JP2019159744A - 電磁力解析方法、電磁力解析装置、および、電磁力解析プログラム - Google Patents

電磁力解析方法、電磁力解析装置、および、電磁力解析プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】磁性体に作用するトルク特性を直感的に把握しやすいように反映した電磁力を表示させること。【解決手段】解析システムの記憶装置203には、解析領域に関するメッシュデータと、解析領域内に存在する解析対象の磁性体に関する磁気情報とが記憶されており、計算機201は、記憶装置203から読み取った解析対象の磁性体に関する磁気情報をもとに、解析対象の磁性体に外接するメッシュデータの磁性体外方向に1要素分である空気層1層領域の空間領域を対象とした積分演算により、解析対象の磁性体の表面上に位置するメッシュデータの節点ごとに発生する節点力を、解析対象の磁性体の表面に生じる電磁力として磁界解析し、表示装置202は、計算機201による解析結果である電磁力を表示する。【選択図】 図6

Description

本発明は、電磁力解析方法、電磁力解析装置、および、電磁力解析プログラムに関する。
電磁機器に含まれるモータなどの磁性体は、発生する電磁力によって変形し、この変形が電磁機器の性能に影響を及ぼすこともある。また、磁性体に発生する電磁力は、振動や騒音の発生原因にもなる。このため、電磁機器を開発するときには、磁性体に発生する電磁力を高精度に把握することが重要である。そこで、電磁場解析で求めた電磁力分布をもとに応力解析や振動解析が行われる。
磁性体に発生する電磁力分布の表現方法として、非特許文献1に記載の節点力法が広く利用されている。節点力法では、磁性体全体に働く電磁力を、式(1)および式(2)に示すように、節点力の総和で表現する。
Figure 2019159744
Figure 2019159744
A. Kameari,「Local force calculation in 3D FEM with edge elements」, Int. J. Applied electromagnetics in Materials, vol. 3, (1993) pp. 251-253, pp. 231-240.
式(3)は、従来の節点力法において磁性体が受けるトルクを示す式である。この式(3)の右辺第1項目は、節点力のトルクへの寄与であり、右辺第2項目は、通常のトルクの式では表現できない内部トルクに相当する量である。
Figure 2019159744
式(3)の右辺第2項目は、磁束密度と磁界とが非平行な材料では非ゼロの値となる。非平行な材料である磁性体は、磁石や磁気異方性磁性体、あるいはヒステリシス現象が有意な磁性体(以下、ヒステリシス磁性体と略す)である。
このような磁性体では、この節点力のみのベクトル表示では、トルク特性を全て表現できない。例えば、節点力法による節点力の分布表示のみでは、磁性体が回転するのかどうか、また、回転する場合は、どちらの向きに回転するのかを把握するのが困難であった。
そこで、本発明は、磁性体に作用するトルク特性を直感的に把握しやすいように反映した電磁力を表示させることを、主な課題とする。
前記課題を解決するために、本発明の電磁力解析方法は、以下の特徴を有する。
本発明は、記憶装置と、解析部と、表示装置とを含む電磁力解析装置により実行される電磁力解析方法であって、
前記記憶装置には、解析領域に関するメッシュデータと、前記解析領域内に存在する解析対象の磁性体に関する磁気情報とが記憶されており、
前記解析部が、前記記憶装置から読み取った前記解析対象の磁性体に関する磁気情報をもとに、前記メッシュデータに関して、前記解析対象の磁性体に外接する外側方向1要素分である空気層1層領域の空間領域を積分領域とした積分演算により、前記解析対象の磁性体の表面上に位置する前記メッシュデータの節点ごとに発生する節点力を、前記解析対象の磁性体の表面に生じる電磁力として磁界解析し、
前記表示装置が、前記解析部による解析結果である電磁力を表示することを特徴とする。
その他の手段は、後記する。
本発明によれば、磁性体に作用するトルク特性を直感的に把握しやすいように反映した電磁力を表示させることができる。
本発明の一実施形態に関するシンプルな解析系の解析領域を示す構成図である。 解析領域内の磁性体領域において、従来の節点力法によって節点力を持ち得る節点群の配置図である。 解析領域内の磁性体領域において、本発明の一実施形態に関する本実施形態の手法によって節点力を持ち得る節点群の配置図である。 図1の解析系に対して、図2のように従来の節点力法で解析した結果を示す。 本発明の一実施形態に関する図1の解析系に対して、図3のように本実施形態の手法で解析した結果を示す。 本発明の一実施形態に関する解析システムのハードウェア構成図である。 本発明の一実施形態に関する図6の解析システムの機能構成図である。 本発明の一実施形態に関する図7の解析システムの処理内容を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に関する実施例2における解析システムの処理内容を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に関する磁石と磁性体とが密着した場合の説明図である。 本発明の一実施形態に関する図10の境界部の拡大図である。 本発明の一実施形態に関する磁石と磁性体の間に、0.001mmの非常に狭い空気層を設けたときの境界部における電磁応力分布図である。 本発明の一実施形態に関する磁石と磁性体の間に、0.1mmのさほど狭くない空気層を設けたとき境界部における電磁応力分布図である。 本発明の一実施形態に関する実施例3における解析システムの処理内容を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に関する電磁応力を算出する式で用いた記号の説明図である。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
まず、図1〜図5を参照して、本実施形態の実施例1の概要を説明する。この実施例1の説明において、適宜、従来手法との主な相違点を説明する。
図1は、シンプルな解析系の解析領域を示す構成図である。
「解析領域」は、矩形154に囲われた領域全体であり、縦横の要素が格子状に配置されたメッシュデータとして構成される。
「磁性体領域」は、解析領域のうちの矩形152に囲われた領域であり、解析対象の磁性体の物質が存在する領域である。磁性体領域は前記の式(2)の「Vmag」である。
なお、解析対象の磁性体とは、例えば、磁石、磁気異方性磁性体または、ヒステリシス磁性体である。これらの磁性体は、電磁機器などに含まれている。
「空気領域」は、解析領域のうちの磁性体領域以外の領域であり、磁性体の物質が存在していない空気の領域である。空気領域は式(2)の「Vair」である。
つまり、空気領域は矩形152の外側と、矩形154の内側とに挟まれたロの字型の領域である。なお、矩形152は、磁性体領域と空気領域との境界線であるので、以下で矩形152を「磁性体表面」とも呼ぶ。
「空気層1層領域」は、空気領域のうちの磁性体領域の表面に外接する外側方向1要素分(1層分)の空間領域である。つまり、空気層1層領域は矩形152の外側と、矩形153の内側とに挟まれたロの字型の領域である。空気層1層領域は後記する式(5)の「Vair-layer」である。
次に、図1に記載した矢印について、説明する。
外側の空気領域に記載した右向き(x軸の正方向)の矢印は、解析領域の全体に印加された1T(Tesla)の外部磁場を示す。内側の磁性体領域に記載した上向き(y軸の正方向)の矢印は、磁性体(ここでは磁石)がもつ1Tの残留磁化を示す。
このような状況では、磁石がもつ磁化は外部磁場の方向に向かおうとするので、磁石には時計回りのトルクが発生する。よって、このような磁性体に働く時計回りのトルクを、解析結果の画面を介して解析者に把握させることが求められる。
図2は、解析領域内の磁性体領域において、従来の節点力法によって解析領域内に設けられる節点力をもたせる節点群の配置図である。黒丸(●)がその節点群を意味する。図2に示すように、従来の節点力法では、磁性体領域内部と磁性体表面の節点群に節点力をもたせる。なお、図2および次に説明する図3は、ともに図1に比べてメッシュ分割数を減らした簡略化された図になっているが、これは説明の便宜上のものである。また、矩形152,153については、図1において説明したものと同じであり、各図で共通している。
図3は、解析領域内の磁性体領域において、本実施形態の手法によって解析領域内に設けられる節点力をもたせる節点群の配置図である。図3では、磁性体表面の各メッシュ節点(黒丸)については図2と同様に解析対象に設定されているが、磁性体領域内部の各メッシュ節点は解析対象から除外されている。
図4は、図1の解析系において、図2のように従来の節点力法で解析した結果を示す。図4の各矢印は節点力の向きと大きさを示すベクトルであり、その矢印の元は図2に示した節点上に配置されている。
図4に示すように、磁性体表面(矩形152)の上側と下側では上下方向に向かう節点力が存在し、左側と右側では、左右方向に向かう節点力が存在している。このように、図1で説明した「時計回りのトルク」を把握するために有意な節点力は、図4の結果からは確認できない。
図5は、図1の解析系に対して、図3のように本実施形態の手法で解析した結果を示す。図4の節点力に比べて図5の節点力は大きすぎるので、図5の節点力は図4の節点力スケールよりも1/2倍の大きさで表示してある。図4の解析結果と比較すると、図5の解析結果は以下の特徴がある。
(特徴1)節点力は、磁性体表面(矩形152)にのみ存在し、磁性体領域の内部には存在しない。図3で示したように、本実施形態の手法では、磁性体領域内部の節点は節点力の対象から除外したためである。
(特徴2)節点力を示す各矢印のベクトルは、図1で説明した「時計回りのトルク」を如実に反映したものになっている。このような節点力分布表示から、解析者はトルク発生の有無やトルク方向を直視的に把握できる。
以下、図3,図5で説明した本実施形態の手法を数式で定義する。まず、図3で解析対象とした節点力を、式(4)、式(5)のように定義する。図3の各メッシュ節点(黒丸)が、式(4)の「i∈Smag」である。
Figure 2019159744
Figure 2019159744
式(4)に示した総和対象の節点力が存在する節点は磁性体表面のみであり、かつ、式(5)に示したように節点力Fiを算出するための積分領域は、磁性体表面の空気層1層領域のみである。
式(6)は、式(5)に示した空気層1層領域における電磁応力テンソルを示す。式(7)は、式(6)と等価な式であり、式(6)をテンソル成分で表現した式である。
Figure 2019159744
Figure 2019159744
式(8)は、節点力を式(5)で表現したときの、磁性体に働くトルクの式である。式(8)は、電磁力である節点力を使った通常のトルク表現になっており、式(3)の右辺第2項に示した内部トルクの項は発生しない。つまり、図5の節点力分布に含まれる各節点力から式(8)を用いて、磁性体に働くトルクを直接算出できる。
Figure 2019159744
図6からは、図1〜図5で説明した本実施形態の手法を実行する解析システム(電磁力解析装置)を説明する。
図6は、解析システムのハードウェア構成図である。この解析システムは、計算機201、表示装置202、記憶装置203、および、入力装置204から構成される。
入力装置204は、例えばキーボードやマウスであり、計算機201の処理に必要なデータの入力などに使用する。必要なデータとは、例えば、メッシュデータや、解析条件設定に必要な入力データである。
記憶装置203には、計算機201の処理結果データや、入力装置204を介して入力される入力データがデータファイルとして記憶される。なお、記憶装置203は、計算機201の外部に設置して計算機201と接続する構成でもよいし、計算機201の内部に設置する構成でもよい。
表示装置202は、記憶装置203のデータファイル(処理結果データ、入力データなど)を表示する。
計算機201は、記憶装置203のデータファイルをもとに、後述する図8、図9や図14に示す解析プロセス(具体的には図3、図5で例示した本実施形態の手法に基づく解析プロセス)を実現するためのプログラムを実行する。このプログラムは、例えば、本実施形態の手法を記載したアルゴリズムがコーディングされたソースファイルをコンパイルして得られる解析実行モジュールである。計算機201のCPU(Central Processing Unit)が、メモリ上に読み込んだ解析実行モジュールを実行することにより、解析が実行される。
図7は、図6の解析システムの機能構成図である。この解析システムは、離散化データ記憶部111、コントロールデータ記憶部112、解析部120、解析結果記憶部131、および、解析結果表示部132から構成される。
離散化データ記憶部111は、微分方程式を数値的に解くためのメッシュデータを、離散化データとして記憶する。この離散化データには、解析領域(図1では矩形154に囲われた領域)におけるメッシュデータ(メッシュを構成する各節点の位置座標成分ならびに各要素を構成する節点の節点番号や各要素の材料番号等)が含まれている。
コントロールデータ記憶部112は、解析部120による解析処理を実行するための解析条件等をまとめたコントロールデータを記憶する。このコントロールデータには、磁性体領域(図1では矩形152に囲まれた領域)に存在する磁性体に関する情報が含まれている。磁性体に関する情報は、例えば、磁性体領域の材料特性や図1で説明した残留磁化などである。
これらの離散化データ記憶部111およびコントロールデータ記憶部112に記憶される各種のデータは、入力装置204を介して入力され、記憶装置203に記憶される。なお、記憶される各種のデータは、静的なデータであるときには1回だけ入力され、過渡的なデータであるときにはデータ内容が変更される度に(つまり複数回)入力されて更新される。
解析部120は、離散化データ記憶部111およびコントロールデータ記憶部112のデータ内容に従って、解析領域を対象として微分方程式を数値的に解くなどの解析処理を実行することで、解析領域(とくに磁性体表面)に発生する電磁力分布を計算する。
解析結果記憶部131は、解析部120による解析結果を記憶する。
解析結果表示部132は、解析部120による解析結果を図5のように画面表示する。
図8は、図7の解析システムの処理内容を示すフローチャートである。
S11として、入力装置204は、離散化データ(解析領域におけるメッシュデータ)の入力を受け、離散化データ記憶部111に記憶する。
S12として、入力装置204は、磁性体に関する情報(磁石データあるいは磁気異方性磁性体もしくはヒステリシス磁性体を含むコントロールデータ)の入力を受け、コントロールデータ記憶部112に記憶する。
計算機201は、S11で離散化データ記憶部111に記憶されたデータと、S12でコントロールデータ記憶部112に記憶されたデータとをそれぞれ入力データファイルとして読み込む。そして、計算機201は、以下に示すように、読み込んだ入力データファイルをもとにした磁界解析を解析部120に実行させる。
S21として、解析部120は、解析実行モジュールを実行することにより、静的もしくは過渡的な磁界解析を行うことで、磁性体表面における空気層1層領域の磁界および磁束密度分布を求める。
S22として、解析部120は、S21の磁界解析により求めた空気層1層領域の磁界および磁束密度分布を用いて、式(5)に示す積分演算により、磁性体表面上の節点力を算出する。
S31として、解析部120は、S22の解析結果を、記憶装置203の解析結果記憶部131に記憶する。
S32として、解析結果表示部132は、解析結果記憶部131の解析結果を、表示装置202のモニタに表示する。この表示結果の一例が図5の画面図である。
以上説明した実施例1により、空気層1層領域(図3に例示した黒丸の各メッシュ節点)のみを節点力を算出する積分領域とすることで、磁性体が回転するなどのトルク特性が反映された図5を画面図に示すことができる。
図9は、実施例2における解析システムの処理内容を示すフローチャートである。この図9では、図7のフローチャートに対して、S22の後にS23が追加されている。
S23として、解析部120は、S22で求めた節点力のうち、磁性体と磁石との境界部における磁石側の外側方向1要素分である磁石層1層領域(実施例1では空気層1層領域とした積分領域)における節点力を、磁石のリコイル比透磁率倍する(つまり、被積分項に磁石のリコイル比透磁率を乗算する)。
このリコイル比透磁率倍した結果がS31で記憶され、S32で表示される新たな節点力(解析結果)となる。式(9)は、S23のリコイル比透磁率倍を定義した式である。
Figure 2019159744
図10は、20mmの長さの磁石52と、コの字型の磁性体51とが密着した場合の説明図である。図10の破線で囲った磁石52と磁性体51の境界部では双方密着している。上から順に記載した1〜5までの番号は、後述する図12と図13に示すグラフの横軸の位置に対応するものである。
図11は、図10の境界部の拡大図である。
従来の解析では、磁石と磁性体が密着した状態では磁石にかかる磁気吸引力の解析は不可能であり、磁石と磁性体の間に狭いエアギャップを挿入するか、あるいはそれと等価的なギャップ要素(厚みが無限小の空気要素)を挿入する必要があった。
一方、本実施形態(実施例2)の解析では、磁石を磁性体に密着させた状態で、式(5)の代わりに式(10)で節点力を算出することで、磁石と磁性体が密着した状態のままで,狭いエアギャップやこれと等価なギャップ要素を設定しなくとも、磁石に作用する磁気吸引力が計算可能になる。式(10)右辺の第2項目は、磁石層1層領域における積分項であり、これに対して、右辺第1項目は、磁石が密着している領域を除いた空気層1層領域における積分項である。
Figure 2019159744
図12は、磁石と磁性体の間に、0.001mmの非常に狭い空気層を設けたときの境界部における電磁応力分布図である。この図12の電磁応力分布図、および、後記する図13の電磁応力分布図は、それぞれ境界部における電磁力を、電磁応力として示したものである。「gap 0.001mm」が示す折れ線グラフ(黒丸および実線)は従来の解析結果を示し、「no gap」が示す白丸は本実施形態(実施例2)の解析結果を示す。図示したように、白丸位置と黒丸位置とが一致するので、非常に狭い空気層を設けたときには、両方式ともに、磁気吸引力の解析結果はよく一致しており、磁石と磁性体の間に働く磁気吸引力が正しく算出されていることを意味している。
図13は、磁石と磁性体の間に、0.1mmのさほど狭くない空気層を設けたときの境界部における電磁応力分布図である。図12とは異なり、「gap 0.1mm」の黒丸位置と、「no gap」の白丸位置とがずれてしまっている。これは、従来法で磁石と磁性体の間に働く磁気吸引力を正しく算出するには、0.001mmというかなり狭い空気層を設けるか、あるいはこれと等価な厚みが無限小の磁気ギャップ要素を用いる必要があることを意味する。
以上説明したように、高精度な解析結果を得るためには、従来法ではかなり狭い空気層が必要である。このため、このかなり狭い空気層における要素は、非常に扁平なものになる。一般的に扁平な要素を伴う解析では、解の収束が悪化する傾向にある。
一方、本実施形態(実施例2)では、狭い空気層が不要なので、解の収束が悪化することもない。また、磁石と磁性体の間の接触面に磁気ギャップ要素を設定する必要もない。
実施例3は、解析部120が電磁力として電磁応力(マックスルウェル応力とも呼ばれる)を解析する例である。なお、実施例1,2では、解析部120が電磁力として節点力を解析していた。実施例2の計算例では、節点力から電磁応力を算出した結果を示しているが、実施例3では、直接電磁応力を算出する実施例について述べる。
図14は、実施例3における解析システムの処理内容を示すフローチャートである。この図14では、図7のフローチャートのS22がS24に置き換わっている。
S24として、解析部120は、S21の磁界解析により求めた磁界および磁束密度分布により、式(11)、式(12)を用いて電磁応力を算出する。この式(11)および式(12)は、式(4)および式(5)を変形した結果であり、空気層1層領域の要素積分の寄与を磁性体表面の面要素における電磁応力として、磁性体全体に働く電磁力を表現した式である。
Figure 2019159744
Figure 2019159744
図15は、電磁応力を算出する式(11)、式(12)で用いた記号Vn、Snの説明図である。磁性体領域Vmagの外側には、空気層1層領域(磁性体領域Vmagの表面に配置された複数の要素Vnで形成された領域)が形成されている。VmagとVnとの境界である磁性体表面には、解析対象の各節点iと、それらの節点で構成された面要素Sn(面積も同じ記号Snを用いる)が存在する。
実施例3によれば、S24で式(11)、式(12)を用いて電磁応力を算出することで、電磁応力分布を直接表現することができる。実施例1,2のような節点力分布を求める方式では、メッシュ分割が細かく節点が多い領域では、各節点に配分される節点力が小さくなってしまい、単位面積あたりの電磁力である電磁応力の分布を把握しづらかったが、本実施例によれば、電磁応力で表現されるので、このような問題は解消される。
実施例4は、実施例3と同様にS24で電磁応力を算出するが、その算出式を式(12)から式(13)に変更したものである。式(13)は、空気中のマックスウェルの応力式を磁性体表面に直接適用することで、磁性体全体に働く電磁応力を算出する式である。なお、式(13)に含まれる電磁応力テンソルTは、磁性体表面において空気側の磁束密度および磁界を用いて、式(6)または式(7)で算出される。
Figure 2019159744
実施例4の式(13)を用いることにより、磁性体表面の面要素において積分するので、磁性体表面をおおう空気層1層領域のメッシュ分割は特に制約はかからないという効果がある。一方、実施例3の式(12)では、磁性体表面をおおう空気層1層領域は磁性体表面の面要素に1:1に対応した要素分割構成である必要があった。
以上説明した本実施形態の実施例1〜実施例4では、図3に示した磁性体表面における節点(式(4)のi∈Smag)に対して、空気層1層領域(式(5)のVair-layer)の積分演算を行うことにより、図5で示したような「時計回りのトルク」などの磁性体のトルク特性を的確に表示できる。つまり、磁性体内部で生じる内部トルクの影響も考慮した電磁力を表示できる。
さらに、従来方式の式(2)と、本実施形態の式(5)とを比較する。式(2)が示すように、節点力は磁性体領域における電磁応力テンソルの影響も受ける。磁性体領域における電磁応力テンソルは、Minkowski形式やChu形式などの、いろいろな形式が提案されており、いまだ確定されていない。このため、どの形式の電磁応力テンソルを採用するかによって、電磁応力分布が大きく異なるという問題もある。そこで、本実施形態の式(5)を用いることで、このような問題を回避できる。
本発明は、図8、図9、図14のS12に示したコントロールデータが、磁石、磁気異方性磁性体、あるいはヒステリシス磁性体を含むものに限定されるものではなく、いずれも含まない場合でも適用可能であり、正しいトルクを算出することは可能である。この場合、式(3)の右辺第2項に示した内部トルクの項が消失するので、従来法でも通常のトルクの式でトルク解析が可能であるが、本発明では、磁性体の内部領域が関与しないので、磁性体特有の不確定な電磁応力テンソルが関与せず、空気中の確定した電磁応力テンソルのみで電磁力分布を表示できる。
なお、本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段などは、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。
また、前記の各構成、機能などは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイルなどの情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)などの記録装置、または、IC(Integrated Circuit)カード、SDカード、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
さらに、各装置を繋ぐ通信手段は、無線LANに限定せず、有線LANやその他の通信手段に変更してもよい。
111 離散化データ記憶部
112 コントロールデータ記憶部
120 解析部
131 解析結果記憶部
132 解析結果表示部
201 計算機
202 表示装置
203 記憶装置
204 入力装置

Claims (5)

  1. 記憶装置と、解析部と、表示装置とを含む電磁力解析装置により実行される電磁力解析方法であって、
    前記記憶装置には、解析領域に関するメッシュデータと、前記解析領域内に存在する解析対象の磁性体に関する磁気情報とが記憶されており、
    前記解析部は、前記記憶装置から読み取った前記解析対象の磁性体に関する磁気情報をもとに、前記メッシュデータに関して、前記解析対象の磁性体に外接する外側方向1要素分である空気層1層領域の空間領域を積分領域とした積分演算により、前記解析対象の磁性体の表面上に位置する前記メッシュデータの節点ごとに発生する節点力を、前記解析対象の磁性体の表面に生じる電磁力として磁界解析し、
    前記表示装置は、前記解析部による解析結果である電磁力を表示することを特徴とする
    電磁力解析方法。
  2. 記憶装置と、解析部と、表示装置とを含む電磁力解析装置により実行される電磁力解析方法であって、
    前記記憶装置には、解析領域に関するメッシュデータと、前記解析領域内に存在する解析対象の磁性体に関する磁気情報とが記憶されており、
    前記解析部は、前記記憶装置から読み取った前記解析対象の磁性体に関する磁気情報をもとに、前記メッシュデータに関して、前記解析対象の磁性体に外接する外側方向1要素分である空気層1層領域の空間領域を積分領域とした積分演算により、前記解析対象の磁性体の表面の面要素における電磁応力を、前記解析対象の磁性体に働く電磁力として磁界解析し、
    前記表示装置は、前記解析部による解析結果である電磁力を表示することを特徴とする
    電磁力解析方法。
  3. 前記解析領域には、磁石が前記解析対象の磁性体に密着した状態で存在しており、
    前記解析部は、前記空気層1層領域の空間領域の代わりに、前記メッシュデータに関して、前記解析対象の磁性体と前記磁石との境界部における磁石側の外側方向1要素分である磁石層1層領域の空間領域を積分領域とした積分演算において、被積分項に前記磁石のリコイル比透磁率を乗算した第2の電磁力を計算し、
    前記表示装置は、前記解析部による解析結果として前記第2の電磁力を表示することを特徴とする
    請求項1または請求項2に記載の電磁力解析方法。
  4. 解析領域に関するメッシュデータと、前記解析領域内に存在する解析対象の磁性体に関する磁気情報とが記憶されている記憶装置と、
    前記記憶装置から読み取った前記解析対象の磁性体に関する磁気情報をもとに、前記メッシュデータに関して、前記解析対象の磁性体に外接する外側方向1要素分である空気層1層領域の空間領域を積分領域とした積分演算により、前記解析対象の磁性体の表面上に位置する前記メッシュデータの節点ごとに発生する節点力を、前記解析対象の磁性体の表面に生じる電磁力として磁界解析する解析部と、
    前記解析部による解析結果を表示する表示装置とを有することを特徴とする
    電磁力解析装置。
  5. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電磁力解析方法を、コンピュータである前記電磁力解析装置に実行させるための電磁力解析プログラム。
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