JP2019160508A - 空気電池用正極及び空気電池 - Google Patents

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光一 澤田
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Abstract

【課題】高い放電容量と高い体積エネルギー密度との両方を得ることができる空気電池を実現可能な、空気電池用正極を提供する。【解決手段】本開示の空気電池用正極13は、集電体132と、炭素材料を含む多孔質層131とを具備する。多孔質層131は、4nm以上100nm未満の細孔径を有する第1細孔と、100nm以上10μm以下の細孔径を有する第2細孔とを含む。多孔質層131において、第2細孔の累積細孔容積である第2細孔容積は、第1細孔の累積細孔容積である第1細孔容積よりも大きい。多孔質層131の面方向抵抗値は、2.2mΩ・cm以上500mΩ・cm以下である。【選択図】図1

Description

本開示は、空気電池用正極及び空気電池に関する。
空気電池とは、正極活物質として空気中の酸素を用い、負極活物質として金属イオンを吸蔵及び放出可能な金属又は化合物を用いる電池である。空気電池は、エネルギー密度(重量に対する放電可能な電力量)が高く、小型化及び軽量化が容易であるといった利点を有する。したがって、空気電池は、現在最もエネルギー密度が高いと考えられている金属イオン電池を超えるエネルギー密度を有する電池として注目されている。
空気電池は、正極と、負極と、正極と負極との間に配置された電解質層とを備えている。正極には、一般に導電性を有する多孔質体が用いられる。多孔質体としては、例えば、グラファイト及びアセチレンブラック等の炭素材料が用いられる。
特開2010−212198号公報
本開示は、高い放電容量と高い体積エネルギー密度との両方を得ることができる空気電池を実現可能な、空気電池用正極を提供する。
本開示は、空気電池の正極であって、集電体と、炭素材料を含む多孔質層とを具備し、
前記多孔質層は、4nm以上100nm未満の細孔径を有する第1細孔と、100nm以上10μm以下の細孔径を有する第2細孔とを含み、
前記多孔質層において、前記第2細孔の累積細孔容積である第2細孔容積は、前記第1細孔の累積細孔容積である第1細孔容積よりも大きく、
前記多孔質層の面方向抵抗値が、2.2mΩ・cm以上500mΩ・cm以下である、
空気電池用正極を提供する。
本開示の空気電池用正極は、高い放電容量と高い体積エネルギー密度との両方を得ることができる空気電池を実現できる。
図1は、本開示の空気電池の一構成例を示す概略断面図である。 図2は、本開示の空気電池において、突起部を有する集電体を備えた正極が用いられた一構成例を示す概略断面図である。
<本開示の基礎となった知見>
特許文献1には、カーボンを含む正極を備えた空気電池が開示されている。この空気電池では、正極に用いられるカーボンの、X線回折測定においてシェラー(Scherrer)の式より算出される結晶子径が15Å以下である。さらに、特許文献1には、正極に用いられるカーボンの比表面積が750m2/g以上であり、かつ水銀圧入法により求めた総細孔容積が4.0ml/g以上5.5ml/g以下であることも開示されている。
特許文献1に記載された、カーボンとバインダとからなる正極を備えた空気電池は、大きな放電容量を得ることができる。しかしながら、本発明者らの検討により、特許文献1に記載された正極では、放電に伴って膨張が起こり、エネルギー密度が低下すること、さらに放電容量が十分ではないことが見出された。すなわち、従来の正極を用いた空気電池では、放電容量及びエネルギー密度が低いという問題があった。そこで、本発明者らは、当該問題を解決すべく鋭意検討した結果、以下に示す本開示の空気電池用正極及び空気電池に想到した。
<本開示に係る一態様の概要>
本開示の第1の態様に係る空気電池用正極は、空気電池の正極であって、集電体と、炭素材料を含む多孔質層とを具備し、前記多孔質層は、4nm以上100nm未満の細孔径を有する第1細孔と、100nm以上10μm以下の細孔径を有する第2細孔とを含み、前記多孔質層において、前記第2細孔の累積細孔容積である第2細孔容積は、前記第1細孔の累積細孔容積である第1細孔容積よりも大きく、前記多孔質層の面方向抵抗値が、2.2mΩ・cm以上500mΩ・cm以下である。
第1の態様に係る空気電池用正極は、第1細孔容積と第2細孔容積とが上記の関係を満たし、かつ面方向抵抗値が2.2mΩ・cm以上500mΩ・cm以下の範囲内である多孔質層を含む。第2細孔は、酸素の拡散経路、及び、放電反応によって生成した放電生成物の貯蔵空間として機能し得る。したがって、第1の態様に係る空気電池用正極は、大きい第2細孔容積を有する多孔質層を具備することにより、酸素の拡散経路及び放電生成物の貯蔵空間を十分に確保することができる。これにより、第1の態様に係る空気電池用正極は、空気電池の放電容量を向上させることができると共に、放電に伴う正極の膨張を抑制して体積エネルギー密度も向上させることができる。さらに、第1の態様に係る空気電池用正極の多孔質層は、2.2mΩ・cm以上500mΩ・cm以下の低い面方向抵抗値を有している。酸素経路の十分な確保によって放電反応が促進され、その結果多孔質層の厚み方向における放電反応が促進されると、放電反応による放電生成物の析出により多孔質層の面方向の電子伝導速度が遅くなることがある。しかし第1の態様に係る空気電池用正極では、多孔質層の面方向抵抗値が上記範囲内であることにより、放電生成物が多く析出した場合でも、多孔質層の面方向における電子伝動が確保される。したがって、第1の態様に係る空気電池用正極は、十分に高い放電容量と高い体積エネルギー密度との両方を得ることができる空気電池を実現できる。
第2の態様において、例えば、第1の態様に係る空気電池用正極では、前記多孔質層の面方向抵抗値が250mΩ・cm以下である。
第2の態様に係る空気電池用正極は、放電容量と体積エネルギー密度とをさらに向上させることができる。
第3の態様において、例えば、第1又は第2の態様に係る空気電池用正極において、前記集電体は、平板状のベース部と、前記ベース部の少なくとも第1主面に配置された複数の突起部と、を含み、前記多孔質層は、前記ベース部の前記第1主面上に配置されており、前記突起部は、前記多孔質層の内部で前記多孔質層と接している。
集電体が上記構成を有することにより、第3の態様に係る空気電池用正極は、効率的に集電でき、さらに、多孔質層の細孔構造を維持する、すなわち放電生成物の貯蔵空間を維持することができる。したがって、第3の態様に係る空気電池用正極は、放電容量と体積エネルギー密度とをさらに向上させることができる。
第4の態様において、例えば、第1〜第3の態様のいずれか1つに係る空気電池用正極では、前記第1細孔容積が0.41cm3/g以上である。
多孔質層の第1細孔は、電気化学反応のための反応場として機能し得る。したがって、第4の態様に係る空気電池用正極は、十分な反応面積を有することで酸素の活性化を促進できるので、さらなる高容量化を実現できる。
第5の態様において、例えば、第4の態様に係る空気電池用正極では、前記第1細孔容積が0.78cm3/g以上である。
第5の態様に係る空気電池用正極は、より一層の高容量化を実現できる。
本開示の第6の態様に係る空気電池は、第1〜第5の態様のいずれか1つに係る空気電池用正極と、金属イオンを吸蔵及び放出可能な負極と、前記正極と前記負極との間を満たす電解質と、を備えている。
第6の態様に係る空気電池では、第1〜第5の態様のいずれか1つの空気電池用正極を備えているので、高い放電容量と高い体積エネルギー密度との両方を得ることができる。
第7の態様において、例えば、第6の態様に係る空気電池は、前記正極と前記負極との間に配置されるセパレータをさらに備え、前記正極は、請求項3に記載の空気電池用正極であり、前記セパレータは、前記電解質内に配置されており、前記複数の突起部の少なくとも一部は、前記セパレータに接している。
第7の態様に係る空気電池は、セパレータを備えているので、高い安全性を有する。
第8の態様において、例えば、第6又は第7の態様に係る空気電池において、前記電解質は非水系電解液である。
第8の態様に係る空気電池は、電圧を高めることができ、エネルギー密度を高くすることができる。
<実施形態>
以下、本開示の空気電池用正極及び空気電池の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は一例であり、本開示は以下の形態に限定されない。
本実施形態の空気電池は、空気電池用正極(以下、「正極」と記載する。)と、金属イオンを吸蔵及び放出可能な負極と、正極と負極との間に配置された電解質と、を備えている。正極は、集電体と、炭素材料を含む多孔質層とを備える。多孔質層は、空気中の酸素を正極活物質として当該酸素を酸化還元可能な正極層として設けられている。多孔質層は、4nm以上100nm未満の細孔径を有する第1細孔と、100nm以上10μm以下の細孔径を有する第2細孔とを含む。多孔質層において、第2細孔の累積細孔容積である第2細孔容積は、第1細孔の累積細孔容積である第1細孔容積よりも大きい。多孔質層の面方向抵抗値は、2.2mΩ・cm以上500mΩ・cm以下である。集電体は、多孔質層の集電を行う。負極は、金属イオンを吸蔵及び放出可能な負極層を含んでいる。負極は、負極層の集電を行う負極集電体をさらに含んでいてもよい。本実施形態の空気電池は、正極と負極との間に配置されたセパレータをさらに備えていてもよい。
上記のような空気電池の一構成例の概略断面図を図1に示す。
図1に例示されている空気電池1は、電池ケース11と、負極12と、正極13と、電解質14とを備えている。電解質14は、負極12と正極13との間に配置されている。電池ケース11は、上面側及び底面側の両方が開口した筒状部11aと、筒状部11aの底面側の開口を塞ぐように設けられた底部11bと、筒状部11aの上面側の開口を塞ぐように設けられた蓋部11cとを備えている。なお、図示されていないが、電池ケース11は、内部に空気を取り込める構成を有している。例えば、蓋部11cに、空気を電池ケース11内に取り込むための空気取り込み孔が設けられていてもよい。負極12は、負極層121と、負極集電体122とで構成されている。負極層121は、負極集電体122に対して、電解質14側に配置されている。正極13は、多孔質層131と、正極集電体132とで構成されている。多孔質層131は、正極集電体132に対して、電解質14側に配置されている。多孔質層131は、炭素を含む多孔質体を含んでおり、正極層として機能する。図示されていないが、正極集電体132には、空気を多孔質層131に取り込むための空気取り込み孔が設けられている。例えば正極集電体132がメッシュ構造を有する場合、メッシュ構造の開口が空気取り込み孔として機能し得る。なお、負極12、電解質14及び正極13で構成されている積層体の側面には、枠体15が設けられている。また、図示されていないが、空気電池1は、電解質14に含まれたセパレータをさらに備えていてもよい。
以下、本実施形態の空気電池の一例として、リチウム空気電池が説明される。しかし、本実施形態の空気電池は、リチウム空気電池に限定されず、リチウム以外の金属を用いる空気電池であってもよい。
本実施形態の空気電池がリチウム空気電池である場合、電池反応は以下のとおりである。
放電反応(電池使用時)
負極:2Li → 2Li++2e- (1)
正極:2Li++2e-+O2 → Li22 (2)
充電反応(電池充電時)
負極:2Li++2e- → 2Li (3)
正極:Li22 → 2Li++2e-+O2 (4)
放電時には、式(1)及び(2)に示すように、負極から電子とリチウムイオンとを放出し、一方正極では電子を取り込むと同時に電池外部から取り込んだ酸素とリチウムイオンとが反応してリチウム酸化物を生成する。リチウム空気電池の場合は、このリチウム酸化物が放電生成物である。また充電時には、式(3)及び(4)に示すように、負極において電子と共にリチウムイオンを取り込み、正極において電子と共にリチウムイオンと酸素とを放出する。
次に、このような空気電池の各構成について詳細に説明する。
1.正極
前述のとおり、正極は、正極集電体と、炭素材料を含む多孔質層とを含む。前述のとおり、多孔質層は、空気中の酸素を正極活物質として当該酸素を酸化還元可能な正極層として機能する。以下に、多孔質層及び正極集電体についてそれぞれ説明する。
(1)多孔質層
多孔質層は、空気中の酸素を正極活物質として該酸素を酸化還元可能とする材料を含んでいる。そのような材料として、本実施形態における多孔質層は、炭素を含む導電性多孔質体を含んでいる。このような多孔質体として用いられる炭素材料は、高い電子伝導性を有していてもよい。具体的には、アセチレンブラック及びケッチェンブラック等の、一般的に導電助剤として用いられている炭素材料であってもよい。本実施形態の多孔質層が有している前述の特徴的な細孔構造(第1細孔容積及び第2細孔容積)と、面方向抵抗値の範囲とは、例えば、炭素材料の選択によって実現し得る。
炭素材料は、例えば比表面積及びDBP(ジブチルフタレート)吸油量等を考慮して選択してもよい。炭素材料の比表面積は、例えば30m2/g以上2500m2/g以下とでき、800m2/g以上2000m2/g以下であってもよく、1200m2/g以上1600m2/g以下であってもよい。比表面積の点から、ケッチェンブラックなどの導電性カーボンブラックを用いてもよい。なお、比表面積が異なる複数の炭素材料を混合して用いてもよい。例えば、比表面積が30m2/g以上500m2/g以下の範囲内である炭素材料と、比表面積が500m2/g以上2500m2/g以下の範囲内である炭素材料とを混合してよい。一例として、ケッチェンブラックとアセチレンブラックとの混合物が使用され得る。また、炭素材料のDBP吸油量は100mL/100g以上600mL/100g以下とすることができ、300mL/100g以上500mL/100g以下であってもよい。炭素材料の比表面積及びDBP吸油量を上記範囲内とすることにより、前述の特徴的な細孔構造(第1細孔容積及び第2細孔容積)を有し、かつ2.2mΩ・cm以上500mΩ・cm以下の面方向抵抗値を有する多孔質層を形成しやすくなる。なお、ここでの比表面積は、BET法により測定される値である。また、DBP吸油量は、JIS規格のJIS K 6217−4によって測定することができる。
前述のとおり、多孔質層は第1細孔と第2細孔とを含み、多孔質層において、第2細孔容積は第1細孔容積よりも大きい。これにより、多孔質層における放電生成物の貯蔵空間を十分に確保し、さらに酸素及びイオンの拡散を促進することができる。また、多孔質層の面方向抵抗値は、2.2mΩ・cm以上500mΩ・cm以下である。多孔質層が上記の細孔容積の条件を満たす場合、多孔質層における酸素の拡散が促進されるので、多孔質層の厚み方向の反応が促進される。その結果、放電反応による放電生成物の析出により多孔質層の面方向の電子伝導速度が遅くなることがある。しかし、本実施形態では多孔質層の面方向抵抗値が2.2mΩ・cm以上500mΩ・cm以下と低いので、放電生成物が多く析出した場合でも、多孔質層の面方向における電子伝動が確保され、その結果、放電容量及びエネルギー密度を向上させることができる。多孔質層の面方向抵抗値は、479mΩ・cm以下であってもよいし、250mΩ・cm以下であってもよい。なお、多孔質層の面方向抵抗値の下限値2.2mΩ・cmは、炭素材料として使用され得る粉体材料のみの抵抗値を考慮して決定された値である。
多孔質層の厚み方向抵抗値は、特には限定されないが、例えば、3.0mΩ・cm2以上10.0mΩ・cm2以下であってもよい。
多孔質層は、上記の多孔質体を具備していればよいが、上記の多孔質体を固定化するバインダをさらに含有してもよい。バインダとしては、空気電池の正極層のバインダとして公知の材料を用いることができ、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の高分子材料を挙げることができる。多孔質層におけるバインダの含有量は、特に限定されるものではないが、例えば1質量%以上40質量%以下の範囲内であってもよい。
多孔質層の厚さは、空気電池の用途等により異なるものであるため特に限定されるものではないが、例えば2μm以上500μm以下の範囲内とすることができ、5μm以上300μm以下の範囲内としてもよい。
多孔質層の形成方法として、例えば、次のような方法を用いることができる。例えば、多孔質層を構成する多孔質体の原料、バインダ及び昇華性粉末を溶媒中に分散した塗料を成膜する。この膜を熱処理して昇華性粉末及び溶媒を除去する。この結果、所望の孔径を有する細孔を具備する多孔質膜が形成される。その多孔質膜を以下に説明する正極集電体上に例えば圧着プレスする方法等を用いることによって、多孔質層を製造し得る。昇華性粉末は、造孔剤として機能する。したがって、上記のように昇華性粉末が用いられて作製された多孔質膜は、所望の細孔構造を実現することができる。
(2)正極集電体
正極集電体は、多孔質層の集電を行うものである。したがって、正極集電体の材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではなく、空気電池の正極集電体として公知の材料を用いることができる。正極集電体の材料の例として、例えばステンレス、ニッケル、アルミニウム、鉄、チタン及び炭素等を挙げることができる。正極集電体の形状としては、例えば箔状、板状及びメッシュ(グリッド)状等を挙げることができる。これらの中でも、本実施形態においては、正極集電体の形状がメッシュ状であってよい。メッシュ状の正極集電体は、集電効率に優れているからである。正極集電体の厚さは、例えば10μm以上1000μm以下の範囲内とすることができ、20μm以上400μm以下の範囲内としてもよい。後述する電池ケースが正極集電体の機能を兼ね備えていてもよい。
正極集電体は、突起部を含む構成を有していてもよい。このような正極集電体は、平板状のベース部と、ベース部の少なくとも第1主面に配置された複数の突起部とを含んでいてよい。なお、ベース部と突起部とは、同じ材料によって形成されていてもよいし、互いに異なる材料によって形成されていてもよい。ベース部は、例えば箔状及び板状等であってもよいし、メッシュ(グリッド)構造を有していてもよい。これらの中でも、正極集電体のベース部はメッシュ構造を有していてよい。ベース部がメッシュ構造を有する場合、正極集電体は、優れた集電効率と優れた酸素供給能力とを実現できる。正極集電体のベース部の厚さは、例えば10μm以上1000μm以下の範囲内とすることができ、20μm以上400μm以下の範囲内としてもよい。なお、突起部とは、平板状のベース部の第1主面から、多孔質層が配置される側に突き出た部分であり、例えば柱状の形状を有する。このような突起部を含む正極集電体が用いられる場合、突起部が多孔質層に突き刺さるように、多孔質層が正極集電体上に配置される。このような突起部を含む正極集電体は、例えば複数の多孔質膜を積層させて多孔質層を形成する場合に、突起部によって複数の多孔質膜を固定し得る。
突起部は、多孔質層の厚みに対して10%以上1000%以下の高さを有していてよい。なお、突起部の高さとは、ベース部の第1主面を含む平面から、当該平面に対して垂直な方向における突起部の長さのことである。突起部の高さは、例えば多孔質層の厚みに対して30%以上であってもよく、50%以上であってもよい。また、突起部の高さは、例えば多孔質層の厚みに対して500%以下であってもよく、200%以下であってもよい。
突起部の高さは、多孔質層の厚みとほぼ同じであってもよい。突起部の高さが多孔質層の厚みとほぼ同じ、又は、多孔質層の厚みを超える場合、例えば正極集電体と多孔質層との一体化を圧着プレスで行っても、多孔質層の内部の細孔が潰れずに多く保持され得る。その理由は、圧着プレス時の圧力の多くを突起部が受けるため、多孔質層に大きな圧力がかかりにくいからである。これにより、集電を確実に行いながら、多孔質層の十分な細孔が保持されるので、放電容量及び重量エネルギー密度のさらなる向上が実現され得る。
図2は、突起部を含む正極集電体を用いた正極、及び、その正極を備えた空気電池の一例を示す。なお、図2に示された空気電池2では、正極集電体の構成以外は図1に示された空気電池1と同じである。したがって、空気電池2については、正極集電体についてのみ説明する。空気電池2の正極13の正極集電体132は、平板状のベース部132aと、ベース部132aの第1主面17に配置された、複数の柱状の突起部132bとで構成されている。突起部132bは、多孔質層131の内部で多孔質層131と接している。換言すると、正極13は、正極集電体132の突起部132bが多孔質層131に突き刺さった構造を有しているといえる。図示されていないが、正極集電体132のベース部132aには、空気を多孔質層131に取り込むための空気取り込み孔が設けられている。例えばベース部132aがメッシュ構造を有する場合、メッシュ構造の開口が空気取り込み孔として機能し得る。
正極集電体は、ベース部の両主面に多孔質層が配置されていてもよい。すなわち、ベース部の第1主面と反対側の第2主面上にも、正極層として機能する多孔質層がさらに設けられていてもよい。ベース部の両主面上に多孔質層が設けられる場合は、ベース部の第2主面にも複数の突起部が設けられていてもよい。なお、第2主面に設けられる突起部も、上記の第1主面に設けられる突起部と同様に、第2主面上に配置されている多孔質層の内部でその多孔質層と接してもよい。なお、第2主面に設けられる突起部も、前述の第1主面に設けられる突起部と同様に定義され得る。
正極集電体のベース部がメッシュ構造を有する場合、本実施形態の空気電池は、メッシュ状のベース部により集電された電荷を集電する別の正極集電体(例えば箔状の集電体)をさらに有していてもよい。本実施形態においては、後述する電池ケースが、その別の正極集電体の機能を兼ね備えていてもよい。
このような突起を有する正極集電体の製造方法は、特には限定されず、例えばフォトエッチング法等によって作製し得る。
2.負極
前述のとおり、負極は、負極層を含んでおり、さらに負極集電体を含んでいてもよい。以下に、負極層及び負極集電体についてそれぞれ説明する。
(1)負極層
本実施形態における負極層は、少なくとも、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質を含有する。このような負極活物質としては、リチウム元素を含有する物質であれば特に限定されるものではないが、例えば金属単体(金属リチウム)、リチウム元素を含有する合金、リチウム元素を含有する酸化物及びリチウム元素を含有する窒化物等を挙げることができる。リチウム元素を有する合金としては、例えばリチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金及びリチウムケイ素合金等を挙げることができる。また、リチウム元素を含有する金属酸化物としては、例えばリチウムチタン酸化物等を挙げることができる。また、リチウム元素を含有する金属窒化物としては、例えばリチウムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物及びリチウムマンガン窒化物等を挙げることができる。
負極層は、負極活物質のみを含有するものであってもよいし、負極活物質の他にバインダを含有するものであってもよい。例えば、負極活物質が箔状である場合は、負極活物質のみを含有する負極層とすることができる。一方、負極活物質が粉末状である場合は、負極活物質及びバインダを有する負極層とすることができる。バインダとしては、リチウム空気電池の負極層のバインダとして公知の材料を用いることができ、例えばPVdF及びPTFE等を挙げることができる。負極層におけるバインダの含有量は、特に限定されるものではないが、例えば1質量%以上40質量%以下の範囲内であってもよい。また、粉末状の負極活物質を用いて負極層を形成する方法としては、上記の多孔質層の形成方法と同様に、ドクターブレード法又は圧着プレスによる成型方法等を用いることができる。
(2)負極集電体
負極集電体は、負極層の集電を行うものである。負極集電体の材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではなく、空気電池の負極集電体として公知の材料を用いることができる。負極集電体の材料の例として、例えば銅、ステンレス、ニッケル及び炭素等を挙げることができる。負極集電体の形状としては、例えば箔状、板状及びメッシュ(グリッド)状等を挙げることができる。本実施形態においては、後述する電池ケースが負極集電体の機能を兼ね備えていてもよい。
3.セパレータ
本実施形態のリチウム空気電池は、正極(多孔質層)と負極(負極層)との間に配置されたセパレータを備えてもよい。正極と負極との間にセパレータが配置されることにより、安全性の高い電池を得ることができる。セパレータとしては、多孔質層と負極層とを電気的に分離する機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)等の多孔膜、PE及びPP等の樹脂不織布、ガラス繊維不織布、並びに、紙製の不織布等の多孔質絶縁材料等を挙げることができる。
セパレータは、多孔度を30%以上90%以下の範囲にしてもよい。多孔度が30%未満の場合、セパレータに電解質を保持させる場合に、セパレータが電解質を十分に保持することが困難になるおそれがある。一方、多孔度が90%を超えると、十分なセパレータ強度を得られなくなるおそれがあるからである。セパレータの多孔度は、35%以上60%以下の範囲であってもよい。
セパレータは、電解質内に配置されてもよい。正極集電体に複数の突起部を設ける場合には、複数の突起部の少なくとも一部が、セパレータに接していてもよい。
4.電解質
電解質は、正極(多孔質層)と負極(負極層)との間に配置され、リチウムイオンの伝導を行う。したがって、電解質は、リチウムイオン伝導性を有するもの(リチウムイオン伝導体)であればその形態は特には限定されず、リチウムの塩を含む有機溶媒系に代表される溶液系、及び、リチウムの塩を含む高分子固体電解質の系に代表される固体膜系のいずれの形態でもよい。
電解質が溶液系である場合、非水溶媒にリチウム塩を溶解することにより調製される非水系電解液を電解質として用いることができる。
非水系電解液に含まれるリチウム塩としては、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化硼酸リチウム(LiBF4)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)及びビストリフルオロメタンスルホニルアミドリチウム(LiN(CF3SO22)等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、空気電池の非水系電解液の電解質として公知のリチウム塩を用いることができる。
非水溶媒に対する電解質の溶解量は、例えば0.5モル/L以上2.5モル/L以下である。また、溶液系の電解質(非水系電解液)を用いる場合、前述のとおり、この非水系電解液をセパレータに含浸させて保持することにより、電解質が形成され得る。
非水溶媒としては、空気電池の非水系電解液の非水溶媒として公知の非水溶媒を用いることができる。この中でも特に、テトラエチレングリコールジメチルエーテルなどの鎖状エーテルを溶媒として用いてもよい。鎖状エーテルは、カーボネート系溶媒と比較して正極内での酸素の酸化還元反応以外の副反応が起こりにくいためである。
5.電池ケース
本実施形態の空気電池の電池ケースは、前述した正極、負極及び電解質を収納することができればよいため、特には限定されない。したがって、本実施形態の空気電池の電池ケースは、図1に示されている電池ケース11には限定されず、コイン型、平板型、円筒型及びラミネート型等の様々な電池ケースを用いることができる。また、電池ケースは、大気開放型の電池ケースであってもよいが、密閉型の電池ケースであってもよい。なお、大気開放型の電池ケースとは、大気が出入りできる通風口を有しており、大気が正極と接触可能なケースである。一方、密閉型電池ケースの場合は、密閉型電池ケースに、気体(空気)の供給管及び排出管を設けてもよい。この場合、供給及び排出される気体は、乾燥気体であってもよい。上記気体は酸素濃度が高くてもよく、純酸素(99.999%)であってもよい。また、放電時には酸素濃度を高くし、充電時には酸素濃度を低くしてもよい。
なお、上記のとおり、本実施形態では、空気電池がリチウム空気電池である場合を例に挙げて詳細に説明したが、本開示の空気電池は、ナトリウム空気電池及びマグネシウム空気電池等の他の金属の空気電池にも適用できる。
以下、実施例により本開示をさらに詳細に説明する。なお、サンプルとして作製された以下の正極及び空気電池は一例であり、本開示は以下の正極及び空気電池に限定されない。
(サンプル1)
炭素を含む多孔質体を形成する炭素材料として、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製「ケッチェンブラックEC600JD」)と、デンカ株式会社製「アセチレンブラックHS100−L」とを用いた。これらの炭素材料の粉末と、界面活性剤溶液である日本乳化剤株式会社製「ニューコール 1308−FA(90)」と、造孔剤の機能を担う昇華性粉末としての日本触媒株式会社製「フマル酸」とを混合して攪拌し、混合物を得た。なお、フマル酸は、あらかじめジェットミルにて粉末状に粉砕されて、昇華性粉末として用いられた。ケッチェンブラックEC600JDと、アセチレンブラックHS100−Lとの質量比は、この順に4:3であった。得られた混合物を冷却した後、この混合物にバインダとして旭硝子株式会社製「FluonR PTFE AD AD911E」を添加して、再び攪拌した。なお、バインダは、炭素材料(ケッチェンブラックEC600JDとアセチレンブラックHS100−Lとの合計)とバインダとの質量比が7:3となるように添加された。得られた混合物をロールプレスにより圧延し、シートを作製した。得られたシートを焼成炉にて320℃で焼成し、水分、界面活性剤及び昇華性粉末を除去した。シートを再度ロールプレスにより圧延し、厚み200μmに調整して多孔質層とした。作製された多孔質層について、面方向抵抗値、厚み方向抵抗値及び細孔径分布が後述の方法によって測定された。また、得られた細孔径分布から、第1細孔容積及び第2細孔容積が求められた。
正極集電体として、メッシュ構造を有するベース部と、ベース部の第1主面に配置された複数の突起部とで構成された、SUS316からなる構造体を用いた。ベース部の外縁形状は円形であり、厚さは100μmであった。突起部は、ベース部の第1主面に対して垂直な方向に延びていた。突起部は、底面が直径200μmの円であって、かつ高さが200μmの円柱であった。複数の突起部は、突起部間距離1200μmで配置されていた。
上記の多孔質層を、上記の正極集電体のベース部の第1主面に、正極集電体の突起部が多孔質層に突き刺さった状態となるように貼付した。このようにして得られたものを、正極として用いた。
非水電解液としては、非水溶媒であるテトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME、キシダ化学社製)に、電解質としてLiTFSA(リチウムビストリフルオロメタンスルホニルアミド、キシダ化学社製)を溶解させた溶液を用いた。この非水電解液は、TEGDMEにLiTFSAを1mol/Lの濃度となるように添加し、これを露点−50度以下のドライエア雰囲気下で一晩攪拌して混合及び溶解させることによって得られた。セパレータとしては、ガラス繊維セパレータを用いた。金属リチウム(本荘ケミカル社製)を負極層とし、この負極層にSUS304(株式会社ニラコ製)を負極集電体として貼付したものを負極として用いた。これら正極、セパレータ、非水電解液及び負極が図1に示されているように配置されて、空気電池が作製された。作製された空気電池について、放電試験が行われた。
表1に、多孔質層の面方向抵抗値、厚み方向抵抗値、第1細孔容積及び第2細孔容積と、空気電池の放電試験の結果(放電容量、電圧及び体積エネルギー密度)が示されている。
(サンプル2)
ケッチェンブラックEC600JDとアセチレンブラックHS100−Lとの質量比が、この順で6:1となるように変更された点以外は、サンプル1と同様の方法で多孔質層が作製された。このように作製された多孔質層を用いた点以外は、サンプル1と同様の方法で正極及び空気電池が作製された。表1に、多孔質層の面方向抵抗値、厚み方向抵抗値、第1細孔容積及び第2細孔容積と、空気電池の放電試験の結果(放電容量、電圧及び体積エネルギー密度)が示されている。
(サンプル3)
ケッチェンブラックEC600JDとアセチレンブラックHS100−Lとの質量比が、この順で1:6となるように変更された点以外は、サンプル1と同様の方法で多孔質層が作製された。このように作製された多孔質層を用いた点以外は、サンプル1と同様の方法で正極及び空気電池が作製された。表1に、多孔質層の面方向抵抗値、厚み方向抵抗値、第1細孔容積及び第2細孔容積と、空気電池の放電試験の結果(放電容量、電圧及び体積エネルギー密度)が示されている。
(サンプル4)
炭素材料としてケッチェンブラックEC600JDのみを用いた点以外は、サンプル1と同様の方法で多孔質層を作製した。このように作製された多孔質層を用いた点以外は、サンプル1と同様の方法で正極及び空気電池が作製された。表1に、多孔質層の面方向抵抗値、厚み方向抵抗値、第1細孔容積及び第2細孔容積と、空気電池の放電試験の結果(放電容量、電圧及び体積エネルギー密度)が示されている。
(サンプル5)
炭素材料としてアセチレンブラックHS100−Lのみを用いた点以外は、サンプル1と同様の方法で多孔質層を作製した。このように作製された多孔質層を用いた点以外は、サンプル1と同様の方法で正極及び空気電池が作製された。表1に、多孔質層の面方向抵抗値、厚み方向抵抗値、第1細孔容積及び第2細孔容積と、空気電池の放電試験の結果(放電容量、電圧及び体積エネルギー密度)が示されている。
上記サンプル1から5に対して行った、多孔質層の面方向抵抗値及び厚み方向抵抗値の測定方法、多孔質層の細孔径分布、第1細孔容積及び第2細孔容積の測定方法、並びに、空気電池の放電試験の試験方法について、以下に具体的に説明する。
(多孔質層の面方向抵抗値)
多孔質層の面方向抵抗値は、株式会社三菱ケミカルアナリテック製の低抵抗率計を用いて測定された。
(多孔質層の厚み方向抵抗値)
多孔質層の厚み方向抵抗値は、多孔質層の厚み方向に5kgf/cm2の圧力をかけた状態で、鶴賀電機株式会社製の低抵抗計(MODEL3566)を用いて測定された。
(多孔質層の細孔径分布、第1細孔容積及び第2細孔容積)
水銀圧入法により多孔質層の細孔径分布を測定するとともに第1細孔容積及び第2細孔容積を求めた。
(放電試験)
空気電池を酸素雰囲気下で20分以上保持した後、電流密度0.1mA/cm2、放電カット電圧を2.0Vとし、放電試験を行った。放電容量は、多孔質層の単位面積あたりの容量で示されている。
(体積エネルギー密度)
放電試験の開始から終了までに測定した電圧の平均値を平均放電電圧とする。放電試験の終了後、厚みゲージを用いて、正極の厚みと面積とを測定した。上記測定した正極の厚みに面積を掛け算した値を、正極の見かけの体積として算出する。このとき、上述した放電試験にて得た放電容量を、上記した正極の見かけの体積で除算した値を、正極の見かけの体積当たりの放電容量(mAh/cm3)として算出した。平均放電電圧(V)と、正極の見かけの体積当たりの放電容量(mAh/cm3)とを掛け算することで、体積エネルギー密度(Wh/L)が算出された。
Figure 2019160508
表1に示された結果から分るように、第2細孔容積の方が第1細孔容積よりも大きく、かつ面方向抵抗値が500mΩ・cm以下を満たす多孔質層を備えたサンプル1から3の空気電池は、高い放電容量及び体積エネルギー密度を有していた。一方、第2細孔容積の方が第1細孔容積よりも小さい多孔質層を備えたサンプル4の空気電池では、放電容量及び体積エネルギー密度が低かった。また、サンプル5の空気電池は、第2細孔容積の方が第1細孔容積よりも大きく、かつ第1細孔容積に対する第2細孔容積の比がサンプル2と同程度である多孔質層を備えているにも関わらず、多孔質層の面方向抵抗値が2699mΩ・cmと高かったので、放電容量及び体積エネルギー密度が低かった。これらの結果から、空気電池において高い放電容量を維持しつつ体積エネルギー密度を高めるためには、多孔質層の第2細孔容積が第1細孔容積を上回るだけでなく、多孔質層の面方向抵抗値が500mΩ・cm以下を満たすことが必要であることが判明した。なお、面方向抵抗値が500mΩ・cmである多孔質層によっても、20mAhを上回る高い放電容量と950Wh/L程度の高い体積エネルギー密度とが得られることが推察される。
サンプル1から3の空気電池を比較すると、面方向抵抗値がより低い多孔質層を備えている空気電池の方が、より高い体積エネルギー密度を有していた。多孔質層の面方向抵抗値が250mΩ・cm以下を満たすサンプル1及び2の空気電池は、体積エネルギー密度が1000Wh/Lを超えており、非常に高い体積エネルギー密度を実現できた。また、サンプル1と2とを比較すると、厚み方向抵抗値はサンプル2の多孔質層の方が高いにもかかわらず、面方向抵抗値がより低い多孔質層を備えたサンプル1の方が、高い体積エネルギー密度を示した。すなわち、多孔質層の面方向抵抗値をより低くすることで、空気電池の体積エネルギー密度をより高くすることができるという結果が得られた。
本開示の空気電池は、高い放電容量と高い体積エネルギー密度とを有している。したがって、本開示の空気電池は、高容量電池として有用である。
1 空気電池
11 電池ケース
11a 筒状部
11b 底部
11c 蓋部
12 負極
121 負極層
122 負極集電体
13 正極
131 多孔質層
132 正極集電体
132a ベース部
132b 突起部
14 電解質
15 枠体

Claims (8)

  1. 空気電池の正極であって、集電体と、炭素材料を含む多孔質層とを具備し、
    前記多孔質層は、4nm以上100nm未満の細孔径を有する第1細孔と、100nm以上10μm以下の細孔径を有する第2細孔とを含み、
    前記多孔質層において、前記第2細孔の累積細孔容積である第2細孔容積は、前記第1細孔の累積細孔容積である第1細孔容積よりも大きく、
    前記多孔質層の面方向抵抗値が、2.2mΩ・cm以上500mΩ・cm以下である、
    空気電池用正極。
  2. 前記多孔質層の面方向抵抗値が、250mΩ・cm以下である、
    請求項1に記載の空気電池用正極。
  3. 前記集電体は、平板状のベース部と、前記ベース部の少なくとも第1主面に配置された複数の突起部と、を含み、
    前記多孔質層は、前記ベース部の前記第1主面上に配置されており、
    前記突起部は、前記多孔質層の内部で前記多孔質層と接している、
    請求項1又は2に記載の空気電池用正極。
  4. 前記第1細孔容積が、0.41cm3/g以上である、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の空気電池用正極。
  5. 前記第1細孔容積が、0.78cm3/g以上である、
    請求項4に記載の空気電池用正極。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気電池用正極と、
    金属イオンを吸蔵及び放出可能な負極と、
    前記正極と前記負極との間を満たす電解質と、
    を備えた空気電池。
  7. 前記正極と前記負極との間に配置されるセパレータをさらに備え、
    前記正極は、請求項3に記載の空気電池用正極であり、
    前記セパレータは、前記電解質内に配置されており、
    前記複数の突起部の少なくとも一部は、前記セパレータに接している、
    請求項6に記載の空気電池。
  8. 前記電解質は非水系電解液である、
    請求項6又は7に記載の空気電池。
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