JP2019156788A - アルキルフェノール類の製造方法 - Google Patents

アルキルフェノール類の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】経済性に優れ、工業的に優位な、6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノール及び4−イソプロピル−3−メチルフェノールの製造方法を提供する。【解決手段】6−tert−ブチル−3−メチルフェノールに対し、イソプロピル化剤を1.0モル当量以上用いることを特徴とする、6−tert−ブチル−3−メチルフェノールのイソプロピル化による6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールの製造方法、および該製造方法で得られた6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールを脱ブチル化して4−イソプロピル−3−メチルフェノールを製造する方法。【選択図】なし

Description

本発明は、3−メチルフェノールから4−イソプロピル−3−メチルフェノールを製造する方法に関する。
4−イソプロピル−3−メチルフェノール(下記、化学式(1))は、殺菌剤、抗菌剤、防腐剤として、医薬品、医薬部外品、化粧品などに使用されており、近年ハンドソープなどのパーソナルケア用品に有効成分として広く使用されるようになってきた。
4−イソプロピル−3−メチルフェノールを商業生産しようとする場合、出発原料に工業的に大量生産されている3−メチルフェノール(下記、化学式(2))を用い、プロピレン、ハロゲン化イソプロピル、イソプロパノールなどのイソプロピル化剤を酸触媒共存下で反応させる方法が、原材料の入手容易性及び経済性の観点から一般的に選択される(以下、「従来技術1」という)。
特許文献1では、4−イソプロピル−3−メチルフェノールを選択的に合成する方法が提示されており、予め3−メチルフェノールの4位(水酸基に対してパラ位)をハロゲン化した原料を準備し、クロスカップリング反応を利用し4−イソプロピル−3−メチルフェノールを合成している。この方法は、選択率が高く、反応後の溶液に目的生成物以外の副生物が少ないため、精製が容易になる点で非常に優れた方法である(以下、「従来技術2」という)。
フェノール類のパラ位を選択的にアルキル化する方法として、予めオルト位をtert−ブチル基で保護する方法が古くから知られている。また、一般的に、フェノール類のアルキル化反応は、モノアルキル化体のほか、ジアルキル化体や、トリアルキル化体のように芳香環上に複数のアルキル基を有する化合物が副生する。このような多置換アルキル化体の副生を極力抑制し、モノアルキル化体の効率を向上させるためには、フェノール類に対してアルキル化剤を1.0モル当量未満で用いることが通常である。
特許文献2には、3−メチルフェノールをブチル化して6−tert−ブチル−3−メチルフェノール(下記、化学式(3))を得、次いで、6−tert−ブチル−3−メチルフェノールをイソプロピル化して6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノール(下記、化学式(4))を得、最後に6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールを脱ブチル化処理により、4−イソプロピル−3−メチルフェノールを合成する方法が記載されている(以下、「従来技術3」という)。
従来技術3では、6−tert−ブチル−3−メチルフェノールのイソプロピル化の際に、イソプロピル化剤を6−tert−ブチル−3−メチルフェノールに対して0.9モル当量用いて反応を行っている。また、ブチル化及び脱ブチル化反応については、ほぼ定量的にそれぞれの目的とする生成物を得ることができる。
国際特許公報第2015/199202 米国特許公報第2603662
従来技術1では、3−メチルフェノールのパラ位(3−メチルフェノールの水酸基を基準)と比較して、オルト位の方がイソプロピル化されやすいことが知られており、目的の4−イソプロピル−3−メチルフェノールよりも6−イソプロピル−3−メチルフェノール(下記、化学式(5))の方が高い比率で生成し、かつ他の部位がイソプロピル化された異性体も複数生成するため、4−イソプロピル−3−メチルフェノールを目的に効率的に製造する方法としては課題がある。
従来技術2では、イソプロピル化の目的位置がハロゲン化された原料を用意する必要があるため、3−メチルフェノールを出発原料として4−イソプロピル−3−メチルフェノールを合成する場合、選択的に4位をハロゲン化することが困難である。また、イソプロピル化剤に高価なアルキル亜鉛化合物を用いる必要がある。
また、6−tert−ブチル−3−メチルフェノールのイソプロピル化に対する反応点は、2位、4位及び5位であるが、2位と5位は電子的かつ隣接する置換基の立体障害により、イソプロピル化反応に対する活性が4位より低いと考えられる。そのため、イソプロピル化剤を過剰量用いてもジイソプロピル化体は生成しないと推測される。
しかし、酸性条件下での脱ブチル化反応の併発により、3−メチルフェノールや6−イソプロピル−3−メチルフェノール、あるいは生成物である6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールの脱ブチル体である4−イソプロピル−3−メチルフェノールを経由して、4、6−ジイソプロピル−3−メチルフェノールが生成することが考えられる。
実際、従来技術3では、イソプロピル化剤を6−tert−ブチル−3−メチルフェノールに対して0.9モル当量用いているにも関わらず、ジイソプロピル化体の生成が確認され、イソプロピル化反応の収率が低く、3−メチルフェノール基準での4−イソプロピル−3−メチルフェノールの収率は低い結果となっている。
本発明は、経済性に優れ、工業的に優位な、6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノール及び4−イソプロピル−3−メチルフェノールの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の発明者は、上記課題の解決のため、イソプロピル化剤を6−tert−ブチル−3−メチルフェノールに対して1.0モル当量以上用いることで、6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールの脱ブチル化反応より6−tert−ブチル−3−メチルフェノールのイソプロピル化の反応速度が高くなれば、6−イソプロピル−3−メチルフェノールやジイソプロピル体と比較して、目的の6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールが優先して得られると仮定して、鋭意検討を重ねた。その結果、6−tert−ブチル−3−メチルフェノールのイソプロピル化の際に、6−tert−ブチル−3−メチルフェノールに対してイソプロピル化剤を1.0モル当量以上用いると、1.0モル当量未満の使用時に比べて、6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールの収率を向上させることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[5]に記載の事項を含む。
[1]6−tert−ブチル−3−メチルフェノールに対し、イソプロピル化剤を1.0モル当量以上用いることを特徴とする、6−tert−ブチル−3−メチルフェノールのイソプロピル化による6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールの製造方法。
[2]触媒として塩化アルミニウムを使用することを特徴とする、上記[1]に記載の6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールの製造方法。
[3]溶媒としてニトロベンゼンを使用することを特徴とする、上記[2]に記載の6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールの製造方法。
[4]4−イソプロピル−3−メチルフェノールの製造方法であって、6−tert−ブチル−3−メチルフェノールをイソプロピル化して6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールを得る工程(工程B)と、前記6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールを脱ブチル化して4−イソプロピル−3−メチルフェノールを得る工程(工程C)とを含み、前記工程Bが上記[1]〜[3]のいずれかに記載の方法であることを特徴とする、4−イソプロピル−3−メチルフェノールの製造方法。
[5]4−イソプロピル−3−メチルフェノールの製造方法であって、3−メチルフェノールをブチル化して6−tert−ブチル−3−メチルフェノールを得る工程(工程A)と、前記6−tert−ブチル−3−メチルフェノールをイソプロピル化して6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールを得る工程(工程B)と、前記6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールを脱ブチル化して4−イソプロピル−3−メチルフェノールを得る工程(工程C)とを含み、前記工程Bが上記[1]〜[3]のいずれかに記載の方法であることを特徴とする、4−イソプロピル−3−メチルフェノールの製造方法。
本発明により、6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノール及び4−イソプロピル−3−メチルフェノールを経済性に優れ、工業的に優位な方法で製造できる。
図1は、3−メチルフェノールから4−イソプロピル−3−メチルフェノールを製造する合成スキームを示した図である。 図2は、トリフルオロメタンスルホン酸ハフニウム(IV)触媒を使用した際の、6−tert−ブチル−3−メチルフェノールのイソプロピル化反応における、イソプルピル化剤使用量と収率の関係を示したグラフである。 図3は、塩化アルミニウム触媒を使用した際の、6−tert−ブチル−3−メチルフェノールのイソプロピル化反応における、イソプロピル化剤使用量と収率の関係を示したグラフである。 図4は、塩化アルミニウム触媒を使用した際の、6−tert−ブチル−3−メチルフェノールのイソプロピル化反応における、イソプロピル化剤使用量とオルト/パライソプロピル化体比の関係を示したグラフである。 図5は、塩化アルミニウム触媒を使用した際の、6−tert−ブチル−3−メチルフェノールのイソプロピル化反応における、イソプロピル化剤使用量とジ−/モノ−イソプロピル化体比の関係を示したグラフである。
以下に、本発明について詳細に説明する。
<6−tert−ブチル−3−メチルフェノール>
6−tert−ブチル−3−メチルフェノールは、3−メチルフェノールをブチル化して得たものや市販のものを特に限定せずに使用することができる。
<3−メチルフェノールのブチル化(工程A)>
3−メチルフェノールのブチル化は、一般的な方法を利用できる。例えば、触媒として活性白土やゼオライト等の固体酸触媒や、アルミニウム等のルイス酸、硫酸などのブレンステッド酸等の存在下、ブチル化剤としてイソブテンや2−クロロ−2−メチルプロパン等を用いる方法が挙げられる。
<6−tert−ブチル−3−メチルフェノールのイソプロピル化反応(工程B)>
[イソプロピル化剤]
イソプロピル化剤は一般的に使用されているものでよく、例えば、プロピレン、2−ハロゲン化プロパン、イソプロパノール、ジイソプロピルエーテル、ジイソプロピルエステル等が挙げられる。これらの中でも、反応性、入手容易性、価格の面などから、プロピレン、2−クロロプロパン、イソプロパノールが好ましい。
[イソプロピル化剤の使用量]
通常、モノアルキル化反応はアルキル化剤をアルキル化する化合物に対して、1.0モル当量未満使用する。しかし、本反応においてはむしろイソプロピル化剤の使用量を、6−tert−ブチル−3−メチルフェノールに対して1.0モル当量以上用いる方が、6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノール、及び後述する工程Cを経て得られる4−イソプロピル−3−メチルフェノールの収率は向上する。
その結果、アルキル化剤よりフェノール類が希少又は高価な場合、フェノール類の転化率は100%にすることが可能なため、フェノール類の利用効率が高くなり経済性の面で有利となる。
イソプロピル化剤の使用量は、6−tert−ブチル−3−メチルフェノールに対し、1.0モル当量以上であるが、1.0モル当量以上12.0モル当量以下の範囲が好ましく、1.1モル当量以上6.0モル当量以下の範囲がより好ましい。
[触媒]
イソプロピル化に用いる触媒は特に限定されないが、芳香族化合物のアルキル化反応やアシル化反応に使用されるもの、すなわちフリーデル・クラフツ型の反応に活性がある化合物が適している。このような化合物としては、例えば、ルイス酸、ブレンステッド酸などが挙げられる。
例えば、触媒として用い得るルイス酸の代表的なものとしては、周期表の13族元素(B:ホウ素、Al:アルミニウム、Ga:ガリウム、In:インジウム)及び4族元素(Ti:チタン、Zr:ジルコニウム、Hf:ハフニウム)等のハロゲン化物、酸化物又はトリフルオロメタンスルホン酸塩;Sc:スカンジウム、Y:イットリウム、V:バナジウム、Fe:鉄、Co:コバルト、Ni:ニッケル、Cu:銅、Ag:銀、Zn:亜鉛、Ge:ゲルマニウム、Sn:スズ、Bi:ビスマス等のハロゲン化物、酸化物又はトリフルオロメタンスルホン酸塩;などが挙げられる。
これら以外にも、ルイス酸として活性がある物質(例えばアルミニウムフェノキシド)が使用でき、これらを蒸着、含侵、化学結合等によって固体担持させた触媒も使用することができる。
触媒として用い得るブレンステッド酸の代表的なものとしては、硫酸、リン酸、ポリリン酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられる。
また、上記触媒として固体酸触媒も使用でき、例えば、ゼオライト、活性白土等の粘土鉱物類、シリカ、陽イオン交換樹脂等が挙げられる。
触媒は、事前に調製してから反応器に導入して使用してもよく、反応器内で反応直前に調製したものを使用してもよい。
これら触媒は単独で使用してもよいし、複数を混合して使用してもよい。
これら触媒を用いる場合には、共触媒とともに用いてもよい。例えば、塩化アルミニウム等のルイス酸を用いる場合、反応の活性を向上させるため、共触媒として塩化水素ガスを添加することが古くから知られており、その方法も使用することができる。
これらの触媒の中でも、周期表の13族元素(B:ホウ素、Al:アルミニウム、Ga:ガリウム、In:インジウム)、及び4族元素(Ti:チタン、Zr:ジルコニウム、Hf:ハフニウム)等のハロゲン化物、酸化物又はトリフルオロメタンスルホン酸塩が好ましく、活性が高い点ではトリフルオロメタンスルホン酸ハフニウム(IV)、塩化アルミニウムがより好ましく、入手容易性、安価な点から、塩化アルミニウムが特に好ましい。
触媒の使用量は特に制限されないが、反応温度や反応時間等、製造する際の生産性や経済性を考慮して適宜決定することができる。ただし、触媒の使用量が多過ぎると、脱ブチル化反応も起きやすくなり収率低下の原因になるため、使用量は、6−tert−ブチル−3−メチルフェノールに対して、1〜50モル当量が好ましい。
[溶媒]
使用する溶媒は、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ニトリル類、アルコール類、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等の有機ハロゲン化物等、特に限定されないが上記触媒が活性を失わないものが好ましい。
これらの溶媒の中で、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ニトロメタン等の脂肪族ニトロ化合物、ニトロベンゼン等の芳香族ニトロ化合物が好ましく、ニトロベンゼンがより好ましい。
なお、ベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール等の一部の芳香族炭化水素類は、イソプロピル化剤と反応してイソプロピル化体を生成してしまう。そのため、イソプロピル化剤の使用量を増加させたり、反応後に溶媒を回収して再利用する場合は回収量が減るため、商業生産時の経済性を考慮すると、これらの使用を避けた方がよい。
上記イソプロピル化剤、触媒及び溶媒の組み合わせとしては、イソプロピル化剤に1.0モル当量〜10.0モル当量(対6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)の2−クロロプロパン、触媒にトリフルオロメタンスルホン酸、及び溶媒にヘキサンの組み合わせが好ましく、イソプロピル化剤に1.0モル当量〜2.0モル当量(対6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)の2−クロロプロパン、触媒に塩化アルミニウム、及び溶媒にニトロベンゼンの組み合わせがより好ましい。
[温度]
反応温度は特に限定されないが、酸性条件では100℃を超えるとイソプロピル基やブチル基の脱離や異性化反応が起きやすくなるため、100℃以下で実施することが好ましい。
[製造の形態]
工程Bの反応は、回分式、半回分式、流通式の反応器で行うことができ、生産量や経済性を考慮して適宜選択して行うことができる。
<6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールの脱ブチル化反応(工程C)>
当該脱ブチル化反応は、一般的な方法が利用できる。例えば、触媒として活性白土、ゼオライト等の固体酸触媒や、アルミニウム等のルイス酸、硫酸等のブレンステッド酸等の存在下、ベンゼンやトルエン等の芳香族炭化水素化合物を共存させ加熱する方法等が挙げられる。
上記ブチル化(工程A)、イソプロピル化(工程B)及び脱ブチル化(工程C)の各工程間に、各生成物を都度分離精製してもよいし、精製せずに連続して行ってもよい。例えば、撹拌式反応槽で6−tert−ブチル−3−メチルフェノールのイソプロピル化を行った場合、得られた6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールを分離精製せずに、連続して脱ブチル化を行うことができる。
また、イソプロピル化後に、同じ反応槽又は別の処理槽に反応液を移した場合は当該処理槽に、ベンゼンやトルエンを加えて加熱することで脱ブチル化を行うことができる。この際、触媒を新たに加えてもよく、イソプロピル化の際に使用した触媒をそのまま使用してもよい。
工程BおよびCを含む製造方法、または工程A、BおよびCを含む製造方法ではこれら反応は、回分式、半回分式、流通式の反応器で行うことができ、生産量や経済性を考慮して適宜選択して行うことができる。
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、モル当量は全て6−tert−ブチル−3−メチルフェノールを基準とした。また、表1及び表2中の、6B4P3MPは6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールを、4P3MPは4−イソプロピル−3−メチルフェノールを、6P3MPは6−イソプロピル−3−メチルフェノールをそれぞれ示す。
[実施例1]
冷却管を取り付けたガラスフラスコに、6−tert−ブチル−3−メチルフェノール(1.00g、6.1mmol)と、0.1モル当量のトリフルオロメタンスルホン酸ハフニウム(IV)(0.43g、0.61mmol)と、5.0モル当量の2−クロロプロパン(2.39g、30.5mmol)と、及びヘキサン(13.1g)とを入れ、予め温度を69℃に設定した湯浴中で撹拌しながら3時間反応させた。
その後、反応液をガスクロマトグラフィーにて分析し、6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノール、4−イソプロピル−3−メチルフェノール、6−イソプロピル−3−メチルフェノール、及びジイソプロピル化体の各収率、6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールと4−イソプロピル−3−メチルフェノールの合計収率、オルト/パラのイソプロピル化体の比率(オルト/パラ比)並びにジ−/モノ−イソプロピル化体の比率(ジ−/モノ−比)を算出した。結果を図2及び表1に示した。
[実施例2〜4]
2−クロロプロパンの使用量を、表1に記載した当量としたこと以外は、実施例1と同じ条件で反応させ、上記各収率及び比率を算出し、それぞれ実施例2〜4の結果とし、各結果を図2及び表1に示した。
[比較例1]
2−クロロプロパンの使用量を0.9モル当量としたこと以外は、実施例1と同じ条件で反応させ、各収率及び比率を算出し比較例1の結果とし、結果を表1に示した。
(6−tert−ブチル−3−メチルフェノールのイソプロピル化反応結果:触媒=トリフルオロメタンスルホン酸ハフニウム(IV)、溶媒=ヘキサン、反応温度=69℃、反応時間=3時間)
表1より、実施例1において、6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールと4−イソプロピル−3−メチルフェノールの合計収率は19.5%、オルト/パラ比は0.0、及びジ−/モノ−イソプロピル化体の比率は0.9であった。
一方、比較例1において、6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールと4−イソプロピル−3−メチルフェノールの合計収率は8.0%、オルト/パラ比は0.1、及びジ−/モノ−イソプロピル化体の比率は0.4であった。
[実施例5]
冷却管を取り付けたガラスフラスコに、6−tert−ブチル−3−メチルフェノール(5.00g、30.4mmol)、0.1モル当量の三塩化アルミニウム(0.41g、3.04mmol)、2.0モル当量の2−クロロプロパン(4.78g、60.8mmol)、及びニトロベンゼン(12.1g)を入れ、予め温度を69℃に設定した湯浴中で撹拌しながら2時間反応させた。
その後、反応液をガスクロマトグラフィーにて分析し、6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノール、4−イソプロピル−3−メチルフェノール、6−イソプロピル−3−メチルフェノール、及びジイソプロピル化体の各収率、6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールと4−イソプロピル−3−メチルフェノールの合計収率、オルト/パラのイソプロピル化体の比率(オルト/パラ比)並びにジ−/モノ−イソプロピル化体の比率(ジ−/モノ−比)を算出した。結果を図3〜5及び表2に示した。
[実施例6]
2−クロロプロパンの使用量を1.1モル当量としたこと以外は、実施例5と同じ条件で反応させ、各収率及び比率を算出し、実施例6の結果とし、結果を図3〜5及び表2に示した。
[比較例2]
2−クロロプロパンの使用量を0.9モル当量としたこと以外は、実施例5と同じ条件で反応させ、各収率及び比率を算出し比較例2の結果とし、結果を表2に示した。
(6−tert−ブチル−3−メチルフェノールのイソプロピル化反応結果:触媒=塩化アルミニウム、溶媒=ニトロベンゼン、反応温度=69℃、反応時間=2時間)
表2より、実施例5において、6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールと4−イソプロピル−3−メチルフェノールの合計収率は29.2%、オルト/パラ比は0.2、及びジ−/モノ−イソプロピル化体の比率は0.2であった。
一方、比較例2において、6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールと4−イソプロピル−3−メチルフェノールの合計収率は18.7%、オルト/パラ比は0.3、及びジ−/モノ−イソプロピル化体の比率は0.1であった。
本発明により、3−メチルフェノールから4−イソプロピル−3−メチルフェノールを効率的に製造することが可能となる。

Claims (5)

  1. 6−tert−ブチル−3−メチルフェノールに対し、イソプロピル化剤を1.0モル当量以上用いることを特徴とする、6−tert−ブチル−3−メチルフェノールのイソプロピル化による6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールの製造方法。
  2. 触媒として塩化アルミニウムを使用することを特徴とする、請求項1に記載の6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールの製造方法。
  3. 溶媒としてニトロベンゼンを使用することを特徴とする、請求項2に記載の6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールの製造方法。
  4. 4−イソプロピル−3−メチルフェノールの製造方法であって、6−tert−ブチル−3−メチルフェノールをイソプロピル化して6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールを得る工程(工程B)と、前記6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールを脱ブチル化して4−イソプロピル−3−メチルフェノールを得る工程(工程C)とを含み、前記工程Bが請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法であることを特徴とする、4−イソプロピル−3−メチルフェノールの製造方法。
  5. 4−イソプロピル−3−メチルフェノールの製造方法であって、3−メチルフェノールをブチル化して6−tert−ブチル−3−メチルフェノールを得る工程(工程A)と、前記6−tert−ブチル−3−メチルフェノールをイソプロピル化して6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールを得る工程(工程B)と、前記6−tert−ブチル−4−イソプロピル−3−メチルフェノールを脱ブチル化して4−イソプロピル−3−メチルフェノールを得る工程(工程C)とを含み、前記工程Bが請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法であることを特徴とする、4−イソプロピル−3−メチルフェノールの製造方法。
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