以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を示す図である。図2は、画像形成装置1の制御系の主要部を示す図である。
図1、2に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。画像形成装置1は、感光ドラム213上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト221に一次転写し、中間転写ベルト221上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙に二次転写することにより、画像を形成する。本実施の形態では、画像形成装置1には、CMYKの4色に対応する感光ドラム213を中間転写ベルト221の走行方向(鉛直方向)に直列配置し、中間転写ベルト221に一回の手順で各色トナー像を順次転写させる縦型タンデム方式が採用されている。
図1、2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部11、操作表示部12、画像処理部13、給紙部14、排紙部15、用紙搬送部16、記憶部17、通信部18、画像形成部20及び制御部30等を備える。
画像読取部11は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置111及び原稿画像走査装置112(スキャナー)等を備える。
自動原稿給紙装置111は、原稿トレイに載置された原稿を搬送機構により搬送して原稿画像走査装置112へ送り出す。自動原稿給紙装置111により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿の画像(両面を含む)を連続して読み取ることが可能となる。
原稿画像走査装置112は、自動原稿給紙装置111からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサーの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部11は、原稿画像走査装置112による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部13において所定の画像処理が施される。
操作表示部12は、例えば、タッチパネル付きのフラットパネルディスプレイで構成されるフラットパネルディスプレイとしては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどを用いることができる。操作表示部13は、表示部121及び操作部122を有する。
表示部121は、制御部30から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。
操作部122は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部30に出力する。ユーザーは、操作表示部12を操作して、原稿設定、画質設定、倍率設定、応用設定、出力設定、及び用紙設定などの画像形成に関する設定を行うことができる。
画像処理部13は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部13は、制御部30の制御下で、階調補正データに基づいて階調補正を行う。また、画像処理部13は、入力画像データに対して、色補正、シェーディング補正、濃度補正等の各種補正処理を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部20が制御される。
画像形成部20は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによるトナー像を形成するためのトナー像形成部21、トナー像形成部21により形成されたトナー像を用紙に転写する中間転写部22、及び用紙に転写されたトナー像を定着する定着部23等を備える。
トナー像形成部21は、Y成分用、M成分用、C成分用、K成分用の4つのトナー像形成部21Y、21M、21C、21Kで構成される。トナー像形成部21Y、21M、21C、21Kは、同様の構成を有するので、図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、Kを添えて示すこととする。図1では、Y成分用のトナー像形成部21Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他のトナー像形成部21M、21C、21Kの構成要素についての符号は省略されている。
トナー像形成部21は、露光装置211、現像装置212、感光ドラム213、帯電装置214、及びドラムクリーニング装置215等を備える。トナー像形成部21は、一次転写後に感光ドラム213の表面に残留する残留電荷を除去するための除電装置を備えていてもよい。
感光ドラム213は、例えばアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。電荷発生層は、電荷発生材料(例えばフタロシアニン顔料)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト)に分散させた有機半導体からなり、露光装置211による露光を受けて一対の正電荷と負電荷を発生する。電荷輸送層は、正孔輸送性材料(電子供与性含窒素化合物)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネート樹脂)に分散させたものからなり、電荷発生層で発生した正電荷を電荷輸送層の表面まで輸送する。
帯電装置214は、例えばスコロトロン帯電装置やコロトロン帯電装置等のコロナ放電発生器で構成される。帯電装置214は、コロナ放電によって感光ドラム213の表面を一様に負極性に帯電させる。
露光装置211は、例えば複数の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が直線状に配列されたLEDアレイ、個々のLEDを駆動するためのLPH駆動部(ドライバーIC)、及びLEDアレイからの放射光を感光ドラム213上に結像させるレンズアレイ等を有するLEDプリントヘッドで構成される。LEDアレイの1つのLEDが、画像の1ドットに対応する。
露光装置211は、感光ドラム213に対して各色成分の画像に対応する光を照射する。光の照射を受けて感光ドラム213の電荷発生層で発生した正電荷が電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光ドラム213の表面電荷(負電荷)が中和される。これにより、感光ドラム213の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
現像装置212は、各色成分の現像剤(本実施の形態では、トナーと磁性キャリアとを含む二成分系現像剤)を収容し、感光ドラム213の表面に各色成分のトナーを付着させることにより、静電潜像を可視化してトナー像を形成する。具体的には、現像剤担持体(符号略、例えば、現像ローラー)に現像バイアス電圧が印加され、感光ドラム213と現像剤担持体との間に電界が形成される。感光ドラム213と現像剤担持体との電位差によって、現像剤担持体上の帯電トナーが感光ドラム213の表面の露光部に移動し、付着する。
ドラムクリーニング装置215は、感光ドラム213の表面に摺接するドラムクリーニングブレード(符号略)等を有し、一次転写後に感光ドラム213の表面に残存する転写残トナーを除去する。
中間転写部22は、中間転写ベルト221、一次転写ローラー222、複数の支持ローラー223、二次転写ローラー224、及びベルトクリーニング装置225等を備える。
中間転写ベルト221は、トナー像を担持する像担持体である。中間転写ベルト221は無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー223にループ状に張架される。複数の支持ローラー223のうちの少なくとも一つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。駆動ローラーが回転することにより、中間転写ベルト221は一定速度で走行する。
一次転写ローラー222は、各色成分の感光ドラム213に対向して、中間転写ベルト221の内周面側に配置される。中間転写ベルト221を挟んで、一次転写ローラー222が感光ドラム213に圧接されることにより、感光ドラム213から中間転写ベルト221へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される(以下、「一次転写部」と称する)。
二次転写ローラー224は、複数の支持ローラー223のうちの一つに対向して、中間転写ベルト221の外周面側に配置される。複数の支持ローラー223のうち二次転写ローラー224に対向して配置される支持ローラー223はバックアップローラーと呼ばれる。中間転写ベルト221を挟んで、二次転写ローラー224がバックアップローラーに圧接されることにより、中間転写ベルト221から用紙へトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される(以下、「二次転写部」と称する)。なお、二次転写ローラー224に代えて、二次転写ローラーを含む複数の支持ローラーに、二次転写ベルトがループ状に張架された構成(いわゆるベルト式の二次転写ユニット)を採用してもよい。
一次転写部において、感光ドラム213上のトナー像が中間転写ベルト221に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー222に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト221の裏面側(一次転写ローラー222と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト221に静電的に転写される。
その後、用紙が二次転写部を通過する際、中間転写ベルト221上のトナー像が用紙に二次転写される。具体的には、二次転写ローラー224に二次転写バイアスを印加し、用紙の裏面側(二次転写ローラー224と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙に静電的に転写される。トナー像が転写された用紙は定着部23に向けて搬送される。
ベルトクリーニング装置225は、中間転写ベルト221の表面に摺接するベルトクリーニングブレード226等を有する。ベルトクリーニング装置225は、二次転写後に中間転写ベルト221の表面に残留する転写残トナーを除去する。劣化トナーを排出する際に中間転写ベルト221に形成されたトナー像は、ベルトクリーニング装置225によって除去される。
定着部23は、用紙の定着面(トナー像が形成されている面)側に配置される定着面側部材を有する上側定着部231、用紙の裏面(定着面の反対の面)側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部232、定着面側部材を加熱する加熱源233、及び裏面側支持部材を定着面側部材に対して圧接する圧接離間部(図示略)等を備える。
例えば、上側定着部231がローラー加熱方式である場合は定着ローラーが定着面側部材となり、ベルト加熱方式である場合は定着ベルトが定着面側部材となる。また例えば、下側定着部232がローラー加圧方式である場合は加圧ローラーが裏面側支持部材となり、ベルト加圧方式である場合は加圧ベルトが裏面側支持部材となる。図1は、上側定着部231がローラー加熱方式で構成され、下側定着部232がローラー加圧方式で構成される場合について示している。
上側定着部231は、定着面側部材を回転させるための上側定着部用駆動部(図示略)を有する。制御部30によって上側定着部用駆動部の動作が制御されることにより、定着面側部材は所定の速度で回転(走行)する。下側定着部232は、裏面側支持部材を回転させるための下側定着部用駆動部(図示略)を有する。制御部30によって下側定着部用駆動部の動作が制御されることにより、裏面側支持部材は所定の速度で回転(走行)する。なお、定着面側部材が裏面側支持部材の回転に従動する場合は、上側定着部用駆動部は必要ない。
加熱源233は、定着面側部材の内部又は近傍に配置される。制御部30は、定着面側部材に近接して配置される定着温度検出部(図示略)の検出結果に基づいて、定着温度が定着制御温度となるように加熱源233の出力を制御する。制御部30によって加熱源233の出力が制御されることにより、定着面側部材が加熱され、定着制御温度(例えば定着目標温度、アイドリング温度)で保持される。
圧接離間部(図示略)は、裏面側支持部材を定着面側部材に向けて押圧する。圧接離間部は、例えば裏面側支持部材を支持する軸の両端部に当接し、軸の両端をそれぞれ独立して押圧する。これにより、定着ニップにおける軸方向のニップ圧のバランスを調整することができる。制御部30によって圧接離間部(図示略)の動作が制御され、定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙を狭持して搬送する定着ニップが形成される。
トナー像が二次転写され、通紙経路に沿って搬送されてきた用紙は、定着部23を通過する際に加熱、加圧される。これにより、用紙にトナー像が定着する。
給紙部14は、給紙トレイ141及び手差し給紙部142を有する。給紙トレイ141には、坪量やサイズ等に基づいて識別された枚葉紙(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された紙種ごとに収容される。給紙トレイ141及び手差し給紙部142には、複数の給紙ローラー部が配置される。手差し給紙部142には、大容量の外部給紙装置(図示略)を接続することもできる。給紙部14は、給紙トレイ141又は手差し給紙部142から給紙された用紙を用紙搬送部16に送り込む。
排紙部15は、例えば排紙ローラー部151等を有し、用紙搬送部16から送出された用紙を機外に排紙する。
用紙搬送部16は、主搬送部161、スイッチバック搬送部162、裏面印刷用搬送部163、及び通紙経路切替部(図示略)等を備える。用紙搬送部16の一部は、例えば定着部23とともに1つのユニットに組み込まれ、画像形成装置1に着脱可能に装着されてもよい。
主搬送部161は、用紙を挟持して搬送する用紙搬送要素として、ループローラー部及びレジストローラー部を含む複数の搬送ローラー部を有する。主搬送部161は、給紙トレイ141又は手差し給紙部142から給紙された用紙を搬送して画像形成部20(中間転写部22、定着部23)に通紙するとともに、画像形成部20(定着部23)から送出された用紙を排紙部15又はスイッチバック搬送部162に向けて搬送する。
スイッチバック搬送部162は、定着部23から送出された用紙を一旦停止させ、搬送方向を逆転させて、排紙部15又は裏面印刷用搬送部163に搬送する。
裏面印刷用搬送部163は、スイッチバック搬送部162でスイッチバックされた用紙を主搬送部161に循環搬送する。主搬送部161には、裏面が画像形成面となった状態で用紙が通紙されることになる。
通紙経路切替部(図示略)は、定着部23から送出された用紙をそのままの状態で排紙するか、反転させて排紙するか、又は裏面印刷用搬送部163に搬送するかによって通紙経路を切り替える。具体的には、制御部30が、画像形成処理の処理内容(片面/両面印刷、フェイスアップ/フェイスダウン排紙等)に基づいて、通紙経路切替部(図示略)の動作を制御する。
給紙部14から給紙された用紙は、主搬送部161によって画像形成部20に搬送される。そして、用紙が転写ニップを通過する際、感光ドラム213上のトナー像が用紙の第1面(表面)に一括して転写され、定着部23において定着処理が施される。画像が形成された用紙は、排紙部15により機外に排紙される。用紙の両面に画像を形成する場合、第1面に画像が形成された用紙はスイッチバック搬送部162に送出され、裏面印刷用搬送部163を通って主搬送部161に戻ることにより反転されて、第2面(裏面)に画像が形成される。
制御部30は、演算/制御装置としてのCPU(Central Processing Unit)31、主記憶装置としてのROM(Read Only Memory)32及びRAM(Random Access Memory)33等を有する。ROM31には、基本プログラムや基本的な設定データが記憶される。CPU31は、ROM32又は記憶部17から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM32に展開し、展開したプログラムを実行することにより、画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。
なお、制御部30が実行する処理の一部又は全部は、処理に応じて設けられたDSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路によって実行されてもよい。
記憶部17は、例えば、不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブ等の補助記憶装置である。記憶部17は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Vversatile Disc)等の光ディスク、MO((Magneto-Optical disk)等の光磁気ディスクを駆動して情報を読み書きするディスクドライブであってもよい。また例えば、記憶部17は、USBメモリ、SDカード等のメモリカードであってもよい。
記憶部17は、例えば、トナー排出制御プログラムや、画像形成装置1の各ブロックの動作を制御する際に参照されるルックアップテーブル等を記憶する。これらのデータは、ROM32に記憶されてもよい。トナー排出制御用のプログラムは、例えば当該プログラムが格納されたコンピューター読取可能な可搬型記憶媒体(光ディスク、光磁気ディスク、及びメモリカードを含む)を介して提供される。また例えば、トナー排出制御用のプログラムは、当該プログラムを保有するサーバーから、ネットワークを介してダウンロードにより提供されてもよい。
通信部18は、例えばNIC(Network Interface Card)、MODEM(MOdulator-DEModulator)、USB(Universal Serial Bus)等の各種インターフェースである。通信部18には、NFC(Near Field Communication)やBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信用の通信インターフェースを適用することもできる。制御部30は、通信部18を介して、有線/無線LAN(Local Area Network)等のネットワークに接続された外部装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で、各種情報の送受信を行う。制御部30は、例えば、外部装置から送信された印刷ジョブデータを受信し、この印刷ジョブデータに基づいて入力画像データを作成する。印刷ジョブデータは、所定のページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述され、例えば図形や写真等の画像オブジェクトのデータ及び文字や記号等のテキストオブジェクトのデータを含む。
画像形成装置1では、トナーとキャリアが現像装置212内で攪拌されることに伴い、外添剤がトナー表面に埋没したり、トナーから離脱したりして、トナーが劣化する。そこで、画像形成装置1では、現像装置212内でストレスを受けた劣化トナーは、所定のトナー排出条件に従って強制的に排出され、新しいトナーと入れ替わるようになっている。なお、新しいトナーは、現像装置212内のトナー量(トナー濃度)に応じて、適宜補給される。トナー排出動作は、制御部30によって制御される。
ここで、トナー排出条件は、トナー排出動作におけるトナー排出量に関する条件、及び、トナー排出動作を実行するトナー排出タイミングに関する条件を含む。
画像形成装置1は、トナー排出動作を実行するモードとして、第1のトナー排出タイミング(本実施の形態では1枚の画像形成ごと)で紙間において実行される第1のトナー排出モード(以下、「RFPモード」と称する)と、第2のトナー排出タイミングでジョブ間において実行される第2のトナー排出モード(以下、「トナーリフレッシュモード」と称する)を有する。
RFPモードでは、中間転写ベルト221において、先行する用紙に転写されるトナー像と後続の用紙に転写されるトナー像との間(いわゆる紙間)に劣化トナーを排出するためのトナー像(以下、「排出用トナー像」と称する)が形成され、強制的に劣化トナーの排出が行われる。排出用トナー像は、先行する用紙が二次転写部を通過してから後続の用紙が二次転写部に到達するまでの間(いわゆる紙間)に転写部を通過するので、用紙には転写されず、クリーニング装置225で回収される。
RFPモードでのトナー排出動作は、ほぼ毎プリントの紙間で実行される。RFPモードでは、所定期間(例えば、前回のカバレッジ算出から今回のカバレッジ算出までの期間)に行われた画像形成の原稿カバレッジに基づいて、トナー排出量(排出カバレッジ)が決定される。すなわち、所定期間に発生すると想定される劣化トナー量と、画像形成によって消費されたトナー消費量との差分が、排出用トナー像として形成され、排出される。
なお、RFPモードでは、所定期間における平均原稿カバレッジと目標カバレッジとの差分に相当する量を算出してトナー排出量を制御してもよいし、1枚ごとに目標カバレッジと原稿カバレッジとの差分に相当する量を算出し、これを積算してトナー排出量を制御してもよい。ここで、目標カバレッジとは、現像装置212内のトナーが適度に入れ替わり、劣化トナーによる不具合が生じない程度のカバレッジである。一般に、原稿カバレッジが5%以上であれば、劣化トナーは発生しないとみなされる。つまり、この場合の目標カバレッジは、5%である。
本実施の形態では、RFPモードにおいて、所定期間に行われた画像形成の原稿カバレッジが平均で5%以下(目標カバレッジ以下)であることが検知された場合に、紙間において黒ベタのトナー帯(排出用トナー像)が形成される。このとき、画像形成によるトナー消費量と劣化トナーの排出量との合計が、5%のカバレッジ(目標カバレッジ)に相当する量となるように、トナー排出が行われるものとする。つまり、トナー排出条件の一つであるトナー排出量に関する条件として、「目標カバレッジが5%」という条件が設定される。
トナーリフレッシュモードでのトナー排出動作は、RFPモードに比較して長周期(例えば、200kp印刷ごと)で実行される。トナーリフレッシュモードは、RFPモードで排出可能なトナー量に制約があり、劣化トナーを十分に排出できない場合に有効である。
トナーリフレッシュモードでは、一連の画像形成を指示する印刷ジョブの実行中に印刷枚数が所定数に到達し、当該印刷ジョブが終了した後(いわゆるジョブ間)に、中間転写ベルト221に排出用トナー像が形成され、強制的に劣化トナーの排出が行われる。この場合は、RFPモードに比較して大量の劣化トナーが排出されるので、劣化トナーの排出とともに新しいトナーが補給される。
トナーリフレッシュモードにおいて、トナー排出動作が実行されるまでの期間は、RFPモードでトナーを排出する場合に比較して現像剤の劣化速度は速いが、トナー排出が行われると現像剤の寿命は一気に回復する。逆に、クリーニングブレード226については、トナー排出が行われるまでの期間は、RFPモードでトナーを排出する場合に比較して劣化速度は緩やかであるが、トナー排出が行われると一気に加速する。
トナーリフレッシュモードでは、例えば、所定期間に行われた画像形成の原稿カバレッジが5%以下(目標カバレッジ以下)であることが検知された場合に、5%との差分に相当する量が積算されていき、ある時点(第2のトナー排出タイミング)において排出不足分のトナーがまとめて排出されるように、トナー排出が行われる。
なお、RFPモードとリフレッシュモードは、それぞれ単独で使用してもよいし、併用することもできる。
ここで、原稿カバレッジが目標カバレッジ以上であり、画像形成によってトナーが適度に消費されれば、劣化トナーは発生しないとみなすことができる。つまり、1枚当たりのトナー消費量が所定量以下である場合、言い換えると、原稿カバレッジが目標カバレッジ以下である場合に、RFPモード又はトナーリフレッシュモードによるトナー排出が必要となる。トナー排出量は、1枚当たりのトナー消費量が所定量以上となるように、すなわち、1枚当たりのカバレッジが目標カバレッジ以上となるように設定される。本実施の形態では、目標カバレッジが5%である場合について説明する。
ところで、現像剤の寿命(印刷可能な枚数)は、トナー帯電量に基づいて算出される。トナー帯電量は、キャリア及びトナーの劣化度合いによって決まる。原稿カバレッジが目標カバレッジよりも低く、低カバレッジの画像が形成される場合は、トナーの劣化度合いが大きくなるため、トナーの劣化度合いによって現像剤の寿命が決まる。通常、現像剤のトナー帯電量が所定値以下になると、現像剤の交換が行われる。
一方、クリーニングブレード226は、トナーの外添剤がすり抜けるときに摩耗する。そのため、クリーニングブレード226の寿命は、トナーの通過量で決まる。特に、RFPモード又はトナーリフレッシュモードで排出された劣化トナーは、用紙に転写されずに中間転写ベルト221上に残存するため、クリーニングブレード226に与える負荷が大きくなる。クリーニングブレード226の摩耗が進むと、中間転写ベルト226上に残存する未転写トナーの除去が不完全となり、クリーニング不良が発生する虞がある。通常、トナー通過量が所定値以上になると、クリーニングブレード226の交換が行われる。
上述したように、画像形成装置1の使用に伴い現像剤やクリーニングブレード226の性能が低下していくと、寿命を迎えて交換が行われる。その際には、サービスマンが設置場所に訪問して交換を行うこととなる。ここで、現像剤とクリーニングブレード226を同時に交換できるように、それぞれの寿命が設定されていれば、2つを同時に交換することができる。
図3は、トナー排出量と、現像剤及びクリーニングブレード226の寿命との関係の一例を示す図である。図3において、横軸であるトナー排出量は、カバレッジ[%]で表されている。図3において、トナー排出量0%とは、原稿カバレッジが0%であり、トナーの排出も行われない(排出カバレッジが0%)ことを意味する。また、トナー排出量5%とは、画像形成によるトナー消費量と劣化トナーの排出量の合計が5%のカバレッジに相当することを意味する。例えば、原稿カバレッジが3%である場合、2%の排出カバレッジで劣化トナーが排出されることを意味する。
実際には、劣化トナーの排出量は、原稿カバレッジにより変化する。そのため、画像形成の実績(過去の原稿カバレッジ)に基づいて、平均的な劣化トナーの排出量(排出カバレッジの平均値)を算出し、今後も同等の原稿カバレッジで画像形成が行われるものとして、そのときの現像剤及びクリーニングブレード226の寿命が推定される。
図3に示す例では、画像形成によるトナー消費及び劣化トナーの排出により、1枚当たりのトナー消費量が5%のカバレッジに相当する場合は、現像剤の寿命は1200kp(120万枚)となり、クリーニングブレード226の寿命は400kp(40万枚)となっている。また、画像形成によるトナー消費及び劣化トナーの排出が行われない場合(現像剤が入れ替わることなく一方的にストレスを受ける場合)は、現像剤の寿命は400kp弱となり、クリーニングブレード226の寿命は600kpとなっている。すなわち、図3に示すように、トナー排出量が増大するに伴い、現像剤の寿命は延び、クリーニングブレード226の寿命は短くなる。言い換えると、低カバレッジで画像形成が行われる場合、劣化トナーの排出量を低減すると、現像剤の寿命は短くなるが、クリーニングブレード226の寿命は延びる。
図4A、図4Bは、現像剤及びクリーニングブレード226の性能直線の一例を示す図である。図4A、図4Bでは、現像剤及びクリーニングブレード226が図3に示すような寿命特性を有し、5%以上の原稿カバレッジで画像形成が行われる場合について示している。
図4Aに示すように、現像剤のトナー帯電量は、印刷枚数が増加するに伴い低下する。トナー帯電量が所定値になった時点が現像剤の交換時期となる。また、図4Bに示すように、クリーニングブレード226のクリーニング性能は、印刷枚数が増加するに伴い低下する。クリーニングブレード226のクリーニング性能は、トナー通過量に依存(反比例)する。クリーニング性能が所定値になった時点が、クリーニングブレード226の交換時期となる。
図4A、図4Bに示すように、5%以上の原稿カバレッジで画像形成が行われれば、劣化トナーは排出されないので、現像剤の交換時期は1200kp印刷時点となり、クリーニングブレード226の交換時期は600kp印刷時点となる。したがって、現像剤の1回目の交換時期とクリーニングブレード226の2回目の交換時期とが同時期になるので、2つを同時に交換することができる。
図5A、図5Bは、現像剤及びクリーニングブレード226の性能直線の一例を示す図である。図5A、図5Bでは、現像剤及びクリーニングブレード226が図3に示すような寿命特性を有し、RFPモードでトナー排出が行われる場合について示している。
図5Aに示すように、現像剤のトナー帯電量は、5%以上の原稿カバレッジで画像形成が行われトナー排出が行われない場合(図4A参照)と同様に、印刷枚数が増加するに伴い低下する。また、図5Bに示すように、クリーニングブレード226のクリーニング性能は、印刷枚数が増加するに伴い低下するが、トナー排出によりクリーニングブレード226に対する負荷が大きくなるため、トナー排出が行われない場合(図5Bの点線)に比較して、低下速度が速くなる。
図6A、図6Bは、現像剤及びクリーニングブレード226の性能直線の一例を示す図である。図6A、図6Bでは、現像剤及びクリーニングブレード226が図3に示すような寿命特性を有し、トナーリフレッシュモードでトナー排出が行われる場合について示している。なお、図6A、図6Bでは、トナーリフレッシュモードによるトナー排出の実施間隔が200kpである場合について示している。
図6Aに示すように、現像剤のトナー帯電量は、5%以上の原稿カバレッジで画像形成が行われる場合又はRFPモードによるトナー排出により5%の目標カバレッジが達成される場合(図6Aの点線)に比較して、トナー排出が行われるまでは低下速度が速いが、トナー排出に伴い一気に回復する。また、図6Bに示すように、クリーニングブレード226のクリーニング性能は、5%以上の原稿カバレッジで画像形成が行われる場合又はRFPモードによるトナー排出により5%の目標カバレッジが達成される場合(図6Bの点線)に比較して、トナー排出が行われるまでは同等の低下速度であるが、トナー排出に伴い一気に低下する。
また、トナーリフレッシュモードでは、トナー排出の実施間隔が長いほど必要排出量は多くなるため、実施間隔が長ければ、クリーニングブレード226の劣化は一気に進む。一方、トナー排出の実施間隔が短ければ、クリーニングブレード226の劣化は小さく抑えられるので、クリーニングブレード226の寿命を延ばすことができる。
このように、低カバレッジ(例えば、5%以下の原稿カバレッジ)で画像形成が行われると、強制的に劣化トナーの排出が行われる。そのため、初期状態において現像剤とクリーニングブレード226の寿命を一致させていても、現像剤の寿命よりも先にクリーニングブレード226の寿命がきてしまい、交換時期が合わなくなる。
ここで、上述したように、クリーニングブレード226の寿命は、劣化トナーの排出量を低減することにより、延ばすことができる。つまり、クリーニングブレード226の交換時期は、トナー排出条件(トナー排出量に関する条件及びトナー排出タイミングに関する条件)を調整することにより、先延ばしにすることができる。本実施の形態では、トナー排出条件を調整することにより、クリーニングブレード226の寿命を延ばして、クリーニングブレード226の交換時期と他の消耗品(特に、現像剤)の交換時期とができるだけ同時期になるようにしている。これにより、保守コスト及び消耗品コストを含むランニングコストを節減することができる。具体的には、図7又は図9に示すフローチャートに従って、RFPモード及びトナーリフレッシュモードにおけるトナー排出制御処理が実行される。
図7は、RFPモードにおけるトナー排出制御処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、画像形成装置1の電源が投入されることに伴い、CPU31がROM32に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。
なお、画像形成装置1の電源投入に伴い、現像剤及びクリーニングブレード226を交換してからの通算印刷枚数、前回のトナー排出動作からの印刷枚数及び画像形成の実績(原稿カバレッジ)、現像剤及びクリーニングブレード226の寿命等、トナー排出制御処理で使用される各種パラメーターが取得されるものとする。これらの情報は、例えば、ROM32に記憶されている。
RFPモードでは、1枚の画像形成ごとに、紙間で排出用トナー像が形成され、強制的に劣化トナーの排出が行われる。現像剤及びクリーニングブレード226は、図3、図5A及び図5Bに示すような寿命特性を有し、使用開始が同じであるものとする。RFPモードでは、現像剤とクリーニングブレード226の交換時期を合わせるために、トナー排出条件であるトナー排出量に関する条件として、目標カバレッジを最適化する。
図7のステップS101において、制御部30は、印刷ジョブを受信したか否かを判定する。印刷ジョブを受信していない場合(ステップS101で“NO”)、ステップS101の処理が繰り返される。印刷ジョブを受信した場合(ステップS101で“YES”)、ステップS102の処理に移行する。また、印刷ジョブを受信すると、制御部30は、印刷ジョブで指示されている画像形成ごとに印刷枚数を加算するとともに、原稿カバレッジを取得する。
ステップS102において、制御部30は、目標カバレッジ(トナー排出量に関する条件)の変更処理を行うか否かを判定する。例えば、現像剤又はトナー部材226の残り寿命が所定値となった時点で、目標カバレッジの変更処理が行われる。ここでは、現像剤の残り寿命が300kp、すなわち、現像剤を交換してからの通算印刷枚数が900kpとなったときに、目標カバレッジの変更処理が行われるものとする。目標カバレッジの変更処理を行う場合(ステップS102で“YES”)、ステップS109の処理に移行する。トナー排出量の変更処理を行わない場合(ステップS102で“NO”)、ステップS103の処理に移行する。
ステップS103において、制御部30は、RFPモードにおける排出カバレッジの算出タイミング(例えば、30sec)であるか否かを判定する。排出カバレッジの算出タイミングである場合(ステップS103で“YES”)、ステップS104の処理に移行する。排出カバレッジの算出タイミングでない場合(ステップS103で“NO”)、ステップS106の処理に移行する。
ステップS104において、制御部30は、カバレッジ情報を取得する。このカバレッジ情報は、例えば、前回の排出カバレッジの算出以降に行われた画像形成における原稿カバレッジの平均値であり、画像形成によるトナー消費量を表す。
ステップS105において、制御部30は、トナー排出量を設定する。具体的には、原稿カバレッジと排出カバレッジの和が、5%の目標カバレッジとなるように、排出カバレッジが算出される。そして、この排出カバレッジに相当する量が、トナー排出量として設定される。例えば、原稿カバレッジ(平均値)が2%である場合、排出カバレッジは3%となる。なお、ステップS110において、目標カバレッジが変更された場合には、変更後の目標カバレッジと原稿カバレッジとに基づいて、排出カバレッジが算出され、トナー排出量が設定される。
ステップS106において、制御部30は、トナー排出動作を制御する。具体的には、制御部30は、複数の紙間において黒ベタのトナー帯(排出用トナー像)を形成し、ステップS105で設定されたトナー排出量の劣化トナーを排出する。
ステップS107において、制御部30は、現像剤又はクリーニングブレード226の交換時期が到来したか否かを判定する。現像剤及びクリーニングブレード226の交換時期は、画像形成によるトナー消費量及び劣化トナーの排出量に基づいて算出される。なお、クリーニングブレード226の交換時期は、主に劣化トナーの排出量に依存する。現像剤又はクリーニングブレード226の交換時期が到来した場合(ステップS107で“YES”)、ステップS108の処理に移行する。現像剤及びクリーニング部材30の交換時期が到来していない場合(ステップS107で“NO”)、ステップS102の処理に移行する。なお、交換時期が到来する前に印刷ジョブが終了した場合は、ステップS101の処理に移行する。
ステップS108において、制御部30は、現像剤またはクリーニングブレード226の交換時期が到来していることを示す交換アラートを出力する。交換アラートは、例えば、表示部121における表示、または音声出力部(図示略)からの音声によって行われる。
ステップS109において、制御部30は、クリーニングブレード226の交換時期を、トナー排出量の調整により、現像剤の交換時期と同時期にできるか否かを判定する。例えば、制御部30は、トナー排出を行わず劣化が最小限に抑えられたときのクリーニングブレード226の交換時期と、このときの現像剤の交換時期を比較する。そして、クリーニングブレード226の交換時期と現像剤の交換時期との差が所定値以下(交換時期が逆転する場合を含む)となる場合に、交換時期を同時期にできると判定する。
クリーニングブレード226の交換時期を現像剤の交換時期に合わせられる場合(ステップS109で“YES”)、ステップS110の処理に移行する。クリーニングブレード226の交換時期を現像剤の交換時期に合わせられない場合(ステップS109で“NO”)、ステップS103の処理に移行する。クリーニングブレード226の交換時期を現像剤の交換時期に合わせられない場合は、目標カバレッジは変更されず、いままでと同様にして排出カバレッジが設定されることとなる。
ステップS110において、制御部30は、クリーニングブレード226の交換時期が、現像剤の交換時期に合うように、目標カバレッジを設定する。例えば、初期の排出カバレッジ(ここでは、5%の目標カバレッジを達成する値)を基準として、排出カバレッジを段階的に減少させたときの現像剤及びクリーニングブレード226の交換時期を推定する。そして、現像剤の交換時期(寿命)とクリーニングブレード226の交換時期(寿命)が最も近くなる場合の排出カバレッジを元に、目標カバレッジを設定する。
表1は、排出カバレッジ(トナー排出量)を段階的に減少させたときの現像剤及びクリーニングブレード226の推定交換時期の一例である。表1では、現像剤の残り寿命が300kpとなった時点、すなわち、現像剤を交換してからの通算印刷枚数が900kpとなった時点で、目標カバレッジの変更を行う場合について示している。また、表1では、過去の実績から、5%の目標カバレッジを達成するのに、排出カバレッジの平均が3%である場合(原稿カバレッジの平均が2%である場合)について示している。なお、クリーニングブレード226については、印刷枚数が480kpとなった時点で1回目の交換が行われたときの2回目の交換時期を、初期からの通算印刷枚数で示している。
表1では、初期の排出カバレッジである3%を基準(倍率1.0)として、所定の倍率(倍率0.9〜0)を乗じて排出カバレッジを段階的に減少させたときの、現像剤とクリーニングブレード226の交換時期を示している。例えば、倍率が0.4の場合の排出カバレッジは、3×0.4=1.2[%]となり、倍率が0.7の場合の排出カバレッジは、3×0.7=2.1[%]となる。
表1によると、今後も3%の排出カバレッジで劣化トナーの排出を行い、5%の目標カバレッジを達成した場合、現像剤の交換時期は1200kp印刷時点となり、クリーニングブレード226の交換時期は960kp印刷時点となる。これに対して、排出カバレッジを減少させた場合、すなわち目標カバレッジを減少させた場合、現像剤の交換時期は早くなり、クリーニングブレード226の交換時期は遅くなる。
表1において、倍率が0.2の場合に、現像剤の交換時期とクリーニングブレード226の交換時期が最も近くなる。すなわち、3×0.2=0.6[%]の排出カバレッジで劣化トナーの排出を行った場合に、現像剤の交換時期とクリーニングブレード226の交換時期が最も近くなる。したがって、図7のステップS110では、原稿カバレッジが2%のときに、排出カバレッジが0.6%となる目標カバレッジ、すなわち、2+0.6=2.6[%]が、今後の目標カバレッジとして設定される。
図7のステップS110において、目標カバレッジが変更されると、今後は、変更後の目標カバレッジと原稿カバレッジに基づいて排出カバレッジが算出され、排出カバレッジに相当するトナー排出量で劣化トナーの排出が行われる。このときの現像剤及びクリーニングブレード226の性能直線を図8A、図8Bに示す。図8A、図8Bでは、目標カバレッジを変更した後の性能直線を実線で示し、目標カバレッジを変更する前の性能直線を点線で示している。図8A、図8Bに示すように、目標カバレッジを変更した場合、現像剤とクリーニングブレード226の交換時期が同時期となっており、両方を同時に交換することができるので、保守コストを大幅に低減することができる。
このように、画像形成装置1は、第1のトナー排出タイミングで紙間において実行されるRFPモード(第1のトナー排出モード)を有する。制御部30は、クリーニングブレード226の交換時期が現像剤の交換時期と合うように、RFPモードにおける目標カバレッジ(トナー排出量に関する条件)を変更する。
目標カバレッジを変更して、クリーニングブレード226の交換時期を延ばすとともに、現像剤の交換時期を早めることにより、クリーニングブレード226の交換時期を現像剤の交換時期に合わせることができる。これにより、現像剤とクリーニングブレード226の交換時期が同時期となり、現像剤とクリーニングブレード226を同時に交換することができるので、ランニングコストを低減することができる。
なお、現像剤だけに着目すると、交換時期が早くなるので、現像剤コストが増大することになるが、交換のためのサービスマンの訪問回数が1回で済み保守コストを低減できることを考慮すると、トータルのランニングコストを低減できることになる。
上述したように、現像剤の交換時期とクリーニングブレード226の交換時期との差が最も小さくなるように目標カバレッジを設定した場合に、ランニングコストの低減効果は最大となる。ただし、目標カバレッジを初期値よりも減少させて、現像剤の交換時期とクリーニングブレード226の交換時期を近づけるだけでも、交換時期が早くなることによる現像剤コストの増大分より、現像剤とクリーニングブレード226を同時に交換することによる保守コストの低減分が大きければ、ランニングコストを低減することができる。
上述した例では、現像剤の残り寿命が300kpとなった時点で、目標カバレッジの変更を行っているが、目標カバレッジの変更処理を実行する時期を分散してもよい。また、目標カバレッジを変更した後、以降の画像形成における原稿カバレッジに応じて目標カバレッジを更新してもよい。これにより、現像剤とクリーニングブレード226の交換時期を精度よく合わせることができる。
図9は、トナーリフレッシュモード(図9では「TRFモード」と表記)におけるトナー排出制御処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、画像形成装置1の電源が投入されることに伴い、CPU31がROM32に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。
なお、画像形成装置1の電源投入に伴い、現像剤及びクリーニングブレード226を交換してからの通算印刷枚数、前回のトナー排出動作からの印刷枚数及び画像形成の実績(原稿カバレッジ)、現像剤及びクリーニングブレード226の寿命等、トナー排出制御処理で使用される各種パラメーターが取得されるものとする。これらの情報は、例えば、ROM32に記憶されている。
トナーリフレッシュモードでは、ジョブ間に、中間転写ベルト221に排出用トナー像が形成され、強制的に劣化トナーの排出が行われる。現像剤及びクリーニングブレード226は、図3、図6A及び図6Bに示すような寿命特性を有し、使用開始が同じであるものとする。トナーリフレッシュモードでは、現像剤とクリーニングブレード226の交換時期を合わせるために、トナー排出条件である第2のトナー排出タイミングの最適化が行われる。
図9のステップS201において、制御部30は、印刷ジョブを受信したか否かを判定する。印刷ジョブを受信していない場合(ステップS201で“NO”)、ステップS201の処理が繰り返される。印刷ジョブを受信した場合(ステップS201で“YES”)、ステップS202の処理に移行する。また、印刷ジョブを受信すると、制御部30は、印刷ジョブで指示されている画像形成ごとに印刷枚数を加算するとともに、原稿カバレッジを取得する。
ステップS202において、制御部30は、トナー排出タイミングの変更処理を行うか否かを判定する。例えば、現像剤又はクリーニングブレード226の残り寿命が所定値となった時点で、トナー排出タイミングの変更処理が行われる。ここでは、現像剤の残り寿命が400kp、すなわち、現像剤を交換してからの通算印刷枚数が800kpとなったときに、トナー排出量の変更処理が行われるものとする。トナー排出タイミングの変更処理を行う場合(ステップS202で“YES”)、ステップS210の処理に移行する。トナー排出タイミングの変更処理を行わない場合(ステップS202で“NO”)、ステップS203の処理に移行する。
ステップS203において、制御部30は、トナーリフレッシュモードにおけるトナー排出動作を実行するタイミング(第2のトナー排出タイミング)であるか否かを判定する。本実施の形態では、200kpごとに第2のトナー排出タイミングが到来する。第2のトナー排出タイミングである場合(ステップS203で“YES”)、ステップS204の処理に移行する。第2のトナー排出タイミングでない場合(ステップS203で“NO”)、ステップS202の処理に移行する。なお、第2のトナー排出タイミングが到来する前に印刷ジョブが終了した場合は、ステップS201の処理に移行する。
ステップS204において、制御部30は、現在の印刷ジョブで指示された一連の画像形成が終了したか否かを判定する。現在の印刷ジョブが終了していない場合(ステップS204で“NO”)、ステップS204の処理が繰り返される。現在の印刷ジョブが終了した場合(ステップS204で“YES”)、ステップS205の処理に移行する。
ステップS205において、制御部30は、カバレッジ情報を取得する。このカバレッジ情報は、例えば、前回のトナー排出以降に行われた画像形成における原稿カバレッジの平均値であり、画像形成によるトナー消費量を表す。
ステップS206において、制御部30は、トナー排出量を設定する。具体的には、原稿カバレッジと排出カバレッジの和が、5%の目標カバレッジとなるように、排出カバレッジが算出さる。そして、この排出カバレッジに相当する量が、トナー排出量として設定される。例えば、原稿カバレッジ(平均値)が2%である場合、排出カバレッジは3%となる。なお、前回のトナー排出動作以降に行われた画像形成において、原稿カバレッジが5%以下であることが検知された場合に、5%との差分に相当するトナー量(排出不足分)を積算しておき、この積算値がトナー排出量として設定されるようにしてもよい。
ステップS207において、制御部30は、トナー排出動作を制御する。具体的には、制御部30は、ジョブ間において黒ベタのトナー帯(排出用トナー像)を形成し、ステップS206で算出されたトナー排出量の劣化トナーをまとめて排出する。
ステップS208において、制御部30は、現像剤又はクリーニングブレード226の交換時期が到来したか否かを判定する。現像剤及びクリーニングブレード226の交換時期は、画像形成によるトナー消費量及び劣化トナーの排出量に基づいて算出される。なお、クリーニングブレード226の交換時期は、主に劣化トナーの排出量に依存する。現像剤又はクリーニング部材30の交換時期が到来した場合(ステップS208で“YES”)、ステップS209の処理に移行する。現像剤及びクリーニング部材30の交換時期が到来していない場合(ステップS208で“NO”)、ステップS201の処理に移行する。
ステップS209において、制御部30は、現像剤またはクリーニングブレード226の交換時期が到来していることを示す交換アラートを出力する。交換アラートは、例えば、表示部121における表示、または音声出力部(図示略)からの音声によって行われる。
ステップS210において、制御部30は、クリーニングブレード226の交換時期を、トナー排出量の調整により、現像剤の交換時期と同時期にできるか否かを判定する。例えば、制御部30は、トナー排出動作の実施間隔をいままでの1/2にしたときのクリーニングブレード226の交換時期と、このときの現像剤の交換時期を比較する。そして、クリーニングブレード226の交換時期と現像剤の交換時期との差が所定値以下(交換時期が逆転する場合を含む)となる場合に、交換時期を同時期にできると判定する。
クリーニングブレード226の交換時期を現像剤の交換時期に合わせられる場合(ステップS210で“YES”)、ステップS211の処理に移行する。クリーニングブレード226の交換時期を現像剤の交換時期に合わせられない場合(ステップS210で“NO”)、ステップS203の処理に移行する。クリーニングブレード226の交換時期を現像剤の交換時期に合わせられない場合は、トナー排出タイミングは変更されず、いままでと同じトナー排出タイミングでトナー排出が行われることとなる。
ステップS211において、制御部30は、クリーニングブレード226の交換時期が、現像剤の交換時期に合うように、トナー排出タイミング(第2のトナー排出タイミング)を設定する。例えば、初期のトナー排出タイミングを基準として、トナー排出タイミングを段階的に早くしたときの現像剤及びクリーニングブレード226の交換時期を推定する。そして、現像剤の交換時期(寿命)とクリーニングブレード226の交換時期(寿命)が最も近くなる場合を、次回のトナー排出タイミングとして決定する。
表2は、トナー排出タイミングを段階的に早めたときの現像剤及びクリーニングブレード226の推定交換時期の一例である。表2では、現像剤の残り寿命が400kpとなった時点、すなわち、現像剤を交換してからの通算印刷枚数が800kpとなった時点で、トナー排出タイミングの変更を行う場合について示している。また、表2では、過去の実績から、5%の目標カバレッジを達成するのに、排出カバレッジの平均が3%である場合(原稿カバレッジの平均が2%である場合)について示している。
表2では、初期のトナー排出タイミング、すなわち印刷枚数が1000kpに到達した時点を基準として、トナー排出タイミングを10kpずつ早めたときの、現像剤とクリーニングブレード226の交換時期を示している。
表2によると、印刷枚数が1000kpに到達した時点で次回のトナー排出を行う場合、現像剤の交換時期は1200kp印刷時点となり、クリーニングブレード226の交換時期は1040kp印刷時点となる。これに対して、トナー排出タイミングを早めた場合、現像剤の交換時期は早くなり、クリーニングブレード226の交換時期は遅くなる。
表2において、印刷枚数が910kpに到達した時点で次回のトナー排出を行った場合に、現像剤の交換時期とクリーニングブレード226の交換時期が最も近くなる。したがって、図9のステップS211では、910kp印刷時点が、次回のトナー排出タイミングとして設定される。
図9のステップS211において、トナー排出タイミングが変更されると、印刷枚数が910kpに到達した時点で次回のトナー排出が実施される。このときの現像剤及びクリーニングブレード226の性能直線を図10A、図10Bに示す。図10A、図10Bでは、トナー排出タイミングを変更した場合の性能直線を実線で示し、トナー排出タイミングを変更しない場合の性能直線を点線で示している。図10A、図10Bに示すように、トナー排出タイミングを変更した場合、現像剤とクリーニングブレード226の交換時期が同時期となっており、両方を同時に交換することができるので、保守コストを大幅に低減することができる。
なお、図10A、図10Bに示すように、トナーリフレッシュモードによるトナー排出の実施間隔が短くなる、すなわち、初期のトナー排出タイミングより早くトナー排出が行われると、トナー排出量は少なくなる。したがって、トナー帯電量の回復は小さく、クリーニングブレード226のクリーニング性能の低下も小さくなる。
このように、画像形成装置1は、第2のトナー排出タイミングでジョブ間において実行されるトナーリフレッシュモード(第2のトナー排出モード)を有する。制御部30は、クリーニングブレード226の交換時期が現像剤の交換時期と合うように、トナーリフレッシュモードにおける第2のトナー排出タイミングを変更する。
トナーリフレッシュモードでは、トナー排出タイミングを変更して、クリーニングブレード226の交換時期を延ばすとともに、現像剤の交換時期を早めることにより、クリーニングブレード226の交換時期を現像剤の交換時期に合わせることができる。これにより、現像剤とクリーニングブレード226の交換時期が同時期となり、現像剤とクリーニングブレード226を同時に交換することができるので、ランニングコストを低減することができる。
なお、現像剤だけに着目すると、交換時期が早くなるので、現像剤コストが増大することになるが、交換のためのサービスマンの訪問回数が1回で済み保守コストを低減できることを考慮すると、トータルのランニングコストを低減できることになる。
上述したように、現像剤の交換時期とクリーニングブレード226の交換時期との差が最も小さくなるように次回のトナー排出タイミングを設定した場合に、ランニングコストの低減効果は最大となる。ただし、次回のトナー排出タイミングを初期のトナー排出タイミングよりも早めて、現像剤の交換時期とクリーニングブレード226の交換時期を近づけるだけでも、交換時期が早くなることによる現像剤コストの増大分より、現像剤とクリーニングブレード226を同時に交換することによる保守コストの低減分が大きければ、ランニングコストを低減することができる。
上述した例では、現像剤の残り寿命が400kpとなった時点で、トナー排出タイミングの変更を行っているが、トナー排出タイミングの変更処理を実行する時期を分散してもよい。
このように、画像形成装置1は、トナー像を担持する中間転写ベルト221(像担持体)と、トナー及びキャリアを含む二成分系の現像剤を収容し、中間転写ベルト221にトナーを供給する現像装置212(現像部)と、中間転写ベルト221上のトナー像を用紙に転写する二次転写部(転写部)と、中間転写ベルト221上に残存するトナーを除去するクリーニングブレード226と、トナー排出条件に従って、現像装置212におけるトナー排出動作を制御する制御部30と、を備える。制御部30は、クリーニングブレード226の交換時期が、現像剤(他の消耗品)の交換時期と合うように、トナー排出条件を設定する。
画像形成装置1によれば、クリーニングブレード226の交換時期を現像剤の交換時期に合わせることができるので、保守コストを大幅に低減することができ、画像形成装置1のランニングコストを低減することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、実施の形態では、トナー排出条件を変更することにより、クリーニングブレード226の交換時期を現像剤の交換時期に合わせる場合について説明したが、クリーニングブレード226の交換時期を他の消耗品(例えば、帯電装置214の帯電極)の交換時期に合わせるようにしてもよい。不具合等で現像剤を途中で交換した場合等、現像剤とクリーニングブレード226の交換時期が大きくずれている場合、現像剤とクリーニングブレード226の交換時期を合わせることは困難となるが、クリーニングブレード226の交換時期を他の消耗品の交換時期に合わせることにより、保守コストを大幅に低減することができる。
また例えば、実施の形態では、現像剤の交換時期までの期間(残り寿命)が所定値となった場合に、トナー排出条件(トナー排出量又はトナー排出タイミング)の変更処理を行っているが、クリーニングブレード226の交換時期までの期間が所定値となった場合に、トナー排出条件の変更処理を行うようにしてもよい。
実施の形態では、中間転写方式のカラー画像形成装置に本発明を適用した場合について説明したが、直接転写方式の画像形成装置やモノクロ画像形成装置に本発明を適用することもできる。なお、直接転写方式の画像形成装置においては、感光ドラムが像担持体に相当する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。