以下、本発明の実施の形態について、実施例、変形例、比較例および図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施例および変形例は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施例および変形例で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。以下の実施例および変形例における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面に示される構成要素の大きさまたは大きさの比は、必ずしも厳密ではない。
(実施の形態1)
[1.1 フィルタ装置の構成]
図1は、実施の形態1に係るフィルタ装置1およびその周辺回路の回路構成図である。同図には、本実施の形態に係るフィルタ装置1と、フィルタ装置1の入出力端子に接続されるフィルタ41〜45と、が示されている。同図に示すように、本実施の形態に係るフィルタ装置1は、共通入出力端子100と、入出力端子110、120、130、140および150と、スイッチ回路30および31と、ダイプレクサ10および20と、を備える。
共通入出力端子100は、例えば、アンテナに接続され、当該アンテナで送受信される高周波信号をフィルタ装置1に入出力するための端子である。
入出力端子110は、第1帯域の高周波信号が入出力される第1入出力端子である。入出力端子120は、第2帯域の高周波信号が入出力される第2入出力端子である。入出力端子130は、第3帯域の高周波信号が入出力される第3入出力端子である。入出力端子140は、第4帯域の高周波信号が入出力される第4入出力端子である。入出力端子150は、第5帯域の高周波信号が入出力される第5入出力端子である。
また、上記第1帯域および上記第2帯域を含む帯域を第6帯域とし、上記第1帯域および上記第3帯域を含む帯域を第7帯域とする。ここで、第1帯域〜第7帯域は、互いに周波数帯域が異なっている。
スイッチ回路31は、共通端子31a(第1共通端子)、選択端子31b(第1選択端子)、選択端子31c(第2選択端子)、ならびに、スイッチ32および33を有する第1スイッチ回路である。スイッチ32は、一方の端子が選択端子31bに接続され、他方の端子が共通端子31aに接続され、共通端子31aと選択端子31bとの導通および非導通を切り替えるSPST(Single Pole Single Throw)型の第1スイッチ素子である。スイッチ33は、一方の端子が選択端子31cに接続され、他方の端子が共通端子31aに接続され、共通端子31aと選択端子31cとの導通および非導通を切り替えるSPST型の第2スイッチ素子である。
スイッチ回路30は、共通端子30a(第2共通端子)、選択端子30b(第3選択端子)、選択端子30c(第4選択端子)、および第3スイッチ素子を有する第2スイッチ回路である。第3スイッチ素子(図示せず)は、共通端子30a、選択端子30bおよび30cに接続され、共通端子30aと選択端子30bとの導通および共通端子30aと選択端子30cとの導通を排他的に切り替える、SPDT(Single Pole Double Throw)型のスイッチ素子である。なお、第3スイッチ素子は、SPST型のスイッチが2つ並列配置された回路構成を有していてもよい。また、SP3TおよびSP4Tなどのスイッチ回路であってもよく、この場合には、共通端子および必要な選択端子を使用すればよい。
ダイプレクサ10は、低域(高域)通過フィルタ10Aと、高域(低域)通過フィルタ10Bと、を備える第1分波器である。なお、低域(高域)通過フィルタ10Aが低域通過フィルタである場合には、高域(低域)通過フィルタ10Bは高域通過フィルタであり、低域(高域)通過フィルタ10Aが高域通過フィルタである場合には、高域(低域)通過フィルタ10Bは低域通過フィルタである。
高域(低域)通過フィルタ10Bは、一方の端子が選択端子30bに接続され、他方の端子が選択端子31bおよび入出力端子120に接続され、第6帯域を通過帯域とする第1フィルタである。なお、高域(低域)通過フィルタ10Bの他方の端子と入出力端子120との間に、スイッチなどの回路素子が挿入されていてもよい。
低域(高域)通過フィルタ10Aは、一方の端子が選択端子30bに接続され、他方の端子が入出力端子140に接続され、第4帯域を通過帯域とする第2フィルタである。なお、低域(高域)通過フィルタ10Aの他方の端子と入出力端子140との間に、スイッチなどの回路素子が挿入されていてもよい。
上記構成により、ダイプレクサ10は、第6帯域の高周波信号と第4帯域の高周波信号とを分波および合波する。
ダイプレクサ20は、低域(高域)通過フィルタ20Aと、高域(低域)通過フィルタ20Bと、を備える第2分波器である。なお、低域(高域)通過フィルタ20Aが低域通過フィルタである場合には、高域(低域)通過フィルタ20Bは高域通過フィルタであり、低域(高域)通過フィルタ20Aが高域通過フィルタである場合には、高域(低域)通過フィルタ20Bは低域通過フィルタである。
高域(低域)通過フィルタ20Bは、一方の端子が選択端子30cに接続され、他方の端子が選択端子31cおよび入出力端子130に接続され、第7帯域を通過帯域とする第3フィルタである。なお、高域(低域)通過フィルタ20Bの他方の端子と入出力端子130との間に、スイッチなどの回路素子が挿入されていてもよい。
低域(高域)通過フィルタ20Aは、一方の端子が選択端子30cに接続され、他方の端子が入出力端子150に接続され、第5帯域を通過帯域とする第4フィルタである。なお、低域(高域)通過フィルタ20Aの他方の端子と入出力端子150との間に、スイッチなどの回路素子が挿入されていてもよい。
上記構成により、ダイプレクサ20は、第7帯域の高周波信号と第5帯域の高周波信号とを分波および合波する。
なお、入出力端子110には、第1帯域を通過帯域とするフィルタ41が接続される。また、入出力端子120には、第2帯域を通過帯域とするフィルタ42が接続される。また、入出力端子130には、第3帯域を通過帯域とするフィルタ43が接続される。また、入出力端子140には、第4帯域を通過帯域とするフィルタ44が接続される。また、入出力端子150には、第5帯域を通過帯域とするフィルタ45が接続される。
従来のフィルタ装置では、例えば、第4帯域と第5帯域とを包含する第1周波数帯域群の高周波信号と、第6帯域と第7帯域とを包含する第2周波数帯域群の高周波信号とのCAを実行すべく、1つの分波器が配置されていた。ここで、CAを実行する周波数帯域(バンド)の組み合わせは様々である。このため、1つの分波器でこれらに対応する場合、選択度の高い複数のフィルタで当該分波器を構成する必要がある。しかしながら、上記分波器を選択度の高い複数のフィルタで構成する場合、それぞれのフィルタの通過帯域内の挿入損失が大きくなり、CAを実行する2つの周波数帯域(バンド)の高周波信号の伝送損失(フロントエンド回路の挿入損失)が増大するという問題があった。
これに対して、本実施の形態に係るフィルタ装置1の構成によれば、第1周波数帯域群のうちの第4帯域の高周波信号と、第2周波数帯域群のうちの第6帯域の高周波信号とのCAを実行する場合には、スイッチ回路30の切り替えにより、ダイプレクサ10が使用される。一方、第1周波数帯域群のうちの第5帯域の高周波信号と、第2周波数帯域群のうちの第7帯域の高周波信号とのCAを実行する場合には、スイッチ回路30の切り替えにより、ダイプレクサ20が使用される。また、第6帯域と第7帯域とに跨る第1帯域の高周波信号をCAの一方とする場合には、スイッチ回路31により、高域(低域)通過フィルタ10Bおよび20Bのいずれを入出力端子110と接続するかを選択できる。つまり、CAが実行される周波数帯域の組み合わせが変化しても、ダイプレクサ10および20をスイッチ回路30および31によって切り替えることで、第1〜第5帯域における通過帯域内の挿入損失を低減することが可能となる。
なお、スイッチ回路31において、スイッチ32および33は、同時に導通状態とならず、個別に導通状態および非導通状態が切り替えられてもよい。
これにより、スイッチ32が導通状態となることで第1帯域の高周波信号を入出力端子110に入出力させるとともに、第2帯域の高周波信号を入出力端子120に入出力させる場合に、スイッチ33が非導通状態となることで、上記第1帯域および第2帯域の高周波信号が、入出力端子130およびダイプレクサ20へ漏洩することを抑制できる。また、スイッチ33が導通状態となることで第1帯域の高周波信号を入出力端子110に入出力させるとともに、第3帯域の高周波信号を入出力端子130に入出力させる場合に、スイッチ32が非導通状態となることで、上記第1帯域および第3帯域の高周波信号が、入出力端子120およびダイプレクサ10へ漏洩することを抑制できる。
以下、スイッチ回路30および31の導通状態および非導通状態について、具体的に示す。
ケース(1):第1帯域の高周波信号、第2帯域の高周波信号、および第4帯域の高周波信号のCAを実行する場合には、共通端子30aと選択端子30bとが導通状態(共通端子30aと選択端子30cとが非導通状態)となり、かつ、スイッチ32が導通状態となり、かつ、スイッチ33が非導通状態となる。
これにより、ダイプレクサ10と共通入出力端子100とが接続され、共通入出力端子100から入出力端子110へ第1帯域の高周波信号が伝送され、共通入出力端子100から入出力端子120へ第2帯域の高周波信号が伝送され、共通入出力端子100から入出力端子140へ第4帯域の高周波信号が入出力され、共通入出力端子100から入出力端子130および150へは、高周波信号が伝送されない。これにより、第1帯域の高周波信号、第2帯域の高周波信号、および、第4帯域の高周波信号のCAを低損失で実現できる。
ケース(2):第4帯域の高周波信号および第2帯域の高周波信号のみのCAを実行する場合には、共通端子30aと選択端子30bとが導通状態(共通端子30aと選択端子30cとが非導通状態)となり、かつ、スイッチ32および33が非導通状態となる。
これにより、ダイプレクサ10と共通入出力端子100とが接続され、共通入出力端子100から入出力端子120へ第2帯域の高周波信号が伝送され、共通入出力端子100から入出力端子140へ第4帯域の高周波信号が伝送され、共通入出力端子100から入出力端子110、130および150には、高周波信号が伝送されない。これにより、第4帯域の高周波信号と第2帯域の高周波信号とのCAを低損失で実現できる。
ケース(3):第1帯域の高周波信号、第3帯域の高周波信号、および第5帯域の高周波信号のCAを実行する場合には、共通端子30aと選択端子30cとが導通状態(共通端子30aと選択端子30bとが非導通状態)となり、かつ、スイッチ32が非導通状態となり、かつ、スイッチ33が導通状態となる。
これにより、ダイプレクサ20と共通入出力端子100とが接続され、共通入出力端子100から入出力端子110へ第1帯域の高周波信号が伝送され、共通入出力端子100から入出力端子130へ第3帯域の高周波信号が伝送され、共通入出力端子100から入出力端子150へ第5帯域の高周波信号が入出力され、共通入出力端子100から入出力端子120および140には、高周波信号が伝送されない。これにより、第1帯域の高周波信号、第3帯域の高周波信号、および第5帯域の高周波信号のCAを低損失で実現できる。
ケース(4):第5帯域の高周波信号および第3帯域の高周波信号のみのCAを実行する場合には、共通端子30aと選択端子30cとが導通状態(共通端子30aと選択端子30bとが非導通状態)となり、かつ、スイッチ32および33が非導通状態となる。
これにより、ダイプレクサ20と共通入出力端子100とが接続され、共通入出力端子100から入出力端子130へ第3帯域の高周波信号が伝送され、共通入出力端子100からから入出力端子150へ第5帯域の高周波信号が伝送され、共通入出力端子100から入出力端子110、120および140には、高周波信号が伝送されない。これにより、第5帯域の高周波信号と第3帯域の高周波信号とのCAを低損失で実現できる。
図2Aは、本実施の形態に係るフィルタ装置1に適用される各周波数帯域とダイプレクサ10および20の通過特性との第1の関係を示す図である。
本実施の形態に係るフィルタ装置1は、例えば、図2Aに示された各帯域の周波数割り当てに適用される。図2Aに示すように、第4帯域の高域端の周波数は、第5帯域の高域端の周波数より高い。また、第6帯域の低域端の周波数は、第7帯域の低域端の周波数より高い。また、第4帯域の周波数は、第6帯域の低域端の周波数より低い。また、第5帯域は、第7帯域の低域端の周波数より低い。
上記のような各帯域の周波数割り当てにおいて、低域(高域)通過フィルタ10Aの通過帯域と高域(低域)通過フィルタ10Bの通過帯域との間の周波数帯域は、第4帯域と第6帯域との間に位置している。一方、低域(高域)通過フィルタ20Aの通過帯域と高域(低域)通過フィルタ20Bの通過地域との間の周波数帯域は、第5帯域と第7帯域との間に位置している。
上記周波数割り当てにおいて、第1周波数帯域群(例えばローバンド群)に属する第4帯域または第5帯域の高周波信号と第2周波数帯域群(例えばハイバンド群)に属する第6帯域または第7帯域の高周波信号とのCAを実行する場合を想定する。この場合、従来の構成では、第1周波数帯域群を通過帯域かつ第2周波数帯域群を減衰帯域とする低周波数側のフィルタと、第2周波数帯域群を通過帯域かつ第1周波数帯域群を減衰帯域とする高周波数側のフィルタとで構成された1つの分波器が用いられる。
しかしながら、第1周波数帯域群と第2周波数帯域群との間の周波数帯域の間隔が狭い場合、低周波数側のフィルタおよび高周波数側のフィルタのそれぞれは、通過帯域と減衰帯域の間の急峻性を上げる必要があり、通過帯域における挿入損失が大きくなる。そのため、CAを実行する2つの帯域の組み合わせによっては、高周波信号の伝送損失(フロントエンド回路の挿入損失)が増大するという問題がある。
これに対して、本実施の形態に係るフィルタ装置1を、図2Aの周波数割り当てに適用した場合、第4帯域と第5帯域とを包含する第1周波数帯域群が、第6帯域と第7帯域とを包含する第2周波数帯域群よりも低周波側に位置する関係において、ダイプレクサ10および20をスイッチ30および31によって切替えることで、第1〜第5帯域における通過帯域内の挿入損失を低減することが可能となる。
図2Bは、本実施の形態に係るフィルタ装置1に適用される各周波数帯域とダイプレクサ10および20の通過特性との第2の関係を示す図である。
本実施の形態に係るフィルタ装置1は、例えば、図2Bに示された各帯域の周波数割り当てに適用される。図2Bに示すように、第4帯域の低域端の周波数は、第5帯域の低域端の周波数より低い。また、第6帯域の高域端の周波数は、第7帯域の高域端の周波数より低い。また、第4帯域の周波数は、第6帯域の高域端の周波数より高い。また、第5帯域は、第7帯域の高域端の周波数より高い。
上記のような各帯域の周波数割り当てにおいて、高域(低域)通過フィルタ10Bの通過帯域と低域(高域)通過フィルタ10Aの通過帯域との間の周波数帯域は、第6帯域と第4帯域との間に位置している。一方、高域(低域)通過フィルタ20Bの通過帯域と低域(高域)通過フィルタ20Aの通過帯域との間の周波数帯域は、第7帯域と第5帯域との間に位置している。
上記周波数割り当てにおいて、第1周波数帯域群(例えばハイバンド群)に属する第4帯域または第5帯域の高周波信号と第2周波数帯域群(例えばローバンド群)に属する第6帯域または第7帯域の高周波信号とのCAを実行する場合を想定する。この場合、従来の構成では、第1周波数帯域群を通過帯域かつ第2周波数帯域群を減衰帯域とする高周波数側のフィルタと、第2周波数帯域群を通過帯域かつ第1周波数帯域群を減衰帯域とする低周波数側のフィルタとで構成された1つの分波器が用いられる。
しかしながら、第1周波数帯域群と第2周波数帯域群との間の周波数帯域の間隔が狭い場合、低周波数側のフィルタおよび高周波数側のフィルタのそれぞれは、通過帯域と減衰帯域の間の急峻性を上げる必要があり、通過帯域における挿入損失が大きくなる。そのため、CAを実行する2つの帯域の組み合わせによっては、高周波信号の伝送損失(フロントエンド回路の挿入損失)が増大するという問題がある。
本実施の形態に係るフィルタ装置1を、図2Bの周波数割り当てに適用した場合、第4帯域と第5帯域とを包含する第1周波数帯域群が、第6帯域と第7帯域とを包含する第2周波数帯域群よりも高周波側に位置する関係において、ダイプレクサ10および20をスイッチ30および31によって切替えることで、第1〜第5帯域における通過帯域内の挿入損失を低減することが可能となる。
図2Cは、本実施の形態に係るフィルタ装置1に適用される各周波数帯域とダイプレクサ10および20の通過特性との第3の関係を示す図である。
本実施の形態に係るフィルタ装置1は、例えば、図2Cに示された各帯域の周波数割り当てに適用される。図2Cに示すように、第2帯域の周波数は、第1帯域の低域端の周波数より低い。また、第3帯域の周波数は、第1帯域の高域端の周波数より高い。また、第7帯域の高域端の周波数は、第6帯域の低域端の周波数より高い。また、第4帯域の周波数は、第6帯域の低域端の周波数より低い。また、第5帯域は、第7帯域の高域端の周波数より高い。
上記のような各帯域の周波数割り当てにおいて、低域(高域)通過フィルタ10Aの通過帯域と高域(低域)通過フィルタ10Bの通過帯域との間の周波数帯域は、第4帯域と第6帯域との間に位置している。一方、高域(低域)通過フィルタ20Bの通過帯域と低域(高域)通過フィルタ20Aの通過帯域との間の周波数帯域は、第7帯域と第5帯域との間に位置している。
上記周波数割り当てにおいて、第1周波数帯域群(例えばローバンド群)に属する第4帯域の高周波信号、第2周波数帯域群(例えばミドルバンド群)に属する第6帯域および第7帯域の高周波信号、ならびに第3周波数帯域群(例えばハイバンド群)に属する第5帯域の高周波信号のCAを実行する場合を想定する。この場合、従来の構成では、第1周波数帯域群を通過帯域かつ第2周波数帯域群と第3周波数帯域群とを減衰帯域とする低周波数側のフィルタ、第2周波数帯域群を通過帯域かつ第1周波数帯域群と第3周波数帯域群とを減衰帯域とする中間周波数側のフィルタ、および、第3周波数帯域群を通過帯域かつ第1周波数帯域群と第2周波数帯域群とを減衰帯域とする高周波数側のフィルタで構成された1つの分波器が用いられる。
しかしながら、中間周波数側のフィルタにおいては、帯域通過型のフィルタが必要になるが、低域通過型のフィルタまたは高域通過型のフィルタと比較して通過帯域内の挿入損失が大きいという問題がある。
これに対して、本実施の形態に係るフィルタ装置1を、図2Cの周波数割り当てに適用した場合、第4帯域と第5帯域とが、第6帯域および第7帯域を挟み込む周波数関係において、低域通過フィルタと高域通過フィルタとで構成されたダイプレクサ10および20を、スイッチ30および31によって切替えることで、第1〜第5帯域における通過帯域内の挿入損失を低減することが可能となる。
なお、本実施の形態に係るフィルタ装置1は、送信および受信の双方を実行するフィルタ装置、受信のみを実行するフィルタ装置、および送信のみを実行するフィルタ装置のいずれであってもよい。フィルタ装置1が送信および受信の双方を実行する場合には、ダイプレクサ10および20は、2以上の周波数帯域の高周波信号を分波および合波する機能を有する。また、フィルタ装置1が受信のみを実行する場合には、ダイプレクサ10および20は、2以上の周波数帯域の高周波信号を分波する機能を有する。また、フィルタ装置1が送信のみを実行する場合には、ダイプレクサ10および20は、2以上の周波数帯域の高周波信号を合波する機能を有する。
[1.2 実施例1および比較例1に係るフィルタ装置の構成]
図3Aは、実施例1に係るフィルタ装置1Aおよびその周辺回路の回路構成図である。フィルタ装置1Aは、実施の形態1に係るフィルタ装置1を、LTE(Long Term Evolution)のバンド(周波数帯域)でCAを実行する回路として適用した具体例である。同図に示すように、本実施例に係るフィルタ装置1Aは、共通入出力端子100と、入出力端子110、120、130、140、150aおよび150bと、スイッチ回路30および31と、スイッチ34および35と、ダイプレクサ10および20と、を備える。同図に示されたフィルタ装置1Aは、実施の形態1に係るフィルタ装置1と比較して、スイッチ34および35が付加されていること、入出力端子150が入出力端子150aおよび150bに代わっていること、が構成として異なる。以下、実施例1に係るフィルタ装置1Aについて、実施の形態1に係るフィルタ装置1と同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
なお、本実施例では、第1帯域〜第7帯域とLTEのバンドとを、以下のように対応させている。
第1帯域は、LTEのBand7(送信帯域:2500−2570MHz、受信帯域:2620−2690MHz)である。
第2帯域は、LTEのBand40(送受信帯域:2300−2400MHz)である。
第3帯域は、LTEのBand41(送受信帯域:2496−2690MHz)である。なお、Band41は、Band38(送受信帯域:2570−2620MHz)を含む。
第4帯域は、LTEのBand3(送信帯域:1710−1785MHz、受信帯域:1805−1880MHz)である。
第5帯域は、LTEのBand1(送信帯域:1920−1980MHz、受信帯域:2110−2170MHz)、および、Band39(送受信帯域:1880−1920MHz)を含む。
つまり、第2帯域の周波数は、前記第1帯域の低域端の周波数より低い。第3帯域の周波数は、第1帯域の低域端の周波数より低い周波数を含む。第4帯域の周波数は、第6帯域(第1帯域+第2帯域)の低域端の周波数より低い。第5帯域は、第7帯域(第1帯域+第3帯域)の低域端の周波数より低い。
入出力端子150aは、LTEのBand1の高周波信号が入出力される第5入出力端子であり、入出力端子150bは、LTEのBand39の高周波信号が入出力される第5入出力端子である。
スイッチ34は、一方の端子が選択端子31cに接続され、他方の端子が入出力端子130に接続され、選択端子31cと入出力端子130との導通および非導通を切り替えるスイッチ素子である。
スイッチ35は、共通端子35a、選択端子35bおよび35cを有し、共通端子35aと選択端子35bとの導通および共通端子35aと選択端子35cとの導通を排他的に切り替えるスイッチ素子である。
高域(低域)通過フィルタ20Bは、一方の端子が選択端子30cに接続され、他方の端子が選択端子31cおよびスイッチ34を介して入出力端子130に接続されている。
低域(高域)通過フィルタ20Aは、一方の端子が選択端子30cに接続され、他方の端子が共通端子35aに接続されている。つまり、低域(高域)通過フィルタ20Aは、一方の端子がスイッチ35を介して入出力端子150aおよび150bに接続されている。
なお、入出力端子110と送受信端子111との間には、Band7の送信帯域を通過帯域とする送信フィルタ41Tが接続され、入出力端子110と送受信端子112との間には、Band7の受信帯域を通過帯域とする受信フィルタ41Rが接続される。送信フィルタ41Tおよび受信フィルタ41Rは、Band7用のデュプレクサを構成している。
また、入出力端子120と送受信端子121との間には、Band40の送受信帯域を通過帯域とする送受信フィルタ42TRが接続される。
また、入出力端子130と送受信端子131との間には、Band41の送受信帯域を通過帯域とする送受信フィルタ43TRが接続される。
また、入出力端子140と送受信端子141との間には、Band3の送信帯域を通過帯域とする送信フィルタ44Tが接続され、入出力端子140と送受信端子142との間には、Band3の受信帯域を通過帯域とする受信フィルタ44Rが接続される。送信フィルタ44Tおよび受信フィルタ44Rは、Band3用のデュプレクサを構成している。
また、入出力端子150aと送受信端子151との間には、Band1の送信帯域を通過帯域とする送信フィルタ45Tが接続され、入出力端子150aと送受信端子152との間には、Band1の受信帯域を通過帯域とする受信フィルタ45Rが接続される。送信フィルタ45Tおよび受信フィルタ45Rは、Band1用のデュプレクサを構成している。
また、入出力端子150bと送受信端子153との間には、Band39の送受信帯域を通過帯域とする送受信フィルタ45TRが接続される。
なお、第1帯域であるBand7と、第3帯域であるBand41との周波数帯域は一部重複している。このため、スイッチ33の導通および非導通の切り替えに対し、スイッチ34の導通および非導通を排他的に切り替えることで、第1帯域であるBand7の高周波信号が入出力端子110に入出力される、または、第3帯域であるBand41の高周波信号が入出力端子130に入出力される、の何れか一方が選択される。
また、第5帯域であるBand1とBand39とは近接している。このため、スイッチ35において、共通端子35aと選択端子35bとの導通および非導通の切り替えに対し、共通端子35aと選択端子35cとの導通および非導通を排他的に切り替えることで、第5帯域であるBand1の高周波信号が入出力端子150aに入出力される、または、第5帯域であるBand39の高周波信号が入出力端子150bに入出力される、の何れか一方が選択される。
また、上記構成において、低域(高域)通過フィルタ10Aは、Band3の送受信帯域(1710−1880MHz)を通過帯域とし、Band40およびBand7を含む周波数帯を減衰帯域とする低域通過フィルタである。高域(低域)通過フィルタ10Bは、Band7および40の送受信帯域(2300−2690MHz)を通過帯域とし、Band3の送受信帯域を減衰帯域とする高域通過フィルタである。つまり、低域(高域)通過フィルタ10Aの通過帯域と高域(低域)通過フィルタ10Bの通過帯域との間の周波数間隔(ギャップ1)は、420MHzである。
また、上記構成において、低域(高域)通過フィルタ20Aは、Band1および39の送受信帯域(1880−2170MHz)を通過帯域とし、Band7、41および38の送受信帯域を減衰帯域とする低域通過フィルタである。高域(低域)通過フィルタ20Bは、Band7、41および38の送受信帯域(2496−2690MHz)を通過帯域とし、Band1および39の送受信帯域を減衰帯域とする高域通過フィルタである。つまり、低域(高域)通過フィルタ20Aの通過帯域と高域(低域)通過フィルタ20Bの通過帯域との間の周波数間隔(ギャップ2)は、326MHzである。
上記構成において、例えば、以下のようなCAが実行される。
(a)Band1+Band7
(b)Band1+Band41
(c)Band3+Band7
(d)Band3+Band40
(e)Band3+Band38
(f)Band39+Band41
(g)Band3+Band40+Band7
図3Bは、比較例1に係るフィルタ装置500Aおよびその周辺回路の回路構成図である。フィルタ装置500Aは、LTEのバンド(周波数帯域)でCAを実行する回路として適用した従来のフィルタ装置の具体例である。同図に示すように、比較例1に係るフィルタ装置500Aは、共通入出力端子100と、入出力端子110、120、130、140、150a、および150bと、スイッチ回路36および37と、ダイプレクサ510と、を備える。同図に示されたフィルタ装置500Aは、実施例1に係るフィルタ装置1Aと比較して、ダイプレクサが1つのみ配置されていることが、主として異なる。以下、比較例1に係るフィルタ装置500Aについて、実施例1に係るフィルタ装置1Aと異なる構成を中心に説明する。
入出力端子110は、LTEのBand7の高周波信号を入出力する端子である。入出力端子120は、LTEのBand40(Band38を含む)の高周波信号を入出力する端子である。入出力端子130は、LTEのBand43の高周波信号を入出力する端子である。入出力端子140は、LTEのBand3の高周波信号を入出力する端子である。入出力端子150aは、LTEのBand1の高周波信号を入出力する端子である。入出力端子150bは、LTEのBand39の高周波信号を入出力する端子である。
スイッチ回路36は、共通端子36a、選択端子36b、36cおよび36dを有し、共通端子36aと選択端子36bとの接続、共通端子36aと選択端子36cとの接続、ならびに、共通端子36aと選択端子36dとの接続を切り替える。
スイッチ回路37は、共通端子37a、選択端子37b、37c、および37dを有し、共通端子37aと選択端子37bとの接続、共通端子37aと選択端子37cとの接続、および共通端子37aと選択端子37dとの接続との接続を切り替える。なお、スイッチ37は、例えば、3つのSPST型のスイッチ素子で構成されており、上記3つの接続を、独立に切り替えることができる。たとえば、上記3つの接続を同時に導通状態とする、上記3つの接続のうち2つを同時に導通状態とする、ことが可能である。
ダイプレクサ510は、低域通過フィルタ510Aと、高域通過フィルタ510Bと、を備える分波器である。
低域通過フィルタ510Aは、一方の端子が共通入出力端子100に接続され、他方の端子が共通端子36aに接続され、Band3、Band1、およびBand39の送受信帯域(1710−2170MHz)を通過帯域とするフィルタである。
高域通過フィルタ510Bは、一方の端子が共通入出力端子100に接続され、他方の端子が共通端子37aに接続され、Band40(Band38を含む)、Band7およびBand41の送受信帯域(2300−2690MHz)を通過帯域とするフィルタである。
つまり、低域通過フィルタ510Aの通過帯域と高域通過フィルタ510Bの通過帯域との間の周波数間隔(ギャップ)は、130MHzである。
上記構成において、実施例1に係るフィルタ装置1Aと同様に、例えば、以下のCAが実行される。
(a)Band1+Band7
(b)Band1+Band41
(c)Band3+Band7
(d)Band3+Band40
(e)Band3+Band38
(f)Band39+Band41
(g)Band3+Band40+Band7
比較例1に係るフィルタ装置500Aでは、実施例1に係るフィルタ装置1Aと比較して、ダイプレクサ510により分波する周波数間隔(ギャップ)が130MHzと狭いため、CAを実行する周波数帯域の組み合わせにより、挿入損失が大きくなる。
これに対して、実施例1に係るフィルタ装置1Aでは、比較例1に係るフィルタ装置500Aと比較して、周波数間隔(ギャップ1およびギャップ2)が広いダイプレクサ10および20のいずれかが、CAを実行する周波数帯域の組み合わせにより選択されるので、挿入損失を低減できる。加えて、低域通過フィルタおよび高域通過フィルタで構成されるダイプレクサにおいて、周波数間隔が小さいほど、挿入損失が大きくなるとともに、各フィルタの減衰量は小さくなる。この減衰量が小さくなると、これらのフィルタで構成したダイプレクサの挿入損失は悪化する。これに対して、実施例1に係るフィルタ装置1Aでは、周波数間隔を大きくしているので、減衰量の観点からも、挿入損失を低減できる。
なお、上述した周波数間隔とは、低域通過フィルタの通過帯域高域端の周波数と、高域通過フィルタの通過帯域低域端の周波数との差と定義される。
[1.3 実施例1および比較例1に係るフィルタ装置の通過特性]
図4Aは、実施例1に係るフィルタ装置1Aの通過特性を表すグラフである。より具体的には、図4Aの(a)には、フィルタ装置1Aにおける共通入出力端子100と低域(高域)通過フィルタ10Aの他方の端子(Port10A)との間の挿入損失が示され、図4Aの(b)には、フィルタ装置1Aにおける共通入出力端子100と高域(低域)通過フィルタ10Bの他方の端子(Port10B)との間の挿入損失が示され、図4Aの(c)には、フィルタ装置1Aにおける共通入出力端子100と低域(高域)通過フィルタ20Aの他方の端子(Port20A)との間の挿入損失が示され、図4Aの(d)には、フィルタ装置1Aにおける共通入出力端子100と高域(低域)通過フィルタ20Bの他方の端子(Port20B)との間の挿入損失が示されている。
図4Aの(a)に示すように、低域(高域)通過フィルタ10Aの通過帯域高周波端の周波数1920MHzでは、挿入損失が0.684dBである。また、図4Aの(b)に示すように、高域(低域)通過フィルタ10Bの通過帯域低周波端の周波数2300MHzでは、挿入損失が0.723dBである。このように、ダイプレクサ10の通過帯域の端部周波数において、挿入損失が1dB以下であり、低損失となっている。
図4Aの(c)に示すように、低域(高域)通過フィルタ20Aの通過帯域高周波端の周波数2170MHzでは、挿入損失が0.893dBである。また、図4Aの(d)に示すように、高域(低域)通過フィルタ20Bの通過帯域低周波端の周波数2495MHzでは、挿入損失が0.798dBである。このように、ダイプレクサ20の通過帯域の端部周波数において、挿入損失が1dB以下であり、低損失となっている。
図4Bは、比較例1に係るフィルタ装置500Aの通過特性を表すグラフである。より具体的には、図4Bの(a)には、フィルタ装置500Aにおける共通入出力端子100と低域通過フィルタ510Aの他方の端子(Port510A)との間の挿入損失が示され、図4Bの(b)には、フィルタ装置500Aにおける共通入出力端子100と高域通過フィルタ510Bの他方の端子(Port510B)との間の挿入損失が示されている。
図4Bの(a)に示すように、低域通過フィルタ510Aの通過帯域高周波端の周波数2170MHzでは、挿入損失が1.544dBである。また、図4Bの(b)に示すように、高域通過フィルタ510Bの通過帯域低周波端の周波数2300MHzでは、挿入損失が1.543dBである。このように、低域通過フィルタ510Aの通過帯域と高域通過フィルタ510Bとの通過帯域との周波数間隔が130MHzと狭いため、ダイプレクサ510の通過帯域の端部周波数において、挿入損失が1dB以上となり、挿入損失が大きくなっている。
図5は、Band1(送信帯域:1920−1980MHz、受信帯域:2110−2170MHz)とBand7(送信帯域:2500−2570MHz、受信帯域:2620−2690MHz)とのCAにおける実施例1および比較例1に係るフィルタ装置の通過特性を比較したグラフである。
より具体的には、図5の(a)には、実施例1における共通入出力端子100−送受信端子151間の通過特性と、比較例1における共通入出力端子100−送受信端子151間の通過特性とが示され(以上左側グラフ)、また、それらの通過帯域付近が拡大された特性(以上右側グラフ)が示されている。
また、図5の(b)には、実施例1における共通入出力端子100−送受信端子152間の通過特性と、比較例1における共通入出力端子100−送受信端子152間の通過特性とが示され(以上左側グラフ)、また、それらの通過帯域付近が拡大された特性(以上右側グラフ)が示されている。
また、図5の(c)には、実施例1における共通入出力端子100−送受信端子111間の通過特性と、比較例1における共通入出力端子100−送受信端子111間の通過特性とが示され(以上左側グラフ)、また、それらの通過帯域付近が拡大された特性(以上右側グラフ)が示されている。
また、図5の(d)には、実施例1における共通入出力端子100−送受信端子112間の通過特性と、比較例1における共通入出力端子100−送受信端子112間の通過特性とが示され(以上左側グラフ)、また、それらの通過帯域付近が拡大された特性(以上右側グラフ)が示されている。
なお、図5において、Port100は共通入出力端子100と同義であり、Port151、152、111および112は、それぞれ、送受信端子151、152、111および112と同義である。
Band1およびBand7のCAを実行するにあたり、実施例1に係るフィルタ装置1Aでは、スイッチ33、共通端子30a−選択端子30c間、および共通端子35a−選択端子35b間が導通状態となり、スイッチ32、34、共通端子30a−選択端子30b間、および共通端子35a−選択端子35c間が非導通状態となっている。
また、比較例1に係るフィルタ装置500Aでは、共通端子36a−選択端子36c間および共通端子37a−選択端子37d間が導通状態となり、共通端子36a−選択端子36b間、共通端子36a−選択端子36d間、共通端子37a−選択端子37b間、共通端子37a−選択端子37c間および共通端子37a−選択端子37e間が非導通状態となっている。
実施例1および比較例1における通過特性を比較すると、特に図5の(b)に示すように、Band1の受信帯域におけるフィルタ装置1Aとフィルタ45Rとが接続された経路の挿入損失よりも、フィルタ装置500Aとフィルタ45Rとが接続された経路の挿入損失のほうが顕著に増加している。これは、図4Bの(a)に示すように、低域通過フィルタ510Aの通過帯域の高周波側(Band1の受信帯域)において、挿入損失が劣化していることによるものである。
一方、実施例1に係るフィルタ装置1Aでは、Band1およびBand7のCAを実行するにあたり、スイッチ回路30によりダイプレクサ20が選択されるので、Band1およびBand7のいずれの帯域においても、ダイプレクサ20による挿入損失が1dB以下となり、挿入損失を低減できている。
さらに、ダイプレクサ10および20の通過帯域に跨るBand7(第1帯域)の信号経路として、スイッチ回路31(スイッチ32および33)により、高域(低域)通過フィルタ20Bおよびスイッチ33を介する経路に選択できるので、Band7の通過帯域における挿入損失を低減できている。
図6は、Band1(送信帯域:1920−1980MHz、受信帯域:2110−2170MHz)とBand41(送受信帯域:2496−2690MHz)とのCAにおける実施例1および比較例1に係るフィルタ装置の通過特性を比較したグラフである。
より具体的には、図6の(a)には、実施例1における共通入出力端子100−送受信端子151間の通過特性と、比較例1における共通入出力端子100−送受信端子151間の通過特性とが示され(以上左側グラフ)、また、それらの通過帯域付近が拡大された特性(以上右側グラフ)が示されている。
また、図6の(b)には、実施例1における共通入出力端子100−送受信端子152間の通過特性と、比較例1における共通入出力端子100−送受信端子152間の通過特性とが示され(以上左側グラフ)、また、それらの通過帯域付近が拡大された特性(以上右側グラフ)が示されている。
また、図6の(c)には、実施例1における共通入出力端子100−送受信端子131間の通過特性と、比較例1における共通入出力端子100−送受信端子131間の通過特性とが示され(以上左側グラフ)、また、それらの通過帯域付近が拡大された特性(以上右側グラフ)が示されている。
Band1およびBand41のCAを実行するにあたり、実施例1に係るフィルタ装置1Aでは、スイッチ34、共通端子30a−選択端子30c間、および共通端子35a−選択端子35b間が導通状態となり、スイッチ32、33、共通端子30a−選択端子30b間、および共通端子35a−選択端子35c間が非導通状態となっている。
また、比較例1に係るフィルタ装置500Aでは、共通端子36a−選択端子36c間および共通端子37a−選択端子37e間が導通状態となり、共通端子36a−選択端子36b間、共通端子36a−選択端子36d間、共通端子37a−選択端子37b間、共通端子37a−選択端子37c間および共通端子37a−選択端子37d間が非導通状態となっている。
実施例1および比較例1における通過特性を比較すると、特に図6の(b)に示すように、Band1の受信帯域におけるフィルタ装置1Aとフィルタ45Rとが接続された経路の挿入損失よりも、フィルタ装置500Aとフィルタ45Rとが接続された経路の挿入損失のほうが顕著に増加している。これは、図4Bの(a)に示すように、低域通過フィルタ510Aの通過帯域の高周波側(Band1の受信帯域)において、挿入損失が劣化していることによるものである。
一方、実施例1に係るフィルタ装置1Aでは、Band1およびBand41のCAを実行するにあたり、スイッチ回路30によりダイプレクサ20が選択されるので、Band1およびBand41のいずれの帯域においても、ダイプレクサ20による挿入損失が1dB以下となり、挿入損失を低減できている。
さらに、スイッチ回路31(スイッチ32および33)およびスイッチ34により、ダイプレクサ10および20の通過帯域に跨るBand7(第1帯域)の信号とBand41(第3帯域)の信号とのアイソレーションを確保でき、Band41の信号経路として高域(低域)通過フィルタ20Bおよびスイッチ34を介する経路に選択できるので、Band41の通過帯域における挿入損失を低減できている。
図7は、Band3(送信帯域:1710−1785MHz、受信帯域:1805−1880MHz)とBand40(送受信帯域:2300−2400MHz)とBand7(送信帯域:2500−2570MHz、受信帯域:2620−2690MHz)との3CAにおける実施例1および比較例1に係るフィルタ装置の通過特性を比較したグラフである。
より具体的には、図7の(a)には、実施例1における共通入出力端子100−送受信端子141間の通過特性と、比較例1における共通入出力端子100−送受信端子141間の通過特性とが示され(以上左側グラフ)、また、それらの通過帯域付近が拡大された特性(以上右側グラフ)が示されている。
また、図7の(b)には、実施例1における共通入出力端子100−送受信端子142間の通過特性と、比較例1における共通入出力端子100−送受信端子142間の通過特性とが示され(以上左側グラフ)、また、それらの通過帯域付近が拡大された特性(以上右側グラフ)が示されている。
また、図7の(c)には、実施例1における共通入出力端子100−送受信端子121間の通過特性が加算された通過特性と、比較例1における共通入出力端子100−送受信端子121間の通過特性とが示され(以上左側グラフ)、また、それらの通過帯域付近が拡大された特性(以上右側グラフ)が示されている。
また、図7の(d)には、実施例1における共通入出力端子100−送受信端子111間の通過特性と、比較例1における共通入出力端子100−送受信端子111間の通過特性とが示され(以上左側グラフ)、また、それらの通過帯域付近が拡大された特性(以上右側グラフ)が示されている。
また、図7の(e)には、実施例1における共通入出力端子100−送受信端子112間の通過特性と、比較例1における共通入出力端子100−送受信端子112間の通過特性とが示され(以上左側グラフ)、また、それらの通過帯域付近が拡大された特性(以上右側グラフ)が示されている。
Band3、Band40およびBand7の3CAを実行するにあたり、実施例1に係るフィルタ装置1Aでは、スイッチ32および共通端子30a−選択端子30b間が導通状態となり、スイッチ33、34、および共通端子30a−選択端子30c間が非導通状態となっている。なお、共通端子35a−選択端子35b間および共通端子35a−選択端子35c間の接続状態は、いずれであってもよい。
また、比較例1に係るフィルタ装置500Aでは、共通端子36a−選択端子36b間、共通端子37a−選択端子37b間および共通端子37a−選択端子37d間が導通状態となり、共通端子36a−選択端子36c間、共通端子36a−選択端子36d間、共通端子37a−選択端子37c間および共通端子37a−選択端子37e間が非導通状態となっている。
実施例1および比較例1における通過特性を比較すると、特に図7の(c)に示すように、Band40の通過帯域におけるフィルタ装置1Aとフィルタ42TRとが接続された経路の挿入損失は、フィルタ装置500Aとフィルタ42TRとが接続された経路の挿入損失のほうが顕著に増加している。これは、図4Bの(b)に示すように、高域通過フィルタ510Bの通過帯域の低周波側(Band40の送受信帯域)において、挿入損失が劣化していることによるものである。
一方、実施例1に係るフィルタ装置1Aでは、Band3、Band40およびBand7の3CAを実行するにあたり、スイッチ回路30によりダイプレクサ10が選択されるので、Band3、Band40およびBand7のいずれの帯域においても、ダイプレクサ10による挿入損失が1dB以下となり、挿入損失を低減できている。
さらに、ダイプレクサ10および20の通過帯域に跨るBand7(第1帯域)の信号経路として、スイッチ回路31(スイッチ32および33)により、高域(低域)通過フィルタ10Bおよびスイッチ32を介する経路に選択できるので、Band7の通過帯域における挿入損失を低減できている。
[1.4 変形例1に係るフィルタ装置]
図8は、実施の形態1の変形例1に係るフィルタ装置1Bおよびその周辺回路の回路構成図である。同図に示すように、本変形例に係るフィルタ装置1Bは、共通入出力端子100と、入出力端子110、120、130、140、150aおよび150bと、スイッチ回路30および31と、スイッチ34、35および39と、ダイプレクサ10および20と、を備える。同図に示されたフィルタ装置1Bは、実施例1に係るフィルタ装置1Aと比較して、スイッチ39が付加されていること、ならびに、第4帯域および第5帯域と第6帯域および第7帯域との周波数関係、が異なる。以下、変形例1に係るフィルタ装置1Bについて、実施例1に係るフィルタ装置1Aと同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
本変形例では、第1帯域〜第7帯域とLTEのバンドとを、以下のように対応させている。
第1帯域は、LTEのBand3(送信帯域:1710−1785MHz、受信帯域:1805−1880MHz)である。
第2帯域は、LTEのBand39(送受信帯域:1880−1920MHz)である。
第3帯域は、LTEのBand1(送信帯域:1920−1980MHz、受信帯域:2110−2170MHz)である。
第4帯域は、Band40(送受信帯域:2300−2400MHz)である。
第5帯域は、LTEのBand7(送信帯域:2500−2570MHz、受信帯域:2620−2690MHz)、および、Band41(送受信帯域:2496−2690MHz)を含む。
つまり、第4帯域の低域端の周波数は、第5帯域の低域端の周波数より低い。第6帯域の高域端の周波数は、第7帯域の高域端の周波数より低い。第4帯域の周波数は、第6帯域(第1帯域+第2帯域)の高域端の周波数より高い。第5帯域は、第7帯域(第1帯域+第3帯域)の高域端の周波数より高い。
入出力端子150aは、LTEのBand7の高周波信号が入出力される第5入出力端子であり、入出力端子150bは、LTEのBand41の高周波信号が入出力される第5入出力端子である。
スイッチ39は、一方の端子が選択端子31bに接続され、他方の端子が入出力端子120に接続され、選択端子31bと入出力端子120との導通および非導通を切り替えるスイッチ素子である。
スイッチ35は、共通端子35a、選択端子35bおよび35cを有し、共通端子35aと選択端子35bとの導通および共通端子35aと選択端子35cとの導通を排他的に切り替えるスイッチ素子である。
高域(低域)通過フィルタ10Bは、一方の端子が選択端子30bに接続され、他方の端子が選択端子31bおよびスイッチ39を介して入出力端子120に接続されている。
なお、入出力端子110と送受信端子111との間には、Band3の送信帯域を通過帯域とする送信フィルタが接続され、入出力端子110と送受信端子112との間には、Band3の受信帯域を通過帯域とする受信フィルタが接続される。
また、入出力端子120と送受信端子121との間には、Band39の送受信帯域を通過帯域とする送受信フィルタが接続される。
また、入出力端子130と送受信端子131との間には、Band1の送信帯域を通過帯域とする送信フィルタが接続され、入出力端子130と送受信端子132との間には、Band1の受信帯域を通過帯域とする受信フィルタが接続される。
また、入出力端子140と送受信端子141との間には、Band40の送受信帯域を通過帯域とする送受信フィルタが接続される。
また、入出力端子150aと送受信端子151との間には、Band7の送信帯域を通過帯域とする送信フィルタが接続され、入出力端子150aと送受信端子152との間には、Band7の受信帯域を通過帯域とする受信フィルタが接続される。
また、入出力端子150bと送受信端子153との間には、Band41の送受信帯域を通過帯域とする送受信フィルタが接続される。
なお、第1帯域であるBand3と、第2帯域であるBand39との周波数帯域は近接している。このため、スイッチ32の導通および非導通の切り替えに対し、スイッチ39の導通および非導通を排他的に切り替えることで、第1帯域であるBand3の高周波信号が入出力端子110に入出力される、または、第2帯域であるBand39の高周波信号が入出力端子120に入出力される、の何れか一方が選択される。
また、上記構成において、低域(高域)通過フィルタ10Aは、Band40の送受信帯域(2300−2400MHz)を通過帯域とする高域通過フィルタであり、高域(低域)通過フィルタ10Bは、Band3および39の送受信帯域(1710−1920MHz)を通過帯域とする低域通過フィルタである。つまり、低域(高域)通過フィルタ10Aの通過帯域と高域(低域)通過フィルタ10Bの通過帯域との間の周波数間隔(ギャップ1)は、380MHzである。
また、上記構成において、低域(高域)通過フィルタ20Aは、Band7および41の送受信帯域(2496−2690MHzMHz)を通過帯域とする高域通過フィルタであり、高域(低域)通過フィルタ20Bは、Band3および1の送受信帯域(1710−2170MHz)を通過帯域とする低域通過フィルタである。つまり、低域(高域)通過フィルタ20Aの通過帯域と高域(低域)通過フィルタ20Bの通過帯域との間の周波数間隔(ギャップ2)は、326MHzである。
比較例1に係るフィルタ装置500Aでは、変形例1に係るフィルタ装置1Bと比較して、ダイプレクサ510により分波する周波数間隔(ギャップ)が130MHzと狭いため、CAを実行する周波数帯域の組み合わせにより、挿入損失が大きくなる。
これに対して、変形例1に係るフィルタ装置1Bでは、比較例1に係るフィルタ装置500Aと比較して、周波数間隔(ギャップ1およびギャップ2)が広いダイプレクサ10および20のいずれかが、CAを実行する周波数帯域の組み合わせにより選択されるので、挿入損失を低減できる。
なお、本変形例に係るフィルタ装置1Bでは、スイッチ回路31(第1スイッチ回路)は、低域通過フィルタである高域(低域)通過フィルタ10Bおよび20Bに接続されているが、高域通過フィルタである低域(高域)通過フィルタ10Aおよび20Aに接続されていてもよい。
また、本変形例に係るフィルタ装置1Bでは、スイッチ34、35および39により、隣接または重複する周波数帯域(バンド)のフィルタを切替えることが可能である。
[1.5 変形例2に係るフィルタ装置]
図9は、実施の形態1の変形例2に係るフィルタ装置1Cおよびその周辺回路の回路構成図である。同図に示すように、本変形例に係るフィルタ装置1Cは、共通入出力端子100と、入出力端子110、120a、120b、130、140a、140b、および150と、スイッチ回路30および31と、スイッチ61および62と、ダイプレクサ10および20と、を備える。同図に示されたフィルタ装置1Cは、実施の形態1に係るフィルタ装置1と比較して、スイッチ61および62が付加されていること、入出力端子120が入出力端子120aおよび120bに代わっていること、入出力端子140が入出力端子140aおよび140bに代わっていることが構成として異なる。以下、変形例2に係るフィルタ装置1Cについて、実施の形態1に係るフィルタ装置1と同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
本実施例では、第1帯域〜第7帯域とLTEのバンドとを、以下のように対応させている。
第1帯域は、LTEのBand3(送信帯域:1710−1785MHz、受信帯域:1805−1880MHz)およびBand1(送信帯域:1920−1980MHz、受信帯域:2110−2170MHz)を含む。
第2帯域は、LTEのBand11(送信帯域:1427.9−1447.9MHz、受信帯域:1475.9−1495.9MHz)およびBand21(送信帯域:1447.9−1462.9MHz、受信帯域:1495.9−1510.9MHz)を含む。
第3帯域は、LTEのBand41(送受信帯域:2496−2690MHz)である。
第4帯域は、LTEのBand26(送信帯域:814−849MHz、受信帯域:859−894MHz)およびBand8(送信帯域:880−915MHz、受信帯域:925−960MHz)を含む。
第5帯域は、LTEのBand42(送受信帯域:3400−3600MHz)である。
つまり、第2帯域の周波数は、第1帯域の低域端の周波数より低い。また、第3帯域の周波数は、第1帯域の高域端の周波数より高い。また、第7帯域の高域端の周波数は、第6帯域の低域端の周波数より高い。また、第4帯域の周波数は、第6帯域(第1帯域+第2帯域)の低域端の周波数より低い。また、第5帯域は、第7帯域(第1帯域+第3帯域)の高域端の周波数より高い。つまり、本変形例2に係るフィルタ装置1Cでは、第1帯域が第4帯域と第5帯域との間に位置している点が異なる。
入出力端子120aは、LTEのBand11の高周波信号が入出力される第2入出力端子であり、入出力端子120bは、LTEのBand21の高周波信号が入出力される第2入出力端子である。
入出力端子140aは、LTEのBand26の高周波信号が入出力される第4入出力端子であり、入出力端子140bは、LTEのBand8の高周波信号が入出力される第4入出力端子である。
スイッチ61は、共通端子61a、選択端子61bおよび61cを有し、共通端子61aと選択端子61bとの導通および共通端子61aと選択端子61cとの導通を排他的に切り替えるスイッチ素子である。
スイッチ62は、共通端子62a、選択端子62bおよび62cを有し、共通端子62aと選択端子62bとの導通および共通端子62aと選択端子62cとの導通を排他的に切り替えるスイッチ素子である。
高域(低域)通過フィルタ10Bは、一方の端子が選択端子30bに接続され、他方の端子が選択端子31bおよびスイッチ62を介して入出力端子120aまたは120bに接続される。
低域(高域)通過フィルタ10Aは、一方の端子が選択端子30bに接続され、他方の端子がスイッチ61を介して入出力端子140aまたは140bに接続される。
なお、入出力端子110と送受信端子111との間には、Band3の送信帯域を通過帯域とする送信フィルタが接続され、入出力端子110と送受信端子112との間には、Band3の受信帯域を通過帯域とする受信フィルタが接続される。また、入出力端子110と送受信端子113との間には、Band1の送信帯域を通過帯域とする送信フィルタが接続され、入出力端子110と送受信端子114との間には、Band1の受信帯域を通過帯域とする受信フィルタが接続される。
また、入出力端子120aと送受信端子121との間には、Band11の送信帯域を通過帯域とする送信フィルタが接続され、入出力端子120aと送受信端子122との間には、Band11の受信帯域を通過帯域とする受信フィルタが接続される。また、入出力端子120bと送受信端子123との間には、Band21の送信帯域を通過帯域とする送信フィルタが接続され、入出力端子120bと送受信端子124との間には、Band21の受信帯域を通過帯域とする受信フィルタが接続される。
また、入出力端子130と送受信端子131との間には、Band41の送受信帯域を通過帯域とする送受信フィルタが接続される。
また、入出力端子140aと送受信端子141との間には、Band26の送信帯域を通過帯域とする送信フィルタが接続され、入出力端子140aと送受信端子142との間には、Band26の受信帯域を通過帯域とする受信フィルタが接続される。また、入出力端子140bと送受信端子143との間には、Band8の送信帯域を通過帯域とする送信フィルタが接続され、入出力端子140bと送受信端子144との間には、Band8の受信帯域を通過帯域とする受信フィルタが接続される。
また、入出力端子150と送受信端子151との間には、Band42の送受信帯域を通過帯域とする送受信フィルタが接続される。
なお、第4帯域であるBand26とBand8との周波数帯域は、一部重複している。このため、スイッチ61において、共通端子61aと選択端子61bとの導通および非導通の切り替えに対し、共通端子61aと選択端子61cとの導通および非導通を排他的に切り替えることで、第4帯域であるBand26の高周波信号が入出力端子140aに入出力される、または、第4帯域であるBand8の高周波信号が入出力端子140bに入出力される、の何れか一方が選択される。
また、第2帯域であるBand11とBand21との周波数帯域は、一部重複している。このため、スイッチ62において、共通端子62aと選択端子62bとの導通および非導通の切り替えに対し、共通端子62aと選択端子62cとの導通および非導通を排他的に切り替えることで、第2帯域であるBand11の高周波信号が入出力端子120aに入出力される、または、第2帯域であるBand21の高周波信号が入出力端子120bに入出力される、の何れか一方が選択される。
また、上記構成において、低域(高域)通過フィルタ10Aは、Band26およびBand8の送受信帯域(814−960MHz)を通過帯域とする低域通過フィルタであり、高域(低域)通過フィルタ10Bは、Band11、Band21、Band3およびBand1の送受信帯域(1427.9−2170MHz)を通過帯域とする高域通過フィルタである。つまり、低域(高域)通過フィルタ10Aの通過帯域と高域(低域)通過フィルタ10Bの通過帯域との間の周波数間隔(ギャップ1)は、467.9MHzである。
また、上記構成において、低域(高域)通過フィルタ20Aは、Band42の送受信帯域(3400−3600MHz)を通過帯域とする高域通過フィルタであり、高域(低域)通過フィルタ20Bは、Band3、Band1および41の送受信帯域(1710−2690MHz)を通過帯域とする低域通過フィルタである。つまり、低域(高域)通過フィルタ20Aの通過帯域と高域(低域)通過フィルタ20Bの通過帯域との間の周波数間隔(ギャップ2)は、710MHzである。
比較例1に係るフィルタ装置500Aでは、変形例2に係るフィルタ装置1Cと比較して、ダイプレクサ510により分波する周波数間隔(ギャップ)が130MHzと狭いため、CAを実行する周波数帯域の組み合わせにより、挿入損失が大きくなる。
これに対して、変形例2に係るフィルタ装置1Cでは、比較例1に係るフィルタ装置500Aと比較して、周波数間隔(ギャップ1およびギャップ2)が広いダイプレクサ10および20のいずれかが、CAを実行する周波数帯域の組み合わせにより選択されるので、挿入損失を低減できる。
[1.6 変形例3に係るフィルタ装置]
図10は、実施の形態1の変形例3に係るフィルタ装置1Dおよびその周辺回路の回路構成図である。同図に示すように、本変形例に係るフィルタ装置1Dは、共通入出力端子100と、入出力端子110、120、130、140、150および160と、スイッチ回路30、31および71と、ダイプレクサ10および20と、を備える。同図に示されたフィルタ装置1Dは、実施の形態1に係るフィルタ装置1と比較して、スイッチ回路71および入出力端子160が付加されていることが構成として異なる。以下、変形例3に係るフィルタ装置1Dについて、実施の形態1に係るフィルタ装置1と同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
入出力端子110は、第1帯域の高周波信号が入出力される第1入出力端子である。入出力端子120は、第2帯域の高周波信号が入出力される第2入出力端子である。入出力端子130は、第3帯域の高周波信号が入出力される第3入出力端子である。入出力端子140は、第9帯域の高周波信号が入出力される第4入出力端子である。入出力端子150は、第10帯域の高周波信号が入出力される第5入出力端子である。入出力端子160は、第8帯域の高周波信号が入出力される第6入出力端子である。
また、上記第1帯域および上記第2帯域を含む帯域を第6帯域とし、上記第1帯域および上記第3帯域を含む帯域を第7帯域とする。また、上記第8帯域および上記第9帯域を含む帯域を第4帯域とし、上記第8帯域および上記第10帯域を含む帯域を第5帯域とする。ここで、第1帯域〜第10帯域は、互いに周波数帯域が異なっている。
スイッチ回路71は、共通端子71a(第3共通端子)、選択端子71b(第5選択端子)、選択端子71c(第6選択端子)、ならびに、スイッチ72および73を有する第3スイッチ回路である。スイッチ72は、一方の端子が選択端子71bに接続され、他方の端子が共通端子71aに接続され、共通端子71aと選択端子71bとの導通および非導通を切り替える第9スイッチ素子である。スイッチ73は、一方の端子が選択端子71cに接続され、他方の端子が共通端子71aに接続され、共通端子71aと選択端子71cとの導通および非導通を切り替える第10スイッチ素子である。
ダイプレクサ10は、低域(高域)通過フィルタ10Aと、高域(低域)通過フィルタ10Bと、を備える第1分波器である。
高域(低域)通過フィルタ10Bは、一方の端子が選択端子30bに接続され、他方の端子が選択端子31bおよび入出力端子120に接続され、第6帯域を通過帯域とする第1フィルタである。なお、高域(低域)通過フィルタ10Bの他方の端子と入出力端子120との間に、スイッチなどの回路素子が挿入されていてもよい。
低域(高域)通過フィルタ10Aは、一方の端子が選択端子30bに接続され、選択端子71bおよび入出力端子140に接続され、第4帯域を通過帯域とする第2フィルタである。なお、低域(高域)通過フィルタ10Aの他方の端子と入出力端子140との間に、スイッチなどの回路素子が挿入されていてもよい。
上記構成により、ダイプレクサ10は、第6帯域の高周波信号と第4帯域の高周波信号とを分波する。
ダイプレクサ20は、低域(高域)通過フィルタ20Aと、高域(低域)通過フィルタ20Bと、を備える第2分波器である。
高域(低域)通過フィルタ20Bは、一方の端子が選択端子30cに接続され、他方の端子が選択端子31cおよび入出力端子130に接続され、第7帯域を通過帯域とする第3フィルタである。なお、高域(低域)通過フィルタ20Bの他方の端子と入出力端子130との間に、スイッチなどの回路素子が挿入されていてもよい。
低域(高域)通過フィルタ20Aは、一方の端子が選択端子30cに接続され、他方の端子が選択端子71cおよび入出力端子150に接続され、第5帯域を通過帯域とする第4フィルタである。なお、低域(高域)通過フィルタ20Aの他方の端子と入出力端子150との間に、スイッチなどの回路素子が挿入されていてもよい。
上記構成により、ダイプレクサ20は、第7帯域の高周波信号と第5帯域の高周波信号とを分波する。
なお、入出力端子160には、第8帯域を通過帯域とするフィルタ46が接続される。
本変形例に係るフィルタ装置1Dの構成によれば、第1周波数帯域群のうちの第4帯域の高周波信号と、第2周波数帯域群のうちの第6帯域の高周波信号とのCAを実行する場合には、スイッチ回路30の切り替えにより、ダイプレクサ10が使用される。一方、第1周波数帯域群のうちの第5帯域の高周波信号と、第2周波数帯域群のうちの第7帯域の高周波信号とのCAを実行する場合には、スイッチ回路30の切り替えにより、ダイプレクサ20が使用される。また、第6帯域と第7帯域とに跨る第1帯域の高周波信号をCAの一方とする場合には、スイッチ回路31により、高域(低域)通過フィルタ10Bおよび20Bのいずれを入出力端子110と接続するかを選択できる。また、また、第4帯域と第5帯域とに跨る第8帯域の高周波信号をCAの一方とする場合には、スイッチ回路71により、低域(高域)通過フィルタ10Aおよび20Aのいずれを入出力端子160と接続するかを選択できる。つまり、CAが実行される周波数帯域の組み合わせが変化しても、ダイプレクサ10および20をスイッチ回路30、31および71によって切り替えることで、第1〜第5帯域における通過帯域内の挿入損失を低減することが可能となる。
なお、スイッチ回路31において、スイッチ32および33は、同時に導通状態とならず、個別に導通状態および非導通状態が切り替えられてもよい。また、スイッチ回路71において、スイッチ72および73は、同時に導通状態とならず、個別に導通状態および非導通状態が切り替えられてもよい。
これにより、スイッチ32が導通状態となることで第6帯域の高周波信号を入出力端子110および120から出力させる場合に、スイッチ33が非導通状態となることで、上記第6帯域の高周波信号が、入出力端子130およびダイプレクサ20へ漏洩することを抑制できる。また、スイッチ33が導通状態となることで第7帯域の高周波信号を入出力端子110および130から出力させる場合に、スイッチ32が非導通状態となることで、上記第7帯域の高周波信号が、入出力端子120およびダイプレクサ10へ漏洩することを抑制できる。また、スイッチ72が導通状態となることで第4帯域の高周波信号を入出力端子140および160に入出力させる場合に、スイッチ73が非導通状態となることで、上記第6帯域の高周波信号が、入出力端子150およびダイプレクサ20へ漏洩することを抑制できる。また、スイッチ73が導通状態となることで第5帯域の高周波信号を入出力端子160および150に入出力させる場合に、スイッチ72が非導通状態となることで、上記第5帯域の高周波信号が、入出力端子140およびダイプレクサ20へ漏洩することを抑制できる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1に係るフィルタ装置のスイッチ回路に並列腕スイッチが付加された構成について説明する。
[2.1 フィルタ装置の構成]
図11は、実施の形態2に係るフィルタ装置2の回路構成図である。同図に示すように、本実施の形態に係るフィルタ装置2は、共通入出力端子100と、入出力端子110、120、130、140および150と、スイッチ回路30および31Aと、ダイプレクサ10および20と、を備える。同図に示されたフィルタ装置2は、実施の形態1に係るフィルタ装置1と比較して、スイッチ回路31Aの回路構成が異なる。以下、実施の形態2に係るフィルタ装置2について、実施の形態1に係るフィルタ装置1と同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
スイッチ回路31Aは、共通端子31a(第1共通端子)、選択端子31b(第1選択端子)、選択端子31c(第2選択端子)、ならびに、スイッチ32、33、51、52および53を有する第1スイッチ回路である。
スイッチ32は、一方の端子が選択端子31bに接続され、他方の端子が共通端子31aに接続され、共通端子31aと選択端子31bとの導通および非導通を切り替える第1スイッチ素子である。スイッチ33は、一方の端子が選択端子31cに接続され、他方の端子が共通端子31aに接続され、共通端子31aと選択端子31cとの導通および非導通を切り替える第2スイッチ素子である。
スイッチ51は、一方の端子51aが共通端子31aに接続され、他方の端子51bがグランドに接続され、共通端子31aとグランドとの導通および非導通を切り替える第4スイッチ素子である。
スイッチ52は、一方の端子52aが選択端子31bに接続され、他方の端子52bがグランドに接続され、選択端子31bとグランドとの導通および非導通を切り替える第5スイッチ素子である。
スイッチ53は、一方の端子53aが選択端子31cに接続され、他方の端子53bがグランドに接続され、選択端子31cとグランドとの導通および非導通を切り替える第6スイッチ素子である。
上記構成によれば、入出力端子110と、入出力端子120およびダイプレクサ10と、入出力端子130およびダイプレクサ20と、の間での高周波信号の漏洩を低減(アイソレーションを向上)することが可能となる。
以下、スイッチ回路30および31Aの導通および非導通状態について、具体的に示す。
ケース(1):第1帯域の高周波信号、第2帯域の高周波信号、および第4帯域の高周波信号のCAを実行する場合には、共通端子30aと選択端子30bとが導通状態(共通端子30aと選択端子30cとが非導通状態)となり、かつ、スイッチ32および53が導通状態となり、かつ、スイッチ33、51および52が非導通状態となる。
これにより、ダイプレクサ10と共通入出力端子100とが接続され、共通入出力端子100から入出力端子110へ第1帯域の高周波信号が伝送され、共通入出力端子100から入出力端子120へ第2帯域の高周波信号が伝送され、共通入出力端子100から入出力端子140へ第4帯域の高周波信号が入出力され、共通入出力端子100から入出力端子130および150へは、高周波信号が伝送されない。さらに、スイッチ51〜53の上記接続状態により、入出力端子110と入出力端子130との間での高周波信号の漏れを低減(アイソレーションを向上)することができる。これにより、第1帯域の高周波信号、第2帯域の高周波信号、および、第4帯域の高周波信号のCAを、より低損失で実現できる。
ケース(2):第4帯域の高周波信号および第2帯域の高周波信号のみのCAを実行する場合には、共通端子30aと選択端子30bとが導通状態(共通端子30aと選択端子30cとが非導通状態)となり、かつ、スイッチ51が導通状態となり、スイッチ32および52が非導通状態となる。
これにより、ダイプレクサ10と共通入出力端子100とが接続され、共通入出力端子100から入出力端子120へ第2帯域の高周波信号が伝送され、共通入出力端子100から入出力端子140へ第4帯域の高周波信号が伝送され、共通入出力端子100から入出力端子110、130および150には、高周波信号が伝送されない。さらに、スイッチ51および52の上記接続状態により、入出力端子110と入出力端子120との間での高周波信号の漏れを低減(アイソレーションを向上)することができる。これにより、第4帯域の高周波信号と第2帯域の高周波信号とのCAを、より低損失で実現できる。
ケース(3):第1帯域の高周波信号、第3帯域の高周波信号、および第5帯域の高周波信号のCAを実行する場合には、共通端子30aと選択端子30cとが導通状態(共通端子30aと選択端子30bとが非導通状態)となり、かつ、スイッチ32、51および53が非導通状態となり、かつ、スイッチ33および52が導通状態となる。
これにより、ダイプレクサ20と共通入出力端子100とが接続され、共通入出力端子100から入出力端子110へ第1帯域の高周波信号が伝送され、共通入出力端子100から入出力端子130へ第3帯域の高周波信号が伝送され、共通入出力端子100から入出力端子150へ第5帯域の高周波信号が入出力され、共通入出力端子100から入出力端子120および140には、高周波信号が伝送されない。さらに、スイッチ51〜53の上記接続状態により、入出力端子110と入出力端子120との間での高周波信号の漏れを低減(アイソレーションを向上)することができる。これにより、第1帯域の高周波信号、第3帯域の高周波信号、および第5帯域の高周波信号のCAを、より低損失で実現できる。
ケース(4):第5帯域の高周波信号および第3帯域の高周波信号のみのCAを実行する場合には、共通端子30aと選択端子30cとが導通状態(共通端子30aと選択端子30bとが非導通状態)となり、かつ、スイッチ51が導通状態となり、かつ、スイッチ33および53が非導通状態となる。
これにより、ダイプレクサ20と共通入出力端子100とが接続され、共通入出力端子100から入出力端子130へ第3帯域の高周波信号が伝送され、共通入出力端子100からから入出力端子150へ第5帯域の高周波信号が伝送され、共通入出力端子100から入出力端子110、120および140には、高周波信号が伝送されない。さらに、スイッチ51および53の上記接続状態により、入出力端子110と入出力端子130との間での高周波信号の漏れを低減(アイソレーションを向上)することができる。これにより、第5帯域の高周波信号と第3帯域の高周波信号とのCAを、より低損失で実現できる。
[2.2 フィルタ装置の構成]
図12は、実施の形態2の変形例に係るフィルタ装置3の回路構成図である。同図に示すように、本変形例に係るフィルタ装置3は、共通入出力端子100と、入出力端子110、120、130、140および150と、スイッチ回路30Aおよび31と、ダイプレクサ10および20と、を備える。同図に示されたフィルタ装置3は、実施の形態1に係るフィルタ装置1と比較して、スイッチ回路30Aの回路構成が異なる。以下、実施の形態2の変形例に係るフィルタ装置3について、実施の形態1に係るフィルタ装置1と同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
スイッチ回路30Aは、共通端子30a(第2共通端子)、選択端子30b(第3選択端子)、選択端子30c(第4選択端子)、ならびに、スイッチ54および55を有する第2スイッチ回路である。スイッチ回路30Aは、共通端子30aと選択端子30bとの導通および非導通と、共通端子30aと選択端子30cとの導通および非導通とを、排他的に切り替える第1スイッチ素子である。
スイッチ54は、一方の端子54aが選択端子30bに接続され、他方の端子54bがグランドに接続され、選択端子30bとグランドとの導通および非導通を切り替える第7スイッチ素子である。スイッチ54の導通および非導通は、共通端子30aと選択端子30bとの導通および非導通と排他的に切り替えられる。
スイッチ55は、一方の端子55aが選択端子30cに接続され、他方の端子55bがグランドに接続され、選択端子30cとグランドとの導通および非導通を切り替える第8スイッチ素子である。スイッチ55の導通および非導通は、共通端子30aと選択端子30cとの導通および非導通と排他的に切り替えられる。
上記構成によれば、共通入出力端子100と、ダイプレクサ10と、ダイプレクサ20との間での高周波信号の漏洩を低減(アイソレーションを向上)することが可能となる。
以下、スイッチ回路30Aの導通および非導通状態について、具体的に示す。
ケース(1):第4帯域の高周波信号と第6帯域の高周波信号とを同時に伝送させる場合、および、第4帯域の高周波信号と第2帯域の高周波信号とを同時に伝送させる場合には、共通端子30aと選択端子30bとが導通状態となり、かつ、スイッチ54が非導通状態となり、かつ、スイッチ55が導通状態となる。
ケース(2):第5帯域の高周波信号と第7帯域の高周波信号とを同時に伝送させる場合、および、第5帯域の高周波信号と第3帯域の高周波信号とを同時に伝送させる場合には、共通端子30aと選択端子30cとが導通状態となり、かつ、スイッチ54が導通状態となり、かつ、スイッチ55が非導通状態となる。
これにより、入出力端子140と入出力端子150との間での高周波信号の漏れを低減(アイソレーションを向上)することが可能となる。
以下、本実施の形態およびその変形例に係るフィルタ装置が、実施例1に係るフィルタ装置1Aと比較して、各入出力端子間での高周波信号の漏れを低減(アイソレーションを向上)し、CA時の低損失性を改善できることを説明する。
[2.3 スイッチ回路のオフ容量とフィルタ装置の通過特性との関係]
図13は、実施例1に係るフィルタ装置1Aにおけるスイッチ32、33および34の非導通時の容量成分(オフ容量)と挿入損失との関係を表すグラフである。同図には、Band3、Band40およびBand7の3CAを実行した場合における、スイッチ32〜34のオフ容量と各バンドの信号経路の挿入損失との関係が示されている。
なお、実施例1に係るフィルタ装置1Aにて、Band3、Band40およびBand7の3CAを実行すべく、スイッチ32および共通端子30a−選択端子30b間が導通状態となり、スイッチ33、34および共通端子30a−選択端子30c間が非導通状態となっている。なお、スイッチ35の接続状態は、いずれであってもよい。
同図に示すように、スイッチ32〜34のオフ容量が大きくなるにつれ、各バンドの信号経路の挿入損失が増加している。
特に、実施例1に係るフィルタ装置1Aの構成では、第3帯域として適用されているBand41とBand7との周波数帯域が一部重複しているため、Band7の高周波信号が、Band41の信号経路(選択端子31c−スイッチ34−入出力端子130)に漏洩する。これにより、共通入出力端子100−スイッチ回路30−ダイプレクサ10−スイッチ32−入出力端子110というBand7の信号経路の挿入損失が、スイッチ33および34のオフ容量の増大とともに悪化する。
図14Aは、入出力端子間に配置されたスイッチSW1および入出力端子間の経路とグランドとの間に配置されたスイッチSW2で構成されたスイッチ回路のオフ容量と挿入損失との関係を表すグラフである。また、図14Bは、入出力端子間に配置されたスイッチSW1のみで構成されたスイッチ回路のオフ容量と挿入損失との関係を表すグラフである。
図14Bに示すように、入出力端子間に直列に配置されたスイッチSW1のみで構成されたスイッチ回路では、スイッチSW1のオフ容量が大きくなるほど、1.6−2.8GHzの周波数帯において、アイソレーションが悪化(挿入損失が減少)している。
これに対して、図14Aに示すように、入出力端子間に直列に配置されたスイッチSW1および入出力端子間の経路とグランドとの間に配置されたスイッチSW2で構成されたスイッチ回路においても、スイッチSW1のオフ容量が大きくなるほど、1.6−2.8GHzの周波数帯において、アイソレーションが悪化(挿入損失が減少)している。しかしながら、スイッチSW1の非導通状態に対してスイッチSW2を排他的に導通状態とすることで、入出力端子間に直列に配置されたスイッチSW1のみで構成されたスイッチ回路と比較して、略30dB程度、アイソレーションが向上(挿入損失が増加)している。
これにより、入出力端子間の経路のアイソレーションが向上するので、当該経路に漏洩する他の周波数帯域の高周波信号を抑制でき、当該他の周波数帯域の高周波信号の伝送損失を低減できる。
[2.4 実施例2に係るフィルタ装置]
図15は、実施例2に係るフィルタ装置2Aおよびその周辺回路の回路構成図である。同図に示すように、本実施例に係るフィルタ装置2Aは、共通入出力端子100と、入出力端子110、120、130、140、150aおよび150bと、スイッチ回路30および31Aと、スイッチ34、35および56と、ダイプレクサ10および20と、を備える。同図に示されたフィルタ装置2Aは、実施の形態2に係るフィルタ装置2と比較して、スイッチ34、35および56が付加されていること、入出力端子150が入出力端子150aおよび150bに代わっていること、が構成として異なる。以下、実施例2に係るフィルタ装置2Aについて、実施の形態2に係るフィルタ装置2と同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
なお、本実施例では、第1帯域〜第7帯域とLTEのバンドとを、以下のように対応させている。
第1帯域は、LTEのBand7(送信帯域:2500−2570MHz、受信帯域:2620−2690MHz)である。
第2帯域は、LTEのBand40(送受信帯域:2300−2400MHz)である。
第3帯域は、LTEのBand41(送受信帯域:2496−2690MHz)である。
第4帯域は、LTEのBand3(送信帯域:1710−1785MHz、受信帯域:1805−1880MHz)である。
第5帯域は、LTEのBand1(送信帯域:1920−1980MHz、受信帯域:2110−2170MHz)、および、Band39(送受信帯域:1880−1920MHz)を含む。
つまり、第2帯域の周波数は、前記第1帯域の低域端の周波数より低い。第3帯域の周波数は、第1帯域の低域端の周波数より低い周波数を含む。第4帯域の周波数は、第6帯域(第1帯域+第2帯域)の低域端の周波数より低い。第5帯域は、第7帯域(第1帯域+第3帯域)の低域端の周波数より低い。
入出力端子150aは、LTEのBand1の高周波信号が入出力される第5入出力端子であり、入出力端子150bは、LTEのBand39の高周波信号が入出力される第5入出力端子である。
スイッチ34は、一方の端子が選択端子31cに接続され、他方の端子が入出力端子130に接続され、選択端子31cと入出力端子130との導通および非導通を切り替えるスイッチ素子である。
スイッチ35は、共通端子35a、選択端子35bおよび35cを有し、共通端子35aと選択端子35bとの導通および共通端子35aと選択端子35cとの導通を排他的に切り替えるスイッチ素子である。
スイッチ56は、一方の端子56aがスイッチ34の他方の端子に接続され、他方の端子56bがグランドに接続され、スイッチ34の他方の端子とグランドとの導通および非導通を切り替えるスイッチ素子である。スイッチ56の導通および非導通は、スイッチ34の導通および非導通と排他的に切り替えられる。
なお、入出力端子110と送受信端子111との間には、Band7の送信帯域を通過帯域とする送信フィルタが接続され、入出力端子110と送受信端子112との間には、Band7の受信帯域を通過帯域とする受信フィルタが接続される。
また、入出力端子120と送受信端子121との間には、Band40の送受信帯域を通過帯域とする送受信フィルタが接続される。
また、入出力端子130と送受信端子131との間には、Band41の送受信帯域を通過帯域とする送受信フィルタが接続される。
また、入出力端子140と送受信端子141との間には、Band3の送信帯域を通過帯域とする送信フィルタが接続され、入出力端子140と送受信端子142との間には、Band3の受信帯域を通過帯域とする受信フィルタが接続される。
また、入出力端子150aと送受信端子151との間には、Band1の送信帯域を通過帯域とする送信フィルタが接続され、入出力端子150aと送受信端子152との間には、Band1の受信帯域を通過帯域とする受信フィルタが接続される。
また、入出力端子150bと送受信端子153との間には、Band39の送受信帯域を通過帯域とする送受信フィルタが接続される。
なお、第1帯域であるBand7と、第3帯域であるBand41との周波数帯域は一部重複している。このため、スイッチ33の導通および非導通の切り替えに対し、スイッチ34の導通および非導通を排他的に切り替えることで、第1帯域であるBand7の高周波信号が入出力端子110に入出力される、または、第3帯域であるBand41の高周波信号が入出力端子130に入出力される、の何れか一方が選択される。
また、第5帯域であるBand1とBand39とは近接している。このため、スイッチ35において、共通端子35aと選択端子35bとの導通および非導通の切り替えに対し、共通端子35aと選択端子35cとの導通および非導通を排他的に切り替えることで、第5帯域であるBand1の高周波信号が入出力端子150aに入出力される、または、第5帯域であるBand39の高周波信号が入出力端子150bに入出力される、の何れか一方が選択される。
上記構成において、例えば、以下のようなCAが実行される。
(a)Band1+Band7
(b)Band1+Band41
(c)Band3+Band7
(d)Band3+Band40
(e)Band3+Band38
(f)Band39+Band41
(g)Band3+Band40+Band7
[2.5 実施例2および実施例1に係るフィルタ装置の通過特性]
図16は、Band3(送信帯域:1710−1785MHz、受信帯域:1805−1880MHz)とBand40(送受信帯域:2300−2400MHz)とBand7(送信帯域:2500−2570MHz、受信帯域:2620−2690MHz)とのCAにおける実施例2および実施例1に係るフィルタ装置の通過特性を比較したグラフである。
より具体的には、図16の(a)には、実施例2における共通入出力端子100−送受信端子141間の通過特性と、実施例1における共通入出力端子100−送受信端子141間の通過特性とが示され(以上左側グラフ)、また、それらの通過帯域付近が拡大された特性(以上右側グラフ)が示されている。
また、図16の(b)には、実施例2における共通入出力端子100−送受信端子142間の通過特性と、実施例1における共通入出力端子100−送受信端子142間の通過特性とが示され(以上左側グラフ)、また、それらの通過帯域付近が拡大された特性(以上右側グラフ)が示されている。
また、図16の(c)には、実施例2における共通入出力端子100−送受信端子121間の通過特性と、実施例1における共通入出力端子100−送受信端子121間の通過特性とが示され(以上左側グラフ)、また、それらの通過帯域付近が拡大された特性(以上右側グラフ)が示されている。
また、図16の(d)には、実施例2における共通入出力端子100−送受信端子111間の通過特性と、実施例1における共通入出力端子100−送受信端子111間の通過特性とが示され(以上左側グラフ)、また、それらの通過帯域付近が拡大された特性(以上右側グラフ)が示されている。
また、図16の(e)には、実施例2における共通入出力端子100−送受信端子112間の通過特性と、実施例1における共通入出力端子100−送受信端子112間の通過特性とが示され(以上左側グラフ)、また、それらの通過帯域付近が拡大された特性(以上右側グラフ)が示されている。
Band3、Band40およびBand7の3CAを実行するにあたり、実施例2に係るフィルタ装置2Aでは、スイッチ32、53、56および共通端子30a−選択端子30b間が導通状態となり、スイッチ33、34、51、52および共通端子30a−選択端子30c間が非導通状態となっている。なお、共通端子35a−選択端子35b間および共通端子35a−選択端子35c間の接続状態はいずれであってもよい。
また、実施例1に係るフィルタ装置1Aでは、スイッチ32および共通端子30a−選択端子30b間が導通状態となり、スイッチ33、34および共通端子30a−選択端子30c間が非導通状態となっている。なお、共通端子35a−選択端子35b間および共通端子35a−選択端子35c間の接続状態は、いずれであってもよい。
実施例2および実施例1における通過特性を比較すると、図16の(c)に示すように、フィルタ装置1AとBand40の送受信フィルタとが接続された経路の挿入損失よりも、フィルタ装置2AとBand40の送受信フィルタとが接続された経路の挿入損失のほうが低減されている。また、図16の(d)および(e)に示すように、フィルタ装置1AとBand7の送信フィルタまたは受信フィルタとが接続された経路の挿入損失よりも、フィルタ装置2AとBand7の送信フィルタまたは受信フィルタとが接続された経路の挿入損失のほうが低減されている。これは、実施例2に係るフィルタ装置2Aにおいて、スイッチ33の非導通状態に対してスイッチ53を導通状態とし、スイッチ34の非導通状態に対してスイッチ56を導通状態とすることで、Band40、Band7、およびBand41の各信号経路間のアイソレーションが向上していることによるものである。
[2.6 実施例3に係るフィルタ装置]
図17は、実施例3に係るフィルタ装置3Aおよびその周辺回路の回路構成図である。同図に示すように、本実施例に係るフィルタ装置3Aは、共通入出力端子100と、入出力端子110、120、130、140、150aおよび150bと、スイッチ回路30Aおよび31Aと、スイッチ34、35および56と、ダイプレクサ10および20と、を備える。同図に示されたフィルタ装置3Aは、実施例2に係るフィルタ装置2Aと比較して、スイッチ30Aの構成が異なる。以下、実施例3に係るフィルタ装置3Aについて、実施例2に係るフィルタ装置2Aと同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
スイッチ回路30Aは、共通端子30a(第2共通端子)、選択端子30b(第3選択端子)、選択端子30c(第4選択端子)、ならびに、スイッチ54および55を有する第2スイッチ回路である。スイッチ回路30Aは、共通端子30aと選択端子30bとの導通および非導通と、共通端子30aと選択端子30cとの導通および非導通とを、排他的に切り替える第1スイッチ素子である。
スイッチ54は、一方の端子54aが選択端子30bに接続され、他方の端子54bがグランドに接続され、選択端子30bとグランドとの導通および非導通を切り替える第7スイッチ素子である。スイッチ54の導通および非導通は、共通端子30aと選択端子30bとの導通および非導通と排他的に切り替えられる。
スイッチ55は、一方の端子55aが選択端子30cに接続され、他方の端子55bがグランドに接続され、選択端子30cとグランドとの導通および非導通を切り替える第8スイッチ素子である。スイッチ55の導通および非導通は、共通端子30aと選択端子30cとの導通および非導通と排他的に切り替えられる。
上記構成において、例えば、以下のようなCAが実行される。
(a)Band1+Band7
(b)Band1+Band41
(c)Band3+Band7
(d)Band3+Band40
(e)Band3+Band38
(f)Band39+Band41
(g)Band3+Band40+Band7
[2.7 実施例3および実施例2に係るフィルタ装置の通過特性]
図18は、Band3(送信帯域:1710−1785MHz、受信帯域:1805−1880MHz)とBand40(送受信帯域:2300−2400MHz)とBand7(送信帯域:2500−2570MHz、受信帯域:2620−2690MHz)とのCAにおける実施例3および実施例2に係るフィルタ装置の通過特性を比較したグラフである。
より具体的には、図18の(a)には、実施例3における共通入出力端子100−送受信端子141間の通過特性と、実施例2における共通入出力端子100−送受信端子141間の通過特性とが示され(以上左側グラフ)、また、それらの通過帯域付近が拡大された特性(以上右側グラフ)が示されている。
また、図18の(b)には、実施例3における共通入出力端子100−送受信端子142間の通過特性と、実施例2における共通入出力端子100−送受信端子142間の通過特性とが示され(以上左側グラフ)、また、それらの通過帯域付近が拡大された特性(以上右側グラフ)が示されている。
また、図18の(c)には、実施例3における共通入出力端子100−送受信端子121間の通過特性と、実施例2における共通入出力端子100−送受信端子121間の通過特性とが示され(以上左側グラフ)、また、それらの通過帯域付近が拡大された特性(以上右側グラフ)が示されている。
また、図18の(d)には、実施例3における共通入出力端子100−送受信端子111間の通過特性と、実施例2における共通入出力端子100−送受信端子111間の通過特性とが示され(以上左側グラフ)、また、それらの通過帯域付近が拡大された特性(以上右側グラフ)が示されている。
また、図18の(e)には、実施例3における共通入出力端子100−送受信端子112間の通過特性と、実施例2における共通入出力端子100−送受信端子112間の通過特性とが示され(以上左側グラフ)、また、それらの通過帯域付近が拡大された特性(以上右側グラフ)が示されている。
Band3、Band40およびBand7の3CAを実行するにあたり、実施例3に係るフィルタ装置3Aでは、スイッチ32、53、55、56および共通端子30a−選択端子30b間が導通状態となり、スイッチ33、34、51、52、54および共通端子30a−選択端子30c間が非導通状態となっている。なお、共通端子35a−選択端子35b間および共通端子35a−選択端子35c間の接続状態はいずれであってもよい。
また、実施例2に係るフィルタ装置2Aでは、スイッチ32、53、56および共通端子30a−選択端子30b間が導通状態となり、スイッチ33、34、51、52および共通端子30a−選択端子30c間が非導通状態となっている。なお、共通端子35a−選択端子35b間および共通端子35a−選択端子35c間の接続状態はいずれであってもよい。
実施例3および実施例2における通過特性を比較すると、図18の(b)に示すように、フィルタ装置2AとBand3の送信フィルタまたは受信フィルタとが接続された経路の挿入損失よりも、フィルタ装置3AとBand3の送信フィルタまたは受信フィルタとが接続された経路の挿入損失のほうが低減されている。また、図18の(c)に示すように、フィルタ装置2AとBand40の送受信フィルタとが接続された経路の挿入損失よりも、フィルタ装置3AとBand40の送受信フィルタとが接続された経路の挿入損失のほうが低減されている。また、図18の(d)および(e)に示すように、フィルタ装置2AとBand7の送信フィルタまたは受信フィルタとが接続された経路の挿入損失よりも、フィルタ装置3AとBand7の送信フィルタまたは受信フィルタとが接続された経路の挿入損失のほうが低減されている。これは、実施例3に係るフィルタ装置3Aにおいて、共通端子30a−選択端子30c間の非導通状態に対してスイッチ55を導通状態とすることで、Band40、Band7、およびBand41の各信号経路間のアイソレーションが向上していることによるものである。
(実施の形態3)
実施の形態1および2で説明したフィルタ装置は、使用バンド数が多いシステムに対応する高周波フロントエンド回路に適用することが可能である。そこで、本実施の形態では、このような高周波フロントエンド回路および通信装置について説明する。
図19は、実施の形態3に係る通信装置100の構成図である。同図に示すように、通信装置100は、高周波フロントエンド回路8と、アンテナ素子7と、RF信号処理回路(RFIC)9Aと、ベースバンド信号処理回路(BBIC)9Bと、を備える。
高周波フロントエンド回路8は、フィルタ装置1Eと、Band3(第4帯域)用の送信フィルタおよび受信フィルタと、Band40(第2帯域)用の送受信フィルタと、Band38(第2帯域)用の送受信フィルタと、Band7(第1帯域)用の送信フィルタおよび受信フィルタと、Band41(第3帯域)用の送受信フィルタと、Band1(第5帯域)用の送信フィルタおよび受信フィルタと、Band39(第5帯域)用の送受信フィルタと、スイッチ83〜90と、送信増幅器91および93と、受信増幅器92および94と、を備える。
フィルタ装置1Eは、実施の形態1に係るフィルタ装置1に、スイッチ81および83が付加されている。
スイッチ81は、共通端子が入出力端子120に接続され、2つの選択端子が、それぞれ、Band40用の送受信フィルタの一方の端子およびBand38用の送受信フィルタの一方の端子に接続され、Band40用の送受信フィルタおよびBand38用の送受信フィルタのいずれかを入出力端子120に接続するスイッチ回路である。
スイッチ82は、共通端子が入出力端子150に接続され、2つの選択端子が、それぞれ、Band1用の送信フィルタ/受信フィルタの一方の端子およびBand39用の送受信フィルタの一方の端子に接続され、Band1用の送信フィルタ/受信フィルタおよびBand38用の送受信フィルタのいずれかを入出力端子150に接続するスイッチ回路である。
スイッチ83は、共通端子がBand40用の送受信フィルタの他方の端子に接続され、2つの選択端子が、それぞれ、スイッチ87の第1の選択端子およびスイッチ88の第1の選択端子に接続され、Band40用の送受信フィルタを送信経路および受信経路のいずれかに接続するスイッチ回路である。
スイッチ84は、共通端子がBand38用の送受信フィルタの他方の端子に接続され、2つの選択端子が、それぞれ、スイッチ87の第2の選択端子およびスイッチ88の第2の選択端子に接続され、Band38用の送受信フィルタを送信経路および受信経路のいずれかに接続するスイッチ回路である。
スイッチ85は、共通端子がBand41用の送受信フィルタの他方の端子に接続され、2つの選択端子が、それぞれ、スイッチ87の第4の選択端子およびスイッチ88の第4の選択端子に接続され、Band41用の送受信フィルタを送信経路および受信経路のいずれかに接続するスイッチ回路である。
スイッチ86は、共通端子がBand39用の送受信フィルタの他方の端子に接続され、2つの選択端子が、それぞれ、スイッチ89の第3の選択端子およびスイッチ90の第3の選択端子に接続され、Band39用の送受信フィルタを送信経路および受信経路のいずれかに接続するスイッチ回路である。
スイッチ87は、共通端子、第1〜第4の選択端子を有し、共通端子が送信増幅器91の出力端子に接続され、第3の選択端子がBand7用の送信フィルタの他方の端子に接続され、Band40用の送受信フィルタ、Band38用の送受信フィルタ、Band7用の送信フィルタ、およびBand41用の送受信フィルタのいずれかと送信増幅器91とを接続するスイッチ回路である。
スイッチ88は、共通端子、第1〜第4の選択端子を有し、共通端子が受信増幅器92の出力端子に接続され、第3の選択端子がBand7用の受信フィルタの他方の端子に接続され、Band40用の送受信フィルタ、Band38用の送受信フィルタ、Band7用の受信フィルタ、およびBand41用の送受信フィルタのいずれかと受信増幅器92とを接続するスイッチ回路である。
スイッチ89は、共通端子、第1〜第3の選択端子を有し、共通端子が送信増幅器93の出力端子に接続され、第1の選択端子がBand3用の送信フィルタの他方の端子に接続され、第2の選択端子がBand1用の送信フィルタの他方の端子に接続され、Band3用の送信フィルタ、Band1用の送信フィルタ、およびBand39用の送受信フィルタのいずれかと送信増幅器93とを接続するスイッチ回路である。
スイッチ90は、共通端子、第1〜第3の選択端子を有し、共通端子が受信増幅器94の出力端子に接続され、第1の選択端子がBand3用の受信フィルタの他方の端子に接続され、第2の選択端子がBand1用の受信フィルタの他方の端子に接続され、Band3用の受信フィルタ、Band1用の受信フィルタ、およびBand39用の送受信フィルタのいずれかと受信増幅器94とを接続するスイッチ回路である。
送信増幅器91は、入力端子がRFIC9Aに接続され、出力端子がスイッチ87の共通端子に接続され、Band40、Band38、Band7、およびBand41の高周波送信信号を電力増幅するパワーアンプである。
受信増幅器92は、出力端子がRFIC9Aに接続され、入力端子がスイッチ88の共通端子に接続され、Band40、Band38、Band7、およびBand41の高周波受信信号を電力増幅するローノイズアンプである。
送信増幅器93は、入力端子がRFIC9Aに接続され、出力端子がスイッチ89の共通端子に接続され、Band3、Band1、およびBand39の高周波送信信号を電力増幅するパワーアンプである。
受信増幅器94は、出力端子がRFIC9Aに接続され、入力端子がスイッチ90の共通端子に接続され、Band3、Band1、およびBand39の高周波受信信号を電力増幅するローノイズアンプである。
RFIC9Aは、アンテナ素子7で送受信される高周波信号を処理する回路である。具体的には、RFIC9Aは、アンテナ素子7から受信側信号経路を介して入力された高周波信号(ここでは高周波受信信号)を、ダウンコンバートなどにより信号処理し、当該信号処理して生成された受信信号をBBIC9Bへ出力する。また、RFIC9Aは、BBIC9Bから入力された送信信号をアップコンバートなどにより信号処理し、当該信号処理して生成された高周波信号(ここでは高周波送信信号)を送信側信号経路に出力する。
なお、本実施の形態では、RFIC9Aは、使用されるバンドに基づいて、高周波フロントエンド回路8が有する各スイッチの接続を制御する制御部としての機能も有する。具体的には、RFIC9Aは、制御信号(図示せず)によって、高周波フロントエンド回路8が有するスイッチの接続を切り替える。なお、制御部は、RFIC9Aの外部に設けられていてもよく、例えば、高周波フロントエンド回路8が有する各スイッチとともにスイッチICを構成していてもよく、またはBBIC9Bに設けられていてもよい。
このように構成された通信装置100は、例えば、以下の(a)〜(g)のようなバンドの組み合わせでCAを実行することが可能である。
(a)Band1+Band7
(b)Band1+Band41
(c)Band3+Band7
(d)Band3+Band40
(e)Band3+Band38
(f)Band39+Band41
(g)Band3+Band40+Band7
以上のように構成された高周波フロントエンド回路8および通信装置100によれば、2以上の異なる周波数帯域(バンド)の高周波信号を同時に低損失で伝送することが可能となる。
(その他の実施の形態)
以上、本発明に係るフィルタ装置、高周波フロントエンド回路および通信装置について、実施の形態、実施例および変形例を挙げて説明したが、本発明は、上記実施の形態、実施例および変形例に限定されるものではない。上記実施の形態、実施例および変形例における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、上記実施の形態に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本発明に係るフィルタ装置、高周波フロントエンド回路および通信装置を内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
例えば、実施の形態1〜3において、第1〜第5帯域をLTEのバンドに適用した例を示したが、第1〜第5帯域は、図2A、図2B、図2Cに示されたような周波数関係にあればよく、実施の形態1〜3に開示されたバンド適用例に限定されない。
また、上記実施例および変形例では、送信および受信の双方を実行するフィルタ装置を例示したが、本発明に係るフィルタ装置は、受信のみを実行するフィルタ装置に適用されてもよく、また、送信のみを実行するフィルタ装置に適用されてもよい。
また、上記実施の形態1〜3におけるスイッチ回路およびスイッチは、例えば、GaAsもしくはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)からなるFET(Field Effect Transistor)スイッチ、または、ダイオードスイッチであり、例えばスイッチIC(Integrated Circuit)として構成される。なお、上記スイッチ回路およびスイッチは、半導体基板に形成された半導体スイッチに限らず、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)で構成された機械式スイッチであってもかまわない。
また、例えば、上記実施の形態に係るフィルタ装置、高周波フロントエンド回路および通信装置において、各構成要素の間に、さらに、インダクタおよびキャパシタなどの整合素子、ならびにスイッチ回路が接続されていてもかまわない。なお、インダクタには、各構成要素間を繋ぐ配線による配線インダクタが含まれてもよい。特に「AとBとが接続されている」とは、AとBとが直接接続されている場合のほか、AとBとが、スイッチ、インダクタおよびキャパシタなどの回路(素子)などを介して、間接的に接続されている場合を含む。