JP2019162000A - インバータ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】モータのトルクの変動を抑制する。【解決手段】モータのトルク指令に基づいてインバータの各相の上下アームのスイッチング素子のPWM信号を生成して各相の上下アームのスイッチング素子をスイッチング制御する。そして、モータの動作点が、各相のうちの少なくとも1つの相について上下アームのスイッチング素子のスイッチング制御におけるデッドタイムで相電流の符号の挙動がばらつく可能性のある問題領域内のときには、PWM信号の生成方法を変更する。【選択図】図4
Description
本発明は、インバータ制御装置に関する。
従来、この種のインバータ制御装置としては、モータと、モータを駆動するインバータと、を備える装置に搭載され、モータの印加電圧を演算すると共にモータ電流の符号情報を生成し、モータ電流の符号情報からデッドタイム歪補償値を生成し、印加電圧にデッドタイム歪補償値を加算し、この信号に基づいてインバータをパルス幅制御するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このインバータ制御装置では、デッドタイム歪補償値を、電流ゼロクロス付近で段階的に変化させる。これにより、モータとモータの負荷としてのファンとの共振による音を低減している。
インバータの各相の上下アームのスイッチング素子をスイッチングする際には、上下アームの短絡を回避するためにデッドタイムが設けられる。モータの電気角が略同一のデッドタイムでの相電流の符号の挙動がばらつく(正が継続したり、正から負に変化したりするなど)と、相電流にうねりが生じるのを十分に抑制できずに、モータのトルクの変動を十分に抑制できない可能性がある。
本発明のインバータ制御装置は、モータのトルクの変動を抑制することを主目的とする。
本発明のインバータ制御装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のインバータ制御装置は、
モータと、前記モータを駆動するインバータと、を備える駆動装置に搭載され、前記モータのトルク指令に基づいて前記インバータの各相の上下アームのスイッチング素子のPWM信号を生成して前記各相の上下アームのスイッチング素子をスイッチング制御するインバータ制御装置であって、
前記モータの動作点が、前記各相のうちの少なくとも1つの相について前記上下アームのスイッチング素子のスイッチング制御におけるデッドタイムで相電流の符号の挙動がばらつく可能性のある問題領域内のときには、前記PWM信号の生成方法を変更する、
ことを要旨とする。
モータと、前記モータを駆動するインバータと、を備える駆動装置に搭載され、前記モータのトルク指令に基づいて前記インバータの各相の上下アームのスイッチング素子のPWM信号を生成して前記各相の上下アームのスイッチング素子をスイッチング制御するインバータ制御装置であって、
前記モータの動作点が、前記各相のうちの少なくとも1つの相について前記上下アームのスイッチング素子のスイッチング制御におけるデッドタイムで相電流の符号の挙動がばらつく可能性のある問題領域内のときには、前記PWM信号の生成方法を変更する、
ことを要旨とする。
この本発明のインバータ制御装置では、モータの動作点が、各相のうちの少なくとも1つの相について上下アームのスイッチング素子のスイッチング制御におけるデッドタイムで相電流の符号の挙動がばらつく可能性のある問題領域内のときには、PWM信号の生成方法を変更する。PWM信号の生成方法を変更すると、問題領域が変化するから、モータの動作点を問題領域外にすることができる。これにより、デッドタイムで相電流の符号がばらつくのを抑制することができ、相電流にうねりが生じるのを抑制するための対処を行なうことができる。この結果、モータのトルクの変動を抑制することができる。
こうした本発明のインバータ制御装置において、各相の電圧指令と三角波との比較により前記PWM信号を生成し、更に、前記PWM信号の生成方法として、各相のうち所定相の電圧指令のゼロクロスのタイミングと前記三角波の谷のタイミングとを同期させて前記PWM信号を生成する第1生成方法と、前記所定相の電圧指令のゼロクロスのタイミングと前記三角波の山のタイミングとを同期させて前記PWM信号を生成する第2生成方法と、を用いるものとしてもよい。
また、本発明のインバータ制御装置において、各相の電圧指令と三角波との比較により前記PWM信号を生成し、更に、前記PWM信号の生成方法として、高調波(例えば、三次高調波)を重畳させた前記各相の電圧指令を用いて前記PWM信号を生成する第3生成方法と、前記高調波を重畳させない前記各相の電圧指令を用いて前記PWM信号を生成する第4生成方法と、を用いるものとしてもよい。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのインバータ制御装置を搭載する電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例の電気自動車20は、図示するように、モータ32と、インバータ34と、電源としてのバッテリ36と、昇圧コンバータ40と、電子制御ユニット50と、を備える。実施例では、電子制御ユニット50が「インバータ制御装置」に相当する。
モータ32は、同期発電電動機として構成されており、永久磁石が埋め込まれた回転子と、三相コイルが巻回された固定子と、を備える。このモータ32の回転子は、駆動輪22a,22bにデファレンシャルギヤ24を介して連結された駆動軸26に接続されている。
インバータ34は、モータ32の駆動に用いられる。このインバータ34は、高電圧側電力ライン42を介して昇圧コンバータ40に接続されており、6つのスイッチング素子としてのトランジスタT11〜T16と、6つのトランジスタT11〜T16のそれぞれに並列に接続された6つのダイオードD11〜D16と、を有する。トランジスタT11〜T16は、それぞれ、高電圧側電力ライン42の正極側ラインと負極側ラインとに対してソース側とシンク側になるように2個ずつペアで配置されている。また、トランジスタT11〜T16の対となるトランジスタ同士の接続点の各々には、モータ32の三相コイル(U相,V相,W相のコイル)の各々が接続されている。したがって、インバータ34に電圧が作用しているときに、電子制御ユニット50によって、対となるトランジスタT11〜T16のオン時間の割合が調節されることにより、三相コイルに回転磁界が形成され、モータ32が回転駆動される。以下、トランジスタT11〜T13を「上アーム」といい、トランジスタT14〜T16を「下アーム」という。高電圧側電力ライン42の正極側ラインと負極側ラインとには、平滑用のコンデンサ46が取り付けられている。
バッテリ36は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、低電圧側電力ライン44を介して昇圧コンバータ40に接続されている。低電圧側電力ライン44の正極側ラインと負極側ラインとには、平滑用のコンデンサ48が取り付けられている。
昇圧コンバータ40は、高電圧側電力ライン42と低電圧側電力ライン44とに接続されており、2つのスイッチング素子としてのトランジスタT31,T32と、2つのトランジスタT31,T32のそれぞれに並列に接続された2つのダイオードD31,D32と、リアクトルLと、を有する。トランジスタT31は、高電圧側電力ライン42の正極側ラインに接続されている。トランジスタT32は、トランジスタT31と、高電圧側電力ライン42および低電圧側電力ライン44の負極側ラインと、に接続されている。リアクトルLは、トランジスタT31,T32同士の接続点と、低電圧側電力ライン44の正極側ラインと、に接続されている。昇圧コンバータ40は、電子制御ユニット50によって、トランジスタT31,T32のオン時間の割合が調節されることにより、低電圧側電力ライン44の電力を昇圧して高電圧側電力ライン42に供給したり、高電圧側電力ライン42の電力を降圧して低電圧側電力ライン44に供給したりする。
電子制御ユニット50は、CPU52を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU52に加えて、処理プログラムを記憶するROM54や、データを一時的に記憶するRAM56、入出力ポートを備える。電子制御ユニット50には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。電子制御ユニット50に入力される信号としては、例えば、モータ32の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ(例えばレゾルバ)32aからの回転位置θmや、モータ32の各相の相電流を検出する電流センサ32u,32v,32wからの相電流Iu,Iv,Iwを挙げることができる。また、バッテリ36の端子間に取り付けられた電圧センサ36aからの電圧Vbや、バッテリ36の出力端子に取り付けられた電流センサ36bからの電流Ibも挙げることができる。さらに、リアクトルLに直列に取り付けられた電流センサ40aからの電流ILや、コンデンサ46の端子間に取り付けられた電圧センサ46aからのコンデンサ46(高電圧側電力ライン42)の電圧VH、コンデンサ48の端子間に取り付けられた電圧センサ48aからのコンデンサ48(低電圧側電力ライン44)の電圧VLも挙げることができる。加えて、イグニッションスイッチ60からのイグニッション信号や、シフトレバー61の操作位置を検出するシフトポジションセンサ62からのシフトポジションSPも挙げることができる。また、アクセルペダル63の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ64からのアクセル開度Accや、ブレーキペダル65の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ66からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ68からの車速Vも挙げることができる。
電子制御ユニット50からは、各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。電子制御ユニット50から出力される信号としては、例えば、インバータ34のトランジスタT11〜T16へのスイッチング制御信号や、昇圧コンバータ40のトランジスタT31,T32へのスイッチング制御信号を挙げることができる。電子制御ユニット50は、回転位置検出センサ32aからのモータ32の回転子の回転位置θmに基づいてモータ32の電気角θeや回転数Nmを演算したり、電流センサ36bからのバッテリ36の電流Ibの積算値に基づいてバッテリ36の蓄電割合SOCを演算したりしている。ここで、蓄電割合SOCは、バッテリ36の全容量に対するバッテリ36の蓄電量(放電可能な電力量)の割合である。
こうして構成された実施例の電気自動車20では、電子制御ユニット50は、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸26に要求される要求トルクTd*を設定し、設定した要求トルクTd*が駆動軸26に出力されるようにモータ32のトルク指令Tm*に設定し、モータ32がトルク指令Tm*で駆動されるようにインバータ34のトランジスタT11〜T16のスイッチング制御を行なう。また、電子制御ユニット50は、モータ32をトルク指令Tm*で駆動できるように高電圧側電力ライン42の目標電圧VH*を設定し、高電圧側電力ライン42の電圧VHが目標電圧VH*となるように昇圧コンバータ40のトランジスタT31,T32のスイッチング制御を行なう。
ここで、インバータ34の制御について説明する。電子制御ユニット50は、インバータ34を、正弦波PWM(パルス幅変調)制御モード、過変調PWM制御モード、矩形波制御モードのうちの何れかの制御モードで制御する。正弦波PWM制御モードは、擬似的な三相交流電圧がモータ32に印加(供給)されるようにインバータ34を制御する制御モードであり、過変調PWM制御モードは、過変調電圧がモータ32に印加されるようにインバータ34を制御する制御モードであり、矩形波制御モードは、矩形波電圧がモータ32に印加されるようにインバータ34を制御する制御モードである。制御モードは、変調率に応じて選択され、変調率が小さい順に、正弦波PWM制御モード、過変調制御モード、矩形波制御モードが選択される。正弦波PWM制御モードおよび過変調PWM制御モードは、いずれもPWM制御を行なうことから、以下、一括して「PWM制御モード」という。
PWM制御モードでは、電子制御ユニット50は、最初に、モータ32の電気角θeを用いて各相の相電流Iu,Iv,Iwをd軸,q軸の電流Id,Iqに座標変換(3相−2相変換)する。続いて、モータ32のトルク指令Tm*に基づいてd軸,q軸の電流指令Id*,Iq*を設定し、d軸,q軸の電流指令Id*,Iq*および電流Id,Iqを用いてd軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*を設定する。そして、モータ32の電気角θeを用いてd軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*を各相の電圧指令Vu*,Vv*,Vw*の仮値としての仮電圧指令Vutmp,Vvtmp,Vwtmpに座標変換(2相−3相変換)し、各相の仮電圧指令Vutmp,Vvtmp,Vwtmpに高調波(例えば、三次高調波)を重畳して各相の電圧指令Vu*,Vv*,Vw*を設定する。そして、各相の電圧指令Vu*,Vv*,Vw*を離散化して各相の制御用電圧指令Vuc,Vvc,Vwcに変換し、各相の制御用電圧指令Vuc,Vvc,Vwcと三角波(搬送波)との比較によりトランジスタT11〜T16のPWM信号を生成する。こうしてトランジスタT11〜T16のPWM信号を生成すると、そのPWM信号を用いてトランジスタT11〜T16のスイッチング制御を行なう。トランジスタT11〜T16のスイッチング制御は、PWM信号を用いて、各相の上下アームの短絡(高電圧側電力ライン42の正極側ラインと負極側ラインとの短絡)を回避するためにデッドタイムDTを考慮して行なわれる。また、PWM信号の生成では、必要に応じて、後述の誤差電圧ΔVHの変化を考慮して各相の相電流Iu,Iv,Iwのうねりを抑制するための補正が行なわれる。
図2および図3は、U相についての電圧指令Vu*、制御用電圧指令Vuc、三角波、上下アーム(トランジスタT11,T14)のPWM信号、上下アームの実際のスイッチングの様子の一例を示す説明図である。図2は、U相の電圧指令Vu*が負側から正側にゼロクロスするタイミング(以下、「基準タイミング」という)と三角波の谷(極小値)のタイミングとが同期した場合の様子を示し、図3は、基準タイミングと三角波の山(極大値)のタイミングとが同期した場合の様子を示す。図2および図3中、白丸印が同期のタイミングを示す。実施例では、トランジスタT11〜T16のPWM信号の生成方法として、基準タイミングと三角波の谷のタイミングとを同期させてPWM信号を生成する第1生成方法(図2参照)と、基準タイミングと三角波の山のタイミングとを同期させてPWM信号を生成する第2生成方法(図3参照)と、を用いるものとした。
次に、こうして構成された実施例の電気自動車20の動作、特に、電子制御ユニット50によりインバータ34をPWM制御モードで制御する際のトランジスタT11〜T16のPWM信号の生成方法を変更する際の動作について説明する。図4は、電子制御ユニット50により実行される処理ルーチンの一例を示す説明図である。このルーチンは、繰り返し実行される。
図4の処理ルーチンが実行されると、電子制御ユニット50は、モータ32の動作点(トルク指令Tm*および回転数Nm)と、PWM信号の現在の生成方法(第1生成方法または第2生成方法)と、を入力し(ステップS100)、入力したPWM信号の現在の生成方法に基づいてモータ32の動作点が問題領域内であるか否かを判定する(ステップS110,S120)。
ここで、問題領域は、各相のうちの少なくとも1つの相について上下アームのトランジスタのスイッチング制御におけるデッドタイムDTで相電流の符号の挙動がばらつく可能性のある領域である。デッドタイムDTでの相電流の符号の挙動としては、(P1)正が継続、(P2)負が継続、(P3)正から負に変化、(P4)負から正に変化の4パターンがある。
図5は、U相の上下アームが共にオフ(デッドタイムDT)のときの様子を示す説明図である。図5(A)は、デッドタイムDTで相電流Iuが正のときの様子を示し、図5(B)は、デッドタイムDTで相電流Iuが負のときの様子を示す。以下、デッドタイムDTでのモータ32のU相の端子と高電圧側電力ライン42の負極側ラインとの電圧を「誤差電圧ΔV」という。図5(A)に示すように、デッドタイムDTで相電流Iuが正のときには、高電圧側電力ライン42の負極側ラインからインバータ34のダイオードD14を介してモータ32のU相に電流が流れる。このとき、誤差電圧ΔVは略値0となる。一方、図5(B)に示すように、デッドタイムDTで相電流Iuが負のときには、モータ32のU相からインバータ34のダイオードD11を介して高電圧側電力ライン42の正極側ラインに電流が流れる。このとき、誤差電圧ΔVは、略値VH(高電圧側電力ライン42の電圧VH)となる。したがって、デッドタイムDTでの相電流Iuの符号の挙動が(P1)のパターンのときには、誤差電圧ΔVが略値0で継続し、(P3)のパターンのときには、誤差電圧ΔVが略値0から略値VHに変化する。モータ32の電気角θeが略同一で各相の電圧指令Vu*,Vv*,Vw*が略同一のときでも、モータ32の回転の微妙な変化などにより、デッドタイムDTでの相電流Iuの符号の挙動がばらつくと、モータ32の電気角θeと実際に生じる相電圧Vu,Vv,Vwとの関係がばらつき、誤差電圧ΔVの挙動がばらつくと考えられる。誤差電圧ΔVが変化すると、U相の相電流Iuにうねりが生じ、モータ32のトルクが変動してしまうことがある。モータ32の電気角θeが略同一のデッドタイムDTにおいて、相電流Iuの符号の挙動が一定の場合には、誤差電圧ΔVHの変化(一定値)を踏まえて、各相の相電流Iu,Iv,Iwのうねりを抑制するための補正を行なうことができるものの、相電流Iuの符号の挙動がばらつく場合には、各相の相電流Iu,Iv,Iwのうねりを抑制するための補正を行なうことが困難となる。このため、こうした事象が生じるのを回避するのが好ましい。なお、デッドタイムDTでの相電流Iuの符号の挙動は、相電流Iuが値0付近のときにばらつきやすい。
ステップS110,S120の処理は、実施例では、モータ32の動作点と問題領域との関係として定められてROM54に記憶されたマップに、モータ32の動作点を適用して、モータ32の動作点が問題領域内であるか否かを判定するものとした。図6は、モータ32の動作点と問題領域との関係を定めたマップの一例を示す説明図である。図6(A)は、PWMの生成方法が第1生成方法のときのマップの一例を示し、図6(B)は、PWMの生成方法が第2生成方法のときのマップの一例を示す。図6(A)および図6(B)において、値1の領域が問題領域に相当する。図4(A)および図6(B)から分かるように、第1生成方法と第2生成方法とでは、問題領域の位置が異なる。
ステップS110,S120で、モータ32の動作点が問題領域外であると判定したときには、そのまま本ルーチンを終了する。一方、モータ32の動作点が問題領域内であると判定したときには、PWM信号の現在の生成方法を調べて(ステップS130)、PWM信号の現在の生成方法が第1生成方法のときには、第2生成方法に変更して(ステップS140)、本ルーチンを終了し、PWM信号の現在の生成方法が第2生成方法のときには、第1生成法に変更して(ステップS150)、本ルーチンを終了する。上述したように、第1生成方法と第2生成方法とでは問題領域の位置が異なることから、モータ32の動作点が問題領域内になるときには、PWM信号の生成方法を変更して問題領域の位置を変化させることにより、モータ32の動作点を問題領域外にすることができる。
図7は、PWM信号の生成方法を第1生成方法としたときの様子を示す説明図であり、図8は、PWM信号の生成方法を第2生成方法としたときの様子を示す説明図である。図7および図8は、各相の電圧指令Vu*,Vv*,Vw*(制御用電圧指令Vuc,Vvc,Vwc)が同一のときを示す。図7では、PWM信号の生成方法が第1生成方法のときのデッドタイムDTで、U相の相電流Iuが正から負に変化している((P3)のパターン)ものの、モータ32の回転の微妙な変化などにより、相電流Iuの符号の挙動が、正で継続したり((P1)のパターン)、負で継続したり((P2)のパターン)する可能性がある。即ち、デッドタイムDTで相電流Iuの符号の挙動がばらつく可能性がある。この場合、PWM信号の生成方法を第1生成方法から第2生成方法に変更することにより、図8に示すように、デッドタイムDTで相電流Iuを値0からある程度乖離させることができ、デッドタイムDTで相電流Iuの符号の挙動がばらつかないようにすることができる。これにより、PWM信号を生成する際に、各相の相電流Iu,Iv,Iwのうねりを抑制するための補正を必要に応じて行なうことができる。この結果、モータ32のトルクの変動を抑制することができる。
以上説明した実施例の電気自動車20に搭載されるインバータ制御装置では、モータ32の動作点が問題領域内のときには、PWM信号の生成方法を変更する。PWM信号の生成方法を変更すると、問題領域が変化するから、モータ32の動作点を問題領域外にすることができる。これにより、デッドタイムで相電流の符号がばらつくのを抑制することができ、相電流にうねりが生じるのを抑制するための補正(対処)を行なうことができる。この結果、モータ32のトルクの変動を抑制することができる。
実施例の電気自動車20に搭載されるインバータ制御装置では、トランジスタT11〜T16のPWM信号の生成方法として、基準タイミングと三角波の谷のタイミングとを同期させてPWM信号を生成する第1生成方法(図2参照)と、基準タイミングと三角波の山のタイミングとを同期させてPWM信号を生成する第2生成方法(図3参照)と、を用いるものとした。しかし、各相の仮電圧指令Vutmp,Vvtmp,Vwtmpに高調波を重畳して設定した各相の電圧指令Vu*,Vv*,Vw*を用いてPWM信号を生成する第3生成方法(第1生成方法と同一の生成方法)と、各相の仮電圧指令Vutmp,Vvtmp,Vwtmpに高調波を重畳せずに設定した各相の電圧指令Vu*,Vv*,Vw*を用いてPWM信号を生成する第4生成方法と、を用いるものとしてもよい。図9は、PWM信号の生成方法を第4生成方法としたときの、U相についての電圧指令Vu*、制御用電圧指令Vuc、三角波、上下アーム(トランジスタT11,T14)のPWM信号、上下アームの実際のスイッチングの様子の一例を示す説明図である。図2と図9とを比較すると、上下アームの実際のスイッチングの波形が異なることが分かる。したがって、第3生成方法と第4生成方法とでは、問題領域の位置が異なると考えられる。これを踏まえて、PWM信号の現在の生成方法が第3生成方法でモータ32の動作点が問題領域内のときに、PWM信号の生成方法を第4生成方法に切り替え、PWM信号の現在の生成方法が第4生成方法でモータ32の動作点が問題領域内のときに、PWM信号の生成方法を第3生成方法に切り替えることにより、実施例と同様の効果を奏すると考えられる。
実施例の電気自動車20に搭載されるインバータ制御装置では、トランジスタT11〜T16のPWM信号の生成方法として、各相の制御用電圧指令Vuc,Vvc,Vwcと三角波との比較によりPWM信号を生成する第1,第2生成手法を用いるものとした。しかし、各相の制御用電圧指令Vuc,Vvc,Vwcと三角波との比較によりPWM信号を生成する第5生成手法(第1,第2生成方法のうちの何れかと同一の生成方法)と、モータ32のトルク指令Tm*に基づく電圧の変調率および電圧位相とモータ32の電気角の単位周期当たりのパルス数とに基づいてPWM信号を生成する第6生成方法と、を用いるものとしてもよい。なお、第6生成方法の詳細については、特開2013−162660号公報などに記載されている。第5生成方法と第6生成方法では、問題領域の位置が異なると考えられる。これを踏まえて、PWM信号の現在の生成方法が第5生成方法でモータ32の動作点が問題領域内のときに、PWM信号の生成方法を第6生成方法に切り替え、PWM信号の現在の生成方法が第6生成方法でモータ32の動作点が問題領域内のときに、PWM信号の生成方法を第5生成方法に切り替えることにより、実施例と同様の効果を奏すると考えられる。
実施例では、電気自動車20に搭載されるインバータ制御装置の形態としたが、ハイブリッド自動車に搭載されるインバータ制御装置の形態としてもよいし、自動車以外の車両などの移動体に搭載されるインバータ制御装置の形態としてもよいし、建設設備などの移動しない設備に搭載されるインバータ制御装置の形態としてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータ32が「モータ」に相当し、インバータ34が「インバータ」に相当し、電子制御ユニット50が「インバータ制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、インバータ制御装置の製造産業などに利用可能である。
20 電気自動車、22a,22b 駆動輪、24 デファレンシャルギヤ、26 駆動軸、32 モータ、32a 回転位置検出センサ、32u,32v,32w 電流センサ、34 インバータ、36 バッテリ、36a 電圧センサ、36b 電流センサ、40 昇圧コンバータ、40a 電流センサ、42 高電圧側電力ライン、44 低電圧側電力ライ、46,48 コンデンサ、46a,48a 電圧センサ、50 電子制御ユニット、52 CPU、54 ROM、56 RAM、60 イグニッションスイッチ、61 シフトレバー、62 シフトポジションセンサ、63 アクセルペダル、64 アクセルペダルポジションセンサ、65 ブレーキペダル、66 ブレーキペダルポジションセンサ、68 車速センサ、D11〜D16,D31,D32 ダイオード、T11〜T16,T31,T32 トランジスタ。
Claims (1)
- モータと、前記モータを駆動するインバータと、を備える駆動装置に搭載され、前記モータのトルク指令に基づいて前記インバータの各相の上下アームのスイッチング素子のPWM信号を生成して前記各相の上下アームのスイッチング素子をスイッチング制御するインバータ制御装置であって、
前記モータの動作点が、前記各相のうちの少なくとも1つの相について前記上下アームのスイッチング素子のスイッチング制御におけるデッドタイムで相電流の符号の挙動がばらつく可能性のある問題領域内のときには、前記PWM信号の生成方法を変更する、
インバータ制御装置。
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JP (1) | JP2019162000A (ja) |
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2018
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