JP2019147376A - 歯付ベルトの製造方法、及び、歯付ベルトの製造装置 - Google Patents
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Abstract
Description
円筒状の外周面に歯形が形成された金型の外周に筒状の前記歯布を装着し、前記歯布上に前記心線をスピニングするスピニング工程と、
前記歯布上に前記心線がスピニングされた、スピニング済の前記金型の外周面に、熱可塑化させた前記ゴム組成物を筒状に排出し、前記外周面を被覆して未加硫ベルトスリーブを形成する被覆工程と、
前記未加硫ベルトスリーブを外周側から加圧して前記歯部を形成させつつ加硫する加硫工程と、を含み、
前記被覆工程において、
前記スピニング済の前記金型の外周面と筒状に排出された前記ゴム組成物との間に、圧縮空気を連続的に供給することにより、前記スピニング済の前記金型の外周面と筒状に排出された前記ゴム組成物との間に環状隙間を形成し、
筒状に排出された前記ゴム組成物が、前記スピニング済の前記金型の外周面の所定の位置に達すると、前記ゴム組成物の排出を停止するとともに、前記圧縮空気を排気することにより、前記環状隙間を閉塞する、ことを特徴としている。
更に、筒状に排出されたゴム組成物がスピニング済の金型の外周面の所定位置に達すると、ゴム組成物の排出を停止するとともに、圧縮空気を排気し、環状隙間を閉塞させることにより、筒状のゴム組成物に作用していた拡径方向の力がなくなる。その結果、熱可塑化させた筒状のゴム組成物が放冷による収縮作用で縮径して、スピニング済の金型の外周面に密着する。これにより、筒状に排出されたゴム組成物は、金型の外周面にスピニングされた心線に対して、ずり応力を生じさせることなく、スピニング済の金型の外周面に層状に被覆されることになる。つまり、未加硫ベルトスリーブを形成する被覆工程において、心線にピッチ乱れ(心線のズレ)を生じさせないようにすることができる。
また、被覆工程において、熱可塑化された筒状のゴム組成物の被覆を終える毎に、筒状のゴム組成物を切断し、ゴム組成物が被覆された未加硫ベルトスリーブ付き金型と、新たなスピニング済の金型とを入れ替えるだけで、スピニング済の金型の外周面に筒状のゴム組成物を層状に被覆させた未加硫ベルトスリーブを連続的に成形することができる。そのため、従来法(カレンダーロール等圧延設備によるシート化、切断、金型への巻き付け、およびジョイントという一連の煩雑なプロセスが必要)に比べて、省人化が可能となり、歯付ベルトの製造に係る生産性を向上させることができる。
環状の押出口を有する押出機に、前記スピニング済の前記金型を、当該金型の中心軸の延長線上に前記環状の押出口の中心が配されるように配置し、
更に、前記金型にスピニングされた前記心線と前記押出口とは、前記金型の中心軸方向に所定の距離を置いて配置し、
前記押出口から前記熱可塑化させたゴム組成物を筒状に排出し、前記スピニング済の前記金型の外周面を被覆して未加硫ベルトスリーブを形成する、ことを特徴としている。
前記圧縮空気を排気する際に、前記環状隙間が大気圧より低い負圧になるように設定することを特徴としている。
またスピニング済の金型の外周面と筒状に排出されたゴム組成物との間に形成された環状隙間の大きさを、スピニング済の金型の外周面に層状に被覆されるゴム組成物の厚みに対して比較的大きく(例えば2倍の大きさに)設定することができるので、環状隙間を負圧にしない場合に比べて、金型の周長範囲を拡大することができる。即ち、厚さは同じで周長が異なる未加硫ベルトスリーブの周長範囲を拡大することができる。したがって、従来の押出法と比べて、生産性をより向上させることができる。
前記押出機は、
前記押出口から前記ゴム組成物を排出するスクリューと、
前記スクリューの回転数を検知し、スクリュー回転数信号として送信するスクリュー回転数検知器と、
前記スクリューの先端部と前記押出口との間の前記ゴム組成物の流路内部の圧力を検知し、内部圧力検知信号として送信する圧力検知器と、
前記金型を、当該金型の中心軸の延長線上に前記押出口の中心が配されるように供給する金型供給装置と、
前記金型の位置を検知し、金型供給位置信号として送信する金型供給位置検知器と、
前記圧縮空気を供給・排出する圧力源と、
前記ゴム組成物が前記スピニング済の前記金型の外周面の所定の位置に達したことを検知し、押出物先端位置信号として送信する押出物先端位置検知器と、
切断装置と、
前記切断装置による前記未加硫ベルトスリーブの切断終了を検知し、切断検知信号として送信する切断検知器と、
前記未加硫ベルトスリーブの仕様を定めた、未加硫ベルトスリーブ種別情報、該未加硫ベルトスリーブ種別情報毎に設定された、前記スクリューの回転数に基づく前記ゴム組成物の前記押出口からの排出速度を定めた排出速度情報、および、前記排出速度情報に対応する、前記圧力源による前記ゴム組成物への加圧力を定めた、基準押出物筒状内部加圧力情報を記憶する設定情報記憶部と、
前記スクリュー回転数検知器からの前記スクリュー回転数信号、前記圧力検知器からの前記内部圧力検知信号、前記金型供給位置検知器からの前記金型供給位置信号、前記押出物先端位置検知器からの前記押出物先端位置信号、前記設定情報記憶部から読み出した前記基準押出物筒状内部加圧力情報、および、前記切断検知器からの前記切断検知信号の少なくとも1つに基づいて、前記金型供給装置および前記圧力源の動作を制御する、制御部と、を備え、
前記未加硫ベルトスリーブ種別情報毎に、前記金型供給装置および前記圧力源の動作が前記制御部により制御されることを特徴としている。
環状の押出口を有する押出機と、
円筒状の外周面に歯形が形成され、中心軸の延長線上に前記環状の押出口の中心が配されるように、前記押出機に対して着脱自在な金型と、
前記押出口から押し出された筒状のゴム組成物と前記金型の外周面との間に形成される環状隙間への圧縮空気の供給、及び、前記環状隙間からの前記圧縮空気の排気が可能な圧力源と、を備えたことを特徴としている。
更に、筒状に排出されたゴム組成物がスピニング済の金型の外周面の所定位置に達し、ゴム組成物の排出を停止させた場合、圧力源によって環状隙間から圧縮空気を排気し、環状隙間を閉塞させることにより、筒状のゴム組成物に作用していた拡径方向の力を無くすことができる。その結果、熱可塑化させた筒状のゴム組成物が放冷による収縮作用で縮径して、スピニング済の金型の外周面に密着する。これにより、筒状に排出されたゴム組成物は、金型の外周面にスピニングされた心線に対して、ずり応力を生じさせることなく、スピニング済の金型の外周面に層状に被覆されることになる。つまり、未加硫ベルトスリーブを形成する際に、心線にピッチ乱れ(心線のズレ)を生じさせないようにすることができる。
また、熱可塑化された筒状のゴム組成物の被覆を終える毎に、筒状のゴム組成物を切断し、ゴム組成物が被覆された未加硫ベルトスリーブ付き金型と、新たなスピニング済の金型とを入れ替えるだけで、スピニング済の金型の外周面に筒状のゴム組成物を層状に被覆させた未加硫ベルトスリーブを連続的に成形することができる。そのため、従来法(カレンダーロール等圧延設備によるシート化、切断、金型への巻き付け、およびジョイントという一連の煩雑なプロセスが必要)に比べて、省人化が可能となり、歯付ベルトの製造に係る生産性を向上させることができる。
前記金型は、当該金型にスピニングされた前記心線と前記押出口とが、前記金型の中心軸方向に所定の距離を置いて配置されるように、前記押出機に装着されることを特徴としている。
前記圧力源は、前記圧縮空気を排気する際に、前記環状隙間が大気圧より低い負圧になるように設定可能であることを特徴としている。
またスピニング済の金型の外周面と筒状に排出されたゴム組成物との間に形成された環状隙間の大きさを、スピニング済の金型の外周面に層状に被覆されるゴム組成物の厚みに対して比較的大きく(例えば2倍の大きさに)設定することができるので、環状隙間を負圧にしない場合に比べて、金型の周長範囲を拡大することができる。即ち、厚さは同じで周長が異なる未加硫ベルトスリーブの周長範囲を拡大することができる。したがって、従来の押出法と比べて、生産性をより向上させることができる。
前記押出機は、
前記押出口から前記ゴム組成物を排出するスクリューと、
前記スクリューの回転数を検知し、スクリュー回転数信号として送信するスクリュー回転数検知器と、
前記スクリューの先端部と前記押出口との間の前記ゴム組成物の流路内部の圧力を検知し、内部圧力検知信号として送信する圧力検知器と、
前記金型を、当該金型の中心軸の延長線上に前記押出口の中心が配されるように供給する金型供給装置と、
前記金型の位置を検知し、金型供給位置信号として送信する金型供給位置検知器と、
前記ゴム組成物が前記スピニング済の前記金型の外周面の所定の位置に達したことを検知し、押出物先端位置信号として送信する押出物先端位置検知器と、
切断装置と、
前記切断装置による前記未加硫ベルトスリーブの切断終了を検知し、切断検知信号として送信する切断検知器と、
前記未加硫ベルトスリーブの仕様を定めた、未加硫ベルトスリーブ種別情報、該未加硫ベルトスリーブ種別情報毎に設定された、前記スクリューの回転数に基づく前記ゴム組成物の前記押出口からの排出速度を定めた排出速度情報、および、前記排出速度情報に対応する、前記圧力源による前記ゴム組成物への加圧力を定めた、基準押出物筒状内部加圧力情報を記憶する設定情報記憶部と、
前記スクリュー回転数検知器からの前記スクリュー回転数信号、前記圧力検知器からの前記内部圧力検知信号、前記金型供給位置検知器からの前記金型供給位置信号、前記押出物先端位置検知器からの前記押出物先端位置信号、前記設定情報記憶部から読み出した前記基準押出物筒状内部加圧力情報、および、前記切断検知器からの前記切断検知信号の少なくとも1つに基づいて、前記金型供給装置および前記圧力源の動作を制御する、制御部と、を備え、
前記未加硫ベルトスリーブ種別情報毎に、前記金型供給装置および前記圧力源の動作が前記制御部により制御されることを特徴としている。
以下、図面を参照しつつ、本願発明に係る歯付ベルトの製造方法及び歯付ベルトの製造装置について説明する。
歯付ベルト1は、図1の歯付ベルト1の断面図に示すように、ベルト周長方向に所定の間隔で設けられた複数の歯部2と、心線3が埋設された背部4と、を有するゴム組成物を基材とするベルト本体5、及び、複数の歯部2の表面を被覆する歯布6により構成されている。
次に、図6に示す、歯付ベルト1を製造する製造装置100が備える、金型10、押出機20、圧力源23(加圧装置231、負圧装置232)、金型供給装置24、切断装置25、及び、制御装置30について説明する。
金型10は、図2に示すように、円筒状の外周面に所定の間隔で凹状部と凸状部とを周方向に交互に設けた歯形(図示せず)を有する胴体部11と、胴体部11の前方端に設けられた前側把持部12と、胴体部11の後方端に設けられた後側把持部13とを有する歯付モールドであって、押出機20に対して着脱自在とされている。胴体部11の面長(長手方向長さ)は、形成するスリーブ長さ(面長)(例えば有効面長400mm)よりも長く(例えば450mm)設定される。前側把持部12は、後述する金型供給装置24のチャック部241に把持される部分である。後側把持部13は、金型10の中心軸が押出機20の中心軸C(図3参照)と同軸線上に配置されるように、ニップル224の穴229に挿入される部分であり、また、後述する、スピニング工程、被覆工程、加硫工程を巡回して金型10を搬送する金型搬送装置26(図6参照)の受け部(鉛直上向き)に挿入される部分である。
押出機20は、図3に示すように、本体21、及び、ストレートヘッド22で構成される。また、押出機20は、圧力源23(加圧装置231、負圧装置232)、金型供給装置24、及び、切断装置25を付帯している。
加圧装置231(熱風発生装置:不図示)は、チャック部241に設けられた連通路242の接続口245に接続されている(図3参照)。これにより、図3、図4、及び、図9に示すように、加圧装置231と環状隙間14(スピニング済の金型10の外周面と排出された筒状のゴム組成物との間に形成)とは、加圧装置231と接続口245との間に設けられた切換弁(加圧装置231側の経路、負圧装置232側の経路:図示せず)、チャック部241の接続口245、チャック部241の連通路242、前側把持部12の連通路121、胴体部11の空洞111、後側把持部13の連通路131、凸部材230の切り溝230A、金型10とニップル224との間に形成された隙間からなる通気路133(図4参照)、及び、ガイド部材112の切り溝112bからなる供給経路を介して接続され、両者が連通する状態になっている。なお、図示しないが、加圧装置231と後述の負圧装置232とに配管接続された上記切換弁により、接続口245に繋がる経路が加圧装置231側と負圧装置232側との間で切り換え可能となっている。
負圧装置232(真空負圧装置:不図示)は、チャック部241に設けられた連通路242の接続口245に接続されている(図3参照)。具体的には、負圧装置232の吸引装置(バキュームポンプ:不図示)と環状隙間14とが、上記加圧装置231の説明で示した圧縮空気の供給経路(図4等参照)を介して接続され、両者が連通する状態になっている。なお、前述した加圧装置231と負圧装置232とに配管接続された切換弁により、配管経路がこの負圧装置232側に切り換えられることにより、環状隙間14の圧縮空気は、図4等に示した圧縮空気の供給経路を供給方向とは逆向きに通り抜け、外部へ速やかに排出されて、環状隙間14を負圧(大気圧より低い気圧)にすることができる。
金型供給装置24は、押出機20に付帯されており、機械制御により、随時、金型10の後側把持部13を、ニップル224の内部に設けられた穴229に供給する役割を果たす。具体的には、金型供給装置24は、金型10の前側把持部12を着脱自在に把持可能なチャック部241と、ヘッド体221の中心軸Cの延長線上を押出機20と図6に示す前方待機位置1との間で、金型10を把持したチャック部241を直線移動させる金型供給駆動部243と、金型10が水平方向または鉛直方向下向きになるように、前方待機位置1および前方待機位置2(図6参照)との間で、チャック部241を旋回させる金型旋回駆動部244とを備えている。チャック部241は、三ツ爪式チャックである。金型供給駆動部243(図6参照)は、駆動モータ(サーボモータ、アンプ、電動シリンダー)、およびブラケット等で構成されている。また、金型旋回駆動部244(図6参照)は、駆動モータ(サーボモータ、アンプ)、およびブラケット等で構成されている。
切断装置25は、金型10のガイド部材112に設けられた凹溝部112dの上方に排出された環状のゴム組成物を、環状のゴム組成物の上方から凹溝部112dに向けて切断(押し切り)する装置であり、凹溝部112dの外周上に外付けされている(図10参照)。本実施形態では、凹溝部112dの上方に排出された環状のゴム組成物に、1ケの刃物(例えば丸刃)の刃先を圧接させながら、凹溝部112dの底まで押し切り、その状態で刃物を1周回させて、ゴム組成物の層を切断(押し切り)できるようにしている。
制御装置30は、金型10、押出機20、及び、これらに付帯する機構を自動制御する装置(コンピュータ)である。制御装置30は、図6に示すように、設定情報記憶部31及び制御部32を備えている。
(1)金型10の胴体部11(外周面には70歯の歯形が設けられている)に筒状の歯布6を被せる。なお、筒状の歯布6は、緯糸方向が胴体部11の周方向となるように被せられる。これにより、作成される歯付ベルト1の歯布6の経糸が、歯付ベルト1の幅方向に沿うように配置される。
上記歯付ベルト1の製造工程の(4)の被覆工程で実行される連続的動作について、詳細に説明する。
(4−1)制御部32は、金型供給位置検知器303からの金型供給位置信号に基づいて、一連の金型10の供給動作を制御し、図6に示すように、金型供給装置24のチャック部241(鉛直下向き)を前方待機位置2(後述する金型搬送装置26の鉛直上方)の位置から下降させる。そして、チャック部241(鉛直下向き)に、スピニング工程で得られたスピニング済の金型10の前側把持部12(鉛直上向き)を把持させた後、チャック部241を前方待機位置2まで上昇させるとともに、スピニング済の金型10の中心軸が押出機20の中心軸Cと同軸線上に配置されるように、前側把持部12を把持したチャック部241を時計回りに90°首振りさせて、チャック部241を前方待機位置1に移動(金型10を旋回)させる。
(4−4)圧縮空気が、スピニング済の金型10の外周面と排出された筒状のゴム組成物との間に連続的に供給されることにより、押出口228から円筒状に排出されたゴム組成物(筒状のゴム組成物)は、わずかに膨張しつつ(外径をわずかに拡大し、スピニング済の金型10の外周面(心線3がスピニングされた状態)の外側に非接触でかぶさるように)、前方(排出方向)へ排出されていく。つまり、スピニング済の金型10の外周面と排出された筒状のゴム組成物との間に環状隙間14が形成される(図7:状態II−2)。
以降、制御部32による制御により、再び、(4−1)の動作に戻る。制御部32による、上記(4−1)〜(4−7)の動作の繰り返しによって、連続的に、スピニング済の金型10の外周面に円筒状のゴム組成物の層を被覆させた未加硫ベルトスリーブを得る。
上記実施形態の被覆工程では、押出口228から排出された筒状のゴム組成物の前端が、スピニング済の金型10の胴体部11の、最も前側把持部12側にスピニングされた心線3付近に達した場合に、負圧装置232により環状隙間14を負圧にしているが、負圧装置232は必須の構成ではなく、環状隙間14を負圧にしなくてもよい。即ち、加圧装置231をオフにして、環状隙間14の圧縮空気を自然排気(大気圧)してもよい。
下記では、本発明に係る実施例1〜3の製造方法で作製した歯付ベルト1と従来の押出法で作製した歯付ベルト1(比較例1)とを、比較評価した。また、実施例1〜3では、『押出口228とスピニング済の金型10の外周面との間の金型10の径方向の距離Cd』、『押出口228と、金型10の胴体部11にスピニングされた心線3(最も後側把持部13側にスピニングされた心線3)との間の距離Cs』、『環状隙間14へ供給する圧縮空気(雰囲気温度:50℃前後)の加圧力P1』、『環状隙間14から圧縮空気を排気した後の圧力P2(負圧の有無)』等の各種設定を変えた製造方法で得られた、未加硫ベルトスリーブ・加硫済ベルトスリーブ・歯付ベルトについて比較評価した。
実施例1は、図9、及び、図10に示すように、押出口228とスピニング済の金型10の外周面との間の、金型10の径方向の距離Cdをゴム組成物の層の厚さ(T)よりも過度に大きくなるように設定した一例である。
実施例2は、圧力P2を大気圧にした以外は実施例1と同様である。・距離Cd:2mm・距離Cs:13mm・加圧力P1:0.02MPa・圧力P2:大気圧
実施例3は、図11、及び、図12に示すように、押出口228とスピニング済の金型10の外周面との間の、金型10の径方向の距離Cdをゴム組成物の層の厚さ(T)と同じになるように設定した一例である。なお、環状隙間14へ供給する圧縮空気の加圧力P1を高めに設定している。・距離Cd:1mm・距離Cs:13mm・加圧力P1:0.05MPa・圧力P2:大気圧
比較例1は、図13及び図14に示すように、従来の押出法で、スピニング済の金型をクロスヘッドの内筒部の内部に連続的に供給して、その外周面にゴム組成物(未加硫物)を不具合なく被覆成形できるかどうかを試みた一例であり、押出口とスピニング済の金型の外周面との間の金型の径方向の距離Cdは、実施例3と同様、ゴム組成物の層の厚さ(T:1mm)と同じ寸法になるように設定した。
以下に、実施例1〜3及び比較例2に係る歯付ベルトを評価するにあたっての評価項目、評価方法、評価基準について説明する。
該当の製造方法(押出成形)によって連続的に未加硫ベルトスリーブを得ることができ、従来法に比べて生産性が向上したと判断できる場合は「○」とし、さらに、金型の周長範囲をより拡大可能等、従来法に比べて生産性がより向上したと判断できる場合は「◎」とし、該当の製造方法(押出成形)によって、連続的に未加硫ベルトスリーブを得ることができず、従来法と比べて生産性が向上しないと判断した場合(心線ずれ等品質不良が多発した場合を含む)は「×」と評価した。
各製造方法により得られた複数の未加硫ベルトスリーブについて、加硫工程の前に、寸法等を確認した結果、未加硫ベルトスリーブの被覆したゴム組成物の層に関する厚さ(約1mm)が、均一であれば「○」とし、不均一であれば「×」と評価した。
各製造方法により得られた複数の未加硫ベルトスリーブについて、加硫工程の前に、確認した結果、未加硫ベルトスリーブの被覆したゴム組成物の層と心線との密着性が、良好(浮きなし)であれば「○」とし、より良好(心線の食い込み大)であれば「◎」とし、悪い(浮き有)場合は「×」と評価した。
各製造方法により得られた未加硫ベルトスリーブおよび加硫済みのベルトスリーブについて、スリーブ長さ(面長)方向に沿った断面を観察した結果、心線にピッチ乱れ(金型の長手方向のずれ)が無い場合「○」とし、有りの場合「×」と評価した。
各製造方法により得られた歯付ベルト(呼び:100S3M210)に関する品質(静的、動的)が、従来法で得られた歯付ベルトの品質と比べても遜色なく、製造方法に起因する不具合は一切無しの場合「○」とし、有りの場合「×」と評価した。
実施例1〜実施例3、及び、比較例1の設定により得られた、未加硫ベルトスリーブ・加硫済ベルトスリーブ・歯付ベルトについて、状態・寸法等を確認した。評価結果を表1に示す。
実施例1〜3の製造方法(押出成形)では、連続的に未加硫ベルトスリーブを得ることができた。
得られた複数の未加硫ベルトスリーブについて、加硫工程の前に、寸法等を確認した結果、未加硫ベルトスリーブの被覆したゴム組成物の層に関する厚さ(約1mm)の均一性および心線との密着性に問題はなかった(密着性に関し、実施例1は、P2を負圧にしたことにより、実施例2及び実施例3に比べて、心線の食い込みが大きい分、より良好であった。
また、未加硫ベルトスリーブおよび加硫済みのベルトスリーブについて、スリーブ長さ(面長)方向に沿った断面を観察した結果、心線にピッチ乱れ(金型の長手方向のずれ)は生じていなかった。
得られた歯付ベルト(呼び:100S3M210)に関する品質(静的、動的)は、従来法で得られた歯付ベルトの品質と比べても遜色なく、製造方法に起因する不具合は一切無かった。
一方、比較例1では、上記製造方法により、連続的に未加硫ベルトスリーブを得ることができたが、得られた未加硫ベルトスリーブについて、スリーブ長さ(面長)方向に沿った断面を観察したところ、心線にピッチ乱れ(金型の長手方向のずれ)が発生していることが確認された。したがって、比較例1の従来の押出法では、品質と生産性の両立が難しいことがわかった。
2 歯部
3 心線
4 背部
5 ベルト本体
6 歯布
100 製造装置
10 金型
11 胴体部
12 前側把持部
13 後側把持部
14 環状隙間
20 押出機
21 本体
212 スクリュー
22 ストレートヘッド
221 ヘッド体
222 支持部材
223 口金
224 ニップル
225 ダイス
227 環状流路
228 押出口
C 中心軸
Claims (8)
- ベルト周長方向に所定の間隔で設けられた複数の歯部と、心線が埋設された背部と、を有するゴム組成物を基材とするベルト本体を有し、前記複数の歯部の表面に歯布が被覆された歯付ベルトの製造方法であって、
円筒状の外周面に歯形が形成された金型の外周に筒状の前記歯布を装着し、前記歯布上に前記心線をスピニングするスピニング工程と、
前記歯布上に前記心線がスピニングされた、スピニング済の前記金型の外周面に、熱可塑化させた前記ゴム組成物を筒状に排出し、前記外周面を被覆して未加硫ベルトスリーブを形成する被覆工程と、
前記未加硫ベルトスリーブを外周側から加圧して前記歯部を形成させつつ加硫する加硫工程と、を含み、
前記被覆工程において、
前記スピニング済の前記金型の外周面と筒状に排出された前記ゴム組成物との間に、圧縮空気を連続的に供給することにより、前記スピニング済の前記金型の外周面と筒状に排出された前記ゴム組成物との間に環状隙間を形成し、
筒状に排出された前記ゴム組成物が、前記スピニング済の前記金型の外周面の所定の位置に達すると、前記ゴム組成物の排出を停止するとともに、前記圧縮空気を排気することにより、前記環状隙間を閉塞する、ことを特徴とする、歯付ベルトの製造方法。 - 前記被覆工程において、
環状の押出口を有する押出機に、前記スピニング済の前記金型を、当該金型の中心軸の延長線上に前記環状の押出口の中心が配されるように配置し、
更に、前記金型にスピニングされた前記心線と前記押出口とは、前記金型の中心軸方向に所定の距離を置いて配置し、
前記押出口から前記熱可塑化させたゴム組成物を筒状に排出し、前記スピニング済の前記金型の外周面を被覆して未加硫ベルトスリーブを形成する、ことを特徴とする、請求項1に記載の歯付ベルトの製造方法。 - 前記被覆工程において、
前記圧縮空気を排気する際に、前記環状隙間が大気圧より低い負圧になるように設定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の歯付ベルトの製造方法。 - 前記押出機は、
前記押出口から前記ゴム組成物を排出するスクリューと、
前記スクリューの回転数を検知し、スクリュー回転数信号として送信するスクリュー回転数検知器と、
前記スクリューの先端部と前記押出口との間の前記ゴム組成物の流路内部の圧力を検知し、内部圧力検知信号として送信する圧力検知器と、
前記金型を、当該金型の中心軸の延長線上に前記押出口の中心が配されるように供給する金型供給装置と、
前記金型の位置を検知し、金型供給位置信号として送信する金型供給位置検知器と、
前記圧縮空気を供給・排出する圧力源と、
前記ゴム組成物が前記スピニング済の前記金型の外周面の所定の位置に達したことを検知し、押出物先端位置信号として送信する押出物先端位置検知器と、
切断装置と、
前記切断装置による前記未加硫ベルトスリーブの切断終了を検知し、切断検知信号として送信する切断検知器と、
前記未加硫ベルトスリーブの仕様を定めた、未加硫ベルトスリーブ種別情報、該未加硫ベルトスリーブ種別情報毎に設定された、前記スクリューの回転数に基づく前記ゴム組成物の前記押出口からの排出速度を定めた排出速度情報、および、前記排出速度情報に対応する、前記圧力源による前記ゴム組成物への加圧力を定めた、基準押出物筒状内部加圧力情報を記憶する設定情報記憶部と、
前記スクリュー回転数検知器からの前記スクリュー回転数信号、前記圧力検知器からの前記内部圧力検知信号、前記金型供給位置検知器からの前記金型供給位置信号、前記押出物先端位置検知器からの前記押出物先端位置信号、前記設定情報記憶部から読み出した前記基準押出物筒状内部加圧力情報、および、前記切断検知器からの前記切断検知信号の少なくとも1つに基づいて、前記金型供給装置および前記圧力源の動作を制御する、制御部と、を備え、
前記未加硫ベルトスリーブ種別情報毎に、前記金型供給装置および前記圧力源の動作が前記制御部により制御されることを特徴とする、請求項2に記載の歯付ベルトの製造方法。 - ベルト周長方向に所定の間隔で設けられた複数の歯部と、心線が埋設された背部と、を有するゴム組成物を基材とするベルト本体を有し、前記複数の歯部の表面に歯布が被覆された歯付ベルトの製造装置であって、
環状の押出口を有する押出機と、
円筒状の外周面に歯形が形成され、中心軸の延長線上に前記環状の押出口の中心が配されるように、前記押出機に対して着脱自在な金型と、
前記押出口から押し出された筒状のゴム組成物と前記金型の外周面との間に形成される環状隙間への圧縮空気の供給、及び、前記環状隙間からの前記圧縮空気の排気が可能な圧力源と、を備えたことを特徴とする歯付ベルトの製造装置。 - 前記金型は、当該金型にスピニングされた前記心線と前記押出口とが、前記金型の中心軸方向に所定の距離を置いて配置されるように、前記押出機に装着されることを特徴とする、請求項5に記載の歯付ベルトの製造装置。
- 前記圧力源は、前記圧縮空気を排気する際に、前記環状隙間が大気圧より低い負圧になるように設定可能であることを特徴とする、請求項5又は請求項6に記載の歯付ベルトの製造装置。
- 前記押出機は、
前記押出口から前記ゴム組成物を排出するスクリューと、
前記スクリューの回転数を検知し、スクリュー回転数信号として送信するスクリュー回転数検知器と、
前記スクリューの先端部と前記押出口との間の前記ゴム組成物の流路内部の圧力を検知し、内部圧力検知信号として送信する圧力検知器と、
前記金型を、当該金型の中心軸の延長線上に前記押出口の中心が配されるように供給する金型供給装置と、
前記金型の位置を検知し、金型供給位置信号として送信する金型供給位置検知器と、
前記ゴム組成物が前記スピニング済の前記金型の外周面の所定の位置に達したことを検知し、押出物先端位置信号として送信する押出物先端位置検知器と、
切断装置と、
前記切断装置による前記未加硫ベルトスリーブの切断終了を検知し、切断検知信号として送信する切断検知器と、
前記未加硫ベルトスリーブの仕様を定めた、未加硫ベルトスリーブ種別情報、該未加硫ベルトスリーブ種別情報毎に設定された、前記スクリューの回転数に基づく前記ゴム組成物の前記押出口からの排出速度を定めた排出速度情報、および、前記排出速度情報に対応する、前記圧力源による前記ゴム組成物への加圧力を定めた、基準押出物筒状内部加圧力情報を記憶する設定情報記憶部と、
前記スクリュー回転数検知器からの前記スクリュー回転数信号、前記圧力検知器からの前記内部圧力検知信号、前記金型供給位置検知器からの前記金型供給位置信号、前記押出物先端位置検知器からの前記押出物先端位置信号、前記設定情報記憶部から読み出した前記基準押出物筒状内部加圧力情報、および、前記切断検知器からの前記切断検知信号の少なくとも1つに基づいて、前記金型供給装置および前記圧力源の動作を制御する、制御部と、を備え、
前記未加硫ベルトスリーブ種別情報毎に、前記金型供給装置および前記圧力源の動作が前記制御部により制御されることを特徴とする、請求項5〜7の何れかに記載の歯付ベルトの製造装置。
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