JP4385311B2 - スカム検出方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は屎尿処理場、下水処理場、廃水処理場等における汚泥沈殿槽のスカム、泡等の検出方法および装置に係り、特に汚泥沈殿槽の水位と処理水水路の流量との関係特性によりスカムを検出し、自動的にスカム除去手段を稼働するスカム検出方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
廃水等の処理場において、汚水を処理するため汚泥沈殿槽が設置されている。汚泥沈殿槽内部で沈降分離によって汚泥と分離された上澄水は、越流堰を越流して処理水として消毒等の事後処理が加えられ系外に排出される。
しかしこのとき、汚泥の一部は汚泥沈殿槽底部に堆積せずに、水面部にスカム、泡、汚泥となって浮上する場合がある。このようなスカムや浮上汚泥を放置しておくと、上澄水とともに越流堰より流れ出し処理水として排出されてしまう。このため、水面部に浮上したスカムや汚泥を除去するために、汚泥沈殿槽には水面部を水平回転するスカム除去手段が備えられ、前記スカム除去手段により掻き寄せられたスカムを排出管に排出し、これにより浮上したスカムや汚泥を除去している。
【0003】
こうしたスカム、泡、汚泥等のスカム除去手段による除去作業は、巡回作業員による目視判定、あるいはタイマー等による間欠運転によって行われていた。すなわち、巡回作業員がスカム等の発生を検出した時、あるいは一定時間毎にスカム除去手段を稼働させ、水面上に浮上したスカムや汚泥を取り除いていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、スカム、泡、浮上汚泥等の発生は、定常状態ではあまりなく、処理系に変動があったときに発生することが多い。このため巡回作業員の目視によってスカム除去手段を稼働させていたのでは、発見が遅れたときにはスカム、泡、浮上汚泥等は上澄水と一緒に処理水として系外に流出してしまい、水質汚濁などの問題が発生するおそれがある。
【0005】
またタイマーなどによりスカム除去手段を自動的に稼働させる場合においては、稼働時間が決まっていることによる弊害が発生する。すなわち、スカム、泡、浮上汚泥等が異常に発生したとしても、稼働時間にならなければスカム除去手段が稼働しないため、除去できずに上澄水とともに越流堰から越流してしまい、前述のように系外に流出してしまう問題がある。さらに、タイマー等による自動運転では、たとえばスカム、泡、浮上汚泥等が発生していない状態でも一定量を排出するため汚泥処理系に無駄が発生するという問題もある。
【0006】
スカム、泡、浮上汚泥等を検出する方法として、撮影カメラを持ち込み、その映像を画像処理して検知する方法も試みられているが、発生するスカム、泡、浮上汚泥等の色、表面状態などが多種多様であり全てに適用できていない。
本発明は、複雑な処理系を導入しなくても、スカム、泡、浮上汚泥等を検出でき、スカム、泡、浮上汚泥等の流出しないスカム検出方法および装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係るスカム検出方法は、前記汚泥沈殿槽の水位と汚泥沈殿槽の越流堰より越流した越流量との関係特性に基づき、前記汚泥沈殿槽の見かけ上の水位と越流量とを計測し、前記関係特性との偏差によりスカムの量を検出することを特徴としている。
【0008】
本発明に係るスカム検出装置は、汚水を沈降分離させる汚泥沈殿槽と当該汚泥沈殿槽より上澄水を越流させる越流堰と越流した上澄水を排出する処理水水路と前記汚泥沈殿槽のスカムを除去するスカム除去手段とを有してなり、前記汚泥沈殿槽の見かけ上の水位を計測する計測手段と処理水水路の流量を計測する計測手段とを設け、前記計測手段による計測値を水位と流量との関係特性と比較し演算する演算部を設けた構成である。
【0009】
また前記スカム検出装置は、前記演算部での演算結果により制御を行う制御部を設け、前記スカム除去手段を前記制御部により自動運転可能に制御を行い、スカムが検出された時にスカム除去手段を運転させるようにしている。
【0010】
【作用】
上記方法は、汚泥沈殿槽の水位と越流堰から越流した上澄水の流速とを計測することで越流量を予め算出しておき、これと実測値とを比較することで、スカム、泡、浮上汚泥等を検出するように構成したものである。すなわちスカムが発生した場合において、スカムや浮上汚泥が水面上に浮上するため、実際の水位に比べて見かけの水位が上昇することになる。このため見かけの水位に対して越流堰から越流する上澄水の水量は少量となる。従って、汚泥沈殿槽の水位に対して越流量が少量である場合には、水面上にスカムが発生しているものとみなすことができる。そして計測値よりスカム発生と検出された場合に、即時にスカムを除去するため、自動的にスカム除去手段を運転するよう制御部により制御されている。
【0011】
また上本発明に係るスカム検出装置は、演算部によって算出された結果によってスカム発生の判定を行い、スカム発生と検出された場合にスカム除去手段を自動的に運転するものである。従って、スカムが発生したと検出された場合に速やかにスカム除去手段が作動し、これによって汚泥沈殿槽に浮上しているスカムを除去することが可能である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係るスカム検出方法および装置の具体的実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1に本実施の形態におけるスカム検出装置2の断面図、図2(1)に本実施の形態におけるスカム検出装置2の上面概略図、(2)に側面概略図を示す。
【0013】
下水などの処理施設の汚泥沈殿槽10は、下水を静止状態においたときに下水より比重の重い浮遊粒子が沈殿することを利用して、活性汚水と処理水とを分離させている。本実施の形態において、前記汚泥沈殿槽10は円筒状の水槽を配しており、底部は堆積した汚泥を抜き取り易いように円錐状としている。また汚泥沈殿槽10の上方外周部には、二等辺三角形に切り欠いた三角堰である越流堰30を設け、越流堰30と汚泥沈殿槽10内壁との間にできた水路を、上澄水を流出する処理水水路32とする。
【0014】
前記汚泥沈殿槽10には、中心部上方に硝化槽より排出された硝化液を流入させるフィードウェル12が設けてある。前記フェードウェルは、汚泥沈殿槽10の中央部上方に設置された円筒形状の縦穴で、上端部が汚泥沈殿槽10の水面より高くなるように越流堰30の上端より上部に設置する。フィードウェル12の下部には、外部に接続された消化液供給管4が挿入されており、当該消化液供給管4より消化液がフィードウェル12内に供給される。消化液はフィードウェル12内に流入し、上澄水と汚泥とに沈降分離され、汚泥は汚泥沈殿槽10底部に堆積する。
【0015】
このように沈殿物と水とに分離させ濃縮した汚泥は、汚泥掻き寄せ機6により掻き取られる。前記汚泥掻き寄せ機6の主軸14は駆動モータ44に直結されて一定の回転速度で回動し、これにより汚泥掻き寄せ機6が旋回して汚泥を掻き取り、汚泥沈殿槽10底部の集泥ピット8に落とし込むのである。このようにして集積された汚泥は、図示しない処理装置により嫌気性消化や洗浄を行ったのちに処分される。また汚泥沈殿槽10で沈降分離された上澄水は、汚泥沈殿槽10の周囲に設けられた越流堰30を越流し、処理水として消毒等の事後処理が加えられ系外に排出される。
【0016】
このとき、越流堰30を越えて流出する上澄水は、本来であれば汚泥沈殿槽10で汚泥と分離しているものである。しかしスカムや浮上汚泥などのように、水面上に浮上する汚泥が存在するため、汚泥と分離させたはずの上澄水にスカム等の不浄要素が混入する場合がある。このため汚泥沈殿槽10には、スカム除去手段としてスカム掻き寄せ機20が設けられている。
【0017】
前記スカム掻き寄せ機20は、汚泥沈殿槽10の上部にスカムを収容するスカムボックス28を備えており、汚泥沈殿槽10の中心に設置された主軸14を軸に旋回する。すなわちスカム掻き寄せ機20は、円周上に一周して浮遊しているスカムを集め槽外へ排出させるものである。詳細は以下の通りである。
【0018】
スカム掻き寄せ機20は、前記主軸14の上方に取り付けられ、主軸14の回転により汚泥沈殿槽10の水面部を旋回してスカムを掻き寄せるものである。このためスカム掻き寄せ機20は、汚泥沈殿槽10の半径方向にスカムスキマアーム22を備えている。前記スカムスキマアーム22は、フィードウェル12よりも上部に位置するように基端部が主軸14に取り付けられ、主軸14の回転に従って回動するようにしている。またスカムスキマアーム22の下方には、フィードウェル12と汚泥沈殿槽10外周との間にゴム製のスカムスキマ24が取り付けてあり、スカムスキマ24は主軸14の回転に従ってスカムスキマアーム22と一体的に旋回してスカムを掻き寄せるのである。
【0019】
また汚泥沈殿槽10水面部には、主軸14と汚泥沈殿槽10内壁とを結ぶ半径上に、掻き寄せられたスカムを落とし込むスカムボックス28が設けてある。スカムボックス28はフィードウェル12と汚泥沈殿槽10との間に設けられ、汚泥沈殿槽10の内壁側の底部を深くした断面略3角形状に形成され、収容したスカムを壁面側に集積する構造をしている。前記スカムボックス28の外周側底部には、外部に接続したスカム排出管26が連結されており、スカムボックス28に流入したスカムがスカム排出管26より外部に排出されるようにしてある。
【0020】
上記構成によりスカムを除去する作業を説明する。主軸14を回転させると、それに伴ってスカムスキマアーム22とスカムスキマ24が旋回する。このとき水面をスカムスキマ24のゴム状部材が掃き取るように一掃し、水面上に浮遊しているスカムを掻き取る。このようにして掻き寄せられたスカムは、汚泥沈殿槽10の半径方向に設置されたスカムボックス28に落とし込まれる。このときスカムボックス28の底部を汚泥沈殿槽10の内壁側を低くした斜面形状にしたことにより、スカムボックス28内に流入したスカムは汚泥沈殿槽10内壁側に集積され、汚泥排出管30を通って排出される。
【0021】
ところで本実施の形態では、上記スカム掻き寄せ機20をスカム発生の状況下のもとで稼動させるために、スカムを検出する機構を備えている。まず、汚泥沈殿槽10の水位を計測するため、計測手段として本実施の形態では超音波センサ34を汚泥沈殿槽10の越流堰30内の天井部に設置する。スカム、泡、浮上汚泥等を含んだ水面を計測するという機能上、超音波方式のセンサが適しており、超音波センサ34は感度設定を行うことにより、水面上のスカムの厚さを高感度で判定することができるからである。また越流した処理水の流量を計測するための超音波センサ34を、処理水水路32上方の天井部に設置する。これらの超音波センサ34により計測されたデータは、演算部40によって演算処理され、制御部42に送られる。制御部42では、予め算出された通常状態の値と測定値とを比較してスカム検出を行い、スカム発生と検出した場合に警報器46に信号を送り警報を鳴らすと同時に、スカム掻き寄せ機20を自動的に運転するよう制御している。
【0022】
以下に、スカムを検出する方法を説明する。説明を簡略化するため越流堰30はひとつとして本実施の形態を説明する。図3に本実施の形態による計測方法を、図4に水位判定方法として三角堰の流量特性曲線を示してある。また図5に本実施の形態におけるスカム検出方法のフローチャートを示す。各種堰の流量算出法はJISなどで規定されている方法である。
【0023】
図3に示すように、スカム、泡、浮上汚泥等が発生していないときには、超音波センサ34は水位Haを計測し、越流堰30を越流した上澄水の流入する処理水水路32の水位はHを示している。処理水水路32の幅は一定であるから、水位より流量を換算することができ、越流してくる流量は図4に示すようにQaとなる。
【0024】
次にスカム、泡、浮上汚泥等があった場合は、実際の水面の上にスカム等が不浄するため、見かけの水位が高くなりHbという値を示したとする。このとき排出されるべき処理水の流量は、図4よりQbとなるはずであるが、実際に処理水の流量を計測している処理水流量計測器の計測値はQaであり、あきらかに超音波センサ34の流量とは一致しなくなる。従って、処理水水路32に流出する流量の値が、理論値と実測値とで異なった場合には、汚泥沈殿槽10の水面は、水以外の某かによって水位が上がっているとみなすことができる。このときの流量の差を演算し、一定の閾値を設けることでスカム、泡、浮上汚泥等の発生を検出するのである。このような閾値を設ける理由としては、スカムの量が一定以下であれば、汚泥沈殿槽10の水面上に浮上していても実害はないためであり、その場合にスカム掻き寄せ機20が作動してしまうことを避けるためである。本実施の形態では、超音波センサ34を超音波式のものとしたことにより、感度調節を行うことによって汚泥沈殿槽10の水面上に浮上しているスカムの量を適切に判定することができる。従って、スカム掻き寄せ機20を運転させる判断を適切に行うことができるものである。
【0025】
また、本実施の形態では、上記演算結果を制御部42に送り、主軸14の駆動モータ44を制御することにより、スカム掻き寄せ機20の駆動を制御している。すなわち測定値からもたらされる演算結果によりスカム発生と検出された場合に、制御部42より駆動モータ44に指令が送られて即座にスカム掻き寄せ機20が稼動する。このように、超音波センサ34からの情報を元にスカム掻き寄せ機20を運転することにより、スカムが発生した場合にのみスカム掻き寄せ機20を稼動させることが可能となり、無駄なく安全にスカム、泡、浮上汚泥等をスカム排出機に投入することができる。またスカム発生後、ただちにスカム掻き寄せ機20を稼動することで、系外にスカム、泡、浮上汚泥等が流出することを防ぐことができる。さらに作業員による目視でのスカム検出という作業を、スカム検出装置に代行させることで、巡回作業員の作業の低減が図れる。
【0026】
本実施の形態では、超音波センサ34を超音波式のものとしたが、光学式のものでも可能である。また本実施の形態では、処理水の流量を計測する方法として処理水が流れる水路の高さを計測し流量とする方式を取っているが、館内を計測するような方式でもかまわない。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、スカムの発生していない状態での理論上の越流量を算出し、これと実際の越流量値とを比較することで、スカム、泡、浮上汚泥等の発生を検出し、スカム除去手段を稼動するものである。従って、スカム発生を検出した場合に、ただちにスカム除去手段を稼働させるため、スカム発生に対し素早く処理を行うことができる。これにより、スカム発生の検出が遅れたためにスカムが系外に流出するという被害を防止することができる。このように、検出の難しかったスカム、泡、浮上汚泥等を容易に検出することができ、効率的、かつ信頼性の高い検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態におけるスカム検出装置の断面図。
【図2】本実施の形態におけるスカム検出装置の上面概略図および側面概略図。
【図3】本実施の形態におけるスカム検出装置の計測方法の説明図。
【図4】本実施の形態におけるスカム検出装置の水位判定方法の説明図。
【図5】本実施の形態におけるスカム検出方法のフローチャート。
【符号の説明】
2………スカム検出装置、4………消化液供給管、6………汚泥掻き寄せ機、
8………集泥ピット、10………汚泥沈殿槽、12………フィードウェル、
14………主軸、20………スカム掻き寄せ機、
22………スカムスキマアーム、24………スカムスキマ、
26………スカム排出管、28………スカムボックス、30………越流堰、
32………処理水水路、34………超音波センサ、40………演算部、
42………制御部、44……駆動モータ、46………警報器。
Claims (3)
- 汚水を沈降分離させる汚泥沈殿槽のスカム発生を検出する方法であって、前記汚泥沈殿槽の水位と汚泥沈殿槽の越流堰より越流した越流量との関係特性に基づき、前記汚泥沈殿槽の見かけ上の水位と越流量とを計測し、前記関係特性との偏差によりスカムの量を検出することを特徴としたスカム検出方法。
- 汚水から汚泥を沈降分離させる汚泥沈殿槽と、当該汚泥沈殿槽より上澄水を越流させる越流堰と、越流した上澄水を排出する処理水水路と、前記汚泥沈殿槽のスカムを除去するスカム除去手段とを有してなり、
前記汚泥沈殿槽の見かけ上の水位を計測する計測手段と処理水水路の流量を計測する計測手段とを設け、前記計測手段による計測値を水位と流量との関係特性と比較しスカム量を演算する演算部を設けたことを特徴としたスカム検出装置。 - 前記演算部での演算結果により制御を行う制御部を設け、前記スカム除去手段を前記制御部により自動運転可能に制御することを特徴とした請求項2に記載のスカム検出装置。
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