以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す図である。画像形成装置10は、例えば、レーザプリンタまたは工業用プリント基板を製造するためのレーザ照射型パターン描画露光装置等のデジタルレーザ照射型描画装置に適用される。
画像形成装置10は、画像データ送出装置20と、変調装置22と、光走査装置24とを備える。画像データ送出装置20は、被露光面に画素を形成する画像データを送出する。変調装置22は、画像データ送出装置20が送出した画像データを変調して駆動信号を生成する。
光走査装置24は、光源および光学系を有し、変調装置22から出力された駆動信号に応じて光源を駆動してレーザ光を被露光面へと出射する。光走査装置24は、被露光面に対して、レーザ光を走査させながら照射する。この場合、光走査装置24は、レーザ光を、予め定められた方向(主走査方向)における所定の範囲を繰り返して走査させる。また、被露光面は、例えば回転ドラムまたはベルト等により主走査方向に対して垂直な方向(副走査方向)に相対的に移動する。これにより、光走査装置24は、被露光面に対して2次元的な範囲に対して、レーザ光をラスタ走査しながら照射することができる。
光源は、駆動信号に応じてレーザ光を点灯および消灯する。駆動信号は、画像データの画素クロックに同期した信号である。従って、光源は、画素クロックに同期してレーザ光を点灯および消灯させる。さらに、駆動信号は、画素クロックを画像データにより変調して生成される。従って、光源は、画像データに応じてレーザ光を点灯および消灯させる。
被露光面は、レーザ光が点灯しているタイミングにおいて露光してドットが形成される。従って、被露光面には、画像データに応じた位置にドットが形成される。これにより、画像形成装置10は、被露光面における2次元的な範囲に対して、画像データに応じた画像を形成することができる。
本実施形態では、画像データ送出装置20及び変調装置22は、プログラマブルロジック集積回路2に集積されている。プログラマブルロジック集積回路2は、プリント回路基板に実装される。プログラマブルロジック集積回路2は、例えば、半導体チップ等によって実現してもよい。図1に示す例では、光走査装置24は、プログラマブルロジック集積回路2が実装されたプリント回路基板を備えている。換言すると、光走査装置24は、画像データ送出装置20及び変調装置22を備えている。画像データ送出装置20及び変調装置22の少なくとも一方は、光走査装置24とは別の装置として実現してもよい。画像データ送出装置20、変調装置22及び光走査装置24のそれぞれは、独立した装置として構成してもよい。
図2は、画像データ送出装置20の構成の一例を示す図である。図2に示す例では、画像データ送出装置20及び変調装置22は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の回路可変のプログラマブルロジック集積回路2により構成されている。言い換えると、画像データ送出装置20は、画像データを送出する画像データ送出回路である。変調装置22は、画像データを駆動信号に変調する変調回路である。プログラマブルロジック集積回路2は、ラッチ回路(例えば、フリップフロップ)以外の積和論理回路が、RAM(Random Access Memory)に記憶されたテーブルを参照して動作する回路により実現される。また、プログラマブルロジック集積回路2は、固定配線回路(可変ができない回路)を含む。画像データ送出装置20及び変調装置22は、固定配線回路で接続されている。
本実施形態において用いられるプログラマブルロジック集積回路2は、外部と信号を入出力するパットを含む領域に、固定配線回路として、パラレルシリアル変換回路および遅延回路を含む。固定配線回路は、プログラマブルに可変できる回路と比較して、高周波数のクロックでも安定して動作する。
画像データ送出装置20は、取得部32と、逓倍部34と、波形記憶部36と、指示部38と、選択部40と、シーケンサ42と、シリアライザ44と、送出部46とを有する。
取得部32は、画素を形成する基準タイミングを示す基準クロックを取得する。基準クロックは、光走査装置24が被露光面にレーザ光を走査しながら照射した場合における、画素を形成する基準位置のタイミングを示す。より具体的には、基準クロックは、装置の光学的、機械的および電気的等の特性による走査位置の誤差が存在しないと仮定した場合において、被露光面における理想の画素位置へのレーザ光の照射タイミングを示す。取得部32は、取得した基準クロックを逓倍部34に与える。
逓倍部34は、基準クロックを、予め定められた倍数に逓倍したサブピクセルクロックを生成する。逓倍部34は、例えば、基準クロックを4倍、8倍等の周波数に逓倍したサブピクセルクロックを生成する。
逓倍部34は、例えばPLL回路により実現される。逓倍部34は、プログラマブルロジック集積回路における外部と信号の入出力をするパットを含む領域内に実装される。さらに、逓倍部34は、外部と信号の入出力をするパットを含む領域内における、遅延回路等の固定配線回路を含んでいる。これにより、逓倍部34は、プログラマブルロジック集積回路における積和論理回路等よりも、高周波で安定して動作する。画像データ送出装置20は、逓倍部34を固定された専用の高速回路とすることで、高速に動作可能となり、より精密な時間精度で位相設定を可能とすることができる。
波形記憶部36は、位相の異なる画素クロックの波形を表す複数のパラレルデータを記憶する。パラレルデータは、例えば、サブピクセルクロックの単位で画素クロックの波形を表すデジタルデータである。例えば、逓倍部34が基準クロックの4倍の周波数のサブピクセルクロックを生成する場合、波形記憶部36は、4ビットのパラレルデータを記憶する。波形記憶部36は、4ビットの波形データに必要な波形パターン分のパラレルデータを記憶する。波形記憶部36は、コントローラバス3を介してパラレルデータを記憶、変更することができる。
指示部38は、光走査装置24のレーザ光の照射位置を取得し、取得した画素位置に基づいて画素クロックの位相の変化方向を指示する指示情報を出力する。指示部38は、コントローラバス3を介して画像形成装置10の走査状態、画素位置、画素領域、位相変化情報等が与えられる。例えば、指示部38は、取得した画素位置と位相変化情報とに基づいた指示情報を出力する。位相変化情報は、画素クロックのタイミングにおいて出射されるレーザ光の照射位置毎に、理想の画素位置からの光スポットのズレを補正する情報を含む。例えば、位相変化情報は、レーザ光の照射位置毎に、理想の画素位置からの光スポットのズレを補正する、画素クロックの位相の補正量を示す。例えば、指示部38は、画素クロックの位相を進めるか、位相を遅らせるか、または、位相を維持するかを示す情報を含む。指示部38から出力された指示情報は、シーケンサ42に与えられる。
選択部40は、入力回路40aから入力されてバッファ40bに記憶された画素データの複数の画素の中から、画素を順次選択する。選択部40は、選択した画素と当該画素に隣接する隣接画素のデータをシーケンサ42に与えられる。入力回路40aは、送出する順に画素が並ぶ画素データが入力される。バッファ40bは、入力データを一時的に蓄積する記憶装置である。バッファ40bは、入力された画素データを蓄積する。
本実施形態では、選択部40は、バッファ40bから対象とする画素と当該画素の次の隣接画素とのデータをシーケンサ42に与えられる。選択部40は、シーケンサ42からの指示に応じてバッファ40bの画素を順次選択する。例えば、選択部40は、1番目の画素を選択している場合に、シーケンサ42から指示を受けると、1番目の次の2番目の画素を選択する。選択部40は、シーケンサ42からの指示に応じて、選択する画素を次の画素に切り替える。
シーケンサ42は、画素データから選択した画素及び当該画素に隣接する隣接画素と、指示部38から出力された指示情報とに基づいて、波形記憶部36に記憶された複数のパラレルデータの中からパラレルデータを選択する。シーケンサ42は、選択したパラレルデータを出力する。シーケンサ42から出力されたパラレルデータは、シリアライザ44に与えられる。例えば、シーケンサ42は、画素クロックの位相を進める指示情報が与えられた場合には、現在の位相の状態から位相を進めるようなパターンのパラレルデータを波形記憶部36から選択して出力する。また、シーケンサ42は、画素クロックの位相を遅らせる指示情報が出力された場合には、現在の位相の状態から位相を遅らせるようなパターンのパラレルデータを波形記憶部36から選択して出力する。また、シーケンサ42は、画素クロックの位相を維持する指示情報が出力された場合には、現在の位相の状態を維持するようなパターンのパラレルデータを波形記憶部36から選択して出力する。
シリアライザ44は、シーケンサ42から出力されたパラレルデータを、逓倍部34により生成されたサブピクセルクロックによりシリアル変換した画像データを出力する。シリアライザ44は、例えば、4ビットのパラレルデータを、基準クロックの4倍の周波数のサブピクセルクロックに同期したシリアルデータに変換する。シリアライザ44から出力された画像データは、送出部46に与えられる。
シリアライザ44は、プログラマブルロジック集積回路における外部と信号の入出力をするパット46aを含む領域内に実装される。さらに、シリアライザ44は、外部と信号の入出力をするパット46aを含む領域内における、固定配線回路として実装されたパラレル/シリアル変換回路により実現される。これにより、シリアライザ44は、シリアル/パラレル変換が高速に動作可能となり、より精密な時間精度で位相設定を可能とすることができる。よって、シリアライザ44は、プログラマブルロジック集積回路における積和論理回路等よりも、高周波で安定して動作する。
送出部46は、シリアライザ44が変換した画像データを送出する。本実施形態では、送出部46は、固定配線されたルーティング回路46bによって変調装置22に画像データを高速で送出できる構成となっている。送出部46は、例えば、FPGAのI/O部21の直近に結合配置された専用のルーティング回路46bを含むことにより、高速に動作可能で、より精密な時間精度で位相設定が可能となる。その結果、送出部46は、シリアライザ44が変換した画像データを高速で変調装置22の送出することができる。
このような画像データ送出装置20では、シーケンサ42および指示部38は、シリアライザ44の変換周期で動作する。具体的には、指示部38は、シリアライザ44の変換周期毎に指示情報を出力する。変換周期は、例えば、2つの画素の周期を含む。また、シーケンサ42は、シリアライザ44の変換周期毎にパラレルデータを出力する。例えば、シリアライザ44が基準クロックの周期でパラレル/シリアル変換をする場合、シーケンサ42および指示部38は、基準クロックの周期で動作する。
これに対して、逓倍部34およびシリアライザ44は、サブピクセルクロックで動作する。従って、逓倍部34およびシリアライザ44は、指示部38およびシーケンサ42よりも早い周波数のクロックで動作する。しかし、逓倍部34およびシリアライザ44は、プログラマブルロジック集積回路における固定配線回路により実現されるので、高周波でも安定して動作することができる。
本実施形態では、画像データ送出装置20は、シリアライザ44と送出部46とが、プログラマブルロジック集積回路の入出力領域に専用固定回路として設けられている。画像データ送出装置20は、シリアライザ44と送出部46とによってI/O部21を形成している。画像データ送出装置20は、逓倍部34とシリアライザ44とを、プログラマブルロジック集積回路の画素クロック生成回路を構成している。その結果、画像データ送出装置20は、画素クロックの周期未満の高精度のサブピクセルクロックの時間位置(位相位置)で、画素クロック波形を動的に可変可能となり、任意の画素位置での画素周期の伸長・縮小(伸縮)自在な画素データを送出することができる。
図3は、シーケンサ42の構成の一例を示す図である。シーケンサ42は、例えば、指示情報取得部52と、状態管理部54と、記憶部56と、選択出力部58とを含む。
指示情報取得部52は、指示部38から指示情報を取得する。本実施形態では、指示情報は、画素クロックの位相を進める指示(−)、画素クロックの位相を遅らせる指示(+)、または、画素クロックの位相を維持する指示(N)のいずれかの指示を含む。例えば、指示部38は、基準クロックの周期で指示情報を取得する。
状態管理部54は、現在着弾している画素の位相の状態を管理する。状態管理部54は、基準の位置に対する現在の画素の位置のずれを示す位相の状態を管理する。例えば、基準クロックを4倍の周波数に逓倍してサブピクセルクロックを生成した場合、状態管理部54は、現在の画素の位相状態が、4種類の位相のうちいずれであるかを管理する。
記憶部56は、出力するパラレルデータのパターンを特定するための特定情報を記憶する。記憶部56は、現在の画素クロックの位相の状態と画素データから選択している画素と当該画素の次の隣接画素と指示情報との組毎に、出力するパラレルデータのパターンを示す特定情報を記憶する。特定情報の一例については、後述する。
選択出力部58は、現在の画素クロックの位相と現在選択している画素と次の画素と指示情報との組に応じて、記憶部56に記憶された特定情報を特定する。選択出力部58は、選択部40が選択した画素と隣接画素とを示す情報を選択部40から取得する毎に、特定情報を特定する。そして、選択出力部58は、特定した特定情報に従って波形記憶部36からパラレルデータを選択して、シリアライザ44へと出力する。
図4は、実施形態に係る画素クロックの基本波形を表すパラレルデータを示す図である。図4は、画素周期を1つのパラレルデータで表現する場合に必要なパターンを示している。波形記憶部36は、図4に示すパターンP0からパターンP7までの8種類の基本波形を表すパラレルデータを記憶する。パターンP0からパターンP7のパラレルデータは、定常時の波形パターンを示している。パターンデータは、現在着弾している画素の位相状態と、選択している画素と次の隣接画素の1から0への遷移、または0から1への遷移の有無により、シーケンサ42によって選択されるデータである。図4に示す例では、パラレルデータは、逓倍部34が基準クロックを4倍した周波数をもつサブピクセルクロックとする場合のデータとなっている。すなわち、パラレルデータは、4ビットのデータとなっている。
パターンP0及びP4は、画素クロックの位相を維持する場合のパラレルデータの波形を表す。パターンP1及びP5は、画素クロックの位相をサブピクセルクロックの1位相分変化させるパラレルデータの波形を表す。パターンP2及びP6は、画素クロックの位相をサブピクセルクロックの2位相分変化させるパラレルデータの波形を表す。パターンP3及びP7は、画素クロックの位相をサブピクセルクロックの3位相分変化させるパラレルデータの波形を表す。
図5Aから図5Dは、記憶部56の特定情報の一例を示す図である。図5Aから図5Dでは、画素周期が4個の高周波逓倍クロックの周期からなる。画素周期を1位相伸長する場合、選択した2つの画素と隣接画素とが同一であると、特定状態は、パターンP0またはパターンP4のパラレルデータを特定させる。画素周期を1位相伸縮する場合、選択した2つの画素と隣接画素とが異なると、特定情報は、その遷移をサブピクセルクロックの1位相単位で伸縮させる波形に相当するパターンP1、P2、P3、P5、P6、P7のいずれかのパターンデータを特定させる。本実施形態では、1回の位相の伸縮は、1位相周期分とする場合について説明するが、これに限定されない。例えば、1回の位相の伸縮は、2位相、3位相等の周期分としてもよい。
図5Aから図5Dの特定情報は、現位相と、現画素と、次画素と、伸縮と、出力波形と、位相遷移と、隣接画素参照位置との項目を含む。現位相の項目には、現在着弾している画素の位相を示す情報が設定される。現画素の項目には、選択している画素の0または1を示す情報が設定される。次画素の項目には、隣接画素の0または1を示す情報が設定される。伸縮の項目には、指示情報の指示(−)、指示(+)、または、指示(N)のいずれかの情報が設定される。指示(N)は、指示を受けていないこと、または、画素クロックの位相を維持することを示す。出力波形の項目には、図4に示すパターンP1からパターンP8のいずれか1つを示す情報が設定される。位相遷移の項目には、画素の位相の遷移先の位相を示す情報が設定される。隣接画素参照位置の項目には、参照する隣接画素を先行にシフト、または、参照する隣接画素を後方にシフトさせる必要がある場合、シフトに関する情報が設定され、必要がない場合、なにも設定されない。
図5Aは、現在着弾している画素の位相が0位相の場合に対応したパラレルデータのパターンを特定するための特定情報の一例を示している。
特定情報は、選択している画素及び隣接画素(例えば、次の画素)がともに0で、指示情報が指示(N)である場合、パラレルデータがパターンP4であることを示し、現在の画素の位相の状態を遷移させないことを示す。特定情報は、選択している画素及び隣接画素がともに0で、指示情報が指示(+)である場合、パラレルデータがパターンP4であることを示し、現在の画素の位相を1位相に遷移させることを示す。特定情報は、選択している画素及び次画素がともに0で、指示情報が指示(−)である場合、パラレルデータがパターンP4であることを示し、現在の画素の位相を3位相に遷移させることを示す。また、指示情報が指示(−)の場合、特定情報は、隣接画素の参照位置を先行にシフトすることを示す情報を含む。隣接画素の参照位置を先行にシフトとは、参照する隣接画素を次の画素の先に移すことを意味している。
特定情報は、選択している画素が0、次画素が1で、指示情報が指示(N)である場合、パラレルデータがパターンP0であることを示し、現在の画素クロックの位相の状態を遷移させないことを示す。特定情報は、選択している画素が0、次画素が1で、指示情報が指示(+)である場合、パラレルデータがパターンP1であることを示し、現在の画素クロックの位相を1位相に遷移させることを示す。特定情報は、選択している画素が0、次画素が1で、指示情報が指示(−)である場合、パラレルデータがパターンP3であることを示し、現在の画素クロックの位相を3位相に遷移させることを示す。また、指示情報が指示(−)の場合、特定情報は、隣接画素の参照位置を先行にシフトすることを示す情報を含む。
図5Aに示す残りの特定情報は、選択している画素が1、次画素が0の場合と、選択している画素及び隣接画素(例えば、次の画素)がともに1の場合とに対応した特定情報を示している。
図5Bは、現在着弾している画素の位相が1位相の場合に対応したパラレルデータのパターンを特定するための特定情報の一例を示している。図5Bに示す特定情報は、図5Aに示す特定情報とは、出力波形および位相遷移の項目の設定内容が異なっている。図5Bに示す4つの特定情報は、隣接画素参照位置の項目になにも設定されていない。
図5Cは、現在着弾している画素の位相が2位相の場合に対応したパラレルデータのパターンを特定するための特定情報の一例を示している。図5Cに示す特定情報は、図5Aに示す特定情報とは、出力波形および位相遷移の項目の設定内容が異なっている。図5Cに示す4つの特定情報は、隣接画素参照位置の項目になにも設定されていない。
図5Dは、現在着弾している画素の位相が3位相の場合に対応したパラレルデータのパターンを特定するための特定情報の一例を示している。図5Dに示す特定情報は、図5Aに示す特定情報とは、出力波形および位相遷移の項目の設定内容が異なっている。図5Dに示す4つの特定情報は、指示情報が指示(+)の場合、隣接画素の参照位置を後行にシフトすることを示す情報を含む。
シーケンサ42の選択出力部58は、状態管理部54の画素の位相の状態と、選択部40が選択した画素及び隣接画素と、指示情報取得部52が取得した指示情報とに基づいて、図5Aから図5Dに示す複数の特定情報の中から参照する1つの特定情報を特定する。選択出力部58は、特定した特定情報の出力波形の項目に設定されたパターンが示すパターンデータを記憶部56から選択する。選択出力部58は、選択したパターンデータをシリアライザ44へ出力する。
図6は、画像データ送出装置20が送出する画像データの一例を示すタイミングダイアグラムである。図6は、現在着弾している画素の現位相が3位相の場合の一例を示している。
図6において、(a)は画像データを示し、(b)は位相遷移を示し、(c)は指示情報を示し、(d)は参照画像を示し、(e)はパターンデータを示し、(f)は画像データを示し、(g)は画像信号波形を示す。図6では、画像データ送出装置20のシーケンサ42は、2画素周期で、画素収縮の指示が与えられている。
まず、画像データ送出装置20のシーケンサ42は、画素データから選択した対象の画素[1]と、隣接画素である画素[2]を選択する。シーケンサ42は、現位相が3位相、画素が1、隣接画素が1、指示情報を受けていないことを示す指示(N)に対応した特定情報を記憶部56から抽出する。シーケンサ42は、抽出した特定情報が示すパターンP0に対応したパラレルデータ(4ビット:1111)を波形記憶部36から選択し、当該パラレルデータをシリアライザ44に出力する。状態管理部54は、画素の位相状態を2位相に遷移させる。
次に、シーケンサ42は、画素データから選択した対象の画素[2]と、隣接画素である画素[3]を選択する。シーケンサ42は、現位相が2位相、画素が1、隣接画素が0、指示(−)に対応した特定情報を記憶部56から抽出する。シーケンサ42は、抽出した特定情報が示すパターンP6に対応したパラレルデータ(4ビット:1100)を波形記憶部36から選択し、当該パラレルデータをシリアライザ44に出力する。状態管理部54は、画素の位相状態の2位相を維持する。
次に、シーケンサ42は、画素データから選択した対象の画素[3]と、隣接画素である画素[4]を選択する。シーケンサ42は、現位相が2位相、画素が0、隣接画素が0、指示(N)に対応した特定情報を記憶部56から抽出する。シーケンサ42は、抽出した特定情報が示すパターンP4に対応したパラレルデータ(4ビット:0000)を波形記憶部36から選択し、当該パラレルデータをシリアライザ44に出力する。状態管理部54は、画素の位相状態の2位相を維持する。
次に、シーケンサ42は、画素データから選択した対象の画素[4]と、隣接画素である画素[5]を選択する。シーケンサ42は、現位相が2位相、画素が0、隣接画素が1、指示(−)に対応した特定情報を記憶部56から抽出する。シーケンサ42は、抽出した特定情報が示すパターンP1に対応したパラレルデータ(4ビット:0111)を波形記憶部36から選択し、当該パラレルデータをシリアライザ44に出力する。状態管理部54は、画素の位相状態を1位相に遷移させる。
次に、シーケンサ42は、画素データから選択した対象の画素[5]と、隣接画素である画素[6]を選択する。シーケンサ42は、現位相が1位相、画素が1、隣接画素が1、指示(N)に対応した特定情報を記憶部56から抽出する。シーケンサ42は、抽出した特定情報が示すパターンP0に対応したパラレルデータ(4ビット:1111)を波形記憶部36から選択し、当該パラレルデータをシリアライザ44に出力する。状態管理部54は、画素の位相状態の1位相を維持する。
次に、シーケンサ42は、画素データから選択した対象の画素[6]と、隣接画素である画素[7]を選択する。シーケンサ42は、現位相が1位相、画素が1、隣接画素が0、指示(N)に対応した特定情報を記憶部56から抽出する。シーケンサ42は、抽出した特定情報が示すパターンP5に対応したパラレルデータ(4ビット:1000)を波形記憶部36から選択し、当該パラレルデータをシリアライザ44に出力する。状態管理部54は、画素の位相状態の1位相を維持する。シーケンサ42は、画素[7]以降も同様の処理を実行する。
シリアライザ44は、シーケンサ42が出力したパラレルデータをシリアル変換した画像データを送出する。その結果、矢印A1に示すように、画像データ送出装置20は、画素[2]に対応した波形の位相を1サブピクセルクロック分(1/2周期分)収縮させることができる。また、矢印A2に示すように、画像データ送出装置20は、画素[6]に対応した波形の位相を1サブピクセルクロック分(1/4周期分)収縮させることができる。
変調装置22は、画像データ送出装置20が送出した画像データを変調して駆動信号を生成する。光走査装置24は、光源および光学系を有し、変調装置22から出力された駆動信号に応じて光源を駆動してレーザ光を被露光面へと出射することで、着弾する画素の位相を調整できる。
画像データ送出装置20は、画素の伸長が指示された場合、収縮の指示と同様に、シーケンサ42が現位相と画素と隣接画素と指示情報とに基づいて特定情報を記憶部56から抽出し、抽出した特定情報が示すパターンに対応したパラレルデータを波形記憶部36から選択し、当該パラレルデータをシリアライザ44に出力すればよい。
画像データ送出装置20は、画素の収縮または伸長が指示されると、着弾位相状態を変更するとともに、選択するパラレルデータのパターンを切り替えることで、画像データの波形を調整することができる。例えば、画像データ送出装置20は、収縮の指示により、画素周期をまたいで収縮する場合がある。画像データ送出装置20は、指示が収縮の場合、隣接画素を次の画素からその先の画素とすればよい。また、画像データ送出装置20は、指示が伸長の場合、隣接画素を次の画素から前の画素に戻せばよい。
以上のように、本実施形態に係る画像データ送出装置20は、画素伸縮を含むサブピクセルクロック単位の画像データとしてパラレルデータを予め保持しておき、シーケンサ42でパラレルデータをシリアライザ44に繰り返し供給し、高速で動作が可能なシリアライザ44でシリアル変換することで、任意の画像信号波形をサブピクセル精度で容易に送出できる。よって、画像データ送出装置20は、プログラマブルロジック集積回路2等のような簡易な構成により、画素クロックの位相変調の高速化および時間精度を向上できる。
(変形例)
上記実施形態では、画像データ送出装置20は、4ビットのパラレルデータを用いる場合について説明したが、これに限定されない。変形例では、画像データ送出装置20は、7ビットのパラレルデータで、画素周期の半周期の波形データを表し、2つのパラレルデータの組み合わせで、1つの画素周期のクロック波形を生成する場合について説明する。この場合の一例を、上記実施形態に係る画像データ送出装置20を参照して説明する。以下の説明において、同様の構成要素について同一の符号を付すことがある。さらに、重複する説明は省略することがある。
図7は、変形例に係る画像データ送出装置20の構成の一例を示す図である。図7に示すように、画像データ送出装置20は、取得部32と、逓倍部34と、波形記憶部36と、指示部38と、選択部40と、シーケンサ42と、DDR(Double-Data Rate)タイプのシリアライザ62と、送出部46とを有する。
シリアライザ62は、サブピクセルクロックに対してDDRのタイミングでパターンデータを出力する。すなわち、シリアライザ62は、サブピクセルクロックの立ち上がりおよび立ち下がりエッジのタイミング毎にビットを出力する。
また、本変形例では、逓倍部34は、基準クロックの周波数(CLK)を7倍した周波数のサブピクセルクロック(7×CLK)を出力する。例えば、基準クロックが150MHzである場合、逓倍部34は、1050MHzのサブピクセルクロックを出力する。
また、シリアライザ62は、7ビットのパラレルデータをシリアル変換して画像データを送出部46に出力する。従って、シリアライザ62は、基準クロックの2倍の変換周波数でパラレル/シリアル変換をする。また、シーケンサ42および指示部38は、シリアライザ62の変換周期で指示情報およびパラレルデータを出力する。従って、シーケンサ42および指示部38は、基準クロックの2倍の周波数で指示情報およびパラレルデータを出力する。
シリアライザ62は、DDRモードにより倍速でシリアル変換することで、2つの7ビットパラレルデータを組として、2100MHzのサブピクセルクロックを得ることができる。シリアライザ62は、サブピクセルクロック分解能を持つ1画素周期あたり14個の位相位置で任意に波形を形成することができる。その結果、画像データ送出装置20は、1画素周期の14分の1の精度で、画素周期の伸縮と、位相あわせが行えることになり、非常に精密な着弾位置補正が可能となるので、露光画像の品質を向上させることができる。
図8は、変形例に係る画素クロックの基本波形を表すパラレルデータを示す図である。図8は、サブピクセルクロックの位相位置のずれが0位相から6位相に対応する場合に必要なパターンを示している。波形記憶部36は、図8に示すパターンP00からパターンP13までの14種類の基本波形を表すパラレルデータを記憶する。パターンP00からパターンP13のパラレルデータは、定常時の波形パターンを示している。パターンデータは、現在着弾している画素の位相状態と、選択している画素と次の隣接画素の1から0への遷移、または0から1への遷移の有無により、シーケンサ42によって選択されるデータである。図8に示す例では、パラレルデータは、逓倍部34が基準クロックを7倍した周波数をもつサブピクセルクロックとする場合のデータとなっている。すなわち、パラレルデータは、7ビットのデータとなっている。
図8に示す一例では、パターンP00及びP07は、画素クロックの位相を維持する場合のパラレルデータの波形を表す。パターンP01、P06、P08及びP13は、画素クロックの位相をサブピクセルクロックの1位相分変化させるパラレルデータの波形を表す。パターンP02、P05、P09及びP12は、画素クロックの位相をサブピクセルクロックの2位相分変化させるパラレルデータの波形を表す。パターンP03、P04、P10及びP11は、画素クロックの位相をサブピクセルクロックの3位相分変化させるパラレルデータの波形を表す。
以上のように、本変形例に係る画像データ送出装置20は、DDRタイプのシリアライザ62を用いた場合も、プログラマブルロジック集積回路2等のような簡易な構成により、画素クロックの位相変調の高速化および時間精度を向上できる。
(光走査装置24)
つぎに、光走査装置24の構成および画素クロックを補正するための情報の一例について説明する。
図9は、光走査装置24の構成の一例を示す図である。図9に示すように、光走査装置24は、光源72と、反射鏡74と、回転多面鏡76と、走査レンズ78と、開始位置センサ80とを有する。
光源72は、変調装置22からの駆動信号に応じてレーザ光を発光する。駆動信号は、画素クロックを画像データにより変調した信号である。従って、レーザ光は、画素クロックのタイミングで点灯/消灯される。反射鏡74は、光源72から発光されたレーザ光を回転多面鏡76の側面へと導く。
回転多面鏡76は、ポリゴンミラーとも呼ばれる。回転多面鏡76は、多角形柱(例えば6角柱)の形状を有しており、側面が鏡となっている。回転多面鏡76は、反射鏡74から入射したレーザ光を側面において反射して走査レンズ78へと導く。
回転多面鏡76は、軸を中心に回転する。回転多面鏡76は、回転をすることにより、レーザ光の出射方向を、所定の角度範囲αで連続的に移動させる。より具体的には、回転多面鏡76は、所定の角度範囲αにおける開始方向α1からレーザ光の出射方向を回転させる。そして、回転多面鏡76は、終了方向α2に達すると、反射する側面が切り替わり、レーザ光の出射方向が開始方向α1に戻る。このように回転多面鏡76は、レーザ光の出射方向を、所定の角度範囲α内において繰り返して走査させる。
走査レンズ78は、回転多面鏡76から出射されたレーザ光を透過して、平面状の被露光面86へと導く。走査レンズ78は、例えばfθレンズである。走査レンズ78は、所定の角度で入射されたレーザ光を、平面状の被露光面86に対して垂直な方向にそろえて出射する。
開始位置センサ80は、レーザ光の走査の開始位置のタイミングを検出する。例えば、開始位置センサ80は、レーザ光が開始方向α1に出射されたタイミングを検出する。そして、開始位置センサ80は、開始位置のタイミングを示すスタート信号を画像データ送出装置20に与える。画像データ送出装置20は、スタート信号に基づきレーザ光の照射位置を検出する。
このような光走査装置24は、被露光面86上における所定の範囲β内を、所定の方向(主走査方向)に走査させることができる。また、被露光面86は、例えば、回転ドラムまたはベルト等により主走査方向に対して垂直な方向(副走査方向)に相対的に移動する。従って、光走査装置24は、被露光面86に対して2次元的な範囲にレーザ光を照射することができる。
図10は、レーザ光の主走査方向の座標(主走査座標)に対する理想の画素位置から主走査方向の光スポットのズレ量を表す図である。ここで、光源72が、基準クロックにより変調した駆動信号に応じてレーザ光を発光する場合を考える。
レーザ光を走査した場合、各画素の露光位置は、装置の光学的、機械的および電気的等の特性により誤差が生じ、理想の画素位置からずれる。例えば、図10に示すように、1回の走査中に位相が進んだり遅れたりする。具体的には、図10の例では、1回の走査中において、最初に位相が進み、次の期間で位相が遅れ、最後に位相が進む。
本実施形態及び本変形例に係る画像データ送出装置20は、レーザ光の画素位置毎に、このような理想の画素位置からのずれ量を補正するようなパラレルデータをシリアル変換して出力する。これにより、画像データ送出装置20は、装置の光学的、機械的および電気的等の特性により誤差を予め補正した画素データを生成して、レーザ光を理想の画素位置に照射させることができる。
図11は、光スポットのずれ量を主走査座標の領域毎に直線近似量を示す図である。例えば、画像形成装置10の製造者は、装置を製造した後の調整時において、基準クロックにより変調した駆動信号に応じてレーザ光を発光して、各画素の露光位置の理想の画素位置からのずれ量を測定する。
例えば、図10のような露光位置誤差ゆらぎ特性が有る場合、図11に示すような(定性的ではあるが)、直線近時で領域毎の走査長を伸縮することが考えられ、画像データ送出装置20を用いて、直線傾きに併せて、区間内のサブピクセルクロックの伸長またはサブピクセルクロックの縮小の度合いを変えることで、それぞれの走査長を微小に調整することが可能となる。その結果、画像形成装置10は、これらの機械的な露光面での走査速度揺らぎが補正された、品質の高い露光画像を得ることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能である。
なお、上記実施形態の画像形成装置10は、例えば、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等に適用してもよい。画像形成装置10は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用してもよい。