JP2019156692A - 立方晶窒化硼素焼結体、及び、立方晶窒化硼素焼結体を有する工具 - Google Patents

立方晶窒化硼素焼結体、及び、立方晶窒化硼素焼結体を有する工具 Download PDF

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【課題】立方晶窒化硼素焼結体の耐摩耗性及び耐欠損性を向上させる。【解決手段】立方晶窒化硼素焼結体は、立方晶窒化硼素と結合相を含む。結合相は、Al化合物と、Ti化合物とを含む。Ti化合物は、Tiの窒化物を主に含む。Al化合物は、Alの酸化物、窒化物、及び硼化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む。Al化合物の含有量は、0体積%を超え5体積%未満である。立方晶窒化硼素焼結体の断面において、下記式(1)で表される条件を満たす。0.80≦A/B≦1.20 ・・・(1)(式(1)中、Aは、立方晶窒化硼素と結合相との界面の長さに対する、立方晶窒化硼素とAl化合物との界面の長さの割合を表す。Bは、結合相の含有量に対する、Al化合物の含有量の割合を表す。)【選択図】図1

Description

本発明は、立方晶窒化硼素焼結体、及び、立方晶窒化硼素焼結体を有する工具に関する。
工具に使用される立方晶窒化硼素(cBN)焼結体は、立方晶窒化硼素と結合相を含む。一般的に、結合相の材料の一部には、Alが使用される。結合相の材料にAlが使用されると、Alが酸化することによって原料粉の表面に吸着している酸素が除去されるため、焼結反応を促進することができる。
従来のcBN焼結体は、結合相の材料として、Ti化合物およびAl化合物を含む材料を用いていた。そのため、従来のcBN焼結体の焼結過程では、Al、AlN、及びTiBが反応により生成していた。
また、従来のcBN焼結体では、cBN粒子の周囲にTiBの層が生成していた。このため、結合相全体に含まれるTiの比率よりも、cBN粒子の周囲に存在するTiの比率が大きくなっており、結合相の均一性が阻害されていた。
例えば、特許文献1には、立方晶窒化硼素粒子と結合相とを含む立方晶窒化硼素焼結体を少なくとも刃先に有する工具が開示されている。特許文献1に開示された工具において、立方晶窒化硼素焼結体は、立方晶窒化硼素粒子を40〜70体積%含む。結合相は、第1成分と第2成分とを含む。第1成分は、TiCであり、第2成分は、TiBおよびAlBのいずれか一方または両方である。第1成分の(200)面のX線回折強度をI、第2成分の(101)面のX線回折強度をIとしたとき、Iは、立方晶窒化硼素焼結体において立方晶窒化硼素粒子を除く全成分のX線回折強度中最大であり、かつ0.01≦I/I≦0.1を満たす。
国際公開第2012/053375号
従来のcBN焼結体を用いた工具は、熱伝導率に劣るAlおよび機械的強度に劣るAlNを過剰に含むため、耐欠損性が不十分であった。また、鉄との耐反応性に劣るTiBを過剰に含むため、耐摩耗性が不十分であった。
また、従来のcBN焼結体を用いた工具は、cBN粒子の周囲にTi比率の大きい領域が存在しており、この領域が結合相の均一性を阻害していた。
さらに、従来のcBN焼結体を用いた工具は、結合相の材料に鉄との耐反応性に劣る炭化チタン(TiC)や炭窒化チタン(TiCN)を使用する場合があり、耐摩耗性が不十分であった。
例えば、特許文献1に開示された立方晶窒化硼素焼結体は、結合相中にTiCを多く含むため、鉄との耐反応性に劣り、耐摩耗性が不十分であった。また、cBN粒子の周囲に存在するTiBの割合が高いため、耐摩耗性が不十分であった。
したがって、従来のcBN焼結体を用いた工具は、反応摩耗の進行によって工具に欠損が生じることがあり、工具寿命が短いという問題があった。
本発明は、耐摩耗性及び耐欠損性を向上させることにより、工具寿命を長くすることのできる立方晶窒化硼素焼結体および立方晶窒化硼素焼結体を有する工具を提供することを目的とする。
本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)立方晶窒化硼素と結合相とを含む立方晶窒化硼素焼結体であって、
前記立方晶窒化硼素の含有量は、60体積%以上80体積%以下であり、
前記結合相の含有量は、20体積%以上40体積%以下であり、
前記結合相は、Al化合物と、Ti化合物とを含み、
前記Ti化合物は、Tiの窒化物を主に含み、
前記Al化合物は、Alの酸化物、窒化物、及び硼化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含み、
前記Al化合物の含有量は、0体積%を超え5体積%未満であり、
前記立方晶窒化硼素焼結体の断面において、下記式(1)で表される条件を満たす、立方晶窒化硼素焼結体。
0.80≦A/B≦1.20 ・・・(1)
(式(1)中、Aは、前記立方晶窒化硼素と前記結合相との界面の長さに対する、前記立方晶窒化硼素と前記Al化合物との界面の長さの割合を表す。Bは、前記結合相の含有量に対する、前記Al化合物の含有量の割合を表す。)
(2)前記Al化合物の含有量は、1体積%以上4体積%以下である、(1)に記載の立方晶窒化硼素焼結体。
(3)前記Al化合物は、Alを含む、(1)または(2)に記載の立方晶窒化硼素焼結体。
(4)前記Ti化合物は、Tiの硼化物をさらに含む、(1)から(3)のうちいずれかに記載の立方晶窒化硼素焼結体。
(5)前記Tiの硼化物は、TiBであり、
前記立方晶窒化硼素の(200)面のX線回折強度をIcBN(200)、前記TiB の(100)面のX線回折強度をITiB2(100)としたとき、ITiB2(100)/IcBN(200)≦0.20である、(4)に記載の立方晶窒化硼素焼結体。
(6)前記Ti化合物は、Tiの炭化物とTiの炭窒化物を含まない、(1)から(5)のうちいずれかに記載の立方晶窒化硼素焼結体。
(7)前記Al化合物は、AlNを含み、
前記立方晶窒化硼素の(200)面のX線回折強度をIcBN(200)、前記AlNの(100)面のX線回折強度をIAlN(100)としたとき、IAlN(100)/IcBN(200)≦0.20を満たす、(1)から(6)のうちいずれかに記載の立方晶窒化硼素焼結体。
(8)前記立方晶窒化硼素焼結体の上に形成された被覆層を備える、(1)から(7)のうちいずれかに記載の立方晶窒化硼素焼結体。
(9)前記被覆層が、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、AlおよびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、C、N、OおよびBからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる、(8)に記載の立方晶窒化硼素焼結体。
(10)前記被覆層が、単層、または、2層以上を含む積層構造を有する、(8)または(9)に記載の立方晶窒化硼素焼結体。
(11)前記被覆層全体の平均厚さが、1.0μm以上5.0μm以下である、(8)から(10)のうちいずれかに記載の立方晶窒化硼素焼結体。
(12)(1)から(11)のうちいずれかに記載の立方晶窒化硼素焼結体を有する工具。
本発明によれば、耐摩耗性及び耐欠損性を向上させることにより、工具寿命を長くすることのできる立方晶窒化硼素焼結体および立方晶窒化硼素焼結体を有する工具を提供することができる。
実施例2のcBN焼結体の断面組織のSEM写真である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の立方晶窒化硼素焼結体は、立方晶窒化硼素と結合相とを含む。立方晶窒化硼素(cBN)の含有量は、60体積%以上80体積%以下である。結合相の含有量は、20体積%以上40体積%以下である。
cBNの含有量が60体積%未満の場合、結合相の割合が高くなるため、cBN焼結体の機械的強度が低下し、cBN焼結体を用いた工具の耐欠損性が低くなる。一方、cBNの含有量が80体積%を超える場合、鉄との耐反応性に劣るcBNの割合が高くなるため、cBN焼結体の耐摩耗性が低くなる。なお、cBNおよび結合相の含有量(体積%)は、cBN焼結体の任意の断面をSEMで撮影し、撮影したSEM写真を市販の画像解析ソフトで解析することで求めることができる。
cBNの平均粒径は、1.5μm以上4.5μm以下であることが好ましい。cBNの平均粒径が1.5μm未満であると、熱伝導率が低下することにより、cBN焼結体の耐欠損性が低下する場合がある。cBNの平均粒径が4.5μmを超えると、結合相の幅が厚くなり、cBN焼結体の耐欠損性が低下する場合がある。cBNの平均粒径は、2.0μm以上4.0μm以下であるとさらに好ましい。
本実施形態のcBN焼結体において、結合相は、Ti化合物と、Al化合物とを含む。
Ti化合物は、Tiの窒化物を主に含む。ここでいう「主に含む」とは、Ti化合物の全部または大部分がTiの窒化物であることを意味する。より具体的には、Ti化合物の(200)面のX線回折におけるピーク位置(2θ)が42.4°以上42.8°以下の場合は、Ti化合物が主にTiの窒化物を含むといえる。Ti化合物の(200)面のX線回折において41.7°以上42.8°以下の範囲に複数のピークを確認することができる場合は、42.4°以上42.8°以下の範囲に最高のピークが存在する場合に、Ti化合物が主にTiの窒化物を含むといえる。
また、Ti化合物は、Tiの炭化物及びTiの炭窒化物を含まないことが好ましい。
Al化合物は、Alの酸化物、窒化物、及び硼化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む。Al化合物の含有量は、cBN焼結体全体に対して、0体積%を超え5体積%未満である。なお、Al化合物の含有量(体積%)は、cBN焼結体の任意の断面をSEMで撮影し、撮影したSEM写真を市販の画像解析ソフトで解析することで求めることができる。
結合相の材料にAlが含まれていると、Alが酸化することによって原料粉(cBN及びTiの窒化物を含む粉末)の表面に吸着している酸素が除去されるため、焼結反応が促進される。しかし、結合相の材料に含まれるAlが多すぎると、余剰のAlが窒素と反応してAlNが生成する。そして、AlNの窒素源はBNおよびTiNであるため、Nを奪われたTiとBが反応してTiBが生成する。つまり、反応の順番としては、まず結合相内に不可避的に存在する酸素量に応じてAlが生成する。次に、余剰のAlが窒素と反応して、AlNが生成する。AlNが生成する際にNを奪われたTiとBが反応して、TiBが生成する。
上述した通り、AlNは機械的強度に劣るため、cBN焼結体にAlNが多く含まれると、耐欠損性が低下してしまう。また、TiBは鉄との耐反応性に劣るため、cBN焼結体にTiBが多く含まれると、耐摩耗性が低下してしまう。
本発明者は、上記の知見に基づき、各種の実験を行った。その結果、Al化合物の含有量が0体積%を超え5体積%未満であると、cBN焼結体の耐摩耗性及び耐欠損性が顕著に高まることを発見し、本発明を完成させた。Al化合物のより好ましい含有量は、1体積%以上4体積%以下である。
cBN焼結体にAl化合物が含まれないと、原料粉末の表面に吸着している酸素が除去されないため、焼結反応が促進されない。この場合、cBN粒子間の結合力が弱くなるため、cBN焼結体の耐欠損性が低くなる。
一方、cBN焼結体に含まれるAl化合物が5体積%以上になると、熱伝導率に劣るAlおよび機械的強度に劣るAlNの含有量が多くなるため、cBN焼結体の耐欠損性が低くなる。特に、cBN焼結体にAlNが含まれている場合は、Al化合物の含有量が過剰であると考えられる。
cBN焼結体の結合相に含まれるAl化合物の例として、Al、AlN、硼化アルミニウムなどを挙げることができる。
cBN焼結体の結合相に含まれるTi化合物の例として、Tiの窒化物、TiBなどを挙げることができる。Ti化合物は、Tiの窒化物を主に含む。したがって、結合相に含まれるTi化合物の大部分が、Tiの炭化物及びTiの炭窒化物と比較して鉄との耐反応性に優れるTiの窒化物によって構成されるため、cBN焼結体の耐摩耗性を向上させることができる。
本実施形態のcBN焼結体は、原料粉の表面に吸着している酸素を除去するのに必要最小限のAlを含み、余剰のAlをほとんど含まない。このため、Alが窒素と反応して結合相中にAlNが生成することを抑制できる。その結果、結合相中にTiBが生成することも抑制できる。
本実施形態のcBN焼結体は、結合相に含まれるAl以外の反応生成物の量が極めて少ないため、結合相の断面組織が均一となっている。具体的には、立方晶窒化硼素焼結体の断面において、下記式(1)で表される条件を満たす。
0.80≦A/B≦1.20 ・・・(1)
(式(1)中、Aは、立方晶窒化硼素と結合相との界面の長さに対する、立方晶窒化硼素とAl化合物との界面の長さの割合を表す。Bは、結合相の含有量に対する、Al化合物の含有量の割合を表す。)
式(1)において、Aは、cBN粒子の周囲における、結合相に含まれるAlの割合を表している。Bは、結合相全体に含まれるAlの割合を表している。したがって、A/Bは、結合相に含まれるAl化合物及びTi化合物の偏在の指標となる。A/Bが1に近いほど、cBN粒子周辺の反応生成物層が少なく、結合相の組織が均一であると考えられる。
A/Bが0.80よりも小さい場合は、cBN粒子の周囲にTi化合物が偏在している。A/Bが1.20よりも大きい場合は、cBN粒子の周囲にAl化合物が偏在している。いずれの場合でも、結合相の組織の均一性が阻害されるため、cBN焼結体の耐欠損性が低下する。
0.8≦A/B≦1.2である場合、結合相の組織が均一となるため、cBN焼結体の耐欠損性が高くなる。A/Bは、より好ましくは0.80≦A/B≦1.10を満たし、さらに好ましくは0.88≦A/B≦1.04を満たす。
なお、A及びBの値は、cBN焼結体の任意の断面をSEMで撮影し、撮影したSEM写真を市販の画像解析ソフトを用いて解析することで求めることができる。
本実施形態のcBN焼結体は、cBNの(200)面のX線回折強度をIcBN(200)、TiBの(100)面のX線回折強度をITiB2(100)としたとき、ITiB2(100)/IcBN(200)≦0.20を満たすことが好ましい。ITiB2(100)/IcBN(200)が0.20を超える場合、鉄との耐反応性に劣るTiBの含有量が過剰となるため、cBN焼結体の耐摩耗性が低くなり、好ましくない。
cBNの(200)面のX線回折強度は、市販のX線回折装置を用いて、Cu−Kα線を用いた2θ/θ法により測定することができる。2θの測定範囲は、例えば、50.1°〜50.8°である。
TiBの(100)面のX線回折強度は、市販のX線回折装置を用いて、Cu−Kα線を用いた2θ/θ法により測定することができる。2θの測定範囲は、例えば、33.7°〜34.4°である。
また、本実施形態のcBN焼結体は、cBNの(200)面のX線回折強度をIcBN(200)、AlNの(100)面のX線回折強度をIAlN(100)としたとき、IAlN(100)/IcBN(200)≦0.20を満たすことが好ましい。IAlN(100)/IcBN(200)が0.20を超える場合、cBN焼結体に機械的強度に劣るAlNが多く含まれるため、耐欠損性が低下してしまう。
AlNの(100)面のX線回折強度は、市販のX線回折装置を用いて、Cu−Kα線を用いた2θ/θ法により測定することができる。2θの測定範囲は、例えば、32.9°〜33.6°である。
本実施形態のcBN焼結体は、不純物を不可避的に含有してもよい。不純物の例としては、原料粉末に含まれるリチウムなどが挙げられる。通常、不可避的不純物の含有量は、cBN焼結体全体に対して1質量%以下である。したがって、不可避的不純物が、cBN焼結体の特性値に影響を及ぼすことはほとんどない。
cBN焼結体の表面に、被覆層が形成されてもよい。被覆層が形成されることによって、cBN焼結体の耐摩耗性がさらに向上する。被覆層は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、AlおよびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、C、N、OおよびBからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とを含むことが好ましい。また、被覆層は、単層でもよく、2層以上を含む積層構造を有してもよい。被覆層がこのような構造を有する場合、cBN焼結体の耐摩耗性が向上する。
被覆層を形成する化合物の例として、TiN、TiC、TiCN、TiAlN、TiSiN、及び、CrAlNなどを挙げることができる。被覆層は、組成が異なる複数の層を交互に積層した構造を有してもよい。この場合、各層の平均の厚みは、例えば5nm以上500nm以下である。
被覆層全体の平均厚さは、1.0μm以上5.0μm以下であることが好ましい。被覆層全体の平均厚さが1.0μm未満である場合、耐摩耗性が低下する。被覆層全体の平均厚さが5.0μmを超える場合、耐欠損性が低下する。
本実施形態のcBN焼結体は、耐摩耗性及び耐欠損性に優れるため、切削工具や耐摩耗工具として使用されると好ましく、その中でも切削工具として使用されると好ましい。本実施形態のcBN焼結体は、焼結金属用切削工具や鋳鉄用切削工具として使用されるとさらに好ましい。本実施形態のcBN焼結体を切削工具や耐摩耗工具として用いた場合、従来よりも工具寿命を延長することができる。
本実施形態のcBN焼結体は、例えば、以下の方法によって製造することができる。
原料粉末として、cBN粉末と、Al粉末と、Ti化合物粉末とを準備する。準備した原料粉末を混合し、超硬合金製ボールと溶媒とパラフィンとともにボールミル用シリンダーに入れて混合する。混合した原料粉末をZr製の高融点金属カプセル内に充填し、粉末の表面に吸着している水分及び酸素を除去するため、カプセルを開放したまま真空熱処理を行う。次に、カプセルを密封し、カプセルに充填されている原料粉末を高圧で焼結させる。高圧焼結の条件は、例えば、圧力:4.0〜6.0GPa、温度:1200〜1400℃、焼結時間:15分以下である。
また、本実施形態のcBN焼結体をレーザーカット加工機などにより所定の形状に加工して、cBN焼結体を備えた切削工具または耐摩耗工具を製造することができる。
また、本実施形態のcBN焼結体の表面に、従来から知られているCVD法またはPVD法によって被覆層を形成することにより、被覆層を備えたcBN焼結体を製造することができる。
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
[原料粉末の調製]
立方晶窒化硼素(cBN)粉末、TiN粉末、TiC粉末、TiCN粉末、及びAl粉末を、以下の表1に示す比率で混合した。cBN粉末の平均粒径は、3.0μmである。TiN、TiC、及びTiCN粉末の平均粒径は、1.0μmである。Al粉末の平均粒径は、0.5μmである。なお、原料粉末の平均粒径は、米国材料試験協会(ASTM)規格B330に記載のフィッシャー法(Fisher Sub-Sieve Sizer(FSSS))により測定されたものである。
[原料粉末の混合]
原料粉末を、超硬合金製ボールとヘキサン溶媒とパラフィンとともにボールミル用のシリンダーに入れてさらに混合した。ボールミルで混合した原料粉末を、Zr製の高融点金属カプセル内に充填し、粉末の表面に吸着している水分及び酸素を除去するため、カプセルを開放したまま真空熱処理を行った。
[高圧焼結]
その後、カプセルを密封し、カプセルに充填されている原料粉末を高圧で焼結させた。その際、cBN焼結体の結合相中に過剰な反応生成物が含まれないようにするために、高圧焼結を短時間だけ行った。高圧焼結の条件は、表1に記載の通りである。
[SEM画像による分析]
高圧焼結によって得られたcBN焼結体の組成を分析した。具体的には、cBN焼結体の断面組織の反射電子像をSEMによって5,000〜20,000倍程度で撮影し、撮影した写真の画像解析を行うことによって、cBN、Ti化合物およびAl化合物の含有率(体積%)を求めた。
また、cBN焼結体の断面組織のSEM写真を市販の画像解析ソフトを用いて解析することによって、A/Bを求めた。ここで、Aは、cBNと結合相との界面の長さに対する、cBNとAl化合物との界面の長さの割合を表す。Bは、結合相の含有量に対する、Al化合物の含有量の割合を表す。
図1は、実施例2で得られたcBN焼結体の断面組織をSEMによって10、000倍で撮影した写真である。図1において、黒色の部分が、cBNである。濃灰色の部分が、Al化合物である。淡灰色の部分が、Ti化合物である。各部分の組成は、SEMに付属するエネルギー分散形X線分光器(EDS)を用いて特定した。
[X線回折(XRD)による分析]
高圧焼結によって得られたcBN焼結体の結合相中に含まれる反応生成物をXRDによって分析した。AlNの生成量は、cBNの(200)面とAlNの(100)面のピーク強度比率IAlN(100)/IcBN(200)で評価した。TiBの生成量は、cBNの(200)面とTiBの(100)面のピーク強度比率ITiB2(100)/IcBN(200)で評価した。
Ti化合物の種類の同定には(200)面のピークを使用した。ピーク位置が41.7°以上42.1°未満の場合は、Ti化合物はTiCであると見なした。ピーク位置が42.1°以上42.3°以下の場合は、Ti化合物はTiCNであると見なした。ピーク位置が42.4°以上42.8°以下の場合は、Ti化合物はTiNであると見なした。
cBN焼結体の組成及びSEM及びXRDによる分析結果を、以下の表2に示す。
実施例1〜9及び比較例1〜7で得られたcBN焼結体を、ISO規格CNGA120408で定められたインサート形状の切削工具に加工した。得られた切削工具を用いて、下記の摩耗試験及び欠損試験を行った。その結果を表3に示す。
[摩耗試験]
被削材:SCM415焼入れ鋼、
被削材形状:丸棒、φ80mm×200mm、
加工方法:外径旋削、
切削速度:150m/min、
送り:0.15mm/rev、
切り込み:0.15mm、
クーラント:使用、
評価項目:切削工具が欠損、または逃げ面の摩耗幅が0.15mmに至ったときを工具寿命とし、工具寿命までの加工時間を測定した。
[欠損試験]
被削材:SCM415焼入れ鋼、
被削材形状:丸棒(溝入り)、φ80mm×200mm、
加工方法:外径旋削、
切削速度:150m/min、
送り:0.15mm/rev、
切り込み:0.15mm、
クーラント:使用、
評価項目:切削工具が欠損、または逃げ面の摩耗幅が0.15mmに至ったときを工具寿命とし、工具寿命までの加工時間を測定した。
表3に示す結果から分かる通り、実施例1〜9のcBN焼結体は、比較例1〜7のcBN焼結体よりも耐摩耗性及び耐欠損性に優れており、工具寿命が長かった。
次に、実施例4〜7で得られたcBN焼結体の表面に、アークイオンプレーティング法により、被覆層を形成した。被覆層の組成及び平均厚さは、以下の表4に示す通りである。
被覆層を形成した際の条件は、以下の通りである。
[イオンボンバードメント処理の条件]
基材の温度:500℃
圧力:2.7PaのArガス雰囲気
電圧:−400V
電流:40A
時間:30分
[被覆層形成条件]
基材の温度:500℃
圧力:3.0Paの窒素(N)ガス雰囲気(窒化物層)、または3.0Paの窒素(N)ガスとアセチレンガス(C)ガスとの混合ガス雰囲気(炭窒化物層)
電圧:−60V
電流:120A
表面に被覆層が形成された実施例10〜29のcBN焼結体を用いて、上記で説明した摩耗試験及び欠損試験を行った。その結果を表4に示す。

表4に示す結果から分かる通り、その表面に被覆層が形成されたcBN焼結体(実施例10〜29)は、被覆層が形成されていないcBN焼結体(実施例4〜7)よりも耐摩耗性及び耐欠損性に優れており、工具寿命が長かった。

Claims (12)

  1. 立方晶窒化硼素と結合相とを含む立方晶窒化硼素焼結体であって、
    前記立方晶窒化硼素の含有量は、60体積%以上80体積%以下であり、
    前記結合相の含有量は、20体積%以上40体積%以下であり、
    前記結合相は、Al化合物と、Ti化合物とを含み、
    前記Ti化合物は、Tiの窒化物を主に含み、
    前記Al化合物は、Alの酸化物、窒化物、及び硼化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含み、
    前記Al化合物の含有量は、0体積%を超え5体積%未満であり、
    前記立方晶窒化硼素焼結体の断面において、下記式(1)で表される条件を満たす、立方晶窒化硼素焼結体。
    0.80≦A/B≦1.20 ・・・(1)
    (式(1)中、Aは、前記立方晶窒化硼素と前記結合相との界面の長さに対する、前記立方晶窒化硼素と前記Al化合物との界面の長さの割合を表す。Bは、前記結合相の含有量に対する、前記Al化合物の含有量の割合を表す。)
  2. 前記Al化合物の含有量は、1体積%以上4体積%以下である、請求項1に記載の立方晶窒化硼素焼結体。
  3. 前記Al化合物は、Alを含む、請求項1または請求項2に記載の立方晶窒化硼素焼結体。
  4. 前記Ti化合物は、Tiの硼化物をさらに含む、請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の立方晶窒化硼素焼結体。
  5. 前記Tiの硼化物は、TiBであり、
    前記立方晶窒化硼素の(200)面のX線回折強度をIcBN(200)、前記TiB の(100)面のX線回折強度をITiB2(100)としたとき、ITiB2(100)/IcBN(200)≦0.20である、請求項4に記載の立方晶窒化硼素焼結体。
  6. 前記Ti化合物は、Tiの炭化物とTiの炭窒化物を含まない、請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の立方晶窒化硼素焼結体。
  7. 前記Al化合物は、AlNを含み、
    前記立方晶窒化硼素の(200)面のX線回折強度をIcBN(200)、前記AlNの(100)面のX線回折強度をIAlN(100)としたとき、IAlN(100)/IcBN(200)≦0.20を満たす、請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載の立方晶窒化硼素焼結体。
  8. 前記立方晶窒化硼素焼結体の上に形成された被覆層を備える、請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載の立方晶窒化硼素焼結体。
  9. 前記被覆層が、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、AlおよびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、C、N、OおよびBからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる、請求項8に記載の立方晶窒化硼素焼結体。
  10. 前記被覆層が、単層、または、2層以上を含む積層構造を有する、請求項8または請求項9に記載の立方晶窒化硼素焼結体。
  11. 前記被覆層全体の平均厚さが、1.0μm以上5.0μm以下である、請求項8から請求項10のうちいずれか1項に記載の立方晶窒化硼素焼結体。
  12. 請求項1から請求項11のうちいずれか1項に記載の立方晶窒化硼素焼結体を有する工具。
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