JP2019151530A - SiC単結晶の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 溶液法によりSiC単結晶を製造する方法として、結晶成長速度をより高速にすることが可能なSiC単結晶の製造方法を提供する。【解決手段】 本発明に係るSiC単結晶の製造方法は、カーボンからなるるつぼを使用し、溶液法によりSiC単結晶を成長させるSiC単結晶の製造方法であって、前記るつぼに、Siと、融液中にカーボンが溶解することを促進させる溶解促進材であるCrに加えて、添加材として遷移金属を供給してSiC単結晶を成長させることを特徴とする。添加する遷移金属としては、Sc、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Rh、Pdから選ばれるいずれか一つを使用することが有効である。【選択図】 図4

Description

本発明は溶液法を用いるSiC単結晶の製造方法に関する。
SiCは次世代のパワーデバイス用材料として注目されている。このSiCを電子デバイス用の材料として使用するためには高品質のSiCの単結晶を得る必要がある。単結晶の製造方法には様々あるが、溶液法(溶液引上げ法)は、高品質で大型の単結晶を効率的に製造する方法として有効である。しかしながら、SiCの単結晶の製造に溶液法を適用する場合に、SiCを出発材料とすると、SiCは常圧下で加熱した場合、2000℃で昇華してしまい、融液とならない。したがって、一般的な溶液法ではSiCの単結晶を作製することができない。
溶液法を利用してSiC単結晶を製造する方法として従来行われている手法は、カーボンからなるるつぼを使用し、るつぼに組成材料であるシリコン(Si)を供給し、Siを融解してSiC単結晶を製造する方法(TSSG法)である。この方法によれば、カーボンからなるるつぼから、Siの融液中に炭素(C)が溶け出してSi融液にCが供給され、SiCの単結晶を成長させることができる。
しかしながら、カーボンのるつぼからSi融液へ溶け出す炭素量は僅かであり(1500℃で0.01%以下、2050℃で約0.45%)、SiC単結晶の成長速度を向上させるには、Siの融液により多くのカーボンを溶解(溶出)させる必要がある。Siの融液に効率的に炭素を溶解する方法として考えられている方法が、炭素の溶出を促進させるCrやTi、Alといった金属を、Siの融液に加える方法である(特許文献1、2、3)。炭素の溶出を促進させる材料として、Cr、Ti、Al以外の材料も提案されている(特許文献4等)。
特開2000−264790号公報 特開2004−2173号公報 特開2008−303125号公報 特開2017−31034号公報
溶液法を利用してSiC単結晶を製造する際に、カーボンるつぼに、SiとともにSi融液中での炭素の溶解度を向上させるCr等の促進材を加える方法は、SiC単結晶をより高速で効率的に製造する方法として有効である。
本発明者は、溶液法を利用してSiC単結晶を成長させる方法として、Siに加えて種々の金属を供給してSiC単結晶を製造する実験を行い、複数種の異種の金属をカーボンを溶解させる促進材として利用することが有効であることを見出し、本発明を想到するに至ったものである。
すなわち、本発明は溶液法を利用して、より効率的にSiC単結晶を製造することを可能にするSiC単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るSiC単結晶の製造方法は、カーボンからなるるつぼを使用し、溶液法によりSiC単結晶を成長させるSiC単結晶の製造方法であって、前記るつぼに、Siと、融液中にカーボンが溶解することを促進させる溶解促進材であるCrに加えて、添加材として遷移金属を供給してSiC単結晶を成長させることを特徴とする。
るつぼにSiとともにCrを供給することにより、るつぼから融液中にカーボンが溶出することを促進させることができることは既に知られている。本発明はCrに加えて遷移金属を添加材として加えることで、単にCrを溶解促進材として加える場合と比較して、るるぼ内へのカーボンの溶解を促進させ、融液中の炭素濃度を高めることによってSiC単結晶をより高速で結晶成長させることを可能にする。
添加材として添加する遷移金属は、数at%程度添加するだけで、融液中の炭素濃度を向上させる作用効果がある。
前記添加材として供給する遷移金属としては、Sc、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Rh、Pdから選ばれるいずれか一つを使用することが有効である。これらの遷移金属を使用することがSiC単結晶の製造方法として有効である理由は、るつぼにSiとCrとこれらの添加材を加えることで、るつぼ内の融液中の炭素濃度がどのように変化するかを測定した実験結果に基づく。融液中の炭素濃度を測定する実験を行った結果、これらSc、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Rh、Pdから選ばれるいずれか一つを添加した結果、融液中の炭素濃度がいずれもSiとCrのみを使用した場合と比較して上回る結果が得られた。融液中の炭素濃度が増大する結果、SiC単結晶の成長速度が上昇する。
添加材を加えることでSiC単結晶の成長速度が上昇することについては、添加材を加えた場合と添加材を加えない場合について実際にSiC単結晶を成長させて確認した。
なお、実験によると、上記遷移金属のうちCoとMnを添加材として使用した場合には、SiC単結晶の成長速度が添加材を使用しない場合と比較して3倍程度にまで増大し、SiC単結晶の成長速度を増大させる方法としてとくに有効である。
また、添加材としてCoを使用した場合は、SiC単結晶の表面がステップフロー状となり、得られるSiC単結晶の結晶性がきわめて良好になる点においても有用である。
また、添加材としてのCoの添加量は、SiとCrを合わせた総量の分量比として数%程度(8at%以下)が好ましいと考えられる。
本発明に係るSiC単結晶の製造方法によれば、SiとCrに加えて、添加材として遷移金属を加えることにより、Siに溶解促進材としてCrを加えてSiC単結晶を製造する従来方法と比べて、SiC単結晶の結晶成長速度を上昇させことが可能であり、より効率的にSiC単結晶を製造する方法として提供することができる。
るつぼにSi0.56Cr0.4Sc0.04を供給して融液中に溶解した炭素濃度を測定した結果を示すグラフである。 るつぼにSi0.56Cr0.4Co0.04を供給して融液中に溶解した炭素濃度を測定した結果を示すグラフである。 るつぼにSi0.56Cr0.4Rh0.04を供給して融液中に溶解した炭素濃度を測定した結果を示すグラフである。 サンプル1〜12について、融液の温度が1800℃±のときにるつぼから溶解した炭素濃度を測定した結果を示すグラフである。 Si0.6Cr0.4を使用した場合にるつぼ中に溶出する炭素濃度と融液温度との関係を示す理論曲線とSi0.6Cr0.4についての測定値、及び1800℃におけるSi0.56Cr0.4Co0.04とSi0.56Cr0.4Mn0.04についての炭素濃度の測定値を示すグラフである。 SiC単結晶の製造に使用した製造装置の主要部の構成を示す断面図である。 SiC単結晶を製造する実験で設定したるつぼ温度の温度プロフィールを示すグラフである。 Si0.6Cr0.4、Si0.56Cr0.4Co0.04、Si0.56Cr0.4Mn0.04を使用して製造したSiC単結晶の外観写真である。 SiC単結晶の断面の顕微鏡像である。 3種のSiC単結晶の表面SEM像である。 3種のSiC単結晶について測定したラマンスペクトルである。 Si0.52Cr0.4Co0.08を原料として製造したSiC単結晶の外観写真である。
(融液中の炭素濃度測定試験)
本発明に係るSiC単結晶の製造方法においては、カーボン製のるつぼからSi融液中にカーボンを溶出させやすくする溶解促進材としてCrを使用し、さらに添加材を加えてSiC単結晶を成長させる。
溶解促進材としてのCrに加えて添加材を使用することにより、るつぼ内のSi融液中の炭素濃度(炭素溶解度)がどのように変化するかを調べるため、炭素濃度の評価用のカーボン製のるつぼを用意し、るつぼにSiとCrと添加材とを供給し、るつぼの昇温温度を1800℃としてるつぼ内の融液中に溶解した炭素濃度を測定する実験を行った。
なお、本明細書では、るつぼにSiの他にCrや遷移金属等のカーボンの溶解促進材を加えた場合も、るつぼ内の融液を「Si融液」もしくは単に「融液」と称する場合がある。
実験で使用したカーボンるつぼは、高さ10mm、るつぼの内径が6mmの有底の円筒状のものである。
融液中に溶解した炭素濃度の測定は以下の方法により行った。
るつぼの加熱には赤外線炉を利用した。炭素濃度を評価する対象物(サンプル)を供給したるつぼを赤外線炉にセットし、るつぼの昇温温度を1800℃に設定し、融液中に炭素を溶解させる。
具体的には加熱時間を5分、10分、15分等と変えながら、融液中の炭素濃度がどのように変化するか計測した。炭素濃度の計測には燃焼赤外吸収法を利用した。燃焼赤外吸収法を利用するため、所定の加熱時間経過後にるつぼを室温まで冷却して融液を固化させた後、大気中でるつぼを焼却し固化体を取り出し、その固化体について、燃焼赤外吸収法により炭素濃度を計測した。
表1に、炭素濃度の評価試験に使用した原料(サンプル)を示す。サンプル1はSi(0.6at%)とCr(0.4at%)を供給したもの、サンプル2〜12はSiとCrにさらに添加材としてSc、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Rh、Pdをそれぞれ添加したものである。サンプル2〜12は、Si(0.56at%)、Cr(0.4at%)、添加材の添加量を0.04at%としたものである。
図1、2、3は、サンプル2(Si0.56Cr0.4Sc0.04)、サンプル7(Si0.56Cr0.4Co0.04)、サンプル11(Si0.56Cr0.4Rh0.04)について、昇温温度を1800℃とし、時間経過ごと(5分ごと)にサンプルを取り出し、融液中に溶解した炭素濃度を測定した結果を示す。融液中の炭素濃度は、加熱時間が経過するとともに徐々に上昇し、飽和してくる。図1、2、3で融液中に溶解する炭素濃度が飽和した時点を破線で示した。この破線位置の炭素濃度をそれぞれのサンプルについて、1800℃±の融液中に溶解する炭素濃度とした。
図4は、サンプル1〜12について、融液の温度が1800℃のときの炭素濃度を棒グラフとして示したものである。図4でSi0.6Cr0.4とあるのは、添加材を加えていないサンプル1についての測定結果である。
図4に示す測定結果は、添加材としてAlを除くSc、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Rh、Pdのいずれかを加えたものについては、いずれも、添加材を加えていないサンプル1と比較して融液中における炭素濃度が増加することを示す。
なお、図4でCrについて示す棒グラフは、比較例としたSi0.6Cr0.4よりもCrの分量比を増加させたSi0.56Cr0.44とした組成での炭素濃度を示す。
Si融液中の炭素濃度を増加させることができれば、SiC単結晶の成長速度を高速化することが可能であり、図4に示す実験結果は、添加材としてSc、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Rh、Pdを加えることの有用性を示す。
なお、図4は、添加材としてCoとMnを加えたものが、とくに融液中の炭素濃度を増加させる作用が強く、溶液法を利用してSiC単結晶を高速で成長させる方法としてとくに有効であることを示唆する。
図5は、Si0.6Cr0.4を融液として使用した場合にカーボンるつぼ中に溶出するカーボンの濃度と融液温度との関係を示すグラフである。図5に示す曲線はSi0.6Cr0.4を融液とした場合の炭素濃度の理論値(理論曲線)を示す。Si0.6Cr0.4ついて各融液温度における炭素濃度の測定値が理論値がよく一致することが分かる。
図5に、1800℃におけるSi0.56Cr0.4Co0.04とSi0.56Cr0.4Mn0.04の融液のついて炭素濃度を測定した結果を、同一スケールで示した。図5は、添加材としてCoまたはMnを使用することにより、1800℃における融液中の炭素濃度がCrを加えた場合のみと比較して、顕著に増大することを示している。
(SiC単結晶の製造例)
図6にSiC単結晶の製造に使用した製造装置の主要部の構成を示す。このSiC単結晶の製造装置は、溶液法(溶液引上げ法)によりSiC単結晶を製造するもので、カーボンからなるるつぼ10と、SiCの種結晶20を支持する支持部12と、るつぼを支持する昇降支持部14とを備える。
るつぼ10は、昇降支持部14の上部に、開口部を上向きとして支持され、SiCの種結晶20は支持部12の下面に装着される。
昇降支持部14の周囲には発熱体16が配設されている。るつぼ10と発熱体16との相対的な高さは、昇降支持部14によりるつぼ20の高さ位置を調節することよってなされる。発熱体16にはカーボンヒータ、もしくは高周波コイルにより加熱されるサセプタが用いられる。
るつぼ20にはSiとカーボンの溶解を促進させるCrと添加材が供給され、結晶育成時には、るつぼ10がSiC単結晶を成長させる温度まで昇温され、るつぼ10に供給されたSi等は融液30となる。
上述したSiC単結晶の製造装置を使用し、表2に示す3種の原料を使用してSiC単結晶を製造する実験を行った。
表2ではSiC単結晶の製造に使用したそれぞれの原料の分量と、るつぼ内における融液のるつぼ内底面からの高さを示す。表2で上/下(rpm)とあるのは、種結晶を支持する支持部12とるつぼを支持する昇降支持部14を軸線の回りで回転する速度を示す。支持部12と昇降支持部14は、ともに軸線の回りに回転可能に支持されており、軸線の回りに相互に逆向きに回転駆動される。
図7は上記3種の原料を用いてSiC単結晶を製造する実験で設定したるつぼ温度の温度プロファイルを示す。この温度プロファイルでは、先ず室温から2.5時間で1100℃まで昇温させ、1100℃で4.5時間温度保持することによりベーキング(加熱乾燥)し、次いで2.5時間かけて1800℃まで徐々に昇温させ、1800℃で2時間温度保持してSiC単結晶を結晶成長させ、次いで、1.5時間かけてるつぼの温度を室温まで降温させた。
図8は上記方法によって作製したSiC単結晶の外観写真である。それぞれSi0.6Cr0.4を使用したもの、Si0.56Cr0.4Co0.04を使用したもの、Si0.56Cr0.4Mn0.04を使用したものである。いずれも、るつぼから結晶を取り出して、るつぼの底面側に相当する方向(種結晶とは反対側)から結晶を見たもので、Si0.6Cr0.4とSi0.56Cr0.4Co0.04を使用したものについては、結晶の底部にるつぼに残った原料が固化して結晶に付いている様子(白く丸く見える部位)が見える。
いずれの結晶も、10mm角程度の大きさの結晶に成長しており、SiCの結晶面が形成され、SiC単結晶として成長している。
図9は、上記方法によって得られたSiC単結晶の断面の顕微鏡像である。それぞれの顕微鏡像で透明に見える部位がSiC単結晶として成長した部位、不透明に見える部位が種結晶の部分である。この断面顕微鏡像からも、Si0.6Cr0.4、Si0.56Cr0.4Co0.04、Si0.56Cr0.4Mn0.04を使用することでSiC単結晶が製造されたことが分かる。
図9で、SiC単結晶として成長した部位の厚さを測定することにより、SiC単結晶の成長速度を求めることができる。図9(a)、(b)、(c)の各図に、SiC単結晶の成長速度をそれぞれ示した。
3種のうちではMnを添加材として使用したSi0.56Cr0.4Mn0.04の場合が最も結晶成長速度が速く164μm/hとなった。Coを添加材として使用したSi0.56Cr0.4Co0.04の場合の結晶成長速度は148μm/hとなった。一方、添加材を加えていないSi0.6Cr0.4を使用したものでは結晶成長速度が45μm/hであり、CoとMnを添加材として加えたものと比較して、大幅に結晶成長速度が低くなっている。
このような結晶速度の差は、融液中における炭素濃度(炭素溶解度)が、添加材としてCoまたはMnを加えることにより、添加材を加えない場合と比較して増大したことに起因するものと考えられる。
前述した融液中の炭素濃度を測定した実験によれば、添加材としてSc、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Rh、Pdを加えることにより、添加材を加えない場合と比較して、融液中の炭素濃度が増大することが得られている。したがって、CoまたはMb以外にこれらの添加材(Sc、Ti、V、Fe、Ni、Cu、Rh、Pd)を加えることによってもSiC単結晶の成長速度を高速化すること、すなわち溶液法を利用してより効率的にSiC単結晶を製造することが可能になる。
図10は上記3種の原料を用いて製造したSiC単結晶の表面SEM像である。この表面SEM像を観察することにより、結晶表面の状態から結晶が安定的に成長しているか否かを判断することができる。
図10でSi0.56Cr0.4Co0.04の表面状態と、他のSi0.6Cr0.4とSi0.56Cr0.4Mn0.04の表面状態とを比較すると、Coを添加したものでは、結晶表面が細かなステップ状(段差状)の縞状に形成されている(Step-flow状)いるが、Si0.6Cr0.4とSi0.56Cr0.4Mn0.04の結晶表面には比較的大きな段差面が見られ、いわゆるStep-flow状の形態が見られない。
溶液法によって得られる結晶の表面に見られるStep-flow状の形態は、結晶が安定的に成長していることを示すもので、欠陥等がない結晶性の良い結晶成長がなされていることを示す。
図10は、添加材としてCoを使用することにより、きわめて結晶性の良いSiC単結晶を得ることができることを示している。
図11(a)はSi0.6Cr0.4を原料、図11(b)はSi0.56Cr0.4Co0.04を原料、図11(c)はSi0.56Cr0.4Mn0.04を原料としてそれぞれ作成したSiC単結晶のラマンスペクトルを示す。それぞれの図で最下位置のスペクトルがSiC単結晶の製造に使用した種結晶についてのスペクトル、その上の3本のスペクトルは、作成した結晶で任意の3点を選んで測定したスペクトルである。
種結晶のラマンスペクトルで210cm-1、770cm-1に見られるピークはSiC単結晶に特徴的なピークであり、これらのピーク位置と、上記3種の原料を用いて作製した結晶についてのピーク位置とが完全に一致することから、Si0.6Cr0.4、Si0.56Cr0.4Co0.04、Si0.56Cr0.4Mn0.04を原料として得られた結晶はいずれもSiC単結晶として得られていることが分かる。
(SiC単結晶の他の製造例)
上述したSiC単結晶の製造例は、Si0.56Cr0.4Co0.04を原料としてSiC単結晶を製造した例である。以下では、添加材として使用したCoの分量を増やした原料を使用してSiC単結晶を製造した例について説明する。
この実験では、Coの分量比を0.08at%としたSi0.52Cr0.4Co0.08を原料として使用した。SiC単結晶の製造に使用した製造装置及びSiC単結晶を製造するためのるつぼの温度プロフィールも上記例と同様である。
図12は、Si0.52Cr0.4Co0.08を用いて製造したSiC単結晶の外観写真である。図12(a)は、るつぼから取り出したSiC単結晶を底部側から見た状態を示す。るつぼから取り出した結晶は、るつぼ内の融液が固化して結晶の外面に付着した状態となっていた。この実験結果は、結晶と融液との濡れ性が良く、結晶の外面に融液が這い上がりやすくなったことを示す。結晶の外面に融液が這い上がりやすくなることは、結晶の結晶性については必ずしも好ましい状態ではない。
図12(b)は、SiC単結晶の外面に、固化して付着している固化物(原料)を、酸を用いて溶解して除去した状態を示す。結晶の外面に付着していた固化物が除去されSiC単結晶の外面が見えている。
図12(b)に示す例について、前述した実験例と同様に、サンプルの断面SEM像から、SiC単結晶として成長した膜厚を測定し、SiC単結晶の成長速度を計算したところ、成長速度が141.5μm/hとなった。この成長速度は、Si0.56Cr0.4Co0.04を原料として使用した場合の成長速度148μm/hと比較すると、やや劣るものの、添加材を加えないSi0.6Cr0.4を使用した場合の成長速度45μm/hを大きく上回っている。
本実験結果は、添加材としてCoを加えてSiC単結晶を製造する際に、Coの分量比をやや大きくしても結晶成長速度を増大させる作用は維持される一方、結晶成長速度が分量比を大きくすることでより高速になることはないこと、また、Coの分量比を大きくすると、SiC単結晶の表面が粗くなり、結晶性を阻害するおそれがあるという傾向を示すと考えられる。これらの結果から、添加材としてCoを使用する場合に、Coの分量比としては0.08at%以下程度に設定することが好ましいと考えられる。
10 るつぼ
12 支持部
14 昇降支持部
16 発熱体
20 種結晶
30 融液

Claims (5)

  1. カーボンからなるるつぼを使用し、溶液法によりSiC単結晶を成長させるSiC単結晶の製造方法であって、
    前記るつぼに、Siと、融液中にカーボンが溶解することを促進させる溶解促進材であるCrに加えて、添加材として遷移金属を供給してSiC単結晶を成長させることを特徴とするSiC単結晶の製造方法。
  2. 前記添加材として、Sc、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Rh、Pdから選ばれるいずれか一つを使用することを特徴とする請求項1記載のSiC単結晶の製造方法。
  3. 前記添加材として、Coを使用することを特徴とする請求項2記載のSiC単結晶の製造方法。
  4. 前記添加材として、Mnを使用することを特徴とする請求項2記載のSiC単結晶の製造方法。
  5. 前記添加材として加えるCoの添加量を、るつぼに供給する材料の総量の8at%以下の分量比に設定することを特徴とする請求項3記載のSiC単結晶の製造方法。





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