以下、本発明に係る光モジュール、及び、その製造方法の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施形態)
まず、本実施形態の光モジュールについて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る光モジュールを示す平面図である。
図1に示すように、本実施形態の光モジュール1は、基板10と、光電変換素子20と、光ファイバ30と、光透過樹脂41と、固定樹脂45とを主な構成として備える。
基板10は、本実施形態ではプリント配線板であり、基板本体11と、基板本体11上に形成される端子12及びランド13,14とを備える。基板本体11は、ガラスエポキシやセラミック等の絶縁体から成る板状の部材である。また、端子12及びランド13,14は、銅箔等の導電体から成る。ランド13は、光電変換素子20の信号用の端子と接続されるためのランドであり、ランド14は、光電変換素子20のグランド端子と接続されるためのランドであり、端子12は、外部の機器と接続される端子である。一方の端子12とランド13、及び他方の端子12とランド14とは、それぞれ図示しない配線や他の電子部品を介して互いに電気的に接続されている。
図2は、図1の光モジュールの要部を示す拡大平面図であり、図3は、図2のIII−III線に沿った光モジュールの断面図である。ただし、図2では、光電変換素子20の一部を示し、図3では、基板10を省略している。
図1から図3に示すように、基板10上には光電変換素子20が固定されている。光電変換素子20は、GaAs(ガリウムヒ素)等から成る基体にInGaP(インジウムガリウムリン)等から成る受発光部25が設けられる素子で光半導体素子と呼ばれる場合がある。光電変換素子20は、光信号から電気信号への変換を行う受光素子または電気信号から光信号への変換を行う発光素子とされる。光電変換素子20はこのように受光や発光を行うため、光電変換素子20の所定の面である素子面21からは受発光部25が露出しており、この露出した部分が受発光面26とされる。受発光部25は光の受光または発光を行う。なお、ここでいう露出とは光学的に露出していることを指し、例えば、受発光部25上に薄い透明な層が形成されていても良い。
光電変換素子20が受光素子である例としては、フォトダイオード等を挙げることができ、この場合、受発光部25は受光部とされ、素子面21は受光素子面とされ、受光部の受光面が受光素子面から露出する。また、光電変換素子20が発光素子である例としては、面発光レーザダイオード等を挙げることができ、この場合、受発光部25は発光部とされ、素子面21は発光素子面とされ、発光部の発光面が発光素子面から露出する。
なお、本実施形態では、光電変換素子20は1つの受発光部25を有している。また、光電変換素子20は、図2、図3に示すように、その表面に絶縁層27と配線層28とが積層されており、受発光面26は、これら絶縁層27及び配線層28から露出している。また、光電変換素子20の素子面21には配線層28を介して受発光部25と電気的に接続される信号用の端子23が形成されており、素子面21と反対側には図示せぬグランド端子が形成されている。端子23と基板10のランド13とは、ワイヤ配線15を介して電気的に接続され、図示せぬグランド端子と基板のランド14とが電気的に接続されている。ワイヤ配線15は、導電性の配線であり、例えば、金、アルミニウム、銅等の金属から成る。なお、本実施形態とは異なるが、グランド端子が素子面21に形成される場合もあり、この場合当該グランド端子と電気的に接続されるランドがランド13とは別に設けられ、当該グランド端子と当該ランドとがワイヤ配線等で電気的に接続される。
また、光電変換素子20の素子面21における受発光部25を基準とした光ファイバ30側と反対側には溝部16が形成されている。つまり、本実施形態では、溝部16は、光電変換素子20の素子面21における受発光部25と端子23との間に形成されている。また、本実施形態では、溝部16は、受発光面26の向く方向から見る場合に、受発光部25を囲む円弧状の曲線状に形成されている。すなわち、溝部16は、受発光部25側が凹状とされる曲線状に形成されている。この溝部16により、溝部16の受発光部25側に段差部17が形成され、この段差部17によりエッジ18が形成されている。溝部16が上記の形状とされるため、段差部17及びエッジ18も受発光面26が向く方向から見る場合に、受発光部25を囲む円弧状の曲線状に延在する。また、本実施形態では、エッジ18の角度が概ね90度とされる。このエッジ18を縁の一部として、素子面21における受発光面26を含む領域が、光透過樹脂41が配置される樹脂配置領域40とされる。従って、段差部17は、樹脂配置領域40と端子23との間に形成されると共に当該縁の少なくとも一部に沿って形成され、素子面21が凹む形状とされる。また、上記エッジ18の形状より、受発光面26の向く方向から見る場合に樹脂配置領域40の光ファイバ30側と反対側における縁の少なくとも一部の形状は、受発光部25を囲む円弧状の曲線状となる。
また、光電変換素子20の素子面21上には、光ファイバ30が固定されている。光ファイバ30は、コア31と、コア31の外周面を囲むクラッド32とクラッド32の外周面を被覆する保護層33とを有する。コア31の平均屈折率はクラッド32の屈折率よりも高くされる。このような光ファイバ30としては、コア31及びクラッド32が石英から形成される石英系光ファイバや、コア31及びクラッド32がプラスチックから形成されるプラスチック光ファイバや、コア31が石英から形成されクラッド32がプラスチックから形成されるポリマークラッド光ファイバ等を挙げることができる。また、コア31の屈折率分布で分類すると、光ファイバ30としては、例えば、コア31の中央部の屈折率がコア31の外周部の屈折率よりも高くされるグレーデッドインデックスファイバや、コア31の径方向の屈折率が概ね一定であるステップインデックスファイバ等を挙げるとこができる。なお、保護層33は、例えば光硬化樹脂等から形成される。
光ファイバ30は、例えば、複数のモードの光を伝搬するマルチモードファイバとされる。クラッド32の外径は特に限定されないが、例えば125μmとされ、コア31の直径は、マルチモードファイバの場合、例えば50μmとされる。なお、光ファイバ30は、基本モードの光のみを伝搬するシングルモードファイバであっても良く、この場合、コア31の直径は、例えば10μmとされる。
光ファイバ30は、光電変換素子20に固定される側の一方の端部において、保護層33からクラッド32が露出するように所定の長さ口出しされている。また、本実施形態では、光ファイバ30の端面は長手方向に垂直とされる。この口出しの長さは、例えば、10μm以上15mm以下とされることが好ましく、1.5mm以上5mm以下とされることがより好ましい。クラッド32が口出しされた光ファイバ30の一方の端部は、クラッド32の外周面が光電変換素子20の素子面21に接するように光電変換素子20上に配置されている。このため、光ファイバ30は、長手方向が受発光面26に沿って配置されている。また、光ファイバ30は、受発光面26の向く方向から見る場合に、少なくとも受発光面26の中心と重ならないように配置されると共に、光ファイバ30のコア31の中心を通る直線が受発光部25の中心を通るように配置されている。また、図2、図3に示すように、光ファイバ30は、受発光面26の全体と重ならないように配置されることがより好ましい。
光ファイバ30の一方の端部が光電変換素子20上に配置された状態において、光ファイバ30の保護層33と保護層33から露出したクラッド32の一部は、固定樹脂45により基板10に固定されている。固定樹脂45は、硬質な樹脂であり、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂またはこれらを混合または合成した樹脂等の光硬化樹脂とされる。この固定樹脂45により、光ファイバ30の位置が動くことが抑制される。
また、光電変換素子20上に配置された光ファイバ30の一方の端部は、光透過樹脂41で光電変換素子20に固定されている。光透過樹脂41は、光ファイバ30を伝搬する光を透過する樹脂から構成される。このような樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂またはこれらを混合または合成した樹脂等の光硬化樹脂を挙げることができ、光透過樹脂41は、樹脂配置領域40に塗布により配置された後に硬化されている。
なお、上記のように光ファイバ30が配置された状態で、光ファイバ30のコア31を長手方向に沿って光透過樹脂41の表面の所定領域42に映し出して内部反射させ、光電変換素子20に映し出される光ファイバ30のコア31の領域が射影領域AR1とされる。この射影領域AR1は上記樹脂配置領域40内に位置し、本実施形態では、受発光部25は射影領域AR1内に位置する。つまり、光ファイバ30の一方の端部は、このように受発光部25が位置するように光電変換素子20上に配置されるのである。また、受発光面26の向く方向から見る場合において、段差部17の光ファイバ30の長手方向に垂直な方向における長さL1は、射影領域AR1における光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の長さM1以上とされることが好ましい。さらに、本実施形態では、受発光部25の露出する方向から見る場合において、段差部17の上記長さL1は、端子23の光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の長さT1以上とされている。
樹脂配置領域40に配置される光透過樹脂41は、段差部17のエッジ18まで配置されており、段差部17内には入り込んでいない。上記のように段差部17及びエッジ18は受発光部25を囲む円弧状の曲線状に延在するため、エッジ18まで配置される光透過樹脂41の縁も受発光部25を囲む円弧状の曲線状に延在する。このため、本実施形態では、光透過樹脂41の表面の少なくとも一部が受発光部25を囲む曲面状に形成されており、光透過樹脂41は全体として概ね円錐状の形状とされる。
また、この光透過樹脂41は、表面の所定領域42で光を内部反射することにより、光ファイバ30のコア31と光電変換素子20の受発光部25とを光学的に結合させている。従って、図3において破線で示す光軸Cのように、光ファイバ30と受発光部25との間を伝搬する光は、光透過樹脂41の表面の所定領域42で内部反射して伝搬する。この所定領域42が、上記の受発光部25を囲む曲面状に形成された光透過樹脂41の表面の一部とされる。
また、本実施形態では、受発光部25が露出する受発光面26の中心から上記所定領域42までの距離と、光ファイバ30の端面におけるコア31の中心から上記所定領域42までの距離とが互いに等しくされている。従って、図3に示すように、受発光面26の垂線に対する光を内部反射する上記所定領域42の角度をθとすると、角度θは、40度以上50度以下であることが好ましく、45度であることがより好ましい。
なお、光透過樹脂41は、固定樹脂45よりも軟質であることが好ましい。仮に、光透過樹脂41が固定樹脂45よりも硬質である場合、光モジュール1に振動等が加わり、固定樹脂45が変形して光ファイバ30の端部が動くと、当該端部の動きによる応力が光電変換素子20にかかり、光電変換素子20に損傷を与える懸念がある。しかし、上記のように光透過樹脂41が固定樹脂45よりも軟質であれば、固定樹脂45が変形する場合に、当該変形により光ファイバ30に過度の応力が加わって光ファイバ30が損傷することを抑制したり、当該変形による光ファイバ30の端部の動きを光透過樹脂41が吸収することで、光電変換素子20が損傷することを抑制したりすることができる。
次に光モジュール1の動作について説明する。
光モジュール1の光電変換素子20が発光素子の場合、光モジュール1の端子12に入力する電気信号に基づき、光電変換素子20の端子23に電気信号が入力し、発光部である受発光部25から光が出射する。受発光部25から出射する光は、光透過樹脂41の表面の所定領域42で内部反射し、光ファイバ30のコア31に入射し、コア31を一方の端部から他方の端部に向かって伝搬する。
一方、光モジュール1の光電変換素子20が受光素子の場合、光ファイバ30の一方の端部から光が出射すると、コア31から出射する光は、光透過樹脂41の表面の所定領域42で内部反射し、受光部である受発光部25で受光される。受発光部25で光が受光されると、光電変換素子20の端子23から電気信号が出力し、当該電気信号に基づく電気信号が光モジュール1の端子12から出力する。
このように、光ファイバ30のコア31や光電変換素子20の受発光部25から光が出射する際に、光は所定の発散角を有して出射して、当該発散角を有して光透過樹脂41内を伝搬する。しかし、本実施形態では、段差部17のエッジ18の形状が上記のように曲線状とされ、光が内部反射する所定領域42が受発光部25を囲むような曲面状とされる。従って、所定領域42で内部反射した光は、発散角が抑えられる。このため、本実施形態の光モジュール1によれば、光の損失を抑制することができ、効率の良い光電変換をすることができる。
次に、本実施形態の光モジュールの製造方法について説明する。
図4は、図1に示す光モジュール1を製造する工程手順の一例を示すフローチャートである。図4に示すように本実施形態の光モジュール1の製造方法は、配置工程P1と、塗布工程P2と、硬化工程P3とを主な工程として備える。
<配置工程P1>
まず、図1に示すような、予め光電変換素子20が実装された基板10、及び、光ファイバ30を準備する。準備された光電変換素子20が実装された基板10において、端子23と基板10のランド13とは、ワイヤ配線15を介して電気的に接続されている。また、光電変換素子20の素子面21には溝部16が形成され、溝部16により段差部17が形成されている。溝部16は、例えば、エッチング等により形成されている。また、光ファイバ30は、上記のように一方の端部が口出しされた状態とされる。
このように光電変換素子20が実装された基板10と光ファイバ30とが準備された後、配置工程P1を行う。本工程は、長手方向が受発光部25の受発光面26に沿って延在するように光ファイバ30の一方の端部を配置する工程である。本工程では、受発光面26が向く方向から見る場合に、光ファイバ30の口出しされた一方の端部を、樹脂配置領域40における受発光部25を基準とした段差部17と反対側において、光電変換素子20の素子面21と重なるようにし、かつ、少なくとも受発光部25の中心と重ならないようにして配置する。また、本実施形態では、光ファイバ30のコア31の中心を通る直線が、図2に示すように、受発光面26が向く方向から見る場合に、受発光部25の中心を通るようにする。そして、本実施形態では、光ファイバ30の一方の端部を素子面21に接触するように素子面21上に配置する。こうして、図5に示すように光ファイバ30が配置された状態とされる。
<塗布工程P2>
次に、塗布工程P2を行う。本工程は、光電変換素子20における受発光部25が露出する受発光面26を含む樹脂配置領域40と光ファイバ30の一方の端部との間に光透過樹脂41を塗布する工程である。本工程では、図6に示す様に、素子面21の上方から、受発光部25に、精密ディスペンサ等の樹脂ディップ装置50を用いて、未硬化の光透過樹脂41を図6の矢印に示す方向に滴下する。このとき、本実施形態では、樹脂ディップ装置50の光透過樹脂が射出する領域は、光ファイバ30の先端の一部及び受発光部25と重なっており、光透過樹脂は光ファイバ30の側面にも塗布される。すると、滴下された光透過樹脂41は、光ファイバ30の一方の端部と樹脂配置領域40との間に充填され、光ファイバ30の一方の端部及び樹脂配置領域40内に濡れ広がる。しかし、光透過樹脂41は段差部17のエッジ18に達すると、光透過樹脂41の表面張力によりエッジ18で止まる傾向にある。その後、光透過樹脂41が適切な量だけ素子面21上に配置され、光透過樹脂41が受発光部25と光ファイバ30の一方の端部との間に適切に充填された時点で、樹脂の滴下を停止する。その結果、本実施形態では、樹脂は全体として概ね円錐状の形状となり、エッジ18に沿った部分においてはその傾斜面が曲面形状とされる。
また、本実施形態では、上記のように、受発光面26の向く方向から見る場合において、段差部17の光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の長さL1は、端子23の光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の長さT1以上とされている。従って、樹脂配置領域40から端子23に光透過樹脂41が直進して濡れ広がる場合に、光透過樹脂41は段差部17のエッジ18により止められる。
<硬化工程P3>
次に、硬化工程P3を行う。本工程は、光透過樹脂41が受発光面26と光ファイバ30の一方の端部とに接した状態で、光透過樹脂41を硬化する工程である。本工程では、素子面21上に配置された光透過樹脂41の種類に応じて、未硬化の光透過樹脂41を硬化させる。例えば、光透過樹脂41が紫外線硬化樹脂である場合には紫外線の照射を行い、光透過樹脂41が熱硬化樹脂である場合には加熱を行い、光透過樹脂41を硬化させる。これにより、光透過樹脂41は、光電変換素子20の受発光部25と光ファイバ30のコア31とを光学的に結合する光結合部とされる。
また、硬化工程P3の後、或いは、配置工程P1と塗布工程P2との間において、固定樹脂45により光ファイバ30を基板10に固定する基板固定工程を行う。この工程は、配置された光ファイバ30と基板10との間に固定樹脂45を塗布して、硬化することにより行う。固定樹脂45が紫外線硬化樹脂である場合には紫外線の照射により硬化を行い、固定樹脂45が熱硬化樹脂である場合には加熱により硬化を行う。
こうして、図1に示す光モジュール1が製造される。
以上説明したように、本実施形態の光モジュール1の製造方法は、光電変換素子20の素子面21から受発光部25が露出する受発光面26に沿って長手方向が延在するように光ファイバ30の一方の端部を配置する配置工程P1と、素子面21における受発光面26を含む樹脂配置領域40に光透過樹脂41を塗布する塗布工程P2と、光透過樹脂41が受発光面26と光ファイバ30の一方の端部とに接した状態で光透過樹脂41を硬化する硬化工程P3と、を備える。そして、この光電変換素子20は、樹脂配置領域40と端子23との間において、素子面21が凹む段差部17を有する。
未硬化の樹脂を基材に塗布する場合に、平面では濡れ広がる場合であっても、段差のエッジでは濡れ広がりが止まる傾向にある。従って、本実施形態の光モジュール1の製造方法によれば、塗布工程P2において、光透過樹脂41の表面張力により、当該光透過樹脂41の濡れ広がりを段差部17のエッジ18で止め易くすることができる。従って、光透過樹脂41が濡れ広がる場合であっても、光透過樹脂41が端子23まで到達することを抑制することができる。このため、端子23に接合されるワイヤ配線15に光透過樹脂41が接触することを抑制でき、光透過樹脂41の熱膨張や熱収縮によりワイヤ配線15に応力が加わることを抑制することができる。また、光透過樹脂41は光電変換素子20の放熱の妨げになる傾向にあるが、段差部17により光透過樹脂41の塗布範囲を制限することができるため、製造される光モジュール1の放熱の低下を抑し得る。従って、本実施形態の光モジュール1の製造方法によれば、信頼性に優れる光モジュール1を製造し得る。なお、硬化工程P3において光透過樹脂41が受発光面26と光ファイバ30の一方の端部とに接した状態とされれば、配置工程P1と塗布工程P2とはどちらが先に行われても良く、配置工程P1の少なくとも一部と塗布工程P2の少なくとも一部とが同時に行われても良い。
また、本実施形態の光モジュール1の製造方法では、段差部17は、樹脂配置領域40と端子23との間に形成されると共に当該縁の少なくとも一部に沿って形成されている。従って、光透過樹脂41が塗布される領域をより正確に制御することができ、段差部17が設けられていない場合と比べて、光透過樹脂41の形状をより正確に制御することができる。従って、光ファイバ30のコア31と光電変換素子20の受発光部25との間における光の結合損失を抑制しうる光モジュール1を製造することができる。
また、本実施形態の光モジュール1は、光電変換素子20と、光ファイバ30と、光透過樹脂41とを備え、光電変換素子20は、樹脂配置領域40と端子23との間において、素子面21が凹む段差部17を有し、光透過樹脂41は、段差部17に入り込まない。
このように光透過樹脂41が段差部17に入り込まないことで、光透過樹脂41が端子23に接合されるワイヤ配線15に接触することを抑制できる。従って、光透過樹脂41の熱膨張や熱収縮により、ワイヤ配線15に応力が加わることを抑制することができる。また、光電変換素子20に段差部17が形成されることにより、段差部17が形成されない場合と比べて光電変換素子20の表面積を増加させることでき、光電変換素子20の放熱性を高めることができる。また、上記のように光透過樹脂41は光電変換素子20の放熱の妨げになる傾向にあるが、段差部17により光透過樹脂41が広がることが抑制されているため、本実施形態の光モジュール1は放熱の低下を抑制し得る。こうして本実施形態の光モジュール1は、信頼性に優れたものとすることができる。
また、本実施形態では、段差部17は、受発光部25を囲む曲線状に延在し、光透過樹脂41は段差部17のエッジ18まで到達している。光透過樹脂41を塗布する場合、当該樹脂は受発光部25を囲む曲線状に濡れ広がる傾向にある。しかし、本実施形態では、段差部17が受発光部25を囲む曲線状に形成されるため、塗布された光透過樹脂の濡れ広がりを効果的に止め得る。また、上記のように光透過樹脂41は光電変換素子20の放熱の妨げになる傾向にあるが、本実施形態では段差部17が受発光部25を囲む曲線状に延在することで、本実施形態のように光透過樹脂41が段差部17のエッジまで濡れ広がる場合であっても、塗布される光透過樹脂41の光電変換素子20との接触面積すなわち樹脂配置領域40の面積を小さくすることができる。このため、本実施形態の光モジュール1は放熱の低下を抑制し得る。
また、本実施形態では、このような曲線状に延在する段差部17のエッジ18で樹脂が止まっている。このため、光透過樹脂41の光が内部反射する表面の所定領域42を受発光部25を囲むような曲面状の形状に形成し易くすることができる。上記のように、光電変換素子20が発光素子であり受発光部25が発光部である場合、受発光部25から出射する光は所定の発散角を有して伝搬する。このように光が所定の発散角を有して伝搬する場合に、上記のように光透過樹脂41の光が内部反射する表面の所定領域42を受発光部25を囲むような曲面状の形状とされることで、反射した光を光ファイバ30のコア31に入射させ易くすることができる。また、光電変換素子20が受光素子であり受発光部25が受光部である場合、光ファイバ30のコア31から出射する光は、所定の発散角を有して光透過樹脂41内を伝搬する。この場合であっても、上記のように光透過樹脂41の光が内部反射する表面の所定領域42を受光部を囲むような曲面状の形状とされることで、反射した光を受光部に入射させ易くすることができる。
特に本実施形態では、光ファイバ30は、受発光面26の向く方向から見る場合に受発光部25とコア31の中心を通る直線と重なるように配置される。このため、光を内部反射する所定領域42が上記のように曲面状に形成されることで、受発光部25と光ファイバ30のコア31との光学的な結合をより強くすることができる。こうして、本構成によれば、光の結合損失をより抑えた光モジュール1とし得る。
なお、塗布工程P2において、滴下する樹脂の量や粘度等をコントロールすることで、図3に示す光透過樹脂41における上記所定領域42の角度θがコントロールされた光透過樹脂41を形成することができる。この角度θは、上記のように、受発光部25から出射する光を内部反射する所定領域42の角度である。本実施形態の光モジュールの製造方法では、段差部17のエッジ18で塗布された光透過樹脂41が留まる傾向にあるため、段差部が形成されていない場合には濡れ広がってしまう量の光透過樹脂41を塗布する場合であっても、濡れ広がりを抑制して塗布する光透過樹脂41の量を増やすことができる。図7は、第1実施形態に係る光モジュールの他の例を示す断面図である。図7に示すように、この光モジュールでは、光透過樹脂41は段差部17のエッジ18まで到達し、上記実施形態よりも光透過樹脂41の量が増やされて、角度θが調整されている。この場合、光を内部反射する所定領域42は、例えば、放物面とされる。この場合、受発光部25が光透過樹脂41の当該放物面の焦点に一致するように所定領域42の形状を制御することで、光電変換素子20が発光素子である場合、発光素子からの光を放物面で概ね平行光となるように内部反射して光ファイバ30のコア31に入射することができ、結合する光量を増やすことができる。また、光電変換素子20が受光素子である場合、同様に光ファイバ30のコア31からの光を放物面で平行光となるように内部反射して受光素子に集光することができ、結合する光量を増やすことができる。この様に、樹脂配置領域40の縁に沿って段差部17が形成される場合には、段差部17のエッジ18で樹脂の濡れ広がりを抑制することで、図7に示すような光透過樹脂41の形状も適切に調整することができる。
また、段差部17は溝部16により形成されるため、エッチング等により容易に段差部17を形成することができる。
また、本実施形態において、光電変換素子20は、樹脂配置領域40と端子23との間において段差部17を有し、当該段差部17は、樹脂配置領域40の縁に沿って形成された。しかし、段差部17は、光電変換素子20の樹脂配置領域40と端子23との間であれば、いずれの位置に形成されても良い。図8は、段差部17が本実施形態と異なる位置に形成される変形例を示す平面図である。図8に示すように、本変形例の段差部17は、樹脂配置領域40と端子23との間における樹脂配置領域40の縁から離れた位置に形成されている。段差部17がこのように形成される場合であっても、塗布工程P2において、滴下される光透過樹脂41の量と粘度とを調整することで、光透過樹脂41が濡れ広がる領域や形状をコントロールすることができる。しかし、光透過樹脂41が濡れ広がる場合がある。光透過樹脂41を塗布する場合、上記のように、当該樹脂は受発光部25を囲む曲線状に濡れ広がる傾向にある。しかし、本実施形態では、段差部17が受発光部25を囲む曲線状に形成されるため、塗布された光透過樹脂が濡れ広がってしまう場合であっても、当該濡れ広がりを効果的に止め得る。こうして、段差部17のエッジ18より、段差部17よりも端子23側に光透過樹脂41が入り込むことを抑制できるため、端子23に接合されるワイヤ配線15に光透過樹脂41が接触することを抑制できる。従って、本変形例の光電変換素子20を用いる場合であっても、信頼性に優れる光モジュール1を製造し得る。また、本変形例の場合であっても、受発光面26の向く方向から見る場合において、段差部17の光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の長さL1は、端子23の光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の長さT1以上とされることが好ましい。なお、上記実施形態のように、段差部17が樹脂配置領域40の縁に沿って形成される場合には、光電変換素子20の形状をよりコントロールし易いためより好ましい。
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について図9、図10を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図9は、本実施形態に係る光モジュールの要部を示す拡大平面図であり、図10は、図9のX−X線に沿った光モジュールの断面図である。
本実施形態の光電変換素子20は、複数の受発光部25A〜25Cを備える点において、第1実施形態の光電変換素子20と異なる。なお、本実施形態では、受発光部の数が3つの例を示しているが、受発光部の数は3つに限定されない。それぞれの受発光部25A〜25Cは、配線層28を介して互いに並列に接続されており、第1実施形態において、受発光部25が端子23と電気的に接続されるのと同様にして、それぞれの受発光部25A〜25Cは配線層28を介して端子23と電気的に接続される。
また、本実施形態においても第1実施形態と同様に光電変換素子20の素子面21における受発光部25A〜25Cを基準とした光ファイバ30側と反対側に溝部16が形成されている。ただし、本実施形態の溝部16は、第1実施形態の溝部16と異なり、受発光面26の向く方向から見る場合に、光ファイバ30の一方の端部の長手方向に垂直な方向に沿った直線状に形成されている。従って、溝部16により形成される段差部17及び段差部17のエッジ18も光ファイバ30の一方の端部の長手方向に垂直な方向に沿った直線状に形成されている。このエッジ18を縁の一部として、素子面21における受発光部25A〜25Cが露出する受発光面26を含む領域が、本実施形態の樹脂配置領域40とされる。つまり、本実施形態においても、段差部17は、樹脂配置領域40と端子23との間に形成されると共に当該縁の少なくとも一部に沿って形成され、素子面21が凹む形状とされる。この段差部17が上記のように直線状に形成されるため、樹脂配置領域40の光ファイバ30側と反対側における縁の少なくとも一部は、光ファイバ30の一方の端部の長手方向に垂直な方向に沿った直線状とされる。
また、本実施形態では、それぞれの受発光部25A〜25Cのうち少なくとも2つの受発光部25B,25Cは、エッジ18に沿って設けられている。これらエッジ18に沿って設けられる受発光部25B,25Cは、複数の受発光部25A〜25Cの中で最もエッジ18に近い位置で、光ファイバ30から最も離れた位置に設けられている。
なお、本実施形態においても、受発光部25の露出する方向から見る場合において、段差部17の光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の長さL2は、端子23の光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の長さT2以上とされている。
また、それぞれの受発光部25A〜25Cは、第1実施形態の射影領域AR1と同様に定義される射影領域AR2内に位置している。つまり、射影領域AR2内にそれぞれの受発光部25A〜25Cが位置するように光ファイバ30は配置される。この状態において、それぞれの受発光部25A〜25Cは、光ファイバ30のコア31の中心軸の延長線が光透過樹脂41の表面で内部反射され素子面21に映し出された点から互いに等しい距離に位置することが、それぞれの受発光部25A〜25Cとコア31との光学的な結合を均一に近づけることができる観点から好ましい。また、受発光部25の露出する方向から見る場合において、段差部17の上記長さL2は、射影領域AR2における光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の長さM2以上とされることが好ましい。
光ファイバ30の構成は第1実施形態の光ファイバ30と同様であり、光電変換素子20上に配置された口出しされた光ファイバ30の一方の端部は、光透過樹脂41で光電変換素子20上に固定されている。また、第1実施形態と同様に光透過樹脂41は、光電変換素子20の素子面21の樹脂配置領域40に塗布により配置されている。
また、上記のように樹脂配置領域40の縁の一部は、光ファイバ30の一方の端部の長手方向に垂直な方向に沿った直線状とされる。このため、光透過樹脂41の表面の少なくとも一部は概ね平面状の形状とされ、光透過樹脂41は全体として概ね三角柱状の形状とされる。従って、上記の射影領域AR2は、コア31の半径と概ね同じ半径を有する円形とされ、当該円形の射影領域AR2内に、それぞれの受発光部25A〜25Cが配置されている。
また、この光透過樹脂41は、第1実施形態と同様に表面の所定領域42で光を内部反射することにより、光ファイバ30のコア31と光電変換素子20のそれぞれの受発光部25とを光学的に結合させている。この所定領域42が、上記の概ね平面状に形成された光透過樹脂41の表面の一部とされる。従って、上記射影領域AR2は第1実施形態の射影領域AR1よりも大きくなる傾向にある。この様に所定領域42が概ね平面状とされることで、射影領域AR2を大きくすることができるので、本実施形態のように受発光部が複数の場合であっても、それぞれの受発光部25A〜25Cをコア31の射影領域AR2内に配置し易い。
次に本実施形態の光モジュールの動作について説明する。
光モジュールの光電変換素子20が発光素子であり、それぞれの受発光部25A〜25Cが発光部である場合、光モジュールの端子12に入力する電気信号に基づき、光電変換素子20の端子23に電気信号が入力し、それぞれの受発光部25から光が出射する。各受発光部25から出射する光は、光透過樹脂41の表面の所定領域42で内部反射し、光ファイバ30のコア31に入射し、コア31を一方の端部から他方の端部に向かって伝搬する。このとき、上記のように所定領域42が概ね平面状であるため、それぞれの受発光部25A〜25Cから出射する光を適切にコア31に入射させることができる。
なお、本実施形態の光モジュールは第1の実施形態の光モジュール1の製造方法と同様の製造方法により製造することができる。本実施形態においても、塗布工程P2において、塗布された光透過樹脂41は樹脂配置領域40内を濡れ広がり、光透過樹脂41が段差部17のエッジ18に達すると、表面張力によりエッジ18で止まる。このとき、上記のように、受発光部25の露出する方向から見る場合において、段差部17の光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の長さL2は、端子23の光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の長さT2以上とされている。従って、樹脂配置領域40から端子23に光透過樹脂41が直進して濡れ広がる場合に、光透過樹脂41は段差部17のエッジ18により止められる。また、塗布された光透過樹脂41は、エッジ18が直線状であるため、表面の一部が概ね平面状とされる。こうして、光透過樹脂41の全体的な形状が概ね三角柱状とされる。
以上のように、本実施形態の光モジュールによれば、段差部17が直線状であるため、段差部17が曲線状の場合と比べて段差部17を形成するための加工をより容易に行うことができる。
また、本実施形態の光モジュールにおいて、光電変換素子20はコア31と光学的に結合する受発光部25A〜25Cを複数有する。上記のように、段差部17は光ファイバ30の一方の端部の長手方向に垂直な直線状に延在し、段差部17のエッジ18まで光透過樹脂41が到達するため、光透過樹脂41の光が内部反射する表面の所定領域42の形状を平面に近づけることができる。このため、それぞれの受発光部25A〜25Cとコア31との光学的な結合の効率を均一に近づけることができる。それぞれの受発光部25A〜25Cとコア31との光学的な結合の効率に大きな差がある場合、最もコア31との光学的な結合の効率が高い受発光部が機能しなくなると、コア31と複数の受発光部とが結合する全体の光量が大きく変化する。これに対し、上記のようにそれぞれの受発光部25A〜25Cとコア31との光学的な結合の効率が均一に近い場合、どれか一つの受発光部25A〜25Cが機能しなくなっても、コア31と複数の受発光部25A〜25Cが結合する光量が大きく変化することを抑制することができる。この場合、どれか一つの受発光部が機能しなくなっても、光モジュールが機能しなくなることを抑制し得る。また、上記のように光透過樹脂41の光が内部反射する表面の所定領域の形状を平面に近づけることにより、複数の受発光部25A〜25Cの位置がずれても、それぞれの受発光部25A〜25Cとコア31との光学的な結合の効率のずれを抑制することができる。このため信頼性に優れる光モジュールとすることができる。なお、上記のように、それぞれの受発光部25A〜25Cが、光ファイバ30のコア31の中心軸の延長線が光透過樹脂41の表面で内部反射され素子面21に映し出された点から互いに等しい距離に位置すれば、それぞれの受発光部25A〜25Cとコア31との光学的な結合をより均一に近づけることができるためより好ましい。
また、エッジ18に沿って少なくとも2つの受発光部25B,25Cが設けられるため、それぞれの受発光部25B,25Cと光ファイバ30のコア31との光学的な結合をより強くすることができる。従って、本実施形態の構成によっても、光の結合損失を抑えた光モジュールとし得る。
なお、本実施形態においても、段差部17は、光電変換素子20の樹脂配置領域40と端子23との間であれば、いずれの位置に形成されても良い。つまり、段差部17は、樹脂配置領域40と端子23との間における樹脂配置領域40の縁から離れた位置に形成されても良い。
(第3実施形態)
次に本発明の第3実施形態について図11を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図11は、本実施形態に係る光モジュールの要部を示す拡大平面図である。図11に示すように、本実施形態の光モジュール1は、受発光面26の向く方向から見る場合において、光電変換素子20の段差部17が端子23を囲む曲線状に延在する点において、第1実施形態の光モジュール1と異なる。
なお、本実施形態においても、受発光面26の向く方向から見る場合において、段差部17の光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の長さL3は、端子23の光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の長さT1以上とされている。
本実施形態の光モジュール1の製造方法は、第1実施形態の光モジュール1の製造方法と同様とされる。このとき、上記のように、段差部17の光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の長さL1が端子23の光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の長さT1以上とされているため、樹脂配置領域40から端子23に光透過樹脂41が直進して濡れ広がる場合に、光透過樹脂41は段差部17のエッジ18により止められる。また、上記のように段差部17が端子23を囲む曲線状に延在することで、塗布工程P2において、光透過樹脂41が樹脂配置領域40から端子23に向かって直線的に流れず、光透過樹脂41が樹脂配置領域40から端子23に向かって弧を描いて回り込むように流れる場合であっても、当該光透過樹脂41が段差部17に入り込むことを抑制することができる。従って、本実施形態によれば、光透過樹脂41が端子23に接触することをより抑制することができる。従って、より信頼性に優れる光モジュールを製造することができる。
以上、本発明について、第1〜第3実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、上記第1実施形態〜第3実施形態において、段差部17の光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の長さは、端子23の光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の長さ以上とされた。しかし、本発明は、樹脂配置領域40と端子23との間の少なくとも一部に段差部17が形成されていれば良く、段差部17の光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の長さが端子23の光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の長さより小さくても良い。図12は段差部17の第1の変形例を示す平面図である。図12に示すように、第1〜第3実施形態と同様にして、樹脂配置領域40と端子23との間に溝部16が設けられる。ただし、本変形例では、段差部17の光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の長さが端子23の光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の長さより小さくなるように、溝部16が形成されている。この場合においても、少なくとも段差部17が形成されている部位においては、光透過樹脂41が端子23に向かって濡れ広がることを抑制し得る。ただし、より適切に光透過樹脂41が端子23に向かって濡れ広がることを抑制するためには、樹脂配置領域40と端子23との間の全てを跨るように段差部17が形成されることが好ましい。
また、上記実施形態において、段差部17が光ファイバ30の長手方向に垂直な方向に延在する長さは、射影領域の光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の長さM1,M2以上とされた。しかし、本発明はこれに限らない。上記図12に示すように、溝部16の長さが射影領域の光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の長さよりも短くされても良い。この場合、段差部17の長さも、射影領域の光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の長さよりも短くされる。この場合においても、段差部17が樹脂配置領域40の縁に沿って形成される場合には、少なくとも段差部17が形成されている部位において、段差部17のエッジにより光透過樹脂41の形状をコントロールし得る。ただし、段差部17が樹脂配置領域40の縁に沿って形成される場合に、より適切に光透過樹脂41の形状をコントロールするためには、上記実施形態のように、段差部17が延在する長さは、射影領域の光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の長さ以上とされることが好ましい。
また、段差部17が複数に分かれていても良い。図13は、段差部17の第2の変形例を示す平面図である。図13に示すように、本変形例では、溝部16が複数形成され、段差部17も複数個所に形成される。このように、段差部17を複数個所に設けても、光透過樹脂41が端子23に向かって濡れ広がることを抑制することができる。
また、素子面21の受発光部25と端子23との間に凸部を形成することで、段差部17を形成しても良い。図14は、段差部17の第3の変形例を示す断面図である。図14に示すように、本変形例では、受発光部25と端子23との間に凸部19が設けられている。この凸部19は、樹脂配置領域40内に設けられ、凸部19の端子23側の段差部17のエッジ18は、樹脂配置領域40の縁に位置する。従って、段差部17は、上記実施形態の段差部17と同様に、樹脂配置領域40から樹脂配置領域40外に進む場合に素子面21が凹む形状とされる。この様な段差部17によっても、エッジ18で塗布された光透過樹脂41を止めることができ、光透過樹脂41の形状をコントロールし得る。
また、溝部16は必須の構成ではない。例えば、樹脂配置領域40と端子23との間に形成される段差部17により、素子面21が凹み、端子23まで平坦な形状とされても良い。ただし、溝部16は切削等により容易に形成できるため、溝部16により段差部17を形成した方が、簡易に段差部17を形成することができる。
また、上記実施形態では、エッジ18の角度が概ね90度とされた。しかし、エッジ18の当該角度は90度に限らない。図15は、段差部17の第4の変形例を示す断面図である。図15に示す様に、溝部16を段差部17のエッジ18の角度αが鋭角となるように形成しても良い。このエッジ18の角度αが鋭角になることで、光透過樹脂41をエッジ18でより止めやすくすることができる。従って、本変形例によれば、光透過樹脂41の形状をより適切にすることができ、光の結合損失をより抑えた光モジュールとし得る。
また、例えば、第1〜第3実施形態においては光電変換素子に固定される光ファイバの一方の端部のクラッドの外周面が素子面に接触しているが、光ファイバ30の一方の端部のクラッド32の外周面が素子面と離間している構成にも良い。
また、例えば、第1〜第3実施形態では、光ファイバ30の一方の端部は、長手方向が受発光部25の受発光面26に沿って配置された。受発光面26と光ファイバ30の長手方向とが平行であることが好ましいが、受発光面26に沿うとは、厳密な意味での平行を意味するものではない。
また、第1、第3実施形態では、受発光部25が射影領域AR1内に配置され、第2実施形態では、受発光部25A〜25Cが射影領域AR2内に配置された。しかし、受発光部は、射影領域内に少なくとも一部が位置するように配置されれば良い。ただし、受発光部と光ファイバ30のコア31との光学的な結合効率の観点から、射影領域内に受発光部の光軸が位置することが好ましく、上記実施形態のように射影領域内に受発光面26の全体が位置することがより好ましい。なお、受発光部の一部が、射影領域外に位置する場合、受発光面26は上記樹脂配置領域40内に位置し、この場合、段差部17の光ファイバ30の長手方向に垂直な方向における長さL1,L2は、全ての受発光面26を含む領域における光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の長さ以上とされることが好ましい。