JP5049251B2 - モータ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、モータを駆動すると共に、モータからの回生時に主回路の過電圧を防ぐ回生エネルギー処理回路と、モータを強制停止させるダイナミックブレーキ回路(以下、DB回路という)を備えるモータ制御装置の小形化に関する。
モータ制御装置における回生エネルギー処理回路と、DB回路の必要性については、次のようなことが知られている。
図12は従来のモータ制御装置における回生エネルギー処理回路とDB回路とを示す図であり、図13は従来のモータ制御装置におけるDB回路の簡略化を示す図である。
モータ制御装置は、一般的に、3相交流電源を入力としダイオードを用いた整流回路と平滑コンデンサによって直流電源を作り、直流電源を3相交流に変換するインバータブリッジで3相のモータを駆動するものである。
インバータブリッジ回路より電力を供給し、モータは連結された負荷を駆動するが、負荷の状態によっては負荷がモータを駆動し、モータ制御装置側へ電力が回生される場合がある。このとき、回生電力は、インバータブリッジによって直流へ変換され、平滑コンデンサに蓄えられ平滑コンデンサの電圧が上昇する。平滑コンデンサやインバータブリッジが耐えることのできる直流電圧には上限があるので、直流電圧が一定以上にならないように保護する必要がある。
この直流電圧の上昇を抑制する方法として、図12のように直流配線に抵抗3と半導体スイッチ5を直列接続し、半導体スイッチ5の保護用ダイオード12を備えた回生エネルギー処理回路が用いられる。回生エネルギー処理回路のダイオード12は、半導体スイッチ5がオフした際に、抵抗3の配線インダクタンスに起因するサージ電圧を抑制するために必要である。回生エネルギー処理回路は、直流電圧が閾値よりも上昇すると制御回路によって半導体スイッチ5をオンし、抵抗3によってサーボモータ4からの回生エネルギーを消費する。従って、回生エネルギー処理回路の抵抗3は、サーボモータ4からの回生電力量を消費しなければならず、かなり大きなサイズの抵抗が必要となるのである。
また、サーボモータが負荷を駆動している際に、装置の故障や停電が起こると、サーボモータを速やかに停止しなければならない。サーボモータを迅速に停止する技術としては、図12のようなDB回路が用いられる。サーボアンプは、急速停止の際にインバータブリッジ(半導体スイッチ6乃至11およびダイオード13乃至18で構成)の動作を停止し、DB回路のリレー26などのスイッチをオンすることで、サーボモータ4内に残る残留エネルギーをDB回路の抵抗25で消費することで、サーボモータ4は停止する。前述の回生エネルギー処理回路の抵抗3と同様に、DB回路の抵抗25もサーボモータ4の容量に依存して大きなサイズの抵抗が必要となるのである。更に、DB回路は、サーボモータから出力される交流電流を整流回路(ダイオード19乃至24で構成)によって直流へ整流して抵抗25に流すので、図13のようにコストダウンのために整流回路の一部(ダイオード22乃至24)をインバータブリッジ(半導体スイッチ6乃至11およびダイオード13乃至18で構成)が備えるダイオード(ダイオード14,16,18)を利用する回路も用いられる。
このように、従来のモータ制御装置は、前述のように、回生エネルギー処理回路およびDB回路が必要なために、それぞれ追加の回路と大きなサイズの抵抗を備える必要があり、モータ制御装置自体の小形化または低価格化ができないという問題があった。
この問題を解決するために、第1の従来技術におけるモータ制御装置は、「突入電流防止回路、過電圧保護回路及びダイナミックブレーキング回路を有するモーター電源供給装置に関する」ものであって、「部品を供有することにより、部品数が減少し、製品サイズ及び製造コストを減らすことができるモーター電源供給装置を提供すること」を目的としている(例えば、特許文献1参照)。
図14は、第1の従来技術におけるモータ制御装置の概略構成図である。図において、1はAC電源供給部、3は整流部、5はコンデンサー、7はモーター、9はインバーター部、11は過電圧保護スイッチング素子、13はダイナミックブレーキング抵抗、15は抵抗、17は過電圧保護ダイオード、19は多接点リレーである。なお、図面に付した符号は、第1の従来技術である特許文献1に付された符号と同一のものを用いて説明している。
第1の従来技術におけるモータ制御装置は、「モーター7の駆動時に急停止させたり電源がオフされてモーター7の駆動が停止した場合、制御部は多接点リレー19を第3接点Cに接続させる。これにより、外力によりモーター7が回転しようとする時に発生される過多の電流がインバーター部9内に設けられたダイオードで抵抗15と流れ、抵抗15により熱で消耗されるようにして、モーター7の損傷を防止し、モーター7が回転することを防止することができる。即ち、ダイナミックブレーキング機能を行うことである。」「また、AC電源供給部1から初期電源が印加されると、制御部は、多接点リレー19を第1接点Aに接続させる。この時、AC電源供給部1から供給される交流電圧(VL1−L2)は整流部3により整流され、整流部3により整流された電圧(VD1)は抵抗15を通じてコンデンサー5に充電される。即ち、多接点リレー19が第1接点Aに接続された状態で、抵抗15は突入電流防止機能を行う」ことである。
また、第2の従来技術におけるモータ制御装置は、「回生制御が可能な複数のサーボモータ等を制御するモータ制御装置に関するもの」であって、「複数のモータの回生処理及びブレーキ処理を簡単な構成で実施でき」、また「専用のブレーキ回路を用いることなく、電源の停電時に複数のモータに同時にブレーキをかけることができ」、更に「回生処理回路の回生抵抗とこの回生抵抗に回生電流を流すスイッチング手段を利用して、電源の停電時に複数のモータにブレーキをかけることができ」、また更に「複数のモータに迅速にブレーキかけることができて、しかも回生処理時に回生抵抗を破損または焼損させることのないモータ制御装置を提供すること」を目的としている(例えば、特許文献2)。
図15は、第2の従来技術におけるモータ制御装置の概略構成図である。図において、1A〜1Cはモータ、2A〜2Cはインバータ回路、3は整流回路、4は主回路コンデンサ、5は電圧監視回路、6は回生抵抗、7,7´は回生用トランジスタ(スイッチング手段)、8,8´は制御回路(制御信号発生回路)、9A〜9Cはインバータ駆動回路、10は制御電源回路、11は電源監視回路、12は回生検出回路である。なお、図面に付した符号は、第2の従来技術である特許文献2に付された符号と同一のものを用いて説明している。
第2の従来技術におけるモータ制御装置は、「電源スイッチMSに対しては抵抗値が大きな突入防止抵抗Rが並列接続されている。またインバータ回路2A〜2Cの一方の極性の入力端子と主回路コンデンサ4の一方の端子(または共通電源の一方の出力端子)との間には、インバータ回路2A〜2Cへの電力の供給を選択的に可能にするスイッチ回路がそれぞれ配置されている。」また、「回生抵抗6と回生用トランジスタ(スイッチング手段)7の直列回路が、回生電力をジュール熱に変換する回生処理回路の一部を構成している。」回生状態とブレーキ状態とで、インバータ回路2A〜2Cへの電力の供給を選択的に可能にするスイッチ回路(TR1乃至TR3)と回生用トランジスタ(スイッチング手段)7とを適宜制御することにより、「複数のインバータ回路からの回生電力を1つの回生抵抗とスイッチング手段によって回生処理することができて、制御装置の構成が簡単になる上、回生処理回路の回生抵抗をブレーキ抵抗として利用して、電源が停電状態になったときに、複数のモータにブレーキをかけることができるので、専用のブレーキ回路を設ける必要がないという利点がある」ものである。
また、第3の従来技術におけるモータ制御装置は、「回生制御が可能なサーボモータ等のモータ制御装置に関するものであり、特に電源で停電が発生した際に、迅速にモータの回転を停止できるモータ制御装置に関するもの」であって、「専用のブレーキ回路を用いることなく、電源の停電時にモータにブレーキをかけることができ」、また「回生処理回路の回生抵抗とこの回生抵抗に回生電流を流すスイッチング手段を利用して、電源の停電時にモータにブレーキをかけることができ」、更に「迅速にブレーキかけることができて、しかも回生処理時に回生抵抗を破損または焼損させることのないモータ制御装置を提供すること」を目的としている(例えば、特許文献3)。図16は、第3の従来技術におけるモータ制御装置の概略構成図である。図において、1はモータ、2はインバータ回路、3は整流回路、4は主回路コンデンサ、5は電圧監視回路、6は回生抵抗、7は回生用トランジスタ(スイッチング手段)、8は制御回路(制御信号発生回路)、9はインバータ駆動回路、10は制御電源回路、11は電源監視回路、12は回生検出回路である。なお、図面に付した符号は、第3の従来技術である特許文献3に付された符号と同一のものを用いて説明している。
第3の従来技術におけるモータ制御装置は、「回生処理回路で用いるスイッチング手段として、制御端子に制御信号が入力されているときにはオフ状態となり、制御端子に制御信号が入力されていないときにはオン状態になるノーマリーオン構造の回生用トランジスタ7を用い」、「電源で停電が発生している間、回生用トンラジスタ7はオン状態となり、モータ1からインバータ回路2を通して供給される回生電力は、回生抵抗6でジュール熱となって消費され、モータにブレーキがかかる」ように構成するものである。
特開2004−248488号公報(第4−6頁、図2) 特開2000−188897号公報(第6−10頁、図1) 特開平11−18464号公報(第6−9頁、図1)
前述の通り、一般的なモータ制御装置は、回生エネルギー処理回路とDB回路が必要なために、それぞれ追加の回路と大きなサイズの抵抗が必要であり、モータ制御装置自体の小形化または低価格化ができないという問題があった。
また、第1の従来技術におけるモータ制御装置(特許文献1)では、比較的小サイズでよい突入電流防止用の抵抗は省略できるが、回生エネルギー処理回路については言及されておらず、大きなサイズの回生エネルギー処理回路とDB回路の抵抗を共用することができない。また、直流電源の配線上に接点を備えることで抵抗部品を共用して部品数を減少し、製品サイズ及び製造コストを減らすことを実現しているが、通常のサーボモータを駆動する運転時に、この接点部での損失が増加してしまい、一般的なモータ制御装置よりも効率が低下するという問題もあった。
また、第2の従来技術におけるモータ制御装置(特許文献2)では、直流電源の配線上に半導体スイッチを設けているので、通常の運転時にリレー接点よりもさらに大幅に損失が増加し、この半導体スイッチの冷却装置も必要となり、一般的なモータ制御装置よりも大幅に効率が低下し、大形化してしまうという問題があった。
また、第3の従来技術におけるモータ制御装置(特許文献3)では、「回生処理回路で用いるスイッチング手段として、制御端子に制御信号が入力されているときにはオフ状態となり、制御端子に制御信号が入力されていないときにはオン状態になるノーマリーオン構造の回生用トランジスタ7を用い」ているので、停電時でない場合にダイナミックブレーキを行うことができない。また、停電時でない場合にダイナミックブレーキ動作を行うと直流電源から抵抗へ電力が供給されるので抵抗が焼損してしまうという問題があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、回生エネルギー処理回路とDB回路を備えるものであって、回生エネルギー処理回路の抵抗とDB回路の抵抗とを共用すると共に両回路を簡単化し、また、サーボモータ駆動時の両回路における損失を抑制し、装置自体の小形化または低コスト化を図ることができるモータ制御装置を提供することを目的とする。
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
本発明の一の観点によるモータ制御装置は、直流電源と、前記直流電源の正側負側間に接続する平滑コンデンサと、前記直流電源からの直流電力を交流電力に変換してモータへ供給するインバータブリッジを含むインバータブリッジ回路と、前記インバータブリッジ回路にPWM制御信号を出力する制御回路と、前記インバータブリッジの出力端それぞれにアノード端子を個別に接続する複数のダイオードと、複数の前記ダイオードのカソード端子をコモン接続すると共に、該コモン端子とその一端とを接続する共通抵抗と、前記共通抵抗の他端とその一端とを接続すると共に、前記直流電源の負側とその他端とを接続する半導体スイッチと、前記半導体スイッチの一端とアノード端子とを接続すると共に、前記直流電源の正側とカソード端子とを接続する他のダイオードと、を備えたモータ制御装置が適用される
本発明の一の観点によるモータ制御装置によると、回生エネルギー処理回路の抵抗とDB回路の抵抗とを共用すると共に両回路を簡単化でき、また、サーボモータ駆動時の両回路における損失を抑制することができる。また、大きなサイズの抵抗は、格納する大きな空間や発熱を冷却するための空間、冷却用FANなどの冷却装置が必要であったが、抵抗を共用することにより必要な空間や冷却装置を減少させることができ、装置自体の小形化または低コスト化、更には省エネルギー化を図ることができる。
また、簡単な回路の増設で回生動作とDB動作の抵抗値を調整することができるので、サーボドライブ装置の性能と安全性を向上することができる。また、回生用の抵抗とダイナミックブレーキ用の抵抗とを分けて設計したい場合や抵抗値を状況に応じて細かく調整したい場合、容易に対応することができ、最適な両回路動作をさせることができ、モータ制御装置自体の信頼性向上を図ることができる。
また、PWM動作によって回生エネルギーの消費量を調整・増加させることができるので、更に装置自体の小形化または低コスト化を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1は、本発明のモータ制御装置の概略構成図である。図において、1はダイオード整流などの入力電源へ回生する機能のない直流電源、2は平滑コンデンサ、3は抵抗、4はモータ、5〜11は半導体スイッチ、12〜21はダイオード、30は制御回路である。なお、図において、第1乃至3の従来技術におけるモータ制御装置の図14乃至16に付された構成と同一の符号を付しているが、相互に関係するものではなく、その作用効果も全く異なるものである。
本発明における回生エネルギー処理回路またはDB回路は、抵抗3、半導体スイッチ5、ダイオード12、ダイオード19乃至21で構成されるものであり、抵抗3が両回路に共用する抵抗となるものである。
回生エネルギー処理回路またはDB回路は、モータ4と半導体スイッチ6乃至11とが繋がる出力線上にダイオード19〜21のアノードを接続し、ダイオード19〜21の全てのカソードと抵抗3とを接続する。また、抵抗3の他端は半導体スイッチ5のコレクタとダイオード12のアノードに接続され、半導体スイッチ5のエミッタは直流電源1の負端子(N)に接続され、ダイオード12のカソードは直流電源1の正端子(P)へ接続される。なお、ダイオード12は、半導体スイッチ5がオフした際に、抵抗3の配線インダクタンスに起因するサージ電圧を抑制するために必要なものである。
また、各半導体スイッチ5〜11は、制御回路30によってオンオフを制御されるものであって、制御回路30は、半導体スイッチ6〜11とダイオード13〜18で構成されるインバータブリッジを制御してモータ4を駆動する。なお、回生エネルギー処理回路またはDB回路におけるダイオード19〜21、抵抗3、半導体スイッチ5、ダイオード12には、モータ4を駆動する通常運転時に電流が流れない(制御回路30による半導体スイッチ5のオン動作をしない)ので、モータ制御装置の効率は従来に比べて低下せず、冷却装置も従来の装置と同じでよいのである。
また、制御装置30は、直流電源1のPとNの端子間電圧である主回路電圧(VPN)を監視し、適宜、半導体スイッチ5をオンオフ動作させるものである。
図2は本発明の回生エネルギー処理回路動作時の電流経路例を示す図であり、図3は本発明のDB回路動作時の電流経路例を示す図である。図において、図1と同一の符号を付した構成は、同一の作用効果を奏するものであるため、詳細な説明は省略する。
図2において点線矢印が回生時の電流経路であり、図1における制御回路30は、図示するように半導体スイッチ5,6,8,10をオン動作させると、平滑コンデンサ2に蓄えられたエネルギーは該電流経路を通って、抵抗3によって消費されるのである。
また、図3において点線矢印がDB時の電流経路であり、図1における制御回路30は、図示するように半導体スイッチ5のみをオン動作させると、モータ4からのDBエネルギーは該電流経路を通って、抵抗3によって消費されるのである。
このように、回生時またはDB時にオン動作させる半導体スイッチを可変することにより、抵抗3を共用できると共に、簡単な回路構成により、回生エネルギー処理回路とDB回路とを構成できるのである。
図4は本発明の回生エネルギー処理回路動作時の各スイッチ(半導体スイッチ5〜11)動作例1を示す図であり、図5は本発明の回生エネルギー処理回路動作時の各スイッチ(半導体スイッチ5〜11)動作例2を示す図である。図において、U,V,W相電圧指令および搬送波(キャリア)は、図1における制御回路30が半導体スイッチ6乃至11をPWM制御するための信号、SW5乃至11は、図1における半導体スイッチ5乃至11に相当する各SWのオンオフ動作信号(半導体スイッチ5乃至11がIGBTやnチャンネルMOSFETの場合、ゲート電圧信号に相当)、DB制御信号および回生制御信号は、図1における制御回路30がある条件下で発生する信号、主回路電圧は、図1における直流電源1のP(正)とN(負)の端子間電圧であり、制御回路30がこの主回路電圧を監視するものである。
インバータブリッジ(図1における半導体スイッチ6乃至11およびダイオード13乃至18に相当)が、図4のようにPWM動作を行っている場合、回生動作時、即ちモータ4からの回生エネルギーがモータ制御装置側に移動すると、直流電源1は電源回生機能がないので、回生エネルギーは平滑コンデンサ3へ蓄えられ主回路電圧が上昇する。
しかしながら、PWM動作の中で、半導体スイッチ6、8、10がオン、半導体スイッチ7、9、11がオフであって、インバータブリッジの全ての出力電圧が直流電源1のP(正)の端子電圧となり、モータ4へ印加される線間電圧は零となる状態(線間出力零電圧状態)、または、半導体スイッチ6、8、10がオフ、半導体スイッチ7、9、11がオンであって、インバータブリッジの全ての出力電圧が直流電源1のN(負)の端子電圧となり、モータ4へ印加される線間電圧は零となる状態(線間出力零電圧状態)では、電流はモータ4の配線内で閉じてしまうので、平滑コンデンサ3への充電は行われないのである。
ここで、主回路電圧がON Levelに達すると、制御回路30は回生制御信号をオンとし、回生制御信号とSW6、SW8、SW10の信号とが、全てオンとなる線間出力零電圧状態のタイミングで、SW5をオンとして半導体スイッチ5をオン動作させる。このようにすると、平滑コンデンサ2に蓄えられたエネルギーは、図2のような電流経路を通って、抵抗3によって消費され、これに伴って、主回路電圧が低下し、OFF Levelに達すると、制御回路30は回生制御信号をオフとし、SW5をオフとして半導体スイッチ5をオフ動作させる。なお、ON LevelとOFF Levelは、平滑コンデンサ2など主回路電圧が印加される部品が破壊しないレベルの電位を選べばよい。
このようなPWM動作中の回生エネルギーの移動は、図4に示す通り、インバータブリッジが線間出力零電圧状態でない時は、モータからモータ制御装置側へ回生エネルギーが移動し平滑コンデンサの電圧が上昇する。一方、線間出力零電圧状態では、モータの回生エネルギーはモータ内で閉じており外部へは出力されない。
前述のように、半導体スイッチ6、8、10がオンの線間出力零電圧状態で半導体スイッチ5がオンすると、主回路の平滑コンデンサに蓄えられたエネルギーは、抵抗に移動し消費される。このとき半導体スイッチ6、8、10には、モータの負荷電流方向によって、モータの電流と平滑コンデンサから抵抗へ流れる電流の和が流れることとなり、半導体スイッチの損失が従来のモータ制御装置よりも増加することもある。しかしながら、回生エネルギー処理は、もともとエネルギーを抵抗の損失へ変えるものであるので、この動作時に損失が増えることはモータ制御装置の効率には影響なく問題ないものである。なお、この電流増加に伴う損失増加が、半導体スイッチ5、6、8、10の冷却能力を超えないように抵抗3の値を決めるか、駆動する負荷側で回生エネルギー量を制限する必要がある。
図4に示す例は、PWM周期中(搬送波の山から山の間)に、主回路電圧が、一旦ON Levelを超えて、回生エネルギー処理によりOFF Levelまで低下した例であるが、回生エネルギーと抵抗3で消費できるエネルギーとのバランスから、図5のように複数のPWM周期に渡って回生エネルギー処理が継続することもある。
図6は本発明の回生エネルギー処理回路動作比率を増加させた動作例を示す図であり、図7は本発明の回生エネルギー処理回路動作比率を調整させた動作例を示す図である。図において、図4および5と同一の信号名の記載は、同一の作用をするものであるため、詳細な説明は省略する。
前述のように、抵抗3による回生エネルギー処理動作は、半導体スイッチ6、8、10が全てオンとなる線間出力零電圧状態の条件下のみで行われる。この線間出力零電圧状態の期間は、インバータブリッジの出力電圧に依存し、出力電圧が高い場合は、この期間が非常に短くなる。モータ4から電力を回生する条件では、インバータ出力電圧 < モータ電圧(モータの電圧はモータ回転速度に依存)となるため、線間出力零電圧の期間は、ある程度確保される傾向になる。
一旦ON Levelを超えた主回路電圧を早く減少させる必要がある場合は、図6のように、半導体スイッチ6、8、10が全てオンとなる線間出力零電圧状態の期間を長くすればよい。即ち、3相の電圧指令(U,V,W相電圧指令)に同じ量のオフセット量を加えることにより、半導体スイッチ6、8、10が全てオンとなる線間出力零電圧状態の期間を長くすることができる。3相の電圧指令(U,V,W相電圧指令)に同じ量のオフセット量を加えるということは、半導体スイッチ7、9、11が全てオンとなる線間出力零電圧状態の期間を短くし、半導体スイッチ6、8、10が全てオンとなる線間出力零電圧状態の期間を長くするように調整し、一旦ON Levelを超えた主回路電圧を早く減少させるのである。なお、この場合、モータ4の端子間電圧(線間電圧)は変化しないので、モータ4の駆動・回生にはなんら影響なく、回生エネルギーの消費を多く行うことができるのである。また、この期間の調整(3相の電圧指令(U,V,W相電圧指令)に同じ量のオフセット量を加える調整)は、図7のように必要な時にのみ行い、必要ない場合は従来の期間へ戻してもよいものである。
図8は、本発明のDB動作時の各スイッチ動作例を示す図である。図において、図4乃至7と同一の信号名の記載は、同一の作用をするものであるため、詳細な説明は省略する。
本発明におけるモータ制御装置のダイナミックブレーキ動作は、図1における制御回路30が入力電源の停電、装置故障などを監視して、ダイナミックブレーキを用いた非常停止の必要性を判断した上で行うものである。
ダイナミックブレーキを行う場合には、制御回路は、DB制御信号をオン、かつ半導体スイッチ6〜11の信号SW6〜SW11の全てをオフとし、半導体スイッチ5の信号SW5をオンとして半導体スイッチ5をオン動作させる。この時のDB時の電流経路は、図3の例に示すような経路を通って、電力が抵抗3によって消費されるのである。
図9は、本発明の回生エネルギー処理回路動作からDB動作へ移行する動作例を示す図である。図において、図4乃至8と同一の信号名の記載は、同一の作用をするものであるため、詳細な説明は省略する。
前述のように、ダイナミックブレーキを行うと、モータからのエネルギーは図3に示すDB時の電流経路を介して電力が抵抗3で消費されるので、主回路電圧を下げることはできなくなる。しかしながら、モータから平滑コンデンサ2への充電がなくなるので、平滑コンデンサの電位上昇も止まり、主回路電圧がON Level以下であれば、平滑コンデンサ2等の部品の電圧破壊もないため、この電圧で保持されても問題はない。
したがって、回生エネルギー処理回路動作からDB動作へ移行する場合においても、主回路電圧がON Level以下であれば、ダイナミックブレーキを行っても何ら問題はないのである。逆に、回生エネルギー処理回路動作中の主回路電圧がON Level以上である間は、ダイナミックブレーキを行わない等のシーケンス処理か、負荷装置の保護を優先する場合はダイナミックブレーキを行い、ON Levelの値を若干超える値も平滑コンデンサ2など主回路電圧が印加される部品が破壊しないレベルに設計することが必要である。
図10 は、本発明のSW5の動作信号を生成するロジック回路例を示す図であって、図4乃至9におけるSW6,8,10の動作信号および回生制御信号ならびにDB制御信号からSW5の動作信号を作り出すロジック回路の例である。このような簡単なロジック回路での構成が可能であり、モータ制御装置として安価に実現可能なものである。
図11(a)は本発明の抵抗回路を増加させる場合の実施例を示す図、(b)は本発明の抵抗回路を増加させる場合の他の実施例を示す図である。図において、27は半導体スイッチ、28は抵抗、29はダイオードであって、図1乃至3と同一の符号を付した構成は、同一の作用効果を奏するものであるため、詳細な説明は省略する。
回生エネルギーの消費電力とダイナミックブレーキの消費電力は、モータ制御装置が利用される負荷装置の容量や、その運転条件によって決まるので、その条件に応じて、それぞれ違う最適値が存在することが知られている。
回生エネルギーは負荷に依存するものであって、モータ制御装置の数〜数十%程度であり、モータ制御装置の利用時にその抵抗値R1が設計される。また、ダイナミックブレーキは、モータの巻線インダクタンスと巻線抵抗、回転数によって、最短時間で停止する抵抗値の最適値R2が決まるので、モータ固有の値となる。
一般的には、ダイナミックブレーキに最適な抵抗値R2は低めの値で、R1>R2である。本発明のモータ制御装置のように、回生エネルギー処理回路とDB回路との抵抗を共用すると、回生時の抵抗はパルス動作となるので、単位時間当たりの抵抗利用率をD(<1.0)、抵抗値をR2とすると、等価的な回生用の抵抗値はR1=R2/Dとなり、R1>R2の条件を満たす。
したがって、抵抗の容量は、一般的に回生用抵抗の方が大きいので、抵抗サイズは必要な回生エネルギー消費量に合わせるように設計すればよい。
また、回生用の抵抗とダイナミックブレーキ用の抵抗とを分けて設計したい場合や、抵抗値を状況に応じて細かく調整したい場合には、図11(a)(b)のように、半導体スイッチ27と抵抗28、ダイオード29を増やし、抵抗3と抵抗4を直列または並列接続することで、各動作の抵抗値を変更し、最適値に近づけることができる。
なお、図11は抵抗回路を1つ増設する例を示したが、増設数をさらに増やしてもよい。また、抵抗を多数並列接続するよう構成すれば、各抵抗の有効あるいは無効の組み合わせにより、細かい抵抗値の調整が可能となり、ブレーキ時の力の可変もできるようになる。
本発明のモータ制御装置の概略構成図 本発明の回生エネルギー処理回路動作時の電流経路例を示す図 本発明のDB回路動作時の電流経路例を示す図 本発明の回生エネルギー処理回路動作時の各スイッチ動作例1を示す図 本発明の回生エネルギー処理回路動作時の各スイッチ動作例2を示す図 本発明の回生エネルギー処理回路動作比率を増加させた動作例を示す図 本発明の回生エネルギー処理回路動作比率を調整させた動作例を示す図 本発明のDB動作時の各スイッチ動作例を示す図 本発明の回生エネルギー処理回路動作からDB動作へ移行する動作例を示す図 本発明のSW5の動作信号を生成するロジック回路例を示す図 (a)本発明の抵抗回路を増加させる場合の実施例を示す図(b)本発明の抵抗回路を増加させる場合の他の実施例を示す図 従来のモータ制御装置における回生エネルギー処理回路とDB回路とを示す図 従来のモータ制御装置におけるDB回路の簡略化を示す図 第1の従来技術におけるモータ制御装置の概略構成図 第2の従来技術におけるモータ制御装置の概略構成図 第3の従来技術におけるモータ制御装置の概略構成図
符号の説明
1 直流電源
2 平滑コンデンサ
3、25、28 抵抗
4 モータ
5〜11、27 半導体スイッチ
12〜21、29 ダイオード
30 制御回路

Claims (11)

  1. 直流電源と、
    前記直流電源の正側負側間に接続する平滑コンデンサと、
    前記直流電源からの直流電力を交流電力に変換してモータへ供給するインバータブリッジを含むインバータブリッジ回路と、
    前記インバータブリッジ回路にPWM制御信号を出力する制御回路と、
    前記インバータブリッジの出力端それぞれにアノード端子を個別に接続する複数のダイオードと、
    複数の前記ダイオードのカソード端子をコモン接続すると共に、該コモン端子とその一端とを接続する共通抵抗と、
    前記共通抵抗の他端とその一端とを接続すると共に、前記直流電源の負側とその他端とを接続する半導体スイッチと、
    前記半導体スイッチの一端とアノード端子とを接続すると共に、前記直流電源の正側とカソード端子とを接続する他のダイオードと、を備えたことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記制御回路が、前記共通抵抗が前記モータからの回生電力を処理する回生抵抗と前記モータからの制動電力を処理する制動抵抗とを兼ねるように、前記インバータブリッジまたは前記半導体スイッチをオンオフ動作させることを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記制御回路が、ダイナミックブレーキの場合、前記インバータブリッジを全てオフ動作、かつ前記半導体スイッチをオン動作させ、
    回生の場合、前記インバータブリッジの出力電圧が、全て、前記直流電源の正側電圧となる前記PWM制御信号のタイミング時に、前記半導体スイッチをオン動作させることを特徴とする請求項1または2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記制御回路が、ダイナミックブレーキの場合、前記インバータブリッジを全てオフ動作、かつ前記半導体スイッチをオン動作させ、
    回生の場合、前記インバータブリッジから前記モータに印加される線間電圧がゼロ状態となる前記PWM制御信号のタイミング時に、前記半導体スイッチをオン動作させることを特徴とする請求項1または2に記載のモータ制御装置。
  5. 前記共通抵抗、前記半導体スイッチ、前記他のダイオードの組みを複数組み備えることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載のモータ制御装置。
  6. 前記複数組みの互いの前記共通抵抗を並列接続することを特徴とする請求項に記載のモータ制御装置。
  7. 前記複数組みの互いの前記共通抵抗を直列接続することを特徴とする請求項に記載のモータ制御装置。
  8. 前記制御回路が、前記インバータブリッジの出力電圧が、全て、前記直流電源の正側電圧となる前記PWM制御信号の時間を調整することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  9. 前記制御回路が、前記PWM制御信号を生成するための電圧指令に対して、オフセット量を加えて前記PWM制御信号の時間を調整することを特徴とする請求項8に記載のモータ制御装置。
  10. 前記制御回路が、前記インバータブリッジの出力電圧が、全て、前記直流電源の正側電圧となる前記PWM制御信号の時間を、PWM周期中に可変することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  11. 前記制御回路が、前記PWM制御信号を生成するための電圧指令に対して、オフセット量を加えて前記PWM制御信号の時間を、PWM周期中に可変することを特徴とする請求項10に記載のモータ制御装置。
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