JP2016226234A - インバータ制御装置、電力変換装置および車両 - Google Patents
インバータ制御装置、電力変換装置および車両 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2016226234A JP2016226234A JP2015113145A JP2015113145A JP2016226234A JP 2016226234 A JP2016226234 A JP 2016226234A JP 2015113145 A JP2015113145 A JP 2015113145A JP 2015113145 A JP2015113145 A JP 2015113145A JP 2016226234 A JP2016226234 A JP 2016226234A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gate
- signal
- phase
- semiconductor switch
- circuit
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Abstract
【課題】 重畳したサージ電圧を抑制するインバータ制御装置、電力変換装置および車両を提供する。
【解決手段】 実施形態によるインバータ制御装置は、第1相の半導体スイッチのゲート信号が変化したことを検出する第1ゲート信号変化検出回路と、第2相の半導体スイッチのゲート信号の状態が変化したことを検出する第2ゲート信号変化検出回路と、第1信号変化検出回路および第2信号変化検出回路からゲート信号の状態が変化したことが通知されてから所定期間、出力信号の値を第1値から第2値とする第1保持回路および第2保持回路と、第2保持回路の出力信号と、第1相の半導体スイッチのゲート速度信号とに基づいて、第1相のゲート速度信号を設定して出力する第1ゲート速度設定回路と、第1保持回路の出力信号と、第2相の半導体スイッチゲート速度信号とに基づいて、第2相のゲート速度信号を設定して出力する第2ゲート速度設定回路と、を備える。
【選択図】図3
Description
本発明の実施形態は、インバータ制御装置、電力変換装置および車両に関する。
電力変換装置は、例えば、インバータおよびインバータ制御装置を含み、インバータの複数のスイッチを切り替えて直流電力を交流電力へ変換し、負荷へ交流電力を供給する。例えば、インバータのスイッチが略同時に切り替わるときには、一時的にスイッチに大きな電圧(サージ電圧)が印加されてスイッチが破壊されることがある。
従来、上記サージ電圧を抑制する方法として、(1)スイッチと並列に接続したコンデンサの容量を増加させる、(2)高い耐電圧のスイッチを使用する、(3)スイッチの開閉速度を遅くする、などが行われてきた。
上記(1)乃至(3)の方法は、サージ電圧の抑制に効果がある反面、上記(1)と(2)との対策は、その部品のコストやサイズを増加するために電力変換装置のコストダウンや小型化が困難になり、上記(3)の対策は、スイッチの損失を増加させるため電力変換装置の変換効率の向上が困難となる。
さらに、電力変換器が複数のスイッチを有している場合、それらのスイッチが同時にスイッチ開閉をした場合には、それぞれのサージ電圧が重畳され、1つのスイッチが開閉した時より、大きなサージ電圧が発生する。この重畳したサージ電圧を抑制する方法として、上記(1)(2)(3)の方法の他に、(4)アームごとに個別のコンデンサを接続する方法が挙げられる。上記(4)の方法は、コンデンサが複数個必要になるため、電力変換装置の構造の複雑化、コストアップ、大型化の要因となる。
本発明の実施形態は、上記事情を鑑みて成されたものであって、インバータのスイッチが同時にスイッチングすることにより発生する重畳したサージ電圧を抑制するインバータ制御装置、電力変換装置および車両を提供することを目的とする。
実施形態によれば、第1相の半導体スイッチのゲート信号を受信し、前記ゲート信号の状態が変化したことを検出する第1ゲート信号変化検出回路と、第2相の半導体スイッチのゲート信号を受信し、前記ゲート信号の状態が変化したことを検出する第2ゲート信号変化検出回路と、前記第1信号変化検出回路から前記ゲート信号の状態が変化したことが通知されてから所定期間、出力信号の値を第1値から第2値とする第1保持回路と、前記第2信号変化検出回路から前記ゲート信号の状態が変化したことが通知されてから所定期間、出力信号の値を第1値から第3値とする第2保持回路と、前記第2保持回路の出力信号と、前記第1相の半導体スイッチのゲート電圧の変化率を指令するゲート速度信号とに基づいて、前記第1相のゲート速度信号を設定して出力する第1ゲート速度設定回路と、前記第1保持回路の出力信号と、前記第2相の半導体スイッチのゲート電圧の変化率を指令するゲート速度信号とに基づいて、前記第2相のゲート速度信号を設定して出力する第2ゲート速度設定回路と、を備えたことを特徴とするインバータ制御装置が提供される。
以下、実施形態の電力変換装置、インバータ制御装置、および車両について、図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態のインバータ制御装置、電力変換装置、および車両の構成例を概略的に示す図である。
図1は、一実施形態のインバータ制御装置、電力変換装置、および車両の構成例を概略的に示す図である。
第1実施形態の車両は、電力変換装置と、モータMと、車軸を介してモータMの動力が伝達される車輪WLと、を備えている。電力変換装置は、直流電源BTと、インバータINVと、平滑コンデンサCと、コントローラCTRLと、ゲート信号処理回路20と、インバータゲート回路30と、直流電圧検出器40と、電流検出器42、44、46と、モータ磁極位置センサ50と、保護回路60と、を備えている。
直流電源BTは、例えばリチウムイオン電池、ニッケル水素電池等の蓄電池を含む。直流電源BTから出力された直流電力はインバータINVへ供給される。また、直流電源BTは直流負荷であって、インバータINVを介して接続された交流負荷、例えばモータMが発電する電気エネルギを充電する。
インバータINVは、直流電源BTから供給された直流電力を3相交流電力に変換する3相インバータである。インバータINVは、複数のスイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szを備え、後述するゲート回路30U、30V、30Wからのゲート信号に従って、複数のスイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szが開閉することによって、モータMへ3相交流電流を供給する。
インバータINVは、直流電源BTと負荷との間に接続し、直流電源BTからの電流を供給する直流リンクLINK(H)、LINK(L)間に直列に接続した一対のスイッチを備えた複数のスイッチ回路を備えている。U相のスイッチ回路はスイッチSu、Sxを含み、V相のスイッチ回路はスイッチSv、Syを含み、W相のスイッチ回路はスイッチSw、Szを含む。各相のスイッチ回路は互いに並列に接続している。各相において、一対のスイッチが直列に接続し、一対のスイッチの間においてモータMと電気的に接続している。例えば、U相において、一対のスイッチSu、Sxは直列に接続し、一対のスイッチSu、Sx間においてモータMと電気的に接続している。スイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szは、例えば、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ:Insulated Gate Bipolar Transistor)、FET(Field-Effect Transistor)、GTO(gate turn-off thyristor)、トランジスタなどの電気的に開閉制御することができるスイッチである。本実施形態の電力変換装置において、スイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、SzはIGBTである。
インバータゲート回路30は、U相ゲート回路30U、V相ゲート回路30V、および、W相ゲート回路30Wを含む。U相ゲート回路30U、V相ゲート回路30V、および、W相ゲート回路30Wは、ゲート信号処理回路20からゲート信号およびゲート速度信号を受信し、3相インバータINVのスイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szのゲート電極へ対応するゲート信号を出力する。図1に示すように、インバータINVの各相に上下2つのスイッチが接続されている場合には、各相2つのゲート信号を生成する。各相ゲート回路30U、30V、30Wは、各相の2つのゲート信号を生成する際に、例えばゲート信号処理回路20から出力されたゲート信号を上段スイッチのゲート信号に使い、そのゲート信号を反転した信号を下段スイッチの開閉信号として用いることができる。なお、一般的にインバータINVの各相の上下段スイッチが電気的に短絡することを防止するために、上下段スイッチを両方オフするデッドタイム期間を設けることが望ましい。
U相ゲート回路30U、V相ゲート回路30V、および、W相ゲート回路30Wは、それぞれ、ゲート信号の出力端子の前段に設けられた、ゲート速度制御回路32を含んでいる。本実施形態では、U相ゲート回路30U、V相ゲート回路30V、および、W相ゲート回路30Wのそれぞれは、各相の2つのスイッチへゲート信号を出力する為、2つのゲート速度制御回路32を含んでいる。ゲート速度制御回路32については、図2を用いて後に説明する。
平滑コンデンサCは、直流電源BTとインバータINVとの間において、複数のスイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Sz、および、直流電源BTと並列に接続している。平滑コンデンサCは、インバータINVが運転することにより、インバータINVが接続する直流リンクLINK(H)、LINK(L)の電圧が変動することを抑制する。
モータMは交流負荷であって、インバータINVから供給された電流によりトルクを発生する。モータMの出力軸には、負荷装置が接続されて発生したトルクが伝達される。また、モータMは、負荷装置の運動エネルギを電力に変換して回生運転する。モータMの回生運転による電力はインバータINVで直流電力へ変換されて、直流電源BTに充電される。本実施形態では、モータMの出力軸には、車軸が接続されて発生したトルクが車軸を介して車輪WLへ伝達される。また、モータMは、車軸を介して伝達された車輪WLの運動エネルギを電力に変換して回生運転する。
直流電圧検出器40は、インバータINVが接続した直流リンク部(直流電流供給ライン)LINK(H)、LINK(L)の電圧を検出して、コントローラCTRLへ提供する。直流リンク部LINK(H)、LINK(L)は、直流電源BTとインバータINVとの間で直流電流を相互に供給する。
電流検出器42、44、46は、モータMに供給される電流を検出して、コントローラCTRLへ提供する。電流検出器42はモータMに供給されるU相電流Iuを検出し、電流検出器44はモータMに供給されるV相電流Ivを検出し、電流検出器46はモータMに供給されるW相電流Iwを検出している。
モータ磁極位置センサ50は、例えばレゾルバであり、モータMの回転子の角度位置θを検出して、コントローラCTRLへ出力する。なお、モータ磁極位置センサ50は、機械や磁気的なセンサでなく、電流検出器42、44、46の電流情報から磁極位置を推定するセンサレス磁極位置推定器でもよい。その場合には、モータ磁極位置センサ50を省略することができる。
保護回路60は、過電流保護回路62と、過熱保護回路64と、過電圧保護回路66と、ゲートブロック集約回路68と、を備えている。過電流保護回路62は、電流検出器42、44、46で検出した各相電流Iu、Iv、Iwを受信し、過電流状態(各相電流Iu、Iv、Iwの少なくとも1つが電流閾値以上である状態)か否かを判断する。過熱保護回路64は、例えば、図示しない温度センサよりスイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Sz近傍の温度を受信し、スイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szが過熱状態(スイッチ近傍の温度が温度閾値以上である状態)か否かを判断する。過電圧保護回路66は、直流電圧検出器40で検出した直流電圧を受信し、過電圧状態(直流電圧が電圧閾値以上である状態)か否かを判断する。ゲートブロック集約回路68は、過電流状態、スイッチの過熱状態、および、過電圧状態の少なくとも1つの状態であるとの判断結果を受信したときに、ハイレベル(1)のゲートブロック信号を出力する。ゲートブロック集約回路68は、過電流状態、スイッチの過熱状態、および、過電圧状態のいずれでもないときには、ローレベル(0)のゲートブロック信号を出力する。
コントローラCTRLは、例えばCPU(central processing unit)やMPU(micro processing unit)等のプロセッサであり、外部から供給されたトルク指令に基づいて、所望の電流を負荷に印加するために、インバータINV内のセンサから制御情報(直流電圧、各相電流等)を受け取ってゲート信号を生成する。さらにコントローラCTRLは、ゲート電圧の変化率を指令するゲート速度信号を生成する。
ここで、スイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szのゲート電圧の変化率を高くすると直流リンク部LINK(H)、LINK(L)に生じるサージ電圧が大きくなるが、半導体スイッチであるIGBTのスイッチング損失が減少する。スイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szのゲート電圧の変化率を低くすると、直流リンク部LINK(H)、LINK(L)に生じるサージ電圧が小さくなるが、IGBTのスイッチング損失が増加する。スイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szに高いサージ電圧が印加されると耐圧破壊と電磁ノイズが発生するという観点から、本実施形態では、コントローラCTRLは、制御情報(直流電圧、各相電流等)を用いて許容される範囲でゲート電圧の変化率が高くなるようにゲート速度信号を設定する。なお、各相ゲート速度信号は、コントローラCTRLの他の専用の処理回路で生成されてもよい。
各相ゲート速度信号は、直流リンク電圧(直流電圧)や各相電流等からサージ電圧が大きくなる条件であるかを判断して出力される。発生するサージ電圧が大きいと判断したときには、ゲート速度信号をローレベル(0)にして、スイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szのゲート電圧の変化を小さくすることでサージ電圧を小さくする。発生するサージ電圧が小さいと判断したときには、ゲート速度信号をハイレベル(1)にして、スイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szのゲート電圧の変化を大きくすることで、スイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szの発生するスイッチング損失を低減する。
さらに、インバータINV内の複数のスイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szが同時にスイッチングしたときに、個々に発生したサージ電圧が重畳することで、重畳サージ電圧と呼ばれる大きなサージ電圧が発生する。例えば、コントローラCTRLがすべてのゲート信号の変化するタイミングを監視すれば、この重畳サージ電圧の発生を事前に予測することができるが、コントローラCTRLの処理量が非常に多くなり現実的にコントローラCTRL内で重畳サージ電圧の発生するタイミングを事前に演算することは望ましくない。そこで、本実施形態では、ゲート信号処理回路20において、ゲート信号の変化するタイミングを監視して、大きなサージ電圧が発生することを回避している。
ゲート信号処理回路20は、重畳サージ電圧が発生しうるすべてのゲート信号を監視して、重畳サージ電圧が発生するときに、ゲート電圧の変化率が低くなるようにゲート速度信号’を設定する。ゲート信号処理回路20で設定したゲート速度信号’は、コントローラCTRLが生成したゲート速度信号の指令よりも優先される。
また、ゲート信号処理回路20は保護回路60から受け取るゲートブロック信号をもとに、出力するゲート信号をすべて停止する機能を有する。これは保護回路60がインバータINV内外のセンサ情報からインバータINVの異常を検出してインバータINVが破壊されないようにスイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szの動作を停止する。一般的にマイコンの処理にも同様の機能を有しているが、より早くスイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szを停止させたい故障モードを検知するために、保護回路60を用いる。
ゲート信号処理回路20の構成は図3を用いて後に説明する。
ゲート信号処理回路20の構成は図3を用いて後に説明する。
図2は、図1に示す各相ゲート回路の速度制御回路の構成例を説明するための図である。なお、図2では、1つの半導体スイッチのゲート信号のゲート電圧変化率を切り替える構成を記載しているが、各相ゲート回路30U〜30Wそれぞれはゲート信号の出力端毎に同様の構成を備えている。
ゲート速度制御回路32は、ゲート信号電源SSと、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2と、第3スイッチSW3と、第1抵抗器R1と、第2抵抗器R2とを有している。
ゲート速度制御回路32は、ゲート信号電源SSと、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2と、第3スイッチSW3と、第1抵抗器R1と、第2抵抗器R2とを有している。
第1スイッチSW1および第2スイッチSW2は、ゲート信号により開閉制御されるトランジスタである。第1スイッチSW1はNPN型のトランジスタであって、第2スイッチSW2はPNP型のトランジスタである。ゲート信号がハイレベル(1)となると、第1スイッチSW1が導通(オン)し、ゲート信号電源SSから半導体スイッチのゲートに印加される信号がローレベル(0)からハイレベル(1)へ変化する。ゲート信号がローレベル(0)となると、スイッチSW1は非導通(オフ)し、第2スイッチSW2が導通(オン)し、半導体スイッチのゲートに印加される信号がハイレベル(1)からローレベル(0)へ変化する。
第1抵抗器R1は、半導体スイッチへのゲート信号出力端に接続している。第2抵抗器R2は、第3スイッチSW3を介して第1抵抗器R1と並列に接続している。
第3スイッチSW3は、ゲート信号処理回路20から出力されたゲート速度信号’により開閉動作を制御される。ゲート速度信号’がローレベル(0)のときには、第3スイッチSW3は非導通(オフ)状態であって、ゲート電圧は第1抵抗器R1を介して半導体スイッチのゲートに印加される。ゲート速度信号’がハイレベル(1)のときには、第3スイッチSW3は導通(オン)状態であって、ゲート信号は第1抵抗器R1および第2抵抗器R2を介して半導体スイッチのゲートに印加される。このとき例えば第2抵抗器R2の抵抗値r2は第1抵抗器R1の抵抗値r1よりも大きい。
半導体スイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szとして採用可能であるIGBTやFET素子は、ゲート信号の入力部がコンデンサ成分であることから、各相ゲート回路30U〜30Wの出力端に接続する抵抗を大きくすることで、ゲート電圧の変化を遅くすることができる。また、ゲート回路30U〜30Wの出力端に接続する抵抗を小さくすることで、ゲート電圧の変化を速くすることができる。
上記のことから、ゲート速度信号がハイレベル(1)の時は、値の小さい抵抗を使用して、ゲート速度信号がローレベル(0)の時は、値の大きい抵抗を使用する装置をゲート回路に設けることで、後述するように直流リンクLINK(H)、LINK(L)に発生するサージ電圧の最大値を抑制することができる。
なお、図2に示す回路では、ゲート速度信号がハイレベル(1)の時に、第1抵抗器R1と第2抵抗器R2との2つの経路でゲート信号を伝達するため、ゲート電圧の変化が速くなる。2つの経路の抵抗値は(r1×r2)/(r1+r2)であり、第1抵抗器R1の抵抗値r1より小さいため、ゲート速度信号がハイレベル(1)の時の方が抵抗の小さい回路構成となる。
図3は、図1に示すゲート信号処理回路の構成例を説明するためのブロック図である。
ゲート信号処理回路20は、ゲートブロック処理回路22と、信号変化検出回路24U、24V、24Wと、保持タイマ(保持回路)26U、26V、26Wと、ゲート速度設定回路28U、28V、28Wと、を備えている。
ゲート信号処理回路20は、ゲートブロック処理回路22と、信号変化検出回路24U、24V、24Wと、保持タイマ(保持回路)26U、26V、26Wと、ゲート速度設定回路28U、28V、28Wと、を備えている。
ゲートブロック処理回路22は、保護回路60からゲートブロック信号を受信し、コントローラCTRLから、U相ゲート信号、V相ゲート信号およびW相ゲート信号を受信し、U相ゲート信号’、V相ゲート信号’およびW相ゲート信号’を出力する。
U相ゲート信号、V相ゲート信号およびW相ゲート信号は、コントローラCTRLから出力されたスイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szの開閉信号である。本実施形態では、U相ゲート信号、V相ゲート信号およびW相ゲート信号は、各相の上段スイッチSu、Sv、Swを閉(導通)状態にするときはハイレベル(1)であり、下段スイッチSx、Sy、Szを閉(導通)状態にするときはローレベル(0)である。
なお、ここでは、上下段スイッチの両方を開(非導通)状態にすることと、上下段スイッチの状態切り替え時に上下段の両方を一時的に開状態にするデッドタイムを設けることについては一般的な動作であるため、説明を省略する。
ゲートブロック信号は、各相の半導体スイッチの状態を指令する信号である。ゲートブロック信号は、各相のセンサ情報が異常状態であるときにハイレベル(1)となり、各相の半導体スイッチが正常状態であるときにローレベル(0)となる。すなわち、ゲートブロック信号のローレベル(0)からハイレベル(1)への変化は、インバータINVの停止指令となる。
ゲートブロック処理回路22は、インバータINVまたはその周辺機器に異常が発生した時に、即座に半導体スイッチを開(非導通)状態にしてインバータを停止させるため、ゲート信号’をローレベル(0)とする。ゲートブロック処理回路22は、ゲートブロック信号がローレベル(0)のときは、半導体スイッチをゲート信号に従った開閉状態にするため、ゲート信号’をゲート信号と同じ信号状態とする。ゲートブロック処理回路22は、ゲートブロック信号がハイレベル(1)のときは、ゲート信号によらず半導体スイッチを開(非導通)状態にする指令として、ゲート信号’をローレベル(0)とする。
信号変化検出回路24U、24V、24Wは、U相ゲート信号’、V相ゲート信号’およびW相ゲート信号’の値を監視して、U相ゲート信号’、V相ゲート信号’およびW相ゲート信号’が変化したタイミングを保持タイマ26U、26V、26Wへ通知する。信号変化検出回路24U、24V、24Wは、U相ゲート信号’、V相ゲート信号’およびW相ゲート信号’がローレベル(0)からハイレベル(1)へ変化したタイミング、および、ハイレベル(1)からローレベル(0)へ変化したタイミングの両方若しくは一方を検出して、保持タイマ26U、26V、26Wへ通知することができる。
保持タイマ26U、26V、26Wは、通常時はハイレベル(1)の信号GU、GV、GWを出力し続けているが、信号変化検出回路24U、24V、24Wから通知を受け取ったときにはあらかじめ設定された時間だけローレベル(0)の信号GU、GV、GWを出力する。保持タイマ26U、26V、26Wの出力信号GU、GV、GWは重畳サージ電圧が発生する可能性がある他相のゲート速度信号’を出力する、ゲート速度設定回路28U、28V、28Wに入力される。
U相のゲート速度設定回路28Uは、他相の保持タイマ26V、26Wの出力信号GV、GWと、U相ゲート速度信号と、を受信する。ゲート速度設定回路28Uは、他相の保持タイマ26V、26Wの出力信号GV、GWと、コントローラCTRLまたは専用処理回路が出力するゲート速度信号との論理積を演算して、U相ゲート速度信号’として出力する。論理積とは、受け取った複数の信号すべてがハイレベル(1)であるときのみハイレベル(1)を出力し、受け取った複数の信号のうち1つでもローレベル(0)であったときにはローレベル(0)を出力する。
V相のゲート速度設定回路28Vは、他相の保持タイマ26U、26Wの出力信号GU、GWと、V相ゲート速度信号と、を受信する。ゲート速度設定回路28Vは、他相の保持タイマ26U、26Wの出力信号GU、GWと、コントローラCTRLまたは専用処理回路が出力するゲート速度信号との論理積を演算して、V相ゲート速度信号’として出力する。
W相のゲート速度設定回路28Wは、他相の保持タイマ26U、26Vの出力信号GU、GVと、W相ゲート速度信号と、を受信する。ゲート速度設定回路28Wは、他相の保持タイマ26U、26Vの出力信号GU、GVと、コントローラCTRLまたは専用処理回路が出力するゲート速度信号との論理積を演算して、W相ゲート速度信号´として出力する。
上記のように、ゲート速度信号’は、ゲート速度設定回路28U、28V、28Wが受け取った複数の信号のうち1つでも低速のゲート速度指令(ローレベル(0))があるときには、低速のゲート速度指令であるローレベル(0)となる。そして、ゲート速度信号’は、ゲート速度設定回路28U、28V、28Wが受け取った複数の信号のすべてが高速のゲート指令であるときには、高速のゲート速度指令であるハイレベル(1)となる。なお、上記ゲート速度信号およびゲート速度信号’の値(0/1)の定義と、ゲート速度設定回路28U、28V、28Wが論理積によりゲート速度信号’を演算することは、これに限定されるものではない。
上記説明のように、本実施形態のインバータ制御装置、電力変換装置および車両では、各相のゲート速度設定回路28U、28V、28Wは他相のゲート信号が変化するタイミングにより、自相のゲート速度信号’を設定するため、複数のゲート信号の値のすべての組み合わせにより、同時スイッチングが発生するかのタイミングを判断する必要はない。
図4は、図3に示すゲート信号処理回路の保持タイマの動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
本実施形態のインバータ制御装置、電力変換装置および車両では、コントローラCTRLがゲート信号とゲート速度信号とを出力するが、コントローラCTRLがゲート信号を出力してからスイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Sxの開閉状態が変化するまでには遅延が発生する。これはゲート信号処理回路20でのフィルタやゲート電圧を生成するときの回路遅れによるものである。
一方で、コントローラCTRLがゲート速度信号を出力してから、図2に示すゲート速度制御回路32の第3スイッチSW3が動作するまでには遅延が発生する。これは、ゲート信号処理回路20における信号変化検出処理、保持タイマ、ゲート速度設定の処理遅れと、ゲート速度制御回路32の第3スイッチSW3の動作遅れによるものである。
そこで、図4を用いて、ゲート信号処理回路20の保持タイマ26U、26V、26Wの出力信号GU、GV、GWをローレベル(0)とする時間t1を設定する方法について以下に説明する。
そこで、図4を用いて、ゲート信号処理回路20の保持タイマ26U、26V、26Wの出力信号GU、GV、GWをローレベル(0)とする時間t1を設定する方法について以下に説明する。
図4において、上述のゲート信号の遅延時間がt3であり、ゲート速度信号の遅延時間がt2である。ゲート速度信号を強制的に低速モードに切り替える時間t1は上記の時間t2と、時間t3と、サージ電圧が発生する時間t4と、を考慮して設定される必要がある。
すなわち、t2<t3かつ(t1+t2)>(t3+t4)を満足するようにt1を設定することで、サージ電圧発生中に他相スイッチングは確実に低速モードに切り替えることができる。なお、サージ電圧のピーク付近での重畳サージを防ぐ場合には、上の式に従わなくても良い。その場合、サージ電圧が発生している時間t4のうちでサージ電圧が低い時間をt5とすると、(t1+t2)>(t3+t4−t5)を満足するように時間t1を設定することで、サージ電圧がピーク付近で重畳することを防ぐことができる。
すなわち、t2<t3かつ(t1+t2)>(t3+t4)を満足するようにt1を設定することで、サージ電圧発生中に他相スイッチングは確実に低速モードに切り替えることができる。なお、サージ電圧のピーク付近での重畳サージを防ぐ場合には、上の式に従わなくても良い。その場合、サージ電圧が発生している時間t4のうちでサージ電圧が低い時間をt5とすると、(t1+t2)>(t3+t4−t5)を満足するように時間t1を設定することで、サージ電圧がピーク付近で重畳することを防ぐことができる。
なお、上述の遅延時間t2、t3はコントローラCTRL、ゲート信号処理回路20および各相ゲート回路30U、30V、30W等の回路に起因するものであり、その値は使用環境などの外部要因によって大きく変化するものではない。そのため、遅延時間t2、t3が存在してもその値が一定であるときには、上記のように時間t1を設定することにより、重畳サージ電圧のもととなる2つのゲート信号のスイッチングタイミングがずれていても、重畳サージ電圧を確実に抑制することができる。
図5は、図3に示すゲート信号処理回路の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
なお、以下の説明では、スイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szが閉(導通)状態から開(非導通)状態に切り替わるターンオフスイッチング時に発生するターンオフサージ電圧が、開状態から閉状態に切り替わるターンオンスイッチング時に発生するターンオンサージ電圧より大きいものとして説明する。また、図5に示す期間において、コントローラCTRLまたは専用回路が出力するゲート速度信号は、すべて高速のゲート速度指令であるハイレベル(1)であるものとする。
なお、以下の説明では、スイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szが閉(導通)状態から開(非導通)状態に切り替わるターンオフスイッチング時に発生するターンオフサージ電圧が、開状態から閉状態に切り替わるターンオンスイッチング時に発生するターンオンサージ電圧より大きいものとして説明する。また、図5に示す期間において、コントローラCTRLまたは専用回路が出力するゲート速度信号は、すべて高速のゲート速度指令であるハイレベル(1)であるものとする。
期間T1において、U相ゲート信号がハイレベル(1)からローレベル(0)へ切り替わると、V相ゲート速度信号’とW相ゲート速度信号’とが時間t1だけローレベル(0)となる。同様に、W相ゲート信号がハイレベル(1)からローレベル(0)へ切り替わると、U相ゲート速度信号’とV相ゲート速度信号’とが時間t1だけローレベル(0)となる。V相ゲート信号がハイレベル(1)からローレベル(0)へ切り替わると、U相ゲート速度信号’とW相ゲート速度信号’とが時間t1だけローレベル(0)となる。
上記期間T1では、それぞれの相のゲート信号が他の相と異なるタイミングでハイレベル(1)からローレベル(0)に切り替わっている。そのため、期間T1には重畳サージ電圧は発生しない。そして各相のスイッチングタイミングで他相のゲート速度指令’を低速に切り替わっているが、ゲート速度指令’が低速となっている期間にその他相スイッチングが行われないため、スイッチング損失が大きくなることはなく、高効率運転を実現することができる。
期間T2において、各相ゲート信号がローレベル(0)からハイレベル(1)へ切り替わる。前述のように本実施形態では、ターンオンサージ電圧は小さいものであるため、信号変化検出回路24U、24V、24Wはターンオンスイッチングを検出しない。したがって、期間T2において、各相のゲート速度信号’は高速のハイレベル(1)を維持する。そのため、ターンオンの重畳サージ電圧が発生する条件においても、インバータINVのスイッチング損失が大きくなることはなく、高効率運転を実現することができる。
期間T3において、U相ゲート信号とW相ゲート信号とが同時にハイレベル(1)からローレベル(0)へ切り替わっている。この期間T3では、2つの相で同時にゲート信号変化が検出されるため、3相すべてのゲート速度信号’が同時に低速のゲート速度指令のローレベル(0)に変化する。そのため、U相ゲート信号とW相ゲート信号とのターンオフサージ電圧は、共にゲート電圧の変化が低速のときのゲート電圧変化になるため、発生する重畳サージ電圧は、ゲート電圧の変化が高速のときのゲート電圧変化時に発生する重畳サージ電圧より小さくなる。
上記のように、本実施形態のインバータ制御装置、電力変換装置および車両では、重畳サージが発生するか否か自体を監視することなく、大きな重畳サージ電圧の発生を確実に防ぐことができる。
図6は、図3に示すゲート信号処理回路の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。ここでは、ゲートブロック動作時のゲート信号処理回路の動作について説明する。
本実施形態のインバータ制御装置、電力変換装置および車両は、何らかの異常を検知したときに直ちにインバータINVの運転を停止させるためのゲートブロック処理機能を実装している。ゲートブロック処理機能は、例えば、インバータINVへゲート信号を出力するコントローラCTRL内部に含まれてもよく、コントローラCTRLが出力したゲート信号と、ゲート回路30U、30V、30Wとの間に専用回路を有していてもよく、ゲート信号処理回路(例えばCPLD)20に含まれていてもよい。
本実施形態のインバータ制御装置、電力変換装置および車両は、何らかの異常を検知したときに直ちにインバータINVの運転を停止させるためのゲートブロック処理機能を実装している。ゲートブロック処理機能は、例えば、インバータINVへゲート信号を出力するコントローラCTRL内部に含まれてもよく、コントローラCTRLが出力したゲート信号と、ゲート回路30U、30V、30Wとの間に専用回路を有していてもよく、ゲート信号処理回路(例えばCPLD)20に含まれていてもよい。
図6に示す例では、期間T3においてゲートブロック動作が行われている。例えば、ゲートブロック機能が出力するゲートブロック信号は、保護動作が必要ない正常時はローレベル(0)であり、保護動作が必要となる異常検出時にはハイレベル(1)に変化する。ゲートブロック動作時(異常検出時)には、すべてのスイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szを非導通(オフ)状態にするため、すべての相のゲート信号’をローレベル(0)に変化させる。したがって、ゲートブロック動作時には、それまで導通(オン)状態であったスイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szがすべて同時に非導通(オフ)状態に変化するため、ターンオフスイッチングの重畳サージ電圧が発生することになる。
本実施形態では、ゲート信号処理回路20において、ゲートブロック処理回路22の出力信号であるゲート信号’を各相の信号変化検出回路24U、24V、24Wに入力しているため、ゲートブロック動作時のターンオフスイッチングも検出することができる。したがって、ゲートブロック動作時において、全ての相のゲート速度信号’を低速のゲート速度指令であるローレベル(0)とすることで、ゲートブロック動作時に発生する重畳サージ電圧を確実に抑制することができる。
上記のように、本実施形態によれば、インバータのスイッチが同時にスイッチングすることにより発生する重畳したサージ電圧を抑制するインバータ制御装置、電力変換装置および車両を提供することができる。
なお、本実施形態では、ターンオフサージ電圧が大きいインバータの制御装置、電力変換装置および車両について説明したが、高効率運転を実現するためにターンオンサージ電圧も大きいインバータの制御装置、電力変換装置および車両にも適用することが可能である。その場合、信号変化検出回路24U、24V、24Wはターンオンとターンオフとの両方のタイミングを検出して、保持タイマ26U、26V、26Wに通知するように変更すればよい。それにより、異なる相のスイッチのターンオン同士が同じタイミングで生じるときの重畳サージ電圧と、異なる相のスイッチのターンオンとターンオフとが同じタイミングで生じるときの重畳サージ電圧とを低減することが可能となる。
また、インバータINV単体に適用されるものに限らず、直流リンクLINK(H)、LINK(L)を共有することで重畳サージ電圧が発生しえる他のインバータや、インバータINVと組み合わせて用いられる昇圧器についても、ゲート信号処理回路20を共有することで、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、半導体スイッチを用いたインバータで、モータに電流を供給する車両には、モータの巻線部でも、半導体スイッチの開閉状態の変化によってサージ電圧が発生する。このサージ電圧の発生現象も半導体スイッチの開閉時に発生するインバータのサージ電圧が、インバータとモータ間の配線を含んだモータのインダクタンス成分(L)と寄生容量(C)との成分からなる共振現象によって、モータ内部においてインバータサージ電圧より大きなサージ電圧が発生する。半導体スイッチに印加するゲート電圧を遅くすることで、インバータのサージ電圧の大きさおよび電圧の変化が小さくなり、同様に、そのモータサージ電圧も抑制される。一般的に、IGBTは非導通(オフ)状態から導通(オン)状態に変化するときのゲート電圧の変化が速いため、ターンオンサージ電圧によるモータサージ電圧が大きくなる傾向がある。本実施形態のインバータ制御装置、電力変換装置および車両を適用することで、インバータサージ電圧を抑制することにより、過大なモータサージ電圧の発生を確実に抑制することができる。
次に、第2実施形態の電力変換装置、インバータ制御装置、および車両について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、上述の第1実施形態の電力変換装置、インバータ制御装置、および車両と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図7は、第2実施形態の電力変換装置、インバータ制御装置、および車両の構成を説明するための図である。ここでは、第1実施形態の電力変換装置、インバータ制御装置、および車両と異なる構成の説明に必要な部分のみを示している。
本実施形態の電力変換装置は、サージ量予測回路70を更に備えている。サージ量予測回路70は、制御情報(直流電圧、交流電流、温度、ロータ位置)を受信し、これらの情報からサージ電圧の大きさを演算する。サージ電圧の大きさはインバータINVの使用条件によって異なる。例えば、ターンオフサージ電圧はその半導体スイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szに導通する電流が大きいときほど大きくなる。また、一般的には、半導体スイッチは温度が低いほど、同じゲート電圧条件でもサージ電圧が大きくなる特性であることが多い。また、直流リンク電圧(PN電圧)が大きいほど、サージ電圧によって半導体スイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szに印加される電圧が大きくなる。
上述の第1実施形態では、上記の制御情報は各種センサからインバータINVの制御基板に入力され、コントローラCTRLがインバータINVの駆動制御に用いている。本実施形態では、上記制御情報を受信するサージ量予測回路70を更に設け、サージ電圧が大きくなるときのみ、サージ量予測回路70からゲート信号処理回路20へ低速モードへの切り替えを許可するサージ情報信号を通知する。
すなわち、サージ量予測回路70は、上記制御情報からサージ電圧を演算し、演算したサージ電圧の値と予め設定された閾値とを比較して、演算したサージ電圧の値が閾値以上であるときに、サージ情報信号を低速モードへの切り替えを許可する値とする。サージ量予測回路70は、演算したサージ電圧の値が閾値未満であるときに、サージ情報信号を低速モードへの切り替え不可とする値とする。
ゲート信号処理回路20の、例えば保持タイマ26U、26V、26Wは、サージ情報信号を受信し、サージ情報信号が低速モードへの切り替えを許可する値であるときに、上述の第1実施形態と同様に信号GU、GV、GWを出力する。サージ情報信号が低速モードへの切り替えを不可とする値であるときには、保持タイマ26U、26V、26Wは、信号GU、GV、GWをハイレベル(1)とする。
上記のように、サージ量予測回路70を設け、サージ電圧が大きくなるときのみゲート信号処理回路20の低速モードへの切り替えを許可することにより、同時スイッチングによって重畳サージ電圧が発生するとしても、その重畳サージ電圧が過大でないことをサージ量予測回路が判断することで、高効率な運転である高速モードを選択することができる。
すなわち、本実施形態によれば上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができ、更に、インバータINVの運転効率の低下を抑制することができる。
すなわち、本実施形態によれば上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができ、更に、インバータINVの運転効率の低下を抑制することができる。
次に、第3実施形態の電力変換装置、インバータ制御装置、および車両について、図面を参照して説明する。
図8は、第3実施形態の電力変換装置、インバータ制御装置、および車両の構成を説明するための図である。
図8は、第3実施形態の電力変換装置、インバータ制御装置、および車両の構成を説明するための図である。
本実施形態の電力変換装置は、昇圧器BSTと、昇圧器ゲート回路30Bと、を更に備えている。また、コントローラCTRLは、昇圧器コントローラC1とインバータコントローラC2とを備えている。
なお、図8に示すインバータゲート回路30は、上述の第1実施形態のゲート回路30U、30V、30Wを含む回路である。
なお、図8に示すインバータゲート回路30は、上述の第1実施形態のゲート回路30U、30V、30Wを含む回路である。
昇圧器BSTは、直流電源BTとインバータINVとの間に接続されている。電源電圧BTより大きい電圧値を直流リンクLINK(H)、LINK(L)に出力する。ただし、直流リンク電圧(PN電圧)が高くなると、インバータINV側の半導体スイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szのスイッチング損失が増加してしまうため、モータ(交流負荷)Mに印加する電圧振幅を考慮して、昇圧器コントローラC1が効率の良い出力電圧を算出して昇圧器BSTの半導体スイッチSA、SBを駆動する。また、昇圧器BSTは双方向にエネルギを伝達することができるため、インバータINVが回生したエネルギを直流電源BTに充電することができる。
昇圧器BSTは、入力電流センサ48と、入力コンデンサCINと、昇圧リアクトルLBと、スイッチSA、SBと、を備えている。
入力電流センサ48は、直流電源BTと昇圧器BSTとの間に流れる電流を検出する。入力電流センサ48で検出された電流値は、昇圧器コントローラC1に入力される。
入力電流センサ48は、直流電源BTと昇圧器BSTとの間に流れる電流を検出する。入力電流センサ48で検出された電流値は、昇圧器コントローラC1に入力される。
スイッチSA、SBは、例えばFET(Field-Effect Transistor)やIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ:Insulated Gate Bipolar Transistor)などの半導体スイッチである。
スイッチSAとスイッチSBとは互いに直列に接続するとともに、インバータINVの複数のスイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szと並列に接続している。スイッチSAとスイッチSBとの接続ラインは、昇圧リアクトルLBを介して直流電源BTの正極と電気的に接続している。入力コンデンサCINは、直流電源BTと並列に接続している。
スイッチSAとスイッチSBとは互いに直列に接続するとともに、インバータINVの複数のスイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szと並列に接続している。スイッチSAとスイッチSBとの接続ラインは、昇圧リアクトルLBを介して直流電源BTの正極と電気的に接続している。入力コンデンサCINは、直流電源BTと並列に接続している。
昇圧器ゲート回路30Bは、ゲート処理信号回路20からゲート信号とゲート速度信号’とを受信し、昇圧器BSTのスイッチSA、SBのゲート電圧を制御する。
コントローラCTRLのインバータコントローラC2は、上述の第1実施形態のコントローラと同様の動作を行う。昇圧器コントローラC1は、入力電流センサ48の検出値(入力電流情報)と直流リンク電圧(PN電圧)DVとを受信し、昇圧器BSTの出力電圧が所望の値となるように、スイッチSA、SBのゲート信号を生成して出力する。また、昇圧器コントローラC1は、制御情報(直流電圧、各相電流等)を用いて許容される範囲でゲート電圧の変化が高速なるようにゲート速度信号を設定する。
なお、昇圧器コントローラC1とインバータコントローラC2とで、ゲート速度信号は共通の信号であってもよい。また、ゲート速度信号は、専用の処理回路で生成されてもよい。
なお、昇圧器コントローラC1とインバータコントローラC2とで、ゲート速度信号は共通の信号であってもよい。また、ゲート速度信号は、専用の処理回路で生成されてもよい。
昇圧器BSTのスイッチSA、SBとインバータINVのスイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szは同一の直流リンクLINK(H)、LINK(L)に接続されているため、これらのスイッチが同時にスイッチングした時に重畳サージ電圧が発生する。
ここで、サージ電圧の大きさは、コンデンサCと各相のスイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Sz、SA、SBに存在する配線インダクタンスL1〜L8の大きさに依存している。
ここで、サージ電圧の大きさは、コンデンサCと各相のスイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Sz、SA、SBに存在する配線インダクタンスL1〜L8の大きさに依存している。
すなわち、スイッチ同士とコンデンサCとの配置が等間隔であり、配線インダクタンスL1〜L8が同じ値であるとき、W相のスイッチSw、SzとコンデンサCとの間の配線インダクタンスはL2とL3とL4とL6とL7とL8の総和であるため、他相よりも発生するサージ電圧が大きくなる。また、例えばインバータINVのU相スイッチSu、SxとコンデンサCとの間の配線インダクタンスはL2とL6の総和のみであるため、発生するサージ電圧が小さくなる。コンデンサCとスイッチSA、SBとの間の配線インダクタンスL1、L5の大きさが小さいとき、U相と同様に、昇圧器BSTのスイッチSA、SBのスイッチングにより発生するサージ電圧は小さくなる。
そこで、本実施形態では、単独のサージ電圧が大きいW相と他相のサージ電圧とが重畳するときには重畳サージ電圧が大きくなるため、ゲート速度信号を低速のゲート速度指令に切り替えて重畳サージ電圧を抑制する。一方で、U相のスイッチSu、Sxと昇圧器BSTのスイッチSA、SBとが同時にスイッチングしたときに発生する重畳サージ電圧は、W相のサージ電圧を含む重畳サージ電圧よりも十分に小さい。したがって、この場合にはゲート速度信号を低速指令に切り替えない。
すなわち、本実施形態では、ゲート信号処理回路20は、あらかじめ重畳サージ電圧が大きくなるスイッチの組み合わせを選択しておくことによって、過大な重畳サージ電圧の発生によってスイッチが破壊されることを回避することと、スイッチング損の低減との両方を実現することができる。
図9は、図8に示すゲート信号処理回路の一構成例を概略的に示すブロック図である。本実施形態では、ゲート信号処理回路20は、ゲート速度信号’を各相で設定するのではなく、すべての相を1つのゲート速度信号’でゲート電圧の変化率を設定する。なお、本実施形態のゲート信号処理回路20において、各相のゲート速度信号’を個別設定する回路とすることも可能である。
ゲート信号処理回路20は、信号変化検出回路24Bと、保持タイマ26Bと、ゲート速度信号合成回路29と、を更に備えている。
ゲート信号処理回路20は、信号変化検出回路24Bと、保持タイマ26Bと、ゲート速度信号合成回路29と、を更に備えている。
ゲートブロック処理回路22は、保護回路60からゲートブロック信号を受信し、昇圧器コントローラC1から昇圧ゲート信号を受信し、インバータコントローラC2から、U相ゲート信号、V相ゲート信号およびW相ゲート信号を受信し、U相ゲート信号’、V相ゲート信号’、W相ゲート信号’および昇圧ゲート信号’を出力する。
U相ゲート信号、V相ゲート信号およびW相ゲート信号は、インバータコントローラC2から出力されたスイッチSu、Sx、Sv、Sy、Sw、Szの開閉信号である。昇圧ゲート信号は、昇圧器コントローラC1から出力されたスイッチSA、SBの開閉信号である。本実施形態では、U相ゲート信号、V相ゲート信号、W相ゲート信号および昇圧ゲート信号は、各相の上段スイッチSu、Sv、Sw、SAを閉(導通)状態にするときはハイレベル(1)であり、下段スイッチSx、Sy、Sz、SBを閉(導通)状態にするときはローレベル(0)である。
なお、ここでは、上下段スイッチの両方を開(非導通)状態にすることと、上下段スイッチの状態切り替え時に上下段の両方を一時的に開状態にするデッドタイムを設けることについては一般的な動作であるため、説明を省略する。
ゲートブロック信号は、各相の半導体スイッチの状態を指令する信号である。ゲートブロック信号は、各相の半導体スイッチが異常状態であるときにハイレベル(1)となり、各相の半導体スイッチが正常状態であるときにローレベル(0)となる。すなわち、ゲートブロック信号のローレベル(0)からハイレベル(1)への変化は、インバータINVの停止指令となる。
ゲートブロック処理回路22は、インバータINVまたはその周辺機器に異常が発生した時に、即座にスイッチを開(非導通)状態にしてインバータINVを停止させるため、ゲート信号’をハイレベル(1)とする。ゲートブロック処理回路22は、ゲートブロック信号がローレベル(0)のときは、スイッチをゲート信号に従った開閉状態にするため、ゲート信号’をゲート信号と同じ信号状態とする。ゲートブロック処理回路22は、ゲートブロック信号がハイレベル(1)のときは、ゲート信号によらずスイッチを非導通(オフ)状態にする指令として、ゲート信号’をローレベル(0)とする。
信号変化検出回路24U、24V、24W、24Bは、U相ゲート信号、V相ゲート信号、W相ゲート信号および昇圧ゲート信号の値を監視して、U相ゲート信号、V相ゲート信号、W相ゲート信号および昇圧ゲート信号が変化したタイミングを保持タイマ26U、26V、26W、26Bへ通知する。信号変化検出回路24U、24V、24W、24Bは、U相ゲート信号、V相ゲート信号、W相ゲート信号および昇圧ゲート信号がローレベル(0)からハイレベル(1)へ変化したタイミング、および、ハイレベル(1)からローレベル(0)へ変化したタイミングの両方若しくは一方を検出して、保持タイマ26U、26V、26W、26Bへ通知することができる。
保持タイマ26U、26V、26W、26Bは、通常時ローレベル(0)を出力するが、信号変化検出回路24U、24V、24W、24Bからゲート信号が変化したタイミングを受け取ったとき、そのタイミングから一定期間あらかじめ設定された値を出力する。保持タイマ26U、26V、26W、26Bが出力する設定値は、各相および昇圧器ゲート信号’によって発生する単独サージ電圧の大きさに対応した重みづけされた値である。今回は配線インダクタンスL1〜L8の構成より、単独サージ電圧が最も大きいW相の保持タイマ26Wの出力を“3”、次に大きいV相の保持タイマ26Vの出力は“2”、最も小さいU相と昇圧器の保持タイマ26U、26Bの出力は“1”とする。
ゲート速度信号合成回路29は、昇圧器コントローラC1およびインバータコントローラC2から出力されたゲート速度信号を受信し、両方とも高速指令であるハイレベル(1)のときは“0”を、いずれか1つでも低速指令であるローレベル(0)のときは“4”をゲート速度設定に出力する。
ゲート速度設定回路28は、保持タイマ26U、26V、26W、26Bの出力と、ゲート速度信号合成回路29の出力とを受信し、入力された5つの信号値の総和を演算する。ゲート速度設定回路28は、演算した総和値が4以上の値のときに、低速のゲート速度指令であるローレベル(0)のゲート速度信号’を出力する。ゲート速度設定回路28は、演算した総和値が4未満の値のときに、高速のゲート速度指令であるハイレベル(1)をゲート速度信号’として出力する。
これによって、W相と他相とのスイッチが同時にスイッチングすることで発生する過大な重畳サージ電圧を、ゲート電圧の変化を遅くすることにより抑制することができる。そして、U相と昇圧器とのスイッチが同時にスイッチングすることで発生する比較的小さな重畳サージ電圧が発生するときには、スイッチのスイッチング損が小さい高効率運転を実現することができる。
また、昇圧器とU相とV相との3つのスイッチが同時にスイッチングしたときには、単独のサージ電圧は小さいが、3つのサージ電圧が合成されるため、過大な重畳サージ電圧が発生することになる。このとき、ゲート速度設定値の総和値が4(=2+1+1)となり、ゲート速度信号’は低速のゲート速度指令であるローレベル(0)となるため、3つ以上の同時スイッチングによる重畳サージ電圧の抑制も可能となる。
本実施形態では、保持タイマ26U、26V、26W、26Bの出力値によって、各相の重み付けを実施したが、信号変化検出回路24U、24V、24W、24Bがゲート信号の立ち上がり(ターンオン)時と、ゲート信号の立ち下がり(ターンオフ)時の信号で、それらにより発生するサージ電圧の大きさに応じて、重み付けをした出力値を各相の保持タイマ26U、26V、26W、26Bに入力しても同様の効果を得ることができる。例えば、信号変化検出回路24U、24V、24W、24Bが、サージ電圧の小さいターンオンスイッチングのときに“1”を出力し、サージ電圧の大きいターンオフスイッチングのときに“2”を出力して、さらに保持タイマ26U、26V、26W、26Bが上記の配線インダクタンスL1〜L8の大きさに応じた値を考慮して出力値を決定してもよい。
すなわち、本実施形態によれば、インバータのスイッチが同時にスイッチングすることにより発生する重畳したサージ電圧を抑制するインバータ制御装置、電力変換装置および車両を提供することができる。さらに、本実施形態のインバータ制御装置、電力変換装置および車両によれば、過大な重畳サージ電圧の発生によってスイッチが破壊されることを回避することと、スイッチング損の低減との両方を実現することができる。
なお、上述のゲート信号処理回路20の機能は、専用のゲート信号処理回路を製作することだけではなく、CPLDのようなプログラムで設定することができる論理素子を活用することで、少ない部品構成で実現することができる。
次に、第4実施形態の電力変換装置、インバータ制御装置、および車両について、図面を参照して説明する。
図10は、第4実施形態の電力変換装置、インバータ制御装置、および車両の一構成例を説明するための図である。
図10は、第4実施形態の電力変換装置、インバータ制御装置、および車両の一構成例を説明するための図である。
本実施形態の電力変換装置は、直流電源BTと、2つの交流負荷との間に1つの昇圧器BSTと2つのインバータ(第1インバータと第2インバータ)とが接続されたシステムである。
図10において、昇圧器BSTから交流負荷側に向かって、2つのインバータの半導体スイッチは、第1インバータのU相回路U1、第2インバータのU相回路U2、第1インバータのV相回路V1、第2インバータのV相回路V2、第1インバータのW相回路W1、第2インバータのW相回路W2の順に並んで、直流リンクLINK(H)、LINK(L)間に接続している。直流電源BTとモータ(交流負荷)M1、M2と2つのインバータとの動作は上述の第1実施形態と同様である。昇圧器BSTの構成および動作は、上述の第2実施形態と同様である。
平滑コンデンサCは、インバータINV1とインバータINV2との半導体スイッチ群を2分割する位置に配置されている。すなわち、平滑コンデンサCは、第2インバータのU相回路U2と第1インバータのV相回路V1との間において、高電位側の直流リンクLINK(H)と低電位側の直流リンクLINK(L)との間に接続している。
平滑コンデンサCは直流リンクLINK(H)、LINK(L)に発生するサージ電圧を抑制する。上記の平滑コンデンサCの配置は、平滑コンデンサCに対して一方側の1つの半導体スイッチと他方側の1つの半導体スイッチとが同時にスイッチングした時に発生する重畳サージ電圧は、平滑コンデンサCに対して一方側にある2つの半導体スイッチが同時にスイッチングした時に発生する重畳サージ電圧に比べて小さくなることを考慮したものである。
上記のことから、本実施形態では、ゲート信号処理回路20は、昇圧相、U1相、U2相の第1グループとV1相、V2相、W1相、W2相の第2グループとを別々に重畳サージ電圧の抑制処理を実施すれば良い。
図11Aおよび図11Bは、図10に示すゲート信号処理回路の一構成例を概略的に示すブロック図である。ここでは、ゲート信号処理回路20を図11Aと図11Bとに分割して図示している。
ゲート信号処理回路20は、クロック回路CLKとゲート処理回路200とを備えている。
クロック回路CLKは、後述のデッドタイム期間と保持タイマが出力保持する期間とを計測するために、一定時間間隔で出力信号を変化させる回路である。
ゲート信号処理回路20は、クロック回路CLKとゲート処理回路200とを備えている。
クロック回路CLKは、後述のデッドタイム期間と保持タイマが出力保持する期間とを計測するために、一定時間間隔で出力信号を変化させる回路である。
ゲート処理回路200は、図11Aおよび図11Bに示す処理ブロックの機能を持つASIC(Application Specific Integrated Circuit)を用いても良いが、それぞれの処理ブロックは簡易なロジックであるため、CPLD(Complex Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いることで少ない部品構成で、かつ、容易に実現することができる。
ゲート処理回路200は、各相のデッドタイム生成回路21B、21U1〜21W2と、ゲートブロック処理回路22と、各相の信号変化検出回路24B、24U1〜24W2と、各相の保持タイマ26B、26U1〜26W2と、各相のゲート速度設定回路28B、28U1〜28W2と、を備えている。
デッドタイム生成回路21B、21U1〜21W2は、コントローラCTRLが生成した各相の上段のゲート信号(ゲート上信号)と下段のゲート信号(ゲート下信号)とが確実にデッドタイムを持つように変換する。なお、コントローラCTRLがデッドタイムを持つゲート信号を生成してもよい。その場合には、デッドタイム生成回路21B、21U1〜21W2は、入力されたゲート信号を変換せずに出力する。
ゲートブロック処理回路22と各相の信号変化検出回路24B、24U1〜24W2は、上述の第1実施形態の構成および動作と同様であるので、説明は省略する。
ゲートブロック処理回路22と各相の信号変化検出回路24B、24U1〜24W2は、上述の第1実施形態の構成および動作と同様であるので、説明は省略する。
保持タイマ26B、26U1〜26W2は、通常時はハイレベル(1)の信号を出力する。信号変化検出回路24B、24U1〜24W2からスイッチングタイミングが通知されたときには、保持タイマ26B、26U1〜26W2は、クロック回路CLKからの時間情報を用いて一定期間ローレベル(0)の信号を出力する。
ゲート速度設定回路28B、28U1〜28W2は、コントローラCTRLが出力する自相のゲート速度の指令であるゲート速度信号(高速のゲート速度指令はハイレベル(1)、低速のゲート速度指令はローレベル(0))と、自相の半導体スイッチと同時にスイッチングした場合に過大な重畳サージ電圧が発生しうる他相の保持タイマの出力信号とを受信する。例えば、第1インバータのU1相のゲート速度設定回路28U1には、自相のU1相ゲート速度信号と、平滑コンデンサCに対して自相と同じ側にある昇圧相とU2相との保持タイマ26B、26U2の出力信号とが入力される。例えば、第2インバータのV2相のゲート速度設定回路28V2には、自相のV2相ゲート速度信号と、平滑コンデンサCに対して自相と同じ側にあるV1相、W1相およびW2相の保持タイマ26V1、26W1、26W2の出力信号とが入力される。
ゲート速度設定回路28B、28U1〜28W2は、複数の入力された信号すべてがハイレベル(1)であるときには、高速のゲート速度指令であるハイレベル(1)をゲート速度信号’として出力する。ゲート速度設定回路28B、28U1〜28W2は、複数の入力された信号のいずれか1つでもローレベル(0)であるときには、低速のゲート速度指令であるローレベル(0)を各相のゲート速度信号’として出力する。
上記のようにゲート速度信号’を設定することにより、ある相の半導体スイッチのスイッチングにより重畳サージ電圧が発生するときには、ゲート電圧の変化が低速モードに切り替わり、過大な重畳サージ電圧の発生を確実に防ぐことができる。
すなわち、本実施形態によれば、インバータのスイッチが同時にスイッチングすることにより発生する重畳したサージ電圧を抑制するインバータ制御装置、電力変換装置および車両を提供することができる。
なお、上述の第4実施形態では、上述の第1実施形態と同様に各相についてゲート速度信号’を設定する構成について説明したが、第3実施形態と同様に、全ての相について共通のゲート速度信号’を設定する構成を適用しても構わない。各相についてゲート速度信号’を設定するときには、各相の半導体スイッチの温度等を考慮してゲート速度信号’を設定することが可能となり、インバータINVの損失を低減することが可能となる。
なお、上述の第1乃至第4実施形態を電気自動車へ適用すると、インバータの半導体スイッチとして耐圧の高いIGBTを選択する必要がなく、電力変換装置を小型化することができる。そして、インバータのスイッチング損失を低減して駆動することによって、直流電源に蓄えられた限られたエネルギを効果的に電気自動車への駆動エネルギに変換することが可能となる。
更に、上述の第1乃至第4実施形態のインバータ制御装置および電力変換装置を、電車駆動装置やエレベータ用モータ駆動装置、産業用モータ駆動装置、に適用することにより、同様の効果を得ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、上述の第1乃至第4実施形態では、ゲート信号処理回路20はコントローラ(プロセッサ)CTRLと別のCPLDやASICとして設けられていたが、ゲート信号処理回路がコントローラCTRLに含まれていても構わない。コントローラ内のPWM出力回路にゲート信号処理機能を付加することにより、より部品点数を削減することができる。この場合、専用のコントローラを開発する必要があるが、処理を設計することができるプロセッサ内蔵マイコンのような専用処理部をプログラムで作成することができるマイコンを活用することで、実現可能である。
また、上述の第1乃至第4実施形態のインバータ制御装置、電力変換装置および車両において、各相ゲート回路30U、30V、30Wおよび昇圧器ゲート回路30Bは、絶縁回路を含むASICとして実現することが可能である。さらに、絶縁回路は各相ゲート回路30U、30V、30Wおよび昇圧器ゲート回路30Bの外部に別の回路とすることもできる。この場合、絶縁回路は、各相ゲート回路30U、30V、30Wおよび昇圧器ゲート回路30Bの前段に配置される。
20…ゲート信号処理回路、21B、21U1〜21W2…デッドタイム生成回路、22…ゲートブロック処理回路、24B、24U〜24W、24U1〜24W2、26B、26U〜26W、26U1〜26W2…保持タイマ、28B、28U〜28W、28U1〜28W2…ゲート速度設定回路、29…ゲート速度信号合成回路、30…インバータゲート回路、30U…U相ゲート回路、30V…V相ゲート回路、30W…W相ゲート回路
30B…昇圧器ゲート回路、32…ゲート速度制御回路、40…直流電圧検出器、42、44、46…電流検出器、48…入力電流センサ、50…モータ磁極位置センサ、60…保護回路、62…過電流保護回路、64…過熱保護回路、66…過電圧保護回路、68…ゲートブロック集約回路、70…サージ量予測回路、200…ゲート処理回路、C1…昇圧器コントローラ、C2…インバータコントローラ、INV、INV1、INV2…インバータ、L1〜L8…配線インダクタンス、M、M1、M2…モータ(交流負荷)
30B…昇圧器ゲート回路、32…ゲート速度制御回路、40…直流電圧検出器、42、44、46…電流検出器、48…入力電流センサ、50…モータ磁極位置センサ、60…保護回路、62…過電流保護回路、64…過熱保護回路、66…過電圧保護回路、68…ゲートブロック集約回路、70…サージ量予測回路、200…ゲート処理回路、C1…昇圧器コントローラ、C2…インバータコントローラ、INV、INV1、INV2…インバータ、L1〜L8…配線インダクタンス、M、M1、M2…モータ(交流負荷)
Claims (10)
- 第1相の半導体スイッチのゲート信号を受信し、前記ゲート信号の状態が変化したことを検出する第1ゲート信号変化検出回路と、
第2相の半導体スイッチのゲート信号を受信し、前記ゲート信号の状態が変化したことを検出する第2ゲート信号変化検出回路と、
前記第1信号変化検出回路から前記ゲート信号の状態が変化したことが通知されてから所定期間、出力信号の値を第1値から第2値とする第1保持回路と、
前記第2信号変化検出回路から前記ゲート信号の状態が変化したことが通知されてから所定期間、出力信号の値を第1値から第3値とする第2保持回路と、
前記第2保持回路の出力信号と、前記第1相の半導体スイッチのゲート電圧の変化率を指令するゲート速度信号とに基づいて、前記第1相のゲート速度信号を設定して出力する第1ゲート速度設定回路と、
前記第1保持回路の出力信号と、前記第2相の半導体スイッチのゲート電圧の変化率を指令するゲート速度信号とに基づいて、前記第2相のゲート速度信号を設定して出力する第2ゲート速度設定回路と、を備えたことを特徴とするインバータ制御装置。 - ゲートブロック信号を出力する保護回路と、
前記ゲートブロック信号と、前記ゲート信号とを受信し、前記ゲートブロック信号が停止指令であるときに、前記半導体スイッチをオフする値として前記ゲート信号を出力するゲートブロック処理回路を更に備え、
前記第1ゲート信号変化検出回路および前記第2ゲート信号変化検出回路は、前記ゲートブロック処理回路から出力した前記ゲート信号の状態が変化したことを検出する、ことを特徴とする請求項1記載のインバータ制御装置。 - 前記第1ゲート信号変化検出回路および第2ゲート信号変化検出回路は、前記ゲート信号が半導体スイッチを閉状態から開状態に変化するタイミングを検出する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のインバータ制御装置。 - 前記第1ゲート信号変化検出回路および第2ゲート信号変化検出回路は、前記ゲート信号が半導体スイッチを開状態から閉状態に変化するタイミングを検出する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のインバータ制御装置。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のインバータ制御装置と、
前記第1相の半導体スイッチと、前記第1相の半導体スイッチと並列に接続した前記第2相の半導体スイッチとを含むインバータと、を備えたことを特徴とする電力変換装置。 - 前記所定期間は、前記ゲート信号が変化してから、前記ゲート信号により切り替わる半導体スイッチの動作により発生するサージ電圧が最大になるまでの期間よりも長い、ことを特徴する請求項5記載の電力変換装置。
- 前記インバータ制御装置は、前記インバータの制御情報を受信し、前記制御情報に基づいて前記インバータのサージ電圧が閾値以上か否かを判断し、判断結果を前記保持回路へ出力するサージ量予測回路を更に備え、
前記第1保持回路および第2保持回路は、前記サージ量予測回路の出力信号が前記インバータのサージ電圧が閾値未満であるときに出力信号を第1値とする、ことを特徴とする請求項5又は請求項6記載の電力変換装置。 - 前記インバータは、前記第1相の半導体スイッチおよび前記第2相の半導体スイッチと並列に接続した平滑コンデンサを更に備え、
前記平滑コンデンサと前記第1相の半導体スイッチとの間の配線インダクタンスが、前記平滑コンデンサと前記第2相の半導体スイッチとの間の配線インダクタンスよりも大きいときに、前記第1保持回路の第2値は、前記第2保持回路の第3値に対して重みづけされた値である、ことを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項記載の電力変換装置。 - 前記第1相の半導体スイッチおよび前記第2相の半導体スイッチと並列に接続した平滑コンデンサと、
前記第1相の半導体スイッチおよび前記第2相の半導体スイッチに並列に接続された第3相の半導体スイッチおよび第4相の半導体スイッチと、を更に備え、
前記第1相の半導体スイッチと前記第3相の半導体スイッチとは、前記平滑コンデンサの一方側に配置され、前記第2半導体スイッチと前記第4半導体スイッチとは、前記平滑コンデンサの他方側に配置され、
前記インバータ制御装置は、
前記第3相の半導体スイッチのゲート電圧を切替えるゲート信号を受信し、前記ゲート信号の状態が変化したことを検出する第3ゲート信号変化検出回路と、
前記第4相の半導体スイッチのゲート電圧を切替えるゲート信号を受信し、前記ゲート信号の状態が変化したことを検出する第4ゲート信号変化検出回路と、
前記第3信号変化検出回路から前記ゲート信号の状態が変化したことが通知されてから所定期間、出力信号の値を第1値から第4値とする第3保持回路と、
前記第4信号変化検出回路から前記ゲート信号の状態が変化したことが通知されてから所定期間、出力信号の値を第1値から第5値とする第4保持回路と、
前記第3保持回路の出力信号と、前記第1相の半導体スイッチのゲート電圧の変化率を指令するゲート速度信号とに基づいて、前記第1相のゲート速度信号を設定して出力する第1ゲート速度設定回路と、
前記第4保持回路の出力信号と、前記第2相の半導体スイッチのゲート電圧の変化率を指令するゲート速度信号とに基づいて、前記第2相のゲート速度信号を設定して出力する第2ゲート速度設定回路と、
前記第1保持回路の出力信号と、前記第3相の半導体スイッチのゲート電圧の変化率を指令するゲート速度信号とに基づいて、前記第3相のゲート速度信号を設定して出力する第3ゲート速度設定回路と、
前記第2保持回路の出力信号と、前記第4相の半導体スイッチのゲート電圧の変化率を指令するゲート速度信号とに基づいて、前記第4相のゲート速度信号を設定して出力する第4ゲート速度設定回路と、を備えたことを特徴とする請求項5又は請求項6記載の電力変換装置。 - 請求項5乃至請求項9のいずれか1項記載の電力変換装置と、
前記インバータから供給される交流電力により動作するモータと、
前記インバータへ直流電力を供給するとともに、前記インバータを介して前記モータが発電する電気エネルギを充電する直流電源と、
前記モータの動力により駆動される車軸と、を備えたことを特徴とする車両。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015113145A JP2016226234A (ja) | 2015-06-03 | 2015-06-03 | インバータ制御装置、電力変換装置および車両 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015113145A JP2016226234A (ja) | 2015-06-03 | 2015-06-03 | インバータ制御装置、電力変換装置および車両 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016226234A true JP2016226234A (ja) | 2016-12-28 |
Family
ID=57748789
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015113145A Pending JP2016226234A (ja) | 2015-06-03 | 2015-06-03 | インバータ制御装置、電力変換装置および車両 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016226234A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020036418A (ja) * | 2018-08-28 | 2020-03-05 | 株式会社デンソー | スイッチの駆動装置 |
-
2015
- 2015-06-03 JP JP2015113145A patent/JP2016226234A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020036418A (ja) * | 2018-08-28 | 2020-03-05 | 株式会社デンソー | スイッチの駆動装置 |
WO2020044946A1 (ja) * | 2018-08-28 | 2020-03-05 | 株式会社デンソー | スイッチの駆動装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US9998061B2 (en) | Motor control device and motor control method | |
US10507731B2 (en) | Electric power system | |
US9787213B2 (en) | Power cell bypass method and apparatus for multilevel inverter | |
JP6390535B2 (ja) | 電力変換制御装置 | |
JP6290118B2 (ja) | インバータ制御装置、電力変換装置、および、車両 | |
US8816625B2 (en) | Integrated regenerative AC drive with solid state precharging | |
JP6256597B2 (ja) | インバータ制御装置 | |
US20140247634A1 (en) | Three-level power conversion circuit system | |
EP3002865B1 (en) | Inverter control apparatus, power conversion apparatus, and electric vehicle | |
JP6183460B2 (ja) | インバータ装置 | |
CN102969918B (zh) | 三相桥式逆变器系统及紧急下短路保护电路 | |
JP2015159684A (ja) | 回転電機制御装置 | |
JP6944546B2 (ja) | 電力変換装置 | |
JP2014117112A (ja) | 半導体制御装置及び電力変換装置 | |
JP2012196143A (ja) | モータ制御装置 | |
JP6289597B1 (ja) | 車両用電源装置および車両用電源装置の制御方法 | |
JP6150017B2 (ja) | 駆動装置、マトリクスコンバータ及びエレベータシステム | |
JP2015527858A (ja) | モーション及びコントロールシステム | |
JP6392464B2 (ja) | 車両用駆動装置、車両用駆動システム、および、車両用駆動装置の制御方法 | |
JP2016226234A (ja) | インバータ制御装置、電力変換装置および車両 | |
US11012021B2 (en) | Inverter device and control circuit therefor, and motor driving system | |
US8598835B2 (en) | Protection circuit for a drive circuit of a permanent magnet motor and corresponding system | |
JP6509681B2 (ja) | 電力変換装置および車両 | |
JP2016039700A (ja) | 電力変換装置、昇圧器駆動装置、制御装置および電動車両 | |
JP2022079389A (ja) | 電力変換装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20170904 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20170905 |