JP2019154181A - モータ制御装置 - Google Patents

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佐藤  淳
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高行 北河
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卓磨 遠藤
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Akira Ushijima
亮 牛嶋
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【課題】インバータ回路を構成するスイッチング素子の特性バラツキを解消して三相駆動電圧のアンバランスを解消し、モータの性能向上を図れるモータ制御装置を提供する。【解決手段】モータ10の起動直後若しくは前回駆動停止後に設定した検知期間に、インバータ回路12の各相上下アームのFET15u1,…,15w2の同一相毎に同じデューティ比で相補の検知パルス(制御パルスPu1,…,Pw2)を入力し、同一相上下アームのFET15u1,…,15w2を交互にオンオフ動作させる。そして、これに伴い生じる同一相駆動電圧Vu,Vv,Vw(検知電圧Vu1,Vv1,Vw1)を検知し、該検知結果に基づいて少なくとも直後若しくは次回のモータ10の起動期間においてFET15u1,…,15w2をオンオフ動作させる制御パルスPu1,…,Pw2のデューティ比の補正を行う。【選択図】図1

Description

本発明は、複数個のスイッチング素子を用いるインバータ回路(ブリッジ回路)を用いてブラシレスモータへの給電を制御するモータ制御装置に関する。
ブラシレスモータを制御対象とするモータ制御装置としては、例えば特許文献1に開示の構成のものが知られている。モータ制御装置は、複数個のスイッチング素子を用いるインバータ回路(ブリッジ回路)を備え、各スイッチング素子のオンオフ動作の組み合わせにて互いに120°の位相差を有する三相駆動電圧を生成する。また、モータ制御装置は、三相駆動電圧の生成時に対で動作するスイッチング素子の一方側に対してPWM制御を実施し、各相駆動電圧の大きさを調整する。そして、このように生成される三相駆動電圧がモータの三相コイルにそれぞれ印加されることで、モータの回転駆動が制御される。
特開2017−123736号公報
ところで、インバータ回路を構成する各スイッチング素子は、個体差によるオンオフ動作の特性バラツキを有している。そのため、例えばPWM制御において同一の制御パルスが各スイッチング素子に入力されたとしても、各スイッチング素子のオン期間長さが長くなるものと短くなるものとが生じ、三相駆動電圧(各相コイルに流す電流)がアンバランスとなり得る。結果、モータの各相コイルにて生じる磁束がアンバランスとなって、モータから低次数の騒音が発生等の問題が懸念されるところである。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、インバータ回路を構成するスイッチング素子の特性バラツキを解消して三相駆動電圧のアンバランスを解消し、モータの性能向上を図ることができるモータ制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するモータ制御装置は、三相コイルを有するブラシレスモータを制御対象とし、インバータ回路を構成する複数個のスイッチング素子のオンオフ動作の組み合わせにて三相駆動電圧を生成して前記三相コイルに印加し、前記三相駆動電圧の生成時に対で動作する少なくとも一方側の前記スイッチング素子に対してPWM制御を実施して各相駆動電圧の大きさを調整して、前記モータの回転駆動を制御するモータ制御装置であって、前記モータの起動直後若しくは前記モータの前回駆動停止後に設定した検知期間において、前記インバータ回路の各相上下アームのスイッチング素子の同一相毎に同じデューティ比で相補の検知パルスを入力して同一相上下アームのスイッチング素子を交互にオンオフ動作させこれに伴い生じる同一相駆動電圧を検知し、該検知結果に基づいて前記スイッチング素子をオンオフ動作させる制御パルスのデューティ比の補正を行う。
上記態様によれば、モータの起動直後若しくはモータの前回駆動停止後に設定した検知期間に、インバータ回路(ブリッジ回路)の各相上下アームのスイッチング素子の同一相毎に同じデューティ比で相補の検知パルスが入力される。つまり、同一相上下アームのスイッチング素子を交互にオンオフ動作させ、これに伴い生じる同一相駆動電圧の検知結果に基づき、スイッチング素子をオンオフ動作させる制御パルスのデューティ比の補正が行われる。これにより、インバータ回路を構成するスイッチング素子に特性バラツキが有る場合、各相上アームのスイッチング素子のオン期間の長いと駆動電圧が高く、各相下アームのスイッチング素子のオン期間が長いと駆動電圧が低くなるため、この検知結果から各相上下アームのスイッチング素子のオン期間が等しくなるように制御パルスのデューティ比の補正が可能である。結果、モータの各相コイルに印加する各相駆動電圧(各相コイルに流す電流)がアンバランスとなることを解消、即ち各相コイルにて生じる磁束がアンバランスとなることを解消でき、モータにて生じる低次数の騒音の発生を抑制できる等、モータの性能向上が図れる。
また、上記モータ制御装置において、前記検知パルスは、デューティ比50%に設定されたパルス信号である。
上記態様によれば、デューティ比50%の検知パルス(相補信号)に基づく同一相上下アームのスイッチング素子の交互のオンオフ動作にて生じる駆動電圧は、中間電圧付近を上下動することになる。そのため、各相駆動電圧を通じての各スイッチング素子の特性バラツキの検知及び補正を容易に行うことが可能である。
また、上記モータ制御装置において、前記検知期間において、三相同時に各相駆動電圧の検知を行う。
上記態様によれば、検知期間において三相同時に各相駆動電圧の検知が行われるため、決められた検知期間内で可能な限り時間をかけて三相全部のスイッチング素子の特性バラツキの検知及び補正を行うことが可能である。
また、上記モータ制御装置において、前記検知期間において、三相毎で互いに重ならないように独立して各相駆動電圧の検知を行う。
上記態様によれば、検知期間において三相毎で互いに重ならないように独立して各相駆動電圧の検知が行われるため、相間で互いに影響を受けないようにして、スイッチング素子の特性バラツキの検知及び補正を行うことが可能である。
また、上記モータ制御装置において、前記モータの起動毎に前記スイッチング素子に係る検知及び補正を行う。
上記態様によれば、モータの起動毎にスイッチング素子に係る検知及び補正が行われるため、都度変化するスイッチング素子の特性変化にも即座に対応可能である。
また、上記モータ制御装置において、前記制御対象のモータは、車両用空調装置の送風用モータである。
上記態様によれば、上記モータ制御装置においては、モータにて生じる低次数の騒音の発生を抑制できる等、モータの性能向上が図れるため、特に騒音が問題となり易い車両用空調装置の送風用モータのモータ制御装置に適用する意義は大きい。
本発明のモータ制御装置によれば、インバータ回路を構成するスイッチング素子の特性バラツキを解消して三相駆動電圧のアンバランスを解消でき、モータの性能向上を図ることができる。
実施形態におけるモータ制御装置の電気的構成図。 モータの制御態様(第1態様)を説明するための波形図。 モータの制御態様(第2態様)を説明するための波形図。 モータの制御態様(第3態様)を説明するための波形図。 素子の特性バラツキの検知態様(A態様)を説明するための波形図。 素子の特性バラツキの検知態様(B態様)を説明するための波形図。 素子に特性バラツキが無い状態の動作を説明するための波形図。 素子に特性バラツキが有る状態での補正前の動作を説明するための波形図。 素子に特性バラツキが有る状態での補正後の動作を説明するための波形図。
以下、モータ制御装置の一実施形態について説明する。
図1に示す本実施形態のブラシレスモータ10は、車両用空調装置の送風用モータとして用いられるものであり、三相(U相・V相・W相)コイル10u,10v,10wに三相駆動電圧Vu,Vv,Vwの印加を受けて回転駆動する。モータ制御装置11は、その各相コイル10u,10v,10wに供給するための各相駆動電圧Vu,Vv,Vwを生成し、モータ10の回転駆動の制御を行うものである。因みに、本実施形態のモータ制御装置11は、モータ10に一体に備えられている。
モータ制御装置11は、インバータ回路12、制御回路13及び出力調整回路14を備えている。インバータ回路12は、スイッチング素子として6個のFET(FET15u1,15u2,15v1,15v2,15w1,15w2)を用いたブリッジ回路にて構成されている。インバータ回路12は、三相(U相・V相・W相)上下アームのFET15u1,…,15w2が制御回路13によってオンオフ制御されることで、車載バッテリBTに基づく直流電圧+Bから120°位相の異なる三相駆動電圧Vu,Vv,Vwを生成し、各相駆動電圧Vu,Vv,Vwを各相コイル10u,10v,10wに印加する。
制御回路13は、指令回転数算出部21、実回転数算出部22、偏差演算部23、デューティ演算部24及びパルス設定部25を備えている。
指令回転数算出部21には、車室内の空調操作部(図示略)の操作に基づいてエアコンECU30から出力される回転指令信号SIが入力される。指令回転数算出部21は、回転指令信号SIから指令回転数(指令回転速度)ω0を算出し、その指令回転数ω0を偏差演算部23に出力する。
実回転数算出部22には、モータ10に備えられる回転センサ16から出力される回転検出信号Sxが入力される。回転センサ16は、モータ10のロータ(図示略)に備えられるセンサマグネット17の回転時の磁界変化をホールIC等にて検知し、モータ10の回転情報を回転検出信号Sxとして出力するものである。実回転数算出部22は、回転検出信号Sxからモータ10の実回転数(実回転速度)ω1を算出し、その実回転数ω1を偏差演算部23に出力する。
偏差演算部23は、減算器を用いて指令回転数ω0と実回転数ω1との偏差Δωを算出し、その偏差Δωをデューティ演算部24に出力する。
デューティ演算部24は、偏差Δωを用い、後段のパルス設定部25にて設定される三相(U相・V相・W相)制御パルスPu1,Pu2,Pv1,Pv2,Pw1,Pw2のデューティ比を演算する。パルス設定部25は、デューティ演算部24にて都度演算されるデューティ比に基づき、各制御パルスPu1,…,Pw2を設定する。本実施形態の空調装置においては、最低風量に設定された場合のモータ10の回転数は500[rpm]で、このときのデューティ比は10%であり、最高風量に設定された場合のモータ10の回転数は5000[rpm]で、このときのデューティ比は90%としている。つまり、本実施形態では、指令回転数ω0は500[rpm]〜5000[rpm]の範囲内で、デューティ比は10%〜90%の範囲内で変更される。
また、デューティ演算部24は、本実施形態ではPI制御に基づく演算を行っており、指令回転数ω0に対してモータ10の実回転数ω1を予め定めた変化態様で徐々に近づけて指令回転数ω0にて安定するようにデューティ比を変化させている。
ここで、本実施形態の制御態様の一例を図2に示すが、スタンバイモードからノーマルモードに移行して指令回転数ω0が1000[rpm]、3000[rpm]、2000[rpm]、0[rpm]と順次変化し、再びスタンバイモードとなる例について説明する。因みに、本実施形態のモータ制御装置11(モータ10)は、図1に示すようにバッテリBTが直結される接続構成(リレー等を介さない構成)となっていることから、エアコンECU30からの回転指令信号SIの入力が無い場合、バッテリBTの無用な電流消費を防止するためにスタンバイモード(省電流状態)となっている。これに対し、エアコンECU30から回転指令信号SIが入力されるとスタンバイモードからノーマルモードに移行し、回転指令信号SIに対応する指令回転数ω0に基づいてモータ10の実回転数ω1が制御される。
図2に示すように、空調装置が停止状態であるスタンバイモードでは、当然ながらモータ10は停止、即ち実回転数ω1は0[rpm]である。次いで、空調装置の起動に基づき回転指令信号SIが入力されるとモータ制御装置11はノーマルモードとなり、指令回転数ω0が1000[rpm]に設定されると、本実施形態では起動直後において先ず、各相上下アームのFET15u1,…,15w2のオンオフ動作の特性バラツキの検知を行う検知期間T1が設定されている。この検知期間T1では、各FET15u1,…,15w2の特性バラツキが大きい場合、各FET15u1,…,15w2をオンオフさせる各制御パルスPu1,…,Pw2のデューティ比の補正も行われる。検知期間T1は、起動直後の微小期間(例えば600[ms])とし、車両搭乗者に気付かせない配慮がなされている。この検知期間T1での検知及び補正動作についての詳細説明は後述する。
検知期間T1の経過後は、指令回転数ω0の1000[rpm]の設定に基づき、モータ10の実回転数ω1を徐々に近づける漸変期間Taを経て、実回転数ω1を指令回転数ω0で安定させる定速期間Tbとすべく、各制御パルスPu1,…,Pw2のデューティ比の演算が行われる。本実施形態では漸変期間Taを数[s]程度とし、車両搭乗者が送風動作に高級感を感じられるようにしている。このように設定される各制御パルスPu1,…,Pw2により、モータ10の実回転数ω1が制御される。
次いで、指令回転数ω0が1000[rpm]から3000[rpm]に変更されると、上記と同様に漸変期間Ta及び定速期間Tbを経ることで、モータ10の実回転数ω1が指令回転数ω0に徐々に近づいて安定するように制御される。次いで、指令回転数ω0が3000[rpm]から2000[rpm]に変更されても、モータ10の実回転数ω1の制御は同様に行われる。
そして、指令回転数ω0が2000[rpm]から0[rpm]に変更、即ち空調装置の停止の際には、漸変期間Taとしてモータ10の実回転数ω1が徐々に0[rpm]に近づけられる。モータ10の実回転数ω1が0[rpm]になると、ノーマルモードからスタンバイモードに移行する。
尚、空調装置の起動直後に検知期間T1を設ける図2に示す態様を第1態様とすると、図3に示す第2態様や図4に示す第3態様のようにしてもよい。
図3に示す第2態様では、第1態様にて空調装置の起動直後に設けていた検知期間T1が空調装置の停止時に検知期間T2として設けられている。詳しくは、モータ10の実回転数ω1が0[rpm]になった時点、即ちモータ10の停止直後からスタンバイモードに移行する間に検知期間T2を割り込ませた態様となっている。この第2態様では、次回の空調動作時まで検知結果(後述のデューティ比の補正値α等)をメモリ26に記憶する必要があるものの、検知期間を十分に取れるのが利点である。
図4に示す態様は第3態様では、空調装置の停止後のスタンバイモード中に検知期間T3が設けられている。詳しくは、モータ10の実回転数ω1が0[rpm]になりスタンバイモードに移行しその所定時間後に、送風時には使わないデューティ比100%に対応するエアコンECU30からの回転指令信号SIを検知用のコマンドとして入力して一時的にノーマルモードに切り替えられる態様となっている。この第3態様においても、次回の空調動作時まで検知結果(補正値α等)をメモリ26に記憶する必要があるものの、検知期間を十分に取れるのが利点である。また、エアコンECU30からの回転指令信号SIに基づいて検知が可能なため、好適なタイミングで検知を行わせることが可能である。
上記したような検知期間T1(T2,T3も同様)においては、各相上下アームのFET15u1,…,15w2のオンオフ動作の特性バラツキの検知が行われる。その際、各相上下アームのFET15u1,…,15w2に対し、図5に示すような各相上下検知パルスが制御パルスPu1,…,Pw2として入力される。各相上下検知パルスは、U相・V相・W相上下アームの全てにおいてデューティ比が50%で、且つ各相上下で交互にオンオフするパルス信号(相補信号)として設定されるものである。また、各相上下検知パルスは、三相全部が例えば600[ms]とした検知期間T1の全体に亘って設定されている。
次に、図7、図8及び図9を用い、デューティ演算部24及びパルス設定部25におけるデューティ比50%の各相上下検知パルス(制御パルスPu1,…,Pw2)の生成及びその動作と、出力調整回路14における各相上下検知パルスによる各相上下アームのFET15u1,…,15w2の特性バラツキの検知及びその補正とについて説明する。
図7に示すように、各相上下検知パルス(制御パルスPu1,…,Pw2)は、第1三角波信号Saと第2三角波信号Sbとに基づいて生成される。第1及び第2三角波信号Sa,Sbは、互いに同期した信号で、第2三角波信号Sbが第1三角波信号Saよりもレベルが常に一定値だけ上側にオフセット(換言すると、第1三角波信号Saが第2三角波信号Sbよりもレベルが常に一定値だけ下側にオフセット)している。また、各相上下検知パルス(制御パルスPu1,…,Pw2)のデューティ比を決めるデューティ設定ラインDLは、初期状態(補正前)でのデューティ比50%において、第2三角波信号Sbの上限値と第1三角波信号Saの下限値との中間値となるように設定されている。
そして、第1及び第2三角波信号Sa,Sbとデューティ設定ラインDLとに基づき、デューティ設定ラインDLよりも第1三角波信号Saのレベルが上側となる期間が、各相上検知パルス(各相上アームの制御パルスPu1,Pv1,Pw1)のオン期間(オンパルスPa)として設定され、デューティ設定ラインDLよりも第1三角波信号Saのレベルが下側となる期間が、各相上検知パルスのオフ期間として設定される。また、デューティ設定ラインDLよりも第2三角波信号Sbのレベルが下側となる期間が、各相下検知パルス(各相下アームの制御パルスPu2,Pv2,Pw2)のオン期間(オンパルスPb)として設定され、デューティ設定ラインDLよりも第2三角波信号Sbのレベルが上側となる期間が、各相下検知パルスのオフ期間として設定される。
尚、第1及び第2三角波信号Sa,Sb間に一定間隔を持たせていることで、各相上検知パルスのオンパルスPaと、各相下検知パルスのオンパルスPbとが互いに重なることを防止するデッドタイム期間が設けられている。つまり、各相上アームのFET15u1,15v1,15w1と、各相下アームのFET15u2,15v2,15w2とが同相同士で同時にオンすることを防止し、同相における上下アームを貫通する貫通電流が生じないようにしている。
このようにデューティ比が50%の場合では、デッドタイム期間を除いた各相上下検知パルス(制御パルスPu1,…,Pw2)のオンオフ期間が互いに等しいパルス信号が生成される。つまり、各相上検知パルスのオンパルスPaと、各相下検知パルスのオンパルスPbとが等しいパルス信号が生成されるようになっている。これを受け、各相上アームのFET15u1,15v1,15w1のオン期間と、各相下アームのFET15u2,15v2,15w2のオン期間は、各FET15u1,…,15w2の個体差が無い(特性バラツキが無い)場合、等しくなるはずである。
こうして、デューティ比50%に設定された各相上検知パルス(各相上アームの制御パルスPu1,Pv1,Pw1)と、各相下検知パルス(各相下アームの制御パルスPu2,Pv2,Pw2)とにより、各相上アームのFET15u1,15v1,15w1と、各相下アームのFET15u2,15v2,15w2とが交互にオンする。各相上アームのFET15u1,15v1,15w1がオンすることで、各相駆動電圧Vu,Vv,Vwが上昇し、各相下アームのFET15u2,15v2,15w2がオンすることで各相駆動電圧Vu,Vv,Vwが下降する。上記したように各FET15u1,…,15w2の特性バラツキが無い場合、各相上アームのFET15u1,15v1,15w1と、各相下アームのFET15u2,15v2,15w2との交互のオン期間長さが等しいため、各相駆動電圧Vu,Vv,Vwは上限電圧の1/2の中間電圧を中心として上下動するはずである。
ここで、図1に示す出力調整回路14は、各相駆動電圧Vu,Vv,Vwの検出及びこれに伴うデューティ比の補正値を算出する。出力調整回路14には、各相駆動電圧Vu,Vv,Vwを分圧する分圧回路27a及びこの分圧電圧を平滑化する平滑回路27bを有する検知回路27u,27v,27wが各相毎に設けられている。因みに、各検知回路27u,27v,27wの分圧回路27a及び平滑回路27bは、抵抗素子やコンデンサ素子を数個組み合わせた簡素な構成のものである。各検知回路27u,27v,27wは、分圧回路27a及び平滑回路27bを用い、各相駆動電圧Vu,Vv,Vwに対応する各相検知電圧Vu1,Vv1,Vw1を生成する。そして、各相検知電圧Vu1,Vv1,Vw1は、AD変換部28を経ることでアナログ値からデジタル値に変換されて補正値算出部29に入力される。
これにより、上記したように、各FET15u1,…,15w2の特性バラツキが無い場合にデューティ比50%に設定された各相上下検知パルス(制御パルスPu1,…,Pw2)に基づく各相駆動電圧Vu,Vv,Vwが中間電圧を中心として上下動すると、図7に示すように各相検知電圧Vu1,Vv1,Vw1の変化も上限電圧Vaの1/2の中間電圧Va/2を中心として上下動するはずである。
しかしながら、各FET15u1,…,15w2に特性バラツキが有るような場合、デューティ比50%に設定された各相上下検知パルスであっても、各相駆動電圧Vu,Vv,Vwが上限電圧の1/2の中間電圧からずれてしまう。例えば図8に示すように、各相駆動電圧Vu,Vv,Vwが中間電圧から高くずれて、各相検知電圧Vu1,Vv1,Vw1が中間電圧よりも高くずれてしまうことがある。これは、各相上アームのFET15u1,15v1,15w1のオン期間長さが、各相下アームのFET15u2,15v2,15w2のオン期間長さよりも長くなるような特性バラツキが生じていることに起因してのものである。各相検知電圧Vu1,Vv1,Vw1の内で中間電圧よりもずれた相のFET15u1,…,15w2の特性に問題がある。
そこで、本実施形態では図9に示すように、補正値算出部29が各相検知電圧Vu1,Vv1,Vw1の中間電圧からのズレ量等に基づいてデューティ比の補正値αを算出する。例えば各相検知電圧Vu1,Vv1,Vw1が中間電圧より高くずれる場合、各相上アームのFET15u1,15v1,15w1のオン期間の方が各相下アームのFET15u2,15v2,15w2のオン期間よりも長いため、両者のオン期間を等しくするためにプラス側の補正値αを得る。一方、図示しないが、各相検知電圧Vu1,Vv1,Vw1が中間電圧より低くずれる場合、各相下アームのFET15u2,15v2,15w2のオン期間の方が各相上アームのFET15u1,15v1,15w1のオン期間よりも長いため、両者のオン期間を等しくするためのマイナス側の補正値αを得る。このように補正値算出部29は、各FET15u1,…,15w2のオン期間を等しくして各相検知電圧Vu1,Vv1,Vw1が中間電圧となるようなデューティ比の補正値αを算出している。
図5に示す検知態様をA態様とすると、このA態様では、三相全部の上下検知パルス(制御パルスPu1,…,Pw2)に基づいて三相同時にデューティ比の補正値αの算出が行われる。上記したように検知期間T1が例えば600[ms]で、モータ制御装置11(デューティ演算部24及び補正値算出部29等)の制御周期が10[ms]とした場合、三相全部が各相検知電圧Vu1,Vv1,Vw1の60回分のサンプリングに基づいて補正値αの算出が行われる。つまり、このA態様では、決められた検知期間T1内で可能な限り時間をかけて各相のデューティ比の補正値αの算出を行うことが可能である。
尚、検知態様を図5に示すA態様の他、図6に示すB態様としてもよく、このB態様においては、各相上下検知パルス(制御パルスPu1,…,Pw2)は、デューティ比を50%とする期間が三相で互いの相毎に重ならないように、例えば先ずU相で200[ms]の期間、次いでV相で200[ms]の期間、次いでW相で200[ms]の期間の順に、各相上下で交互にオンオフするパルス信号(相補信号)として設定される。つまり、このB態様では、このように設定される各相上下検知パルスに基づいて各相毎に期間をずらして独立してデューティ比の補正値αの算出が行われるため、相間で互いに影響を受けないようにして、各相のデューティ比の補正値αの算出を行うことが可能である。
そして、図2に示す第1態様では、空調装置の起動直後の検知期間T1に得た補正値αを用い、図3及び図4に示す第2及び図3態様では、空調装置の前回動作後の検知期間T2,T3に得た補正値αを用い、デューティ演算部24がその補正値αを加味したデューティ比を算出し、パルス設定部25がその算出したデューティ比に基づく各制御パルスPu1,…,Pw2を設定して、各FET15u1,…,15w2のオンオフ制御が行われる。
これにより、各FET15u1,…,15w2に特性バラツキが有ったとしても、デューティ比の補正にて、各相上アームのFET15u1,15v1,15w1のオン期間と、各相下アームのFET15u2,15v2,15w2のオン期間とを等しくでき、各相駆動電圧Vu,Vv,Vw(各相コイル10u,10v,10wに流す電流)のアンバランスとなることが解消される。結果、モータ10の各相コイル10u,10v,10wにて生じる磁束のアンバランスとなることが解消でき、モータ10にて生じる低次数の騒音の発生を抑制できる等、モータ10の性能向上を図ることが可能である。
本実施形態の効果について説明する。
(1)制御態様を図2に示す第1態様とした場合ではモータ10(車両用空調装置)の起動直後に設定した検知期間T1、若しくは制御態様を図3及び図4に示す第2及び第3態様とした場合ではモータ10の前回駆動停止後に設定した検知期間T2,T3に、インバータ回路12の各相上下アームのFET15u1,15u2,15v1,15v2,15w1,15w2の同一相毎に同じデューティ比で相補の検知パルス(制御パルスPu1,Pu2,Pv1,Pv2,Pw1,Pw2)が入力される。つまり、同一相上下アームのFET15u1,…,15w2を交互にオンオフ動作させ、これに伴い生じる同一相駆動電圧Vu,Vv,Vw(検知電圧Vu1,Vv1,Vw1)の検知結果に基づき、少なくとも直後若しくは次回のモータ10の起動期間においてFET15u1,…,15w2をオンオフ動作させる制御パルスPu1,…,Pw2のデューティ比の補正(補正値αの算出)が行われる。これにより、インバータ回路12を構成するFET15u1,…,15w2に特性バラツキが有る場合、各相上アームのFET15u1,15v1,15w1のオン期間の長いと駆動電圧Vu,Vv,Vw(検知電圧Vu1,Vv1,Vw1)が高く、各相下アームのFET15u2,15v2,15w2のオン期間が長いと駆動電圧Vu,Vv,Vw(検知電圧Vu1,Vv1,Vw1)が低くなるため、この検知結果から各相上下アームのFET15u1,…,15w2のオン期間が等しくなるように制御パルスPu1,…,Pw2のデューティ比の補正を行うことができる。結果、モータ10の各相コイル10u,10v,10wに印加する各相駆動電圧Vu,Vv,Vw(各相コイル10u,10v,10wに流す電流)がアンバランスとなることを解消、即ち各相コイル10u,10v,10wにて生じる磁束がアンバランスとなることを解消でき、モータ10にて生じる低次数の騒音の発生を抑制できる等、モータ10の性能向上を図ることができる。
また、本実施形態のモータ10は、特に騒音が問題となり易い車両用空調装置の送風用モータであるため、モータ10にて生じる低次数の騒音の発生を抑制できる等、モータ10の性能向上が図れる意義は大きい。
また、FET15u1,…,15w2(スイッチング素子)の特性バラツキを無くすようにコストをかけて選別することが不要で、追加する回路としても安価な素子を用いる検知回路27u,27v,27wであるため(AD変換部28や補正値算出部29はモータ制御装置11の一部を構成する制御用マイコン内に一般的に備えられるものである)、FET15u1,…,15w2に係るコストの抑制、ひいてはモータ制御装置11に係るコストの抑制に寄与することができる。
(2)検知態様として図5に示すA態様及び図6に示すB態様に用いる各相上下検知パルスは、デューティ比50%に設定されたパルス信号としている。つまり、デューティ比50%の検知パルス(相補信号)に基づく同一相上下アームのFET15u1,…,15w2の交互のオンオフ動作にて生じる駆動電圧Vu,Vv,Vw(検知電圧Vu1,Vv1,Vw1)は、中間電圧(Va/2)付近を上下動することになる(図7等参照)。そのため、各相駆動電圧Vu,Vv,Vw(検知電圧Vu1,Vv1,Vw1)を通じての各FET15u1,…,15w2の特性バラツキの検知及び補正を容易に行うことができる。
(3)図5に示す検知態様のA態様では、検知期間T1〜T3(例えば600[ms])において三相同時に各相駆動電圧Vu,Vv,Vw(検知電圧Vu1,Vv1,Vw1)の検知が行われるため、決められた検知期間T1〜T3内で可能な限り時間をかけて三相全部のFET15u1,…,15w2の特性バラツキの検知及び補正を行うことができる。
(4)図6に示す検知態様のB態様では、検知期間T1〜T3(例えば600[ms])において三相毎(例えば200[ms])で互いに重ならないように独立して各相駆動電圧Vu,Vv,Vw(検知電圧Vu1,Vv1,Vw1)の検知が行われるため、相間で互いに影響を受けないようにして、FET15u1,…,15w2の特性バラツキの検知及び補正を行うことができる。
(5)モータ10(車両用空調装置)の起動毎に各FET15u1,…,15w2に係る検知及び補正が行われるため、都度変化する各FET15u1,…,15w2の特性変化にも即座に対応することができる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記と重複するが、制御態様(検知期間T1〜T3)は図2に示す第1態様、図3に示す第2態様、図4に示す第3態様から1つ選択し、検知態様は図5に示すA態様、図6に示すB態様から一つ選択する。つまり、制御態様(検知期間T1〜T3)と検知態様との組み合わせは適宜変更してもよい。
・FET15u1,…,15w2の特性バラツキの検知に用いる各相上下検知パルスのデューティ比を50%に設定したが、これ以外のデューティ比を用いてもよい。
・図5に示すA態様のように各相上下検知パルスを三相で完全に重ねるか、図6に示すB態様のように三相で完全に重ねないか(独立させるか)の何れかとしたが、一部を重ねるようにしてもよい(一部を重ねないようにしてもよい)。
・上記実施形態で用いた数値は一例であり、適宜変更してもよい。例えば、検知期間T1〜T3に関して用いた600[ms]や200[ms]、指令回転数ω0に関して用いた500[rpm]や5000[rpm]、そのときのデューティ比として用いた10%や90%等々はこれ以外でもよい。
・モータ制御装置11をモータ10に一体に備えたが、モータ制御装置11とモータ10とを別体で構成してもよい。
・車両用空調装置の送風用モータとして用いるモータ10を制御対象としていたが、これ以外の用途のモータを制御対象としてもよい。
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)請求項に記載のモータ制御装置を一体に備えたことを特徴とするブラシレスモータ。
10…ブラシレスモータ(モータ)、10u,10v,10w…コイル、11…モータ制御装置、12…インバータ回路、15u1,15u2,15v1,15v2,15w1,15w2…FET(スイッチング素子)、Pu1,Pu2,Pv1,Pv2,Pw1,Pw2…制御パルス(検知パルス含む)、T1,T2,T3…検知期間、Vu,Vv,Vw…駆動電圧、Vu1,Vv1,Vw1…検知電圧。

Claims (6)

  1. 三相コイルを有するブラシレスモータを制御対象とし、インバータ回路を構成する複数個のスイッチング素子のオンオフ動作の組み合わせにて三相駆動電圧を生成して前記三相コイルに印加し、前記三相駆動電圧の生成時に対で動作する少なくとも一方側の前記スイッチング素子に対してPWM制御を実施して各相駆動電圧の大きさを調整して、前記モータの回転駆動を制御するモータ制御装置であって、
    前記モータの起動直後若しくは前記モータの前回駆動停止後に設定した検知期間において、前記インバータ回路の各相上下アームのスイッチング素子の同一相毎に同じデューティ比で相補の検知パルスを入力して同一相上下アームのスイッチング素子を交互にオンオフ動作させこれに伴い生じる同一相駆動電圧を検知し、該検知結果に基づいて前記スイッチング素子をオンオフ動作させる制御パルスのデューティ比の補正を行うことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記検知パルスは、デューティ比50%に設定されたパルス信号であることを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記検知期間において、三相同時に各相駆動電圧の検知を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記検知期間において、三相毎で互いに重ならないように独立して各相駆動電圧の検知を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ制御装置。
  5. 前記モータの起動毎に前記スイッチング素子に係る検知及び補正を行うことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のモータ制御装置。
  6. 前記制御対象のモータは、車両用空調装置の送風用モータであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のモータ制御装置。
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