で用いられるエポキシ樹脂は、特に限定はされず、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。エポキシ樹脂は、エポキシ基以外の他の官能基を有してもよい。
本発明の樹脂組成物において、ポリアリレート樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)の含有比率(A)/(B)が99/1〜71/29(質量比)であり、98/2〜80/20(質量比)であることが好ましく、97/3〜90/10(質量比)であることがより好ましい。樹脂組成物中のエポキシ樹脂(B)の含有量が1質量%未満では、耐薬品性が不十分となり、29質量%を超えると接着性が向上するため、溶液キャスト法における基材からのフィルム剥離性が悪いものとなる。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、50〜5000が好ましく、より好ましくは50〜3000がより好ましく、100〜1000がさらに好ましい。この範囲となることで、樹脂組成物のフィルム形態時の耐薬品性が十分となる。
本発明の樹脂組成物は、さらに硬化助触媒を含有させてもよい。硬化助触媒は樹脂組成物の耐薬品性等の性能をさらに向上させるために用いるものである。硬化助触媒としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン類;トリフェニルホスフィン、トリブチルホス
フィン等の有機ホスフィン類;テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド等の第四オニウム塩類が挙げられる。硬化助触媒は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。硬化助触媒を用いる場合の含有量は、樹脂組成物全体に対し、0.1〜1.0質量部であることが好ましく、0.1〜0.3質量部であることがさらに好ましい。
フィン等の有機ホスフィン類;テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド等の第四オニウム塩類が挙げられる。硬化助触媒は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。硬化助触媒を用いる場合の含有量は、樹脂組成物全体に対し、0.1〜1.0質量部であることが好ましく、0.1〜0.3質量部であることがさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物には、硬化剤を併用することができる。硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトンラミンやテトラエチレンペンタミン、ジシアンジアミン、アジピン酸ジヒドラジドおよびポリアミドポリアミン等の脂肪族ポリアミン化合物;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタンおよびビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン等の脂環族ポリアミン化合物;メタキシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンおよびメタフェニレンジアミン等の芳香族ポリアミン化合物;無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ドデシル無水コハク酸、無水クロレンディック酸等の1官能性酸無水物;無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメート)、メチルシクロヘキサンテトラカルボン酸無水物等の2官能性酸無水物;無水トリメリット酸、ポリアゼライン酸無水物等の遊離酸無水カルボン酸が挙げられる。硬化剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。硬化剤を用いる場合の含有量は、硬化剤の官能基当量がエポキシ樹脂のエポキシ当量に対して、好ましくは0.5〜1.5当量比、より好ましくは0.7〜1.3当量比となるようにする。
本発明の樹脂組成物のガラス転移温度は180℃以上であることが実用上好ましく、200℃以上であることがさらに好ましく、220℃以上であることがより好ましい。樹脂組成物のガラス転移温度が180℃未満では、樹脂組成物としての耐熱性が不足し、例えば樹脂組成物フィルムを電子部品用途で用いた際に加工時の熱により変形を伴うことがある。
本発明の樹脂組成物の透明性は、樹脂組成物フィルムを用い、全光線透過率を測定することで判断される。樹脂組成物フィルムの全光線透過率は、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
例えば、樹脂組成物フィルムを電子部品における光学用途で用いる際には、用いる樹脂フィルムの厚みにもよるが透明性が高いことが好ましい。
例えば、樹脂組成物フィルムを電子部品における光学用途で用いる際には、用いる樹脂フィルムの厚みにもよるが透明性が高いことが好ましい。
本発明の樹脂組成物において、所望の性能を付与するため、本発明で必要とする性能の範囲内でポリアリレート樹脂以外の他の樹脂を配合してもよい。他の樹脂の一例としては、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、およびポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂;シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、その特性を損なわない範囲で、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、粘度調整剤、増量剤、染料、顔料、UV吸収剤、空隙形成剤、潤滑剤、ラジカル捕捉剤、熱安定剤、難燃剤、阻害剤、ブロッキング防止剤、表面活性剤、スリップ助剤、光沢向上剤、粘度調整剤、分散安定剤が挙げられる。中でも、本願樹脂組成物の更なる特性向上のため、酸化防止剤、難燃剤を用いることが特に好ましい。
前記酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤として、
1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,1,3−トリ(4−ヒドロキシ−2−メチル−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(3−t−ブチル−6−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパノイック酸、ペンタエリトリチルテトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−5−メチル−ベンゼンプロパノイック酸、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられる。リン系酸化防止剤として、3,9−ビス(p−ノニルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジフォスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(オクタデシロキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジフォスファスピロ[5.5]ウンデカン、トリ(モノノニルフェニル)フォスファイト、トリフェノキシフォスフィン、イソデシルフォスファイト、イソデシルフェニルフォスファイト、ジフェニル2−エチルヘキシルフォスファイト、ジノニルフェニルビス(ノニルフェニル)エステルフォスフォラス酸、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルフォスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ペンタエリスリトールビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルフォスファイト)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)2−エチルヘキシルフォスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等が挙げられる。チオエーテル系酸化防止剤として4,4’−チオビス[2−t−ブチル−5−メチルフェノール]ビス[3−(ドデシルチオ)プロピオネート]、チオビス[2−(1,1−ジメチルエチル)−5−メチル−4,1−フェニレン]ビス[3−(テトラデシルチオ)−プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス(3−n−ドデシルチオプロピオネート)、ビス(トリデシル)チオジプロピオネートが挙げられる。酸化防止剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,1,3−トリ(4−ヒドロキシ−2−メチル−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(3−t−ブチル−6−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパノイック酸、ペンタエリトリチルテトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−5−メチル−ベンゼンプロパノイック酸、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられる。リン系酸化防止剤として、3,9−ビス(p−ノニルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジフォスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(オクタデシロキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジフォスファスピロ[5.5]ウンデカン、トリ(モノノニルフェニル)フォスファイト、トリフェノキシフォスフィン、イソデシルフォスファイト、イソデシルフェニルフォスファイト、ジフェニル2−エチルヘキシルフォスファイト、ジノニルフェニルビス(ノニルフェニル)エステルフォスフォラス酸、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルフォスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ペンタエリスリトールビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルフォスファイト)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)2−エチルヘキシルフォスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等が挙げられる。チオエーテル系酸化防止剤として4,4’−チオビス[2−t−ブチル−5−メチルフェノール]ビス[3−(ドデシルチオ)プロピオネート]、チオビス[2−(1,1−ジメチルエチル)−5−メチル−4,1−フェニレン]ビス[3−(テトラデシルチオ)−プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス(3−n−ドデシルチオプロピオネート)、ビス(トリデシル)チオジプロピオネートが挙げられる。酸化防止剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記難燃剤としては、環境への影響の観点から非ハロゲン系難燃剤が好ましい。リン系難燃剤、窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤等が挙げられる。難燃剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。なお、難燃剤を用いることによって、樹脂組成物の透明性が阻害されることがあるが、難燃剤の含有量は、透明性に影響のでない範囲で適宜調整し用いることができる。
本発明の樹脂組成物は、有機溶媒に溶解し、樹脂溶液とすることができる。樹脂溶液の作製方法は特に限定されないが、樹脂組成物の樹脂溶液を作製する場合、ポリアリレート樹脂とエポキシ樹脂を同時に有機溶媒に溶解するよりも、予めポリアリレート樹脂とエポキシ樹脂をそれぞれ有機溶媒に溶解した後それらを混合する方が、短時間で均一な樹脂溶液を得やすい。なお、後者の場合、両者の樹脂溶液の固形分濃度が近い方が、より短時間で均一な樹脂溶液を得やすい。
本発明の樹脂組成物の樹脂溶液に用いる有機溶媒は、樹脂組成物が均一に溶解できれば特に限定されず、環境への影響の観点から非ハロゲン化溶媒が好ましい。本発明の樹脂組成物の樹脂溶液に用いる有機溶媒は、エポキシ樹脂とポリアリレート樹脂が均一に溶解できれば特に限定されず、環境への影響の観点から非ハロゲン化溶媒が好ましい。このような非ハロゲン化溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド化合物;1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン等のエーテル化合物;メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン化合物;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類が挙げられる。これらの非ハロゲン化溶媒はいずれも汎用溶媒として有用であり、ケトン化合物および芳香族炭化水素類、特にシクロヘキサノンおよびトルエンはより汎用的な溶剤として有用である。前記有機溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶媒を用いて樹脂溶液を得る場合の、好ましい樹脂溶液濃度は5〜30質量%であり、より好ましくは8〜25質量%、さらに好ましくは10〜20質量%である。樹脂溶液濃度は、樹脂溶液の粘度、乾燥効率等を考慮し、適宜調整が可能である。
本発明の樹脂組成物の樹脂溶液は、樹脂溶液を塗布乾燥することにより樹脂または金属等の基材上に被膜を形成したり、被膜形成後剥離しフィルムを形成したり、被膜またはフィルムを他の樹脂または金属等の基材を張り合わせ積層体とするとすることができる。
本発明の樹脂組成物は、溶液キャスト法や溶融押出法等の方法で加工することにより樹脂組成物のフィルムを得ることができる。溶液キャスト法とは、樹脂組成物を有機溶剤に溶解した後、その樹脂溶液を基材に塗布し、乾燥した後、基材から剥離してフィルムを作製する方法である。一方、溶融押出法とは、樹脂組成物を押出機に投入し、溶融樹脂をTダイ等から冷却ロールに押出し、捲き取る方法である。透明性の高いフィルムを得るためには、炭化物等の異物の発生が少ないことから、溶液キャスト法でフィルムを作製することが好ましい。
基材としては、例えば、PETフィルム、ポリイミドフィルム、ガラス板、ステンレス板が挙げられる。塗布方法としては、例えば、ワイヤーバーコーター塗り、フィルムアプリケーター塗り、はけ塗り、スプレー塗りや、グラビアロールコーティング法、スクリーン印刷法、リバースロールコーティング法、リップコーティング、エアナイフコーティング法、カーテンフローコーティング法、浸漬コーティング法が挙げられる。
溶液キャスト法を用い、樹脂組成物フィルムを得る場合、樹脂溶液は加熱乾燥することが好ましい。乾燥温度および乾燥時間はポリアリレート樹脂の物性や塗布基板の組み合わせにより適宜選択される。経済性を考慮した場合、乾燥温度は40〜200℃とすることが好ましい。乾燥時間は1〜30分とすることが好ましく、1〜15分とすることがより好ましい。なお、必要に応じて、室温で自然乾燥してもよい。特にトルエン等高沸点溶媒を用いた樹脂溶液を乾燥する場合、高温、短時間で乾燥を行おうとすると突沸し、被膜またはフィルム表面に気泡あるいはブツ等の欠陥を生じるため、作業効率の許す限り、低温、長時間乾燥を行うことが好ましい。また、得られる被膜またはフィルムの収縮を抑制するためにも低温、長時間乾燥することが好ましい。なお、乾燥は1段でなくても、多段階で行うこともできる。また、乾燥にさらに別の塗布、乾燥を行うことで、多層化することもできる。
溶融押出法を用い、樹脂組成物フィルムを得る場合、樹脂組成物はTダイ等の押出機を用いて溶融成形することもできる、その場合の押出温度は300〜420℃である。
なお、溶融押出は単層で行うこともできるが、必要に応じ多層化も可能である。
なお、溶融押出は単層で行うこともできるが、必要に応じ多層化も可能である。
本発明で得られた樹脂組成物フィルムは、耐熱性、透明性、耐薬品性のバランスに優れるため、電子基板、ディスプレイ基板等の電気、電子部品用途で好適に用いることができ、特に透明性が良好であるため、ディスプレイ基板での使用に適する。ディスプレイ基板としては、例えば、液晶、有機EL等が挙げられ、それらを用いた画像表示装置、タッチパネル等が挙げられる。
次に実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定
されるものではない。
されるものではない。
1.評価方法
(1)樹脂組成物フィルムの作製
実施例で得た各樹脂組成物15質量部に、クロロホルム85質量部を加えて樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液を用いて、ポリイミドフィルム上に塗膜を形成した。室温で風乾後、ポリイミドフィルムから剥離し、減圧にて170℃で3時間乾燥して、厚さ20μmのフィルムを作製した。
(1)樹脂組成物フィルムの作製
実施例で得た各樹脂組成物15質量部に、クロロホルム85質量部を加えて樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液を用いて、ポリイミドフィルム上に塗膜を形成した。室温で風乾後、ポリイミドフィルムから剥離し、減圧にて170℃で3時間乾燥して、厚さ20μmのフィルムを作製した。
(2)ポリアリレート樹脂または樹脂組成物フィルムのガラス転移温度
後述する製造例1〜6で得られたポリアリレート樹脂または前記(1)で得られた樹脂組成物フィルムを10mg秤量し、示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製DSC7)を用いて、昇温速度20℃/分で30℃から300℃まで昇温し、降温後、再度30℃から300℃まで昇温し、得られた昇温曲線中のガラス転移温度に由来する不連続変化の開始温度をガラス転移温度Tgとした。
後述する製造例1〜6で得られたポリアリレート樹脂または前記(1)で得られた樹脂組成物フィルムを10mg秤量し、示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製DSC7)を用いて、昇温速度20℃/分で30℃から300℃まで昇温し、降温後、再度30℃から300℃まで昇温し、得られた昇温曲線中のガラス転移温度に由来する不連続変化の開始温度をガラス転移温度Tgとした。
(3)樹脂組成物フィルムの全光線透過率
前記(1)で得られた樹脂組成物フィルムを用いて、ASTM D1003に準拠し、日本電色工業社製ヘーズメーターNDH2000で測定した。
前記(1)で得られた樹脂組成物フィルムを用いて、ASTM D1003に準拠し、日本電色工業社製ヘーズメーターNDH2000で測定した。
(4)樹脂組成物フィルムの耐薬品性
内容量140mLのガラス製ねじ口瓶に、前記(1)で得られた樹脂組成物フィルムを1g、酢酸エチルを49g秤量した。その後、ガラス製ねじ口瓶を密封し、23℃の室温でミックスローターを使用して70rpmで24時間回転させ、23℃の室温下、48時間静置した。静置後、樹脂溶液を目視で観察し、以下の基準で耐薬品性を判断した。またアセトン、トルエン、テトラヒドロフランについても同様の耐薬品性試験を行った。
なお、酢酸エチルとアセトンに対する耐薬品性が“〇”であるものを実用的な耐薬品性を有するものと判断をする。加えてトルエン、さらにはテトラヒドロフランに対する耐薬品性が“〇”であることがより好ましい。
○:フィルムが溶媒中で形状を維持していた。
△:フィルムが膨潤していたか、あるいは失透していた。
×:フィルムが溶解した。
内容量140mLのガラス製ねじ口瓶に、前記(1)で得られた樹脂組成物フィルムを1g、酢酸エチルを49g秤量した。その後、ガラス製ねじ口瓶を密封し、23℃の室温でミックスローターを使用して70rpmで24時間回転させ、23℃の室温下、48時間静置した。静置後、樹脂溶液を目視で観察し、以下の基準で耐薬品性を判断した。またアセトン、トルエン、テトラヒドロフランについても同様の耐薬品性試験を行った。
なお、酢酸エチルとアセトンに対する耐薬品性が“〇”であるものを実用的な耐薬品性を有するものと判断をする。加えてトルエン、さらにはテトラヒドロフランに対する耐薬品性が“〇”であることがより好ましい。
○:フィルムが溶媒中で形状を維持していた。
△:フィルムが膨潤していたか、あるいは失透していた。
×:フィルムが溶解した。
2.原料
(1)ポリアリレート樹脂
後述する製造例に記載する方法で下記特性を有するポリアリレート樹脂(a1)〜(a
6)を得た。
(1)ポリアリレート樹脂
後述する製造例に記載する方法で下記特性を有するポリアリレート樹脂(a1)〜(a
6)を得た。
製造例1
水冷用ジャケットと攪拌装置を備えた内容積100Lの反応容器中に、水酸化ナトリウム850gを30Lのイオン交換水に溶解し、ついで1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下BisTMC)6.00mol、および、p−tertブチルフェノール(以下PTBP)0.30molを溶解した。別の容器でテレフタル酸ジクロリド(以下TPC)3.08mol、イソフタル酸ジクロリド(以下IPC)3.08molをジクロロメタン18Lに溶解した。それぞれの液を20℃になるよう調節した後、前記水溶液を攪拌した反応容器中へ、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドの50%水溶液を15g添加し、さらに前記ジクロロメタン溶液を全量投入し、6時間攪拌を続けた後、攪拌機を停止した。静置分離後に水相を抜き出し、残ったジクロロメタン相に酢酸20gを添加した。その後、イオン交換水30Lを投入し、20分間攪拌してから再度静置して水相を抜き出した。この水洗操作を水相が中性になるまで繰り返した後、ジクロロメタン相を、ホモミキサーを装着した50℃の温水
槽中に徐々に投入しながら塩化メチレンを蒸発させることで、粉末状のポリマーを析出させ、これを取り出して脱水・乾燥を行い、ポリアリレート樹脂(a1)を得た。ポリアリレート樹脂(a1)のガラス転移温度は、272℃であった。その結果を表1に示す。
水冷用ジャケットと攪拌装置を備えた内容積100Lの反応容器中に、水酸化ナトリウム850gを30Lのイオン交換水に溶解し、ついで1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下BisTMC)6.00mol、および、p−tertブチルフェノール(以下PTBP)0.30molを溶解した。別の容器でテレフタル酸ジクロリド(以下TPC)3.08mol、イソフタル酸ジクロリド(以下IPC)3.08molをジクロロメタン18Lに溶解した。それぞれの液を20℃になるよう調節した後、前記水溶液を攪拌した反応容器中へ、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドの50%水溶液を15g添加し、さらに前記ジクロロメタン溶液を全量投入し、6時間攪拌を続けた後、攪拌機を停止した。静置分離後に水相を抜き出し、残ったジクロロメタン相に酢酸20gを添加した。その後、イオン交換水30Lを投入し、20分間攪拌してから再度静置して水相を抜き出した。この水洗操作を水相が中性になるまで繰り返した後、ジクロロメタン相を、ホモミキサーを装着した50℃の温水
槽中に徐々に投入しながら塩化メチレンを蒸発させることで、粉末状のポリマーを析出させ、これを取り出して脱水・乾燥を行い、ポリアリレート樹脂(a1)を得た。ポリアリレート樹脂(a1)のガラス転移温度は、272℃であった。その結果を表1に示す。
製造例2〜6
表1に記載のように原料の仕込みの樹脂組成を変更したこと以外は、製造例1と同様の操作を行って、ポリアリレート樹脂(a2)〜(a6)を得た。
表1に記載のように原料の仕込みの樹脂組成を変更したこと以外は、製造例1と同様の操作を行って、ポリアリレート樹脂(a2)〜(a6)を得た。
(2)エポキシ樹脂
(b1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、jER828、エポキシ当量184〜194g/eq、粘度120〜150(25℃)、軟化点20℃以下)
(b1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、jER828、エポキシ当量184〜194g/eq、粘度120〜150(25℃)、軟化点20℃以下)
(3)硬化助触媒
(c1)2−エチル−4−メチルイミダゾール(東京化成工業社製)
(c1)2−エチル−4−メチルイミダゾール(東京化成工業社製)
実施例1〜11、比較例1〜4
表2に示す配合で樹脂組成物を得た後、溶液キャスト法でフィルム化し、フィルムのガラス転移温度、全光線透過率、耐薬品性の評価を行った。その結果を表2に示す。
表2に示す配合で樹脂組成物を得た後、溶液キャスト法でフィルム化し、フィルムのガラス転移温度、全光線透過率、耐薬品性の評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例1〜11における樹脂組成物フィルムは、所定配合によったため、耐熱性、透明性、耐薬品性に優れたものであった。
比較例1〜3では、エポキシ樹脂を用いず、ポリアリレート樹脂単独であったため、耐薬品性が劣った。
比較例4では、樹脂組成物においてエポキシ樹脂の含有が過多であったため、溶液キャスト法において、基材からの樹脂組成物フィルムの剥離が困難であった。剥離した樹脂組成物フィルムは非常に脆く、所定評価を実施することができなかった。
Claims (6)
- ポリアリレート樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)を含有する樹脂組成物であって、前記樹脂組成物におけるポリアリレート樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)の含有比率(A)/(B)が99/1〜71/29(質量比)である樹脂組成物。
- ポリアリレート樹脂(A)を構成する二価フェノール成分として、下記一般式(i)〜(iv)で示される二価フェノール成分から選択される1種以上を含有する請求項1記載の樹脂組成物。
- ポリアリレート樹脂(A)の芳香族エステル基当量が150〜300g/eqである請求項1または2記載の樹脂組成物。
- ポリアリレート樹脂(A)を構成する二価フェノール成分として、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)を含有する請求項1〜3いずれか記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜4いずれか記載の樹脂組成物と有機溶媒とを含有する樹脂溶液。
- 請求項5記載の樹脂溶液を用いて形成させた樹脂フィルム。
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JP2018052814A JP2019163410A (ja) | 2018-03-20 | 2018-03-20 | 樹脂組成物およびそれより得られる樹脂フィルム |
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- 2018-03-20 JP JP2018052814A patent/JP2019163410A/ja active Pending
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