JP2020077489A - 空気電池用正極、その製造方法、および空気電池 - Google Patents

空気電池用正極、その製造方法、および空気電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高い放電容量および高い重量エネルギー密度を実現できる空気電池用正極、その製造方法、および空気電池を提供すること。【解決手段】空気電池用正極13は、正極集電体13bと、空隙率が10%以上異なる2つ以上の領域41、42を含む多孔質層13aと、を備える。【選択図】図2

Description

本開示は、空気電池用正極、その製造方法、および空気電池に関する。
空気電池は、正極活物質として空気中の酸素を用い、負極活物質として金属イオンの吸蔵および放出が可能な金属または化合物を用いる電池である。空気電池は、エネルギー密度(重量に対する放電可能な電力量)が高く、小型化および軽量化が容易であるといった利点を有する。現在最もエネルギー密度が高いと考えられている電池は金属イオン電池であるが、空気電池は、その金属イオン電池を超えるエネルギー密度を有する電池として注目されている。
空気電池は、正極と、負極と、正極と負極との間に配置された電解質層とを備えている。正極は、例えば、多孔質層と、集電体とを備えている。多孔質層には、一般に炭素材料が用いられる。集電体には、例えば、金属メッシュおよびエキスパンドメタル等が用いられる。
例えば、特許文献1には、多孔質層としての多孔質炭素と、箔状、板状、またはメッシュ状等の正極集電体とを備えた空気電池用正極が開示されている。
特開2014−017230号公報
しかしながら、特許文献1の空気電池用正極には、放電容量および重量エネルギー密度の点で改善の余地がある。
本開示の一態様の目的は、高い放電容量および高い重量エネルギー密度を実現できる空気電池用正極、その製造方法、および空気電池を提供することである。
本開示の一態様に係る空気電池用正極は、集電体と、空隙率が異なる2つ以上の領域を含む多孔質層と、を備える。
本開示の一態様に係る空気電池は、本開示の一態様に係る空気電池用正極と、金属イオンの吸蔵および放出が可能な負極と、前記空気電池用正極と前記負極との間に配置された電解質層と、を備える。
本開示の一態様に係る空気電池用正極の製造方法は、炭素を含む導電性粒子、造孔剤および高分子樹脂を、界面活性剤および水を加えて、混練および分散を行う第1工程と、前記第1工程で得られた混練物を圧延してシート状に成形する第2工程と、前記第2工程で得られたシート状成形品を焼成するとともに、前記造孔剤を昇華させて空孔を形成する第3工程と、前記第3工程で得られた焼成品を再圧延して厚みを調整する第4工程と、前記第4工程で得られた多孔質層に集電体の突起部を突き刺し、前記多孔質層において前記突起部の位置に対応する領域の空隙率が他の領域の空隙率よりも低くなるようにした状態で、前記多孔質層と前記集電体とを熱圧着する第5工程と、を含む。
本開示によれば、高い放電容量および高い重量エネルギー密度を実現できる空気電池用正極、その製造方法、および空気電池を提供できる。
本開示の実施の形態に係る空気電池の構成の一例を示す概略断面図 本開示の実施の形態に係る正極の構成の一例を示す概略断面図 本開示の実施の形態に係る正極の製造方法の流れの一例を示すフローチャート 本開示の実施例および比較例に係る測定結果を示す図
<本開示の基礎となった知見>
特許文献1に開示されている、多孔質層および正極集電体を備えた正極については、上述したとおり、放電容量および重量エネルギー密度が十分ではなく、改善の余地がある。特許文献1には、上記正極の形成方法として、多孔質層およびバインダ等からなる組成物を溶媒中に分散させた塗料を正極集電体上に塗布する方法(塗布方法)と、上記組成物を正極集電体に圧着プレスする方法(圧着方法)とが開示されている。
本発明者らは、これらの方法によって形成される正極には、以下のような問題が生じることを新たに見出した。
特許文献1の塗布方法で形成された多孔質層では、その内部において空隙率が均一となる。例えば、メッシュ状の集電体に塗布を行った場合、多孔質層の内部にメッシュ状の集電体の一部が埋め込まれた状態となるが、多孔質層の空隙率は、メッシュ近傍の領域およびメッシュ開口部の領域でほぼ同じになる。
多孔質層は、酸素の拡散、金属酸化物の析出空間、電子伝導性といった3つの役割を担っている。しかし、多孔質層における空隙率が均一である場合、多孔質層の空隙をすべて有効に利用することが難しくなる。
例えば、メッシュ開口部から取り込まれた酸素は、空隙を通ってメッシュ近傍まで拡散していくが、その過程で、多孔質層の電解液中の金属イオンと反応し、金属酸化物として析出する。析出した金属酸化物は、酸素の拡散を阻害する。特に、メッシュ近傍における酸素の拡散が不十分となり、放電容量が低下する。一方、メッシュ近傍に酸素を拡散させるために、空隙率を上げていくと、特にメッシュ近傍の電子伝導性が低下し、放電容量が低下する。
また、塗料に含まれる溶媒の乾燥に起因する組成物の変形が大きく、正極集電体と組成物(多孔質炭素)との十分な接着が得にくいという問題が生じる。正極集電体と多孔質炭素との接着が不十分である場合、集電が不安定化する。よって、放電電圧が低下し、十分な重量エネルギー密度を得ることが困難となる。
一方、特許文献1の圧着方法には、正極集電体上に上記組成物(多孔質炭素)を圧着する際に、圧力によって多孔質炭素の細孔の多くが消滅してしまうという問題が生じる。多孔質炭素の細孔が消滅すると、放電容量が低下し、さらに集電も不安定化する。よって、放電電圧が低下し、重量エネルギー密度が低下する。
そこで、本発明者らは、高い放電容量および高い重量エネルギー密度の両方を実現できる空気電池用正極、その製造方法、および空気電池について鋭意研究を行った。その結果、本発明者らは、以下に説明する空気電池用正極、その製造方法、および空気電池を想到するに至った。
<実施の形態>
以下、本開示の実施の形態に係る空気電池用正極、その製造方法、および空気電池について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、下記説明は一例であり、本開示は、下記説明に限定されない。また、各図において共通する構成要素については同一の符号を付し、それらの説明は適宜省略する。
本実施の形態の空気電池は、空気電池用正極(以下、単に「正極」という)と、金属イオンの吸蔵および放出を可能とする負極と、正極と負極との間に配置された電解質層と、を備えている。
正極は、正極活物質として空気中の酸素を用い、当該酸素を酸化還元可能な多孔質層を含む。正極は、さらに、多孔質層の集電を行う正極集電体を含んでもよい。
負極は、金属イオンの吸蔵および放出を可能とする負極層を含む。負極は、さらに、負極層の集電を行う負極集電体を含んでもよい。
なお、電解質層は、正極と負極との間に配置されたセパレータを含んでもよい。
本実施の形態の空気電池の具体的な構成について、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態の空気電池1の構成例を示す概略断面図である。
図1に示すように、空気電池1は、電池ケース11と、負極12と、正極13と、電解質層14とを備える。
電池ケース11は、筒状部11a、底部11b、および蓋部11cを備える。
筒状部11aは、上面(図中において最も上側の端面)側および底面(図中において最も下側の端面)側の両方が開口した筒状の部材である。底部11bは、筒状部11aの底面側の開口部分を塞ぐように設けられている。蓋部11cは、筒状部11aの上面側の開口部分を塞ぐように設けられている。
なお、電池ケース11は、その内部に空気を取り込める構成を有している。例えば、蓋部11cに、空気を電池ケース11内に取り込むための空気取り込み孔が設けられていてもよい。
負極12は、負極層12aと、負極集電体12bとを含む。負極層12aは、負極集電体12bよりも、電解質層14側に配置されている。
正極13は、多孔質層13aと、正極集電体13bとを含む。多孔質層13aは、正極集電体13bよりも、電解質層14側に配置されている。正極集電体13bには、空気を多孔質層13aに取り込むための空気取り込み孔(以下、開口部ともいう)15が設けられている。
なお、図示は省略しているが、負極12、電解質層14、および正極13で構成された積層体の側面には、枠体が設けられている。また、図示は省略しているが、空気電池1は、電解質層14に含まれたセパレータをさらに備えていてもよい。
<リチウム空気電池>
図1に示した空気電池1がリチウム空気電池である場合について説明する。
空気電池1がリチウム空気電池である場合の電池反応について説明する。
負極12および正極13における放電反応(電池使用時)を、以下の式(1)、(2)に示す。
負極:2Li→2Li+2e・・・(1)
正極:2Li+2e+O→Li・・・(2)
負極12および正極13における充電反応(電池充電時)を、以下の式(3)、(4)に示す。
負極:2Li+2e→2Li・・・(3)
正極:Li→2Li+2e+O・・・(4)
放電時では、式(1)に示すように、負極12から電子およびリチウムイオンが放出される。その一方で、式(2)に示すように、正極13では、電子が取り込まれると同時に、電池外部から取り込まれた酸素とリチウムイオンとが反応して、リチウム酸化物が生成される。リチウム空気電池では、リチウム酸化物が放電生成物である。
充電時では、式(3)に示すように、負極12において電子とともにリチウムイオンが取り込まれる。その一方で、式(4)に示すように、正極13から電子とともにリチウムイオンおよび酸素が放出される。
なお、本実施の形態では、空気電池1がリチウム空気電池である場合を例に挙げて説明するが、これに限定されない。例えば、空気電池1は、リチウム以外の金属を用いた空気電池(例えば、ナトリウム空気電池、または、マグネシウム空気電池等)であってもよい。
<構成の詳細>
上述した空気電池1の各構成要素の詳細について説明する。
[正極13]
正極13について説明する。図1に示すように、正極13は、多孔質層13aと、正極集電体13b(集電体の一例)とを含む。以下、図2を用いて、多孔質層13aおよび正極集電体13bについてそれぞれ説明する。
(1)多孔質層13a
多孔質層13aは、正極集電体13bのベース部31の第1主面上に配置されている。
多孔質層13aは、正極活物質として空気中の酸素を用い、当該酸素を酸化還元できる材料を含んでいる。この材料としては、炭素を含む多孔質体が挙げられる。
この多孔質体に含まれる炭素は、高い電子伝導性を有する導電性材料でもよい。このような炭素としては、一般的に導電助剤として用いられている炭素材料(例えば、アセチレンブラックまたはケッチェンブラックなど)が挙げられる。また、炭素材料としては、比表面積、一次粒子のサイズの点から、ケッチェンブラックなどの導電性カーボンブラックを用いてもよい。
炭素材料の比表面積は、例えば800〜2000m/gの範囲内、さらに具体的には、1200〜1600m/gの範囲内であればよい。炭素材料の比表面積を上記範囲内とすることにより、特徴的な細孔構造を有する多孔質層13aを形成しやすくなる。なお、ここでの比表面積は、BET法により測定される値である。
多孔質層13aは、上述した多孔質体に加えて、その多孔質体を固定化するバインダをさらに含有してもよい。バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、または、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の公知の材料を用いることができる。多孔質層13aにおけるバインダの含有量は、例えば1質量%〜40質量%の範囲内であればよいが、これに限定されない。
多孔質層13aには、例えば4nm〜10μmの孔径を有する細孔21が複数形成されている。
多孔質層13aは、その表面で、正極集電体13bのベース部31と接している。ベース部31は、平板状である。また、多孔質層13aは、その内部で、正極集電体13bの突起部32と接している。
また、多孔質層13aは、空隙率が10%以上異なる2つ以上の領域を備える。図2の例では、領域41、42がこれに相当する。領域41は、正極集電体13bの空気取り込み孔15の位置に対応する領域である。領域42は、正極集電体13bの突起部32の位置に対応する領域である。
また、本実施の形態において、空隙率とは、多孔質層13a内の所定領域における細孔21の割合をいう。よって、所定領域において、細孔21の密度が高いと、空隙率は高くなり、細孔21の密度が低いと、空隙率は低くなる。
領域42の空隙率は、領域41の空隙率よりも10%以上低い。これは、多孔質層13aと正極集電体13bとが熱圧着される際に、突起部32が多孔質層13aに突き刺さることで多孔質層13a内の細孔21を押し潰され、細孔21の密度が高くなることにより生じる。
領域41の空隙率が領域42の空隙率よりも10%以上高いため、空気取り込み孔15から取り込まれた酸素は、領域41を通って領域42へ拡散していく。この過程において、酸素は、多孔質層13aの電解液中の金属イオンと反応し、金属酸化物として析出する。しかし、空気取り込み孔15は空隙率の高い領域41の位置に対応しているため、析出した金属酸化物が酸素の拡散を阻害しない。よって、酸素は、空隙率の低い領域42にも十分に拡散する。したがって、多孔質層13aにおいて酸素を均一に反応させることができ、放電容量を向上させることができる。
また、空隙率の低い領域42は、細孔21が少なく、電子伝導性が高いので、正極集電体13bの突起部32付近の集電性が良くなり、放電容量を向上させることができる。
多孔質層13aの厚さは、例えば2μm〜500μmの範囲内、さらに具体的には、5μm〜300μmの範囲内であればよい。ただし、多孔質層13aの厚さは、空気電池1の用途等により異なるものであるため、上記範囲に限定されない。
(2)正極集電体13b
正極集電体13bは、多孔質層13aの集電を行う機能を有する。よって、正極集電体13bの材料としては、導電性を有するものであればよく、例えば、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、鉄、チタン、またはカーボン等を用いることができる。ただし、正極集電体13bの材料は、それらに限定されず、他の公知の材料であってもよい。
正極集電体13bは、空気取り込み孔15を有する平板状のベース部31と、ベース部31の少なくとも第1主面に配置された複数の突起部32とを含む。ベース部31と突起部32とは、同じ材料で形成されてもよいし、互いに異なる材料で形成されてもよい。
ベース部31は、例えば、箔状または板状等の部材である。ベース部31の厚さは、例えば、10μm〜1000μmの範囲内でもよいし、20μm〜400μmの範囲内でもよい。
ベース部31は、メッシュ(グリッド)構造を有してもよい。ベース部31がメッシュ構造を有する場合、正極集電体13bは、優れた集電効率と、優れた酸素供給能力とを実現できる。
突起部32は、ベース部31の第1主面から、多孔質層13a側に突き出た部分であり、例えば柱状である。図1、図2に示すように、突起部32は、多孔質層13aに突き刺さっている。これにより、上述したとおり、多孔質層13a内において、空隙率が異なる領域41、42が生じる。
また、突起部32は、例えば、多孔質層13aの厚みに対して10%以上95%以下の高さを有する。ここで、突起部32の高さとは、ベース部31の第1主面を含む平面から、当該平面に対して垂直な方向における突起部32の長さのことである。
なお、突起部32の高さは、例えば、多孔質層13aの厚みに対して30%〜95%の範囲内が好ましく、さらには50%〜90%の範囲内がより好ましい。
複数の突起部32の横断面の総面積は、例えば、多孔質層13aの横断面の面積に対して2.0%以上7.0%以下である。ここで、突起部32の横断面の総面積とは、正極集電体13bのベース部31と多孔質層13aとのスタック方向に対して垂直な平面で複数の突起部32を切断したときにおける、複数の突起部32の断面積の合計である。また、多孔質層13aの横断面の面積とは、上述した平面(突起部32の横断面の総面積を決定する際に用いた平面)で多孔質層13aを切断したときにおける、多孔質層13aの断面の外縁から求められる面積である。
なお、上記スタック方向に沿って突起部32の横断面の形状および/または大きさが変化する場合では、突起部32の横断面の総面積および多孔質層13aの横断面の面積を決定する際に用いる平面として、ベース部31と多孔質層13aとの界面から多孔質層13a側に多孔質層13aの厚みの5%の距離を移動した位置を通る平面が用いられる。
多孔質層13aの横断面の面積に対する複数の突起部32の横断面の総面積の割合が2.0%以上7.0%以下の範囲内であることにより、正極集電体13bと多孔質層13aとの3次元的な接触を十分に確保できる。さらに、突起部32を設けることに起因する多孔質体13aの体積の減少を小さく抑えることができる。
正極集電体13bと多孔質層13aとの3次元的な接触を十分に確保することにより、集電効率が向上し、その結果、反応面積が増大し得る。また、多孔質層13aの体積の減少を小さく抑えることにより、正極13への酸素の十分な供給が実現され得るとともに、放電反応によって生成した放電生成物を貯蔵するための空間も十分に確保され得る。これらの結果、放電容量および重量エネルギー密度がさらに向上し得る。
なお、正極集電体13bのベース部31の両主面に、多孔質層13aが配置されてもよい。すなわち、ベース部31の第1主面とその反対側の第2主面上にも、正極層として機能する多孔質層13aがさらに設けられていてもよい。
また、ベース部31の両主面上に多孔質層13aが設けられる場合では、ベース部31の第2主面にも複数の突起部32が設けられてもよい。第2主面に設けられる突起部32は、第1主面に設けられる突起部32と同様に、第2主面上に配置されている多孔質層13aの内部でその多孔質層13aと接してもよい。なお、第2主面に設けられる突起部32も、上述した第1主面に設けられる突起部32と同様に定義され得る。
正極集電体13bのベース部31がメッシュ構造を有する場合、空気電池1は、メッシュ状のベース部31により集電された電荷を集電する別の正極集電体(例えば、箔状の集電体)をさらに有してもよい。また、例えば、後述する電池ケース11が、その別の正極集電体の機能を兼ね備えてもよい。
正極集電体13bの製造方法は、特には限定されず、例えばフォトエッチング法等によって作製し得る。
[負極12]
負極12について説明する。図1に示すように、負極12は、負極層12aおよび負極集電体12bを含む。以下、負極層12aおよび負極集電体12bについてそれぞれ説明する。
まず、負極層12aについて説明する。
負極層12aは、少なくとも、リチウムイオンの吸蔵および放出を行うことができる負極活物質を含有する。この負極活物質は、リチウム元素を含有する物質であれば特に限定されるものではない。負極活物質としては、例えば、金属単体(金属リチウム)、リチウム元素を含有する合金、リチウム元素を含有する酸化物、または、リチウム元素を含有する窒化物等を挙げることができる。
リチウム元素を有する合金としては、例えば、リチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金、またはリチウムケイ素合金等を挙げることができる。また、リチウム元素を含有する金属酸化物としては、例えば、リチウムチタン酸化物等を挙げることができる。また、リチウム元素を含有する金属窒化物としては、例えば、リチウムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物、またはリチウムマンガン窒化物等を挙げることができる。
負極層12aは、負極活物質のみを含有するものであってもよいし、負極活物質の他にバインダを含有するものであってもよい。例えば、負極層12aは、箔状の負極活物質のみを含有するものであってもよい。
または、例えば、負極層12aは、粉末状の負極活物質およびバインダを含有するものであってもよい。バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の公知の材料を用いることができる。負極層12aにおけるバインダの含有量は、例えば1質量%〜40質量%の範囲内であればよいが、これに限定されない。
また、粉末状の負極活物質を用いて負極層12aを形成する方法としては、上述した正極層13aの形成方法と同様に、例えばドクターブレード法または圧着プレスによる成型方法等を用いることができる。
以上、負極層12aについて説明した。
次に、負極集電体12bについて説明する。
負極集電体12bは、負極層12aの集電を行う機能を有する。よって、負極集電体12bの材料としては、導電性を有するものであればよく、例えば、銅、ステンレス、ニッケル、またはカーボン等を用いることができる。ただし、負極集電体12bの材料は、それらに限定されず、他の公知の材料であってもよい。
負極集電体12bの形状としては、例えば、箔状、板状、またはメッシュ(グリッド)状等を挙げることができる。
また、後述する電池ケース11が負極集電体12bの機能を兼ね備えてもよい。
[セパレータ]
空気電池1は、正極13(正極層13a)と負極12(負極層12a)との間にセパレータ(図示略)を備えてもよい。正極13と負極12との間にセパレータが配置されることにより、空気電池1の安全性を向上させることができる。
セパレータとしては、正極層13aと負極層12aとを電気的に分離する機能を有するものであれば、特に限定されるものではない。セパレータとしては、例えば、ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)等の多孔膜、PEおよびPP等の樹脂不織布、ガラス繊維不織布、または、紙製の不織布等の多孔質絶縁材料等を用いることができる。
セパレータにおける多孔度は、例えば30〜90%の範囲であればよいが、さらに具体的には、35〜60%の範囲であってもよい。多孔度が30%未満である場合、セパレータが電解質を十分に保持することが困難になるおそれがある。一方、多孔度が90%を超える場合、十分なセパレータ強度を得られなくなるおそれがある。
[電解質層14]
電解質層14は、正極13(正極層13a)と負極12(負極層12a)との間に配置され、リチウムイオンの伝導を行う層である。よって、電解質層14は、リチウムイオン伝導性を有するもの(リチウムイオン伝導体)であればよく、その形態について特に限定はない。
電解質層14は、例えば、電解質としてのリチウムの塩を含む有機溶媒系に代表される溶液系、または、リチウムの塩を含む高分子固体電解質の系に代表される固体膜系のいずれの形態でもよい。
溶液系の電解質層14としては、例えば、非水溶媒にリチウム塩を溶解することにより調製される非水電解液を用いることができる。
非水電解液に電解質として含まれるリチウム塩としては、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、四フッ化硼酸リチウム(LiBF)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)、またはビストリフルオロメタンスルホニルアミドリチウム(LiN(CFSO)等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではなく、公知のリチウム塩を用いることができる。
非水溶媒に対する電解質の溶解量は、例えば0.5〜2.5mol/Lである。また、溶液系の電解質層(非水電解液)を用いる場合、この非水電解液をセパレータに含浸させて保持することにより、電解質層14が形成され得る。
非水溶媒としては、公知の非水溶媒を用いることができる。非水溶媒としては、例えば、テトラエチレングリコールジメチルエーテルなどの鎖状エーテルを用いてもよい。鎖状エーテルは、カーボネート系溶媒と比較して、正極内での酸素の酸化還元反応以外の副反応が起こりにくいためである。
電解質層14は、Liの分解または析出を促進させる、レドックスメディエータ(酸化還元媒体)として機能する化合物をさらに含んでもよい。レドックスメディエータとして機能する化合物としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)の誘導体が挙げられる。電解質層が溶液系(すなわち電解液)である場合、電解液は、正極13の多孔質層13aの細孔21内にも含まれる。よって、レドックスメディエータとして機能する化合物は、正極13の多孔質層13aの細孔21内に含まれていてもよい。
[電池ケース11]
電池ケース11は、正極13、負極12、および電解質層14を収納することができるものであればよい。よって、電池ケース11の形状は、図1に示した形状に限定されず、例えば、コイン型、平板型、円筒型、またはラミネート型等の形状であってもよい。
また、電池ケース11は、大気開放型の電池ケースであってもよいし、密閉型の電池ケースであってもよい。大気開放型の電池ケースとは、大気が出入りできる通風口を有しており、大気が正極13と接触可能なケースである。
密閉型の電池ケースには、気体(空気)の供給管および排出管が設けられてもよい。この場合、供給および排出される気体は、乾燥気体であってもよい。上記気体は、酸素濃度が高くてもよく、純酸素(99.99%)であってもよい。また、放電時には酸素濃度を高くし、充電時には酸素濃度を低くしてもよい。
<正極13の製造方法>
正極13の製造方法について、図3を用いて説明する。図3は、正極13の製造方法の流れの一例を示すフローチャートである。
ステップS1(第1工程の一例)では、炭素を含む導電性粒子、造孔剤、および高分子樹脂を、界面活性剤および水を加えて、混練および分散を行う。
ステップS2(第2工程の一例)では、ステップS1で得られた混練物を圧延してシート状に成形する。
ステップS3(第3工程の一例)では、ステップS2で得られたシート状成形品を焼成するとともに、造孔剤を昇華させてシート状成形品の内部に空孔を形成する。
ステップS4(第4工程の一例)では、ステップS3で得られた焼成品を再圧延して、多孔質層13aの厚みを調整する。
ステップS5(第5工程の一例)では、ステップS4で得られた多孔質層13aと、正極集電体13bとを熱圧着する。より具体的には、多孔質層13aに正極集電体13bの突起部32を突き刺し(挿入し)て、多孔質層13aにおいて突起部32の位置に対応する領域42の空隙率が他の領域41の空隙率よりも低くなるようにした状態で、多孔質層13aと、正極集電体13bとを熱圧着する。
上述したステップS1〜S5により、図1、図2に示した空気電池1の正極13を製造することができる。
以下、ステップS1〜S5のそれぞれについて、さらに詳細に説明する。
[ステップS1]
ステップS1で用いる造孔剤としては、高分子樹脂の融点以下で昇華するもの、例えば、フマル酸を使用できる。フマル酸は、白色結晶性の粉末であり、加熱すると、200〜300℃で昇華する。この性質を利用して、ステップS3では、フマル酸を添加した成形品を300℃以上で焼成することで、成形品内部に空孔を形成することができる。空孔のサイズは、フマル酸の粒径に依存するため、小さな空孔を得たい場合は、フマル酸を細かく粉砕する必要がある。
ステップS1では、フマル酸、炭素を含む導電性粒子、および高分子樹脂を、水と界面活性剤とを含む溶媒中で混練する。そして、フマル酸と、導電性粒子と、高分子樹脂とを均一に分散させた混練物を得る。
材料の混練には、例えば、プラネタリーミキサー、自転・公転ミキサー、ハイブリッドミキサー、ニーダー、またはロールミルなどを使用することができる。この混練工程では、高分子樹脂に加わるせん断力が、その後のシートの成形性、強度に影響する。一般にせん断力が高いほど、高分子樹脂が繊維化し、導電性粒子同士の結着性正極層の強度が向上する。しかしながら、せん断力が高すぎると、高分子樹脂の繊維化が進みすぎて、硬い団子状になって、圧延によってシート状に成形できなくなる。そのため、高分子樹脂が均一に分散された段階で混練を終えることが好ましい。
[ステップS2]
ステップS1で得られた混練物の圧延には、例えばロールプレス機を使用することができる。ロールプレスの条件は、例えば0.001ton/cm〜4ton/cmの範囲内である。この条件で1回または複数回の圧延を行うことにより、高分子樹脂を繊維化し、強度の高い多孔質層13aを得ることができる。
[ステップS3]
ステップS2で得られたシート状成形品の焼成には、例えば、IR炉または熱風乾燥炉を使用することができる。焼成温度は、造孔剤が昇華する温度よりも高く、高分子樹脂が融解する温度(高分子樹脂の融点)よりも低い温度である。
焼成温度が造孔剤の昇華温度よりも低い場合、多孔質層13aの内部に造孔剤が残留し、酸素の拡散性が低下するとともに、リチウム酸化物の貯蔵エリアが確保できずに、放電容量が向上しない。
一方で、焼成温度が高分子樹脂の融点よりも高い場合、高分子樹脂が融解し、多孔質層13aの強度が低下する。そして、多孔質層13aが、電解液の含浸させるときや、リチウム酸化物が析出するときに膨張してしまう。
したがって、例えば、造孔剤がフマル酸であり、高分子樹脂がPTFEである場合、焼成温度は、310〜340℃が好ましい。
[ステップS4]
ステップS3で得られた焼成品(焼成したシート状成形品)の再圧延には、例えばロールプレス機を使用することができる。ロールプレスの条件は、例えば0.01ton/cm〜4ton/cmの範囲内である。この条件で1回または複数回の圧延を行うことにより、多孔質層13aの厚みを調整する。
[ステップS5]
例えば熱プレス機またはロールプレス機を用いて、ステップS4で得られた多孔質層13aと、正極集電体13bとを熱圧着する。熱圧着するときの温度(以下、熱圧着温度という)は、高分子樹脂の融点よりも低い温度で、かつ、100℃以上の温度である。熱圧着温度が高分子樹脂の融点よりも高い場合では、多孔質層13a内部で、高分子樹脂が融解し、多孔質層13aの強度が保てなくなる。一方、熱圧着温度が100℃よりも低い場合では、多孔質層13aと正極集電体13bとの圧着強度が不十分となり、放電容量も低くなる。
したがって、例えば、高分子樹脂がPTFEである場合、熱圧着温度は、100℃〜200℃が好ましく、さらに言えば130℃〜150℃が好ましい。
また、熱圧着するときの圧力は、多孔質層13aに正極集電体13bの突起部32が突き刺さる圧力であればよく、例えば、5kgf/cm〜500kgf/cmであればよい。
<実施例>
以下、本開示の実施例1、2および比較例について説明する。なお、以下の実施例1、2は一例であり、本開示は以下の実施例に限定されない。
[実施例1]
炭素を含む導電性多孔質体を形成する材料として、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製「ケッチェンブラックEC600JD」(以下、ケッチェンブラックという)を用いた。
まず、ケッチェンブラックと、界面活性剤溶液である日本乳化剤株式会社製「ニューコール1308−FA(90)」と、造孔剤である日本触媒株式会社製「フマル酸」とを混合して攪拌し、混合物を得た。フマル酸は、予めジェットミルにて粉末状に粉砕されたものであり、以下「昇華性粉末」という。また、ケッチェンブラックと昇華性粉末との質量比は、この順に、7.7:33であった。
上記混合物を冷却した後、この混合物に、バインダである旭硝子株式会社製「FluonRPTFEADAD911E」を添加して、再び攪拌し、混練物を得た。なお、ケッチェンブラックとバインダとの質量比が、この順に、7:3となるように、バインダを添加した。
次に、上記混練物をロールプレスにより圧延し、シートを作製した。
次に、上記シートを焼成炉にて320℃で焼成し、水分、界面活性剤、および昇華性粉末を除去した。
次に、シートを再度ロールプレスにより圧延し、シートの厚みが200μmとなるように調整した。
正極集電体として、メッシュ構造を有するベース部と、ベース部の第1主面に配置された複数の突起部とを備えた、SUS316からなる構造体を用いた。ベース部の外縁形状は円形であり、厚さは100μmであった。突起部は、ベース部の第1主面に対して垂直な方向に延びていた。突起部は、底面が直径200μmの円形であって、高さが200μmの円柱であった。各突起部は、1200μmの間隔で配置されていた。
厚みを調整したシート(多孔質層)に、正極集電体のベース部の第1主面に配置された各突起部が突き刺さした状態で、熱プレス機(神藤金属工業所製、YS−10HH)を用いて貼付(熱圧着)を行った。このときの温度、圧力、および時間の条件は、それぞれ、温度130℃、圧力100kgf/cm、5分間とした。
以上のようにして得られた正極、および、以下の電解質層、負極、セパレータにより、空気電池を作製した。
電解質層としては、非水電解液を用いた。具体的には、非水溶媒であるテトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME、キシダ化学製)に、電解質としてLiTFSA(リチウムビストリフルオロメタンスルホニルアミド、キシダ化学製)を溶解させた非水電解液を用いた。
上記非水電解液は、TEGDMEにLiTFSAを1mol/Lの濃度となるように添加し、これを露点−50度以下のドライエア雰囲気下で一晩攪拌して混合および溶解させることによって得られた。
負極としては、金属リチウム(本荘ケミカル製)を負極層とし、この負極層にSUS304メッシュを負極集電体として貼付したものを用いた。
セパレータとして、ガラス繊維のセパレータを用いた。
上述した負極、非水電解液、セパレータ、および正極を、下からこの順で積層して、空気電池を作製した。
[実施例2]
実施例1との相違点は、正極集電体の複数の突起部の高さが100μmの円柱である点である。この相違点以外は、実施例1と同様の手順および材料で、正極および空気電池を作製した。
[比較例]
実施例1、2との相違点は、正極集電体として、ニラコ社製SUS304メッシュ(厚み177μm、100メッシュ)を用いた点である。この相違点以外は、実施例1、2と同様の手順および材料で、正極および空気電池を作製した。
上記実施例1、2、比較例の各空気電池について、空隙率、放電容量、および重量エネルギー密度の測定を行った。以下、各測定方法について説明する。
[空隙率の測定]
実施例1、2の空気電池では、正極集電体の突起部の位置に対応する多孔質層の領域(第1領域の一例)の空隙率と、正極集電体の開口部の位置に対応する多孔質層の領域(第2領域の一例)の空隙率と、を測定した。一方、比較例の空気電池では、メッシュの交点部の位置に対応する多孔質層の領域(第1領域の一例)の空隙率と、メッシュの開口部の位置に対応する多孔質層の領域(第2領域の一例)の空隙率と、を測定した。
空隙率の測定には、X線CT法を用いた。まず、作製した正極から正極集電体を取り外して、多孔質層のX線CT撮影を行った。次に、画像データから、第1領域および第2領域それぞれの体積に占める空隙の体積を求めた。次に、第1領域体積に占める空隙の体積/第1領域の体積により、第1領域の空隙率を算出した。また、第2領域体積に占める空隙の体積/第2領域の体積により、第2領域の空隙率を算出した。X線CTの分解能は、0.26μm/voxelであるため、空隙の体積は、0.26μm以上である。空隙率の測定結果を図4に示す。
[放電容量の測定]
空気電池を酸素雰囲気下で20分以上保持した後、電流密度0.1mA/cm、放電カット電圧を2.0Vとし、放電試験を行った。なお、この放電試験により測定された放電容量は、多孔質層の単位質量当たりの容量である。放電容量の測定結果を図4に示す。
[重量エネルギー密度の測定]
放電試験の開始から終了までに測定した電圧の平均値を平均放電電圧とする。空気電池の放電試験後の正極について、正極集電体を除く多孔質層の単位重量当たりの放電容量(mAh/g)を求めた。そして、平均放電電圧(V)と、単位重量当たりの放電容量(mAh/g)とを掛け算することで、重量エネルギー密度(Wh/kg)を算出した。重量エネルギー密度の測定結果を図4に示す。
図4に示すように、実施例1、2の空気電池では、第1領域の空隙率が、第2領域の空隙率よりも10%以上低くなっている。よって、図4に示すように、実施例1、2の空気電池では、比較例の空気電池に比べて、高い放電容量および高い重量エネルギー密度を有することが確認できた。
また、図4に示すように、実施例1の空気電池では、第1領域の空隙率が、第2領域の空隙率よりも15%以上低くなっている。よって、実施例1の空気電池では、実施例2の空気電池に比べて、さらに高い放電容量および高い重量エネルギー密度を有することが確認できた。
また、図4に示すように、実施例1、2の空気電池では、第1領域の空隙率は、10%以下である。さらに、実施例1の空気電池では、第1領域の空隙率は、2%以下である。これにより、正極集電体と多孔質層との接着を確保でき、高い重量エネルギー密度を得ることができる。
また、図4に示すように、実施例1、2の空気電池では、第2領域の空隙率は、20%以上である。これにより、多孔質層内の酸素の拡散を確保でき、高い放電容量を得ることができる。
<本開示のまとめ>
本開示のまとめは、以下のとおりである。
本開示の空気電池用正極は、集電体と、空隙率が異なる2つ以上の領域を含む多孔質層と、を備える。
なお、本開示の空気電池用正極において、前記集電体は、開口部を有する平板状のベース部と、前記ベース部の少なくとも第1主面に配置された複数の突起部とを含でもよい。また、前記多孔質層は、前記ベース部の前記第1主面上に配置されてもよい。また、前記突起部は、前記多孔質層の内部で前記多孔質層に接していてもよい。また、前記突起部の位置に対応する前記多孔質層の領域の空隙率は、前記開口部に対応する前記多孔質層の領域の空隙率よりも低くてもよい。
また、本開示の空気電池用正極において、前記突起部の位置に対応する前記多孔質層の領域の空隙率は、前記開口部に対応する前記多孔質層の領域の空隙率よりも10%以上低くてもよい。
また、本開示の空気電池用正極において、前記多孔質層は、導電性材料を含んでもよい。
本開示の空気電池は、本開示の空気電池用正極と、金属イオンの吸蔵および放出が可能な負極と、前記空気電池用正極と前記負極との間に配置された電解質層と、を備える。
本開示の空気電池の製造方法は、炭素を含む導電性粒子、造孔剤および高分子樹脂を、界面活性剤および水を加えて、混練および分散を行う第1工程と、前記第1工程で得られた混練物を圧延してシート状に成形する第2工程と、前記第2工程で得られたシート状成形品を焼成するとともに、前記造孔剤を昇華させて空孔を形成する第3工程と、前記第3工程で得られた焼成品を再圧延して厚みを調整する第4工程と、前記第4工程で得られた多孔質層に集電体の突起部を突き刺し、前記多孔質層において前記突起部の位置に対応する領域の空隙率が他の領域の空隙率よりも低くなるようにした状態で、前記多孔質層と前記集電体とを熱圧着する第5工程と、を含む。
なお、本開示は、上記実施の形態の説明に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
本開示の空気電池用正極、その製造方法、および空気電池は、高い放電容量および高い重量エネルギー密度を実現できるので、高容量電池に有用である。
1 空気電池
11 電池ケース
11a 筒状部
11b 底部
11c 蓋部
12 負極
12a 負極層
12b 負極集電体
13 正極
13a 多孔質層
13b 正極集電体
14 電解質層
15 空気取り込み孔
21 細孔
31 ベース部
32 突起部
41、42 領域

Claims (6)

  1. 集電体と、
    空隙率が異なる2つ以上の領域を含む多孔質層と、を備える、
    空気電池用正極。
  2. 前記集電体は、開口部を有する平板状のベース部と、前記ベース部の少なくとも第1主面に配置された複数の突起部とを含み、
    前記多孔質層は、前記ベース部の前記第1主面上に配置されており、
    前記突起部は、前記多孔質層の内部で前記多孔質層に接しており、
    前記突起部の位置に対応する前記多孔質層の領域の空隙率は、前記開口部に対応する前記多孔質層の領域の空隙率よりも低い、
    請求項1に記載の空気電池用正極。
  3. 前記突起部の位置に対応する前記多孔質層の領域の空隙率は、前記開口部に対応する前記多孔質層の領域の空隙率よりも10%以上低い、
    請求項2記載の空気電池用正極。
  4. 前記多孔質層は、導電性材料を含む、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の空気電池用正極。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の空気電池用正極と、
    金属イオンの吸蔵および放出が可能な負極と、
    前記空気電池用正極と前記負極との間に配置された電解質層と、を備える、
    空気電池。
  6. 炭素を含む導電性粒子、造孔剤および高分子樹脂を、界面活性剤および水を加えて、混練および分散を行う第1工程と、
    前記第1工程で得られた混練物を圧延してシート状に成形する第2工程と、
    前記第2工程で得られたシート状成形品を焼成するとともに、前記造孔剤を昇華させて空孔を形成する第3工程と、
    前記第3工程で得られた焼成品を再圧延して厚みを調整する第4工程と、
    前記第4工程で得られた多孔質層に集電体の突起部を突き刺し、前記多孔質層において前記突起部の位置に対応する領域の空隙率が他の領域の空隙率よりも低くなるようにした状態で、前記多孔質層と前記集電体とを熱圧着する第5工程と、を含む、
    空気電池用正極の製造方法。
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