JP2019155906A - 貼り合わせ基板、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置、貼り合わせ基板の製造方法、及び、基板 - Google Patents

貼り合わせ基板、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置、貼り合わせ基板の製造方法、及び、基板 Download PDF

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Abstract

【課題】第一基板と第二基板とを貼り合わせた後に、第一基板と第二基板との接着状態を確認することを課題とする。【解決手段】第一基板100’と第二基板200’とを、該第二基板側に付与された接着剤114で貼り合わせた貼り合わせ基板であって、前記第一基板は、前記第二基板との対向面に、該第二基板に付与された接着剤によって接着される接着面部よりも高さの低い接着不足検査用面部115cを備えた接着状態確認用構造体115を有し、前記接着不足検査用面部の高さは、前記接着面部の接着剤による接着状態が不足状態であるときには前記第二基板に付与された接着剤が接触せず、不足状態でないときには前記第二基板に付与された接着剤が接触する高さに設定されている。【選択図】図23

Description

本発明は、貼り合わせ基板、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置、貼り合わせ基板の製造方法、及び、基板に関するものである。
従来、第一基板と第二基板とを、第二基板側に付与された接着剤で貼り合わせた貼り合わせ基板が知られている。
例えば、特許文献1には、第一基板上に設けられた複数の電気機械変換素子と対向する部分に凹部を備えた第二基板(保持基板)の該凹部の脚部のうち、少なくとも電気機械変換素子間に位置する脚部を、第一基板上に接着剤で接着することにより、第二基板が第一基板上に接着された電気機械変換基板が開示されている。この電気機械変換基板は、インクジェット記録装置の液体吐出ヘッドの加圧液室を電気機械変換素子の変形により加圧するものとして用いられる。
一般に、第一基板と第二基板とを接着剤で貼り合わせた貼り合わせ基板においては、第一基板と第二基板とが適切な接着状態(接着部に適量の接着剤が存在する状態)で接着されていることが重要であり、第一基板と第二基板との接着状態を確認することが求められる。しかしながら、適切な接着状態であるか否かは、第一基板と第二基板とを貼り合わせる前に確認することが困難である。例えば、第二基板に規定量の接着剤が付与されていることを確認したとしても、第一基板と第二基板とを、適切な姿勢かつ適切な距離で貼り合わせないと、接着部に適量の接着剤が存在する適切な接着状態にはならない。したがって、第一基板と第二基板とを貼り合わせた後に、第一基板と第二基板との接着状態を確認することが必要となる。
上述した課題を解決するため、本発明は、第一基板と第二基板とを、該第二基板側に付与された接着剤で貼り合わせた貼り合わせ基板であって、前記第一基板は、前記第二基板との対向面に、互いに高さの異なる複数の面部を備えた接着状態確認用構造体を有し、前記複数の面部は、接着剤による接着状態が不足状態であるときには前記第二基板に付与された接着剤が接触せず、不足状態でないときには前記第二基板に付与された接着剤が接触する高さの第一面部と、接着剤による接着状態が過多状態であるときには前記第二基板に付与された接着剤が接触し、過多状態でないときには前記第二基板に付与された接着剤が接触しない高さの第二面部とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、第一基板と第二基板とを貼り合わせた後に、第一基板と第二基板との接着状態を確認することができるという優れた効果が奏される。
実施形態における液体吐出ヘッドの内部構成を示す部分破断した斜視図。 同液体吐出ヘッドを構成するアクチュエータ基板の上面図。 図2中A−A’における液体吐出ヘッドの断面図。 図2中C−C’における液体吐出ヘッドの断面図。 下部電極を個別電極層とし、上部電極を共通電極層とした圧電素子の変形例を示す断面図。 (a)〜(d)は、同液体吐出ヘッドの製造工程の前段部分を説明するため、ノズル孔の並び方向に対して直交する断面を示す断面図。 (a)〜(c)は、同液体吐出ヘッドの製造工程の中段部分を説明するため、ノズル孔の並び方向に対して直交する断面を示す断面図。 (a)〜(c)は、同液体吐出ヘッドの製造工程の後段部分を説明するため、ノズル孔の並び方向に対して直交する断面を示す断面図。 同アクチュエータ基板に接着される保持基板の上面図。 ノズル孔並び方向(圧電素子配列方向)に沿って圧電素子を通るように同液体吐出ヘッドを切断した一部分(圧電素子の配列部分)を示す断面図。 アクチュエータ基板が形成される第一基板を模式的に示す平面図。 同第一基板上に形成される1つのアクチュエータ基板を拡大して模式的に示した平面図。 保持基板が形成される第二基板を模式的に示す平面図。 同第二基板上に形成される1つの保持基板を拡大して模式的に示した平面図。 第一基板の接着状態確認用構造体を拡大して模式的に示した平面図。 図15の符号A−A’の断面図。 第二基板の対向面部を拡大して模式的に示した平面図。 図17の符号B−B’の断面図。 (a)は、テープを貼付した状態で接着剤が付与された第二基板の対向面部を拡大して模式的に示した平面図。(b)は、接着剤を付与した後にテープを剥がした状態の第二基板の対向面部を拡大して模式的に示した平面図。 図19の符号C−C’の断面図。 全域が一様な平面で形成されている第二基板の対向面部に接着剤をパターニングして付与したときの平面図。 図21の符号B−B’の断面図。 第一基板と、接着剤が付与された第二基板とを貼り合わせたときの、接着状態確認用構造体と対向面部とが貼り合わせられた部分を示す断面図。 (a)は、シリコン基板上の異なる位置に作成される4つのアクチュエータ基板を示す平面図。(b)〜(e)は、同4つのアクチュエータ基板のそれぞれのアクチュエータ基板における接着状態確認用構造体と対向面部とが貼り合わせられた部分を示す断面図。 接着剤が脚部の側壁に沿って移動した状態を示す説明図。 接着状態確認用構造体の各面部をアクチュエータ基板の圧電素子等を形成する成膜工程で一緒に作成した場合の層構造の例を示す断面図。 図26の例における接着状態確認用構造体の平面図。 液体を吐出する装置の一例を示す要部平面説明図。 液体吐出ユニットの一例を示す要部側面説明図。 液体吐出ユニットの他の例を示す要部平面説明図。 液体吐出ユニットの更に他の例を示す正面説明図。
以下、本発明を、液体を吐出する装置である画像形成装置としてのインクジェット記録装置の液体吐出ヘッドにおける電気機械変換基板を製造するための貼り合わせ基板に適用した一実施形態について説明する。
まず、液体吐出ヘッドの構成について説明する。
図1は、本実施形態の液体吐出ヘッドの内部構成を示す部分破断した斜視図である。
図2は、液体吐出ヘッドを構成するアクチュエータ基板の上面図である。
図3は、図2中A−A’における液体吐出ヘッドの断面図である。
図4は、図2中C−C’における液体吐出ヘッドの断面図である。
なお、図2では、説明のため、アクチュエータ基板上に接着される保持基板200が取り除かれた状態になっている。
本実施形態の液体吐出ヘッドは、主に、第一基板によって形成されるアクチュエータ基板100と、第二基板によって形成される保持基板200と、ノズル基板300とから構成されている。アクチュエータ基板100は、変位板としての振動板102の素子取付面(図中上面)上に、液体吐出エネルギーを発生させる電気機械変換素子としての圧電素子101を備えている。本実施形態における圧電素子101は、図3に示すように、下部電極である共通電極層101−1と上部電極である個別電極層101−2との間に圧電体層101−3が挟まれた構成となっている。ただし、図5に示すように、下部電極を個別電極層101−2とし、上部電極を共通電極層101−1とした圧電素子であってもよい。
また、アクチュエータ基板100は、振動板102の素子取付面とは反対側の面(図中下面)に隔壁部103を備えている。振動板102と隔壁部103とノズル基板300によって囲まれる空間が加圧液室104となる。また、アクチュエータ基板100により、流体抵抗部105及び共通液室106も形成される。
保持基板200は、インクカートリッジからのインクを供給するインク供給口を備えており、アクチュエータ基板100に接着されることにより、共通インク流路202と、アクチュエータ基板100の振動板102が撓んで変位できる空間を形成する凹部203とを形成する。保持基板200は、シリコンエッチング、プラスチック成型品等により形成できる。
ノズル基板300は、個々の加圧液室104に対応した位置にノズル孔301が形成されている。ノズル基板300は、例えばSUSからなる板に対して、パンチ加工、エッチング、シリコンエッチング、ニッケル電気鋳造、樹脂レーザー加工などを施すことにより形成されたものを用いることができる。
本実施形態の液体吐出ヘッドは、各加圧液室104内にインクを満たした状態で、制御部の制御の下、駆動IC120から駆動電圧信号を各個別電極層101−2に印加する。この駆動電圧信号としては、発振回路により生成した20[V]のパルス電圧を用いることができる。このような電圧パルスを印加することにより、圧電体層101−3は、圧電効果により圧電体層101−3そのものが振動板102と平行方向に縮む。これにより、振動板102が加圧液室104側へ凸になるように撓む結果、加圧液室104内の圧力が急激に上昇し、加圧液室104に連通するノズル孔301からインクが吐出される。
パルス電圧が印加された後は、縮んだ圧電体層101−3が元に戻り、これに伴って撓んだ振動板102も元の位置に戻る。このため、加圧液室104内が共通液室106内に比べて負圧となり、インクカートリッジからインク供給口を介して供給されているインクが共通インク流路202、共通液室106から流体抵抗部105を介して加圧液室104へ供給される。これを繰り返すことにより、インクの液滴を連続的に吐出でき、液体吐出ヘッドに対向して配置される記録材に画像を形成する。
次に、本実施形態における液体吐出ヘッドの製造方法について説明する。
図6〜図8は、本実施形態の液体吐出ヘッドの製造工程を説明するため、ノズル孔の並び方向に対して直交する断面を示す断面図である。
アクチュエータ基板100の基材としては、シリコン単結晶基板を用いることが好ましく、通常100〜600μmの厚みを持つことが好ましい。面方位としては、(100)、(110)、(111)と3種類あるが、半導体産業では一般的に(100)、(111)が広く使用されており、本実施形態では、主に(100)の面方位を持つ単結晶基板を使用する。また、加圧液室104を作製する段階では、エッチングを利用してシリコン単結晶基板を加工していくが、この場合のエッチング方法としては、異方性エッチングを用いることが一般的である。異方性エッチングとは、結晶構造の面方位に対してエッチング速度が異なる性質を利用したものである。例えば、KOH等のアルカリ溶液に浸漬させる異方性エッチングでは、(100)面に比べて(111)面は約1/400程度のエッチング速度となる。従って、面方位(100)では約54°の傾斜を持つ構造体が作製できるのに対して、面方位(110)では深い溝をほることができ、より剛性を保ちつつ、配列密度を高くすることができる。そのため、(110)の面方位を持った単結晶基板を使用することも可能である。ただし、この場合、マスク材であるSiOもエッチングされてしまうので、この点の留意が必要である。
はじめに、図6(a)に示すように、このシリコン単結晶基板上に振動板102となる膜を成膜する。振動板102は、圧電素子101によって発生した力を受けて変形を繰り返すため、これに耐えうる十分な強度を有したものであることが好ましい。材料としては、Si、SiO、SiをCVD法により作製したものが挙げられる。また、振動板102は、これに接合される個別電極層101−2や圧電体層101−3の線膨張係数に近い材料を選択することが好ましい。特に、本実施形態では、圧電体層101−3としてPZTが使用されることから、その線膨張係数である8×10-6[1/K]に近い線膨張係数として、5×10-6[1/K]〜10×10-6[1/K]の線膨張係数を有した材料が好ましく、さらには7×10-6[1/K]〜9×10-6[1/K]の線膨張係数を有した材料がより好ましい。具体的な材料としては、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化イリジウム、酸化ルテニウム、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化オスミウム、酸化レニウム、酸化ロジウム、酸化パラジウム及びそれらの化合物等であり、これらをスパッタ法もしくは、Sol−gel法を用いてスピンコーターにて作製することができる。膜厚としては、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜3μmがさらに好ましい。この範囲より小さいと、加圧液室104の加工が難しくなり、この範囲より大きいと振動板102が変形変位しにくくなり、インク滴の吐出が不安定になりやすい。
次に、このようにして成膜した振動板102上には、共通電極層101−1が成膜される。共通電極層101−1は、金属膜単層もしくは金属膜と酸化物膜とからなる複数層であることが好ましく、いずれの場合でも、振動板102と金属膜との間に密着層を入れて剥がれ等を抑制することが好ましい。
密着層としては、Tiをスパッタ成膜後、RTA(rapid thermal annealing)装置を用いて、650〜800℃、1〜30分、O雰囲気でチタン膜を熱酸化し、チタン膜を酸化チタン膜にする。酸化チタン膜を作成するには反応性スパッタでもよいが、チタン膜の高温による熱酸化法が望ましい。反応性スパッタによる作製では、シリコン基板を高温で加熱する必要があるため、特別なスパッタチャンバ構成を必要とする。さらに、一般の炉による酸化よりも、RTA装置による酸化の方がチタン酸化膜の結晶性が良好になる。なぜなら、通常の加熱炉による酸化によれば、酸化しやすいチタン膜は、低温においてはいくつもの結晶構造を作るため、一旦、それを壊す必要が生じるためである。したがって、昇温速度の速いRTAによる酸化の方が良好な結晶を形成するために有利になる。またTi以外の材料としては、Ta、Ir、Ru等の材料でも好ましい。膜厚としては、10nm〜50nmが好ましく、15nm〜30nmがさらに好ましい。この範囲以下の場合においては、密着性に懸念があるのと、この範囲以上になってくるとその上で作製する電極膜の結晶の質に影響が出てくる。
また、共通電極層101−1を作成するときの金属膜としては、従来から高い耐熱性と低い反応性を有する白金が用いられているが、鉛に対しては十分なバリア性を持つとはいえない場合もあり、イリジウムや白金−ロジウムなどの白金族元素や、これらの合金膜を用いてもよい。また、白金を使用する場合には、下地(特にSiO)との密着性が悪いため、上述した密着層を先に積層しておくことが好ましい。作製方法としては、スパッタ法や真空蒸着等の真空成膜が一般的である。膜厚としては、80〜200nmが好ましく、100〜150nmがさらに好ましい。この範囲より薄い場合においては、共通電極として十分な電流を供給することができなくなり、インク吐出をする際に不具合が発生する。また、この範囲より厚い場合には、白金族元素の高価な材料を使用する場合においては、コストアップとなる点、白金を材料とした場合においては膜厚を厚くしていったときに表面粗さが大きくなり、その上に作製する酸化物電極膜やPZTの表面粗さや結晶配向性に影響を及ぼして、インク吐出に十分な変位が得られない点が、不具合として発生する。
共通電極層101−1を作成するときの金属酸化膜としては、材料として、SrRuOを用いることが好ましい。これ以外でも、Sr(1−x)Ru(1−y)で記述されるような材料も挙げられる(A=Ba,Ca、B=Co,Ni、x,y=0〜0.5)。成膜方法はスパッタ法を採用できる。スパッタ条件によってSrRuO薄膜の膜質が変わるが、特に結晶配向性を重視し、金属膜で用いるPt(111)にならってSrRuO膜についても(111)で配向させるために、成膜温度については500℃以上での基板加熱を行い、成膜することが好ましい。
Pt(111)上に作製されるSrRuO薄膜の結晶性については、PtとSrRuOで格子定数が近いため、通常の2θ/θ測定では、SrRuO(111)とPt(111)の2θ位置が重なってしまい、判別が難しい。Ptについては、消滅則の関係から、Psi方向を35°傾けた2θが約32°付近の位置には回折線が打ち消し合い、回折強度が見られない。そのため、Psi方向を約35°傾けて、2θが約32°付近のピーク強度で判断することで、SrRuOが(111)に優先配向しているかを確認することができる。2θ=32°に固定してPsiを振ったとき、Psi=0°では、SrRuO(110)ではほとんど回折強度が見られず、Psi=35°付近において、回折強度が見られることから、本実施形態の成膜条件にて作製したものについては、SrRuOが(111)で配向していることが確認された。また、このように作製されたSrRuO膜については、Psi=0°のときにSrRuO(110)の回折強度が見られる。
圧電素子101を連続変位させたときに、一定駆動後の変位量が、初期変位量に比べてどのくらい劣化したかを見積もったところ、PZTの配向性が非常に影響しており、(110)では変位劣化抑制において不十分である。さらに、SrRuO膜の表面粗さを見たとき、成膜温度が影響し、室温から300℃では表面粗さが非常に小さく2nm以下になる。この場合、SrRuO膜の表面粗さとしては非常にフラットにはなっているが、結晶性が十分でなく、その後成膜した圧電素子101の初期変位量や連続駆動後の変位量劣化については十分な特性が得られない。表面粗さとしては、4nm〜15nmになっていることが好ましく、6nm〜10nmがさらに好ましい。この範囲を超えると、その後成膜したPZTの絶縁耐圧が非常に悪く、リークしやすくなる。したがって、良好な結晶性や表面粗さを得るためには、成膜温度としては500℃〜700℃、好ましくは520℃〜600℃の範囲で成膜を実施するのがよい。なお、表面粗さは、原子間力顕微鏡(AFM)により測定される表面粗さ(平均粗さ)を指標としたものである。
SrRuO膜の成膜後のSrとRuの組成比については、Sr/Ruが0.82以上1.22以下であることが好ましい。この範囲から外れると比抵抗が大きくなり、共通電極層101−1として十分な導電性が得られなくなる。また、SrRuO膜の膜厚は、40nm〜150nmが好ましく、50nm〜80nmがさらに好ましい。この膜厚範囲よりも薄いと、初期変位量や連続駆動後の変位量劣化については十分な特性が得られない点、PZTのオーバーエッチングを抑制するためのストップエッチング層としての機能が得られにくくなる点で不具合が出る。一方、この膜厚範囲よりも厚いと、その後成膜したPZTの絶縁耐圧が非常に悪く、リークしやすくなる。また、SrRuO膜の比抵抗としては、5×10−3Ω・cm以下になっていることが好ましく、1×10−3Ω・cm以下になっていることが更に好ましい。この範囲よりも大きくなると、共通電極層101−1として、これに接触する電極との界面で接触抵抗が大きくなり、共通電極層101−1として十分な電流を供給することができず、インク吐出をする際に不具合が発生する。
次に、図6(b)に示すように、共通電極層101−1上に圧電体層101−3を形成する。圧電体層101−3の材料として、本実施形態ではPZTを用いる。PZTとは、ジルコン酸鉛(PbZrO)とチタン酸鉛(PbTiO)の固溶体で、その比率により特性が異なる。一般的に優れた圧電特性を示す組成はPbZrOとPbTiOの比率が53:47の割合で、化学式で示すとPb(Zr0.53,Ti0.47)Oと示される。PZT以外の複合酸化物としては、チタン酸バリウムなどが挙げられ、この場合はバリウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物を出発材料にし、共通溶媒に溶解させることでチタン酸バリウム前駆体溶液を作製することも可能である。これら材料は、一般式ABOで記述され、A=Pb,Ba,Sr、B=Ti,Zr,Sn,Ni,Zn,Mg,Nbを主成分とする複合酸化物が該当し、その具体的な記述は、例えば、(Pb1−x,Ba)(Zr,Ti)O、(Pb1−x,Sr)(Zr,Ti)Oとなる。これらは、AサイトのPbを部分的にBaやSrで置換した場合を意味する。このような置換は、2価の元素であれば可能であり、その効果は熱処理中の鉛の蒸発による特性劣化を低減させる作用を示す。
圧電体層101−3の作製方法としては、スパッタ法もしくはSol−gel法を用いて、スピンコーターにて作製することができる。その場合は、パターニング化が必要となるので、フォトリソエッチング等により所望のパターンを得る。PZTをSol−gel法により作製した場合、酢酸鉛、ジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物を出発材料にし、共通溶媒としてメトキシエタノールに溶解させて均一溶液を得ることで、PZT前駆体溶液が作製できる。金属アルコキシド化合物は、大気中の水分により容易に加水分解してしまうので、前駆体溶液に安定剤として、アセチルアセトン、酢酸、ジエタノールアミンなどの安定化剤を適量、添加しても良い。
下地基板全面にPZT膜を得る場合、スピンコートなどの溶液塗布法により塗膜を形成し、溶媒乾燥、熱分解、結晶化の各々の熱処理を施すことで得られる。塗膜から結晶化膜への変態には体積収縮が伴うので、クラックフリーな膜を得るには一度の工程で100nm以下の膜厚が得られるように前駆体濃度の調整が必要になる。圧電体層101−3の層厚としては、0.5〜5μmが好ましく、さらに好ましくは1μm〜2μmとなる。この範囲より小さいと、十分な変位を発生することができなくなり、この範囲より大きいと、何層も積層させていくため、工程数が多くなりプロセス時間が長くなる。
また、圧電体層101−3の比誘電率としては、600以上2000以下になっていることが好ましく、さらに1200以上1600以下になっていることが好ましい。この範囲よりも小さいと、十分な変位特性が得られにくく、またこの範囲より大きくなると、分極処理が十分行われず、連続駆動後の変位劣化により十分な特性が得られにくい。
圧電体層101−3を成膜した後は、次に、個別電極層101−2を成膜する。個別電極層101−2も、共通電極層101−1と同様、金属膜単層もしくは金属膜と酸化物膜とからなる複数層であることが好ましい。酸化物膜としては、共通電極層101−1で説明した酸化物膜を用いることができる。このとき、SrRuO膜の膜厚としては、20nm〜80nmが好ましく、40nm〜60nmがさらに好ましい。また、金属膜も、共通電極層101−1で説明した金属膜を用いることができる。このとき、膜厚としては、30〜200nmが好ましく、50〜120nmがさらに好ましい。
次に、図6(c)に示すように、共通電極層101−1及び圧電素子101と、後に形成する引き出し配線108との間を絶縁するために、層間絶縁膜110を成膜する。また、層間絶縁膜110は、成膜、エッチングの工程による圧電素子101へのダメージを防ぐとともに、大気中の水分が透過しづらい材料を選定する必要があるため、緻密な無機材料とする必要がある。有機材料では、十分な保護性能を得るために膜厚を厚くする必要があるため、適さない。層間絶縁膜110を厚い膜とした場合、振動板102の変形を阻害してしまうため、吐出性能の低いインクジェットヘッドなってしまうからである。
層間絶縁膜110について、薄膜で高い保護性能を得るには、酸化物、窒化物、炭化物を用いるのが好ましいが、層間絶縁膜110の下地となる電極材料、圧電体材料、振動板材料との密着性が高い材料を選定することが必要になる。また、成膜法も、圧電素子101を損傷しない成膜方法を選定する必要がある。すなわち、反応性ガスをプラズマ化して基板上に堆積するプラズマCVD法や、プラズマをターゲット材に衝突させて飛ばすことで成膜するスパッタリング法は好ましくない。好ましい成膜方法としては、蒸着法、ALD法などが例示できるが、使用できる材料の選択肢が広いALD法が好ましい。好ましい材料としては、Al、ZrO、Y、Ta、TiOなどのセラミクス材料に用いられる酸化膜が例として挙げられる。特にALD法を用いることで、膜密度の非常に高い薄膜を作製し、プロセス中でのダメージを抑制することができる。
層間絶縁膜110の膜厚は、圧電素子101の保護性能を確保できる十分な薄膜とする必要があると同時に、振動板102の変形を阻害しないように可能な限り薄くする必要がある。そのため、層間絶縁膜110の膜厚の好ましい範囲は、20nm〜100nmである。100nmより厚い場合は、振動板102の変形量が低下するため、吐出効率の低いインクジェットヘッドとなる。一方、20nmより薄い場合は、圧電素子101の保護層としての機能が不足してしまうため、圧電素子101の性能が低下してしまう。
また、層間絶縁膜110を2層構成としてもよい。この場合は、図4に示すように、2層目の絶縁保護膜110bを厚くするとともに、振動板102の変形を阻害しないように、圧電素子101に重なる付近では2層目の絶縁保護膜を除去して1層目の絶縁保護膜110aのみとする構成としてもよい。このとき、2層目の絶縁保護膜110bとしては、任意の酸化物、窒化物、炭化物またはこれらの複合化合物を用いることができるが、半導体デバイスで一般的に用いられるSiOを用いることができる。成膜は、任意の手法を用いることができ、CVD法、スパッタリング法が例示でき、段差被覆を考慮すると、等方的に成膜できるCVD法を用いることが好ましい。層間絶縁膜110の膜厚は、共通電極層101−1と個別電極層101−2の間に印加される電圧で絶縁破壊されない程度の膜厚とする必要がある。すなわち、絶縁保護膜に印加される電界強度を、絶縁破壊しない範囲に設定する必要がある。さらには、層間絶縁膜110の下地の表面性やピンホール等を考慮すると、層間絶縁膜110の膜厚は200nm以上であるのが好ましく、さらに好ましくは500nm以上である。
層間絶縁膜110を成膜した後、個別電極層101−2と引き出し配線108とを接続するための接続孔111をリソエッチ法で形成する。また、共通電極層101−1を別の引き出し配線と接続する場合には、同様に接続孔を層間絶縁膜110に形成する。その後、図6(d)に示すように、引き出し配線108を形成する。
引き出し配線108の材料としては、Ag合金、Cu、Al、Au、Pt、Irのいずれかからなる金属電極材料であることが好ましい。作製方法としては、スパッタ法、スピンコート法を用いて作製し、その後フォトリソエッチング等により所望のパターンを得る。引き出し配線108の膜厚は、0.1〜20μmが好ましく、0.2〜10μmがさらに好ましい。この範囲より小さいと、抵抗が大きくなって個別電極層101−2に十分な電流を流すことができなくなり、ヘッド吐出が不安定になる。また、この範囲より大きいと、プロセス時間が長くなる。また、接続孔111における個別電極層101−2との接触抵抗は、1Ω以下が好ましく、さらに好ましくは0.5Ω以下である。また、接続孔における共通電極層101−1との接触抵抗は、10Ω以下が好ましく、さらに好ましくは5Ω以下である。これらの範囲を超えると、十分な電流を供給することができなくなり、インク吐出をする際に不具合が発生する。
また、引き出し配線108は、後述するように、保持基板200の接着領域内にも介在することになる。そのため、本実施形態では、保持基板200の接着領域における高さ均一性を確保するために、図4に示すように、圧電素子101を挟んで引き出し配線108とは反対側(共通インク流路202側)で保持基板200が接着される接着領域109においても、引き出し配線108側の接着領域と同一の層構成を残し、保持基板200の接着の信頼性を高めている。
次に、図7(a)に示すように、引き出し配線108の保護層として機能するパッシベーション膜112を成膜する。このようなパッシベーション膜112を設けることで、引き出し配線108の材料として、安価なAlもしくはAlを主成分とする合金材料を用いることができる。その結果、低コストかつ信頼性の高いインクジェットヘッドとすることができる。パッシベーション膜112の材料としては、任意の無機材料、有機材料を使用することができるが、透湿性の低い材料とする必要がある。無機材料としては、酸化物、窒化物、炭化物等が例示でき、有機材料としては、ポリイミド、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等が例示できる。ただし、有機材料の場合には厚膜とすることが必要となるため、後述のパターニングには適さない。そのため、薄膜で配線保護機能を発揮できる点で、無機材料とすることが好ましい。特に、Alの引き出し配線108に対してSiのパッシベーション膜112を用いることが、半導体デバイスで実績のある技術であり、好適である。また、パッシベーション膜112の膜厚は200nm以上とすることが好ましく、さらに好ましくは500nm以上である。膜厚が薄い場合は十分なパッシベーション機能を発揮できないため、引き出し配線108の腐食による断線が発生し、インクジェットの信頼性を低下させてしまう。
また、パッシベーション膜112は、振動板102の変形を阻害しないように、圧電素子101及びその周囲に重なる部分を除去するのが好ましい。これにより、高効率かつ高信頼性のインクジェットヘッドとすることが可能になる。具体的には、図7(b)に示すように、フォトリソグラフィ法やドライエッチング法を用いて、駆動IC120に接続される個別電極パッド107となる引き出し配線108の端部と、圧電素子101の上面の一部と、共通インク流路202との箇所におけるパッシベーション膜112及び層間絶縁膜110を除去する。そして、図7(c)に示すように、リソエッチ法により、共通インク流路202と共通液室106とを連通させる箇所の振動板102を除去する。
引き出し配線108の端部には、駆動IC120を接続するためのバンプ電極からなる個別電極パッド107を形成する。この個別電極パッド107の形成方法としては、電解めっき法、無電解メッキ法及びスタッドバンプ法などがある。個別電極パッド107の材料としては、Au、Ag、Cu、Ni、はんだなどがある。駆動IC120を個別電極パッド107に接続する方法としては、例えば、FPC(Flexible Printed Circuits)を用いたACF(Anisotropic Conductive Film)接合、ハンダ接合、ワイヤボンディング接合、駆動IC120の出力端子と直接接合するフリップチップ接合などを選択的に用いることができる。ただし、FPCを用いると、FPCの部品コストがかかるため、ワイヤボンディング接合やフリップチップ接合の方がコスト的に有利である。また、ワイヤボンディング接合は、フリップチップ接合と比較してタクトが遅いため、生産性が悪く、狭ピッチ化にも不利である。そのため、本実施形態においては、フリップチップ接合により駆動IC120を個別電極パッド107に接続し、駆動IC120をフリップチップ実装している。
次に、図8(a)に示すように、振動板変位領域113に対応した位置に凹部203を形成した保持基板200の脚部200aと、アクチュエータ基板100上の接着領域109とを、接着剤114で接着する。アクチュエータ基板100は、加圧液室104等の形成のために20〜100μm程度の厚みにすると、十分な剛性を確保することができないので、保持基板200を接着して剛性を確保している。そのため、保持基板200は、樹脂などの低剛性材料ではなく、シリコンなどの高剛性材料であるのが好ましい。また、アクチュエータ基板100の反りを防止するために、アクチュエータ基板100に対して熱膨張係数の近い材料を選定する必要がある。そのため、ガラス、シリコンやSiO、ZrO、Al等のセラミクス材料とすることが好ましい。
また、保持基板200の圧電素子101に対向する振動板変位領域113に対応した位置には、凹部203が形成されている。この凹部203により、圧電素子101が変形するための空間が確保される。保持基板200の各凹部203は、図9及び図10に示すように、1つの圧電素子101ごとに区画されている。これにより、板厚の薄いアクチュエータ基板100でも十分な剛性を確保することができるとともに、各圧電素子101を駆動した際に隣接する加圧液室104間の相互干渉を低減することが可能となる。また、図9及び図10に示すように、保持基板200の凹部203については、圧電素子101ごとに区画されるため、圧電素子101の高密度化のためには高度な加工精度が要求され、例えば300dpiの画像記録が可能な液体吐出ヘッドを実現する場合には、保持基板200の凹部203を区画する隔壁の幅T1は5〜20μmとするのが好ましい。
次に、図8(b)に示すように、フォトリソグラフィ法により、加圧液室104、共通液室106、流体抵抗部105以外の隔壁部103をレジストで被覆した後、アルカリ溶液(KOH溶液あるいはTMHA溶液)で異方性ウェットエッチングを行い、加圧液室104、共通液室106、流体抵抗部105を形成する。アルカリ溶液による異方エッチング以外にも、例えばICPエッチャーを用いたドライエッチングで、加圧液室104、共通液室106、流体抵抗部105を形成してもよい。その後、図8(c)に示すように、各加圧液室104に対応した位置にノズル孔301が開口したノズル基板300を接合する。
なお、以上の説明は、液体吐出ヘッドの製造方法の一例であり、これに限られない。
次に、保持基板200をアクチュエータ基板100に接着する接着領域の構成について説明する。
駆動IC120と引き出し配線108の端部に形成されている個別電極パッド107との接続部は、曲げや衝撃などの外力が加わると、駆動IC120と個別電極パッド107との接続が外れやすい。また、熱応力により、駆動IC120と個別電極パッド107との接続が外れるおそれもある。また、温度や湿度変化により、駆動IC120と個別電極パッド107との接続部に水分が付着して、接続部が腐食するおそれもある。そのため、駆動IC120と個別電極パッド107との接続部は、封止剤で封止、補強する必要がある。
本実施形態において、保持基板200には、図9に示すように、駆動IC120を収容するためのIC収容部201が形成されている。封止剤130は、図4に示すように、保持基板200のIC収容部201内に入れられ、駆動IC120と個別電極パッド107との接続部が封止剤130によって覆われて封止される。
本実施形態においては、保持基板200に設けられた凹部203の脚部200aを、アクチュエータ基板100上の接着領域109に対し、適量の接着剤114でムラ無く接着させることが重要である。そのため、保持基板200の脚部200aとアクチュエータ基板100の接着領域109との間を接着する接着剤114に関し、接着剤114の過剰なはみ出しがあるか否か、接着剤114の不足箇所があるか否か等(接着状態)を確認することが求められる。この接着状態の適否は、例えば、接着箇所に介在する接着剤114のフィレット形状を見ることで判断することが可能である。しかしながら、保持基板200の脚部200aのうち、図10に示すような、圧電素子101間に位置する脚部200aとアクチュエータ基板100上の接着領域109との接着箇所については、保持基板200の存在により外部から視認することができない。
このように視認できない接着箇所における接着状態については、例えば、赤外顕微鏡(IR顕微鏡)を用いて保持基板200越しに当該接着箇所を観測するという方法が挙げられる。しかしながら、この方法では、IR顕微鏡で観測される画像が不鮮明であるため、接着剤114のフィレット形状を確認することまではできない。また、例えば、図25に示すように、接着剤114が脚部200aの側壁に沿って移動した場合、IR顕微鏡で保持基板200越しに観察しても、側壁に沿って移動した余剰接着剤114’によってフィレット形状を確認することができない。
そこで、本実施形態においては、アクチュエータ基板100が作成される第一基板には、図2に示すように、保持基板200が作成される第二基板との対向面の隅(図2では右上)に、接着状態確認用構造体115が設けられている。この接着状態確認用構造体115は、互いに高さの異なる複数の面部を備えており、本実施形態では互いに高さの異なる4つの面部115a,115b,115c,115dを備えている。これらの4つの面部115a,115b,115c,115dには、第二基板に付与された接着剤114によって接着される接着面部と同じ高さである第一面部115aと、接着状態が過多状態であるときには第二基板に付与された接着剤114が接触し、過多状態でないときには第二基板に付与された接着剤114が接触しない高さに設定された接着過多検査用面部である第二面部115bと、接着状態が不足状態であるときには第二基板に付与された接着剤114が接触せず、不足状態でないときには第二基板に付与された接着剤114が接触する高さに設定された接着不足検査用面部である第三面部115cとを含む。
これにより、本実施形態によれば、第二基板に付与された接着剤114が、第三面部115cに接触しないことを確認することで、接着状態が不足状態であることを把握することができる。また、第二基板に付与された接着剤114が、第二面部115bに接触していることを確認することで、接着状態が過多状態であることを把握することができる。また、第二基板に付与された接着剤114が、第三面部115cには接触し、第二面部115bには接触していないことを確認することで、接着状態が適切な接触状態であることを把握することができる。
なお、接着状態確認用構造体115を設ける位置は、図2に示す例に限られず、保持基板200が作成される第二基板と対向する箇所であれば、適宜設定することができる。例えば、アクチュエータ基板100が作成される第一基板における、圧電素子が形成された領域より外側の領域であって、圧電素子の並び方向(アクチュエータ基板の長手方向)の端部領域に形成してもよい。特に、圧電素子の並び方向の両端部領域にそれぞれ接着状態確認用構造体115を設けてもよい。
以下、液体吐出ヘッドの電気機械変換基板を製造するために用いられる貼り合わせ基板について説明する。
図11は、アクチュエータ基板100が形成される第一基板100’を模式的に示す平面図である。
図12は、第一基板100’上に形成される1つのアクチュエータ基板100を拡大して模式的に示した平面図である。
図13は、保持基板200が形成される第二基板200’を模式的に示す平面図である。
図14は、第二基板200’上に形成される1つの保持基板200を拡大して模式的に示した平面図である。
第一基板100’及び第二基板200’は、いずれも6インチのシリコン基板である。本実施形態では、図11に示すように、第一基板上に19個のチップ(アクチュエータ基板100)が配置される。このチップ(アクチュエータ基板100)は、上述したように、複数の膜が順次成膜されて構成された積層層構造体である。また、チップ(アクチュエータ基板100)の隅(図12では右上)には、上述した接着状態確認用構造体115が設けられている。
一方、第二基板200’には、図13に示すように、第一基板上のチップ(アクチュエータ基板100)に対応する箇所に保持基板200が形成されている。また、保持基板200の隅(図14では左上)には、第一基板100’上の接着状態確認用構造体115に対向して接着剤114が付与される対向面部204が設けられている。
図15は、第一基板100’の接着状態確認用構造体115を拡大して模式的に示した平面図である。
図16は、図15の符号A−A’の断面図である。
接着状態確認用構造体115は、第一基板100’の下地上に4種類の膜をフォトリソグラフィ法によって個別に加工し、互いに高さの異なる4つの面部115a,115b,115c,115dを形成したものである。本実施形態では、第一面部115aの高さが4μmであり、第二面部115bの高さが1μmであり、第三面部115cの高さが3μmである。また、第三面部115cの高さよりも低く、第二面部115bの高さよりも高い他の面部として、第四面部115dも設けられている。この第四面部115dの高さは2μmである。
なお、本実施形態の接着状態確認用構造体115では、4つの面部115a〜115dが高さの順で並べて配置されているが、その順序が変わっても機能的に相違はない。接着状態確認用構造体115において、第一面部115aの高さは、保持基板200の脚部200aが接着されるアクチュエータ基板100の接着領域109と同じ高さに設定されており、第一面部115aは、第二基板200’との貼り合わせ界面となる。
また、接着状態確認用構造体115は、4つの面部115a〜115dを取り囲むように、接着用面部である貼り合わせ面部115eを備えている。この貼り合わせ面部115eは、接着剤114によって、第二基板200’の対向面部204に形成される貼り合わせ面部204eと貼り合わせられる部分である。この貼り合わせ面部115eの高さは、第一面部115aの高さと同じ高さであり、第一面部と同様の機能を果たすことが可能である。
図17は、第二基板200’の対向面部204を拡大して模式的に示した平面図である。
図18は、図17の符号B−B’の断面図である。
本実施形態における第二基板200’の対向面部204は、接着剤114により、第一基板100’の接着状態確認用構造体115上の各面部115a〜115dと貼り合わさせられる対向面部分(幅広部204a〜204d)が同じ高さの平面で構成されている。また、本実施形態においては、この対向面部分(幅広部204a〜204d)の周囲の少なくとも一部が、当該対向面部分(幅広部204a〜204d)よりも高さの低い部分(凹部204f)となっている。更に、本実施形態においては、各幅広部204a〜204dの間、並びに、第一幅広部204aと貼り合わせ面部204eとの間及び第二幅広部204bと貼り合わせ面部204eとの間には、連結部(狭窄部204g)を設けている。このような対向面部204の加工は、フォトリソグラフィ法によって行われたものである。
本実施形態では、第一基板100’と第二基板200’とを貼り合わせるための接着剤114は、フレキソ印刷により、第二基板200’の全面に薄膜転写することにより、第二基板200’に付与される。本実施形態の対向面部204は、図17及び図18に示すように、凹部204f以外の部分(幅広部204a〜204d、狭窄部204g、貼り合わせ面部204e)は、いずれも同じ高さであり、接着剤114が付与されるが、凹部204fには接着剤が付与されない。
本実施形態において、狭窄部204gを設けているのは、第二基板200’に付与した接着剤の量(厚み)を測定しやすいようにするためである。詳しくは、狭窄部204gを設けることで、図17中符号C−C’の方向に沿った対向面部204は、段差が無く、一律に同じ高さとなる。これにより、対向面部204に付与された接着剤114の図17中符号C−C’の方向における厚みムラは、図17中符号C−C’の方向における接着剤114の上面の凹凸を測定することで把握可能となり、一般的な段差計などを用いて容易に測定することができる。なお、狭窄部204gは、光学測定などで対向面部204に付与された接着剤の厚みを測定する場合には設ける必要がない。
図19(a)は、テープ205を貼付した状態で接着剤が付与された第二基板200’の対向面部204を拡大して模式的に示した平面図であり、図19(b)は、接着剤を付与した後にテープ205を剥がした状態の第二基板200’の対向面部204を拡大して模式的に示した平面図である。
図20は、図19の符号C−C’の断面図である。
対向面部204に付与された接着剤の図19中符号C−C’の方向における厚みムラを、例えば段差計を用いて測定する場合、接着剤114の厚み基準となる基準面Tを得る必要がある。そのため、接着剤114を塗布する前に、図19に示すように、幅広部204a〜204dと狭窄部204gの同一線上(図19中符号C−C’の方向)の貼り合わせ面部204e上に、予めテープ205を貼付しておく。これにより、接着剤114を付与した後にテープ205を剥がすことで、テープ205が貼付されていた箇所に、接着剤114が付与される前の貼り合わせ面部204eを得ることができ、これを接着剤の厚み測定の基準面とすることができる。
なお、本実施形態における接着剤の厚みは約3μmであるのが好適であるが、好適な接着剤の厚みは適宜設定される。
また、本実施形態において、幅広部204a〜204dの周囲に凹部204fを形成しているのは、第一基板100’と第二基板200’とを貼り合わせた際、第二基板200’の対向面部204に付与された余分な接着剤が凹部204fへ浸入できるようにするためである。詳しくは、このような凹部204fを設けずに第二基板200’の対向面部204の全域を一様な平面で形成してもよいが、この場合、余分な接着剤が、面方向へ移動して、第一基板100’の接着状態確認用構造体115における4つの面部115a〜115dのうち、本来は接着剤が接触しないはずの面部に向かってしまい、接着状態の適否を正確に判断できない事態を招くおそれがある。本実施形態のように凹部204fを設けることで、このような事態が生じるのを抑制することができ、より正確に接着状態の適否を判断することができるようになる。
ただし、凹部204fを設けず、第二基板200’の対向面部204の全域が一様な平面で形成されている場合でも、図21及び図22に示すように、接着剤114をパターニングして付与する場合には、上記の事態が生じるおそれが少ないので、凹部204fを設ける必要はない。
図23は、第一基板100’と、接着剤114が付与された第二基板200’とを貼り合わせたときの、接着状態確認用構造体115と対向面部204とが貼り合わせられた部分を示す断面図である。
本実施形態の第二基板200’は、上述したようにシリコン基板であり、赤外光を透過する光透過性を有するものである。そのため、IR顕微鏡500を用いて第二基板200’越しに、接着状態確認用構造体115を観察し、互いに高さの異なる4つの面部115a〜115dのうち、どの高さの面部まで接着剤が接触しているかを確認することができる。すなわち、どの高さの面部まで接着剤が接触しているかを確認することで、接着状態の適否(接着状態が過多状態であるか、接着状態が不足状態であるか、接着状態が適切な状態であるか)を把握することができる。
図23の例では、第一面部115aの次に高い第三面部115cまで接着剤114が接触しており、その次に高い第四面部115dには接着剤114が接触していないことから、少なくとも1μmの潰し量εが得られていることが確認できる。ここでいう潰し量εとは、第一基板100’と第二基板200’とを貼り合わせたときに、第二基板200’の貼り合わせ面部204eに付着する接着剤114が第一基板100’の貼り合わせ面部115eによって潰された量(潰された高さ)を意味する。第一基板100’の貼り合わせ面部115eの高さは、接着領域109と同じ高さであり、第二基板200’の貼り合わせ面部204eの高さは、接着領域109に接着される脚部200aの高さと同じであるため、前記潰し量εは、接着領域109と脚部200aとの接着部分における接着剤114の潰し量εに相当する。
本実施形態においては、潰し量εが1μm以上であれば、接着剤114を塗布した第二基板200’と第一基板100’とを貼り合わせたときに、第二基板200’に塗布された接着剤114と第一基板100’との間に隙間が無く、接着状態が不足状態ではないと判断される。なお、接着剤114は、その種類によっては第二基板200’への塗布後に波打った形状になる場合があり、例えば、接着剤の厚みが平均すると3μmであったとしても、実際は2.5μm以上3.5μm以下の範囲内で厚みのばらつきがあることがある。こういった場合でも、1μm以上の潰し量が得られていれば、接着剤の厚みが最も薄い2.5μmの箇所でも、0.5μm以上の潰し量が確保され、接着の不足状態を回避することができる。なお、潰し量εの閾値は、接着剤の種類、接着剤の付与方法などに応じて、適宜設定される。
また、本実施形態においては、生産効率を上げるために、シリコン基板からチップ(アクチュエータ基板100)を切り出す前の第一基板100’と第二基板200’とをシリコン基板単位で貼り合せしているが、シリコン基板からチップ(アクチュエータ基板100)を切り出した後のアクチュエータ基板100と第二基板200’から切り出した保持基板200とを貼り合せてもよい。この場合、アクチュエータ基板100が第一基板となり、保持基板200が第二基板となる。
なお、本実施形態のように、シリコン基板単位で貼り合せる場合、シリコン基板上の位置によって接着状態が異なる場合が発生し得る。例えば、図24(a)に示すように、シリコン基板(第一基板100’)上の異なる位置に作成される4つのチップであるアクチュエータ基板100−1,100−2,100−3,100−4について、シリコン基板の外周に近い位置のアクチュエータ基板100−1は、接着剤114が第一面部115aには接触しているものの、次に高い接着不足検査用面部である第三面部115cには接着剤114が接触しておらず、接着剤114の厚みムラがある場合には、接着剤114の厚みが相対的に薄い箇所でアクチュエータ基板100−1と保持基板200との接着状態が不足状態になっているおそれがある。そのため、このアクチュエータ基板100−1と保持基板200とからなる電気機械変換基板については外観検査で不良にする必要がある。
なお、アクチュエータ基板100−2について見ると、接着不足検査用面部である第三面部115cには接着剤114が接触しており、接着過多検査用面部である第二面部115bには付着していないので、接着状態が不足でも過多でもないので、良好な状態といえる。
同様に、アクチュエータ基板100−3について見ると、接着不足検査用面部である第三面部115cには接着剤114が接触しており、接着過多検査用面部である第二面部115bには付着していないので、接着状態が不足でも過多でもないので、良好な状態といえる。
一方、アクチュエータ基板100−4について見ると、接着過多検査用面部である第二面部115bには付着しているので、接着状態が過多状態になっている。したがって、このアクチュエータ基板100−4と保持基板200とからなる電気機械変換基板については外観検査で不良にする必要がある。
本実施形態によれば、この場合、当該アクチュエータ基板100−1の接着状態確認用構造体115の各面部115a〜115dに接着剤が接触しているか否かを確認することで、当該アクチュエータ基板100−1の接着状態を確認できる。よって、このアクチュエータ基板100−1と保持基板200とからなる電気機械変換基板を、適切に不良であるとして対応することができる。
なお、本実施形態では、接着状態確認用構造体115の各面部115a〜115dを、アクチュエータ基板100の圧電素子等とは別の工程で作成しているが、これに限られない。例えば、接着状態確認用構造体115の各面部115a〜115dを、アクチュエータ基板100の圧電素子等を形成するための成膜工程で一緒に作成してもよい。この場合、接着状態確認用構造体115の各面部115a〜115dは複数層の層構造を有するが、上述したように、互いに異なる高さの面部115a〜115dを形成するために、各面部115a〜115dの層の数を異ならせる。すなわち、層の数の違いによって高さが異なるものとする。
図26は、接着状態確認用構造体115の各面部115a〜115dをアクチュエータ基板100の圧電素子等を形成する成膜工程で一緒に作成した場合の層構造の例を示す断面図である。
図27は、図26の例における接着状態確認用構造体115の平面図である。
本例において、第一面部115a及び貼り合わせ面部115eは、シリコン単結晶基板上に形成される3層構造の振動板102と、2層構造の層間絶縁膜110と、引き出し配線108と、パッシベーション膜112とを積層した構造体である。本例における振動板102は、SiO膜102aと、Si層102bと、SiO膜102cとからなる3層構造である。また、本例における層間絶縁膜110は、Al膜110aと、SiN膜110bとからなる2層構造である。本例における引き出し配線108は、Alの単層構造である。本例におけるパッシベーション膜112は、SiNの単層である。
本例において、第二面部115bは、シリコン単結晶基板上に形成される3層構造の振動板102のうちのSiO膜102aとSi層102bとを積層した構造体である。第二面部115bは、第一面部115a及び貼り合わせ面部115eよりも、3層構造の振動板102のうちのSiO膜102cと、2層構造の層間絶縁膜110と、引き出し配線108と、パッシベーション膜112との層厚分だけ高さが低い。
本例において、第三面部115cは、シリコン単結晶基板上に形成される3層構造の振動板102と、2層構造の層間絶縁膜110と、引き出し配線108とを積層した構造体である。第三面部115cは、第一面部115a及び貼り合わせ面部115eよりも、パッシベーション膜112の層厚分だけ高さが低い。
本例において、第四面部115dは、シリコン単結晶基板上に形成される3層構造の振動板102と、2層構造の層間絶縁膜110と、パッシベーション膜112とを積層した構造体である。第四面部115dは、第一面部115a及び貼り合わせ面部115eよりも、引き出し配線108の層厚分だけ高さが低い。
また、本例では、接着状態確認用構造体115の各面部115a〜115dが連結部(狭窄部204g)によって連結されている。
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の一例について図28及び図29を参照して説明する。図28は同装置の要部平面説明図、図29は同装置の要部側面説明図である。
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
このキャリッジ403には、本発明に係る液体吐出ヘッド404及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成する。
このように、この装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの他の例について図30を参照して説明する。図30は同ユニットの要部平面説明図である。
この液体吐出ユニットは、前記液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド404で構成されている。
なお、この液体吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、及び供給機構494の少なくともいずれかを更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例について図31を参照して説明する。図31は同ユニットの正面説明図である。
この液体吐出ユニットは、流路部品444が取付けられた液体吐出ヘッド404と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。また、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド404と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
本願において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
前記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
前記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、壁紙や床材などの建材、衣料用のテキスタイルなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、「液体」は、インク、処理液、DNA試料、レジスト、パターン材料、結着剤、造形液、又は、アミノ酸、たんぱく質、カルシウムを含む溶液及び分散液なども含まれる。
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
例えば、液体吐出ユニットとして、図29で示した液体吐出ユニット440のように、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、図30で示したように、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、図31で示したように、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
また、「液体吐出ヘッド」は、使用する圧力発生手段が限定されるものではない。例えば、前記実施形態で説明したような圧電アクチュエータ(積層型圧電素子を使用するものでもよい。)以外にも、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものでもよい。
また、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[第1態様]
第1態様は、第一基板100’と第二基板200’とを、該第二基板側に付与された接着剤114で貼り合わせた貼り合わせ基板であって、前記第一基板は、前記第二基板との対向面に、該第二基板に付与された接着剤によって接着される接着面部よりも高さの低い接着不足検査用面部(例えば第三面部115c)を備えた接着状態確認用構造体115を有し、前記接着不足検査用面部の高さは、前記接着面部の接着剤による接着状態が不足状態であるときには前記第二基板に付与された接着剤が接触せず、該接着状態が不足状態でないときには前記第二基板に付与された接着剤が接触する高さに設定されていることを特徴とするものである。
本態様によれば、第一基板の接着面部の接着剤による接着状態が不足状態であるときには第二基板に付与された接着剤が接触せず、該接着状態が不足状態でないときには第二基板に付与された接着剤が接触する高さに設定された接着不足検査用面部を備えた接着状態確認用構造体が、第一基板に設けられている。これにより、例えば、第二基板に付与された接着剤が接着不足検査用面部に接触しないことを確認することで、接着剤による接着状態が不足状態であることを把握することができる。よって、本態様によれば、第一基板と第二基板とを貼り合わせた後に、第一基板と第二基板との接着状態が不足状態であるか否かを確認することができる。
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記接着状態確認用構造体は、前記第二基板に付与された接着剤によって接着される接着面部よりも高さの低い接着過多検査用面部(例えば第二面部115b)を備え、前記接着過多検査用面部の高さは、前記接着面部の接着剤による接着状態が過多状態であるときには前記第二基板に付与された接着剤が接触し、該接着状態が過多状態でないときには前記第二基板に付与された接着剤が接触しない高さに設定されていることを特徴とするものである。
本態様によれば、第一基板の接着面部の接着剤による接着状態が過多状態であるときには第二基板に付与された接着剤が接触し、該接着状態が過多状態でないときには第二基板に付与された接着剤が接触しない高さに設定された接着過多検査用面部を備えた接着状態確認用構造体が、第一基板に設けられている。これにより、例えば、第二基板に付与されている接着剤が、接着過多検査用面部に接触していることを確認することで、接着剤による接着状態が過多状態であることを把握することができる。よって、本態様によれば、第一基板と第二基板とを貼り合わせた後に、第一基板と第二基板との接着状態が過多状態であるか否かを確認することができる。
[第3態様]
第3態様は、第2態様において、前記接着状態確認用構造体は、前記接着不足検査用面部の高さよりも低く、前記接着過多検査用面部の高さよりも高い他の面部(例えば第四面部115d)を備えることを特徴とするものである。
本態様によれば、接着状態をより細かく把握することができる。
[第4態様]
第4態様は、第一基板100’と第二基板200’とを、該第二基板側に付与された接着剤114で貼り合わせた貼り合わせ基板であって、前記第一基板は、前記第二基板との対向面に、該第二基板に付与された接着剤によって接着される接着面部よりも高さの低い接着過多検査用面部(例えば第二面部115b)を備えた接着状態確認用構造体115を有し、前記接着過多検査用面部の高さは、前記接着面部の接着剤による接着状態が過多状態であるときには前記第二基板に付与された接着剤が接触し、該接着状態が過多状態でないときには前記第二基板に付与された接着剤が接触しない高さに設定されていることを特徴とするものである。
本態様によれば、第一基板の接着面部の接着剤による接着状態が過多状態であるときには第二基板に付与された接着剤が接触し、該接着状態が過多状態でないときには第二基板に付与された接着剤が接触しない高さに設定された接着過多検査用面部を備えた接着状態確認用構造体が、第一基板に設けられている。これにより、例えば、第二基板に付与されている接着剤が、接着過多検査用面部に接触していることを確認することで、接着剤による接着状態が過多状態であることを把握することができる。よって、本態様によれば、第一基板と第二基板とを貼り合わせた後に、第一基板と第二基板との接着状態が過多状態であるか否かを確認することができる。
[第5態様]
第5態様は、第1乃至第4態様において、前記第二基板は、前記第一基板の前記接着状態確認用構造体における前記接着不足検査用面部又は前記接着過多検査用面部と対向する対向面部分(例えば幅広部204a〜204d)が、前記接着面部と同じ高さの面であることを特徴とするものである。
これによれば、接着状態をより簡単に把握することができる。
[第6態様]
第6態様は、第1乃至第5態様のいずれかにおいて、前記第二基板は、少なくとも前記第一基板の前記接着状態確認用構造体における前記接着不足検査用面部又は前記接着過多検査用面部と対向する対向面部分が光透過性を有するものであることを特徴とするものである。
これによれば、光学測定器によって、第二基板越しに、接着状態確認用構造体115の各面部のどれに接着剤が接触しているかを確認することができる。
[第7態様]
第7態様は、第6態様において、前記対向面部分は、赤外光を透過するものであることを特徴とするものである。
これによれば、IR顕微鏡などの赤外線を用いた光学測定器によって、第二基板越しに、接着状態確認用構造体115の各面部のどれに接着剤が接触しているかを確認することができる。
[第8態様]
第8態様は、第1乃至第7態様のいずれかにおいて、前記第一基板は、基板面上に複数層からなる複数層構造体を有し、前記接着状態確認用構造体の前記接着不足検査用面部又は前記接着過多検査用面部は、前記複数層構造体の層構造から一部又は全部の層を除外した層構造であることを特徴とするものである。
これによれば、接着状態確認用構造体115を、基板面上に形成される複数層構造体と一緒に作成することができ、工程数を増やすことなく、接着状態確認用構造体115を作成できる。
[第9態様]
第9態様は、第1乃至第8態様のいずれかにおいて、前記第二基板は、前記第一基板の前記接着状態確認用構造体における前記接着不足検査用面部又は前記接着過多検査用面部と対向する対向面部分の周囲の少なくとも一部に、該対向面部分よりも高さの低い部分(例えば凹部204f)を有することを特徴とするものである。
これによれば、第一基板と第二基板とを貼り合わせた際、第二基板に付与された余分な接着剤が凹部へ浸入できるようになり、余分な接着剤が、第一基板の接着状態確認用構造体における複数の面部のうち、本来は接着剤が接触しないはずの面部に向かってしまうのを抑制できる。その結果、接着状態の適否をより正確に判断することができる。
[第10態様]
第10態様は、第9態様において、前記第二基板は、前記対向面部分と同じ高さの連結部(例えば狭窄部204g)が所定方向に沿って該対向面部分に連続するように設けられていることを特徴とするものである。
これによれば、第二基板に付与された接着剤の前記所定方向における厚みムラを、当該所定方向における接着剤の上面凹凸を測定することで把握可能となり、一般的な段差計などを用いて容易に測定することができるようになる。
[第11態様]
第11態様は、液体吐出ヘッドであって、第1乃至第10態様のいずれかの態様に係る貼り合わせ基板から製造される電気機械変換基板上の電気機械変換素子を変形させることによりインク等の液体を吐出させることを特徴とするものである。
これによれば、基板同士が適切に接着された信頼性の高い液体吐出ヘッドを実現できる。
[第12態様]
第12態様は、液体吐出ユニットであって、第11態様の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とするものである。
これによれば、基板同士が適切に接着された信頼性の高い液体吐出ユニットを実現できる。
[第13態様]
第13態様は、第12態様の液体吐出ユニットにおいて、前記液体吐出ヘッドに供給する液体を貯留するヘッドタンク、前記液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジ、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供給機構、前記液体吐出ヘッドの維持回復を行う維持回復機構、前記液体吐出ヘッドを主走査方向に移動させる主走査移動機構のうちの少なくとも1つと、前記液体吐出ヘッドとを一体化したことを特徴とするものである。
これによれば、基板同士が適切に接着された信頼性の高い液体吐出ユニットを実現できる。
[第14態様]
第14態様は、液体を吐出する装置であって、第11態様の液体吐出ヘッド、又は、第12又は第13態様の液体吐出ユニットを備えていることを特徴とするものである。
これによれば、基板同士が適切に接着された信頼性の高い液体を吐出する装置を実現できる。
[第15態様]
第15態様は、第一基板と第二基板とを、該第二基板側に付与された接着剤で貼り合わせた貼り合わせ基板の製造方法であって、前記第一基板における前記第二基板との対向面に、該第二基板に付与された接着剤によって接着される該第一基板上の接着面部よりも高さが低く、かつ、該接着面部の接着剤による接着状態が不足状態であるときには前記第二基板に付与された接着剤が接触せず、該接着状態が不足状態でないときには前記第二基板に付与された接着剤が接触する高さに設定された接着不足検査用面部を備える接着状態確認用構造体を作成し、前記第二基板に接着剤を付与して、前記第一基板と該第二基板とを接着剤で貼り合わせた後、前記接着不足検査用面部に対する接着剤の接触状態を確認し、前記第一基板と前記第二基板とを接着剤で貼り合わせたもののうち、前記接着不足検査用面部に接着剤が接触しているものを、前記貼り合わせ基板として選出することを特徴とするものである。
本態様によれば、基板同士が適切に接着された信頼性の高い貼り合わせ基板を製造することができる。
[第16態様]
第16態様は、第一基板と第二基板とを、該第二基板側に付与された接着剤で貼り合わせた貼り合わせ基板の製造方法であって、前記第一基板における前記第二基板との対向面に、該第二基板に付与された接着剤によって接着される該第一基板上の接着面部よりも高さが低く、かつ、該接着面部の接着剤による接着状態が過多状態であるときには前記第二基板に付与された接着剤が接触し、該接着状態が過多状態でないときには前記第二基板に付与された接着剤が接触しない高さに設定された接着過多検査用面部を備える接着状態確認用構造体を作成し、前記第二基板に接着剤を付与して、前記第一基板と該第二基板とを接着剤で貼り合わせた後、前記接着過多検査用面部に対する接着剤の接触状態を確認し、前記第一基板と前記第二基板とを接着剤で貼り合わせたもののうち、前記接着過多検査用面部に接着剤が接触していないものを、前記貼り合わせ基板として選出することを特徴とするものである。
本態様によれば、基板同士が適切に接着された信頼性の高い貼り合わせ基板を製造することができる。
[第17態様]
第17態様は、他の基板と接着剤で貼り合わされる基板であって、前記基板は、前記他の基板との接着面部(例えば貼り合わせ面部115e)に周囲が囲まれた領域内に、複数の面部115a〜115dが設けられており、前記複数の面部には、前記接着面部よりも高さが低く、かつ、互いに高さが異なる少なくとも2つの面部115a〜115dが含まれることを特徴とするものである。
本態様によれば、基板同士が適切に接着された信頼性の高い貼り合わせ基板を製造することが可能となる。
[第18態様]
第18態様は、第17態様に係る基板と前記他の基板とが接着剤で貼り合わされた貼り合わせ基板である。
本態様によれば、基板同士が適切に接着された信頼性の高い貼り合わせ基板を提供することができる。
100:アクチュエータ基板
100’:第一基板
101:圧電素子
101−1:共通電極層
101−2:個別電極層
101−3:圧電体層
102:振動板
103:隔壁部
104:加圧液室
105:流体抵抗部
106:共通液室
107:個別電極パッド
108:引き出し配線
109:接着領域
110:層間絶縁膜
111:接続孔
112:パッシベーション膜
114:接着剤
115:接着状態確認用構造体
115a:第一面部
115b:第二面部
115c:第三面部
115d:第四面部
115e:貼り合わせ面部
200:保持基板
200':第二基板
200a:脚部
201:IC収容部
202:共通インク流路
203:凹部
204:対向面部
204a〜204d:幅広部
204e:貼り合わせ面部
204f:凹部
204g:狭窄部
205:テープ
300:ノズル基板
301:ノズル孔
404:液体吐出ヘッド
440:液体吐出ユニット
特開2014−172281号公報

Claims (18)

  1. 第一基板と第二基板とを、該第二基板側に付与された接着剤で貼り合わせた貼り合わせ基板であって、
    前記第一基板は、前記第二基板との対向面に、該第二基板に付与された接着剤によって接着される接着面部よりも高さの低い接着不足検査用面部を備えた接着状態確認用構造体を有し、
    前記接着不足検査用面部の高さは、前記接着面部の接着剤による接着状態が不足状態であるときには前記第二基板に付与された接着剤が接触せず、該接着状態が不足状態でないときには前記第二基板に付与された接着剤が接触する高さに設定されていることを特徴とする貼り合わせ基板。
  2. 請求項1に記載の貼り合わせ基板において、
    前記接着状態確認用構造体は、前記第二基板に付与された接着剤によって接着される接着面部よりも高さの低い接着過多検査用面部を備え、
    前記接着過多検査用面部の高さは、前記接着面部の接着剤による接着状態が過多状態であるときには前記第二基板に付与された接着剤が接触し、該接着状態が過多状態でないときには前記第二基板に付与された接着剤が接触しない高さに設定されていることを特徴とする貼り合わせ基板。
  3. 請求項2に記載の貼り合わせ基板において、
    前記接着状態確認用構造体は、前記接着不足検査用面部の高さよりも低く、前記接着過多検査用面部の高さよりも高い他の面部を備えることを特徴とする貼り合わせ基板。
  4. 第一基板と第二基板とを、該第二基板側に付与された接着剤で貼り合わせた貼り合わせ基板であって、
    前記第一基板は、前記第二基板との対向面に、該第二基板に付与された接着剤によって接着される接着面部よりも高さの低い接着過多検査用面部を備えた接着状態確認用構造体を有し、
    前記接着過多検査用面部の高さは、前記接着面部の接着剤による接着状態が過多状態であるときには前記第二基板に付与された接着剤が接触し、該接着状態が過多状態でないときには前記第二基板に付与された接着剤が接触しない高さに設定されていることを特徴とする貼り合わせ基板。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の貼り合わせ基板において、
    前記第二基板は、前記第一基板の前記接着状態確認用構造体における前記接着不足検査用面部又は前記接着過多検査用面部と対向する対向面部分が、前記接着面部と同じ高さの面であることを特徴とする貼り合わせ基板。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の貼り合わせ基板において、
    前記第二基板は、少なくとも前記第一基板の前記接着状態確認用構造体における前記接着不足検査用面部又は前記接着過多検査用面部と対向する対向面部分が光透過性を有するものであることを特徴とする貼り合わせ基板。
  7. 請求項6に記載の貼り合わせ基板において、
    前記対向面部分は、赤外光を透過するものであることを特徴とする貼り合わせ基板。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の貼り合わせ基板において、
    前記第一基板は、基板面上に複数層からなる複数層構造体を有し、
    前記接着状態確認用構造体の前記接着不足検査用面部又は前記接着過多検査用面部は、前記複数層構造体の層構造から一部又は全部の層を除外した層構造であることを特徴とする貼り合わせ基板。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の貼り合わせ基板において、
    前記第二基板は、前記第一基板の前記接着状態確認用構造体における前記接着不足検査用面部又は前記接着過多検査用面部と対向する対向面部分の周囲の少なくとも一部に、該対向面部分よりも高さの低い部分を有することを特徴とする貼り合わせ基板。
  10. 請求項9に記載の貼り合わせ基板において、
    前記第二基板は、前記対向面部分と同じ高さの連結部が所定方向に沿って該対向面部分に連続するように設けられていることを特徴とする貼り合わせ基板。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の貼り合わせ基板から製造される電気機械変換基板上の電気機械変換素子を変形させることにより液体を吐出させることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  12. 請求項11に記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする液体吐出ユニット。
  13. 請求項12に記載の液体吐出ユニットにおいて、
    前記液体吐出ヘッドに供給する液体を貯留するヘッドタンク、前記液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジ、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供給機構、前記液体吐出ヘッドの維持回復を行う維持回復機構、前記液体吐出ヘッドを主走査方向に移動させる主走査移動機構のうちの少なくとも1つと、前記液体吐出ヘッドとを一体化したことを特徴とする液体吐出ユニット。
  14. 請求項11に記載の液体吐出ヘッド、又は、請求項12若しくは13に記載の液体吐出ユニットを備えていることを特徴とする液体を吐出する装置。
  15. 第一基板と第二基板とを、該第二基板側に付与された接着剤で貼り合わせた貼り合わせ基板の製造方法であって、
    前記第一基板における前記第二基板との対向面に、該第二基板に付与された接着剤によって接着される該第一基板上の接着面部よりも高さが低く、かつ、該接着面部の接着剤による接着状態が不足状態であるときには前記第二基板に付与された接着剤が接触せず、該接着状態が不足状態でないときには前記第二基板に付与された接着剤が接触する高さに設定された接着不足検査用面部を備える接着状態確認用構造体を作成し、
    前記第二基板に接着剤を付与して、前記第一基板と該第二基板とを接着剤で貼り合わせた後、前記接着不足検査用面部に対する接着剤の接触状態を確認し、
    前記第一基板と前記第二基板とを接着剤で貼り合わせたもののうち、前記接着不足検査用面部に接着剤が接触しているものを、前記貼り合わせ基板として選出することを特徴とする貼り合わせ基板の製造方法。
  16. 第一基板と第二基板とを、該第二基板側に付与された接着剤で貼り合わせた貼り合わせ基板の製造方法であって、
    前記第一基板における前記第二基板との対向面に、該第二基板に付与された接着剤によって接着される該第一基板上の接着面部よりも高さが低く、かつ、該接着面部の接着剤による接着状態が過多状態であるときには前記第二基板に付与された接着剤が接触し、該接着状態が過多状態でないときには前記第二基板に付与された接着剤が接触しない高さに設定された接着過多検査用面部を備える接着状態確認用構造体を作成し、
    前記第二基板に接着剤を付与して、前記第一基板と該第二基板とを接着剤で貼り合わせた後、前記接着過多検査用面部に対する接着剤の接触状態を確認し、
    前記第一基板と前記第二基板とを接着剤で貼り合わせたもののうち、前記接着過多検査用面部に接着剤が接触していないものを、前記貼り合わせ基板として選出することを特徴とする貼り合わせ基板の製造方法。
  17. 他の基板と接着剤で貼り合わされる基板であって、
    前記基板は、前記他の基板との接着面部に周囲が囲まれた領域内に、複数の面部が設けられており、
    前記複数の面部には、前記接着面部よりも高さが低く、かつ、互いに高さが異なる少なくとも2つの面部が含まれることを特徴とする基板。
  18. 請求項17に記載の基板と前記他の基板とが接着剤で貼り合わされた貼り合わせ基板。
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