JP2019149916A - モータの駆動制御装置およびモータの駆動制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】モータへの電源供給がない状態下でモータの負荷が増加した場合において無電源回生制動機能を担う電子部品への負担を軽減すること。【解決手段】実施形態のモータの駆動制御装置1は、3相のコイルLu、Lv、Lwのうち少なくとも2相のコイルに接続され、3相のコイルLu、Lv、Lwのうちの2つのコイルの組み合わせが互いに異なる3つの組のうち少なくとも1組のコイル間を短絡信号に応じて短絡する相間短絡部40と、コイルLwと相間短絡部40との間に接続され、制動制御信号が入力されると短絡信号を相間短絡部40に出力する短絡信号出力部50と、3相のコイルLu、Lv、Lwのうちの1相のコイルLwの電圧の状態に基づいて、相間短絡部40による短絡を停止する保護動作部60とを備える。【選択図】図1
Description
本発明は、モータの駆動制御装置およびモータの駆動制御方法に関する。
従来、三相ブラシレスモータを例えばファンモータ用途として動作させる際に、回転停止指令を受信してから、もしくは電源供給が停止されてから回転を停止させるまでに、駆動ブリッジ回路を電気的に短絡することで、各モータコイル間を短絡する技術が一般的に使用されている。このように、各モータコイル間を短絡し、モータコイルに発生する逆起電力を短絡することで、回生ブレーキによってモータの回転を素早く停止させることができる。
その際、各モータコイル間を短絡するためには、短絡させるためのシステムを動作させるための電源供給が必要である。そのため、例えば電源シャットダウン時の制動動作においては、電源ラインの残存電荷量により制動時間が左右される。また、電源無供給時のウインドミル(外風による羽根の強制回転)現象発生時の回転抑制には機能が不足した状態となっている。
上記の課題に対して、電源供給が停止された後に、制動状態を確保して、少しでも早くモータを停止させる制動装置が知られている。
電動機の制動装置として、例えば、電動機の電源供給路に、発電制動により電動機を強制停止させるための短絡回路を設けた装置がある(例えば、特許文献1参照)。かかる装置の短絡回路には、無電圧状態で導通して短絡回路を短絡させる静電誘導型トランジスタが配備される。
また、他の制動装置として、例えばスイッチング素子によりモータを駆動制御するモータ駆動回路において、整流回路と当該整流回路に接続されたエネルギー消費手段とを備えるモータのダイナミックブレーキ装置がある(例えば、特許文献2参照)。かかる装置では、整流回路がスイッチング素子をオフした時にモータの動力線に発生する逆起電力を整流し、整流回路が整流した逆起電力をエネルギー消費手段が消費することでモータを停止する。
また、電動モータの電磁コイルに接続された整流回路と、スイッチ回路とを備える電動モータの電源遮断制御回路がある(例えば、特許文献3参照)。かかる電源遮断制御回路のスイッチ回路は、電磁コイルと整流回路とともに閉回路を形成するとともに、電動モータに対して電源が供給されている時には導通せず、電源供給が遮断された時に導通する。
しかしながら、上記従来の回生制動は、モータへの電源供給がない状態下でモータに外力が長時間印加または外力が大きい場合などにおいて、回生制動機能を担う電子部品への負担が高くなる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、モータへの電源供給がない状態下でモータの負荷が増加した場合において回生制動機能を担う電子部品への負担を軽減するモータの駆動制御装置およびモータの駆動制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係るモータの駆動制御装置は、モータの3相のコイルに選択的に通電するモータ駆動部と、モータ駆動部に駆動制御信号を出力することによって、モータ駆動部により通電させる3相のコイルの通電相を所定の順序で切り替えるモータ制御部と、制動制御信号を出力する制動制御部と、3相のコイルのうち少なくとも2相のコイルに接続され、3相のコイルのうちの2つのコイルの組み合わせが互いに異なる3つの組のうち少なくとも1組のコイル間を短絡信号に応じて短絡する相間短絡部と、3相のコイルのうちの1相のコイルと相間短絡部との間に接続され、制動制御信号が入力されると短絡信号を相間短絡部に出力する短絡信号出力部と、3相のコイルのうちの1相のコイルの電圧の状態に基づいて、相間短絡部による短絡を停止または短絡電流を抑制する保護動作部と、を備える。
本発明の一態様によれば、モータへの電源供給がない状態下でモータの負荷が増加した場合において回生制動機能を担う電子部品への負担を軽減することができる。
以下、実施形態に係るモータの駆動制御装置およびモータの駆動制御方法について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るモータ駆動制御装置の回路構成の一例を示すブロック図である。
図1は、第1の実施形態に係るモータ駆動制御装置の回路構成の一例を示すブロック図である。
図1に示されるように、第1の実施形態に係るモータ駆動制御装置1は、モータ駆動部10と、モータ制御部20と、制動制御部30と、相間短絡部40と、短絡信号出力部50と、保護動作部60とを有する。なお、図1に示されるモータ駆動制御装置1の構成要素は、全体の一部であり、モータ駆動制御装置1は、図1に示されたものに加えて、他の構成要素を備えていてもよい。
モータ駆動制御装置1は、その全部がパッケージ化された集積回路装置(IC)であってもよく、あるいは、モータ駆動制御装置1の一部が1つの集積回路装置としてパッケージ化されていてもよいし、他の装置と一緒にモータ駆動制御装置1の全部または一部がパッケージ化されて1つの集積回路装置が構成されていてもよい。
モータ駆動部10は、モータ3の3相のコイルLu、Lv、Lwに選択的に通電する。モータ制御部20は、モータ駆動部10に駆動制御信号を出力することによって、モータ駆動部10により通電させる3相のコイルLu、Lv、Lwの通電相を所定の順序で切り替える。
また、制動制御部30は、制動制御信号を出力する。相間短絡部40は、3相のコイルLu、Lv、Lwのうちの2相のコイル(図1ではコイルLu、Lv)に接続され、3相のコイルLu、Lv、Lwのうちの2つのコイルの組み合わせが互いに異なる3つの組(コイルLu、Lvの組、コイルLu、Lwの組、およびコイルLv、Lwの組)の各々のコイル間を短絡信号に応じて短絡する。短絡信号出力部50は、3相のコイルLu、Lv、Lwのうちの2相のコイルLu、Lvとは異なる1相のコイルLwと相間短絡部40との間に接続され、制動制御信号が入力されると短絡信号を相間短絡部40に出力する。保護動作部60は、3相のコイルLu、Lv、Lwのうちの1相のコイル(図1では、コイルLw)の電圧の状態に基づいて、相間短絡部40によるコイル間の短絡を停止する。
以上のように、第1の実施形態に係るモータ駆動制御装置1は、モータ3の3相のコイルLu、Lv、Lwに選択的に通電するモータ駆動部10と、モータ駆動部10に駆動制御信号を出力することによって、モータ駆動部10により通電させる3相のコイルLu、Lv、Lwの通電相を所定の順序で切り替えるモータ制御部20と、制動制御信号を出力する制動制御部30と、3相のコイルLu、Lv、Lwのうちの2相のコイルLu、Lvに接続され、3相のコイルLu、Lv、Lwのうちの2つのコイルの組み合わせが互いに異なる3つの組の各々のコイル間を短絡信号に応じて短絡する相間短絡部40と、3相のコイルLu、Lv、Lwのうちの1相のコイルLwと相間短絡部40との間に接続され、制動制御信号が入力されると短絡信号を相間短絡部40に出力する短絡信号出力部50と、3相のコイルLu、Lv、Lwのうちの1相のコイルLwの電圧の状態に基づいて、相間短絡部40による短絡を停止する保護動作部60とを備えている。また、第1の実施形態に係るモータの駆動制御方法においては、モータ駆動部10によって、モータ3の3相のコイルLu、Lv、Lwに選択的に通電し、モータ制御部20によって、モータ駆動部10に駆動制御信号を出力することにより、モータ駆動部10により通電させる3相のコイルLu、Lv、Lwの通電相を所定の順序で切り替え、制動制御部30によって、制動制御信号を出力し、3相のコイルLu、Lv、Lwのうちの2相のコイルLu、Lvに接続された相間短絡部40によって、3相のコイルLu、Lv、Lwのうちの2つのコイルの組み合わせが互いに異なる3つの組の各々のコイル間を短絡信号に応じて短絡し、3相のコイルLu、Lv、Lwのうちの1相のコイルLwと相間短絡部40との間に接続された短絡信号出力部50によって、制動制御信号が入力されると短絡信号を相間短絡部40に出力し、保護動作部60によって、3相のコイルLu、Lv、Lwのうちの1相のコイルLwの電圧の状態に基づいて、相間短絡部40による短絡を停止する。
これにより、モータ駆動制御装置1は、フローティング回路構成を必要とせず簡易な構成でモータの回転を制動することができる。また、モータ駆動制御装置1の短絡信号出力部50は、1相のコイルLvに発生する逆起電力を用いて短絡信号を出力することができるため、モータ駆動制御装置1は完全自立型無電源制動を実現することができる。
さらに、モータ駆動制御装置1は、モータ3のコイル間に対する短絡動作を行っている状態から、3相のコイルLu、Lv、Lwのうちの1相のコイルLwの電圧の状態に基づいて、短絡動作を停止する。これにより、モータ駆動制御装置1に電源供給がない状態下でモータ3の負荷(例えば、ファンモータの羽根を回転させる外力)が増加した場合において無電源回生制動機能を担う電子部品への負担を軽減することができる。
以下、第1の実施形態に係るモータ駆動制御装置1の詳細について説明する。モータ駆動制御装置1は、モータ3を例えば正弦波駆動により駆動させるように構成される。また、モータ駆動制御装置1は、モータ3の回転を制動する。
第1の実施形態において、モータ3は、例えば3相のブラシレスモータであり、例えば不図示のファンなどを回転させるファンモータである。モータ駆動制御装置1は、モータ3の電機子のコイルLu、Lv、Lwに正弦波状の駆動電流を流すことで、モータ3を回転させる。また、モータ駆動制御装置1は、モータ3の回転を停止すると判定した場合、あるいは、電源2からの電力供給遮断時に、モータ3の回転を制動する。
モータ駆動部10は、モータ制御部20から出力される駆動制御信号に基づいてモータ3に駆動信号を出力し、モータ3が備える電機子のコイルLu、Lv、Lwに通電するインバータ回路である。モータ駆動部10は、例えば電源2の両端に設けられた2つのスイッチ素子の直列回路の対(スイッチ素子Q1、Q2の対、スイッチ素子Q3、Q4の対、およびスイッチ素子Q5、Q6の対)が、各相(U相、V相、W相)のコイルLu、Lv、Lwに対してそれぞれ配置されて構成される。なお、スイッチ素子Q1〜Q6は、本実施形態では、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。2つのスイッチ素子の各対において、スイッチ素子同士の接続点が出力端となり、その出力端に、モータ3の各相のコイルLu、Lv、Lwにつながる端子が接続されている。具体的には、スイッチ素子Q1、Q2同士の接続点が、U相のコイルLuの端子につながる出力端である。また、スイッチ素子Q3、Q4同士の接続点が、V相のコイルLvの端子につながる出力端である。また、スイッチ素子Q5、Q6同士の接続点が、W相のコイルLwの端子につながる出力端である。
モータ制御部20は、例えばマイコンで構成されており、モータ駆動制御装置1の各部を制御する。モータ制御部20は、モータ駆動制御部21と、モータ制動指令部22とを有する。
モータ駆動制御部21は、モータ駆動部10を駆動するための駆動制御信号を生成し、モータ駆動部10に出力する。生成される駆動制御信号としては、例えば、モータ駆動部10のスイッチ素子Q1〜Q6のそれぞれに対応するVuu、Vul、Vvu、Vvl、VwuおよびVwlである。具体的には、スイッチ素子Q1には駆動制御信号Vuuが出力され、スイッチ素子Q2には駆動制御信号Vulが出力される。また、スイッチ素子Q3には駆動制御信号Vvuが出力され、スイッチ素子Q4には駆動制御信号Vvlが出力される。また、スイッチ素子Q5には駆動制御信号Vwuが出力され、スイッチ素子Q6には駆動制御信号Vwlが出力される。これらの駆動制御信号が出力されることで、それぞれの駆動制御信号に対応するスイッチ素子Q1〜Q6がオン、オフ動作を行い、モータ3に駆動信号が出力されてモータ3の各相のコイルLu、Lv、Lwに電力が供給される。モータ3の回転を停止させるときには、スイッチ素子Q1〜Q6はいずれもオフにされる。例えば、モータ駆動制御部21は、モータ制動指令部22によってモータ3の回転を制動する制動指令信号が出力される場合、スイッチ素子Q1〜Q6をいずれもオフする。
モータ制動指令部22は、制動制御部30がモータ3の回転を制動するための制動指令信号を生成し、制動制御部30に出力する。モータ制動指令部22は、例えばモータ3の回転を制動する場合にLow信号である制動指令信号を生成し、例えば、モータ3の回転を制動しない場合に、High信号である非制動指令信号を生成する。なお、生成される制動指令信号が、High信号であり、非制動指令信号がLow信号であってもよい。
制動制御部30は、短絡信号出力部50に制動制御信号を出力する。制動制御信号は、3相のコイルLu、Lv、Lwのうちの2つのコイルの組み合わせが互いに異なる3つの組の各々のコイル間を短絡する場合に出力される信号であり、後述するように制動制御信号が短絡信号出力部50に出力されることで、短絡信号が短絡信号出力部50から相間短絡部40に出力され、相間短絡部40が上述した3つの組の各々のコイル間を短絡する。
制動制御部30は、モータ制動指令部22がモータ3の回転を制動する制動指令信号を出力した場合、または、電源2からの電力供給が遮断された場合に、制動制御信号を出力する。
例えば、モータ制動指令部22は、モータ駆動制御部21がモータ3の駆動を停止した場合に制動指令信号を出力する。モータ駆動制御部21がモータ3の駆動を停止しても、モータ3は慣性によって回転し続ける。そこで、モータ制動指令部22は、慣性による回転を素早く停止させるために、制動指令信号を出力する。
モータ制動指令部22が制動指令信号を出力すると、制動制御部30は、モータ3の慣性による回転で発生する逆起電力を検知し、検知した逆起電力を用いて制動制御信号を出力する。
また、モータ3の回転駆動中に電源2からの電力供給が遮断されると、モータ駆動部10から駆動信号が出力されなくなるが、モータ3は慣性によって回転し続ける。そこで、制動制御部30は、慣性による回転を素早く停止させるために、逆起電力を検知し、検知した逆起電力を用いて制動制御信号を出力する。
あるいは、モータ3の回転が停止しており、かつ電源2からの電力供給が遮断された状態で、例えば外風によってファンが回転するなど、外力によるモータ3が回転することでもコイルLu、Lv、Lwに逆起電力が発生する。制動制御部30は、外力によるモータ3の回転を抑制するために、電力供給の遮断と外力によって発生した逆起電力とを検知し、検知した逆起電力を用いて制動制御信号を出力することにより、モータ3の回転を制動する。
制動制御部30は、電源遮断検知回路41と、逆起電力検知回路42と、第1の制動制御回路43と、第2の制動制御回路44とを有する。詳細は後述するが、制動制御部30は、モータ駆動部10によるモータ3の駆動中に、電源遮断検知回路41が電力供給の遮断を検知すると、制動制御信号を出力する。また、制動制御部30は、モータ駆動部10によるモータ3の駆動停止中に、電源遮断検知回路41が電力供給の遮断を検知するとともに、コイルLw(1相のコイルの一例)に発生した逆起電力を検知すると、制動制御信号を出力する。
電源遮断検知回路41は、電源2からの電力供給の遮断を検知する。電源遮断検知回路41は、電源2と並列に接続された抵抗素子R1、R2の直列回路と、直列回路と第1の制動制御回路43との間に配置される抵抗素子R3とを有する。電源2の電源電圧は、抵抗素子R1、R2の抵抗値に応じて分圧される。電源遮断検知回路41は、分圧された電圧値に応じた電源検知信号(High信号)を第1の制動制御回路43に出力する。なお、電源2からの電力供給が遮断されると電源電圧値がゼロとなるため、電源遮断検知回路41は、電源遮断を示す遮断検知信号(Low信号)を出力する。
第1の制動制御回路43は、電源遮断検知回路41による電源2からの電力供給の遮断の検知結果、または、モータ制動指令部22が出力する制動指令信号、非制動指令信号に応じて、モータ3の制動、非制動を切り替える。
第1の制動制御回路43は、スイッチ素子SW1と、第1、第2ダイオード素子D1、D2とを有する。スイッチ素子SW1は、本実施形態では、トランジスタであり、スイッチ素子SW1の一端は抵抗素子R5を介して電源2に接続され、他端は抵抗素子R6を介してグランドに接地される。また、スイッチ素子SW1の一端は、第2の制動制御回路44に接続される。第1ダイオード素子D1は、アノードが電源遮断検知回路41に、カソードがスイッチ素子SW1の制御端子に接続される。第2ダイオード素子D2は、アノードがスイッチ素子SW1の制御端子に接続され、カソードがモータ制動指令部22に接続される。
例えば、電源2が遮断されておらず、電源遮断検知回路41が電源検知信号(High信号)を出力している場合、第1ダイオード素子D1はオンとなる。このとき、モータ制動指令部22がモータ3の回転を制動しない非制動指令信号(High信号)を出力していると、第2ダイオード素子D2はオフとなるため、電源検知信号が第1ダイオード素子D1を通ってスイッチ素子SW1の制御端子に入力され、スイッチ素子SW1がオンされる。
一方、電源遮断検知回路41が電源検知信号を出力している場合であっても、モータ制動指令部22がモータ3の回転を制動する制動指令信号(Low信号)を出力すると、第2ダイオード素子D2がオンとなり、電源検知信号が第2ダイオード素子D2側に流れ、スイッチ素子SW1の制御端子には入力されない。そのため、スイッチ素子SW1はオフとなる。
また、電源遮断検知回路41が遮断検知信号(Low信号)を出力する場合、モータ制動指令部22の出力によらず、第1ダイオード素子D1には電流が流れないため、スイッチ素子SW1の制御端子に電流が入力されず、スイッチ素子SW1はオフとなる。
なお、詳細は後述するが、第1の制動制御回路43のスイッチ素子SW1がオフの場合、第2の制動制御回路44は、逆起電力検知回路42の検知結果に応じて制動制御信号を出力する。一方、第1の制動制御回路43のスイッチ素子SW1がオンの場合、第2の制動制御回路44は、逆起電力検知回路42の検知結果によらず制動制御信号を出力しない。第1の制動制御回路43は、スイッチ素子SW1のオフ/オンを切り替えることで、第2の制動制御回路44の出力を制御し、モータ3の制動/非制動を切り替える。
逆起電力検知回路42は、コイルLwに発生する逆起電力を検知する。逆起電力検知回路42は、抵抗素子R4と抵抗素子R7とを有する。コイルLwに逆起電力が発生すると、抵抗素子R7を介してスイッチ素子SW2の制御端子に電圧が印加される。これらが逆起電力を検知する動作となり、その結果、スイッチ素子SW2がオンする。電流Iwの一部は、逆起電力検知回路42の抵抗素子R4に流れ、抵抗素子R4の両端に抵抗素子R4に流れる電流の大きさと抵抗素子R4の抵抗値に応じた電圧が発生し、制動制御部30より制動制御信号が出力される。
第2の制動制御回路44は、第1の制動制御回路43がモータ3の非制動から制動に切り替えている場合に、コイルLwに逆起電力が発生すると、発生した逆起電力を用いて制動制御信号を出力する。第2の制動制御回路44は、スイッチ素子SW2を有する。
スイッチ素子SW2は、本実施形態では、トランジスタであり、逆起電力検知回路42と短絡信号出力部50との間に設けられる。スイッチ素子SW2の制御端子は、第1の制動制御回路43に接続されるとともに、抵抗素子R7を介してコイルLwに接続される。
第1の制動制御回路43のスイッチ素子SW1がオフ、すなわち電源2からの電力供給が遮断されている、または、モータ制動指令部22が制動指令信号を出力している場合に、逆起電力検知回路42がコイルLwに発生した逆起電力を検知したとする。この場合、電流Iwがスイッチ素子SW2に流れ、スイッチ素子SW2がオンする。これにより、制動制御信号が第2の制動制御回路44から短絡信号出力部50に出力される。
一方、第1の制動制御回路43のスイッチ素子SW1がオン、すなわち電源2から電力が供給されており、モータ制動指令部22が非制動指令信号を出力している場合、逆起電力検知回路42がコイルLwに発生した逆起電力を検知したとしても、コイルLwに流れる電流は、第2の制動制御回路44を介して第1の制動制御回路43のスイッチ素子SW1に流れる。そのため、電流Iwがスイッチ素子SW2の制御端子には入力されず、スイッチ素子SW2はオフとなる。したがって、制動制御信号は第2の制動制御回路44から短絡信号出力部50には出力されない。
短絡信号出力部50は、コイルLwと相間短絡部40との間に接続される。短絡信号出力部50は、第2の制動制御回路44から制動制御信号が入力されると短絡信号を相間短絡部40に出力する。短絡信号出力部50は、スイッチ素子SW3を有する。スイッチ素子SW3は、本実施形態では、サイリスタであり、アノードがコイルLwに、カソードが相間短絡部40に、ゲートが第2の制動制御回路44に接続される。
第2の制動制御回路44が出力した制動制御信号は、スイッチ素子SW3のゲートに入力される。これにより、スイッチ素子SW3がオンし、電流Iwが短絡信号として相間短絡部40に出力される。
相間短絡部40は、コイルLu、Lvに接続され、3相のコイルLu、Lv、Lwのうちの2つのコイルの組み合わせが互いに異なる3つの組の各々のコイル間(コイルLu、Lv間、コイルLu、Lw間、およびコイルLv、Lw間)を短絡する。相間短絡部40は、コイルLu、Lvの両端に設けられた2つのスイッチ素子SW4、SW5を有する。スイッチ素子SW4、SW5は、本実施形態では、サイリスタである。スイッチ素子SW4、SW5は、アノードがコイルLv、Luにそれぞれ接続され、カソードがグランドに接地される。スイッチ素子SW4、SW5のゲートは、短絡信号出力部50(具体的には、スイッチ素子SW3のカソード)に接続され、短絡信号が入力される。短絡信号が入力されるとスイッチ素子SW4、SW5がオンし、コイルLu、Lv間、コイルLu、Lw間およびコイルLv、Lw間が短絡する。
例えば、コイルLvに正の電圧が生じ、且つコイルLwに負の電圧が生じた場合、コイルLv、Lw間が、スイッチ素子SW4とスイッチ素子Q6の寄生ダイオードとによってグランドを経由して短絡される。そのため、コイルLvに電流Ivが短絡電流として流れ、コイルLwに電流I6が短絡電流として流れる。また、コイルLvに正の電圧が生じ、且つコイルLuに負の電圧が生じた場合、コイルLv、Lu間が、スイッチ素子SW4とスイッチ素子Q2の寄生ダイオードとによってグランドを経由して短絡される。したがって、コイルLvに電流Ivが短絡電流として流れ、コイルLuに電流I2が短絡電流として流れる。
また、コイルLuに正の電圧が生じ、且つコイルLwに負の電圧が生じた場合、コイルLu、Lw間が、スイッチ素子SW5とスイッチ素子Q6の寄生ダイオードとによってグランドを経由して短絡される。したがって、コイルLuに電流Iuが短絡電流として流れ、コイルLwに電流I6が短絡電流として流れる。また、コイルLuに正の電圧が生じ、且つコイルLvに負の電圧が生じた場合、コイルLu、Lv間が、スイッチ素子SW5とスイッチ素子Q4の寄生ダイオードとによってグランドを経由して短絡される。したがって、コイルLuに電流Iuが短絡電流として流れ、コイルLvに電流I4が短絡電流として流れる。
このように、相間短絡部40によって、3相のコイルLu、Lv、Lwのうちの互いに2つのコイルの組み合わせが異なる3つの組の各々のコイル間が短絡する。また、短絡信号出力部50によるコイル間の短絡時に、モータ駆動部10のスイッチ素子Q2、Q4、Q6のそれぞれの寄生ダイオードが回生経路に含まれ回生回路の一部として動作する。そのため、自立型無電源制動を行うための回路を簡易な構成とすることができる。
また、相間短絡部40を2つのサイリスタで構成することで、整流回路としての機能と短絡回路としての機能とを同時に実現することができ、相間短絡部40を簡易な構成とすることができる。また、相間短絡部40は、本実施形態のように、サイリスタのような汎用性の高い部品で構成することができる。
保護動作部60は、制動制御部30から制動制御信号が出力されている場合に動作状態になり、制動制御部30から制動制御信号が出力されていない場合に非動作状態になる。これにより、モータ3への電力供給が停止された直後に保護動作部60が動作することを回避することができ、モータ3への電力供給が停止された場合におけるモータ3の制動制御への影響を回避することができる。
保護動作部60は、制動制御部30から制動制御信号が出力されている状態において、コイルLwに発生した逆起電力の継続時間および大きさに応じた電圧が閾値電圧Vth以上になった場合に、制動オフ指令を制動制御部30へ出力し、制動制御部30からの制動制御信号の出力を停止させる。これにより、モータ3を回転させる外力が長時間印加される条件下において、無電源回生制動機能を担う相間短絡部40およびスイッチ素子Q2、Q4、Q6の寄生ダイオードへの負荷を軽減することができる。
図1に示すように、保護動作部60は、始動時間設定部61と、保護動作始動部62と、制動オフ指令部63とを有する。始動時間設定部61は、3相のコイルLu、Lv、Lwのうち1相のコイルLwに接続され、コイルLwに発生した逆起電力の継続時間および逆起電力に応じた電圧を出力する。保護動作始動部62は、始動時間設定部61から出力される電圧が予め設定された閾値電圧Vth1以上になった場合に保護動作(制動オフ)の始動信号を制動オフ指令部63へ出力する。制動オフ指令部63は、保護動作始動部62から始動信号が出力された場合に、制動制御部30からの制動制御信号の出力を停止させる制動オフ信号を制動制御部30に出力する。制動制御部30は、保護動作部60から制動オフ信号が出力された場合、制動制御信号の出力を停止する。
図2は、第1の実施形態に係るモータ駆動制御装置の回路構成の一例を示すブロック図であり、始動時間設定部61、保護動作始動部62、および制動オフ指令部63の各々の構成例を示す。図2に示すように、始動時間設定部61は、ダイオード素子D3と、抵抗素子R8と、コンデンサC1とを有する。ダイオード素子D3のアノードはコイルLwに接続され、カソードは抵抗素子R8の一端に接続される。抵抗素子R8の他端は、コンデンサC1の一端に接続される。コンデンサC1の他端はグランドに接地される。
モータ3のコイルLwで発生した逆起電力はダイオード素子D3によって整流され、整流された逆起電力は抵抗素子R8とコンデンサC1によって構成される時定数回路へ出力される。コンデンサC1の両端電圧は、抵抗素子R8とコンデンサC1とによって決定される時定数に基づいて、上昇する。これにより、始動時間設定部61は、コイルLwに発生する逆起電力の継続時間および大きさに応じた電圧を出力することができる。なお、抵抗素子R8とコンデンサC1とによって決定される時定数を調整することで、始動時間設定部61から出力される電圧の上昇率を調整することができる。以下、始動時間設定部61から出力される電圧を平滑電圧と記載する場合がある。
保護動作始動部62は、抵抗素子R9と、スイッチ素子Q7と、ツェナーダイオード素子D4とを有する。抵抗素子R9の一端は始動時間設定部61の出力に接続され、他端はスイッチ素子Q7の制御端子に接続される。スイッチ素子Q7の一端は制動オフ指令部63に接続され、他端はツェナーダイオード素子D4のカソードに接続される。ツェナーダイオード素子D4のアノードはグランドに接地される。
保護動作始動部62は、始動時間設定部61から出力される平滑電圧が閾値電圧Vth1以上になった場合、スイッチ素子Q7がオンになり、スイッチ素子Q7から制動オフ指令部63へ保護動作(制動オフ)の始動信号が出力される。ここで、スイッチ素子Q7のオン電圧を「VBE」とし、ツェナーダイオード素子D4のツェナー電圧を「VDZ」とすると、Vth1=VBE+VDZである。
制動オフ指令部63は、スイッチ素子Q8と、ダイオード素子D5とを有する。スイッチ素子Q8の制御端子は保護動作始動部62の出力に接続される。また、スイッチ素子Q8の一端は始動時間設定部61の出力に接続され、他端はダイオード素子D5のアノードに接続される。ダイオード素子D5のカソードは、第1の制動制御回路43のスイッチ素子SW1の制御端子に接続される。
制動オフ指令部63において、保護動作始動部62から始動信号が出力された場合、スイッチ素子Q8がオンになる。これにより、制動オフ指令部63から制動オフ指令が第1の制動制御回路43のスイッチ素子SW1の制御端子へ出力される。第1の制動制御回路43は、スイッチ素子SW1の制御端子に制動オフ指令が入力されると、スイッチ素子SW1をオンする。そして、第1の制動制御回路43のスイッチ素子SW1がオンすると、第2の制動制御回路44は、スイッチ素子SW2をオフする。その結果、第2の制動制御回路44は、短絡信号出力部50への制動制御信号の出力を停止する。すなわち、制動制御部30は、保護動作部60から制動オフ信号が出力された場合、制動制御信号の出力を停止する。
このように、保護動作部60は、制動制御部30から制動制御信号が出力されている状態において、コイルLwに発生する逆起電力の継続時間および大きさに応じたタイミングで、制動制御部30からの制動制御信号の出力を停止させる。これにより、例えば、モータ3を回転させる外力が長時間印加される条件下において、回生制動によって相間短絡部40およびスイッチ素子Q2、Q4、Q6の寄生ダイオードに生じる負荷量が大きくなりすぎることを回避することができる。
なお、保護動作部60は、図2に示す構成に限定されず、コイルLwに発生した逆起電力の継続時間および大きさに応じたタイミングで制動オフ指令を出力する構成であればよい。また、保護動作部60は、コイルLwに発生した逆起電力の継続時間のみに応じたタイミングで制動オフ指令を出力する構成であってもよい。例えば、ダイオード素子D3のカソードと抵抗素子R8の一端との間に電圧を制限する回路を設けて、逆起電力の継続時間のみに応じたタイミングで制動オフ指令を出力する構成にしてもよい。
また、保護動作部60は、上述したように、制動制御部30から制動制御信号が出力されている場合に動作する。保護動作部60は、コイルLwと始動時間設定部61との間に不図示のスイッチ素子が設けられている。かかる不図示のスイッチ素子の制御端子は、制動制御部30の出力に接続されており、制動制御信号が入力された場合に、コイルLwと始動時間設定部61とを接続する。これにより、保護動作部60は、制動制御部30から制動制御信号が出力されている場合に動作する。なお、保護動作部60は、制動制御部30から制動制御信号が出力されている場合に動作状態になればよく、保護動作部60の動作状態と非動作状態とを切り替える構成は上述した例に限定されない。例えば、コンデンサC1の両端を短絡するスイッチ素子を設け、かかるスイッチ素子を制動制御部30から制動制御信号が出力されている場合にオフにする構成であってもよい。
次に、図1〜図3を用いて、モータ駆動制御装置1による、制動動作の動作モードについて説明する。図3は、第1の実施形態に係るモータ駆動制御装置1の動作モードを説明する図である。上述したように、モータ駆動制御装置1は、電源2からの電力供給が遮断された場合、または、モータ制動指令部22が制動指令信号を出力した場合に、モータ3の回転を制動する。モータ駆動制御装置1の制動に関する動作は、図3に示すように動作モードA〜Cの3つに分けられる。
まず、モータ制御部20がモータ3の制動を行わず回転させる場合(動作モードA)、図3に示すように、モータ駆動制御装置1には電源2からの電力供給があり、モータ制動指令部22から非制動指令信号(High信号)が出力される。この場合、第1の制動制御回路43の第1ダイオード素子D1がオン、第2ダイオード素子D2がオフとなり、スイッチ素子SW1がオンとなる。これにより、モータ3に逆起電力が発生しても、スイッチ素子SW2、SW3はいずれもオフとなり、制動制御信号、短絡信号のいずれも出力されず、モータ駆動制御装置1による制動動作は行われない(制動無し)。
また、例えば、モータ制御部20がモータ3の回転停止を決定し、モータ駆動制御部21がモータ3の駆動を停止するとともに、モータ制動指令部22がモータ3の制動を行うとする(動作モードB)。この場合、モータ駆動制御装置1には電源2からの電力供給があり、また、モータ制動指令部22から制動指令信号(Low信号)が出力される。この場合、第1ダイオード素子D1、第2ダイオード素子D2はいずれもオンとなり、スイッチ素子SW1がオフとなる。このとき、モータ3に逆起電力が発生すると、スイッチ素子SW2がオンになり、モータ3に発生した逆起電力を用いて制動制御信号が生成され、制動制御信号によりスイッチ素子SW3がオンになり、短絡信号が生成される。これにより、相間短絡部40のスイッチ素子SW4、SW5がオンになって、モータ3の回転を制動する(制動有り)。
このように、モータ制御部20がモータ3の回転駆動を停止する場合に、モータ駆動制御装置1は、慣性によってモータ3に発生する逆起電力を用いてモータ3の回転を制動することができる。
また、モータ駆動制御装置1に対する電源2からの電力供給が遮断され、供給無しになった場合(動作モードC)、第1ダイオード素子D1、第2ダイオード素子D2のいずれもオフとなり、スイッチ素子SW1がオフとなる。このとき、モータ3に逆起電力が発生すると、スイッチ素子SW2がオンになり、モータ3に発生した逆起電力を用いて制動制御信号が生成され、制動制御信号によりスイッチ素子SW3がオンになり、短絡信号が生成される。これにより、相間短絡部40のスイッチ素子SW4、SW5がオンになって、モータ3の回転を制動する(制動有り)。
なお、動作モードCでは、モータ制御部20によるモータ3の回転駆動中であっても、回転停止中であっても、電源2からの電力供給が遮断されると、モータ駆動制御装置1はモータ3の回転を制動する。すなわち、モータ駆動制御装置1は、モータ制動指令部22から電力供給が遮断される直前に出力されている信号が非制動指令信号、制動指令信号のどちらであるかにかかわらず、電源2からの電力供給が遮断された場合に、モータ3の回転を制動する。
そのため、例えばモータ3の回転停止時であって電力供給遮断時に、外力によるモータ3の回転を制動することができる。これにより、例えばモータ3がファンモータであり、ユーザシステム内に設置した際の外風による強制回転の発生対策を実現することができる。
このように、モータ駆動制御装置1は、電源2からの電力供給遮断時にモータ3の回転を制動することができ、モータ3の回転をより素早く停止させることができる。また、モータ駆動制御装置1は、モータ3に発生する逆起電力を用いて回転を制動するため、電源2からの電力供給遮断時であっても、電源2とは別のバッテリーを備える必要がなく、完全自立型の無電源での制動動作が可能となる。また、モータ駆動制御装置1が電力供給遮断の検知、および制動指令信号の出力を行うため、電力供給遮断の検知および制動指令信号の出力を行う外部装置を別途設ける必要がなく、モータ駆動制御装置1で自立型制動システムを実現することができる。
また、モータ駆動制御装置1は、モータ3の回転の制動を開始した後、コイルLwに発生する逆起電力の継続時間および大きさに応じたタイミングでモータ3の回転の制動を停止して保護動作を行う。これにより、モータ3を回転させる外力が長時間印加され続けることを回避することができ、回生制動によって相間短絡部40およびスイッチ素子Q2、Q4、Q6の寄生ダイオードに生じる負荷量が大きくなりすぎることを回避することができる。
また、モータ駆動制御装置1による保護動作は、上述した動作モードBによる制動動作が終了するまでは開始しないように、保護動作部60の保護動作開始時間が設定される。保護動作開始時間は、制動制御信号が生成されてから保護動作部60の保護動作が開始されるまでの時間であり、例えば、始動時間設定部61に設けられる時定数回路の時定数を調整することで適切に設定することができる。これにより、動作モードBによる制動動作が、保護動作部60の保護動作によって停止されないため、動作モードBによる制動動作を適切に行うことができる。
続いて、図4を用いて、モータ駆動制御装置1の保護動作部60の動作手順について説明する。図4は、モータ駆動制御装置1の保護動作部60の動作手順の一例について説明するフローチャートである。図4では、モータ3への電力供給がされていない状態において、モータ3に外力が働いてモータ3が回転した場合のモータ駆動制御装置1の動作について説明する。
図4に示すように、モータ3への電力供給がされていない状態において、モータ3に外力が働いてモータ3が回転した場合、モータ3のコイルLwに逆起電圧(逆起電力)が発生する(ステップS101)。コイルLwに逆起電圧が発生すると、保護動作部60の始動時間設定部61は、コイルLwに発生した逆起電圧を整流し(ステップS102)、整流した逆起電圧を平滑する(ステップS103)。
コイルLwに継続して逆起電力が発生すると、始動時間設定部61から出力される平滑電圧が上昇する(ステップS104)。保護動作始動部62は、始動時間設定部61から出力される平滑電圧が閾値電圧Vth1以上になったか否かを検出する(ステップS105)。平滑電圧が閾値電圧Vth1以上になっていない場合(ステップS105:No)、保護動作始動部62は、ステップS105の検出を続ける。
一方、始動時間設定部61から出力される平滑電圧が閾値電圧Vth1以上になった場合(ステップS105:Yes)、保護動作始動部62のスイッチ素子Q7がオンになり、保護動作始動部62から保護動作(制動オフ)の始動信号が出力される(ステップS106)。保護動作始動部62から始動信号が出力されると、制動オフ指令部63のスイッチ素子Q8がオンになり(ステップS107)、第1の制動制御回路43のスイッチ素子SW1がオンになる(ステップS108)。これにより、制動制御部30からの制動制御信号の出力が停止され、相間短絡部40による短絡が停止されて制動動作がオフになる(ステップS109)。
次に、図5を用いて、モータ駆動制御装置1による保護動作の効果の具体例について説明する。図5は、モータ駆動制御装置1による保護動作の効果の一例について説明するための図であり、モータ駆動が停止中に、モータ3に取り付けられたファンに外風を強制的に当ててモータ3を強制的に回転させた場合の例を示す。図5において、制動機能オフとは、モータ駆動制御装置1の制動動作を機能させない状態(例えば、制動制御信号を出力させない状態)を示し、制動機能オンとは、モータ駆動制御装置1の制動動作が機能する状態(例えば、制動制御信号を出力可能な状態)を示す。
図5に示すように、制動機能オフ時の回転数は、外風の風量に正比例して大きくなる。一方、制動機能オフ時の回転数は、強制風量が5[m3/min]付近でモータ駆動制御装置1の制動動作が開始して強制風量が15[m3/min]付近までモータ駆動制御装置1の制動動作が維持されている。かかる制動動作によって、スイッチ素子SW4、SW5に短絡電流が流れるため、スイッチ素子SW4、SW5の温度が上昇していく。
強制風量が15[m3/min]以上になると、モータ駆動制御装置1の保護動作が開始され、モータ駆動制御装置1の制動動作が停止される。そのため、スイッチ素子SW4、SW5に短絡電流が流れなくなり、スイッチ素子SW4、SW5の温度が低下する。このように、モータ3への電力供給がない状態下でモータ3の負荷が増加した場合において無電源回生制動機能を担う電子部品への負担を軽減することができる。
なお、図5において、保護動作が開始される強制風量および強制回転数は一例であり、図5に示す例に限定されない。保護動作が開始されるタイミングは、モータ3の回転数、巻線数やインペラ形状等によっても変化する。
第1の実施形態では、コイルLwに発生する逆起電力エネルギーを制動機能および保護動作の電源とするため、バッテリーなどの別電源を必要とせず、完全自立型の無電源動作を実現することができる。特に、制動機能および保護機能により、例えばモータ3をファンモータとしてユーザシステム内に設置した際の外風による強制回転の発生を抑制しつつ、無電源回生制動機能を担う電子部品への負荷が大きくなった場合には、制動動作を停止させる。これにより、無電源回生制動機能を担う電子部品への負担を軽減することができる。
また、本第1の実施形態では、上述した制動機能を実現するために機械リレーや機械スイッチを必要としておらず、モータ駆動制御装置1の信頼性を向上させ、かつ製品寿命をより長くすることができる。
また、図1および図2では、相間短絡部40の2つのスイッチ素子SW4、SW5をサイリスタとしたが、これに限定されない。例えば、相間短絡部40を1つのトライアックで実現してもよい。図6は、このような場合における相間短絡部40の変形例を示す図である。図6に示すように、コイルLu、Lv間にトライアックが配置され、トライアックのゲートには、短絡信号出力部50から短絡信号が入力される。この場合、相間短絡部40はグランドに接地する必要がなく、モータ駆動部10のスイッチ素子Q2、Q4、Q6の寄生ダイオードを回生経路に用いる必要がない。なお、図6ではモータ駆動制御装置1の構成要素のうち説明に不要な構成要素の図示を省略している。
また、相間短絡部40を3つのスイッチ素子SW4、SW5、SW7で実現してもよい。この場合、図7に示すように、図1に示す相間短絡部40の構成に加え、コイルLwに接続されるスイッチ素子SW7がさらに追加される。スイッチ素子SW7はサイリスタであり、スイッチ素子SW7のゲートには、短絡信号出力部50から短絡信号が入力される。なお、電流Iw1は、逆起電力の検知および制動制御信号の出力と短絡信号の出力に用いられ、短絡電流Iw2は、コイルLwに正の逆起電力が発生したときにスイッチ素子SW7に流れる電流である。
したがって、図7に示す相間短絡部40では、コイルLwが正の電圧になり、且つコイルLu、Lvのいずれかが負の電圧になった場合も、コイルLu、Lw間またはコイルLv、Lw間が短絡される。このように、相間短絡部40は、3相のコイルLu、Lv、Lwに接続され、当該3相のコイルLu、Lv、Lwのうちの2つのコイルの組み合わせが互いに異なる3つの組の各々のコイル間を短絡信号に応じて短絡する構成であってもよい。この場合、3相のコイルLu、Lv、Lwのうちの任意の1相のコイルに、保護動作部60が接続される。
また、図6に示す相間短絡部40は、1つのトライアックを有する構成であるが、トライアックを3つ設けた構成であってもよい。この場合、相間短絡部40には、コイルLu、Lv間に加え、コイルLu、Lw間およびコイルLv、Lw間に各々トライアックが配置される。そして、3つのトライアックのゲートには、短絡信号出力部50から短絡信号が入力される。これにより、コイルLu、Lv間に加え、コイルLu、Lw間およびコイルLv、Lw間を短絡することができる。この場合、図7に示す構成の場合と同様に、3相のコイルLu、Lv、Lwのうちの任意の1相のコイルに、保護動作部60が接続される。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係るモータ駆動制御装置は、3相のコイルのうち1相のコイルに発生する逆起電力の大きさが予め設定された値以上である場合にモータの制動動作が停止されず、モータの制動力が抑制される点で、第1の実施形態に係るモータ駆動制御装置1と異なる。以下においては、第1の実施形態と同様の機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略し、第1の実施形態のモータ駆動制御装置1と異なる点を中心に説明する。
第2の実施形態に係るモータ駆動制御装置は、3相のコイルのうち1相のコイルに発生する逆起電力の大きさが予め設定された値以上である場合にモータの制動動作が停止されず、モータの制動力が抑制される点で、第1の実施形態に係るモータ駆動制御装置1と異なる。以下においては、第1の実施形態と同様の機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略し、第1の実施形態のモータ駆動制御装置1と異なる点を中心に説明する。
図8は、第2の実施形態に係るモータ駆動制御装置1Aの回路構成の一例を示すブロック図である。図8に示すように、第2の実施形態に係るモータ駆動制御装置1Aは、モータ駆動部10と、モータ制御部20と、制動制御部30と、相間短絡部40と、短絡信号出力部50と、保護動作部70とを備える。
保護動作部70は、3相のコイルLu、Lv、Lwのうちの1相のコイルLwの電圧の状態に基づいて、相間短絡部40による短絡電流の抑制を行う。短絡電流の抑制とは、短絡信号出力部50による短絡によって流れる電流量を低減することを意味する。
保護動作部70は、逆起電力レベル監視部71と、保護動作始動部72と、制動力変更指令部73と、制動力切替部74とを有する。逆起電力レベル監視部71は、3相のコイルLu、Lv、Lwのうち1相のコイルLwに接続され、コイルLwに発生する逆起電力の大きさに応じた電圧を出力する。保護動作始動部72は、コイルLwに発生する逆起電力の大きさが予め設定された値以上であるか否かを検出する。例えば、保護動作始動部72は、逆起電力レベル監視部71から出力される電圧が予め設定された閾値電圧Vth2になった場合に保護動作(制動力変更)の始動信号を制動力変更指令部73へ出力する。制動力変更指令部73は、保護動作始動部72から始動信号が出力された場合に、制動力切替部74に短絡電流を抑制させる制動力変更信号を制動制御部30に出力する。制動力切替部74は、制動力変更指令部73から制動力変更信号が出力された場合、短絡信号出力部50による短絡によって生じる短絡電流を抑制することで、相間短絡部40によるモータ3に対する制動力を抑制する。
図9は、第2の実施形態に係るモータ駆動制御装置1Aの回路構成の一例を示すブロック図であり、逆起電力レベル監視部71、保護動作始動部72、制動力変更指令部73、制動力切替部74各々の構成例を示す。図9に示すように、逆起電力レベル監視部71は、ダイオード素子D6と、コンデンサC2とを有する。ダイオード素子D6のアノードはコイルLwに接続され、カソードはコンデンサC2の一端に接続される。コンデンサC2の他端はグランドに接地される。モータ3のコイルLwで発生した逆起電圧(逆起電力)は、ダイオード素子D6によって整流され、コンデンサC2によって平滑される。コンデンサC2の両端電圧である平滑電圧は、逆起電圧(逆起電力)が大きいほど大きくなる。
保護動作始動部72は、逆起電力レベル監視部71のコンデンサC2と並列に接続された抵抗素子R11、R12の直列回路を有する。逆起電力レベル監視部71から出力される平滑電圧は、抵抗素子R11、R12の抵抗値に応じて分圧される。保護動作始動部72は、平滑電圧が閾値電圧Vth2以上である場合に、保護動作(制動力変更)の始動信号を出力する。
制動力変更指令部73は、抵抗素子R13、R14と、スイッチ素子Q9、Q10とを有する。抵抗素子R13の一端と抵抗素子R14の一端は各々コイルLwに接続される。抵抗素子R13の他端は、スイッチ素子Q9の一端に接続され、抵抗素子R14の他端は、スイッチ素子Q10の一端に接続される。スイッチ素子Q9の他端はグランドに接地され、制御端子は保護動作始動部72に接続される。保護動作始動部72からスイッチ素子Q9の制御端子へ始動信号が出力されると、スイッチ素子Q9がオンになる。なお、上述した始動信号は、スイッチ素子Q9のオン電圧以上の電圧信号であり、スイッチ素子Q9のオン電圧をVBEとすると、上述した閾値電圧Vth2は、Vth2=VBE×(R11+R12)/R12で表される。なお、モータ駆動部10から最大定格の電圧が出力された場合において逆起電力レベル監視部71から出力される平滑電圧よりも閾値電圧Vth2を大きくすることで、モータ駆動部10でモータ3を駆動した場合にスイッチ素子Q9がオンしないようにすることができる。
コイルLwに逆起電力が発生している状態でスイッチ素子Q9がオフである場合、スイッチ素子Q10がオンであり、スイッチ素子Q10から非制動力変更信号が出力される。非制動力変更信号は、制動力切替部74への電圧を印加する信号である。一方、スイッチ素子Q9がオンになると、スイッチ素子Q10がオフになる。そのため、スイッチ素子Q10から制動力変更信号が出力される。制動力変更信号は、制動力切替部74への電圧の印加を停止する信号である。
制動力切替部74は、スイッチ素子SW8と抵抗素子R20との並列回路と、スイッチ素子SW9と抵抗素子R21との並列回路とを有する。スイッチ素子SW8と抵抗素子R20との並列回路は、コイルLvとスイッチ素子SW4のアノードとの間に接続される。スイッチ素子SW9と抵抗素子R21との並列回路は、コイルLuとスイッチ素子SW5のアノードとの間に接続される。
制動力変更指令部73のスイッチ素子Q10から制動力変更信号が出力されるまでは、スイッチ素子Q10から非制動力変更信号が出力されており、スイッチ素子SW8、SW9はオンの状態である。そのため、短絡電流Iv、Iuはスイッチ素子SW8、SW9を介して相間短絡部40へ流れる。一方、スイッチ素子Q10から制動力変更信号が出力されると、スイッチ素子SW8、SW9がオフになり、短絡電流Iv、Iuは抵抗素子R20、R21を介して相間短絡部40へ流れる。そのため、スイッチ素子Q10から制動力変更信号が出力された場合、スイッチ素子Q10から制動力変更信号が出力されない場合に比べ、短絡電流Iv、Iuおよび短絡電流I2、I4、I6が抑制される。そのため、相間短絡部40によるモータ3に対する制動力が抑制される。
このように、保護動作部70は、コイルLwに発生した逆起電力が予め設定された値以上になった場合に、相間短絡部40によるモータ3に対する制動力を抑制する。これにより、例えば、モータ3を回転させる外力が大きい条件下において、回生制動によって相間短絡部40およびスイッチ素子Q2、Q4、Q6の寄生ダイオードに生じる負荷量が大きくなりすぎることを回避することができる。
なお、保護動作部70は、図9に示す構成に限定されず、コイルLwに発生する逆起電圧が設定された電圧以上になった場合に、制動力変更指令を出力する構成であればよい。
続いて、図10を用いて、モータ駆動制御装置1Aの保護動作部70の動作手順について説明する。図10は、第2の実施形態に係るモータ駆動制御装置1Aの保護動作部70の動作手順の一例について説明するフローチャートである。図10では、モータ3への電力供給がされていない状態において、モータ3に外力が働いてモータ3が回転した場合のモータ駆動制御装置1Aの動作について説明する。
図10に示すように、モータ3への電力供給がされていない状態において、モータ3に外力が働いてモータ3が回転した場合、モータ3のコイルLwに逆起電圧(逆起電力)が発生する(ステップS201)。コイルLwに逆起電圧が発生すると、制動力変更指令部73のスイッチ素子Q10がオンになる(ステップS202)。スイッチ素子Q10がオンになると、制動力切替部74のスイッチ素子SW8、SW9がオンになる(ステップS203)。
また、モータ3のコイルLwに発生した逆起電圧は逆起電力レベル監視部71で整流され平滑される(ステップS204)。保護動作始動部72は、逆起電力レベル監視部71から出力される平滑電圧が閾値電圧Vth2以上になったか否かを検出する(ステップS205)。保護動作始動部72は、平滑電圧が閾値電圧Vth2まで上昇していない場合(ステップS205:No)、保護動作(制動力変更)の始動信号を出力しない。一方、保護動作始動部72は、平滑電圧が閾値電圧Vth2まで上昇した場合(ステップS205:Yes)、始動信号を出力して、スイッチ素子Q9をオフにする(ステップS206)。
スイッチ素子Q9がオフになると、スイッチ素子Q10がオフになる(ステップS207)。そのため、制動力切替部74のスイッチ素子SW8、SW9がオフになる(ステップS208)。そのため、コイルLv、Luの短絡経路に抵抗素子R20、R21が接続され(ステップS209)、短絡電流Iv、Iuは抵抗素子R20、R21を介して相間短絡部40へ流れる。これにより、相間短絡部40によるモータ3に対する制動力が抑制される(ステップS210)。
第2の実施形態では、コイルLwに発生する逆起電力エネルギーを制動機能および保護動作の電源とするため、バッテリーなどの別電源を必要とせず、完全自立型の無電源動作を実現することができる。特に、制動機能および保護機能により、例えばモータ3をファンモータとしてユーザシステム内に設置した際の外風による強制回転の発生を抑制しつつ、無電源回生制動機能を担う電子部品への負荷が大きくなった場合には、制動力を抑制させる。これにより、無電源回生制動機能を担う電子部品への負担を軽減することができる。
また、本実施形態では、上述した制動機能を実現するために機械リレーや機械スイッチを必要としておらず、モータ駆動制御装置1Aの信頼性を向上させ、かつ製品寿命をより長くすることができる。
また、図8および図9では、相間短絡部40の2つのスイッチ素子SW4、SW5をサイリスタとしたが、これに限定されない。例えば、図11に示すように、相間短絡部40を1つのトライアックで実現してもよい。図11に示す例では、コイルLu、Lv間にトライアックが配置され、トライアックのゲートに短絡信号出力部50から短絡信号が入力される。そして、保護動作部70の制動力切替部74は、スイッチ素子SW11と抵抗素子R20との並列回路で構成される。スイッチ素子SW11と抵抗素子R20との並列回路は、コイルLvと相間短絡部40との間に配置され、スイッチ素子SW11はトライアックである。なお、制動力切替部74は、コイルLuと相間短絡部40との間に配置されてもよい。また、スイッチ素子SW11はトライアックでなくてもよい。
また、相間短絡部40を3つのスイッチ素子SW4、SW5、SW7で実現してもよい。この場合、図12に示すように、図8に示す相間短絡部40の構成に加え、コイルLwに接続されるスイッチ素子SW7がさらに追加される。スイッチ素子SW7はサイリスタであり、スイッチ素子SW7のゲートには、短絡信号出力部50から短絡信号が入力される。この場合、制動力切替部74は、図8に示す構成に加え、さらに、スイッチ素子SW10と抵抗素子R22の並列回路とが、コイルLwとスイッチ素子SW7との間に配置される。図12に示す構成の場合、3相のコイルLu、Lv、Lwのうちの任意の1相のコイルに、保護動作部70が接続される。
また、図11に示す相間短絡部40は、1つのトライアックを有する構成であるが、第1の実施形態と同様に、トライアックを3つ設けた構成であってもよい。この場合、相間短絡部40には、トライアックであるスイッチ素子と抵抗との並列回路が各トライアックに直列に接続される。この場合、図12に示す構成の場合と同様に、3相のコイルLu、Lv、Lwのうちの任意の1相のコイルに、保護動作部70が接続される。
また、本実施形態では、上述した制動機能を実現するために機械リレーや機械スイッチを必要としておらず、モータ駆動制御装置1Aの信頼性を向上させ、かつ製品寿命をより長くすることができる。
また、上記実施形態のモータ駆動制御装置1、1Aの各部の構成およびモータ3の構成は、コイルLu、Lv、Lwがスター結線であるが、モータ3のコイルLu、Lv、Lwの結線は、デルタ結線であってもよい。また、上述したトライアックは、フォトMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)リレーや機械的リレーなどの双方向スイッチで代替してもよい。
また、上記実施形態のモータ駆動制御装置1の保護動作部60は、制動制御部30から制動制御信号が出力されている状態に動作する例を説明したが、これに限定されない。例えば、保護動作部60は、動作モードAまたは動作モードBの状態から動作モードCの状態へ移行してから一定期間経過した場合に動作状態になることもできる。
また、上記実施形態のモータ駆動制御装置1Aの保護動作部70は、モータ駆動部10から出力される電圧では保護動作を実行しないように閾値電圧Vth2を設定したが、これに限定されない。例えば、保護動作部70は、保護動作部60と同様に、制動制御部30から制動制御信号が出力されている状態に動作する構成、または動作モードCの状態へ移行してから一定期間経過した場合に動作する構成にし、閾値電圧Vth2を上述した例の場合よりも小さくしてもよい。
また、上記実施形態のモータ駆動制御装置1の保護動作部60は、相間短絡部40の制動動作を停止するが、保護動作部70と同様に、相間短絡部40の制動動作を抑制する構成であってもよい。この場合、保護動作部60は、制動力切替部74と同様の回路を有し、1相のコイルに発生した逆起電力の継続時間および逆起電力に応じた電圧が閾値電圧Vth1以上になった場合に制動力切替部74を制御し、モータ3と相間短絡部40との間に流れる短絡電流量を抑制する。
また、上記実施形態のモータ駆動制御装置1Aの保護動作部70は、相間短絡部40の制動力を抑制するが、保護動作部60と同様に、相間短絡部40の制動動作を停止する構成であってもよい。この場合、保護動作部70は、制動力切替部74を設けなくてよく、1相のコイルに発生した逆起電力が予め設定された値以上になった場合に制動制御部30からの制動制御信号の出力を停止させる。
また、上記実施形態のモータ駆動制御装置1Aは、保護動作部70に加え、第1の実施形態に係る保護動作部60をさらに有する構成であってもよい。これにより、モータ駆動制御装置1Aは、モータ3を回転させる外力が長時間印加される条件下に加え、モータ3を回転させる外力が大きい条件下においても無電源回生制動機能を担う電子部品への負担を軽減することができる。
なお、上記実施形態のモータ駆動制御装置1、1Aの各部の構成は、上述した図1、図9および図10の構成に限定されない。例えば、制動制御部30の構成の一部または全部を、ハードウェア、または、ソフトウェアのどちらで実現してもよい。
また、モータ駆動制御装置1、1Aの相間短絡部40は、コイルLu、Lvに接続される構成であるが、これに限定されず、相間短絡部40は、コイルLv、LwあるいはコイルLu、Lwに接続される構成であってもよい。コイルLv、Lwに相間短絡部40が接続される場合、保護動作部60、70は、コイルLuに接続される構成であってもよく、コイルLu、Lwに相間短絡部40が接続される場合、保護動作部60、70は、コイルLvに接続される構成であってもよい。
また、モータ駆動制御装置1、1Aのモータ制御部20を電源2以外の電源で駆動させるようにしてもよい。この場合、例えばモータ制御部20を、モータ駆動制御装置1、1Aが搭載されるICとは別のICとして実装するようにしてもよい。このように、モータ制御部20を電源2以外の電源で駆動させることで、電源2からの電力供給が遮断したとしても、モータ制御部20が制動指令信号を出力することができるようになる。
また、上記実施形態では、モータ駆動制御装置1、1Aのモータ制御部20がモータ3の制動を行うか否かを決定するとしているが、これに限定されない。例えば、ユーザが非常停止ボタンを押したときにモータ3の制動を行うなど、モータ制御部20以外の外部装置がモータ3の制動を行うように、モータ駆動制御装置1、1Aを制御するようにしてもよい。この場合、第1の制動制御回路43に外部装置からの制動指令を入力するための端子を追加する。これにより、例えばモータ3の緊急時停止が必要になった場合に、モータ3を素早く強制停止させることができる。
また、モータ駆動制御装置1、1Aの短絡信号出力部50は、本実施形態の構成に限定されない。構成要素として、サイリスタ以外の部品を含むようにしてもよい。例えば、短絡信号出力部50を、機械的スイッチ(機械接点リレーなど)を用いて実現してもよい。この場合、接点不良対策など、長期信頼性を考慮した設計をすることが望まれる。
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
1,1A モータ駆動制御装置、2 電源、3 モータ、10 モータ駆動部、20 モータ制御部、21 モータ駆動制御部、22 モータ制動指令部、30 制動制御部、40 相間短絡部、41 電源遮断検知回路、42 逆起電力検知回路、43 第1の制動制御回路、44 第2の制動制御回路、50 短絡信号出力部、60,70 保護動作部、61 始動時間設定部、62,72 保護動作始動部、63 制動オフ指令部、71 逆起電力レベル監視部、73 制動力変更指令部、74 制動力切替部、C1,C2 コンデンサ、Lu,Lv,Lw コイル、Q1〜Q10 スイッチ素子、Vuu,Vul,Vvu,Vvl,Vwu,Vwl 駆動制御信号、R1〜R9,R11〜R14,R20〜R22 抵抗素子、SW1,SW2,SW6 スイッチ素子(トランジスタ)、SW3,SW4,SW5,SW7〜SW10 スイッチ素子(サイリスタ)、SW11 スイッチ素子(トライアック)、D1 第1ダイオード素子、D2 第2ダイオード素子、D3,D5,D6 ダイオード素子、D4 ツェナーダイオード素子、Iw,Iw1 電流、Iu,Iv,Iw2,I2,I4,I6 短絡電流
Claims (6)
- モータの3相のコイルに選択的に通電するモータ駆動部と、
前記モータ駆動部に駆動制御信号を出力することによって、前記モータ駆動部により通電させる前記3相のコイルの通電相を所定の順序で切り替えるモータ制御部と、
制動制御信号を出力する制動制御部と、
前記3相のコイルのうち少なくとも2相のコイルに接続され、前記3相のコイルのうちの2つのコイルの組み合わせが互いに異なる3つの組のうち少なくとも1組のコイル間を短絡信号に応じて短絡する相間短絡部と、
前記3相のコイルのうちの1相のコイルと前記相間短絡部との間に接続され、前記制動制御信号が入力されると前記短絡信号を前記相間短絡部に出力する短絡信号出力部と、
前記3相のコイルのうちの1相のコイルの電圧の状態に基づいて、前記相間短絡部による前記短絡を停止または短絡電流を抑制する保護動作部と、
を備えるモータの駆動制御装置。 - 前記保護動作部は、
前記3相のコイルのうちの1相のコイルの電圧の状態に基づいて、前記制動制御部からの前記制動制御信号の出力を停止させる
請求項1に記載のモータの駆動制御装置。 - 前記保護動作部は、
前記3相のコイルのうちの1相のコイルに発生する逆起電力の継続時間および大きさに応じた電圧を出力する始動時間設定部と、
前記始動時間設定部から出力される電圧が予め設定された電圧以上になった場合に始動信号を出力する保護動作始動部と、
前記保護動作始動部から前記始動信号が出力された場合に、前記制動制御信号の出力を停止させる制動オフ指令を前記制動制御部へ出力する制動オフ指令部と、を備える
請求項2に記載のモータの駆動制御装置。 - 前記保護動作部は、
前記3相のコイルのうちの1相のコイルの電圧の状態に基づいて、前記少なくとも2相のコイルと前記相間短絡部との間に流れる電流を低減する
請求項1に記載のモータの駆動制御装置。 - 前記少なくとも2相のコイルと前記相間短絡部との間に接続され、前記電流を低減する制動力切替部と、
前記3相のコイルのうちの1相のコイルに発生する逆起電力の大きさに応じた電圧を出力する逆起電力レベル監視部と、
前記逆起電力レベル監視部から出力される電圧が予め設定された電圧以上になった場合に始動信号を出力する保護動作始動部と、
前記保護動作始動部から前記始動信号が出力された場合に、前記制動力切替部に前記電流を低減させる制動力変更指令を前記制動制御部へ出力する制動力変更指令部と、を備える
請求項4に記載のモータの駆動制御装置。 - モータ駆動部によって、モータの3相のコイルに選択的に通電し、
モータ制御部によって、前記モータ駆動部に駆動制御信号を出力することにより、前記モータ駆動部により通電させる前記3相のコイルの通電相を所定の順序で切り替え、
制動制御部によって、制動制御信号を出力し、
前記3相のコイルのうち少なくとも2相のコイルに接続された相間短絡部によって、前記3相のコイルのうちの2つのコイルの組み合わせが互いに異なる3つの組のうち少なくとも1組のコイル間を短絡信号に応じて短絡し、
前記3相のコイルのうちの1相のコイルと前記相間短絡部との間に接続された短絡信号出力部によって、前記制動制御信号が入力されると前記短絡信号を前記相間短絡部に出力し、
保護動作部によって、前記3相のコイルのうちの1相のコイルの電圧の状態に基づいて、前記相間短絡部による前記短絡を停止または短絡電流を抑制するモータの駆動制御方法。
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