JP2019162093A - 血球系細胞の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】浮遊培養において、幹細胞から血球系細胞への分化誘導を行い、得られた血球系細胞を幹細胞から分離回収する。【解決手段】下部から液体培地を培養容器に供給することにより幹細胞の細胞塊を前記液体培地中で浮遊させた状態で培養して分化誘導させる第1ステップと、前記培養容器からオーバーフローする前記液体培地と共に前記分化誘導によって得られた血球系細胞を回収する第2ステップと、を有する血球系細胞の製造方法。【選択図】図1
Description
本発明は、幹細胞を分化させて血球系細胞を製造する方法に関する。
輸血医療においては、輸血用血液の不足に加えて、感染症等の安全性確保の問題がある。このため、近年、献血に頼らずに十分な輸血用血液製剤を調製することを目標として、赤血球等の血球系細胞や血小板を幹細胞や各血球系前駆細胞から調製する研究が盛んである。人工的な環境内で調製された血球系細胞は、感染症等のリスクが小さく、安全性が高い。人工的な培養環境で造血幹細胞から分化させた各種血球系細胞を大量に調製できれば、輸血医療のみならず免疫療法等の様々な治療方法にも有用である。例えば、特許文献1には、多孔構造の保持部を備える培養容器内で、巨核球を当該保持部に保持した状態で培養し、血小板を調製する方法が開示されている。
細胞培養法は、細胞を、足場材料をコートした平板基材上に接着させて単層培養する2次元培養と、3次元構造として培養する3次元培養法がある。一般的に、幹細胞を分化誘導して血球系細胞を得る場合、幹細胞を、足場材料をコートしたディッシュ内で2次元培養を行い、充分な細胞数にまで増殖させた後、分化誘導因子で処理して分化誘導を実施する。未分化の幹細胞は足場材料に接着しているのに対して、最終分化によって得られた血球系細胞は足場非依存性であり、培養上清に浮遊している。このため、培養上清を回収することで血球系細胞を容易に回収できる。しかし、2次元培養では、培養可能な細胞数はディッシュの底面面積に依存し、大量の血球系細胞を得るためには、培養ディッシュの数を多くする必要があり、かなりの労力を要する。また、平面培養では、分化誘導効率や分化成熟度が低いという問題もある。
一方で、浮遊培養においては、幹細胞は数千個〜数万個の細胞塊集団を形成しながら増殖する。このため、幹細胞を浮遊培養することで液体培地の体積当たりの細胞密度を高くすることができ、これを分化誘導することで大量の血球系細胞を調製することができる。しかしながら、浮遊培養では、分化により得られた血球系細胞と最終分化前の細胞とを分けて回収することが困難である。幹細胞をはじめとする最終分化前の細胞は、癌化のリスクがあるため、血液製剤からは除去されている必要がある。しかし、浮遊培養では、分化前の幹細胞も浮遊しており、様々な細胞が浮遊している培養液から血球系細胞のみを分離回収することは困難である。
浮遊培養においては、細胞が培養容器の底部へ沈降することを防止し、各細胞に供給される栄養成分や酸素の濃度を均一に保つため、一般的には攪拌羽根で攪拌しながら培養される。しかし、攪拌により細胞に物理的なストレスがかかるという問題がある。これに対して、例えば特許文献2に記載の細胞培養装置では、培養容器内に上昇流を生じさせることで、攪拌羽による攪拌処理を行わずとも、細胞を、沈降速度と培養液の上昇流速度が釣り合う高さで安定に浮遊させて培養することができる。また、特許文献3に記載の細胞培養装置では、水平断面が上方に向って漸次大きくなる略逆円錐状に形成された培養槽の底部中心から培地を供給し、培地の上昇流を層的に生じさせることで培地の流速に速度勾配を付与しているため、細胞塊をその大きさに応じた高さ位置で培養することができる。さらに、特許文献4に記載の細胞培養装置では、培養容器内に、容器内の液体が容器の内壁に沿って流通しながら上昇する周回上昇流を形成させることによって、高さ方向の下方から上方に向けて上昇流速度が漸次小さくなる流速勾配付上昇流でありながら、容器内の所定水平面においてほぼ一定速の流れを形成することができる。所定水平面で一定の層流が形成されるため、培養容器の壁面近傍と中心部との上昇流における速度差が解消され、細胞はその沈降速度に応じて、培養容器の狭い範囲で安定して浮遊し得る。
Niwa et al.,PLoS ONE,2011,vol.6(7),e22261.
Hirose et al.,Stem Cell Reports,2013,vol.1,p.499-508.
本発明は、単層培養よりも大量培養に適した浮遊培養において、幹細胞から血球系細胞への分化誘導を行い、得られた血球系細胞を幹細胞から容易に分離回収することができる、血球系細胞の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、幹細胞は細胞塊を形成するが、分化後の血球系細胞は足場非依存性の単細胞であることから、沈降速度と培養液の上昇流速度が釣り合う高さで浮遊させて培養することが可能な培養容器内で、幹細胞の細胞塊を血球系細胞へ分化させると、細胞塊と血球系細胞とを容易に分離できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下部から液体培地を培養容器に供給することにより幹細胞の細胞塊を前記液体培地中で浮遊させた状態で培養して分化誘導させる第1ステップと、前記培養容器からオーバーフローする前記液体培地と共に前記分化誘導によって得られた血球系細胞を回収する第2ステップとを有する血球系細胞の製造方法を提供するものである。
前記血球系細胞の製造方法において、前記培養容器は、水平断面積が下方から上方に向けて漸次大きく設定されていることが好ましい。
また、前記上昇流発生手段は、前記培養容器内の液体培地に、周回上昇流を形成させたり、前記培養容器の内壁面近傍において最大流速となると共に当該培養容器の下方から上方に向かう螺旋流である流速勾配付上昇流を発生させることが好ましい。
さらに、前記幹細胞が、造血幹細胞、ES細胞、iPS細胞、胚性生殖幹細胞、又はMuse細胞であることが好ましい。
前記血球系細胞の製造方法において、前記培養容器は、水平断面積が下方から上方に向けて漸次大きく設定されていることが好ましい。
また、前記上昇流発生手段は、前記培養容器内の液体培地に、周回上昇流を形成させたり、前記培養容器の内壁面近傍において最大流速となると共に当該培養容器の下方から上方に向かう螺旋流である流速勾配付上昇流を発生させることが好ましい。
さらに、前記幹細胞が、造血幹細胞、ES細胞、iPS細胞、胚性生殖幹細胞、又はMuse細胞であることが好ましい。
本発明の血球系細胞の製造方法は、幹細胞の細胞塊を浮遊培養して分化誘導したにもかかわらず、得られた血球系細胞を、幹細胞から容易に分離して回収することができる。このため、本発明の血球系細胞の製造方法は、血球系細胞の大量培養や連続培養に特に好適に用いられる。
本発明の血球系細胞の製造方法は、幹細胞の細胞塊の血球系細胞への分化誘導を、高さ方向の下方から上方に向けて上昇流速度が漸次小さくなる流速勾配付上昇流が形成されている培養容器内で、細胞塊を浮遊させた状態で行うことを特徴とする。流速勾配付上昇流が形成されている培養容器内では、細胞は、沈降速度と液体培地の上昇流速度が釣り合う高さで安定に浮遊する。ここで、沈降速度は細胞の塊の大きさの二乗に比例する(ストークスの式)ため、当該培養容器では、大きさの異なる細胞は、異なる高さ位置で安定して浮遊し、細胞の大きさの差が大きいほど、高さ方向に十分に離れた位置で浮遊する。
血球系細胞は足場非依存性の細胞であり、凝集しない。このため、幹細胞の細胞塊に分化誘導をかけた場合、足場非依存性を獲得する前の分化段階の細胞は、幹細胞と共に細胞塊にそのまま存在しているが、最終分化して足場非依存性を獲得した血球系細胞は、細胞塊から離れて単細胞の状態で液体培地中に浮遊する。細胞塊は通常、数千個〜数万個の細胞が凝集してなり、単細胞である血球系細胞よりも遥かに大きい。このため、前記培養容器内で、幹細胞の細胞塊を、培養容器の適当な高さで安定して浮遊する程度の上昇流を生じさせた培養容器内で分化誘導させると、細胞塊から分離した血球系細胞は、当該培養容器内の液体培地の天面付近に浮遊する。そこで、該培養容器内の液体培地を天面付近から排出させるだけで、液体培地と共に血球系細胞を、未分化細胞の細胞塊から分離した状態で回収できる。
<細胞培養装置>
以下、本発明において用いられる細胞培養装置の一態様について、図面に基づいて説明する。この細胞培養装置は、図1に示すように培養容器1、噴出部2、回収部3、液体培地供給源4、送液機5、分離槽6及び調整槽7を備えている。培養容器1は、幹細胞の細胞塊X1と液体培地Yとを収容する所定容量の管状容器である。この培養容器1は、図示するように管軸が鉛直方向となるように姿勢設定されており、水平断面積が下方から上方に向けて漸次大きくなるように形状設定されている。
以下、本発明において用いられる細胞培養装置の一態様について、図面に基づいて説明する。この細胞培養装置は、図1に示すように培養容器1、噴出部2、回収部3、液体培地供給源4、送液機5、分離槽6及び調整槽7を備えている。培養容器1は、幹細胞の細胞塊X1と液体培地Yとを収容する所定容量の管状容器である。この培養容器1は、図示するように管軸が鉛直方向となるように姿勢設定されており、水平断面積が下方から上方に向けて漸次大きくなるように形状設定されている。
噴出部2は、上記培養容器1の下部に設けられており、液体培地Yを培養容器1内に噴出する。この噴出部2は、図示するように培養容器1内における液体培地Yの流れが上方に向かう螺旋流、つまり上昇流かつ螺旋流となるように液体培地Yを噴出する。回収部3は、培養容器1の上端部に設けられており、当該上端部からオーバーフローした液体培地Yを回収する。この回収部3が回収する液体培地Yには血球系細胞X2が含まれており、回収部3は、血球系細胞X2を含む液体培地Yを分離槽6に供給する。
液体培地供給源4は、液体培地Yを貯留する所定容量のタンクである。液体培地供給源4は、送液機5に液体培地Yを供給すると共に調整槽7から調整済みの液体培地Yを受け入れる。送液機5は、液体培地供給源4から所定流量の液体培地Yを汲み出して噴出部2に送出する。この送液機5は、回転数が可変設定できるように構成されており、回転数に応じた流量の液体培地Yを噴出部2に供給する。
分離槽6は、回収部3から受け入れた液体培地Y(血球系細胞X2を含む)から液体培地Yと血球系細胞X2とを分離する。この分離槽6は、一種の固液フィルタであり、固形物である血球系細胞X2を液体である液体培地Yから分離する。また、この分離槽6は、分離した液体培地Yを調整槽7に供給する。調整槽7は、液体培地Yに含まれる不純物を除去し、初期性状の液体培地Yを液体培地供給源4に供給する。
このような細胞培養装置では、液体培地供給源4→送液機5→噴出部2→培養容器1→回収部3→分離槽6→調整槽7→液体培地供給源4に循環する間に培養容器1で幹細胞の細胞塊X1が安定に浮遊した状態で分化誘導される。すなわち、培養容器1では、噴出部2の作用によって液体培地Yの上昇流かつ螺旋流が生成されるので、幹細胞の細胞塊X1は、自らの比重と液体培地Yの上昇流の流速とのバランスによって決定される培養容器1の所定高さ位置に浮遊し、培養かつ分化誘導される。
なお、培養容器1は水平断面積が下方から上方に向けて漸次大きくなるように形状設定されているので、培養容器1内における液体培地Yの上昇流速は、上に行く程小さくなる。このような培養容器1の形状に起因する作用によって、幹細胞の細胞塊X1は、上記所定高さ位置に比較的安定した状態で浮遊する。
そして、分化誘導によって幹細胞の細胞塊X1から血球系細胞X2が分離する。この血球系細胞X2は、幹細胞の細胞塊X1よりも大幅に小さいので、血球系細胞X2が分離すると同時に上昇して培養容器1の上端に移動し、液体培地Yと共に培養容器1の上端からオーバーフローして回収部3に回収される。
回収部3に回収された血球系細胞X2及び液体培地Yは、分離槽6において分離され、血球系細胞X2のみが外部に成果物として搬出される。一方、分離槽6で分離された液体培地Yは、調整槽7で成分調整された後に液体培地供給源4に供給される。
培養容器1の内壁面近傍において最大流速となると共に当該培養容器の下方から上方に向かう螺旋流を発生させる流速勾配付上昇流は、細胞容器1の噴出部2に、内壁に螺旋溝を備える直管部を設けることにより発生させることができる。液体培地Yは、螺旋溝と直管部の内壁とによって形成される螺旋通路を経由して培養容器1の下端に流れ込むことによって、下方から上方に向かう螺旋流が発生する。この螺旋流の流速は、下方から上方に向かう上昇流速成分とこれに直交する水平面で周回する回転流速成分とからなる。培養容器1の内径が上方に向かって直線的に漸次大きくなっているので、前記上昇流速成分は、下方から上方に向けて漸次小さくなる流速勾配を有する。具体的には、このような螺旋流が発生する培養容器としては、特許文献2に記載の細胞培養装置が挙げられる。特許文献2に記載の細胞培養装置に、培養容器からオーバーフローした液体培地を回収し、血球系細胞を分離する回収部3及び分離槽6を備えた細胞培養装置を、本発明の血球系細胞の製造方法に用いることができる。
水平断面積が下方から上方に向けて漸次大きく設定されている、好適には逆円錐状である培養容器内の液体培地に、周回上昇流を形成させる上昇流は、培養容器1の底部に設けられた噴出部2から液体培地Yを供給し、かつ底部付近に、培地の上昇流を内壁方向に付勢或いは偏向して旋回上昇流に整流するための整流手段を備えることにより達成できる。このような整流手段としては、噴出部2を閉塞可能な直径を有し、液体培地Yの比重より大きな比重を有する立体が挙げられる。当該立体の形状は球体や楕円体、卵形状等にすることができる。その他、小さな攪拌羽根で底部付近を攪拌させてもよい。これらの整流手段を備えた培養容器を用いる場合には、細胞塊は、整流手段が設けられている高さよりも高い位置で浮遊させて培養する。具体的には、周回上昇流を形成させる上昇流が発生する培養容器としては、特許文献4に記載の細胞培養装置が挙げられる。特許文献4に記載の細胞培養装置に、培養容器からオーバーフローした液体培地を回収し、血球系細胞を分離する回収部3及び分離槽6を備えた細胞培養装置を、本発明の血球系細胞の製造方法に用いることができる。
<分化誘導>
本発明において用いられる幹細胞は、分化多能性(pluripotency)と自己複製能を併せ持ち、血球系細胞に分化できる幹細胞であれば特に限定されるものではない。例えば、造血幹細胞、胚性幹細胞(ES細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、胚性生殖幹細胞、及びMuse細胞等が挙げられる。iPS細胞は、Oct3/4、Sox2、Klf4、c-Myc等の初期化因子を適宜組み合わせて体細胞へ導入する等の、当該技術分野で公知の各種の方法(例えば、非特許文献1及び2参照。)で製造したものを用いることができる。造血幹細胞は、動物の生体組織から単離して調製されたものを用いてもよく、ES細胞やiPS細胞等の多能性幹細胞から分化させて調製したものを用いてもよい。
本発明において用いられる幹細胞は、分化多能性(pluripotency)と自己複製能を併せ持ち、血球系細胞に分化できる幹細胞であれば特に限定されるものではない。例えば、造血幹細胞、胚性幹細胞(ES細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、胚性生殖幹細胞、及びMuse細胞等が挙げられる。iPS細胞は、Oct3/4、Sox2、Klf4、c-Myc等の初期化因子を適宜組み合わせて体細胞へ導入する等の、当該技術分野で公知の各種の方法(例えば、非特許文献1及び2参照。)で製造したものを用いることができる。造血幹細胞は、動物の生体組織から単離して調製されたものを用いてもよく、ES細胞やiPS細胞等の多能性幹細胞から分化させて調製したものを用いてもよい。
幹細胞の細胞塊は、充分な細胞数の幹細胞を、互いに接触可能な状態で数時間から2日間程度、望ましくは6時間から24時間程度静置培養することにより形成できる。具体的には、スフェロイド形成に一般的に使用されている、底部に適当な大きさの凹部を備える培養容器に、凹部1個当たりに必要な細胞数を注入して静置培養すると、通常、凹部1個当たり1個の細胞塊が形成される。この細胞塊を、培養することにより、より大きな細胞塊を形成させることもできる。幹細胞の培養及び継代には、iPS細胞やES細胞をその多能性を損なわずに維持するために通常用いられる培地の中から適宜選択して用いることができる。
細胞塊を前記細胞培養装置の培養容器内に、分化誘導培地と共に充填し、分化培養培地を循環させながら所定期間培養することによって、幹細胞を目的の血球系細胞へ分化させることができる。本発明及び本願明細書において、血球系細胞とは、赤血球、白血球、巨核球等の成熟血液細胞を意味する。白血球には、好中球、好酸球、好塩基球、Bリンパ球、Tリンパ球が挙げられる。
分化誘導培地は、幹細胞培養用培地に、目的の血球系細胞に応じた分化誘導因子を添加した培地である。分化誘導因子としては、TPO(トロンボポエチン)、EPO (エリスロポエチン)、IL-1(インターロイキン−1)、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-11、INF-α(インターフェロン−α)、INF-β、INF-γ、GM-CSF(顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子)、SCF(幹細胞因子)、G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)、M-CSF(単球コロニー刺激因子)、VEGF(血管内皮細胞増殖因子)、Flt3リガンド、IGF(インスリン様成長因子)-I、IGF-II、ヘパリン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。幹細胞から血球系細胞への分化誘導は、当該技術分野で様々な方法が公知であり、使用する分化誘導因子の種類や組み合わせ、添加量比、添加のタイミング等は、当業者であればこれらの公知の方法から適宜選択して実施することができる。また、市販されている分化誘導用培地をそのまま用いることもできる。分化誘導因子は、濃縮液を培養容器内に直接投与してもよいが、培養容器中の細胞塊に均一に分化誘導処理が行われるように、培養容器に供給される前の液体培地に予め適切な濃度となるように添加しておくことが好ましい。
幹細胞の細胞塊は、分化誘導を行うのに十分な大きさとなった状態で前記細胞培養装置の培養容器内に投入してもよく、小さな細胞塊を投入して当該培養容器内で多能性を維持したまま、必要な大きさの細胞塊になるまで培養してもよい。細胞塊が成長することで細胞塊径が大きくなると、細胞塊の沈降速度が大きくなる。このため、細胞塊はさらに沈降し、細胞塊の沈降速度と液体培地の流速とが釣り合った高さで浮遊する。
培養容器内の上昇流速度は、細胞塊が、培養容器の適当な高さの位置で、例えば、培養容器の底部から1/3以上であって、回収部3よりも十分に下の高さで安定して浮遊させられる程度の速度に調整することが好ましい。これにより、未分化の細胞塊が回収部3からオーバーフローした液体培地と共に排出されることを防止でき、血球系細胞のみを回収部3に回収することができる。
本発明の血球系細胞の製造方法は、幹細胞から血球系細胞への分化誘導を浮遊培養で行うため、単層培養法よりも液体培地当たりの細胞密度を高くすることができ、細胞を高密度かつ大量に培養することができる。また、連続培養にも適している。加えて、細胞塊の状態で分化誘導を行うため、単層培養よりも、分化誘導効率が高い。さらに、液体培地を培養容器からオーバーフローさせるだけで、血球系細胞を未分化の細胞塊から分離して回収できるため、本発明の血球系細胞の製造方法は、未分化細胞の混入が厳しく制限される血液製剤の原料となる血球系細胞を量産する方法としても好適である。
なお、前記細胞培養装置は、回収する目的の細胞の大きさが、その他の細胞の大きさと比べて、非常に大きな差がある場合に、目的の細胞を純度よく回収することができる装置である。このため、造血幹細胞からある程度分化した血液前駆細胞であって、凝集性があり細胞塊を形成できる細胞を原料とし、当該細胞の細胞塊を前記細胞培養装置を用いて分化誘導することによっても、未分化細胞の混入のない血球系細胞を回収することができる。
1 培養容器
2 噴出部
3 回収部
4 液体培地供給源
5 送液機
6 分離槽
7 調整槽
X1 幹細胞の細胞塊
X2 血球系細胞
Y 液体培地
2 噴出部
3 回収部
4 液体培地供給源
5 送液機
6 分離槽
7 調整槽
X1 幹細胞の細胞塊
X2 血球系細胞
Y 液体培地
Claims (5)
- 下部から液体培地を培養容器に供給することにより幹細胞の細胞塊を前記液体培地中で浮遊させた状態で培養して分化誘導させる第1ステップと、
前記培養容器からオーバーフローする前記液体培地と共に前記分化誘導によって得られた血球系細胞を回収する第2ステップと
を有する血球系細胞の製造方法。 - 前記培養容器は、水平断面積が下方から上方に向けて漸次大きく設定されている、請求項1に記載の血球系細胞の製造方法。
- 前記第1ステップでは、前記培養容器内の液体培地に上昇流を形成させる、請求項1又は2に記載の血球系細胞の製造方法。
- 前記第1ステップでは、前記培養容器の内壁面近傍において最大流速となると共に当該培養容器の下方から上方に向かう螺旋流を発生させる、請求項1又は2に記載の血球系細胞の製造方法。
- 前記幹細胞が、造血幹細胞、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、胚性生殖幹細胞、又はMuse細胞である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の血球系細胞の製造方法。
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