JP2019147658A - 超音波センサー、電子機器、及び超音波センサーの駆動方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1に記載の装置は、トレイから用紙(対象物)を1枚ずつ搬送する用紙搬送装置である。この用紙搬送装置では、用紙が2枚以上搬送されていないか否かを検出する重送センサーが設けられている。重送センサーは、用紙を通過するように超音波を発信する発信部と、紙面を通過した超音波を受信する受信部とを備える。このような重送センサーでは、発信部から超音波を送信させ、受信部で超音波を受信させる。この際、搬送された用紙が2枚以上重なっている場合に、受信信号が低下するので、用紙の重送を検出することができる。
ところで、上記のような重送センサーでは、発信部で発信された超音波が、用紙と発信部との間、または、受信部と用紙との間で多重反射したり、用紙を回り込んだ超音波が受信部で受信されたりすると、受信信号が不安定となって重送検知が困難になる。このため、発信部から発信する超音波の方向(音軸)を対象物の表面に対して傾斜させて斜めから入射させ、対象物の発信部とは反対側の音軸上に受信部を設ける構成が採られている。
上記特許文献1は、用紙の重送を検出する装置であるが、対象物に対して斜めから超音波を送信し、対象物を通過した超音波を受信することで、対象物の状態(例えば、対象物の厚みや対象物の種類等)を検出する他の超音波センサーにおいても同様の課題がある。
ところで、超音波の音軸が、送信部から受信部に向かう第一軸に一致または略一致する送信方向を探索する際、超音波の送信可能な送信可能範囲全体に亘って走査処理を行うことが考えられる。しかしながら、この場合、超音波の送信方向を特定するまでの時間がかかる。これに対して、本適用例では、超音波を基準方向より第一方向の正側に送信した際の受信信号の電圧値と、超音波を基準方向より第一方向の負側に送信した際の受信信号の電圧値と、に基づいて、超音波の音軸をどの方向に向ければ第一軸に近づけさせることができるかを判定する。これにより、迅速に、超音波の音軸を第一軸に合わせ込むことができる。
これに対して、本適用例では、基準方向よりも正側の複数の方向に対して超音波を送信した際の各々の受信信号の電圧値、及び基準方向よりも負側の複数の方向に対して超音波を送信した際の各々の受信信号の電圧値を比較対象とする。このように、超音波の送信方向を複数方向に変化させることで、超音波の音軸が第一軸に近づく方向を精度よく特定することができる。
このような場合、受信信号の電圧値が最大となる方向は、走査方向とは逆側に存在する可能性がある。本適用例は、このような場合に、走査方向とは逆方向に超音波を送信する方向を変化させ、各方向での受信信号の電圧値が最大となる送信方向を特定する。これにより、超音波の音軸が第一軸に一致または略一致する、超音波の送信方向をより精度よく特定することができる。
本適用例では、上述のように、送信部及び受信部を電子機器に取り付けた際に、送信部及び受信部の取付角度誤差によって、送信部から送信される超音波の音軸が、受信部に対してずれている場合でも、送信部から送信する超音波の音軸を、受信部に向かう第一軸に合わせ込むことができる。よって、電子機器において、対象物の状態を制度良く検出することができる。
本適用例では、上記適用例と同様に、迅速に、かつ精度よく、超音波の音軸を、受信部に向かう第一軸に合わせ込むことができる。
以下、本発明に係る第一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態のイメージスキャナー10の概略構成を示す外観図である。図2は、イメージスキャナー10の搬送部の概略を示す側断面図である。
[イメージスキャナー10の概略構成]
図1に示すように、本実施形態のイメージスキャナー10は、装置本体(以降、本体11と略す)と、対象物である用紙P(図2参照)が載置される用紙サポート12と、を備える。本体11の内部には、図2に示すように、用紙Pを搬送する搬送部13と、搬送された用紙Pの画像を読み取るスキャン部14と、用紙Pの重送を検出する超音波センサー15(重送センサー)と、イメージスキャナー10を制御する制御部16と、が設けられている。なお、対象物として、用紙Pを例示するが、これに限定されるものではなく、例えば、フィルムや布帛等、種々のメディアを対象物とすることができる。
本体11には、図1及び図2に示すように、用紙サポート12との接続位置に給送口11Aが設けられている。用紙サポート12に載置された用紙Pは、給送口11Aへ1枚ずつ給送される。給送された用紙Pは、搬送部13により、本体11内の所定の搬送経路130(図2参照)に沿って搬送される。そして、その搬送途中の読取位置で、スキャン部14により画像が読み取られた後、本体11の前側下部に開口する排出口11Bから排出される。
搬送部13は、用紙サポート12に積載(セット)された複数枚の用紙Pを、搬送方向(Y方向)に1枚ずつ搬送する。すなわち、搬送部13は、給送口11Aから送られた用紙Pを本体11内へ案内しつつ給送し、給送した用紙Pを搬送経路130に沿って搬送する。
また、第二給送ローラー対132を構成する第二従動ローラー132Bはリタードローラーとなっており、その外周面の用紙Pに対する摩擦係数が、第二駆動ローラー132Aの外周面の用紙Pに対する摩擦係数よりも大きくなっている。このため、第二給送ローラー対132は、用紙Pを1枚ずつ分離してY方向の下流側へ送り出す分離機構として機能する。よって、第一給送ローラー対131の回転により用紙サポート12に積載された複数枚の用紙Pは、例えば最下位のものから順番に1枚ずつ給送口11Aから本体11内へ給送され、さらに第二給送ローラー対132の回転により1枚ずつ分離されてY方向の下流側へ給送される。
図2に示すように、搬送経路130の第一搬送ローラー対133と、第二搬送ローラー対134との間には、用紙Pの画像を読み取る読取位置が設けられ、スキャン部14が設けられている。
スキャン部14は、例えば、搬送経路130を挟む両側に設けられた第1スキャン部14Aと第2スキャン部14Bとからなる。このスキャン部14は、搬送中の用紙Pに光を照射可能な光源141と、主走査方向(搬送方向であるY方向に交差するX方向)に延びるイメージセンサー142とにより構成される。用紙Pの片面(表面)を読み取る通常読取モードのときは、第1スキャン部14Aが読取動作を行い、用紙Pの両面(表裏面)を読み取る両面読取モードのときは、第1スキャン部14Aと第2スキャン部14Bとが共に読取動作を行う。スキャン部14(14A,14B)を構成する光源141及びイメージセンサー142は、制御部16に接続され、制御部16の制御によって、用紙Pの画像を読み取るスキャン処理を実施する。
超音波センサー15は、搬送経路130において、第二給送ローラー対132と第一搬送ローラー対133との間の位置に設けられている。この超音波センサー15は、重送センサーであり、搬送部13により搬送される用紙Pの重送を検出する。
図3に示すように、超音波センサー15は、搬送部13により搬送される用紙Pを通過するように送信部15Aから超音波を発信し、この超音波を受信部15Bで受信することで用紙Pの重送を検出する。すなわち、送信部15Aと受信部15Bは、搬送経路130を挟んで配置されている。
図3に示すように、送信部15A及び受信部15Bは、送信部15Aの中心と受信部15Bの中心とを通るセンサー中心軸15C(第一軸)が、搬送経路130に搬送される用紙Pの表面の法線に対して、所定の角度θで傾斜するように、本体11に取り付けられている。
つまり、センサー中心軸15Cが、用紙Pの表面の法線方向と一致する場合、送信部15Aから送信された超音波が、用紙Pと送信部15Aとの間で多重反射する虞がある。また、用紙Pを通過した超音波が受信部15Bと用紙Pとの間で多重反射する虞がある。この場合、受信部15Bでは、送信部15Aから用紙Pを通過して受信部15Bで受信される超音波(測定したい超音波)に加えて、多重反射による超音波も受信部15Bで受信されることになり、正確な重送検出ができない。
これに対して、センサー中心軸15Cを用紙Pの表面の法線に対して傾斜させることで、受信部15Bにおける多重反射された超音波等の不要な超音波成分の受信を低減でき、精度の高い重送検出が可能となる。
なお、ここでは、送信回路基板31及び受信回路基板32がそれぞれ独立して設けられる例を示すが、これに限定されず、送信回路基板31及び受信回路基板32が1つの基板に一体的に設けられる構成としてもよい。また、送信回路基板31及び受信回路基板32の少なくともいずれか一方を複数の基板により構成してもよい。
超音波センサー15を構成する送信部15Aをより具体的に説明する。
図4は、送信部15Aの概略構成を示す平面図である。図5は、送信部15Aの一部の断面図である。
図4及び図5に示すように、送信部15Aは、素子基板21と圧電素子22とを備えて構成されている。本実施形態では、素子基板21の基板厚み方向(Z方向)は、用紙Pの法線方向と一致(または略一致)し、Z方向に交差するX方向は、イメージスキャナー10の主走査方向と一致(または略一致)し、Z方向及びX方向に交差するY方向は搬送方向である。また、Z方向(+Z側に向かう方向)は、超音波を送信する方向(用紙Pに向かう方向)となる。
素子基板21は、図5に示すように、基板本体部211と、基板本体部211の−Z側に設けられる振動膜212と、を備える。
基板本体部211は、振動膜212を支持する基板であり、例えばSi等の半導体基板で構成される。ここで、素子基板21には、Z方向から見た平面視で、図4に示すように、X方向及びY方向に沿った2次元アレイ状に配置される複数の開口部211Aが設けられている。
本実施形態では、各開口部211Aは、基板本体部211の基板厚み方向(Z方向)を貫通した貫通孔であり、当該貫通孔の一端側(−Z側)を閉塞するように振動膜212が設けられている。
圧電素子22は、本実施形態では、振動膜212の一面(−Z側の面)で、かつ、Z方向から見た平面視で各振動部212Aと重なる位置に設けられている。この圧電素子22は、図5に示すように、振動膜212上に第一電極221、圧電膜222、及び第二電極223が順に積層されることにより構成されている。
また、第二電極223は、X方向に沿って直線状に形成されている。第二電極223の±X側端部は、共通電極線223Aに接続される。共通電極線223Aは、X方向に対して複数配置された第二電極223同士を結線し、共通電極線223Aの両端部(±Y側端部)は、送信回路基板31に接続される第二電極端子223Pとなる。
圧電膜222は、例えばPZT(ジルコン酸チタン酸鉛)等の圧電体の薄膜により形成されている。
また、本実施形態の送信部15Aでは、Y方向に配置された複数の送信素子23において第一電極221が共通となり、これらのY方向に配置された複数の送信素子23により、1Ch(チャネル)の送信列23A(図4参照)が構成される。また、当該1Chの送信列23AがY方向に沿って複数並んで配置されることで、1次元アレイ構造の送信部15Aが構成されている。
図6は、本実施形態の送信部15Aの回路構成の概略を示す図である。なお、図6では、説明の簡略化のため、送信列23Aの数を4個としている。図7は、第一送信回路312A及び第二送信回路312Bで生成される周期駆動電圧、及び、各送信列23Aに入力される入力電圧(周期駆動電圧)のタイミングチャートである。なお、図7における「k」は、X方向に並ぶ送信列23Aの順番を示しており、例えば、k=1は、−X側端部に位置する送信列23A、k=2は、−X側端部から2番目の送信列23Aを示す。
図3に示すように、送信部15Aは、送信回路基板31に接続されている。この送信回路基板31には、図6に示すように、スイッチング素子311と、第一送信回路312Aと、第二送信回路312Bと、タイミング制御部313と、メモリー314と、が配置されている。また、送信回路基板31は、受信回路基板32と接続され、受信回路基板32から入力される受信信号の電圧値に基づいて、周期駆動電圧の周期を設定する。
これらのスイッチング素子311は、タイミング制御部313の制御により、送信列23Aと送信回路(第一送信回路312Aまたは第二送信回路312B)とを接続する接続位置、及び、送信列23Aと送信回路(第一送信回路312Aまたは第二送信回路312B)とを切断する切断位置に切り替えられる。
これらの第一送信回路312A及び第二送信回路312Bは、タイミング制御部313の制御に基づいて、所定周期(周期T)の周期駆動電圧を生成する。第二送信回路312Bで生成される周期駆動電圧は、第一送信回路312Aで生成される周期駆動電圧に対して位相が半周期だけずれた(遅延された)周期駆動電圧となる。
第一送信回路312A及び第二送信回路312Bは、周期駆動電圧(パルス波)のディーティー比を維持し、ハイレベル期間及びローレベル期間を同じ割合だけ変更した周期駆動電圧を生成する。例えば、周期Tの周期駆動電圧から、αだけ周期を増加させた周期T´の周期駆動電圧を生成する場合、図8に示すように、ハイレベル期間及びローレベル期間をそれぞれα/2だけ増加させる。
ここで、第二送信回路312Bでは、第一送信回路312Aで生成される周期駆動電圧に対して半周期分遅れた周期駆動電圧が生成される。よって、図8に示すように、第二送信回路312Bで生成される周期T´の周期駆動電圧は、第二送信回路312Bで生成される周期Tの周期駆動電圧に対して、ΔT(=α/2)だけ遅延した周期駆動電圧となる。
また、詳細は後述するが、本実施形態では、タイミング制御部313によるゲート制御によって、各スイッチング素子311が、周期駆動電圧の半周期の遅延で順次接続位置に切り替えられる。これによって、−X側端部の送信列23Aから+X側に向かって順に周期駆動電圧が入力されることで、超音波が周期駆動電圧の周期に応じた音軸方向に送信される。図8の例では、第一送信回路312A及び第二送信回路312Bで生成する周期駆動電圧を、周期Tから周期T´に変更することで、スイッチング素子311の切り替えを行う遅延時間がΔTだけ長くなる。このため、超音波の送信方向がΔTに応じた角度だけ、+X側に変化することになる。
例えば、図9に示すように、第一送信回路312A及び第二送信回路312Bは、基準周期電圧Qに対して、遅延時間Δtを挿入してデューティー比を変更してもよい。具体的に説明すると、第一送信回路312A及び第二送信回路312Bで生成可能な最小周期Tminの周期駆動電圧を基準周期電圧Qとする。この基準周期電圧Qは、半周期(Tmin/2)のパルス幅のハイレベル信号と、半周期(Tmin/2)のパルス幅のローレベル信号とを有する基準波形部Q1が、連続するパルス波形である。
タイミング制御部313により、周期T´が指令されると、第一送信回路312A及び第二送信回路312Bは、周期T´から最小周期Tminを減算した待機時間tを算出する。そして、第一送信回路312A及び第二送信回路312Bは、基準波形部Q1に、待機時間tの基準レベル波形部Q2を追加して、1周期分の周期電圧波形Q3とし、周期電圧波形Q3が連続する周期駆動電圧を生成する。すなわち、本例では、ハイレベル信号のパルス幅は変動しないが、周期が変化するのでディーティー比が変動する。
この場合、図9に示すように、各送信列23Aを遅延駆動させる際の遅延時間ΔTは、最小周期Tminの周期駆動電圧を用いて送信部15Aを駆動させる際に比べて、待機時間t/2だけ増加することになり、超音波の送信方向が待機時間t/2に対応する角度だけ変化する。
タイミング制御部313は、第一送信回路312Aや第二送信回路312Bを制御する。例えば、タイミング制御部313は、周期駆動電圧の生成を指令する制御信号を第一送信回路312Aや第二送信回路312Bに入力する。制御信号には、生成する周期駆動電圧の周波数(周期)が含まれる。これにより、第一送信回路312A及び第二送信回路312Bは、タイミング制御部313により指定された周波数の周期駆動電圧を生成する。
これにより、図7に示すように、第一送信回路312Aで6波分の周期駆動電圧が生成され、第二送信回路312Bで、第一送信回路312Aで生成される周期駆動電圧から半周期分だけ遅延した6波分の周期駆動電圧が生成される。
なお、図7に示す例は、送信列23Aが4つで、5波分の周期駆動電圧を入力する例であるため、第一送信回路312A及び第二送信回路312Bで6波分の周期駆動電圧を生成しているが、送信列23Aの数や、各送信列23Aに入力する周期駆動電圧の波数により、第一送信回路312A及び第二送信回路312Bで生成する周期駆動電圧の波数は適宜調整できる。
本実施形態では、受信部15Bが送信部15Aよりも+X側に配置されるので、タイミング制御部313は、X方向の−X側端部に位置する送信列23Aから+X側に向かって順に周期駆動電圧が入力されるように、各スイッチング素子311をゲート制御し、切断位置から接続位置に切り替える。
これにより、図7に示すように、1番目の送信列23Aに対して第一送信回路312Aで生成された1波から5波までの周期駆動電圧が入力される。また、2番目の送信列23Aには、1番目の送信列23Aに周期駆動電圧が入力されたタイミングから半周期分だけ遅れて、第二送信回路312Bで生成された1波から5波までの周期駆動電圧が入力される。
さらに、3番目の送信列23Aには、2番目の送信列23Aに周期駆動電圧が入力されたタイミングから半周期分だけ遅れて、第一送信回路312Aで生成された2波から6波までの周期駆動電圧が入力される。そして、4番目の送信列23Aには、3番目の送信列23Aに周期駆動電圧が入力されたタイミングから半周期分だけ遅れて、第二送信回路312Bで生成された2波から6波までの周期駆動電圧が入力される。
すなわち、X方向に奇数番目に配置される送信列23Aに入力される周期駆動電圧は同位相となり、第一送信回路312Aで生成される周期駆動電圧を入力することができる。同様に、X方向に偶数番目に配置される送信列23Aに入力される周期駆動電圧は同位相となり、第二送信回路312Bで生成される周期駆動電圧を入力することができる。このように、本実施形態では、各送信列23Aや各送信素子23に対応する送信回路をそれぞれ設ける必要がなく、同じ送信制御グループに属する送信列23Aや送信素子23に対して、同じ送信回路から出力された周期駆動電圧を入力すればよい。
受信部15Bは、図3に示すように、受信面15B1が、送信部15Aに向くように配置されている。つまり、受信部15Bの中心と送信部15Aの中心とを結ぶセンサー中心軸15Cに対して、受信面15B1が垂直(または略垂直)となるように受信部15Bが配置される。
この受信部15Bは、送信部15Aと略同様の構成により構成することができる。すなわち、受信部15Bは、図4や図5に示すような素子基板21と圧電素子22とを有する構成とすることができる。この場合、1つの振動部212Aと、当該振動部212A上の圧電素子22とにより、1つの受信素子を構成する。このような受信素子は、振動部212Aが超音波を受信して振動することで、圧電素子22から受信信号が出力される。受信素子を構成する素子基板21や圧電素子22は、送信部15Aと同一であるため、ここでの説明は省略する。
図10は、イメージスキャナー10の制御構成を示すブロック図である。
図10に示すように、制御部16は、CPU(Central Processing Unit)等により構成された演算部161と、メモリー等の記録回路により構成された記憶部162とを備える。
制御部16は、搬送部13の搬送モーター135、スキャン部14、及び超音波センサー15に接続され、これらの搬送モーター135、スキャン部14、及び超音波センサー15の駆動を制御する。また、制御部16は、インターフェイス部17に接続され、例えば、パーソナルコンピューター等の外部機器51から入力された各種のデータや信号を受信したり、イメージスキャナー10が読み取った読取データを外部機器51に出力したりする。
演算部161は、記憶部162に記憶された各種プログラムを読み込み実行することで、図10に示すように、搬送制御部161A、読取制御部161B、及び重送判定部161C、周期設定部161D等として機能する。
読取制御部161Bは、用紙Pの搬送中にスキャン部14を制御し、用紙Pの画像を読み取らせる。
具体的には、受信信号の電圧値Vが所定の閾値Vhより小さい場合に、用紙Pが重送されていると判定する。なお、重送判定部161Cに重送と判定された場合、搬送制御部161Aは、用紙Pの搬送を停止する。
(周期設定処理)
図11は、本実施形態の超音波センサー15の駆動方法における周期設定処理のフローチャートである。
本実施形態のイメージスキャナー10では、超音波センサー15のセンサー中心軸15Cが、搬送経路130の法線に対して傾斜する。したがって、送信部15Aから送信される超音波の音軸が、センサー中心軸15Cと一致(または略一致)するように、送信部15Aの各送信列23Aに入力される周期駆動電圧を設定する、つまり、送信列23Aを遅延駆動させる際の遅延時間を設定する必要がある。
本実施形態では、イメージスキャナー10による画像読み取り処理の前に、つまり、搬送部13により、対象物である用紙Pが搬送される前に、超音波センサー15における周期設定処理が実施される。
なお、ここでは、周期設定処理のタイミングとして、搬送部13により用紙Pが搬送される毎に行う例を示すが、これに限定されない。例えば、イメージスキャナー10が工場において製造された際に周期設定処理を実施してもよく、イメージスキャナー10が起動された際(電源が投入された際)に周期設定処理を実施してもよく、一定期間毎に周期設定処理が実施されてもよい。周期設定処理は、用紙Pが搬送経路130上に搬送されていない状態で実施されることが好ましい。
超音波センサー15のタイミング制御部313は、周期設定指令を受信すると、送信部15Aから、所定の基準方向に向かって超音波を送信させ、受信部15Bからの受信信号の電圧値(基準電圧値V0)を検出する(ステップS12)。
ここで、本実施形態における基準方向について説明する。図12は、本実施形態における基準方向とセンサー中心軸15Cとの関係を示す図である。
本実施形態における基準方向は、送信部15Aに対する受信部15Bの位置が、図12に示す設計位置に位置する場合のセンサー中心軸15Cの方向である。つまり、送信部15Aや受信部15Bを高精度に本体11の設計位置に固定した場合に、センサー中心軸15Cが基準方向に一致する。
ところで、上述したように、送信部15Aや受信部15Bを本体11に取り付ける際に、取付角度誤差等によって送信部15Aに対する受信部15Bの位置が図12に示すようにずれることがある。この場合、送信部15Aの中心と受信部15Bの中心とを通るセンサー中心軸15Cは、本来の(理想とする)センサー中心軸15C、つまり基準方向から、所定の角度だけずれてしまう。本実施形態では、このように、センサー中心軸15Cと基準方向とがずれている場合でも、以降に説明する周期設定処理の実施により、送信部15Aから送信する超音波の音軸がセンサー中心軸15Cと一致または略一致するように、第一送信回路312A及び第二送信回路312Bで生成する周期駆動電圧の周期を設定する。
これにより、送信部15Aから基準方向に超音波が送信され、受信部15Bで当該超音波が受信されると、受信部15Bから受信回路基板32を介して送信回路基板31に受信信号が入力される。タイミング制御部313は、この受信信号の電圧値(基準電圧値V0)を検出し、基準周期T0と対応付けてメモリー314に記憶する。
つまり、タイミング制御部313は、第一送信回路312A及び第二送信回路312Bで生成させる周期駆動電圧の周期を、基準周期T0よりも所定値だけ大きい第一比較周期T1に設定する。なお、この第一比較周期T1はメモリー314に予め記憶されている。そして、タイミング制御部313は、当該第一比較周期T1の周期駆動電圧を第一送信回路312A及び第二送信回路312Bで生成させ、第一比較周期T1の半周期の遅延時間で、スイッチング素子311を順次接続位置に切り替える。
これにより、送信部15Aから第一比較方向に超音波が送信され、受信部15Bで当該超音波が受信されると、受信部15Bから受信回路基板32を介して送信回路基板31に受信信号が入力される。タイミング制御部313は、この受信信号の電圧値(第一比較電圧値V1)を検出し、第一比較周期T1と対応付けてメモリー314に記憶する。
つまり、タイミング制御部313は、第一送信回路312A及び第二送信回路312Bで生成させる周期駆動電圧の周期を、基準周期T0よりも所定値だけ小さい第二比較周期T2に設定する。なお、この第二比較周期T2はメモリー314に予め記憶されている。そして、タイミング制御部313は、第二比較周期T2の周期駆動電圧を第一送信回路312A及び第二送信回路312Bで生成させ、第二比較周期T2の半周期の遅延時間で、スイッチング素子311を順次接続位置に切り替える。
これにより、送信部15Aから第二比較方向に超音波が送信され、受信部15Bで当該超音波が受信されると、受信部15Bから受信回路基板32を介して送信回路基板31に受信信号が入力される。タイミング制御部313は、この受信信号の電圧値(第二比較電圧値V2)を検出し、第二比較周期T2と対応付けてメモリー314に記憶する。
ステップS15において、Yesと判定された場合(V1>V2である場合)、タイミング制御部313は、+X側を走査方向として設定する(ステップS16;走査方向設定ステップ)。
ステップS15において、Noと判定された場合(V2>V1である場合)、タイミング制御部313は、−X側を走査方向として設定する(ステップS17;走査方向設定ステップ)。
送信部15Aから送信される超音波の方向が変化することで、受信部15Bから出力される受信信号の電圧値も変化する。タイミング制御部313は、第一送信回路312A及び第二送信回路312Bで設定した周期に対する受信信号の電圧値を適宜メモリー314に記憶する。
本実施形態では、図12に示すように、取付角度誤差によって生じるセンサー中心軸15Cのずれを、超音波の音軸の方向を調整することで補正する。ただし、ずれ量が大きすぎると、センサー中心軸15Cが本体11内の他の部分に干渉する場合もあるため、ずれ量の許容範囲は予め設定されており、例えば、基準方向を中心とした±10°の角度範囲となる。したがって、ステップS18では、基準方向を中心とした±10°程度の範囲で走査処理を実施すれば十分である。このように、超音波を狭範囲内で走査する場合、受信信号の電圧値の変化曲線は、図13や図14に示すように、略正規分布に略従って変化する。つまり、超音波の音軸がセンサー中心軸15Cと一致する際をピーク位置として、超音波を+X側に振った場合の電圧値の変化曲線と、超音波を−X側に振った場合の電圧値の変化曲線とが、ピーク位置を中心に略線対称となる。
また、図14に示すように、受信信号の最大電圧値Vmaxとなるピーク位置(センサー中心軸15Cの方向)が、基準方向と第一比較方向との間となる場合でも、V1>V2となる。よって、この場合も、ステップS15で、V1>V2であると判定された場合は、ステップS16で走査方向を基準方向より+X側とすることで、ステップS18において、受信信号の最大電圧値Vmaxが検出される際の設定周期TSを迅速に検出することができる。
なお、図13及び図14は、V1>V2となる例であるが、V2>V1となる場合も同様であるため、ここでの図示及び説明は省略する。
以上のような周期設定処理の後、イメージスキャナー10は、用紙Pの画像読取処理を実施する。この際、本実施形態では、超音波センサー15による重送検知処理を実施する。
図15は、超音波センサー15による重送検知処理を含む、イメージスキャナー10の画像読取処理(スキャン方法)のフローチャートである。
ステップS19で周期が設定されると、超音波センサー15から制御部16に周期の設定が完了した旨の制御信号が出力される。搬送制御部161Aは当該制御信号を受信すると、搬送モーター135を駆動し、搬送部13によって用紙Pを1枚ずつ搬送させる(ステップS21)。
ここで、上述したように、X方向に並ぶ各送信列23Aに設定周期TSの周期駆動電圧を、設定周期TSの1/2周期で−X側から+X側に順に入力し、送信部15Aから超音波を送信した際に、受信部15Bから出力される受信信号が最大となるように、設定周期TSが設定されている。このため、送信部15Aや受信部15Bを本体11に取り付ける際に、取付角度誤差が含まれていても、タイミング制御部313は、設定周期TSの周期駆動電圧に基づいた遅延制御で送信部15Aを駆動させることで、送信部15Aから送信される超音波の音軸を、センサー中心軸15Cに一致または略一致させることができる。
ステップS23において、Yesと判定される場合、つまり、受信信号の電圧値が、閾値未満である場合は、用紙Pを通過した超音波の音圧が小さく、2枚以上の用紙が搬送されている状態(重送)であると判定する。この場合、搬送制御部161Aは、用紙Pの搬送動作を停止させる(ステップS24)。この場合、搬送制御部161Aは、用紙Pの搬送方向を反転させて、搬送経路130内の用紙Pをリタードローラーを含む第二給送ローラー対132よりも上流側(−Y側)に戻し(ステップS25)、ステップS21の処理に戻す。なお、エラーメッセージ等を表示させて処理を終了させてもよい。
本実施形態の超音波センサー15は、用紙P(対象物)の表面の法線に対して傾斜したセンサー中心軸15C(第一軸)上に配置されて、用紙Pに向かって超音波を送信する送信部15Aと、センサー中心軸15C上で、用紙Pの送信部15Aとは反対側に設けられた受信部15Bとを備える。また、送信部15Aは、送信回路基板31に接続され、この送信回路基板31には、送信部15Aの駆動を制御するタイミング制御部313(送信制御部)が設けられている。そして、タイミング制御部313は、各送信列23Aを遅延駆動させて、送信部15Aから基準方向よりX方向(第一方向)の+X側(正側)に超音波を送信した際の第一比較電圧値V1と、基準方向より−X側(負側)に超音波を送信した際の第二比較電圧値V2とを比較する。そして、その比較結果に基づいて、超音波の送信方向を判定、つまり、走査処理で超音波の方向を変化させる走査方向を判定する。
また、第一比較電圧値V1と、第二比較電圧値V2と、に基づいて、超音波をどの方向に向ければ受信信号の電圧値が大きくなるか、すなわち、超音波の音軸が、センサー中心軸15Cに近づく方向を判定することができ、迅速に、超音波の音軸を、センサー中心軸15Cに合わせ込むことができる。
この場合、基準方向から、走査方向とは逆方向に対して走査処理を実施する必要がないので、超音波の音軸がセンサー中心軸15Cに一致する設定周期TSを迅速に特定できる。このため、イメージスキャナー10において、画像読取処理毎に、周期設定処理を実施しても、画像読取処理に係る時間が大幅に遅延することがない。
上記のように、超音波センサー15は、送信部15A及び受信部15Bを本体11に取り付けた際に取付角度誤差が生じた場合でも、送信部15Aから送信される超音波の送信方向(音軸)を、センサー中心軸15Cに一致させるように調整することができる。よって、受信部15Bにおいて、送信部15Aから送信され、用紙Pを通過した超音波を好適に受信することができる。したがって、重送判定部161Cは、このような受信部15Bから出力される受信信号に基づいて、精度よく用紙Pの重送を検出することができ、重送によって用紙Pの画像が読み込まれない不都合や、重送による紙詰まり等の不都合を抑制できる。
上記第一実施形態では、第一比較方向に超音波を送信した際の第一比較電圧値V1と、第二比較方向に超音波を送信した際の第二比較電圧値V2とを比較することで、設定周期TSを検出する際の走査方向を設定した。これに対して、第二実施形態では、さらに多くの電圧値を比較して、走査方向を設定する点で第一実施形態と相違する。なお、以降の説明にあたり、既に説明した事項については同符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
第一実施形態では、送信部15Aから送信する超音波を所定範囲(狭範囲)内で振った際の受信信号の電圧値の変化曲線は、音軸とセンサー中心軸15Cとが一致する位置を中心とした正規分布に略従った形状になる、との前提で、走査方向を設定した。
しかしながら、実際の受信信号の波形には、ノイズ等の不要成分が含まれ、例えば図16に示すように、電圧値の変化曲線に2つ以上のピークが現れる場合がある。図16に示す例において、第一実施形態では、周期T11の周期駆動電圧を用いた場合を第一比較方向、周期T12の周期駆動電圧を用いた場合を第二比較方向とすると、V21>V11となり、−X側を走査方向として走査処理が実施される。つまり、第一実施形態では、最大電圧値Vmaxが+X側にあるにもかかわらず、基準方向から−X側の方向を走査方向として設定してしまう。また、第一実施形態では、第一比較電圧と第二比較電圧とが同程度の電圧値となる場合においても、走査方向の決定が困難となる。
同様に、ステップS14において、タイミング制御部313は、送信部15Aから、基準方向よりも−X側の所定の第六比較方向、第七比較方向、第八比較方向のそれぞれに向かって超音波を送信させ、それぞれの方向に対する受信部15Bからの受信信号の電圧値(第六比較電圧値V21、第七比較電圧値V22、第八比較電圧値V23)を検出する。超音波を第六比較方向、第七比較方向、第八比較方向のそれぞれに送信する際の周期駆動電圧の周期は、図16に示すように、T21、T22,T23となる。
図16の例では、T13の周期駆動電圧により、第五比較方向に超音波を送信した際に最大の電圧値V13が検出される。よって、この場合、基準方向から+X側の走査方向として設定する。
他の処理については、第一実施形態と同様である。
また、センサー中心軸15Cのずれの許容範囲(例えば基準方向から±5°の範囲内)をn等分するように、各比較方向を設定してもよい。
例えば、第三比較方向を基準方向から+X側に5/3°だけ傾けた方向、第四比較方向を基準方向から+X側に10/3°だけ傾けた方向とし、第五比較方向を基準方向から+X側に5°だけ傾けた方向とする。これにより、許容範囲における+X側での受信電圧の電圧値の傾向を判定することができる。同様に、第六比較方向を基準方向から−X側に5/3°だけ傾けた方向、第七比較方向を基準方向から−X側に10/3°だけ傾けた方向とし、第八比較方向を基準方向から−X側に5°だけ傾けた方向とする。これにより、許容範囲における−X側での受信電圧の電圧値の傾向を判定することができる。
本実施形態の超音波センサー15では、タイミング制御部313は、基準方向から+X側の複数の方向に超音波を送信した際のそれぞれの受信信号の電圧値と、基準方向より−X側の複数の方向に超音波を送信した際のそれぞれの受信信号の電圧値とを比較する。
この場合、受信信号の電圧値の変化曲線に複数のピークが含まれる場合等であっても、超音波の音軸がセンサー中心軸15Cに近づく方向(走査方向)を精度よく設定することができる。
上記第一実施形態及び第二実施形態では、ステップS15やステップS16において、走査方向が設定されると、ステップS18では、その走査方向に対して超音波の送信方向を変化させて、最大電圧値となる方向(周期)を特定した。
これに対して、本実施形態では、走査方向への走査を実施した際の受信信号の電圧値の変化が単調減少する場合に、走査方向とは逆方向に走査を実施する点で上記第一実施形態及び第二実施形態と相違する。
第一実施形態では、送信部15Aから送信する超音波を所定範囲(狭範囲)内で振った際の受信信号の電圧値の変化曲線は、音軸とセンサー中心軸15Cとが一致する位置を中心とした正規分布に略従った形状となる、との前提で、走査方向を設定した。
しかしながら、送信部15Aから送信される超音波は、送信面15A1の法線方向に対して音圧が大きく、法線方向から傾斜するにしたがって音圧が低下する。したがって、受信部15Bの受信面15B1に対する送信面15A1の傾斜角度によっては、図17に示すように、超音波の送信角度が送信面15A1から大きくなるにしたがって、音圧が大きく低下する場合がある。
なお、第二実施形態において、ステップS13及びステップS14における比較方向の数を増大させて、より細かく受信信号の電圧値を取得することで、上記のような不都合は回避できるが、この場合、走査方向を判定するまでの時間が長くなる。
具体的には、タイミング制御部313は、基準方向から走査方向への走査処理において、受信信号の電圧値が単調減少しているか否か(基準方向から離れるにしたがって漸減しているか否か)を判定する。そして、受信信号の電圧値が単調減少である場合、タイミング制御部313は、走査方向への走査処理の後、さらに、基準方向から走査方向とは逆方向に対して走査処理を実施する。そして、逆方向への走査処理において検出される受信信号の最大電圧値と、走査方向への走査処理において検出される受信信号の最大電圧値とを比較し、大きい方をセンサー中心軸15Cに一致する方向として判定する。
本実施形態では、タイミング制御部313は、受信信号の電圧値の変化が単調減少であるか否かを判定し、単調減少である場合に、走査方向とは逆方向に対しても走査処理を実施する。これにより、超音波の音軸をセンサー中心軸15Cに高精度に合わせ込むことができ、重送の検出精度も向上する。
なお、本発明は上述の各実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良、及び各実施形態を適宜組み合わせる等によって得られる構成は本発明に含まれるものである。
上記第一から第三実施形態において、送信部15Aは、X方向に沿って奇数番目に配置される送信列23Aに対する第一送信回路312Aと、偶数番目に配置される送信列23Aに対する第二送信回路312Bとを設ける例を示した。
これに対して、n個おきに配置された送信列23Aを1つの送信制御グループとしてもよい。つまり、X方向に沿って−X側から(n+1)k−n番目(kが1以上の自然数)の送信列23Aを含む送信制御グループ、(n+1)k−(n−1)番目の送信列23Aを含む送信制御グループ、…(n+1)k+1番目の送信列23Aを含む送信制御グループ、(n+1)k番目の送信列23Aを含む送信制御グループ、の合計n+1個の送信制御グループに分けられる。この場合、各送信制御グループに対応した、n+1個の送信回路が設けられ、順にh/(n+1)周期(hは正の整数)だけ遅延させた周期駆動電圧を生成する。
図18は、n=2とした場合の回路構成を示す図であり、図19は、n=2,h=1とした場合の超音波センサー15の各送信列23Aに入力される入力電圧(周期駆動電圧)のタイミングチャートである。
図18の例では、X方向に2個おきに配置された送信列23A(送信素子23)を1つの送信制御グループとする。つまり、−X側から3k−2番目の送信列23Aを含む送信制御グループ、3k−1番目の送信列23Aを含む送信制御グループ、3k番目の送信列23Aを含む送信制御グループに分けられる。
そして、タイミング制御部313は、各送信列23Aに接続されるスイッチング素子311を−X側端部(または+X側端部)から順に、周期駆動電圧の1/3周期だけ遅延させて切断位置から接続位置に切り替える。これにより、図19に示すように、−X側端部の1番目の送信列23Aから+X側に向かって、1/3周期の遅延時間で順に周期駆動電圧が印加される。
図18に示す例において、第2の送信回路312Dは、第1の送信回路312Cで生成される周期駆動電圧を、位相を2/3周期だけ遅延させた周期駆動電圧を生成し、第3の送信回路312Eは、第2の送信回路312Dで生成される周期駆動電圧を、位相を2/3周期だけ遅延させた周期駆動電圧を生成してもよい。
さらに、送信部15Aの回路構成として、1つの送信回路のみが設けられる構成としてもよい。
図20は、送信部15Aの回路構成の他の例を示す図であり、図21は、当該回路の送信回路312で生成される周期駆動電圧、及び、各送信列23Aに入力される周期駆動電圧のタイミングチャートである。
図20に示す送信回路基板31Aは、スイッチング素子311、送信回路312、及びタイミング制御部313Aを備える。
スイッチング素子311は、第一実施形態と同様に、各送信列23Aのそれぞれに対応して設けられる。また、各スイッチング素子311は、1つの送信回路312に接続されている。この送信回路312は、第一実施形態と同様に、タイミング制御部313Aからの制御信号に基づいて、指令周期または設定周期の周期駆動電圧を生成する。
図22に示す送信回路基板31Bは、マルチプレクサー315、送信回路312、及びタイミング制御部313Bを備える。
また、タイミング制御部313Bは、送信部15Aから超音波を送信する際に、マルチプレクサー315をコントロール制御して、送信回路312から入力された周期駆動電圧の出力先を、周期駆動電圧の周期の整数倍(例えば1倍)のタイミングで、−X側の送信列23Aから+X側の送信列23Aに切り替える。
つまり、−X側端部に配置される送信列23Aから+X側端部に配置される送信列23Aまでの各送信列23Aが、周期駆動電圧の1周期分の遅延時間で、順に、駆動されることになる。この場合、各送信列23Aに入力される周期駆動電圧は、1周期分のパルス波となる。
上記のような図20や図22に示す回路構成とする場合、1つの送信回路312が設けられていればよいので、送信部15Aの回路構成をより簡略化できる。
上記第一実施形態において、ステップS12で基準方向に超音波を送信し、受信信号の基準電圧値V0を検出する例を示したが、このステップS12は省略されてもよい。すなわち、第一実施形態では、ステップS13及びステップS14により検出された第一比較電圧値V1及び第二比較電圧値V2を比較することで、走査方向を決定する。したがって、ステップS12のタイミングで基準電圧値V0を検出しなくてもよく、ステップS18の走査処理で基準電圧値V0が検出されればよい。
上記各実施形態では、基準方向として、送信部15A及び受信部15Bが、本体11の設計位置に精密に取り付けられた際の、センサー中心軸15Cに沿う方向、つまり、理想とするセンサー中心軸15Cの方向としたが、これに限定されない。本体11に対する設計位置とは関係なく、所定の軸方向を基準方向としてもよい。
例えば、送信部15Aの送信面15A1の法線方向を基準方向としてもよい。
また、過去の周期設定処理により設定された設定周期TSに対応する方向を基準方向としてもよい。例えば、前回の周期設定処理で設定された設定周期TSを基準周期T0とし、当該基準周期の周期駆動電圧によって送信される超音波の方向を基準方向としてもよい。または、過去に設定された設定周期TSの平均値を算出し、基準方向に対応する基準周期T0としてもよい。或いは、過去に設定された設定周期TSや、その設定周期TSが設定された際の温度や湿度等の環境値とに基づいて、基準周期T0を算出してもよい。
上記実施形態において、送信部15Aは、送信面15A1の法線が、搬送経路130の用紙Pの法線と一致するように配置される例を示したが、これに限定されない。例えば、送信面15A1が、受信面15B1に平行となるように、送信部15Aを固定してもよい。この場合、基準方向は、送信面15A1の法線方向となる。
上記第一実施形態では、本発明の電子機器の一例として、イメージスキャナー10を例示したが、これに限定されない。例えば、搬送経路上に搬送された印刷紙に対して、画像を印刷する印刷ヘッドが設けられた印刷装置(プリンター)において、印刷紙の重送を検出する際に本発明の超音波センサー15を適用してもよい。
また、対象物としては、用紙Pや印刷紙に限定されず、上述したように、フィルムや布帛等であってもよい。
Claims (6)
- 対象物の表面の法線に対して傾斜した第一軸上に配置された送信部と、
前記第一軸上で、前記対象物の前記送信部とは反対側に設けられた受信部と、
前記送信部の駆動を制御する送信制御部と、を備え、
前記送信部は、超音波を送信する複数の送信素子を有し、かつ、複数の前記送信素子が、前記法線と前記第一軸とを含む面内で、前記第一軸に交差する第一方向に沿って配置されており、
前記送信制御部は、複数の前記送信素子を遅延駆動させて所定の基準方向より前記第一方向の正側に前記超音波を送信した際に前記受信部から出力される受信信号の電圧値と、前記基準方向より前記第一方向の負側に前記超音波を送信した際に前記受信部から出力される前記受信信号の電圧値と、を比較して、前記超音波の音軸が前記第一軸に近づく方向を判定する
ことを特徴とする超音波センサー。 - 請求項1に記載の超音波センサーにおいて、
前記送信制御部は、前記基準方向より前記第一方向の正側の複数の方向に前記超音波を送信した際のそれぞれの前記受信信号の電圧値と、前記基準方向より前記第一方向の負側の複数の方向に前記超音波を送信した際のそれぞれの前記受信信号の電圧値と、を比較する
ことを特徴とする超音波センサー。 - 請求項1または請求項2に記載の超音波センサーにおいて、
前記送信制御部は、前記基準方向に対して前記第一方向の正側、及び前記基準方向に対して前記第一方向の負側のうち、前記受信信号の電圧値が大きくなる方向を走査方向とし、前記基準方向から前記走査方向に向かって前記超音波を送信する方向を変化させた際の前記受信信号の電圧値の変化を検出して、前記受信信号の電圧値が最大となる前記超音波の送信方向を特定する
ことを特徴とする超音波センサー。 - 請求項3の超音波センサーにおいて、
前記送信制御部は、前記走査方向に向かって前記超音波を送信する方向を変化させた際の前記受信信号の電圧値の変化が、前記基準方向から離れるにしたがって漸減する場合、前記基準方向から前記走査方向とは逆方向に向かって前記超音波を送信する方向を変化させた際の前記受信信号の電圧値を検出し、前記受信信号の電圧値が最大となる前記超音波の送信方向を特定する
ことを特徴とする超音波センサー。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の超音波センサーと、
前記超音波センサーの前記受信部からの出力に応じて前記対象物の状態を検出する状態検出部と、を備える
ことを特徴とする電子機器。 - 対象物の表面の法線に対して傾斜した第一軸上に配置された送信部と、前記第一軸上で、前記対象物の前記送信部とは反対側に設けられた受信部と、前記送信部の駆動を制御する送信制御部と、を備え、前記送信部が、超音波を送信する複数の送信素子を有し、かつ、複数の前記送信素子が、前記法線と前記第一軸とを含む面内で、前記第一軸に交差する第一方向に沿って配置された超音波センサーの駆動方法であって、
複数の前記送信素子を遅延駆動させて所定の基準方向より前記第一方向の正側に前記超音波を送信した際に前記受信部から出力される受信信号の電圧値と、前記基準方向より前記第一方向の負側に前記超音波を送信した際に前記受信部から出力される前記受信信号の電圧値と、を比較し、
前記超音波の音軸が前記第一軸に近づく方向を判定する
ことを特徴とする超音波センサーの駆動方法。
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