JP2019147733A - 単斜晶ジルコニア系ナノ粒子及びその製造方法 - Google Patents

単斜晶ジルコニア系ナノ粒子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】正方晶相がより少ない又は実質的に含まれない単斜晶ジルコニアからなるナノ粒子を提供する。【解決手段】粒度分布におけるD50が20nm以下であるジルコニア微粒子であって、(1)当該ジルコニア微粒子は、ジルコニア単斜晶相を含有し、(2)当該ジルコニア微粒子の粉末X線回折分析による回折パターンにおける2θ=29.74〜30.74度の範囲において、回折ピークが実質的に存在しない、ことを特徴とする単斜晶ジルコニア系ナノ粒子に係る。【選択図】なし

Description

本発明は、新規な単斜晶ジルコニア系ナノ粒子及びその製造方法に関する。
高屈折率材料は、例えばレンズ、光学フィルタ、反射防止材等の各種の光学部品に使用されている。一例としてレンズを挙げると、高い屈折率を有するレンズであれば、それだけレンズの薄肉化・軽量化、高解像度化等を図ることが可能となり、製品として有利となる。
高屈折率材料としては、ガラス、セラミックス等の透明性無機材料のほか、透明性樹脂をマトリックスとして高屈折率粒子を分散させた複合材料が知られているが、特に低コスト化、軽量化等という点においては前記のような複合材料が有利である。
複合材料中に分散させる高屈折率粒子としては、例えばチタニア、ジルコニア、アルミナ等の無機酸化物粒子が採用されている。特にチタニア、ジルコニア等は高い屈折率(2.00以上)を有するが、光学材料として使用するためには高い透明性を有することも必要である。すなわち、より微細で安定な無機酸化物粒子が必要とされる。
ここに、複合材料を製造する際の原料形態として、無機酸化物粒子は、通常は溶媒に分散させた分散液として提供される。このため、分散液においては、個々の粒子が凝集することなく、高い分散状態を発揮できることが要求される。このような見地より、最近では、より分散性等に優れた無機酸化物粒子あるいはその分散液を開発すべく、種々の研究・提案がなされている。
例えば、2種以上の被覆剤により被覆されており、正方晶の酸化ジルコニウムを含む酸化ジルコニウムナノ粒子であって;当該被覆剤の少なくとも1種が下記式(I)で表されるものであり、
−COOH ・・・ (I)
[式中、Rは炭素数6以上の分枝鎖状炭化水素基を示す。]
式(I)で表される被覆剤以外の少なくとも1種の被覆剤が、水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、エポキシ基、およびアルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を複数有するもの;ビニル基またはフェニル基を有するもの;シランカップリング剤;または、下記式(II)で表されるもの
−COOH ・・・ (II)
[式中、Rは炭素数6以上の直鎖状炭化水素基を示す。]
であることを特徴とする酸化ジルコニウムナノ粒子が知られている(特許文献1)。
また例えば、分散粒径が1nm以上かつ20nm以下の正方晶ジルコニア粒子を含有してなることを特徴とするジルコニア透明分散液が知られている(特許文献2)。
さらに、溶媒に一次粒子の平均粒径が1nm以上30nm以下の無機微粒子が分散した無機微粒子分散溶液の製造方法において、溶媒の中に一次粒子の平均粒径が1nm以上30nm以下の無機微粒子が凝集した状態で存在している混合溶液を、平均粒径が15μm以上30μm以下のビーズを用いて攪拌すると同時に超音波を印加することで、前記無機微粒子を分散処理することを特徴とする無機微粒子分散溶液の製造方法が提案されている(特許文献3)。
特許第5030694号 特開2007−99931 特開2010−23031
しかしながら、これら従来技術の分散液におけるジルコニアのナノ粒子は、単斜晶ジルコニアだけでなく、正方晶相ジルコニアも含むものである。ジルコニアの正方晶相は、準安定相であることから、何らかの要因で経時的に単斜晶相に相転移するおそれがある。単斜晶相に相転移すると体積変化(特に体積収縮)を引き起こす結果、分散液により形成されたコーティング膜の物性に悪影響を及ぼすことになる。より具体的には、正方晶相を含むジルコニアのナノ粒子によりコーティング膜が形成された後、膜中の正方晶相が経時的に単斜晶相に相転移すると、体積変化によりコーティング膜に歪み等が発生する結果、物理的特性を低下させるおそれがある。
かかる見地より、正方晶ジルコニアがより少ない又は実質的に含まれないジルコニアのナノ粒子が理想的であるが、そのようなジルコニアのナノ粒子は未だ開発されるに至っていないのが現状である。
従って、本発明の主な目的は、正方晶ジルコニアがより少ない又は実質的に含まれないジルコニアのナノ粒子を提供することにある。
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、出発材料として特定のジルコニア粉末を用いて特定の方法で製造されたナノ粒子が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記のジルコニア系ナノ粒子及びその製造方法に係る。
1. 粒度分布におけるD50が20nm以下であるジルコニア微粒子であって、
(1)当該ジルコニア微粒子は、ジルコニア単斜晶相を含有し、
(2)当該ジルコニア微粒子の粉末X線回折分析による回折パターンにおける2θ=29.74〜30.74度の範囲において、回折ピークが実質的に存在しない、
ことを特徴とする単斜晶ジルコニア系ナノ粒子。
2. ジルコニア単斜晶相の含有量が90体積%以上である、請求項1に記載の単斜晶ジルコニア系ナノ粒子。
3. ジルコニア微粒子からなる粉末における粒度分布が単峰であり、かつ、粒度分布におけるD90が30nm以下である、前記項1又は2に記載の単斜晶ジルコニア系ナノ粒子。
4. 前記項1〜3のいずれかに記載の単斜晶ジルコニア系ナノ粒子が溶媒中に分散している分散液。
5. シランカップリング剤及びリン酸エステル系分散剤をさらに含む、前記項4に記載の分散液。
6. ジルコニア粉末から請求項1に記載の単斜晶ジルコニア系ナノ粒子を製造する方法であって、
(1)前記ジルコニア粉末が、a)粒度分布におけるD50が900nm以下であって、b)ジルコニア単斜晶相の含有量が90〜95体積%であり、かつ、ジルコニア正方晶相の含有量が5〜10体積%であり、
(2)粒度分布におけるD50が40μm以下のビーズの存在下で前記ジルコニア粉末をビーズミル処理に供する工程を含む、
ことを特徴とする単斜晶ジルコニア系ナノ粒子の製造方法。
7. ビーズミル処理が溶媒の存在下で実施される湿式ビーズミル処理である、前記項6に記載の製造方法。
8. 溶媒中にシランカップリング剤及びリン酸エステル系分散剤が含まれる、前記項7に記載の製造方法。
9. 前記ビーズが、金属ビーズ及びセラミックスビーズの少なくとも1種である、前記項6に記載の製造方法。
10. 前記ビーズとして、略球形の形状を有する粒子を用いる、前記項6に記載の製造方法。
11. ジルコニア粉末のBET比表面積が70m/g以上である、前記項6に記載の製造方法。
本発明によれば、正方晶ジルコニアがより少ない又は実質的に含まれないジルコニアのナノ粒子を提供することができる。より具体的には、正方晶ジルコニア(準安定正方晶)がより少ない又は実質的に含まれず、かつ、単斜晶ジルコニアを含むナノ粒子(単斜晶ジルコニア粒子)を提供することができる。
このような特殊なナノ粒子は、正方晶ジルコニアが惹起し得る相転移に伴う体積変動が効果的に抑制ないしは防止されているので、それが液相中に分散した分散液を用いて得られたコーティング膜も高い信頼性を発揮することができる。
また、本発明の製造方法では、出発材料として正方晶ジルコニアを含むジルコニア粒子を用い、それを特定の微細なビーズの存在下でビーズミル処理するので、正方晶ジルコニアがより少ない又は実質的に含まれず、かつ、実質的に単斜晶ジルコニアからなるナノ粒子を確実かつ効率的に製造することができる。
しかも、本発明の製造方法により得られるナノ粒子では、微細なナノレベルでの分散状態を得ることができる。その理由は、定かではないが、以下のような作用機序により実現されると推察される。すなわち、本発明の製造方法では、出発材料として正方晶相及び単斜晶相の双方を含むジルコニアを用いるが、その中に凝集粒子が含まれていたとしても、製造過程中において正方晶相が単斜晶相に相転移する際に体積変化による歪みがその凝集粒子中に発生し、その歪みにより凝集が解れる結果、細粒子化が進んで高い分散性を発揮するものと考えられる。
このように、本発明のジルコニアのナノ粒子は、安定であり、かつ、高い分散性が得られることから、例えばレンズ、光学フィルタ、反射防止材等の各種の光学部品の原料として好適に用いることができる。
実施例1で得られたジルコニアのナノ粒子のX線回折分析の結果を示す図である。 実施例1で得られたジルコニアのナノ粒子のラマン分光分析のラマンスペクトルを示す図である。 実施例1で得られたジルコニアのナノ粒子の電子回折から取得された強度プロファイルを示す。 実施例1で得られたジルコニアのナノ粒子の粒度分布を示す図である。 実施例1で得られたジルコニアのナノ粒子に関し、その粒度分布におけるD90及び[正方晶相(T相)/単斜晶相(M相)]のピーク比と、処理時間との関係を示すグラフである。 異なる粒径のジルコニアビーズを用いて得られた各ジルコニア系ナノ粒子のX線回折分析の結果を示す図(拡大図)である。 実施例1で用いたビーズミル装置の概略図を示す。 実施例1で用いたビーズミル装置で使用されるアジテータの概略図を示す。
1.ジルコニア系ナノ粒子
本発明の単斜晶ジルコニア系ナノ粒子(本発明ナノ粒子)は、粒度分布におけるD50が20nm以下であるジルコニア微粒子であって、
(1)当該ジルコニア微粒子は、単斜晶相を含有し、
(2)当該ジルコニア微粒子の粉末X線回折分析における回折パターンの2θ=29.74〜30.74度において、回折ピークが実質的に存在しない、
ことを特徴とする。
本発明ナノ粒子は、結晶性のジルコニアの粒子であり、結晶相として単斜晶相を含有するものである。ジルコニア単斜晶相の含有量は、通常は90体積%以上であることが好ましく、特に95〜100体積%であることがより好ましい。すなわち、本発明ナノ粒子は、本発明の効果を妨げない範囲内において、正方晶ジルコニア以外の成分(例えば、他の結晶相、アモルファス相等)が含まれていても良い。
本発明ナノ粒子の結晶相に関し、ジルコニア微粒子の粉末X線回折分析における回折パターンの2θ=29.74〜30.74度において、回折ピークが実質的に存在しないことを特徴とする。すなわち、正方晶ジルコニアの回折ピーク(101面)が2θ=30.24度であり、正方晶ジルコニアの回折ピークが回折パターン上で認められないことが本発明ナノ粒子における特徴の一つである。そのような回折ピークが認められない限り、ごく微量の正方晶ジルコニアの含有は、本発明において許容される。なお、回折ピークが存在する場合としては、2θ=29.74〜30.74度の範囲内のみにピークが存在する場合のほか、2θ=29.74〜30.74度の範囲内とその範囲外に跨がるようなブロードなピークが存在する場合も含む。
また、本発明ナノ粒子は、ラマン分光法による分析において、波数202cm−1及び267cm−1のピークも確認されないことが好ましい。さらに、本発明ナノ粒子は、電子回折から得られた強度プロファイルにおいて、正方晶に由来する111tのピークも確認されないことが好ましい。
本発明ナノ粒子では、ナノレベルの粒子であるにもかかわらず、上記のような結晶構造を有することから、高い安定性とともに高い分散性に貢献しているものと考えられる。
本発明ナノ粒子は、粒度分布におけるD50(平均粒径)が20nm以下であり、好ましくは15nm以下である。その下限値は限定的ではないが、通常は1nm程度とすれば良い。このような平均粒径を有することにより、高い透明性に寄与することができる。
また、本発明ナノ粒子の粒度分布は、限定的ではないが、特に単峰であり、かつ、粒度分布におけるD90が30nm以下(特に25nm以下)であることが好ましい。これにより、後記の分散液及びそのコーティング膜においてよりいっそう高い安定性及び透明性を発揮することができる。
本発明ナノ粒子は、比較的高い比表面積(BET法)を有することが好ましい。より具体的には、比表面積が通常は70m/g以上、さらには80m/g以上であることが望ましい。なお、比表面積の上限は限定的ではないが、通常は200m/g程度とすれば良い。
本発明ナノ粒子は、基本的にはジルコニア(ZrO)から構成されるが、本発明の効果を妨げない範囲内において、他の成分が付着したり、他の成分と複合化していても良い。例えば、後記に示す製造方法にて本発明ナノ粒子を製造する場合には、その製造工程で添加される添加剤(例えば、分散剤、カップリング剤等)がジルコニア粒子に付着又は複合化していても良い。
本発明ナノ粒子は、例えば乾燥粉末、分散液等のいずれの形態であっても良いが、特に本発明の単斜晶ジルコニア系ナノ粒子(粉末)が溶媒中に分散している分散液の形態で提供されることが好ましい。この場合の溶媒としては、特に限定されず、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ケトン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、イソプロピルエーテル、メチルセロソルブ等のエーテル系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエステル系溶媒が挙げられる。
また、上記の分散液中には、必要に応じて各種の添加剤を添加することもできる。例えば、分散剤、カップリング剤、分散助剤等の添加剤を使用することができる。
分散液中の本発明ナノ粒子の分散量(固形分量)は、特に制限されず、例えば用いる溶媒の種類、所望の粘度等に応じて適宜設定することができる。本発明では、特に分散液中1〜50重量%の範囲内で分散量を設定することが好ましい。
2.単斜晶ジルコニア系ナノ粒子の製造方法
本発明ナノ粒子の製造方法は、特に限定されないが、例えば以下のような製造方法によって好適に製造することができる。すなわち、ジルコニア粉末から本発明ナノ粒子を製造する方法であって、
(1)前記ジルコニア粉末が、a)粒度分布におけるD50が900nm以下であって、b)ジルコニア単斜晶相の含有量が90〜95体積%であり、かつ、ジルコニア正方晶相の含有量が5〜10体積%であり、
(2)粒度分布におけるD50が40μm以下のビーズの存在下で前記ジルコニア粉末をビーズミル処理に供する工程(ビーズミル処理工程)を含む、
ことを特徴とする製造方法を好適に採用することかできる。
出発材料
本発明の製造方法では、出発材料としてジルコニア粉末を用いることを前提として、そのジルコニア粉末が、a)粒度分布におけるD50が900nm以下であって、b)ジルコニア単斜晶相の含有量が90〜95体積%であり、かつ、ジルコニア正方晶相の含有量が5〜10体積%である粉末を用いる。
ジルコニア粉末としては、前記D50が900nm以下であるものを使用する。特に、前記D50が800nm以下であることが望ましい。この場合のD50の下限値は限定されないが、通常は300nm程度、特に400nmであれば良い。従って、出発材料として、ジルコニアの凝集粒子を含むジルコニア粉末を用いることができる。例えば、粒度分布におけるD50(二次粒子の平均粒径)が400〜700nmのジルコニア粉末を出発材料として好適に用いることができる。なお、出発材料として使用するジルコニア粉末の一次粒子径も限定されないが、通常は1〜50nm程度、特に5〜30nmの範囲内のジルコニア粉末を使用することができる。換言すれば、例えばジルコニア結晶子径の5倍以上、特に10倍以上の範囲内の二次粒子径(D50)を有するジルコニア粉末も使用することができる。
出発材料であるジルコニア粉末は、結晶質のジルコニア粒子からなるものを使用することができ、特にジルコニア単斜晶相の含有量が90〜95体積%であり、かつ、ジルコニア正方晶相の含有量が5〜10体積%であるジルコニア粉末を使用する。このように、ジルコニア正方晶相を一定量含む原料を用いることによって、安定であり、なおかつ、より微細なジルコニア微粒子を得ることができる。
また、出発材料であるジルコニア粉末の比表面積も限定されないが、特に比表面積が70m/g以上、さらには80m/g以上である粉末を用いることが望ましい。このような比表面積を有するジルコニア粉末を使用することによって、分散性の高いナノ粒子をより確実に得ることができる。なお、比表面積の上限は限定的ではないが、通常は200m/g程度とし、特に150m/gとすることが好ましい。
このような結晶構造、物性等を有するジルコニア粉末自体は、公知又は市販のものを使用できる。また、公知の製法により合成されたジルコニア粉末も使用することができる。例えば、加水分解法、共沈法、中和法、アルコキシド法等の液相法で合成されたジルコニアを好適に使用することができる。特に、加水分解法として、ジルコニウム塩を加水分解することによって水和ジルコニアゾルを合成した後、前記ゾルを仮焼することにより得られるジルコニア粉末等を出発原料として好適に使用することができる。このように、本発明では、特別な原料を使用することなく、公知又は市販の一般的なジルコニア粉末を原料として使用できる点において、コスト的にも有効な方法である。すなわち、本発明の製造方法では、このようなジルコニア単斜晶相とジルコニア正方晶相とを含むジルコニア粉末を出発原料として用いて、回折パターンの2θ=29.74〜30.74度において、回折ピークが実質的に存在しない単斜晶ジルコニア系ナノ粒子を確実かつ効率的に得ることができる。
ビーズミル処理工程
ビーズミル処理工程では、粒度分布におけるD50が40μm以下のビーズの存在下で前記ジルコニア粉末をビーズミル処理に供する。
メディア(粉砕媒体)として用いるビーズは、粒度分布におけるD50が40μm以下の範囲内とすれば良く、好ましくは35μm以下であり、より好ましくは32μm以下であり、最も好ましくは30μm以下である。上記D50が40μmを超える場合、安定で分散性の高いナノ粒子が得られなくなるおそれがある。なお、前記のD50の下限値は限定的ではないが、通常は1μm程度とすれば良く、特に好ましくは10μm程度であり、より好ましくは20μm程度である。本発明では、このような比較的微細なビーズを用いることにより、微細な単斜晶ジルコニア系ナノ粒子をより効率的かつ確実に調製することができる。
ビーズの組成は特に限定されず、公知のビーズミル等で使用されているビーズと同様の材質を採用することができる。例えば、ジルコニア、アルミナ、シリカ等の酸化物系ビーズ、ニッケル、銅、タングステン、鋼等の金属系ビーズ、窒化チタン、窒化ケイ素等の非酸化物系ビーズ等の無機材料系ビーズを好適に用いることができる。特に、不純物混入の軽減・防止、混合の効率性等の見地より、ジルコニアビーズを用いることが好ましい。
ビーズの形状は、通常は略球状のビーズを用いることが望ましい。このような球状ビーズは、公知又は市販のものを使用することができる。特に、プラズマ溶融法(熱プラズマ溶融法)により調製される球状ビーズを好適に用いることができる。プラズマ溶融法自体は公知の方法であり、例えば特開2007−4090に開示された方法等を利用することができる。すなわち、大気圧中に形成されたプラズマ雰囲気内に、ジルコニアの原料粉末(例えば粉砕法により調製された粉末)を気相状態で連続供給し、前記原料粉末を構成するジルコニア粒子の表面を溶融させて当該粒子を球状化し、その後に流下する当該粒子に冷却気体を吹き付けて当該粒子を急速に冷却する工程を含む方法により、球状ジルコニア粒子を製造することができる。このような方法により得られる球状ジルコニア粒子は、その粒子形状がほぼ球状であり、粗大粒子も比較的少ないという点で有利である。
ビーズの使用量は、限定的ではないが、一般的には、ビーズが充填される空間(通常はビーズミル装置における粉砕室)の容量に対するビーズの見掛けの体積の比(ビーズ充填率)で定めれば良く、ビーズミル装置の仕様等に応じてビーズ充填率10〜90%の範囲内で適宜設定すれば良い。従って、例えば50〜70%の範囲、さらには40〜60%の範囲に設定することもできる。また、例えば、後記の実施例にも示されているように、ビーズとして熱プラズマ溶融法による球状ジルコニアビーズを用いる場合は、上記ビーズ充填率を満たし、かつ、ジルコニア粉末100重量部に対して前記ビーズ600〜900重量部の範囲内とすることもできる。
ビーズミル処理は、ビーズ(粉砕媒体)による剪断力又は衝撃力により出発材料を粉砕及び分散させる方法であり、例えば公知又は市販のビーズミル装置を使用して実施することができる。従って、ビーズミル装置の仕様・形式も特に限定されない。例えば、ビーズミル装置に備えられているアジテータの形状も限定されず、例えばディスクタイプ、ピンタイプ、シングルロータータイプ等のいずれであっても良い。また、粉砕室(ベッセル)も、縦型又は横型のいずれであっても良い。また、ビーズミルの運転方式も限定的ではなく、例えば循環方式、パス方式、バッチ式等のいずれであっても良い。
市販のビーズミル装置としては、本発明の条件下にてビーズミル処理できるものであれば限定的でない。例えば、スーパーアペックスミル(株式会社広島メタル&マシナリー製)、ウルトラアペックスミル(株式会社広島メタル&マシナリー製)、デュアルアペックスミル(株式会社広島メタル&マシナリー製)、MSCミル(日本コークス工業株式会社製)、ナノ・ゲッター(アシザワ・ファインテック株式会社製)、MAXナノ・ゲッター(アシザワ・ファインテック株式会社製)、ラボスターミニ(アシザワ・ファインテック株式会社製)、JBMシリーズ(JBM−B035、JBM−C020、JBM−C050、JBM−C200、JBM−C500、JBM−C1000、Waterspout−Combo、JBM−D500、JBM−D1000、JBM−D2000)(いずれもJUST NANOTECH CO., Ltd.製)も使用することができる。
ビーズミル装置における操作条件としては、本発明の製造方法による条件(特定の出発材料及びビーズを用いること)を具備することを前提として、用いるジルコニア粉末の性状、溶媒の種類、ビーズの種類等に応じて適宜設定することができる。例えば、本発明では、アジテータを備えたビールミル装置において、通常はアジテータ周速5〜20m/秒程度、特に7〜15m/秒と設定することができる。滞留時間(処理時間)は、一般的には5〜25分程度(特に8〜20分)とするが、得られるジルコニア微粒子(粉末)においてX線回折分析による回折チャートで実質的にジルコニア正方晶相が認められなくなるのに十分な時間を確保できる限り、特に上記時間に制約されない。
また、本発明のビーズミル処理は、乾式又は湿式のいずれであっても良いが、特に湿式ビーズミル処理を採用することが望ましい。この場合の溶媒としては、水のほか、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ケトン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、イソプロピルエーテル、メチルセロソルブ等のエーテル系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエステル系溶媒等の各種の有機溶媒を用いることができる。
また、ビーズミル処理に際しては、溶媒のほか、必要に応じて各種の添加剤を配合することもできる。例えば、分散剤、カップリング剤、バインダー、分散助剤等の各種添加剤を配合することができる。特に、本発明では、より高い分散性等を得る目的で分散剤及びカップリング剤の両者を分散液中に含有させることが好ましい。
分散剤としては、例えば非イオン系、アニオン系、カチオン系等のいずれのタイプの分散剤も使用できるが、本発明では特にアニオン系の分散剤が好ましい。アニオン系分散剤としては、特にリン酸エステル系の分散剤を好適に使用することができる。これらの分散剤は、市販品を用いることもできる。
分散剤の添加量は、特に限定的でなく、通常はジルコニア粉末100重量部に対して0.1〜100重量部の範囲内において、用いる分散剤の種類等に応じて適宜設定することができる。従って、例えばジルコニア粉末100重量部に対して0.4〜100重量部の範囲内とし、また例えばジルコニア粉末100重量部に対して0.5〜20重量部の範囲内とし、さらには例えばジルコニア粉末100重量部に対して1〜10重量部の範囲内とすることもできる。
カップリング剤としては、例えばシランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられるが、特に本発明ではシランカップリング剤を好適に用いることができる。
シランカップリング剤としては、特に限定されないが、好ましくは官能基として少なくともアクリル基又はメタクリル基を有するシランカップリング剤を用いることができる。
一例として、一般式X3−n(CHSi−R−Y(ただし、n=1又は2,Rはエチレン基又はプロピレン基、Xは加水分解基、Yは官能基をそれぞれ示す。)で示されるシランカップリング剤を挙げることができる。前記加水分解基Xとしては、メトキシ基、エトキシ基、2−メトキシエトキシ等のアルコキシ基が例示される。前記官能基Yとしては、ビニル基、エポキシ基、スリチル基、ウレイド基、アクリル基、メタクリル基、アミノ基、イソシアヌレート基、イソシアネート基、メルカプト基等が例示される。上記一般式では、例えば上記Rがアクリル基又はメタクリル基であるシランカップリング剤を好適に用いることができる。これらのシランカップリング剤も、市販品を用いることもできる。
カップリング剤の添加量は、特に制限はないが、一般的にジルコニア粉末100重量部に対して2〜200重量部の範囲内において、例えば用いる分散剤の種類等に応じて適宜設定することができる。従って、例えばジルコニア粉末100重量部に対して5〜100重量部の範囲内とし、またジルコニア粉末100重量部に対して5〜50重量部の範囲内とし、さらにはジルコニア粉末100重量部に対して10〜20重量部の範囲内とすることもできる。
ビーズミル処理が完了した後は、常法に従ってビーズと分離した後、ジルコニア系ナノ粒子を回収すれば良い。この場合、湿式ビーズミル処理を実施した場合は、前記溶媒中にジルコニア系ナノ粒子が分散した分散液の形態で回収することができる。この場合、必要に応じて、溶媒の一部又は全部を別の溶媒に置換したり、あるいは溶媒中に分散剤等をさらに添加することもできる。
3.ジルコニア系ナノ粒子の使用
本発明のジルコニア系ナノ粒子は、公知のジルコニアナノ粒子と同様の用途に適用することができる。
特に、本発明ナノ粒子の屈折率の高さ等の特長を活用すべく、例えばレンズ、光学フィルタ、反射防止材、ハードコート材、屈折率調整材等の各種の光学部品を中心に各種用途に幅広く利用することができる。すなわち、公知又は市販の光学部品における分散材(特に高屈折率粒子)として本発明ナノ粒子を適用することができる。この場合、本発明のジルコニア系ナノ粒子を単体で使用することもできるし、あるいは本発明のジルコニア系ナノ粒子及び樹脂成分を含む複合材料の形態で使用することもできる。樹脂成分としても、例えばポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂等のように、公知の複合材料で採用されている各種の合成樹脂を採用することができる。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
実施例1
(1)ジルコニア系ナノ粒子の分散液の調製
ジルコニア系ナノ粒子が溶媒に分散してなる分散液を以下のようにして調製した。出発材料となるジルコニア粉末として、市販品を用いた。この市販品は、粒度分布におけるD50が0.4〜0.7μmの範囲内にあり、単斜晶相94体積%及び正方晶相6体積%であり、比表面積は80m/gである。このジルコニア粉末6gと添加剤(シランカップリング剤0.9g及びリン酸エステル系分散剤0.3g)とをメチルエチルケトン15gに配合した後、得られた混合液をビーズミル装置(バッチ式ビーズミル、大研化学工業株式会社製)にてビーズミル処理を実施した。上記装置は、図7に示すような構成からなり、図8に示すシングルロータータイプのアジテータを1つ使用した。ビーズは市販の熱プラズマ溶融法により球状化されたジルコニアビーズ(大研化学工業株式会社製「DZB」、粒度分布におけるD50が30μm)50g(粉砕室の容積に対して44体積%)を用い、アジテータ周速10m/sとし、処理時間15分とした。このようにしてジルコニア系ナノ粒子を含む分散液を得た。
実施例1で用いたビーズミル装置の概略図を図7に示す。ビーズミル装置10は、a)ビーズ11及び被処理物(分散媒含む。)12を収容するための粉砕室(ベッセル)13、b)粉砕室13内に配置されたアジテータ14、c)前記アジテータ14を回転させるモーター15、d)モーター15の回転駆動力をアジテータ14に伝えるためのシャフト16、e)粉砕室13の外側を冷却する冷却水18が収容される冷却水ジャケット17を備えている。冷却水18は、冷却水ジャケット17に流入し、粉砕時に発生する熱を吸収した後、冷却水ジャケット17から排出され、放冷された後、冷却水ジャケット17に戻るように循環している。
アジテータ13は、図8(a)に示すように、中心軸となる位置にシャフト16がアジテータ14に取り付けられている。図8(b)は、図8(a)の矢印A方向からみた図である。図8(b)に示すように、実施例で使用したアジテータ14は、略風車形状のシングルロータータイプであり、これが時計回り(矢印方向)に回転することにより粉砕を行うものである。
(2)ジルコニア系ナノ粒子の評価
得られた分散液中のジルコニア系ナノ粒子について、結晶構造及び粒度を調べた。
1)結晶構造
1−1)X線回折分析
実施例1で得られた分散液を乾燥して得られた粉末について粉末X線回折分析を実施した。X線回折装置として「MiniFlex 600」(株式会社リガク製)を用いた。その分析結果(「処理後」と表示)を図1に示す。なお、比較のため、図1には、処理前のジルコニア粉末(出発材料)を同様にして測定した結果も併せて示す。図1に示すように、実施例1で得られたジルコニア系ナノ粒子においては、回折パターンにおける2θ=29.74〜30.74度の範囲には回折ピーク(特にジルコニア正方晶相による回折ピーク)が消失していることがわかる。
1−2)ラマン分光法分析
また、前記粉末についてラマン分光法による結晶性も調べた。ラマン分光装置として「レーザーラマン顕微鏡RAMAN Touch」(ナノフォトン株式会社製)を用い、励起波長532nmとし、回折格子2400gr/mmとした。そのラマンスペクトル(「処理後」と表示)を図2に示す。なお、比較のため、図2には、処理前のジルコニア粉末(出発材料)を同様にして測定した結果も併せて示す。図2からも明らかなように、ラマンスペクトルにおいても、実施例1で製造されたジルコニア系ナノ粒子では、ジルコニア正方晶相に由来する波数202cm−1及び267cm−1のピークが認められないことがわかる。
1−3)電子回折分析
さらに、前記粉末について電子回折分析を実施した。面間隔参照用標準試料として金微粒子を用い、その標準試料のプロファイルから長さ情報を取得した。単斜晶及び正方晶の最強線、111m、111tの位置を計算した。その電子回折から得られた強度プロファイルを図3に示す。図3の上図は処理前(出発材料)の結果を示し、図3の下図は実施例1で得られたナノ粒子の結果を示す。図3の結果からも明らかなように、処理後のナノ粒子においては正方晶の111tのピークが確認されないことがわかる。
2)粒度
粒度測定には動的光散乱式粒度分布測定装置「Nanotrac Wave EX−150」(マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いた。粒度は、体積基準による累積分布におけるD50及びD90を測定した。その結果を図4に示す。図4の頻度分布及び累積分布の結果からも明らかなように、粒度分布(頻度分布)が単峰であり、D50は約12nmであり、D90は約20nmであった。
また、粒度分布におけるD90、処理時間及び正方晶/単斜晶のピーク比(強度比)との関係を調べた。その結果を図5に示す。図5に示すように、ジルコニア単斜晶相の増大に伴って、D90も連動するように小さくなっていることがわかる。すなわち、ジルコニア正方晶相が低減しつつ、ジルコニア単斜晶相が増えているので、出発材料の際の単斜晶相94体積%よりも多くなっていることがわかる。また、図5の結果から、出発材料中に存在する正方晶が単斜晶に相転移する際にジルコニア凝集粒子が解れることも微細化に寄与する結果、高い分散性が得られるものと推察できる。
試験例2
平均粒径D50が異なるジルコニアビーズを用いて実施例1と同様にしてジルコニア系ナノ粒子(比較試料1及び比較試料2)を調製した。実施例1と同様にして、得られたジルコニア系ナノ粒子の結晶相をX線回折分析により調べた。ジルコニアビーズとしては、D50が50μmであるビーズ(比較試料1で使用したもの)、D50が100μmであるビーズ(比較試料2で使用したもの)をそれぞれ用いた。その結果を図6に示す。なお、図6には、実施例1で得られたジルコニア系ナノ粒子の分析結果も併せて示す。
図6の結果からも明らかなように、実施例1のジルコニア系ナノ粒子(使用ビーズ径D50=30μm図6中の符号A)では、2θ=29.74〜30.74度の範囲において回折ピークが存在していない。これに対し、D50が40μmを超えるジルコニアビーズで調製された比較試料1(使用ビーズ径D50=50μm、図6中の符号B)及び比較試料2(使用ビーズ径D50=100μm、図6中の符号C)では2θ=29〜30度の範囲(特に2θ=29.74〜30.74度の範囲)において、わずかながらに回折ピークが発現していることがわかる。
試験例3
実施例1と同様にしてジルコニア系ナノ粒子を含む分散液を調製し、その調製直後から一定期間までの粒度分布の変化を調べた。その結果を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、ジルコニア系ナノ粒子を含む分散液は、調製後約6ヶ月経過後においても当初(0日)とほぼ同様の粒度分布を維持しており、分散安定性に優れていることがわかる。
試験例4
実施例1と同様にしてジルコニア系ナノ粒子を含む分散液(分散液1)を調製した。また、平均粒径D50が異なるジルコニアビーズを用いて実施例1と同様にしてジルコニア系ナノ粒子を含む分散液(比較分散液1及び比較分散液2)を調製した。ジルコニアビーズとしては、D50が100μmであるビーズ(比較分散液1で使用したもの)、D50が50μmであるビーズ(比較分散液2で使用したもの)をそれぞれ用いた。得られた各分散液について透過率及び粒度分布を調べた。透過率は、溶媒(MEK)をブランク試料(透過率100%)とし、光路長を5mmとしたときの測定波長600nmにおける分光透過率を測定した。粒度分布は実施例1と同様にして測定した。これらの結果を表2に示す。
表2の結果からも明らかなように、本発明の分散液1では、微細で分散性に優れているため、30%以上(特に35%以上)という高い透過率が得られることがわかる。これに対し、比較分散液1及び2では、比較的粗大な粒子を含むことから透過率が低くなっていることがわかる。

Claims (11)

  1. 粒度分布におけるD50が20nm以下であるジルコニア微粒子であって、
    (1)当該ジルコニア微粒子は、ジルコニア単斜晶相を含有し、
    (2)当該ジルコニア微粒子の粉末X線回折分析による回折パターンにおける2θ=29.74〜30.74度の範囲において、回折ピークが実質的に存在しない、
    ことを特徴とする単斜晶ジルコニア系ナノ粒子。
  2. ジルコニア単斜晶相の含有量が90体積%以上である、請求項1に記載の単斜晶ジルコニア系ナノ粒子。
  3. ジルコニア微粒子からなる粉末における粒度分布が単峰であり、かつ、粒度分布におけるD90が30nm以下である、請求項1又は2に記載の単斜晶ジルコニア系ナノ粒子。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の単斜晶ジルコニア系ナノ粒子が溶媒中に分散している分散液。
  5. シランカップリング剤及びリン酸エステル系分散剤をさらに含む、請求項4に記載の分散液。
  6. ジルコニア粉末から請求項1に記載の単斜晶ジルコニア系ナノ粒子を製造する方法であって、
    (1)前記ジルコニア粉末が、a)粒度分布におけるD50が900nm以下であって、b)ジルコニア単斜晶相の含有量が90〜95体積%であり、かつ、ジルコニア正方晶相の含有量が5〜10体積%であり、
    (2)粒度分布におけるD50が40μm以下のビーズの存在下で前記ジルコニア粉末をビーズミル処理に供する工程を含む、
    ことを特徴とする単斜晶ジルコニア系ナノ粒子の製造方法。
  7. ビーズミル処理が溶媒の存在下で実施される湿式ビーズミル処理である、請求項6に記載の製造方法。
  8. 溶媒中にシランカップリング剤及びリン酸エステル系分散剤が含まれる、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記ビーズが、金属ビーズ及びセラミックスビーズの少なくとも1種である、請求項6に記載の製造方法。
  10. 前記ビーズとして、略球形の形状を有する粒子を用いる、請求項6に記載の製造方法。
  11. ジルコニア粉末のBET比表面積が70m/g以上である、請求項6に記載の製造方法。
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