JP2019162603A - 凝集剤添加量制御装置、汚泥濃縮システム、凝集剤添加量制御方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このような凝集剤の注入率を制御する機能を有する汚泥処理装置もある(例えば特許文献1)。この特許文献1の汚泥処理装置では、汚泥原液中のフロックの凝集状態を撮影し、撮影結果からフロックの面積を求め、このフロックの面積に基づいて凝集剤の添加量を調整している。
また、特許文献1の汚泥処理装置では、フロックの面積に基づいて凝集剤の注入率を制御しているが、汚泥原液中のフロックの凝集状態は、汚泥原液に対する凝集剤の供給量の過不足が原因の一つに挙げられるが、汚泥濃縮装置の運転の仕方についても原因となる場合がある。そのため、被処理物の性状を考慮して凝集剤の供給量を制御するだけでなく、汚泥濃縮装置の運転の仕方についても考慮して凝集剤の供給量を制御することも考えられる。そのため、特許文献1の汚泥処理装置では、フロックの面積のみを参照したとしても、必ずしも被処理物の性状に応じた凝集剤の注入率となるように制御することができない。
図1は、この発明の一実施形態であり第1の実施形態における凝集剤添加量制御装置を用いた汚泥濃縮システム1の構成を示す概略構成図である。
汚泥濃縮システム1は、凝集剤供給ポンプ10、凝集剤流量計11、汚泥供給ポンプ20、汚泥濃度計21、汚泥流量計22、混和槽30、圧力計31、縦型濾過濃縮装置40、カメラ60、濃縮汚泥引抜ポンプ50、制御盤80、コンピュータ90を含んで構成される。
凝集剤流量計11は、凝集剤供給ポンプ10から供給される凝集剤の供給量を測定し、測定結果を制御盤80に出力する。
汚泥濃度計21は、汚泥供給ポンプ20から供給される被処理物の濃度を測定し、測定結果を制御盤80に出力する。
汚泥流量計22は、汚泥供給ポンプ20から供給される被処理物の供給量を測定し、測定結果を制御盤80に出力する。
圧力計31は、縦型濾過濃縮装置40における濾過スクリーンにかかる圧力(濾過圧力)を検出し、検出結果を制御盤80に出力する。
この実施形態においては、濾過濃縮装置として縦型濾過濃縮装置40を用いる場合について説明しているが、この濾過濃縮装置は、縦型に限定されず、固液分離する機能を有するものであればよく、例えば、デカンタ型遠心脱水機、スクリュープレス式脱水機等を適用することができる。この実施形態においては、本発明を実施する濾過濃縮装置として特に好ましい縦型濾過濃縮装置40を用いる場合について説明する。
カメラ60は、縦型濾過濃縮装置40の近傍に設けられる。カメラ60は、凝集剤供給ポンプ10によって凝集剤が供給され添加された被処理物が縦型濾過濃縮装置40によって濃縮された後に当該縦型濾過濃縮装置40によって分離された分離液の液面を撮像する撮像部として機能する。このカメラ60の近傍には、照明装置が配置される。
また、カメラ60は、撮像機能を有しており、この撮像結果である画像データに対して各種情報処理を行うことができる。
縦型濾過濃縮装置40において、
濾過容器401は、濾過スクリーン402の側面側の外周部および底部を覆うようにして当該濾過スクリーン402を収容する。濾過容器401の上端は、濾過スクリーン402の上端よりも高い位置になるように設定されている。
濾過スクリーン402は、円筒状の形状であり、縦方向に延びる中心軸を有して内部に被処理物(凝集汚泥)が供給される。
スクリュー403は、濾過スクリーン402の内部に収容されて、濾過スクリーン402の中心軸回りに回転する。スクリュー403には回転軸の外周に螺旋状のスクリュー羽根が取り付けられている。このスクリュー羽根の外径は、濾過スクリーン402の内径よりも僅かに小さく設定されている。このスクリュー403の上部側の端部には、モータ404の出力軸の回転が伝達するように取り付けられている。モータ404は、制御盤80から供給される駆動信号に従って駆動することで、スクリュー403を中心軸回りに回転させる。スクリュー403が回転することで、濾過スクリーン402の内周面がスクリュー羽根によって掻き取られることで、濾過スクリーン402が目詰まりしないように更新される。また、スクリュー403が回転することで、濾過スクリーン402の内周にある凝集汚泥が濾過スクリーン402の上方側から下方側に搬送される。
カメラ60は、濾過容器401の上方側であって、分離液405が濾過容器401の上端から越流する越流部近傍に取り付けられ、濾過スクリーン402と濾過容器401の間の分離液405の液面を撮像する。
制御盤80は、記憶部801、判定部802、制御部803を有する。カメラ60は、面積検出部601、輪郭検出部602、記憶部603を有する。コンピュータ90は、設定部901を有する。
制御盤80において、記憶部801は、SS(浮遊固形物)の色面積とSSの輪郭検出値(総周囲長)との関係における基準範囲(後述する)を予め記憶する。ここでは、後述する図6(あるいは図7)のようにして定められたSSの色面積とSSの輪郭検出値との関係における基準範囲を示すデータを記憶する。
また、記憶部801は、基準圧力値と、濾過圧力の変化量の基準値である変化量基準値(所定の変化量)を記憶する。
判定部802は、懸濁物質の面積と懸濁物質の輪郭との関係と基準範囲との対比を記憶部801に記憶されたデータを参照することで行う。
判定部802は、懸濁物質の面積を前記輪郭検出値(総周囲長)で割った値と、基準範囲との対比を記憶部801に記憶されたデータを参照することで行う。
制御部803は、懸濁物質の面積が基準面積未満であって、濾過圧力が基準圧力値以下である場合、凝集剤の添加量を減少させる。
制御部803は、懸濁物質の面積が基準面積以上である場合、判定部802の対比結果に基づいて、懸濁物質の面積と懸濁物質の輪郭との関係に基づく値が基準範囲を下回る場合(または基準範囲未満である場合でもよい)には、凝集剤の添加量を増加させ、懸濁物質の面積と懸濁物質の輪郭との関係に基づく値が基準範囲を上回る場合には、凝集剤の添加量を減少させる。
制御部803は、懸濁物質の面積が基準面積未満である場合、凝集剤の添加量を変更する前の濾過圧力と、凝集剤の添加量を変更した後の濾過圧力との差が、所定の変化量以下であるか否かを判定し、所定の変化量以下である場合には、凝集剤の添加量を減少させる。
制御部803は、凝集剤の添加量を変更する前の濾過圧力と、凝集剤の添加量を変更した後の濾過圧力との差が、所定の変化量以下であるか否かを判定し、所定の変化量を超えた場合には、判定部802の対比結果に基づいて、凝集剤の添加量を制御する。
制御部803は、判定部802の対比結果に基づいて、凝集剤供給ポンプ10(凝集剤添加部)が添加する凝集剤の添加量を制御する。
カメラ60において、面積検出部601は、カメラ60から得られる撮像データから分離液に存在する懸濁物質の面積を検出する。
輪郭検出部602は、カメラ60から得られる撮像データから分離液に存在する懸濁物質の輪郭を検出する。
輪郭検出部602は、撮像データのうち懸濁物質に該当する画素の画素値と懸濁物質以外の物質に該当する画素の画素値との差が一定以上である場合に輪郭を構成しうる画素として検出する。
輪郭検出部602は、輪郭を構成しうる画素として検出された複数の画素のうち隣接する画素について周囲長を求める。ここで、輪郭検出部602は、対象領域において色面積として検出された懸濁物質の画素の群が複数ある場合には、それぞれの周囲長を求め、その総和である総周囲長を求める。例えば、懸濁物質の固まりが複数ある場合には、それぞれの周囲長の和を求める。
懸濁物質であるか否かの判定は、予め実験を行うことで、実際にカメラ60によって撮像された画像データや実際の分離液405の液面を汚泥濃縮システム1の作業員が確認し、懸濁物質とするか否かの判定基準となる画素値を作業員が設定する。例えば、画像データにおける画素の色相、彩度、明度について、懸濁物質として含める対象の範囲をそれぞれ決定し、基準範囲としてコンピュータ90により記憶部603に書き込みをして記憶させる。
面積検出部601は、対象領域100の各画素の色(画素値)を参照し、懸濁物質に対応する画素の値であるか否かを、記憶部603に記憶された基準範囲にあるか否かに基づいて判定を行い、基準範囲にある場合には、懸濁物質として判定し、基準範囲にない場合には、懸濁物質ではないと判定する。この判定は、各画素について行われる。
すなわち、面積検出部601は、分離液405が撮像されると、この分離液405の色は、上述の記憶部603に記憶された懸濁物質(SS)成分の色(色相、彩度、明度)に基づいて、撮影範囲のうち対象領域の面積に対し、事前に設定したSS成分の色に対応する画素の面積(以下、色面積とも称する)の割合(単位は例えば%)で存在するのかを検知する。例えば、検知したSS成分の色面積の割合が大きいほどSS濃度が高く、色面積の割合が小さいほどSS濃度が低いことを表す。
ここで、色面積の割合は、対象領域の面積に対するSS成分の色に対応する画素の面積を求める方法の他に、マスタ画像を用いて色面積の割合を求めることもできる。ここでマスタ画像は、分離液405を撮影した画像データのうち、SS成分に対応する画素がある程度の存在する画像についてSS成分に対応する画素の面積を求めておき、マスタ画像とする。そして、マスタ画像におけるSS成分に対応する画素の面積に対する、判定する対象の画像データの対象領域におけるSS成分に対応する画素の面積の割合を求めるようにしてもよい。マスタ画像を用いる場合は、求められた割合の数が、マスタ画像を用いない場合に比べて大きな値が得られる。
そこで、SS濃度の上昇が凝集剤の添加の不足によるものかを判断するため、上述した色面積のほかに、縦型濾過濃縮装置40の運転状態も参照する。例えば、この実施形態においては、運転状態としては、濾過スクリーンの内周面に対して与えられる圧力を参照する。
輪郭検出部602は、画像データの色面積として特定された画素と、その画素に隣接する画像であって色面積として特定されなかった画素との色のコントラストに基づいて、その境界線を輪郭とするか否かを判断し、輪郭とすると判定された場合には、その輪郭のピクセル数を輪郭検出値として測定する。輪郭とするか否かの判断基準は、コントラストを用いることができるが、例えば、画像データの色面積として特定された画素と、その画素に隣接する画像であって色面積として特定されなかった画素の画素値の差が基準コントラスト値以上である場合に輪郭であると判定し、基準コントラスト値未満である場合には輪郭ではないと判断する。基準コントラスト値は取り扱う被処理物の性状や運転基準等に基づいて、コンピュータ90により任意に設定することができる。基準コントラスト値を大きな値に設定する場合には、色面積であると判定された懸濁物質とその周囲(背景)との画素値の差が大きい場合に輪郭として検出されるため感度を低く設定することができ、基準コントラスト値を小さな値に設定する場合には、色面積であると判定された懸濁物質とその周囲(背景)との画素値の差が小さくても輪郭として検出されるため感度を高く設定することができる。このような基準コントラスト値は、記憶部603に記憶しておく。
輪郭検出部602は、輪郭であると検出された画素が隣接するように連なり、色面積として判定された懸濁物質の画素を取り囲むような関係になった場合に、連なった画素の数をカウントすることで周囲長を測定する。ここでは、一部の画素が連なっていなかった場合であっても、離間する画素の数が所定数以下であれば輪郭として見なしても周囲長を測定してもよい。
一方、凝集剤の注入率が適正以上であって、分離液405のSS濃度が高い場合、分離液405には、凝集剤がある程度残留しているため、この分離液405に残留する凝集剤と浮遊するSSとが再凝集して大きな固まりとなるため、輪郭検出部602は、SSの輪郭を検知することができる。
したがって、分離液405のSS濃度が高く、輪郭として検出された総周囲長の値が小さい場合は、凝集剤が不足していると判断でき、総周囲長の値が大きい場合は、凝集剤が過剰であるか、または濃縮装置の運転条件が適正でないと判断できる。
図4(b)は、色面積が検出された画像に対して輪郭検出部602が輪郭の検出を行った後の画像を表す。ここでは、検出された輪郭(符号110)が、対象領域において複数検出されている。
このように、凝集剤の注入率が適正である場合には、色面積の増減に対して輪郭としての総周囲長も増減する。そのため、総周囲長に対する色面積の数(色面積÷総周囲長)は、ある程度低い数値となる。
図6は、色面積と総周囲長との関係を表す図である。
この図において、横軸はSSの色面積を表し、縦軸はSSの輪郭検出値(総周囲長)を表す。符号300に示す曲線は、凝集剤の添加量が第1の値である場合を表し、符号310に示す曲線は、第1の値よりも大きな添加量であって適正な添加量である場合を表し、符号320に示す曲線は、第2の値よりも大きな添加量であって適正な添加量である場合を表す。これら符号300、符号310、符号311は、それぞれ異なる添加量における色面積値と輪郭検出値の測定結果を採取し、得られた測定結果を横軸に色面積値、縦軸に輪郭検出値としてプロットし近似曲線として得られた曲線である。
符号300に示す曲線においては、凝集剤の添加量が不足している場合を表しており、分離液405において再凝集されない状態であり、そのため、SSの色面積が増大したとしても、輪郭がほとんど検出されないため、ほぼ横ばいの直線状のグラフとなっている。
一方、符号310、符号320に示す曲線は、SSの色面積の数値が増大するにつれてSS輪郭検出値も増大する関係にある。これは、凝集剤の添加量が適正であるため、分離液405において凝集剤がSSと反応して再凝集するため、色面積が増えると検出される輪郭も増大するため、総周囲長も増える傾向にある。
本実施形態においては、このようにして、異なる添加量における色面積値と輪郭検出値のデータを採取し、その結果に基づいて、適正な添加量となる値を予め定めておき、凝集剤の添加量の制御に用いる。ここでは、符号310、符号320に示す曲線について、いずれも適正な凝集剤の添加量である場合を表しているが、いずれの場合を凝集剤の添加量の制御に用いるかについては、汚泥濃縮システム1に被処理物として供給される汚泥の性状や、運転基準等に基づいて選択すればよい。例えば、符号310に示す場合における凝集剤の添加量を適正な添加量となる値として制御に用いる場合を一例として説明する。
ここでは、符号310に示す曲線を基準として、一定範囲を基準範囲として定める。例えば、この曲線が示す値に対する±20%、好ましくは±10%を基準範囲とし、その範囲に収まるように注入率を制御する。符号311が示す曲線は、基準範囲の上限値を表し、符号312が示す曲線は、基準範囲の下限値を表す。
ここでは、符号350に示す直線は、図6符号300に示す曲線に対応する関係(凝集剤の添加量が同じ)であり、符号360に示す直線は、図6符号310に示す曲線に対応する関係(凝集剤の添加量が同じ)であり、符号370に示す直線は、図6符号320に示す曲線に対応する関係(凝集剤の添加量が同じ)である。例えば、符号360に示す直線を凝集剤の添加量の制御に用いる場合には、符号360の直線を基準として所定の範囲(±20%、好ましくは±10%)を基準範囲として定めることができる。符号361が示す直線は、基準範囲の上限値を表し、符号362が示す直線は、基準範囲の下限値を表す。
ろ過圧力は、縦型濾過濃縮装置40が適正に運転されているか否かの指標として用いることができ、ろ過圧力が予め定められた圧力(基準圧力値)よりも高い場合には、濾過するために濾過スクリーン402に対してかかる抵抗が大きいため、凝集状態が悪化しているか、濾過スクリーンに目詰まりが生じていると判断できる。圧力基準値は、縦型濾過濃縮装置40の機種やサイズによって異なる値を用いるようにしてもよい。
この図において、縦軸はSSの色面積を表し、横軸はスクリューの単位時間当たりの回転数を表す。ここでは、スクリューの回転数が増加すると、SSの色面積も増加する関係があり、また、スクリューの回転数がある回転数(ここでは16min−1)よりも大きくなると、SSの色面積が増加しやすくなった。これは、この結果から、汚泥処理量に対して適切なスクリューの回転数で運転をしないと、SSの回収率が悪化する(SSが分離液とともにスクリーンの外部に排出される)ことが確認できた。例えば、スクリュー回転数が適切な回転数よりも低くなった場合には、スクリューによる処理対象物の搬送またはスクリューの刃先に設けられたスクレーパーによる濾過面の更新のうち少なくともいずれか一方の機能が果たせなくなるため、濾過圧力が上昇する。また、スクリュー回転数が適切な回転数よりも低い場合には運転不能、高い場合には、SS回収率が悪化するため、通常は運転不能に陥らないようにしつつ適切な回転数で運転することが好ましい。例えば、スクリューの適切な回転数は、濾過濃縮装置に投入される汚泥量(投入汚泥固形物量)に依存するため、投入汚泥固形物量に比例するように決定されモータ404が制御される。
図9は、SSの色面積とSSの濃度との関係を説明する図である。
この図において、縦軸はSSの濃度を表し、横軸はSSの色面積を表す。ここでは、色面積が増大すると、SSの濃度も増大するような相関関係があることを確認することができた。
カメラ60は、分離液405の液面を撮像する(ステップS101)。コンピュータ90の面積検出部601は、撮像された画像データに基づいて、色面積を検出する(ステップS102)。色面積が検出されると、輪郭検出部602は、色面積として検出された懸濁物質の輪郭を検出し(ステップS103)、検出された輪郭の周囲長を検出する(ステップS104)。ここでは、画像データの対象領域において色面積が複数箇所において検出された場合には、色面積として検出された懸濁物質のそれぞれの輪郭の周囲長の和を求めることで、総周囲長を検出する。
周囲長が検出されると、制御部803は、所定のウエイト時間が経過するまで待った後(ステップS105)、検出された色面積が基準面積未満であるか否かを判定する(ステップS106)。色面積が基準面積未満である場合、制御部803は、圧力計31から得られる濾過圧力が基準圧力値(例えば1.5kPa)以下であり、かつ、濾過圧力の変化量が、変化量基準値(例えば、+0.2kPa)以下であるか否かを判定する(ステップS107)。ここでは、基準面積、基準圧力値、変化量基準値については、記憶部801に予め記憶しておき、これらの処理を行う際に、制御部803が記憶部801を参照することができるようになっている。
制御部803は、圧力計31から得られる濾過圧力が基準圧力値以下であり、かつ、濾過圧力の変化量が、変化量基準値以下である場合には、凝集剤の供給量を減少させる(ステップS108)。
ここで、濾過圧力の変化量は、凝集剤の供給量を増加、減少、維持のいずれかの制御を行う直前の濾過圧力と、凝集剤の供給量を増加、減少、維持のいずれかの制御を行ってからタイマーに設定された時間が経過した際における濾過圧力とを比較し、その濾過圧力の差を求めることで、濾過圧力の変化量を求める。このタイマーに設定される時間は、任意の時間を設定することができるが、例えば、凝集剤の供給量の維持または変更の制御を行われた後の濃縮汚泥が、縦型濾過濃縮装置40において固液分離される際の分離状況が安定するまでの時間を考慮して設定することができる。具体的に、タイマーに設定される時間は、例えば10分から20分の間のいずれかの時間を用いることができる。
また、ここでは、例えば、凝集剤供給ポンプ10から供給する凝集剤の供給量を特定する複数の異なるレベルを予め設定しておき、制御部803は、この複数のレベルのうち、現在のレベルよりも、凝集剤の供給量が減るように1つレベルを下げるように凝集剤供給ポンプ10に制御信号を出力する。凝集剤供給ポンプ10は、凝集剤の供給量を1段分減少するようにして供給する。これにより、凝集剤供給ポンプ10から供給される凝集剤の供給量が減少し、濾過スクリーン402内から分離液405側に排出される凝集剤の量が減少しやすい傾向に進む。ステップS108の後、一定時間のウエイト時間が経過した後、ステップS101に移行する。
制御部803は、判定部802の対比結果に基づいて、色面積に対する周囲長(輪郭検出値)の値が基準範囲にある場合、凝集剤供給ポンプ10が供給する凝集剤の添加量を維持する(ステップS110)。その後、一定時間のウエイト時間が経過した後、ステップS101に移行する。
一方、ステップS106において、色面積が基準面積未満ではない場合には、ステップS109に移行する。
なお、判定部802は、図10のフローチャートのステップS109およびステップS111の判定に限定されず、記憶部801に記憶された基準範囲の上限値と色面積に対する周囲長の値とを対比し、その後、記憶部801に記憶された基準範囲の下限値と色面積に対する周囲長の値とを対比して判定してもよい。または、記憶部801に記憶された基準範囲の下限値と色面積に対する周囲長の値とを対比し、その後、記憶部801に記憶された基準範囲の上限値と色面積に対する周囲長の値とを対比して判定してもよい。
制御指標は、凝集剤の供給量を制御する際に判断基準として参照する情報とその内容を表している。制御指標は、SSの色面積、濾過圧力、曲線判定がある。この曲線判定とは、上述した色面積に対する周囲長の値が基準範囲にあるか否かの判定を表す。
SSの色面積が基準面積未満であって、濾過圧力が基準圧力値以下である場合には、分離液の状態は、清澄(適正な状態)であり、曲線判定を行うこと無く、凝集剤の供給量を減少させる制御を行う。ここでは、凝集剤の供給量を減少させても分離液の状態が清澄な状態を保つことができれば、凝集剤を無駄に供給してしまうこと抑制することができる。
SSの色面積が基準面積未満であり、濾過圧力が基準圧力値を超えている場合であって、曲線判定において、基準範囲内である場合、分離液の状態は、SSの量は少ない状態であるといえる。すなわち、一部のSSは分離液に残留する凝集剤と反応して再凝集し、他の一部は、分離液において浮遊することで分離液がやや懸濁する状態である。この場合には、分離液の状態としては適正な状態であるため、凝集剤の供給量を維持する制御を行う。これにより、凝集汚泥に対する凝集剤の供給量が過剰になったり不足することを防止し、適正な供給量を維持することができる。
また、この曲線判定において、基準範囲を超えていると判断されている場合、分離液の状態は、分離液に残留する凝集剤が多く存在しているため、SSが再凝集する傾向にあり、SSが多く、懸濁の度合いは低い。このような場合には、分離液の状態としては凝集剤の供給量が過剰であるため、凝集剤の供給量を減少させる制御を行う。これにより、分離液が懸濁になりにくいようにしつつ、凝集汚泥に対する凝集剤の供給量が過剰となっている状態を解消することが可能となる。
このように、凝集の良し悪しを分離液のSS濃度およびSSの輪郭(大きさ)で判断されるが、予め凝集剤の最適注入率におけるSS色面積とSS輪郭検出値の関係(曲線)を把握しておき、その最適曲線±20%好ましくは±10%の範囲に入るように凝集剤の注入率が自動で調整されても良い。最適曲線については、「SSの色面積」と「SSの色面積/SSの輪郭検出値」の近似直線でも良い。
実測した結果が最適曲線±20%好ましくは±10%の範囲に収まっている場合には凝集剤の注入率は維持される。
実測した結果が最適曲線±20%好ましくは±10%の範囲を上回る場合には(「SSの色面積」と「SSの色面積/SSの輪郭検出値」の近似直線を使った場合は下回る場合)、凝集剤の注入率が過剰と判断し、凝集剤供給ポンプの回転数を1段階減少させ凝集剤の注入量を減少させる。なお、凝集剤供給ポンプの1段階当たりの減少量については、任意に設定することができる。
分離液のSS色面積およびSSの輪郭は常時連続的に測定されるが、凝集剤の注入量を増加または減少させた後は、混和槽および濃縮装置の滞留時間を考慮し10分から20分程度のウエイト時間を経過してから、凝集剤の注入不足か適正かを再度判定し、凝集剤の供給量の制御を行うようにしてもよい。
縦型濾過濃縮装置の洗浄工程時は、分離液のSS濃度が一時的に上昇することから、洗浄工程時および洗浄工程後10分程度は本制御を行わない。
このように、凝集剤の注入率が最適となるように自動で制御されるため、縦型濾過濃縮装置のSS回収率は高く維持され、凝集剤の使用量も削減することが可能となる。
図12は、第2の実施形態における汚泥濃縮システム1aにおけるカメラ60aが設置された近傍を表す概略構成図である。この図に示されていない部分については、第1の実施形態における汚泥濃縮システム1と構成が同じであるため、その説明を省略する。
この第2の実施形態において、濾過容器401の側面のうち上端部近傍には、濾過容器401から分離液405を分岐して取り出す分岐配管410が設けられる。
ケーシング407の内周面の高さ方向において、うち濾過容器401に取り付けられた分岐配管410と同程度の高さの近傍には越流箱411(分離液貯留部の一例)が設けられる。越流箱411は、分岐配管410から取り出された分離液405が導入されると、内部に分離液405を貯留する。越流箱411の上面は開口されており、分離液405の液面が越流箱411の上端部よりも高くなると、濾過容器405は、ケーシング407の内部側にオーバーフローするようになっている。
また、分岐配管410のうち、濾過容器401に設けられる一端(第1端)とは反対側の一端は越流箱411の側面に設けられる。また、分岐配管410の一端と反対側の一端(第2端)の間に接続された鉛直方向に延びるサイフォンブレーカ410aが設けられる。
カメラ60aは、越流箱411の上方側に設置され、越流箱411に貯留された分離液405の液面を撮像する。
越流箱411に取り付けられた分岐配管410は、水平方向に延びるようにされたのち、鉛直方向において上方に向かって濾過スクリーン402の上端部431よりも高い位置まで延びるように設けられ、その先端は開口しており、サイフォンブレーカ410aとして構成される。
また、分岐配管410の一部は、サイフォンブレーカ410aよりも低い位置と、濾過容器401における高さ方向(鉛直方向)において濾過スクリーン420の上端部430と濾過容器401の上端部431との間(符号432に示す高さ)と、を結ぶようにして連結される。
越流箱411において、越流箱411の上端部433の高さは、分岐配管410が濾過容器401において取り付けられた高さ(符号432)と、濾過容器401の上端部431の高さとの間の高さとなるように設定される。
カメラ60aは、越流箱411の上方に設けられる。ここで、カメラ60aは、ケーシング407に設けられた凹部において、越流箱411に一時貯留される分離液405の液面を撮像するように下方に向けて設置される。ここで、ケーシング407の凹部のうち、カメラ60aと分離液405との間に位置する部位は、開口しているかまたは透過部材で構成されており、カメラ60aによって分離液405が撮像可能となっている。カメラ60aは、ケーシング407の凹部に設けられていることで、縦型濾過濃縮装置40の外部側に配置されるため、縦型濾過濃縮装置40の外部から作業員がカメラ60aの清掃や設置位置の微調整をしやすくなっており、メンテナンス性がよい。また、この凹部がカメラ60aのカバー(フード)として機能するため、分離液405が付着しにくいため、カメラ60aに対する汚損や故障が発生しにくくなっている。
このバルブ441を必要なタイミングで開閉することで、越流箱411内における分離液405の流れを作ることができるため、分離液405の液面に堆積するSSを除去することができる。例えば、濃縮汚泥の処理量が少ない場合、分離液405が生じる量も少ないため、分離液405の流れが緩慢であるため、分離液405の液面に浮上したSS分が液面に堆積したままになる。これをカメラで撮影してしまうと、検知精度が低下する可能性がある。特に壁面近傍で堆積が生じやすい。そのため、一定時間毎にバルブ441を開くか、分離液405を常時所定量だけ排出するような開度でバルブ441を開くようにしてもよい。
図14は、第3の実施形態における汚泥濃縮システム1bにおける概略構成図である。この図に示されていない部分については、第1の実施形態における汚泥濃縮システム1と構成が同じであるため、その説明を省略する。
第1の実施形態、第2の実施形態における縦型濾過濃縮装置40の分離液405のSSの色面積および輪郭をカメラ60またはカメラ60aで検知することにより、凝集剤の注入率を制御できることを説明したが、本実施形態においては、縦型濾過濃縮装置40に限られず、他の固液分離装置40aを適用する場合について説明する。他の固液分離装置40aとしては、例えば、デカンタ型遠心脱水機、スクリュープレス式脱水機等を適用することができる。
分離液監視ボックス500は、越流堰502(分離液貯留部の一例)が設けられ、越流堰502の内周側が収容容器501として構成され、分離液405aを一時貯留する。固液分離が進み、固液分離装置40aから供給される分離液405aが収容容器501に収容され、分離液405aの液面の高さが、越流堰502の上端部を越えると、分離液405aは、越流堰502を越えてオーバーフローする。カメラ60bは、収容容器501の上方に設けられ、収容容器501に一時貯留される分離液405aの液面を撮像する。
また、汚れ以外にも、カメラと被撮影物である分離液の液面までの距離を一定に保つ必要がある。例えば、照明装置の明るさの設定やピントの設定を固定にする場合には、カメラと分離液の液面までの距離が一定にならない場合には、測定誤差の原因となり得る。特に明るさが異なる場合には、色面積を検出するにあたり大きな変動要素になり得る。
また、濾過スクリーン402から排出される分離液405の流量が少ない場合、分離液の越流部に澱みができ、SS成分が浮上したまま流れないことがあり、これをカメラで測定すると測定誤差の原因となる。
このような3つの誤差原因については、第2の実施形態、第3の実施形態において説明したように、分離液の越流を2段階にすることによって解消できる。
越流が1段階である場合、分離液の越流高さは分離液流量の2/3乗に比例するため、流量の変動が越流高さに与える影響が大きい。さらには縦型濾過濃縮装置を洗浄する際にカメラを汚す可能性があるため、本越流部にカメラを設置するのは好ましくない。
そこで、分離液の越流堰の頂点から例えば、50mm下にφ20mm程度の配管を取り付け、100〜150mmの高低差(越流堰の分離液界面と越流箱の分離液界面の差)をつけて別の越流箱に分離液を投入する。トリチェリの定理により、分離液の流量が変動したとしても越流箱に投入される分離液の変動量は少なくなり、越流箱の界面高さに影響を与えない。さらには、越流箱が越流堰から離れて設置され、縦型濾過濃縮装置の洗浄に影響を受けないため、カメラの汚染を防ぐことができる。
越流箱の幅は、150mm程度が望ましい。幅が狭いとカメラの撮影範囲に側板が入り込むため望ましくない。また、幅が広すぎると箱内部の分離液流速が遅くなり澱みが発生しSSが堆積する恐れがあるため望ましくない。
越流箱の奥行きは、150mm程度が望ましい。理由については幅方向と同様である。
越流堰〜越流箱までの配管は、サイフォンを防止するため、配管立下り部をT管とし吸気口を設ける。
カメラは腐食防止および維持管理性を考慮し、縦型濾過濃縮装置の外部に設置する。
また、除湿された圧縮空気配管と電磁弁を設け、タイマーによりカメラのレンズ表面の水滴を定期的に吹き飛ばしクリーニングを行う。
分離液のSS濃度およびSSの輪郭(大きさ)をカメラで測定することにより、容易に分離液の水質(性状)が判定でき、これにより瞬時に縦型濾過濃縮装置の運転状態を把握することができ、適切かつ安定した運転管理を行うことができる。
また、カメラの測定結果に基づき、縦型濾過濃縮装置の凝集剤注入率を制御する場合には、凝集剤の適正な注入が可能であり、高いSSを維持することで分離液が返流する水処理への負荷低減、今まで安全を見て多めに注入されていた凝集剤の使用量を低減することができる。
高いSS回収率を維持することができれば、分離液を他の脱水機の洗浄水として再利用することも可能であり、汚泥処理設備全体として環境負荷低減に寄与することができる。
10 凝集剤供給ポンプ
11 凝集剤流量計
20 汚泥供給ポンプ
21 汚泥濃度計
22 汚泥流量計
30 混和槽
31 圧力計
40 縦型濾過濃縮装置
60、60a、60b カメラ
50 濃縮汚泥引抜ポンプ
70 通信ケーブル
80 制御盤
81 アンプ
82 シーケンサ
90 コンピュータ
401 濾過容器
402 濾過スクリーン
403 スクリュー
404 モータ
405、405a、406 分離液
411 越流箱
500 分離液監視ボックス
501 収容容器
502 越流堰
801 記憶部
802 判定部
803 制御部
601 面積検出部
602 輪郭検出部
603 記憶部
901 設定部
Claims (13)
- 凝集剤添加部によって凝集剤が添加される被処理物が濾過濃縮装置によって分離された分離液の液面を撮像する撮像部と、
前記撮像部から得られる撮像データから分離液に存在する懸濁物質の面積を検出する面積検出部と、
前記濾過濃縮装置の濾過スクリーンにかかる濾過圧力を検出する圧力検出部と、
前記懸濁物質の面積と前記濾過圧力との関係に基づいて、前記凝集剤添加部によって添加される凝集剤の添加量を制御する制御部と、
を有する凝集剤添加量制御装置。 - 前記制御部は、
前記懸濁物質の面積が基準面積未満であって、前記濾過圧力が基準圧力値以下である場合、前記凝集剤の添加量を減少させる
請求項1記載の凝集剤添加量制御装置。 - 前記撮像部から得られる撮像データから分離液に存在する懸濁物質の輪郭を検出する輪郭検出部と、
前記懸濁物質の面積と前記懸濁物質の輪郭との関係と基準範囲とを対比する判定部とを有し、
前記制御部は、
前記懸濁物質の面積が基準面積未満である場合、
前記判定部の対比結果が基準範囲を下回る場合には、前記凝集剤の添加量を増加させ、
前記判定部の対比結果が前記基準範囲を上回る場合には、前記凝集剤の添加量を減少させる
請求項1または請求項2に記載の凝集剤添加量制御装置。 - 前記制御部は、
前記凝集剤の添加量を変更する前の濾過圧力と、前記凝集剤の添加量を変更した後の濾過圧力との差が、所定の変化量以下であるか否かを判定し、所定の変化量以下である場合には、前記凝集剤の添加量を減少させる
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の凝集剤添加量制御装置。 - 前記制御部は、
前記凝集剤の添加量を変更する前の濾過圧力と、前記凝集剤の添加量を変更した後の濾過圧力との差が、所定の変化量以下であるか否かを判定し、所定の変化量を超えた場合には、前記判定部の対比結果に基づいて、前記凝集剤の添加量を制御する
請求項3または請求項4に記載の凝集剤添加量制御装置。 - 前記撮像部は、
前記分離液を分岐する分岐経路を介して導入する分離液貯留部に貯留された分離液の液面を撮像する
請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の凝集剤添加量制御装置。 - 前記濾過濃縮装置が、縦型濾過濃縮装置であることを特徴とする
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の凝集剤添加量制御装置。 - 請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載の凝集剤添加量制御装置を有する汚泥濃縮システム。
- 撮像部が、凝集剤添加部によって凝集剤が添加される被処理物が濾過濃縮装置によって分離された分離液の液面を撮像し、
面積検出部が、前記撮像部から得られる撮像データから分離液に存在する懸濁物質の面積を検出し、
圧力検出部が、前記濾過濃縮装置の濾過スクリーンにかかる濾過圧力を検出し、
制御部が、前記懸濁物質の面積と前記濾過圧力との関係に基づいて、前記凝集剤添加部によって添加される凝集剤の添加量を制御する
凝集剤添加量制御方法。 - 前記制御部が、前記懸濁物質の面積が基準面積未満であって、前記濾過圧力が基準圧力値以下である場合、前記凝集剤の添加量を減少させる
請求項9記載の凝集剤添加量制御方法。 - 輪郭検出部が、前記撮像部から得られる撮像データから分離液に存在する懸濁物質の輪郭を検出し、
判定部が、前記懸濁物質の面積と前記懸濁物質の輪郭との関係と基準範囲とを対比し、
前記制御部は、
前記懸濁物質の面積が基準面積未満である場合、
前記判定部の対比結果が前記基準範囲を下回る場合には、前記凝集剤の添加量を増加させ、
前記判定部の対比結果が前記基準範囲を上回る場合には、前記凝集剤の添加量を減少させる
請求項9又は請求項10記載の凝集剤添加量制御方法。 - 前記制御部は、
前記凝集剤の添加量を変更する前の濾過圧力と、前記凝集剤の添加量を変更した後の濾過圧力との差が、所定の変化量以下であるか否かを判定し、所定の変化量以下である場合には、前記凝集剤の添加量を減少させる
請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の凝集剤添加量制御方法。 - 前記制御部は、
前記凝集剤の添加量を変更する前の濾過圧力と、前記凝集剤の添加量を変更した後の濾過圧力との差が、所定の変化量以下であるか否かを判定し、所定の変化量を超えた場合には、前記判定部の対比結果に基づいて、前記凝集剤の添加量を制御する
請求項11または請求項12に記載の凝集剤添加量制御方法。
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