JP2019150439A - ガイドワイヤ - Google Patents

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Takayuki Matsuda
貴之 松田
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Abstract

【課題】リシェイプの簡便性および先端部の柔軟性を確保しつつ、優れたトルク伝達性を備えるガイドワイヤを提供する。【解決手段】ガイドワイヤ100は、向かい合う一対の面114、115を備える板状部111aを、先端部に備える長尺状のコア部材110と、板状部の一対の面の少なくとも一方の面に設けられるとともに、板状部のねじれを抑制するねじれ抑制部120と、板状部の一対の面の少なくとも一方の面に設けられるとともに、コア部材の長軸方向Xにコア部材を圧縮する外力Fが付加された状態において、板状部の屈曲を誘導する屈曲誘導部130と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、ガイドワイヤに関する。
ガイドワイヤは、外科的手術が困難な部位の診断・治療、または人体への低侵襲を目的とした診断・治療などに用いられるカテーテルを目的部位へ導入、誘導するのに使用されている。
例えば、一般的なPCI(Percutaneous Coronary Intervention:経皮的冠状動脈インターベンション)では、術者は、先行するガイドワイヤに沿わせてバルーンカテーテルのバルーンを冠状動脈内に生じた狭窄部に配置する。そして、術者は、バルーンを拡張させることで、狭窄部を押し広げ、狭窄部よりも末梢側の血流を改善する。
ガイドワイヤが血管等の生体管腔の分岐部のうち適正な分枝を選択できるように、術者は、ガイドワイヤの先端部を分岐部の形状に合わせた形状に形状付けをする(リシェイプする)ことがある。そのため、ガイドワイヤの先端部は簡便にリシェイプできることが好ましい。また、ガイドワイヤの先端部は、血管壁等に接触した際に血管壁等が損傷するのを防ぐ観点等から柔軟であることが好ましい。
例えば、下記特許文献1には、コアシャフトの先端部が平板状に形成されたガイドワイヤが開示されている。このようなガイドワイヤによれば、術者は、コアシャフトの平板状の部分を曲げる際、ガイドワイヤの先端部の曲げの方向を容易に把握することができる。そのため、ガイドワイヤのリシェイプを簡便に行うことができる。また、コアシャフトの平板状の先端部は柔軟であるため、このようなガイドワイヤは、血管壁等に接触した際に柔軟性を発揮し、血管壁等が損傷するのを防ぐことができる。
特開2015−109896号公報
しかしながら、このようなガイドワイヤでは、平板状の先端部が柔軟であるため、術者がガイドワイヤの基端部を回転させた場合に、先端部に設けられた板状部がねじれてしまい、ガイドワイヤの先端部に基端側からの回転力が十分に伝達されない。すなわち、このようなガイドワイヤでは、十分なトルク伝達性を得ることができない。
そこで、本発明の目的は、リシェイプの簡便性および先端部の柔軟性を確保しつつ、優れたトルク伝達性を備えるガイドワイヤを提供することにある。
上記目的を達成する本発明に係るガイドワイヤは、向かい合う一対の面を備える板状部を、先端部に備える長尺状のコア部材と、前記板状部の一対の面の少なくとも一方の面に設けられるとともに、前記板状部のねじれを抑制するねじれ抑制部と、前記板状部の一対の面の少なくとも一方の面に設けられるとともに、前記コア部材の長軸方向に前記コア部材を圧縮する外力が付加された状態において前記板状部の屈曲を誘導する屈曲誘導部と、を有する。
本発明に係るガイドワイヤによれば、術者は、板状部を折り曲げる際、ガイドワイヤの先端部の曲げの方向を容易に把握することができる。そのため、術者は、ガイドワイヤの先端部を所望の形状に簡便にリシェイプできる。また、本発明に係るガイドワイヤによれば、術者がガイドワイヤの基端部を回転させた際に、基端側からの回転力によって板状部がねじれるのをねじれ抑制部によって抑制できる。そのため、本発明に係るガイドワイヤは、優れたトルク伝達性を有する。また、本発明に係るガイドワイヤによれば、ガイドワイヤの先端部が生体管腔の内壁等に突き当てられた際に、屈曲誘導部によって板状部は屈曲し、柔軟性を発揮する。このように、本発明によれば、リシェイプの簡便性および先端部の柔軟性を確保しつつ、優れたトルク伝達性を備えるガイドワイヤを提供することができる。
本発明の第1実施形態に係るガイドワイヤを示す部分断面図である。 本発明の第1実施形態に係るガイドワイヤの備える板状部、ねじれ抑制部および屈曲誘導部を示す斜視図である。 図2Aの矢印2B方向からの矢視図である。 本発明の第1実施形態に係るガイドワイヤの屈曲前の様子を示す部分断面図である。 本発明の第1実施形態に係るガイドワイヤの板状部が屈曲した様子を示す部分断面図である。 ねじれ抑制部の変形例を示す図である。 ねじれ抑制部の変形例を示す図である。 ねじれ抑制部の変形例を示す図である。 ねじれ抑制部の変形例を示す図である。 屈曲誘導部の変形例を示す図である。 屈曲誘導部の変形例を示す図である。 屈曲誘導部の変形例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係るガイドワイヤの先端部を示す部分断面図である。 本発明の第2実施形態に係るガイドワイヤの先端部が、屈曲した様子を示す部分断面図である。 本発明の第2実施形態に係るガイドワイヤの先端部が、図7Aの状態からさらに屈曲した様子を示す部分断面図である。
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係るガイドワイヤ100の全体構成を示す図である。図2A〜図3Bは、本実施形態に係るガイドワイヤ100の各部の説明に供する図である。
ガイドワイヤ100は、図1を参照して概説すると、板状部111aを備える長尺状のコア部材110と、板状部111aに設けられる複数のねじれ抑制部120と、板状部111aに設けられる複数の屈曲誘導部130と、板状部111aを覆うように巻回されたコイル140と、を有している。また、ガイドワイヤ100の外表面には、被覆層150が設けられている。以下、ガイドワイヤ100の各部について詳述する。
なお、本明細書において、リシェイプ前や外力が付加されて屈曲する前の直線状のコア部材110が延びる方向を「長軸方向X」と定義し、長軸方向Xと直交する方向を「厚み方向Y」と定義し、長軸方向Xおよび厚み方向Yと直交する方向を「幅方向Z」と定義する。また、長軸方向Xにおいて、生体管腔に挿入される側(図1の左側)を「先端側」と定義し、手元側(図1の右側)を「基端側」と定義する。また、ガイドワイヤ100およびガイドワイヤ100の各構成要素において、先端(最先端)から長軸方向Xにおける一定の範囲を含む部分を「先端部」と定義し、基端(最基端)から長軸方向Xにおける一定の範囲を含む部分を「基端部」と定義する。
(コア部材)
コア部材110は、長軸方向Xの先端側に配置された第1コア部111と、第1コア部111の基端側に配置され、第1コア部111に接合された第2コア部112と、を備えている。以下、コア部材110の各部について詳述する。
まず、第1コア部111について説明する。
第1コア部111は、本実施形態では、図1に示すように、先端側に配置された板状部111aと、板状部111aから基端側へ延びる移行部111bと、移行部111bから基端側へ略一定の外径で延びる第1外径一定部111cと、第1外径一定部111cから基端側へ延びる第1テーパ部111dと、第1テーパ部111dから基端側へ略一定の外径で延びる第2外径一定部111eと、第2外径一定部111eから基端側へ延びる第2テーパ部111fと、第2テーパ部111fから基端側へ略一定の外径で延びる第3外径一定部111gと、を備えている。術者は、板状部111aを折り曲げる際、ガイドワイヤ100の先端部の曲げの方向を容易に把握することができる。そのため、術者は、ガイドワイヤ100の先端部を所望の形状に簡便にリシェイプできる。これによって、ガイドワイヤ100を生体管腔内に挿入した際の操作性が格段に向上する。なお、第1コア部111の形状は、先端部に板状部111aを備える限り特に限定されない。例えば、第1コア部111において移行部111bよりも基端側の部分は、長軸方向Xに一定の外形形状(一定の外径)で形成されていてもよい。
板状部111aは、図2Aに示すように、矩形状に形成されており、厚み方向Yに向かい合う一対の主面114、115と、一対の主面114、115の間に位置する複数の側面116と、を備えている。ただし、板状部111aの形状は、向かい合う一対の面を備える限り特に限定されない。例えば、板状部111aは、矩形状に形成されておらず、先端が丸みを帯びた形状であってもよい。
板状部111aは、本実施形態では、板状部111aの幅L1(幅方向Zに沿う長さ)が板状部111aの厚みL2(厚み方向Yに沿う長さ)よりも大きくなるように構成している。そのため、術者は、ガイドワイヤ100の先端部をリシェイプする際に、ガイドワイヤ100の先端部を厚み方向Yに容易に変形させることができる。ただし、板状部111aの幅L1と厚みL2は同じ長さであってもよい。
板状部111aの幅L1(図2A参照)の値は、後述するコイル140の内部空間S(図1参照)に板状部111aが収まる程度のものであれば特に限定されないが、十分な柔軟性と適度な強度を確保する上で、0.05〜0.3mm程度とするのが好ましい。なお、板状部111aの幅L1は、長軸方向Xに沿って一定でなくてもよい。
板状部111aの厚みL2(図2A参照)の値は、特に限定されないが、十分な柔軟性と適度な強度を確保する上で、0.01〜0.06mm程度とするのが好ましく、0.02〜0.04mm程度とするのがより好ましい。なお、板状部111aの厚みL2は、長軸方向Xに沿って一定でなくてもよい。
板状部111aの長軸方向Xに沿う長さL3(図2B参照)の値は、特に限定されないが、例えば、2〜30mm程度にできる。
次に、第2コア部112について説明する。
第2コア部112は、図1に示すように、第1コア部111の第3外径一定部111gの基端部に接続部113を介して接続されている。第1コア部111と第2コア部112は、特に限定されないが、例えば、溶接、ろう付け等の方法によって接続することができる。なお、コア部材110は、第1コア部111および第2コア部112のように複数の部材から構成せずに、一本の連続した部材で構成してもよい。
第1コア部111および第2コア部112の構成材料は特に限定されないが、それぞれ、例えば、Ni−Ti系合金等の超弾性合金、ステンレス鋼やコバルト系合金等を用いることができる。第1コア部111は、上記の中でも特に超弾性合金によって構成されていることが好ましい。第2コア部112は、上記の中でも特にステンレス鋼によって構成されていることが好ましい。超弾性合金は、復元性がある。そのため、板状部111aを超弾性合金で構成することによって、後述するように、板状部111aは、長軸方向Xにコア部材110を圧縮する外力Fが付加された状態において屈曲する(図3B参照)一方、
外力Fが解除された状態では、元の形状に復元し得る(図3A参照)。そのため、板状部111aは、再び長軸方向Xにコア部材110を圧縮する外力Fが付加された場合、再度屈曲し、柔軟性を発揮できる。ただし、板状部111aは、外力Fが解除された状態で元の形状に復元しなくてもよい。
(ねじれ抑制部)
各ねじれ抑制部120は、図2Aに示すように、長軸方向X周りの回転力Mがコア部材110に付加された際に板状部111aがねじれるのを抑制する。すなわち、各ねじれ抑制部120は、板状部111aにねじり剛性を付与する剛性付与部として機能する。そのため、ガイドワイヤ100の基端部を術者が回転させた際に、基端側からの回転力によって板状部111aがねじれるのを抑制できる。したがって、ガイドワイヤ100は、優れたトルク伝達性を有する。また、板状部111aに回転力Mが付加されることによって板状部111aにねじれが蓄積され、回転力Mが解除された瞬間に板状部111aのねじれが一気に解消することによって、ガイドワイヤ100の先端部が生体管腔の内壁に勢いよく接触する(whip)のを抑制できる。
各ねじれ抑制部120は、本実施形態では、板状部111aとは別体で構成された第1の線材121および第2の線材122(2本の長尺状の棒状部材)を備えている。各ねじれ抑制部120を構成する第1の線材121および第2の線材122は、同一面に設けられている。各ねじれ抑制部120を構成する第1の線材121および第2の線材122は、図2Bに示すように、向かい合う一対の主面114、115を平面視した際に互いに交差する。なお、本明細書において、「一対の主面114、115を平面視」とは、平面に各要素を投影することを意味する。そのため、「一対の主面114、115を平面視した際に互いに交差する」とは、投影平面において要素同士が交差していることを意味し、要素同士は必ずしも同一平面上に設けられていなくてもよい。このように、各ねじれ抑制部120を構成する第1の線材121および第2の線材122は平面視において互いに交差するため、術者がコア部材110の基端部を回転させた際の回転方向に依らず、板状部111aのねじれを抑制できる。以下、向かい合う一対の主面114、115を平面視することを単に「平面視」と言う。
各ねじれ抑制部120において、図2Aに示すように、一方の線材は他方の線材に乗り上がるように設けられている。第1の線材121および第2の線材122は、一方の線材が他方の線材に乗り上がっている部分を除き、全長に亘って板状部111aに固定されている。このように第1の線材121および第2の線材122は板状部111aと一体となっているため、板状部111aのねじれを好適に抑制することができる。また、このように第1の線材121および第2の線材122は板状部111aと一体となっているため、後述するように板状部111aが屈曲した際、第1の線材121および第2の線材122は、板状部111aの変形に追従して変形できる。そのため、板状部111aが屈曲した状態でも、ねじれ抑制部120は、板状部111aのねじれを好適に抑制できる。なお、第1の線材121および第2の線材122のそれぞれを板状部111aに対して固定する方法は特に限定されないが、接着、溶接、ろう付け等の方法が挙げられる。また、第1の線材121および第2の線材122は、全長に亘って板状部111aに固定するのではなく、部分的に板状部111aに固定されていてもよい。
各ねじれ抑制部120を構成する第1の線材121と第2の線材122の成す角度θの値は、板状部111aのねじれを抑制する上で、10〜170度であることが好ましく、90度であることがより好ましい。なお、角度θは、ねじれ抑制部120ごとに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
第1の線材121および第2の線材122のそれぞれは、本実施形態では、円形の横断面を備える。第1の線材121および第2の線材122のそれぞれの径は、特に限定されないが、例えば、0.03〜0.10mmとできる。第1の線材121の径と第2の線材122の径は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、第1の線材121および第2の線材122の横断面は、円形状に限定されず、例えば楕円形状、四角形、半円形状等であってもよい。
第1の線材121および第2の線材122のそれぞれの全長L4(図2B参照)の値は、板状部111aのねじれを抑制可能である限り特に限定されないが、例えば、0.05〜3.45mm、好ましくは0.07〜0.43mm程度とできる。第1の線材121の長さと第2の線材122の全長L4は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
ガイドワイヤ100は、本実施形態では、図2Bに示すように、4つのねじれ抑制部120(先端側から基端側に向かって順に、第1ねじれ抑制部120a、第2ねじれ抑制部120b、第3ねじれ抑制部120c、および、第4ねじれ抑制部120d)を備えている。ただし、ねじれ抑制部120の数は、1以上である限り特に限定されない。
第1ねじれ抑制部120aは、図1に示すように、後述する第1固定部161の基端に接触するように配置している。そのため、第1ねじれ抑制部120aは、板状部111aにおいて第1固定部161から露出する部分の先端付近の板状部111aのねじり剛性を高めることができる。また、第1ねじれ抑制部120aは、板状部111aの第1固定部161に埋没している部分と第1固定部161から露出する部分に跨って配置されていない。そのため、図3Bに示すように、板状部111aは、板状部111aの第1固定部161に埋没している部分と第1固定部161から露出する部分の境界Pにおいて、容易に屈曲できる。これによって、板状部111aは、複数の屈曲誘導部130において容易に屈曲できる。ただし、第1ねじれ抑制部120aを設ける位置は、特に限定されない。例えば、第1ねじれ抑制部120aは、第1固定部161の基端から離間していてもよい。また、例えば、第1ねじれ抑制部120aは、板状部111aにおいて第1固定部161に埋没している部分と第1固定部161から露出する部分に跨って配置されていてもよい。
複数のねじれ抑制部120は、図2Bに示すように、本実施形態では、平面視において、長軸方向Xに互いに離間するように配置している。そのため、複数のねじれ抑制部120の間に、後述する屈曲誘導部130を配置することができる。ただし、各ねじれ抑制部120は、長軸方向Xにおいて接触していてもよい。
複数のねじれ抑制部120は、図2Aおよび図2Bに示すように、長軸方向Xにおいて、一対の主面114、115に交互に設けられている。本実施形態では、第1ねじれ抑制部120aおよび第3ねじれ抑制部120cは、図2Aの上側の主面114に設けられている。第2ねじれ抑制部120bおよび第4ねじれ抑制部120dは、図2Aの下側の主面115に設けられている。そのため、板状部111aが屈曲した際に、各屈曲誘導部130が、平面視において長軸方向Xに隣り合う2つのねじれ抑制部120のうちいずれか一方のねじれ抑制部に干渉するのを抑制できる。
複数のねじれ抑制部120は、本実施形態では、長軸方向Xに略等間隔で設けられている。ただし、複数のねじれ抑制部120は、等間隔に設けられていなくてもよい。
第1の線材121および第2の線材122の構成材料は、特に限定されないが、例えば、Ni−Ti系合金等の超弾性合金、ステンレス鋼やコバルト系合金等を用いることができる。ただし、ねじれ抑制部120の構成材料は、板状部111aのねじりを抑制する上で、板状部111aよりも剛性の高い材料であることが好ましい。例えば、第1コア部111をNi−Ti系合金で構成している場合、第1の線材121および第2の線材は、Ni−Ti系合金よりも剛性が高いステンレス鋼によって構成できる。なお、第1の線材121および第2の線材122は、板状部111aよりも剛性の低い材料によって構成されていてもよいし、板状部111aと同じ材料で構成されていてもよい。また、第1の線材121と第2の線材122は、互いに異なる材料で構成されていてもよい。
(屈曲誘導部)
各屈曲誘導部130は、図3Bに示すように、長軸方向Xにコア部材110を圧縮する外力Fが付加された状態において、板状部111aの屈曲を誘導する。そのため、例えば、ガイドワイヤ100の先端部が生体管腔の内壁等に突き当てられた場合、板状部111aは屈曲して柔軟性を発揮する。そのため、生体管腔の内壁等が損傷するのを防止できる。
各屈曲誘導部130は、図2Aおよび図2Bに示すように、長軸方向Xと交差する方向(本実施形態では幅方向Z)に延びる線材131(長尺状の棒状部材)によって構成している。線材131は、図3Bに示すように、長軸方向Xにコア部材110を圧縮する方向の外力Fが付加された状態で、板状部111aが線材131の周面に沿うように板状部111aの屈曲を誘導する。このように、線材131によって、板状部111aの屈曲方向(本実施形態では厚み方向Y)を規定できる。
線材131は、本実施形態では、円形の横断面を備える。各線材131の径は、特に限定されないが、例えば、0.03〜0.10mm程度とできる、ただし、線材131の横断面の形状は、特に限定されず、例えば楕円形状、四角形、半円形状等であってもよい。
各線材131は、全長に亘って板状部111aに固定されている。そのため、板状部111aは、線材131の周面に沿うように容易に屈曲できる。線材131を板状部111aに対して固定する方法は特に限定されないが、接着、溶接、ろう付け等の方法が挙げられる。ただし、各線材131は、板状部111aに部分的に固定されていてもよい。
各線材131の全長L5(図2B参照)は、特に限定されないが、板状部111aの幅L1と同じ長さであることが好ましく、例えば、0.05〜0.3mm程度とできる。
ガイドワイヤ100は、図2Aおよび図2Bに示すように、本実施形態では、4つの屈曲誘導部130(先端側から基端側に向かって順に、第1屈曲誘導部130a、第2屈曲誘導部130b、第3屈曲誘導部130c、および、第4屈曲誘導部130d)を備えている。ただし、屈曲誘導部130の数は、1以上である限り特に限定されない。なお、屈曲誘導部130の数が多いほど、ガイドワイヤ100の先端部の柔軟性を向上させることができる。
第1屈曲誘導部130a〜第3屈曲誘導部130cは、図2Bに示すように、平面視において、複数のねじれ抑制部120の間に配置している。第4屈曲誘導部130dは、平面視において、第4ねじれ抑制部120dと移行部111bの間に配置されている。このように、複数のねじれ抑制部120と屈曲誘導部130は、長軸方向Xにおいて交互に配置されている。したがって、本実施形態では、屈曲誘導部130とねじれ抑制部120は、平面視において長軸方向Xに隣接している。このように、ねじれ抑制部120および屈曲誘導部130が偏在するのを抑制することによって、効率的に板状部111a全体のねじりの抑制と柔軟性を両立させることができる。なお、全てのねじれ抑制部120と屈曲誘導部130が交互に配置されていなくてもよい。
各屈曲誘導部130は、平面視において隣接するねじれ抑制部120との間に隙間を備えるように配置されている。また、第4屈曲誘導部130dは、移行部111bとの間に隙間を備えるように配置されている。隙間の幅gは、特に限定されないが、ねじれ抑制部120が板状部111aの屈曲を阻害しない範囲、かつ、十分なトルク伝達性を確保できる程度に板状部111aのねじれを抑制可能な範囲であることが好ましい。なお、図2Bでは、各屈曲誘導部130は、ねじれ抑制部120との間に線材131一本分の隙間を備えるように配置されている。ただし、各屈曲誘導部130は、平面視において、隣接するねじれ抑制部120に接触するように配置されていてもよい。
複数の屈曲誘導部130は、長軸方向Xにおいて、向かい合う一対の主面114、115に交互に設けられている。本実施形態では、第1屈曲誘導部130aおよび第3屈曲誘導部130cは、図2Aの上側の主面114に設けられている。第2屈曲誘導部130bおよび第4屈曲誘導部130dは、図2Aの下側の主面115に設けられている。そのため、図3Bに示すように、長軸方向Xにコア部材110を圧縮する外力Fが加わった状態において、板状部111aは全体として波状に変形する。そのため、ガイドワイヤ100の先端部は、進行方向を変えることなく、柔軟性を発揮できる。
線材131の構成材料は、特に限定されないが、例えば、Ni−Ti系合金等の超弾性合金、ステンレス鋼やコバルト系合金等を用いることができる。
(コイル)
コイル140は、図1に示すように、円形の横断面を備える線材によって構成されている。コイル140は、第1コア部111を中心として第1コア部111の先端部を覆うように、螺旋状に巻回されている。ガイドワイヤ100の先端部にコイル140を設けることにより、ガイドワイヤ100の先端部と生体管腔の内壁等の接触面積を少なくし、ガイドワイヤ100と生体管腔の内壁等との間の摺動抵抗を低減させることができる。なお、図1では、コイル140は、1本の線材を螺旋状に巻回することによって構成しているが、コイル140は、複数の線材を螺旋状に巻回することによって構成してもよい。また、線材の径は、コイル140の全長に渡って同一でもよいし、異なってもよい。例えば、コイル140の先端側においては、コイル140の基端側に比べ線材の径が小さく(または大きく)なっていてもよい。
コイル140は、内方に、第1コア部111の先端部を収容可能な円柱状の内部空間Sを形成する。なお、コイル140は、本実施形態では、長軸方向Xに沿って略一定の巻き径を備えるが、コイル140の巻き径は、長軸方向Xに沿って一定でなくてもよい。
コイル140は、図3Aに示すように、全長に亘って、コア部材110の長軸方向Xに隣り合う部分140a、140b、140c同士が離間するように巻回されている。そのため、図3Bに示すように、板状部111aが屈曲した際、長軸方向Xに隣り合う部分140a、140b、140cは互いに接近し、板状部111aの変形を許容する。なお、コイル140は、少なくとも一部が長軸方向Xに隣り合う部分140a、140b、140c同士が離間するように巻回されていればよい。例えば、コイル140は、コア部材110の長軸方向Xに隣り合う部分が離間する部分(所謂疎巻きの部分)と、コア部材110の長軸方向Xに隣り合う部分同士が接触する部分(所謂密巻きの部分)と、の両方を備えていてもよい。
コイル140は、本実施形態では、図1に示すように、板状部111aから第2外径一定部111eの一部までを覆っている。ただし、コイル140がコア部材110を覆う範囲は特に限定されない。例えば、コイル140は、板状部111a、移行部111b、第1外径一定部111c、第1テーパ部111dおよび第2外径一定部111eのうちの一部を覆ってもよい。
コイル140の構成材料は、特に限定されないが、例えば、金、白金、タングステン、タンタル等の金属、およびこれらを含む合金等の放射線不透過性(X線不透過性)の材料、または、Ni−Ti系合金などの超弾性合金、ステンレス鋼やコバルト系合金等の放射線透過性の材料を用いることができる。なお、コイル140は、2種以上の材料を組み合わせたものでもよい。例えば、コイル140の先端側を放射線不透過性の材料によって構成し、コイル140の基端側を放射線透過性材料によって構成してもよい。
コイル140は、図1に示すように、固定部材160を介してコア部材110に固定されている。
固定部材160は、コイル140の先端部を第1コア部111に対して固定する第1固定部161と、コイル140の基端部を第1コア部111に対して固定する第2固定部162と、を備えている。
各固定部161、162は、例えば、半田、ろう材、接着剤等により構成することができる。第1固定部161の先端部は、生体管腔の内壁等と接触した場合の生体管腔の内壁等への影響を考慮して、図示するような丸みを帯びた形状であることが好ましい。
なお、本実施形態では、コイル140は、一本の螺旋状の線材によって構成している。ただし、前述したように、コイル140は、互いに異なる材料によって構成された複数の螺旋状の線材を、長軸方向Xに並べることによって構成してもよい。この場合、長軸方向Xに隣り合う線材において、先端側の線材の基端部と基端側の線材の先端部とは、中間固定部を介して互いに、および、コア部材110に固定されていてもよい。中間固定部は、上記の固定部161、162と同様に、例えば、半田、ろう材、接着剤等により構成することができる。
(被覆層)
被覆層150は、ガイドワイヤ100の外表面の先端部を覆う先端被覆層151と、ガイドワイヤ100の外表面の基端部を覆う基端被覆層152と、を備えている。
先端被覆層151は、本実施形態では、第1固定部161から第2固定部162までのガイドワイヤ100の外表面を覆う。ただし、先端被覆層151を設ける領域は、特に限定されない。
先端被覆層151は、例えば、ガイドワイヤ100を生体管腔に挿入する際の安全性の向上を目的として、親水性材料によって構成できる。そのような材料としては、特に限定されないが、例えば、セルロース系高分子物質、ポリエチレンオキサイド系高分子物質、無水マレイン酸系高分子物質(例えば、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体のような無水マレイン酸共重合体)、アクリルアミド系高分子物質(例えば、ポリアクリルアミド、グリシジルメタクリレート−ジメチルアクリルアミドのブロック共重合体)、水溶性ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
基端被覆層152は、本実施形態では、第2テーパ部111fから第2コア部112の基端までのガイドワイヤ100の外表面を覆う。ただし、基端被覆層152を設ける領域は、特に限定されない。
基端被覆層152は、例えば、ガイドワイヤ100のカテーテルの内壁との摩擦(摺動抵抗)を低減し得る材料によって構成することができる。そのような材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(PET、PBT等)、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、ETFE等)、またはこれらの複合材料が挙げられる。
なお、被覆層150は、ガイドワイヤ100の外表面の全体を覆ってもよい。また、被覆層150は、その全体が同一の材料で構成されていてもよい。また、被覆層150の各部の構成材料は上記に限定されない。例えば、被覆層150は、上記の他に、ガイドワイヤ100を生体管腔に挿入する際の安全性の向上を目的として柔軟性に富む材料で構成してもよい。そのような材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(PET、PBT等)、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、シリコーン樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー等の熱可塑性エラストマー、ラテックスゴム、シリコーンゴム等の各種ゴム材料、またはこれらのうちに2以上を組み合わせた複合材料が挙げられる。
(使用方法)
次に、本実施形態に係るガイドワイヤ100の使用方法を、血管内に生じた狭窄部(図示省略)に関する手技を例に説明する。
術者は、ガイドワイヤ100を生体内に挿入するのに先立って、ガイドワイヤ100の先端部をリシェイプする。ガイドワイヤ100は、板状部111aを備えるため、術者は、板状部111aを折り曲げる際、ガイドワイヤ100の先端部の曲げの方向を容易に把握することができる。そのため、術者は、ガイドワイヤ100を所望の形状に簡便にリシェイプできる。
次に、術者は、イントロデューサ(図示省略)およびガイディングカテーテル(図示省略)を介して、ガイドワイヤ100を先行させながら、画像診断用カテーテルやバルーンカテーテル等の診断・治療用のカテーテル(図示省略)を狭窄部に配置する。ガイドワイヤ100が血管内を移動する際、仮にガイドワイヤ100の先端部が血管壁に接触したとしても、ガイドワイヤ100は、屈曲誘導部130によって板状部111aが屈曲し、柔軟性を発揮する。そのため、ガイドワイヤ100は、血管壁が損傷するのを防止できる。また、ガイドワイヤ100を狭窄部に送達するまでの血管の経路に分岐部があった場合、術者はガイドワイヤ100の基端側を回転させて、ガイドワイヤ100の先端部を適切な分枝に挿入させる。この際、ガイドワイヤ100は、ねじれ抑制部120によって板状部111aのねじりを抑制できるため、基端側の回転力が先端側に十分に伝わる。そのため、術者は、容易にガイドワイヤ100の先端部を適切な分枝に挿入させることができる。
次に、術者は、診断・治療用のカテーテルを用いて適切な処置を行った後、診断・治療用のカテーテルおよびガイドワイヤ100を生体外へ抜去する。
以上説明したように、上記実施形態に係るガイドワイヤ100は、向かい合う一対の主面114、115を備える板状部111aを、先端部に備える長尺状のコア部材110と、一対の主面114、115の少なくとも一方の面に設けられるとともに、板状部111aのねじれを抑制するねじれ抑制部120と、一対の主面114、115の少なくとも一方の面に設けられるとともに、コア部材110の長軸方向Xにコア部材110を圧縮する外力Fが付加された状態において、板状部111aの屈曲を誘導する屈曲誘導部130と、を有する。
上記ガイドワイヤ100によれば、術者は、板状部111aを折り曲げる際、ガイドワイヤ100の先端部の曲げの方向を容易に把握することができる。そのため、術者は、ガイドワイヤ100を所望の形状に簡便にリシェイプできる。また、上記ガイドワイヤ100によれば、術者がガイドワイヤ100の基端部を回転させた際に、基端側からの回転力によって板状部111aがねじれるのをねじれ抑制部120によって抑制できる。そのため、上記ガイドワイヤ100は、優れたトルク伝達性を有する。また、上記ガイドワイヤ100によれば、ガイドワイヤ100の先端部が生体管腔の内壁等に突き当てられた際に、屈曲誘導部130によって板状部111aは屈曲し、柔軟性を発揮する。このように、リシェイプの簡便性および先端部の柔軟性を確保しつつ、優れたトルク伝達性を備えるガイドワイヤ100を提供することができる。
また、ねじれ抑制部120と屈曲誘導部130は、一対の主面114、115を平面視した際に、コア部材110の長軸方向Xに隣接している。このように、ねじれ抑制部120および屈曲誘導部130が偏在するのを抑制することによって、効率的に板状部111a全体のねじれの抑制と柔軟性を両立させることができる。
また、ねじれ抑制部120は、一対の主面114、115を平面視した際に互いに交差する2本の線材121、122を備える。そのため、術者がガイドワイヤ100を長軸方向X周りに回転させた際の回転方向に依らず、板状部111aのねじれを抑制できる。
また、ガイドワイヤ100は、ねじれ抑制部120を複数有し、複数のねじれ抑制部120は、コア部材110の長軸方向Xにおいて、一対の主面114、115に交互に設けられている。そのため、ねじれ抑制部120が屈曲誘導部130に干渉するのを抑制できる。
また、屈曲誘導部130は、コア部材110の長軸方向Xと交差する方向に延びる線材131を備える。そのため、板状部111aは、長軸方向Xにコア部材110を圧縮する外力Fが付加された状態で、線材131の周面に沿うように屈曲する。このように、線材131によって、板状部111aの屈曲方向を規定できる。
また、ガイドワイヤ100は、屈曲誘導部130を複数有し、複数の屈曲誘導部130は、コア部材110の長軸方向Xにおいて、一対の主面114、115に交互に設けられている。そのため、コア部材110の長軸方向Xにコア部材110を圧縮する外力Fが付加された状態において、板状部111aは、全体として波状に変形する。そのため、ガイドワイヤ100の先端部は、進行方向を変えることなく、柔軟性を発揮できる。
また、ガイドワイヤ100は、板状部111aを覆うように巻回されるコイル140をさらに有し、コイル140の少なくとも一部は、コア部材110の長軸方向Xに隣り合う部分140a、140b、140c同士が離間するように巻回されている。そのため、コイル140は、板状部111aの屈曲を許容することができる。
(ねじれ抑制部の変形例)
図4A〜図4Dは、ねじれ抑制部の変形例を示す図である。以下、ねじれ抑制部の変形例について詳述する。なお、ねじれ抑制部以外の構成は、第1実施形態と同様であるため、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図4Aに示すように、全てのねじれ抑制部220は、同一面上に設けられていてもよい。複数のねじれ抑制部220が同一面上に設けられていている場合、製造の際に複数のねじれ抑制部220同士の相対的な位置関係を容易に調整することができる。
図4Bおよび図4Cに示すように、各ねじれ抑制部320を構成する第1の線材321および第2の線材322は、一対の主面114、115において互いに異なる面に設けられていてもよい。この場合、各ねじれ抑制部320を構成する一方の線材は、第1実施形態のように、他方の線材に乗り上がる必要がない。そのため、第1の線材321および第2の線材322は、板状部111aの主面114、115に平行に延在する。また、第1の線材321および第2の線材322は、全長に亘って板状部111aに固定することができる。そのため、第1実施形態に係るねじれ抑制部120と比較すると、変形例に係るねじれ抑制部320は、板状部111aのねじれをより一層抑制することができる。
図4Dに示すように、各ねじれ抑制部420は一本の線材421のみによって構成されており、平面視において長軸方向Xに屈曲誘導部130を介して隣り合う線材421同士は、屈曲誘導部130を基準として線対称になるように設けられていてもよい。この場合、対称に配置された線材421によって、術者がガイドワイヤ100を長軸方向X周りに回転させた際の回転方向に依らずに板状部111aのねじれを抑制できる。また、ガイドワイヤ100を構成する部材の数を削減できる。このように、ねじれ抑制部は、必ずしも2本の線材によって構成しなくてもよい。
以上説明したとおり、ねじれ抑制部の構成は、板状部111aのねじれを抑制可能な限り特に限定されない。
(屈曲誘導部の変形例)
図5A〜図5Cは、屈曲誘導部の変形例を示す図である。以下、屈曲誘導部の変形例について詳述する。なお、屈曲誘導部以外の構成は、第1実施形態と同様であるため、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図5Aに示すように、屈曲誘導部230は、板状部111aとは別の部材によって構成するのではなく、板状部111aから厚み方向Yの外方に突出する突起231であってもよい。このような場合も、板状部111aは、長軸方向Xにコア部材110を圧縮する外力が付加された状態で、突起231の先端側および基端側の側面に沿うように屈曲する。屈曲誘導部230が別部材によって構成されないため、第1実施形態に係るガイドワイヤ100と比較すると、部品数を削減できる。
図5Bおよび図5Cに示すように、屈曲誘導部330は、板状部111aの厚み方向Yの内方側に向かうにつれて末広がりになる凹部331で構成してもよい。この場合、板状部111aは、凹部331の厚み方向Yの外方側の端部330aが凹部331の底面に接近する方向に容易に屈曲できる。このように、凹部331によって、板状部111aの屈曲方向を規定できる。なお、図5Bには、凹部331が、平面視において、ねじり抑制部120の間に配置される形態を示している。また、図5Cには、凹部331が、平面視においてねじり抑制部120と重なり、かつ、凹部331の端部330aが、平面視においてねじり抑制部120の間に配置される形態を示している。
以上説明したとおり、屈曲誘導部の構成は、長軸方向Xにコア部材110を圧縮する外力Fが付加された状態で板状部111aに屈曲を誘導可能な限り、特に限定されない。
(第2実施形態)
図6、図7Aおよび図7Bは、第2実施形態に係るガイドワイヤ200を示す図である。なお、以下の説明では、生体管腔Vにおいて、ガイドワイヤ200を押し込んで挿入する方向を「挿入方向D」と定義する(図7Aおよび図7B参照)。
第2実施形態に係るガイドワイヤ200は、板状部111a、複数のねじれ抑制部120、および複数の屈曲誘導部430を備えており、これらによって、リシェイプの簡便性、先端部の柔軟性、および優れたトルク伝達性を両立させている点において、第1実施形態に係るガイドワイヤ100と共通している。
第2実施形態に係るガイドワイヤ200は、CTO(Chronic Total Occlusion:慢性完全閉塞病変)に対するPCI等の手技において、ナックルワイヤテクニックに使用されるガイドワイヤとして構成している点で、第1実施形態に係るガイドワイヤ100と相違する。ナックルワイヤテクニックとは、図7Bに示すように、ガイドワイヤ200の先端部を挿入方向Dと反対方向に屈曲させ、生体管腔Vを閉塞する病変部Nにガイドワイヤ200の屈曲部200aを押し当てて、ガイドワイヤ200に病変部Nを貫通させる手技である。以下、第2実施形態に係るガイドワイヤ200について詳述する。なお、第1実施形態に係るガイドワイヤ100と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
まず、屈曲誘導部430について説明する。
ガイドワイヤ200は、図6に示すように、本実施形態では、6つの屈曲誘導部430(先端側から基端側に向かって順に、第1屈曲誘導部430a、第2屈曲誘導部430b、第3屈曲誘導部430c、第4屈曲誘導部430d、第5屈曲誘導部430e、第6屈曲誘導部430f)を備えている。なお、ガイドワイヤ200の屈曲誘導部430の数は、ガイドワイヤ200の先端部を挿入方向Dと反対方向に屈曲可能な限り特に限定されない。
全ての屈曲誘導部430は、板状部111aの同一面(主面114)に設けられている。また、全ての屈曲誘導部430は、図6に示すように、本実施形態では、長軸方向Xに一定の間隔で設けられている。ただし、複数の屈曲誘導部430は等間隔に設けられていなくてもよい。
各屈曲誘導部430は、長軸方向Xと交差する方向(本実施形態では幅方向Z)に延びる線材431によって構成している。線材431の構成材料は、特に限定されないが、第1実施形態に係る線材131と同様のものを用いることができる。
次に、屈曲誘導部430によってガイドワイヤ200をナックル形状に変形させる方法について説明する。
例えば、図7Aに示すように、ガイドワイヤ200の先端が病変部Nに接触した状態で術者がガイドワイヤ200を生体管腔に押し込むことによって、板状部111aは、第1屈曲誘導部430aが設けられている部位において、第1屈曲誘導部430aの線材431の周面に沿うように屈曲する。図7Bに示すように、術者がさらにガイドワイヤ200を生体管腔Vに押し込むと、板状部111aは、第2屈曲誘導部430b〜第6屈曲誘導部430fが設けられている部位において先端側から順に、各線材431の周面に沿うように屈曲する。ガイドワイヤ200の病変部Nに押し当てられていない部分(図では、第1屈曲誘導部430aおよび第2屈曲誘導部430b)は元の形状に復元する。そのため、ガイドワイヤ200は、略Uの字形状に変形する。術者は、さらに、ガイドワイヤ200をさらに推し進める。これによって、ガイドワイヤ200は、生体管腔Vを閉塞する病変部Nを貫通する。このように、術者は、ガイドワイヤ200を生体管腔Vに押し込むという簡便な操作で、ガイドワイヤ200をナックル形状に変形させることができる。なお、ガイドワイヤ200の先端部は、病変部Nから離間した状態で、Uの字形状から元の形状に復元してもよい。
なお、図6に示すように、第2実施形態に係るガイドワイヤ200において、板状部111aの第1固定部161から露出している部分の先端側の領域A(以下、単に露出領域Aと称する)には、ねじれ抑制部120および屈曲誘導部430のいずれも設けられていない。したがって露出領域Aは、板状部111aの他の領域と比較して柔軟性が高い。そのため、図7Aに示すように、板状部111aは、第1屈曲誘導部430aが設けられている部位において容易に屈曲できる。
また、板状部111aを構成する材料は、特に限定されず、第1実施形態の板状部111aの構成材料と同様のものを用いることができる。
また、全てのねじれ抑制部120は、複数の屈曲誘導部430が設けられている主面114とは反対側の主面115に設けられている。そのため、ねじれ抑制部120が、板状部111aが屈曲した際に、屈曲誘導部430に干渉するのを抑制できる。
以上、上記第2実施形態に係るガイドワイヤ200は、屈曲誘導部430を複数有し、複数の屈曲誘導部430は、一対の主面114、115のうち同一面(主面114)に設けられている。そのため、術者は、ガイドワイヤ200を病変部Nに突き当てて生体管腔Vに押し込むという簡便な操作で、ガイドワイヤ200の先端部を挿入方向Dと反対方向に屈曲させることができる。
以上、複数の実施形態および変形例を通じて本発明に係るガイドワイヤを説明したが、本発明は説明した各構成のみに限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
例えば、上記実施形態および変形例では、ガイドワイヤが板状部を覆うコイルを備える形態を説明した。しかし、本発明に係るガイドワイヤは、コイルではなくスリットパイプを備えるガイドワイヤ等にも適用できる。
100、200 ガイドワイヤ、
110 コア部材、
111a 板状部、
114、115 向かい合う一対の面、
120、220、320、420 ねじれ抑制部、
121、321 ねじれ抑制部を構成する第1の線材、
122、322 ねじれ抑制部を構成する第2の線材、
130、230、330、430 屈曲誘導部、
131、431 屈曲誘導部を構成する線材、
140 コイル、
140a、140b、140c コイルにおいて長軸方向に隣り合う部分、
F 長軸方向にコア部材を圧縮する外力、
X 長軸方向。

Claims (8)

  1. 向かい合う一対の面を備える板状部を、生体管腔に挿入される側の端部に備える長尺状のコア部材と、
    前記板状部の一対の面の少なくとも一方の面に設けられるとともに、前記板状部のねじれを抑制するねじれ抑制部と、
    前記板状部の一対の面の少なくとも一方の面に設けられるとともに、前記コア部材の長軸方向に前記コア部材を圧縮する外力が付加された状態において、前記板状部の屈曲を誘導する屈曲誘導部と、を有するガイドワイヤ。
  2. 前記ねじれ抑制部と前記屈曲誘導部は、前記一対の面を平面視した際に、前記コア部材の長軸方向に隣り合っている、請求項1に記載のガイドワイヤ。
  3. 前記ねじれ抑制部は、前記一対の面を平面視した際に互いに交差する2本の線材を備える、請求項1または請求項2に記載のガイドワイヤ。
  4. 前記ねじれ抑制部を複数有し、
    複数の前記ねじれ抑制部は、前記コア部材の長軸方向において、前記一対の面に交互に設けられている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガイドワイヤ。
  5. 前記屈曲誘導部は、前記コア部材の長軸方向と交差する方向に延びる線材を備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載のガイドワイヤ。
  6. 前記屈曲誘導部を複数有し、
    複数の前記屈曲誘導部は、前記コア部材の長軸方向において、前記一対の面に交互に設けられている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のガイドワイヤ。
  7. 前記屈曲誘導部を複数有し、
    複数の前記屈曲誘導部は、前記一対の面のうち同一面に設けられている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のガイドワイヤ。
  8. 前記板状部を覆うように巻回されるコイルをさらに有し、
    前記コイルの少なくとも一部は、前記コア部材の長軸方向に隣り合う部分同士が離間するように巻回されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のガイドワイヤ。
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