JP2019147376A - 歯付ベルトの製造方法、及び、歯付ベルトの製造装置 - Google Patents

歯付ベルトの製造方法、及び、歯付ベルトの製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】品質と生産性を両立させることができる、ゴム製の歯付ベルトの製造方法及び歯付ベルトの製造装置を提供する。【解決手段】歯布6上に心線3がスピニングされた、スピニング済の金型10の外周面に、熱可塑化させたゴム組成物を筒状に排出し、外周面を被覆して未加硫ベルトスリーブを形成する被覆工程を含む、歯付ベルトの製造方法において、スピニング済の金型10の外周面と筒状に排出されたゴム組成物との間に、圧縮空気を連続的に供給することにより、スピニング済の金型10の外周面と筒状に排出されたゴム組成物との間に環状隙間14を形成し、筒状に排出されたゴム組成物が、スピニング済の金型10の外周面の所定の位置に達すると、ゴム組成物の排出を停止するとともに、圧縮空気を排気することにより、環状隙間14を閉塞させる。【選択図】図7

Description

本発明は、ゴム製の歯付ベルトの製造方法、及び、歯付ベルトの製造装置に関するものである。
従来から、例えば高負荷をベルトによって伝達する一般産業用機械の同期伝動用途に使用される伝動ベルトとして、ベルト長手方向に所定の間隔で設けられた複数の歯部及び心線が埋設された背部を有するゴム組成物を基材とするベルト本体と、この複数の歯部の表面に被覆された歯布とを備えたゴム製の歯付ベルトが一般的に知られている。
このようなゴム製の歯付ベルトの製造方法としては、従来、外周面に歯部形成用の凹部(歯形)を複数設けた円筒状の金型(歯付モールド)を用いて、この金型の外周面に、筒状の歯布を被せた後、その歯布上に撚糸コードなる心線を螺旋状に巻回し(スピニング)、さらにその外側にベルト本体の基材となるゴムシート(未加硫物)を巻いて未加硫ベルトスリーブを成形してから、別途公知の加硫方法、例えば、この未加硫ベルトスリーブの外周側に備えられたブラダーを膨張させてその圧力で当該ゴムシート(未加硫物)を心線の間隙から金型の凹部に圧入し歯部を形成させつつ加熱して、当該歯付ベルトになる加硫済みのベルトスリーブを得ていた(従来法)。
しかし、ベルト本体の基材としてゴムシート(未加硫物)を使用することから、カレンダーロール等圧延設備によるシート化、切断、金型への巻き付け、およびジョイントという一連の煩雑なプロセスが必要であり、省人化等が難しく、生産性、ひいては製造コスト等の面で問題が残されていた。
生産性を満足させるためには、ベルト取り本数に対応して有効長さ(有効面長)を十分に確保した未加硫ベルトスリーブ(例えば有効面長400mm)を連続的に得る必要がある。
この点、特許文献1には、押出成形により、未加硫ゴム組成物を筒状金型の外周面に層状に被覆した未加硫ベルトスリーブを連続的に得る方法が開示されている。そこで、特許文献1に記載の方法を基にして、押出成形により、金型(歯付モールド)に歯布を装着しその上に心線をスピニングしたスピニング済金型をクロスヘッドの内筒部の内部に連続的に供給して、その外周面に押出機本体によって熱可塑化されたゴム組成物(未加硫物)を被覆成形し、この未加硫ベルトスリーブを公知の方法で加硫することによってゴム製の歯付ベルトを得ることが考えられる。
特許3998344号公報
しかしながら、特許文献1に記載の未加硫ベルトスリーブを得る方法は、転写ベルト(半導電性ゴムベルト)のようにゴム組成物のみをベルト本体の構成材料とする平ベルトを製造する場合に品質と生産性を両立させ得ると考えられる方法である。従って、ベルト本体の基材なるゴム組成物の他に、心線および歯布を構成材料とするゴム製の歯付ベルトを製造する場合にも適用できるかどうかについては、記載も言及もなく、不明であった。
そこで、本願発明者は、一般的なクロスヘッド押出機を用いた押出成形法(以下、従来の押出法)で、歯付モールドを金型とし、この金型の外周に筒状の歯布を装着し、この歯布上に心線をスピニングしたスピニング済金型をクロスヘッドの内筒部の内部に連続的に供給して、その外周面にゴム組成物(未加硫物)を不具合なく被覆成形できるかどうか、試みた(後述の比較例1に相当:図13、14参照)。
その結果、外観上はスピニング済金型の外周面にゴム組成物(未加硫物)が層状に形成された未加硫ベルトスリーブ(有効面長400mm)を連続的に成形可能であることが確認できた。また、被覆ゴム層の厚さの均一性および心線との密着性も問題なかった。
しかし、この未加硫ベルトスリーブの長さ(面長)方向に沿った断面を観察したところ、心線にピッチ乱れ(金型長手方向のずれ)が発生していることが確認された。このように心線のピッチが乱れたベルトは、伝動ベルトとしては使用できずスクラップとなってしまう。
上記のように心線にピッチ乱れが生じた理由としては以下のことが考えられる。押出機本体にて熱可塑化されたゴム組成物(未加硫物)は、クロスヘッド内の環状流路を経て口金(ダイスおよびニップル)に形成された押出口から円筒状に排出される。通常、基本的な断面形状を定めるために、押出口は上記環状流路でその隙間が最小となる部分であり、ゴム組成物(未加硫物)は、熱可塑化されると同時に圧縮されて、その時に受けた歪みが押出口まで維持される。そのため、ゴム組成物(未加硫物)は押出口から排出された瞬間に(大気圧下で)解放され、膨張する、所謂ダイスウェルが生じる。そして、ダイスウェルすると同時に放冷により収縮する。つまり、押出口から排出されたゴム組成物(未加硫物)が円筒状の場合、排出されたゴム組成物は、押出口から排出された瞬間にダイスウェルする(その肉厚が増す)とともに放冷による収縮で縮径しながら押出口前方のダイスの内側を通過しようとする。
しかしながら、従来の押出法では、ダイス(内周面)とスピニング済金型の外周面との間(径方向)の距離がゴム組成物の層の厚さと略同じであるため、押出口から排出されたゴム組成物(未加硫物)の層が、ダイス(内周面)およびスピニング済金型の外周面との間に、厚さ方向に隙間なく接触した状態(特許文献1の図1、および後述の比較例1の図14に相当)で、押出口前方のダイスの内側を通過する。そうすると、ゴム組成物(未加硫物)の層は、ゴム成分の性質(凝集力)によって、ダイス壁面(内周面)からずり抵抗を受け、ゴム組成物(未加硫物)の層により被覆された心線にずり応力を生じさせてしまう。これが、心線にピッチ乱れが生じる原因と考えられる。
したがって、ベルト本体の基材なるゴム組成物の他に、心線および歯布を構成材料とするゴム製の歯付ベルトを製造する際に、従来の押出法を適用すると、品質と生産性の両立が難しいことがわかった。
そこで、本発明の目的は、前述の問題点を鑑みて、品質と生産性を両立させることができる、ゴム製の歯付ベルトの製造方法及び歯付ベルトの製造装置を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の1つは、ベルト周長方向に所定の間隔で設けられた複数の歯部と、心線が埋設された背部と、を有するゴム組成物を基材とするベルト本体を有し、前記複数の歯部の表面に歯布が被覆された歯付ベルトの製造方法であって、
円筒状の外周面に歯形が形成された金型の外周に筒状の前記歯布を装着し、前記歯布上に前記心線をスピニングするスピニング工程と、
前記歯布上に前記心線がスピニングされた、スピニング済の前記金型の外周面に、熱可塑化させた前記ゴム組成物を筒状に排出し、前記外周面を被覆して未加硫ベルトスリーブを形成する被覆工程と、
前記未加硫ベルトスリーブを外周側から加圧して前記歯部を形成させつつ加硫する加硫工程と、を含み、
前記被覆工程において、
前記スピニング済の前記金型の外周面と筒状に排出された前記ゴム組成物との間に、圧縮空気を連続的に供給することにより、前記スピニング済の前記金型の外周面と筒状に排出された前記ゴム組成物との間に環状隙間を形成し、
筒状に排出された前記ゴム組成物が、前記スピニング済の前記金型の外周面の所定の位置に達すると、前記ゴム組成物の排出を停止するとともに、前記圧縮空気を排気することにより、前記環状隙間を閉塞する、ことを特徴としている。
上記方法によれば、被覆工程において、スピニング済の金型の外周面と筒状に排出されたゴム組成物との間に圧縮された空気を供給することにより、筒状のゴム組成物に拡径方向の力を付与し、スピニング済の金型の外周面と筒状に排出されたゴム組成物との間に環状隙間を形成することができる。これにより、熱可塑化させたゴム組成物を筒状に排出している間は、ゴム組成物が、金型の外周面にスピニングされた心線に接触しないようにすることができる。
更に、筒状に排出されたゴム組成物がスピニング済の金型の外周面の所定位置に達すると、ゴム組成物の排出を停止するとともに、圧縮空気を排気し、環状隙間を閉塞させることにより、筒状のゴム組成物に作用していた拡径方向の力がなくなる。その結果、熱可塑化させた筒状のゴム組成物が放冷による収縮作用で縮径して、スピニング済の金型の外周面に密着する。これにより、筒状に排出されたゴム組成物は、金型の外周面にスピニングされた心線に対して、ずり応力を生じさせることなく、スピニング済の金型の外周面に層状に被覆されることになる。つまり、未加硫ベルトスリーブを形成する被覆工程において、心線にピッチ乱れ(心線のズレ)を生じさせないようにすることができる。
また、被覆工程において、熱可塑化された筒状のゴム組成物の被覆を終える毎に、筒状のゴム組成物を切断し、ゴム組成物が被覆された未加硫ベルトスリーブ付き金型と、新たなスピニング済の金型とを入れ替えるだけで、スピニング済の金型の外周面に筒状のゴム組成物を層状に被覆させた未加硫ベルトスリーブを連続的に成形することができる。そのため、従来法(カレンダーロール等圧延設備によるシート化、切断、金型への巻き付け、およびジョイントという一連の煩雑なプロセスが必要)に比べて、省人化が可能となり、歯付ベルトの製造に係る生産性を向上させることができる。
また、本発明の一つは、上記歯付ベルトの製造方法の前記被覆工程において、
環状の押出口を有する押出機に、前記スピニング済の前記金型を、当該金型の中心軸の延長線上に前記環状の押出口の中心が配されるように配置し、
更に、前記金型にスピニングされた前記心線と前記押出口とは、前記金型の中心軸方向に所定の距離を置いて配置し、
前記押出口から前記熱可塑化させたゴム組成物を筒状に排出し、前記スピニング済の前記金型の外周面を被覆して未加硫ベルトスリーブを形成する、ことを特徴としている。
上記方法のように、金型にスピニングされた心線と押出口とを、金型の中心軸方向に所定の距離を置いて配置することにより、熱可塑化させたゴム組成物が押出口から排出された際に、膨張(ダイスウェル)したとしても、押出口と心線との間には距離が置かれているため、膨張したゴム組成物と心線とが接触するのを防止することができる(金型にスピニングされた心線がズレるのを防止する)。
また、本発明の一つは、上記歯付ベルトの製造方法の前記被覆工程において、
前記圧縮空気を排気する際に、前記環状隙間が大気圧より低い負圧になるように設定することを特徴としている。
上記方法によれば、被覆工程で、筒状に排出されたゴム組成物が、スピニング済の前記金型の外周面の所定の位置に達すると、ゴム組成物の排出が停止するとともに、スピニング済の金型の外周面と筒状に排出されたゴム組成物との間に形成された環状隙間が負圧になり、筒状に排出されたゴム組成物の外周側が大気圧に保たれることになる。そのため、環状隙間を負圧にしない場合(つまり大気圧下におく場合)に比べて、熱可塑化させた筒状のゴム組成物の放冷による収縮作用による縮径がスムーズに行われ、スピニング済の金型の外周面に対する筒状のゴム組成物の密着性が向上する。
またスピニング済の金型の外周面と筒状に排出されたゴム組成物との間に形成された環状隙間の大きさを、スピニング済の金型の外周面に層状に被覆されるゴム組成物の厚みに対して比較的大きく(例えば2倍の大きさに)設定することができるので、環状隙間を負圧にしない場合に比べて、金型の周長範囲を拡大することができる。即ち、厚さは同じで周長が異なる未加硫ベルトスリーブの周長範囲を拡大することができる。したがって、従来の押出法と比べて、生産性をより向上させることができる。
また、本発明の一つは、上記歯付ベルトの製造方法において、
前記押出機は、
前記押出口から前記ゴム組成物を排出するスクリューと、
前記スクリューの回転数を検知し、スクリュー回転数信号として送信するスクリュー回転数検知器と、
前記スクリューの先端部と前記押出口との間の前記ゴム組成物の流路内部の圧力を検知し、内部圧力検知信号として送信する圧力検知器と、
前記金型を、当該金型の中心軸の延長線上に前記押出口の中心が配されるように供給する金型供給装置と、
前記金型の位置を検知し、金型供給位置信号として送信する金型供給位置検知器と、
前記圧縮空気を供給・排出する圧力源と、
前記ゴム組成物が前記スピニング済の前記金型の外周面の所定の位置に達したことを検知し、押出物先端位置信号として送信する押出物先端位置検知器と、
切断装置と、
前記切断装置による前記未加硫ベルトスリーブの切断終了を検知し、切断検知信号として送信する切断検知器と、
前記未加硫ベルトスリーブの仕様を定めた、未加硫ベルトスリーブ種別情報、該未加硫ベルトスリーブ種別情報毎に設定された、前記スクリューの回転数に基づく前記ゴム組成物の前記押出口からの排出速度を定めた排出速度情報、および、前記排出速度情報に対応する、前記圧力源による前記ゴム組成物への加圧力を定めた、基準押出物筒状内部加圧力情報を記憶する設定情報記憶部と、
前記スクリュー回転数検知器からの前記スクリュー回転数信号、前記圧力検知器からの前記内部圧力検知信号、前記金型供給位置検知器からの前記金型供給位置信号、前記押出物先端位置検知器からの前記押出物先端位置信号、前記設定情報記憶部から読み出した前記基準押出物筒状内部加圧力情報、および、前記切断検知器からの前記切断検知信号の少なくとも1つに基づいて、前記金型供給装置および前記圧力源の動作を制御する、制御部と、を備え、
前記未加硫ベルトスリーブ種別情報毎に、前記金型供給装置および前記圧力源の動作が前記制御部により制御されることを特徴としている。
上記方法によれば、未加硫ベルトスリーブの仕様毎に、一連の金型供給装置および圧力源の動作の制御を自動的に実行することができる。これにより、従来法に比べて、省人化が一段と進み、生産性がより向上する。
また、本発明の一つは、ベルト周長方向に所定の間隔で設けられた複数の歯部と、心線が埋設された背部と、を有するゴム組成物を基材とするベルト本体を有し、前記複数の歯部の表面に歯布が被覆された歯付ベルトの製造装置であって、
環状の押出口を有する押出機と、
円筒状の外周面に歯形が形成され、中心軸の延長線上に前記環状の押出口の中心が配されるように、前記押出機に対して着脱自在な金型と、
前記押出口から押し出された筒状のゴム組成物と前記金型の外周面との間に形成される環状隙間への圧縮空気の供給、及び、前記環状隙間からの前記圧縮空気の排気が可能な圧力源と、を備えたことを特徴としている。
上記構成によれば、スピニング済の金型の外周面と押出口から筒状に排出されたゴム組成物との間に、圧力源から圧縮された空気を供給することにより、筒状のゴム組成物に拡径方向の力を付与し、スピニング済の金型の外周面と筒状に排出されたゴム組成物との間に環状隙間を形成することができる。これにより、熱可塑化させたゴム組成物を筒状に排出している間は、ゴム組成物が、金型の外周面にスピニングされた心線に接触しないようにすることができる。
更に、筒状に排出されたゴム組成物がスピニング済の金型の外周面の所定位置に達し、ゴム組成物の排出を停止させた場合、圧力源によって環状隙間から圧縮空気を排気し、環状隙間を閉塞させることにより、筒状のゴム組成物に作用していた拡径方向の力を無くすことができる。その結果、熱可塑化させた筒状のゴム組成物が放冷による収縮作用で縮径して、スピニング済の金型の外周面に密着する。これにより、筒状に排出されたゴム組成物は、金型の外周面にスピニングされた心線に対して、ずり応力を生じさせることなく、スピニング済の金型の外周面に層状に被覆されることになる。つまり、未加硫ベルトスリーブを形成する際に、心線にピッチ乱れ(心線のズレ)を生じさせないようにすることができる。
また、熱可塑化された筒状のゴム組成物の被覆を終える毎に、筒状のゴム組成物を切断し、ゴム組成物が被覆された未加硫ベルトスリーブ付き金型と、新たなスピニング済の金型とを入れ替えるだけで、スピニング済の金型の外周面に筒状のゴム組成物を層状に被覆させた未加硫ベルトスリーブを連続的に成形することができる。そのため、従来法(カレンダーロール等圧延設備によるシート化、切断、金型への巻き付け、およびジョイントという一連の煩雑なプロセスが必要)に比べて、省人化が可能となり、歯付ベルトの製造に係る生産性を向上させることができる。
また、本発明の一つは、上記歯付ベルトの製造装置において、
前記金型は、当該金型にスピニングされた前記心線と前記押出口とが、前記金型の中心軸方向に所定の距離を置いて配置されるように、前記押出機に装着されることを特徴としている。
上記構成のように、金型にスピニングされた心線と押出口とを、金型の中心軸方向に所定の距離を置いて配置することにより、熱可塑化させたゴム組成物が押出口から排出された際に、膨張(ダイスウェル)したとしても、押出口と心線との間には距離が置かれているため、膨張したゴム組成物と心線とが接触するのを防止することができる(金型にスピニングされた心線がズレるのを防止する)。
また、本発明の一つは、上記歯付ベルトの製造装置において、
前記圧力源は、前記圧縮空気を排気する際に、前記環状隙間が大気圧より低い負圧になるように設定可能であることを特徴としている。
上記構成によれば、押出口から筒状に排出されたゴム組成物が、スピニング済の金型の外周面の所定の位置に達し、ゴム組成物の排出を停止させた場合、スピニング済の金型の外周面と筒状に排出されたゴム組成物との間に形成された環状隙間が負圧になり、筒状に排出されたゴム組成物の外周側が大気圧に保たれることになる。そのため、環状隙間を負圧にしない場合(つまり大気圧下におく場合)に比べて、熱可塑化させた筒状のゴム組成物の放冷による収縮作用による縮径がスムーズに行われ、スピニング済の金型の外周面に対する筒状のゴム組成物の密着性が向上する。
またスピニング済の金型の外周面と筒状に排出されたゴム組成物との間に形成された環状隙間の大きさを、スピニング済の金型の外周面に層状に被覆されるゴム組成物の厚みに対して比較的大きく(例えば2倍の大きさに)設定することができるので、環状隙間を負圧にしない場合に比べて、金型の周長範囲を拡大することができる。即ち、厚さは同じで周長が異なる未加硫ベルトスリーブの周長範囲を拡大することができる。したがって、従来の押出法と比べて、生産性をより向上させることができる。
また、本発明の一つは、上記歯付ベルトの製造装置において、
前記押出機は、
前記押出口から前記ゴム組成物を排出するスクリューと、
前記スクリューの回転数を検知し、スクリュー回転数信号として送信するスクリュー回転数検知器と、
前記スクリューの先端部と前記押出口との間の前記ゴム組成物の流路内部の圧力を検知し、内部圧力検知信号として送信する圧力検知器と、
前記金型を、当該金型の中心軸の延長線上に前記押出口の中心が配されるように供給する金型供給装置と、
前記金型の位置を検知し、金型供給位置信号として送信する金型供給位置検知器と、
前記ゴム組成物が前記スピニング済の前記金型の外周面の所定の位置に達したことを検知し、押出物先端位置信号として送信する押出物先端位置検知器と、
切断装置と、
前記切断装置による前記未加硫ベルトスリーブの切断終了を検知し、切断検知信号として送信する切断検知器と、
前記未加硫ベルトスリーブの仕様を定めた、未加硫ベルトスリーブ種別情報、該未加硫ベルトスリーブ種別情報毎に設定された、前記スクリューの回転数に基づく前記ゴム組成物の前記押出口からの排出速度を定めた排出速度情報、および、前記排出速度情報に対応する、前記圧力源による前記ゴム組成物への加圧力を定めた、基準押出物筒状内部加圧力情報を記憶する設定情報記憶部と、
前記スクリュー回転数検知器からの前記スクリュー回転数信号、前記圧力検知器からの前記内部圧力検知信号、前記金型供給位置検知器からの前記金型供給位置信号、前記押出物先端位置検知器からの前記押出物先端位置信号、前記設定情報記憶部から読み出した前記基準押出物筒状内部加圧力情報、および、前記切断検知器からの前記切断検知信号の少なくとも1つに基づいて、前記金型供給装置および前記圧力源の動作を制御する、制御部と、を備え、
前記未加硫ベルトスリーブ種別情報毎に、前記金型供給装置および前記圧力源の動作が前記制御部により制御されることを特徴としている。
上記構成によれば、未加硫ベルトスリーブの仕様毎に、一連の金型供給装置および圧力源の動作の制御を自動的に実行することができる。これにより、従来法に比べて、省人化が一段と進み、生産性がより向上する。
品質と生産性を両立させることができる、ゴム製の歯付ベルトの製造方法及び歯付ベルトの製造装置を提供することができる。
製造する歯付ベルトの断面図である。 本実施形態に係る金型の説明図である。 本実施形態に係る押出機の説明図である。 本実施形態に係る圧縮空気の供給経路を示す要部拡大図である。 本実施形態に係るニップルの正面図である。 本実施形態に係る押出機及び制御装置の構成図である。 本実施形態の被覆工程で実行される連続的動作の説明図である。 本実施形態の被覆工程で実行される連続的動作の説明図である。 本実施形態(実施例1、2)に係る押出機の押出口周辺の拡大図である。 本実施形態(実施例1、2)に係る押出機の押出口周辺の拡大図である。 本実施形態(実施例3)に係る押出機の押出口周辺の拡大図である。 本実施形態(実施例3)に係る押出機の押出口周辺の拡大図である。 比較例1に係る押出機の概要図である。 比較例1に係る押出機の押出口周辺の拡大図である。
(実施形態)
以下、図面を参照しつつ、本願発明に係る歯付ベルトの製造方法及び歯付ベルトの製造装置について説明する。
本実施形態の製造方法及び製造装置で製造される歯付ベルト1は、産業用機械の同期伝動用途に使用される、無端・輪状の伝動ベルトである。例えば、歯付ベルト1は、歯付ベルト1の歯部と噛み合う歯部を備えた、駆動プーリと従動プーリとの間に巻き掛けられて使用される。
(歯付ベルト1の構成)
歯付ベルト1は、図1の歯付ベルト1の断面図に示すように、ベルト周長方向に所定の間隔で設けられた複数の歯部2と、心線3が埋設された背部4と、を有するゴム組成物を基材とするベルト本体5、及び、複数の歯部2の表面を被覆する歯布6により構成されている。
歯部2及び背部4を構成するゴム組成物には、天然ゴム(NR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アルキル化クロロスルホン化ポリエチレン(ACSM)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、水素化ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を配合したもの、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、ブチルゴム(IIR)などから選ばれるゴムを単独で或いはブレンドして用いることができる。或いはこれらのゴムの他にポリウレタンゴムを用いて形成することも可能である。なかでも、歯付ベルト1の場合は、耐熱老化性の改善されたゴムを用いることが望ましく、水素化ニトリルゴムの場合は水素添加率が80%以上、耐熱性及び耐オゾン性の特性を発揮するためには更に好ましくは90%以上が良い。水素添加率80%未満の水素化ニトリルゴムは耐熱性や耐オゾン性が極度に低下する場合がある。
そして、上記歯部2及び背部4を構成するゴム組成物中には、カーボンブラックのような補強剤、充填剤、軟化剤、老化防止剤、加硫助剤、硫黄あるいは有機過酸化物のような加硫剤等が添加混合される。また、架橋剤として有機化酸化物を配合した場合、所定のモジュラス(引張弾性率)や切断伸度を確保するためには、ポリマー成分100質量部に対して有機過酸化物を0.2〜10質量部配合して架橋することが必要である。有機過酸化物は特に制限されるものではない。また、このような有機過酸化物の他に、金属酸化物、硫黄化合物、オキシムニトロソ化合物や、モノマー類、ポリマー類で共架橋剤として一般に使用されるものを適量添加してもよい。
本実施形態では、歯部2及び背部4を構成するゴム組成物(未加硫)としては、ゴム成分をEPDMとするゴム組成物(ゴム成分:EPDM100質量部、配合剤:亜鉛華5質量部、加硫促進剤1.5質量部、硫黄1質量部、老化防止剤2質量部、カーボンブラック50質量部、オイル8質量部)を使用している。
心線3としては、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維(PBO繊維)、アラミド繊維、ガラス繊維、カーボン繊維等の低伸度高強度の撚りコードが用いられる。ガラス心線の場合、その組成はEガラス、Sガラス(高強度ガラス)何れでも良く、フィラメントの太さ及びフィラメントの収束本数及びストランド本数に制限されない。また、接着処理剤及び屈曲時のガラスフィラメントの保護材として使用されるサイジング剤、RFL、オーバーコート剤等にも制限はない。
尚、心線3には、背部4を構成するゴム組成物との接着性を向上する目的で接着処理が施される。このような接着処理としては繊維をレゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)液に浸漬後、加熱乾燥して表面に均一に接着層を形成するのが一般的である。しかし、これに限ることなくエポキシ又はイソシアネート化合物で前処理を行なった後に、RFL液で処理する方法等もある。
本実施形態では、心線3として、素線径約9μmのガラス繊維フィラメントを約600本束ねてストランドに形成し、このストランドをRFL液(レゾルシン110質量部、ホルマリン(37%)質量部、苛性ソーダ1質量部、VPラッテクス4、000質量部、SBRラテックス1,100質量部、水5,500質量部)に浸漬して200°Cで2分間乾燥した後に、16.0回/10cmの撚り数で撚った直径約0.3mmのコードを用いている。
歯布6は、織物、編物、不織布等から選択される基布である。基布を構成する繊維素材としては、公知のものが使用できるが、例えば綿、麻等の天然繊維や、金属繊維、ガラス繊維等の無機繊維、そしてポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリフロルエチレン、ポリアクリル、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリエステル、アラミド等の有機繊維が挙げられ、それらを平織、綾織、朱子織等に織成した織物を用いることが好ましい。
繊維の形態としては、紡績糸、マルチフィラメント糸、モノフィラメント糸等限定するものではないが、構成糸にモノフィラメント糸を用いて経糸と緯糸の交差による凹凸を大きくし、表面摩擦係数を低下させると、良好な耐摩耗性、耐歯欠け性を示す。それ以外にも、織密度を低くしたり、径が太い繊維を用いるのも表面摩擦係数を低下させるのには有効な手段である。また、本実施形態の製造方法の場合、圧入方式のために基布の緯糸方向に伸縮性が要求される。このため、ベルト本体5のベルト周長方向に沿う緯糸には捲縮加工された6ナイロン、66ナイロン、またウレタン系弾性糸と撚り合わせた複合糸を用いることが好ましい。また、基布にモノフィラメント糸を使用する場合は、緯糸方向の伸縮性に影響を与えない為にも経糸に用いることが望ましい。
また、基布は、公知技術に従ってレゾルシン−ホルマリン−ラテックス液(RFL液)に浸漬後、未加硫ゴムを基布に擦り込むフリクションを行ったり、またRFL液に浸漬後、ゴムを溶剤に溶かしたソーキング液に浸漬処理する。またRFL液のみで接着処理を行なってもよい。
RFL液はレゾルシンとホルマリンの初期縮合物とゴムラテックスとを混合したものであり、レゾルシンとホルマリンのモル比は1:0.5〜3にすることが接着力を高める上で好適である。また、レゾルシンとホルマリンの初期縮合物は、これをラテックスのゴム分100重量部に対してその樹脂分が10〜100重量部になるようにラテックスと混合した上、全固形分濃度が5〜40%濃度になるように調節される。尚、RFL液には適宜カーボンブラック液を混合して処理反を黒染めしたり、公知の界面活性剤を0.1〜5.0重量%加えてもよい。また、上記ラテックスとしては、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン三元共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、水素化ニトリルゴム、エピクロルヒドリン、天然ゴム、SBR、クロロプレンゴム、オレフィン−ビニルエステル共重合体、EPDM等のラテックスが挙げられる。
本実施形態では、歯布6の基布としては、経糸に210d/1本ナイロンフィラメント糸と、そして緯糸に40d/5本ウーリーナイロン糸からなる合撚糸を使用し、織時組織(経140本/3cm、緯100本/3cm)からなる2/2綾織帆布を製織した。製織後、帆布を水中にて振動を与えて製織時の幅の約1/2幅まで収縮させた後、上記未加硫のゴム組成物を所定比率でメチルエチルケトン中に溶解して得たゴム糊に浸漬、乾燥した後、153℃で30分間加硫して厚さ0.9mmの処理帆布を歯布6として用いている。
また、本実施形態では、歯付ベルト1は、ベルト形S3M(歯部2が70歯、歯部間のピッチ3mm)、ベルト周長210mmとし、これに対応する(製造工程で作成される)未加硫ベルトスリーブは、直径(外径)約70mmであり、生産性確保のため、有効面長を400mmとしている。この未加硫ベルトスリーブからは、例えばベルト幅10mmの歯付ベルト1が、40本得られる。
(製造装置100)
次に、図6に示す、歯付ベルト1を製造する製造装置100が備える、金型10、押出機20、圧力源23(加圧装置231、負圧装置232)、金型供給装置24、切断装置25、及び、制御装置30について説明する。
(金型10)
金型10は、図2に示すように、円筒状の外周面に所定の間隔で凹状部と凸状部とを周方向に交互に設けた歯形(図示せず)を有する胴体部11と、胴体部11の前方端に設けられた前側把持部12と、胴体部11の後方端に設けられた後側把持部13とを有する歯付モールドであって、押出機20に対して着脱自在とされている。胴体部11の面長(長手方向長さ)は、形成するスリーブ長さ(面長)(例えば有効面長400mm)よりも長く(例えば450mm)設定される。前側把持部12は、後述する金型供給装置24のチャック部241に把持される部分である。後側把持部13は、金型10の中心軸が押出機20の中心軸C(図3参照)と同軸線上に配置されるように、ニップル224の穴229に挿入される部分であり、また、後述する、スピニング工程、被覆工程、加硫工程を巡回して金型10を搬送する金型搬送装置26(図6参照)の受け部(鉛直上向き)に挿入される部分である。
また、胴体部11の内部には、円筒形状の空洞111が設けられており、前側把持部12の内部に形成された連通路121及び後側把持部13の内部に形成された連通路131に繋がっている。また、連通路121において、空洞111とは反対側に設けられた連通口122は、漏斗形状をしている。後述するチャック部241の内部に設けられた連通路242が連通口122を介して連通路121に挿入されることにより、連通路242と空洞111とが連通した状態になる。また、連通路131において、空洞111とは反対側に設けられた連通口132は漏斗形状をしており、この連通口132は、後述する押出機20のニップル224に設けられた円錐状の凸部材230に係合する。
また、胴体部11において、後側把持部13側の端部には、環状のガイド部材112が取り付けられている。ガイド部材112の外周面112aは、図9に示すように、テーパ形状をしている。また、ガイド部材112のテーパ形状をした外周面112aの直径(最大径部分)は、金型10の胴体部11の外周面に心線3がスピニングされた、スピニング済の金型10の外径と同じか若干大きめに形成されている(本実施形態では若干大きめに形成)。また、ガイド部材112の外周面112aには、金型10の長手方向(前後方向)に延在した凹状の切り溝112bが、任意の形状、深さで、周方向等ピッチで多数形成されている。この切り溝112bの底部112cは、ガイド部材112のテーパ形状をした外周面112aと、ガイド部材112の後側把持部13側の端部において交差している。また、ガイド部材112の前側把持部12側の端部には、周方向に延在する凹状の凹溝部112dが設けられている。この凹溝部112dに切断装置25の刃物の刃先を圧接させながら、ゴム組成物の層を切断(押し切り)することにより、切断装置25による切断動作を確実に行うことができる(切断箇所の正確性、切断されない箇所を残さない)。
なお、胴体部11には、金型10の種類(周長が異なるもの)や、後述する押出機20の押出口228周辺各部の寸法に応じて、そのテーパ面の形成位置や角度が異なるガイド部材112が取付可能となっている。
本実施形態では、胴体部11の外周面全体に、歯数(凸状部の数)を70歯、歯形と歯形との間のピッチ3mm、周長210mm、面長(長手方向長さ)450mmの歯形(S3M)を形成させている。また、前側把持部12及び後側把持部13は、金型10の両端部に突設させ、胴体部11の径よりも小径とした。
(押出機20)
押出機20は、図3に示すように、本体21、及び、ストレートヘッド22で構成される。また、押出機20は、圧力源23(加圧装置231、負圧装置232)、金型供給装置24、及び、切断装置25を付帯している。
本体21は、内部空間を備えたシリンダー211、スクリュー212、駆動モータ213(図6参照)等によって構成される。本実施形態では、スクリュー212はスクリュー径75mmのゴム用のスクリューを使用している。
ストレートヘッド22は、本体21のシリンダー211の中心軸Cと同方向(略水平方向)にゴム組成物(押出物に相当)を排出する押出機用のヘッドである。ストレートヘッド22は、図3に示すように、ヘッド体221、支持部材222(スパイダー)、ヘッド体221の前方(排出方向)に装着される口金223(ニップル224、及び、ダイス225)、口金223をヘッド体221に固定するナット226で構成されている。
ヘッド体221の内部には、前方(排出方向)に向けて広がる漏斗形状をした内部空間が設けられている。このヘッド体221の内部空間は、ヘッド体221が本体21に接続されることにより、シリンダー211の内部空間と連通する。
支持部材222は、ヘッド体221の内周面に接触する外環部222a、ニップル224の外周面に接触する内環部222b、および、外環部222aと内環部222bとを連結するとともに、外環部222aと内環部222bとの間に中空部222d(ゴム組成物の流路)を形成させるための連結部222cによって構成されている。連結部222cは、耐圧強度を考慮して、周方向に等分に通常3〜12ケ設けられる。なお、本実施形態では、図3に示すように、連結部222cは8ケ設けている。
口金223は、図3に示すように、押出機20(ヘッド体221)の中心軸Cと同軸線上に配置されたニップル224、及び、ニップル224よりも前方側に配置された、筒形状のダイス225により構成され、ニップル224(の外周面)とダイス225(の内周面)との間の形状で画定される環状流路227及び環状の押出口228を有している。即ち、押出機20は、ゴム組成物を排出する環状構造をした押出口228を有している。
ニップル224は、先端部が中心軸C上後方を向いた略円錐形の凸部分(内環部222bに嵌め込まれる部分)と略円柱形状の胴体部分(環状流路227を画定する部分)を有している。このニップル224は、支持部材222の中空部222dから押出口228へ至る環状流路227よりも内周側に設けられている。ニップル224は、支持部材222を介してヘッド体221に着脱自在に固定される。また、ニップル224の内部には、金型10の後側把持部13が挿入される穴229が設けられており、この穴229に、先端部が中心軸C上前方を向いた略円錐形の凸部を有する凸部材230が組み込まれている。図4に示すように、凸部材230の凸部のテーパ角度(頂角)は、金型10の後側把持部13の漏斗形状をした連通口132のテーパ角度に等しく設けられている。また、図5に示すように、凸部材230の円錐面には、任意の幅および深さで頂部から裾野の平面際まで延在する凹状の切り溝230Aが周方向全体に渡って多数(例えば10ケ)形成されている。
ダイス225は、筒形状をしており、ダイス225の内周面は、後方から前方にかけて傾斜した漏斗形状をしている。このダイス225は、押出口228へ至る環状流路227よりも外周側に設けられている。ダイス225は、ナット226によるねじ込み式等でヘッド体221に着脱自在に固定される。また、ダイス225は、図4及び図9に示すように、ニップル224よりも前方に突出した形状をしている。これにより、ニップル224とダイス225との間の形状で画定される押出口228は、中心軸C方向を向いた環状構造(真円)をしている。なお、本実施形態では、押出口228の向きは中心軸C方向を向いているが、押出口228を画定させる、ニップル224の端部とダイス225の端部とを中心軸C方向で一致させることにより、押出口228が前方(排出方向)を向いた構造にしてもよい。
なお、ダイス225は、ナット226を含め、例えば、内部圧力50MPaにて変形や脱落しないことが必要である。このため、ダイス225において、ニップル224よりも前方に突出した部分は、材料(例えばS45C)の強度にもよるが、耐圧上の安全率をみた突出長さ(例えば2mm程度)が確保されている。
また、図9に示すように、押出機20のニップル224の穴229に、金型10の後側把持部13が挿入された状態(スピニング済の金型10が、金型10の中心軸の延長線上に環状の押出口228の中心が配されるように配置した状態)で、押出口228は、金型10の胴体部11にスピニングされた心線3(最も後側把持部13側にスピニングされた心線3)に対して、金型10の中心軸方向に所定の距離Csを置いた位置に形成されている。
上記距離Csに関する好ましい範囲は、形成する未加硫ベルトスリーブの周長、被覆されるゴム組成物の種別(特に、動粘度特性)、被覆されるゴム組成物の厚さ、金型10の外径、胴体部11の面長、スピニング後の金型10の外径(歯布6及び心線3の厚みを含む)、押出口228の周辺の断面形状、ゴム組成物の排出中に環状隙間14へ供給する圧縮空気の加圧力(設定値)、ならびに押出運転条件(スクリュー回転数、各部温調温度、等)に対応するゴム組成物の排出速度、等の種々の設計事項に依り変化する。目安としては、例えば、実施例1〜3(後述)に示す設定条件では、被覆されるゴム組成物の厚さの概ね1倍以上50倍以下、目安としては15倍程度(ゴム組成物の厚さTが1mmであれば、15mm程度)に設定すればよい。距離Csが、1倍未満(Tが1mmであれば、1mm未満)では、押出口228とスピニング済の金型10の外周面との間の金型10の径方向の距離Cdが、押出口228から排出されるゴム組成物の厚さと同じ寸法に設定された場合(後述する実施例3の距離Cdに相当)、スピニング済の金型10の外周面と排出された筒状のゴム組成物との間に形成される環状隙間14に圧縮空気が供給されて、ゴム組成物が膨張(径が拡大)する際に、ゴム組成物がスピニング済の金型10の外周面にスピニングされた心線3(胴体部11の最も後側把持部13側にスピニングされた心線3)に接触してしまう(心線3のずれが発生する虞がある)。一方、距離Csが、50倍(Tが1mmであれば、50mm)を超えると、距離Csが過度に長くなりすぎ、生産性が低下してしまう。
なお、シリンダー211の内部空間から、ストレートヘッド22のヘッド体221の内部空間、支持部材222の中空部222d、環状流路227を介して、押出口228に至る流路設計としては、環状流路227の中(ニップル224とダイス225との間)で周方向に均一なゴム組成物の流れとなるように、シリンダー211から押出口228に至るまでの流路内部のゴム組成物の流れを調整するフローガイド等(慣用技術)が設けられていてもよい。
また、本実施形態の押出機20は、ストレートヘッド22が、金型10を前方から後方に移動させる金型供給方向、及び、ゴム組成物が押出口228から金型10の外周面に排出される排出方向が水平になるように、本体21に接続されている。しかし、この構造に限らず、押出機20は、図3に示す押出機20を鉛直方向に配置し(図3の押出機20を右90度回転させた配置)、ストレートヘッド22が、金型10を下方から上方に移動させる金型供給方向、及び、ゴム組成物が押出口228から金型10の外周面に排出される排出方向が鉛直方向(重力方向)になるように、本体21に接続された構成にしてもよい。この場合、押出口228から排出される筒状のゴム組成物に対する重力の影響を均一にすることができ、ゴム組成物の重力による偏った変形を防止することができる。
また、ヘッド体221には、口金223の押出口228から排出されるゴム組成物の層の厚さ(実績値)の不均一に対処するため、調芯ボルト(図示せず)を設けている。この調芯作業としては、ダイス225の外周面に先端面を当接させた調芯ボルトを押し引きし、ニップル224を固定したままダイス225を径方向に移動させて行う(調芯作業)。
本実施形態では、図9に示すように、押出口228の隙間の大きさ(Co)を0.5mm、排出されるゴム組成物の層の厚さ(T)の狙い値を1mmにしている。ここで、排出されるゴム組成物の層の厚さ(T)とは、押出口228から排出された瞬間にダイスウェルする(その肉厚が増す)とともに放冷による収縮で縮径した後の厚さである。なお、このときのダイスウェル(T/Co=1/0.5)は2である。また、押出口228と、金型10の胴体部11にスピニングされた心線3(最も後側把持部13側にスピニングされた心線3)との間の距離Csは13mmである。
(圧力源23:加圧装置231)
加圧装置231(熱風発生装置:不図示)は、チャック部241に設けられた連通路242の接続口245に接続されている(図3参照)。これにより、図3、図4、及び、図9に示すように、加圧装置231と環状隙間14(スピニング済の金型10の外周面と排出された筒状のゴム組成物との間に形成)とは、加圧装置231と接続口245との間に設けられた切換弁(加圧装置231側の経路、負圧装置232側の経路:図示せず)、チャック部241の接続口245、チャック部241の連通路242、前側把持部12の連通路121、胴体部11の空洞111、後側把持部13の連通路131、凸部材230の切り溝230A、金型10とニップル224との間に形成された隙間からなる通気路133(図4参照)、及び、ガイド部材112の切り溝112bからなる供給経路を介して接続され、両者が連通する状態になっている。なお、図示しないが、加圧装置231と後述の負圧装置232とに配管接続された上記切換弁により、接続口245に繋がる経路が加圧装置231側と負圧装置232側との間で切り換え可能となっている。
そして、加圧装置231に備わる圧力レギュレータを介して、環状隙間14に圧縮空気を供給し、環状隙間14を加圧(大気圧より高い気圧、例えば0.02〜0.1MPaの範囲内で変量)することができる。また、加圧装置231に備わる電熱ヒータおよび温度調整器により、環状隙間14に連続的に供給する圧縮空気の雰囲気温度は、室温(約23℃)、あるいは、室温(約23℃)よりも高い温度(例えば40〜60℃程度)に設定可能である。また、圧縮空気は、金型10と例えば約90℃に温調されたニップル224との間に形成された通気路133を通過することによっても、ニップル224からの輻射熱を受け、室温(約23℃)よりも高い温度(例えば40〜60℃程度)に昇温され得る。
これにより、押出口228からゴム組成物が排出されてから、排出されたゴム組成物の前端が、スピニング済の金型10の胴体部11の、最も前側把持部12側にスピニングされた心線3付近に達するまでの間、圧縮空気がスピニング済の金型10の外周面と排出された筒状のゴム組成物との間に連続的に供給されることによって、スピニング済の金型10の外周面と排出された筒状のゴム組成物との間に環状隙間14が形成されている間に、ゴム組成物が過度に放冷してしまい、その後、圧縮空気が排気されても、さらなる放冷による収縮作用が不十分となり、環状隙間14が閉塞しなくなるのを抑制することができる。
(圧力源23:負圧装置232)
負圧装置232(真空負圧装置:不図示)は、チャック部241に設けられた連通路242の接続口245に接続されている(図3参照)。具体的には、負圧装置232の吸引装置(バキュームポンプ:不図示)と環状隙間14とが、上記加圧装置231の説明で示した圧縮空気の供給経路(図4等参照)を介して接続され、両者が連通する状態になっている。なお、前述した加圧装置231と負圧装置232とに配管接続された切換弁により、配管経路がこの負圧装置232側に切り換えられることにより、環状隙間14の圧縮空気は、図4等に示した圧縮空気の供給経路を供給方向とは逆向きに通り抜け、外部へ速やかに排出されて、環状隙間14を負圧(大気圧より低い気圧)にすることができる。
(金型供給装置24)
金型供給装置24は、押出機20に付帯されており、機械制御により、随時、金型10の後側把持部13を、ニップル224の内部に設けられた穴229に供給する役割を果たす。具体的には、金型供給装置24は、金型10の前側把持部12を着脱自在に把持可能なチャック部241と、ヘッド体221の中心軸Cの延長線上を押出機20と図6に示す前方待機位置1との間で、金型10を把持したチャック部241を直線移動させる金型供給駆動部243と、金型10が水平方向または鉛直方向下向きになるように、前方待機位置1および前方待機位置2(図6参照)との間で、チャック部241を旋回させる金型旋回駆動部244とを備えている。チャック部241は、三ツ爪式チャックである。金型供給駆動部243(図6参照)は、駆動モータ(サーボモータ、アンプ、電動シリンダー)、およびブラケット等で構成されている。また、金型旋回駆動部244(図6参照)は、駆動モータ(サーボモータ、アンプ)、およびブラケット等で構成されている。
(切断装置25)
切断装置25は、金型10のガイド部材112に設けられた凹溝部112dの上方に排出された環状のゴム組成物を、環状のゴム組成物の上方から凹溝部112dに向けて切断(押し切り)する装置であり、凹溝部112dの外周上に外付けされている(図10参照)。本実施形態では、凹溝部112dの上方に排出された環状のゴム組成物に、1ケの刃物(例えば丸刃)の刃先を圧接させながら、凹溝部112dの底まで押し切り、その状態で刃物を1周回させて、ゴム組成物の層を切断(押し切り)できるようにしている。
(制御装置30)
制御装置30は、金型10、押出機20、及び、これらに付帯する機構を自動制御する装置(コンピュータ)である。制御装置30は、図6に示すように、設定情報記憶部31及び制御部32を備えている。
制御装置30は、各種信号(情報)を検知する検知器などと接続(無線・有線)されている。例えば、押出機20のスクリュー212の回転数(駆動モータの単位時間当たりの回転数)を検知し、スクリュー回転数信号として送信するスクリュー回転数検知器301、スクリュー212の先端部と押出口228との間のゴム組成物の流路内部の圧力を検知し、内部圧力検知信号として送信する圧力検知器302、金型10の押出機20に対する相対的な位置(金型10の供給速度)を検知し、金型供給位置信号として送信する金型供給位置検知器303(サーボモータに内蔵のロータリーエンコーダー、およびアンプ等)、排出されたゴム組成物の前端が、スピニング済の金型10の胴体部11の、最も前側把持部12側にスピニングされた心線3付近に達したことを検知し、押出物先端位置信号として送信する押出物先端位置検知器304、切断装置25による未加硫ベルトスリーブの切断終了を検知し、切断検知信号として送信する切断検知器305などが挙げられる。なお、押出物先端位置検知器304としては、公知の検知器を使用することができ、例えばレーザー光の透過を利用した検知器が挙げられる。
設定情報記憶部31は、予め既知の情報として、作成する未加硫ベルトスリーブの仕様を定めた未加硫ベルトスリーブ種別情報(基材となるゴム組成物の種別、形成する未加硫ベルトスリーブの周長・面長、被覆されるゴム組成物の厚さ、金型10の外径、スピニング後の金型10の外径、金型10の種別、口金223の種別、等)、この未加硫ベルトスリーブ種別情報毎に設定された、スクリュー212の回転数に基づくゴム組成物の押出口228からの排出速度を定めた排出速度情報(スクリュー212の回転数に対応する排出速度が記憶されている)、および、この排出速度情報に対応する、加圧装置231による環状隙間14への加圧力を定めた、基準押出物筒状内部加圧力情報(スクリュー212の回転数に基づき調整すべき環状隙間14への加圧力が記憶されている)を記憶している。
制御部32は、スクリュー回転数検知器301からのスクリュー回転数信号、圧力検知器302からの内部圧力検知信号、金型供給位置検知器303からの金型供給位置信号、押出物先端位置検知器304からの押出物先端位置信号、設定情報記憶部31から読み出した未加硫ベルトスリーブ種別情報に対応する基準押出物筒状内部加圧力情報、および、切断検知器305からの切断検知信号の少なくとも1つに基づいて、金型供給装置24のチャック部241の開閉動作、金型供給駆動部243の駆動モータの回転速度制御による金型10の供給・停止動作(供給速度の調整を含む)、金型旋回駆動部244の駆動モータの回転速度制御による金型10の旋回動作(旋回速度の調整を含む)、駆動モータ213の回転速度制御によるスクリュー212の回転・停止動作(スクリュー212の回転速度調整を含む)、加圧装置231の起動・停止動作(内圧の調整を含む)、負圧装置232の吸引装置の起動・停止動作(内圧の調整を含む)、および、未加硫ベルトスリーブ(ゴム組成物の層)の切断動作を含む一連の金型10の供給動作の少なくとも1つを制御する。
更に、本実施形態の制御装置30は、金型10の外周面に被覆された未加硫ベルトスリーブの外径を計測し、スリーブ外径計測信号として送信するスリーブ外径計測装置306(前後方向3ケ所)を備えている。なお、スリーブ外径計測装置306としては、公知の装置を使用することができ、例えばレーザー光の透過を利用した計測装置が挙げられる。
そして、制御部32は、スリーブ外径計測装置306からのスリーブ外径計測信号、および、設定情報記憶部31から読み出した未加硫ベルトスリーブ種別情報(金型10の外径、スピニング後の金型10の外径(狙い値)等)を基に演算した被覆されたゴム組成物の厚さの実績値に基づいて、駆動モータ213の回転速度を制御(微調整)し、スクリュー212の回転数(押出口228からのゴム組成物の排出量に比例)にフィードバックさせる制御を実行する。
この場合、随時、被覆するゴム組成物の層の厚さの実績値を狙い値に収束させ得るので、フィードバック制御しない場合に比べて、被覆するゴム組成物の層の厚さの精度を向上させた未加硫ベルトスリーブを連続的に得ることができる。
(歯付ベルト1の製造工程)
(1)金型10の胴体部11(外周面には70歯の歯形が設けられている)に筒状の歯布6を被せる。なお、筒状の歯布6は、緯糸方向が胴体部11の周方向となるように被せられる。これにより、作成される歯付ベルト1の歯布6の経糸が、歯付ベルト1の幅方向に沿うように配置される。
(2)スピニング装置にて、胴体部11に被せられた歯布6の上から繊維コードからなる心線3を螺旋状に巻き付け(スピニング)、スピニング済の金型10(胴体部11に歯布6及び心線3が被覆された金型10)を得る(スピニング工程)。
(3)歯付ベルト1のベルト本体5の歯部2及び背部4の基材となるゴム組成物(未加硫物)について、ポリマー、配合剤等原料を混練機に投入して混練した後、スリッターにてリボン状にして押出機20のシリンダー211に供給する。なお、押出機20は、前もって、温水循環式の温調装置を用いて所定温度に昇温しておく。例えば、スクリュー212、及び、シリンダー211を80℃、ストレートヘッド22(口金223を含む)を90℃に昇温しておく。これにより、シリンダー211から押出口228との間の流路内部に、熱可塑化させたゴム組成物を供給する。
なお、図3に示すように、ストレートヘッド22は、金型10を前方から後方に移動させる金型供給方向、及び、ゴム組成物が押出口228から金型10の外周面に排出される排出方向(水平方向)になるように、本体21に接続される。
(4)金型供給装置24のチャック部241がスピニング済の金型10の前側把持部12を把持した状態で、金型10を金型供給方向に供給し、後側把持部13を押出機20のニップル224の穴229に挿入する。即ち、金型供給装置24は、スピニング済の金型10を、金型10の中心軸の延長線上に押出口228の中心が配されるように供給する。これにより、後側把持部13の連通口132がニップル224の穴229に組み込まれた凸部材230に係合される。
その後、駆動モータ213によってスクリュー212を回転させ、押出口228から熱可塑化させた筒状のゴム組成物を排出する。この際、加圧装置231(熱風発生装置)が起動されており、押出口228から排出された筒状のゴム組成物の前端が、スピニング済の金型10の胴体部11の、最も前側把持部12側にスピニングされた心線3付近に達するまでの間、図4等に示した供給経路を通って供給された圧縮空気がスピニング済の金型10の外周面と排出された筒状のゴム組成物との間に連続的に供給されることによって、スピニング済の金型10の外周面と排出された筒状のゴム組成物との間に環状隙間14が形成される。
ここで、金型10のガイド部材112のテーパ形状をした外周面112aの直径(最大径部分)は、スピニング済の金型10の外径より若干大きめに形成されていることから、押出口228からのゴム組成物の排出中、ゴム組成物がスピニング済の金型10の外周面(特に心線3)に接触してしまうことを抑制することができる。
また、ガイド部材112の外周面112aに設けられた切り溝112bによれば、押出口228からのゴム組成物の排出中、ゴム組成物が、供給される圧縮空気の流れ(風圧)を、スピニング済の金型10の外周面(心線3)際で、かつ最も径方向外寄りで、効率よく受け止めることができる。このため、ゴム組成物の排出中、ゴム組成物がスピニング済の金型10の外周面(心線3)に接触してしまうことを抑制することができる。また、ゴム組成物の排出が停止した後、環状隙間14の圧縮空気を排出する際に、ガイド部材112で真っ先にゴム組成物が密着してしまうことにより、外部への空気の逃げ道が塞がれてしまい、ゴム組成物の内周面とスピニング済の金型10の外周面との間の環状隙間14を閉塞できないことを防止することができる。
そして、押出口228から排出された筒状のゴム組成物の前端が、スピニング済の金型10の胴体部11の、最も前側把持部12側にスピニングされた心線3付近に達すると、ゴム組成物の排出が停止(スクリュー212が停止)するとともに、負圧装置232の吸引装置(バキュームポンプ)が起動され、切換弁によって、配管経路が加圧装置231側から負圧装置232側に切り換えられることにより、環状隙間14の圧縮空気は、図4等に示した供給経路を供給方向とは逆向きに通り抜け、外部へ速やかに排出されて、環状隙間14を負圧(大気圧より低い気圧)にされ、環状隙間14が閉塞されるようになっている。このようにして、押出口228から熱可塑化させたゴム組成物を排出し、歯布6上に心線3がスピニングされた金型10の外周面に、ゴム組成物を層状に被覆して未加硫ベルトスリーブを形成する(被覆工程)。
上記被覆工程では、押出口228と、金型10の胴体部11にスピニングされた心線3(最も後側把持部13側にスピニングされた心線3)との間には、金型10の中心軸方向に所定の距離Csが設けられている(図9参照)。これにより、押出口228からのゴム組成物の排出方向に関し、相対移動関係にある両者(ゴム組成物とスピニング済の金型10)を非接触に保つことができる。
なお、前述のように、距離Csに関する好ましい範囲は、一義的に定めることはできない。押出口228とスピニング済の金型10の外周面との間の金型10の径方向の距離Cdは、排出されるゴム組成物の厚みよりも大きくなるように設定されていても、排出されるゴム組成物の厚み以下に設定されていても、距離Csとの兼ね合いにより、ゴム組成物とスピニング済の金型10とを非接触に保つことが可能である。また、距離Cdが排出されるゴム組成物の厚み以下に設定されていた場合、例えば、ゴム組成物の排出中、環状隙間14へ供給する圧縮空気の加圧力を高め(例えば0.05〜0.1MPa程度)に設定する。これにより、押出口228からゴム組成物が排出された瞬間にダイスウェルする(その肉厚が増す)とともに放冷による収縮で縮径する力に抗する力(拡径方向の力)をゴム組成物に作用させつつ、スピニング済の金型10の外周面と排出された筒状のゴム組成物との間に、環状隙間14(圧縮空気の流れの層)を形成させることができる。この環状隙間14の大きさは、目安として、1mm程度あればよい。
また、押出口228から排出された筒状のゴム組成物の前端が、スピニング済の金型10の胴体部11の、最も前側把持部12側にスピニングされた心線3付近に達すると、ゴム組成物の排出を停止するとともに、環状隙間14に供給されていた圧縮空気が排気される。その際、環状のゴム組成物とスピニング済の金型10とを前後方向に略不動にせしめた状態で、環状のゴム組成物(熱可塑化された状態)が、放冷による収縮作用で縮径して、環状隙間14が閉塞し、胴体部11の外周面に抱き付くように密着する。これにより、ゴム組成物の層が、金型10にスピニングされた心線3に対してずり応力を生じさせないので、スピニングされた心線3にピッチ乱れ(心線3のズレ)を生じさせないようにすることができる。
また、被覆工程では、押出口228から排出された熱可塑化されたゴム組成物の層(排出直後の内部温度:概ね90℃)は、ダイスウェルするとともに放冷によって温度が低下することによる収縮、さらには、環状隙間14が負圧に移行されることによって縮径して、押出口228とスピニング済の金型10の外周面との間の金型10の径方向の距離Cd(Cd:例えば2mm)が、ゴム組成物の層の厚さ(T:例えば1mm)よりも、過度に大きい構成(例えば2倍:図9、図10参照)であっても、浮き、縦しわ等の不具合なく、スピニング済の金型10(胴体部11)の外周面に層状に被覆された未加硫ベルトスリーブが連続的に得られる。
このように、距離Cdを、金型10の外周面に層状に被覆されるゴム組成物の厚み(T)に対して比較的大きく(本実施形態では2倍の大きさ)することができるので、環状隙間14を負圧にしない場合に比べて、金型10の周長範囲を拡大することができる。即ち、厚さは同じで周長が異なる未加硫ベルトスリーブの周長範囲を拡大することができる。したがって、従来の押出法と比べて、生産性をより向上させることができる。
更に、一つのスピニング済の金型10に対するゴム組成物による被覆を終える毎に、押出機20のスクリュー212の回転(押出口228からのゴム組成物の排出)を一時停止させる。そして、金型10のガイド部材112に設けられた凹溝部112d付近で、環状に排出されたゴム組成物を切断する。これにより、押出成形済みの未加硫ベルトスリーブ付き金型10が得られる。
(5)得られた押出成形済みの未加硫ベルトスリーブ付き金型10は、押出機20から取り外される。なお、押出成形済みの未加硫ベルトスリーブ付き金型10と、新たなスピニング済の金型10とを金型供給装置24により入れ替えるだけで、有効面長400mmの未加硫ベルトスリーブ付き金型10を連続的に得ることができる。
(6)取り外された未加硫ベルトスリーブ付き金型10を、加硫装置(例えば特許文献1の図3参照)の台座部に載置する。そして、バルブ孔より過熱水蒸気を所定圧力にてブラダーの内部に送り込み、ブラダーをその蒸気圧により膨張させ、未加硫ベルトスリーブを金型10とブラダーとの間で径方向に圧縮し、歯部2を形成させつつ加硫し(加熱加圧条件は、温度:概ね160℃、加圧力:概ね0.8MPa、時間:概ね20分間)、加硫済みのベルトスリーブ(有効面長400mm)を得る(加硫工程)。これにより、加硫済みのベルトスリーブに歯部2(70歯、歯部間のピッチ3mm)が形成される。
(7)加硫後、ベルトスリーブを冷却したあと、脱型装置にて金型10を抜いて、この加硫済みのベルトスリーブを取出す。
(8)幅カット装置にて、有効面長400mmのベルトスリーブを、ベルト幅10mmで幅カットし、歯付ベルト1(呼び:100S3M210)を40本得る。
(被覆工程の連続的動作)
上記歯付ベルト1の製造工程の(4)の被覆工程で実行される連続的動作について、詳細に説明する。
なお、被覆工程で実行される連続的動作では、制御装置30による自動制御が行われる。この際、制御装置30が有する入力装置(図示せず)により、作成する未加硫ベルトスリーブの仕様を定めた未加硫ベルトスリーブ種別情報(基材となるゴム組成物の種別、形成する未加硫ベルトスリーブの周長・面長、被覆されるゴム組成物の厚さ(T)、金型10の外径、スピニング後の金型10の外径、金型10の種別、口金223の種別等)が入力・選択される。そして、入力・選択された未加硫ベルトスリーブ種別情報に基づき、制御部32は下記工程の連続的動作を制御する。
(ゴム組成物の被覆前)
(4−1)制御部32は、金型供給位置検知器303からの金型供給位置信号に基づいて、一連の金型10の供給動作を制御し、図6に示すように、金型供給装置24のチャック部241(鉛直下向き)を前方待機位置2(後述する金型搬送装置26の鉛直上方)の位置から下降させる。そして、チャック部241(鉛直下向き)に、スピニング工程で得られたスピニング済の金型10の前側把持部12(鉛直上向き)を把持させた後、チャック部241を前方待機位置2まで上昇させるとともに、スピニング済の金型10の中心軸が押出機20の中心軸Cと同軸線上に配置されるように、前側把持部12を把持したチャック部241を時計回りに90°首振りさせて、チャック部241を前方待機位置1に移動(金型10を旋回)させる。
(4−2)制御部32は、圧力検知器302からの内部圧力検知信号に基づいて、スクリュー212の先端部と押出口228との間のゴム組成物の流路内部の圧力がゼロから上昇し始めたと判断すると(環状流路227の入口付近に熱可塑化されたゴム組成物(未加硫物)が充満し始めると)、金型供給位置検知器303からの金型供給位置信号に基づいて、チャック部241がスピニング済の金型10の前側把持部12を把持した状態で、金型10を金型供給方向に供給し、後側把持部13を押出機20のニップル224の穴229に挿入する。これにより、後側把持部13の連通口132がニップル224の穴229に組み込まれた凸部材230に係合される((図7:状態I)。
(4−3)制御部32は、圧力検知器302からの内部圧力検知信号(圧力値)が、押出口228の近傍までゴム組成物(未加硫物)が流動したことを示す内部圧力値(例えば25MPa)に達したと判断すると、圧力源23の加圧装置231(熱風発生装置)を起動させ、基準押出物筒状内部加圧力で、スピニング済の金型10の外周面と排出された筒状のゴム組成物との間に、圧縮空気の供給を開始する(図4:圧縮空気の供給経路、図7:状態II−1)。なお、圧縮空気の雰囲気温度は、加圧装置231(熱風発生装置)に備わる電熱ヒータおよび温度調整器により、例えば50℃前後に調整される。また、この基準押出物筒状内部加圧力は、予め設定情報記憶部31に記憶させておいた加圧力であって、未加硫ベルトスリーブ種別情報毎に設定されたスクリュー回転数(例えば5rpm)に基づく、押出口228からのゴム組成物の排出速度に対応する加圧力である。この設定情報記憶部31から読み出した基準押出物筒状内部加圧力信号に基づいて、制御部32が加圧装置231による圧縮空気の供給・停止動作を制御する。
(ゴム組成物の被覆)
(4−4)圧縮空気が、スピニング済の金型10の外周面と排出された筒状のゴム組成物との間に連続的に供給されることにより、押出口228から円筒状に排出されたゴム組成物(筒状のゴム組成物)は、わずかに膨張しつつ(外径をわずかに拡大し、スピニング済の金型10の外周面(心線3がスピニングされた状態)の外側に非接触でかぶさるように)、前方(排出方向)へ排出されていく。つまり、スピニング済の金型10の外周面と排出された筒状のゴム組成物との間に環状隙間14が形成される(図7:状態II−2)。
(4−5)制御部32は、押出物先端位置検知器304からの押出物先端位置信号に基づいて、排出されたゴム組成物の前端が、スピニング済の金型10の胴体部11の、最も前側把持部12側にスピニングされた心線3付近に達したと判断すると、押出機20のスクリュー212の回転を一時停止させるとともに、加圧装置231による圧縮空気の供給を停止させる(図7:状態III)。
制御部32は、加圧装置231による圧縮空気の供給を停止させると略同時に、負圧装置232の吸引装置(バキュームポンプ)を起動させ、切換弁によって、配管経路を加圧装置231側から負圧装置232側に切り換える。これにより、環状隙間14の圧縮空気は速やかに排気され、環状隙間14が負圧(大気圧より低い気圧)になるとともに、放冷による収縮作用が加わり、押出口228から排出された、熱可塑化させたゴム組成物の層(円筒状)が縮径して、環状隙間14が閉塞しつつ、金型10の胴体部11の外周面に抱き付き(密着し)、金型10の胴体部11の外周面に、層状のゴム組成物が、浮き・縦しわ等の不具合なく、被覆される(ゴム被覆完了)(図8:状態IV)。これにより、金型10の胴体部11に層状に排出されるゴム組成物の内周側が負圧になり、ゴム組成物の外周側が大気圧に保たれる(ゴム組成物の内周側と外周側とで圧力差を作り出す)ことで、胴体部11の外周面に被覆された歯布6及びスピニングされた心線3に対する、層状のゴム組成物の密着性を、負圧にしない場合に比べて向上させている。
ここで、押出機20の押出口228は、金型10の胴体部11にスピニングされた心線3(最も後側把持部13側にスピニングされた心線3)に対して、金型10の中心軸方向に所定の距離Csを置いた位置に配置されている。そして、押出口228からゴム組成物が排出されてから、排出されたゴム組成物の前端が、スピニング済の金型10の胴体部11の、最も前側把持部12側にスピニングされた心線3付近に達するまでの間、環状隙間14へ圧縮空気が供給される。これにより、この間、押出口228から排出されつつあるゴム組成物がスピニング済の金型10の外周面(心線3)に接触しないようにすることができる。なお、後述する実施例1〜3の設定の場合、押出口228からゴム組成物が排出されてから、排出されたゴム組成物の前端が、スピニング済の金型10の胴体部11の、最も前側把持部12側にスピニングされた心線3付近に達するまでの間の所要時間は、約7秒で、この間のゴム組成物の内部温度は、放冷により、排出直後の概ね90℃から約3℃低下している程度であるゆえ、環状隙間14へ供給された圧縮空気が排気された際に、まだ十分に、放冷による収縮作用で縮径し得る状態である。これにより、環状のゴム組成物(熱可塑化された状態)が、放冷による収縮作用で縮径して、環状隙間14が閉塞し、胴体部11の外周面に抱き付くように密着する。その結果、ゴム組成物の層が、金型10にスピニングされた心線3に対してずり応力を生じさせないので、スピニングされた心線3にピッチ乱れ(心線3のズレ)を生じさせないようにすることができる。
また、ガイド部材112を設けたことにより、押出口228から排出されたゴム組成物がガイド部材112に接触したとしても、ガイド部材112のテーパ形状をした外周面112a及び圧縮空気により、スピニング済の金型10の外周側に案内されることから、押出口228からスピニング済の金型10の外周側へのゴム組成物の排出を確実且つスムーズに行うことができる。
また、制御部32は、金型10の胴体部11の外周面に層状のゴム組成物を被覆させた際に、スリーブ外径計測装置306等により得た、被覆されたゴム組成物の厚さの実績値に基づき、次回以降に供給されるスピニング済の金型10に被覆するゴム組成物の厚さを狙い値に収束させるフィードバック制御を実行することにより、スクリュー回転数検知器301からのスクリュー回転数信号に基づき、駆動モータ213の回転速度を制御(微調整)し、スクリュー212の回転数(押出口228からのゴム組成物の排出量に比例)を逐次微調整する。
また、金型10の胴体部11の外周面に被覆された層状のゴム組成物の周方向に関する厚さ(実績値)の不均一に対処するため、調芯作業(押出機20の運転停止中に調芯ボルトを押し引きし、ダイス225を径方向に移動させる)を必要に応じ適宜行う。
(4−6)制御部32は、胴体部11の外周面上に被覆されたゴム組成物の層を、切断装置25にて、ガイド部材112の凹溝部112dの底まで押し切り、その状態で刃物を1周回させて切断する。これにより、押出成形済みの未加硫ベルトスリーブ付きの金型10と押出口228から排出されるゴム組成物の層とを完全に切り離す。
(4−7)制御部32は、切断検知器305からの切断装置25の切断完了を示す切断検知信号に基づいて、押出成形済の未加硫ベルトスリーブ付き金型10を把持していたチャック部241を前方待機位置1に移動させる(図8:状態V)。この未加硫ベルトスリーブ付き金型10は、取り外されて、加硫工程へ移行する。
具体的には、制御部32は、金型供給位置検知器303からの金型供給位置信号に基づいて、次の1)〜3)に示す、一連の金型供給動作を制御する。
1)制御部32は、金型供給駆動部243により、未加硫ベルトスリーブ付き金型10の前側把持部12を把持していたチャック部241を前方待機位置1に移動させた後、金型10の中心軸が鉛直下向きになるように、金型旋回駆動部244により、チャック部241を反時計方向に90°首振りさせて、金型10を旋回させる。
2)次に、制御部32は、金型供給駆動部243により、チャック部241を鉛直下方に移動させ、未加硫ベルトスリーブ付き金型10の後側把持部13を、金型搬送装置26(図6参照)の受け部(鉛直上向き)に挿入させる。なお、この金型搬送装置26は、当被覆工程で実行される動作とは別系統(金型搬送装置26)の制御部による制御により、スピニング工程、被覆工程、加硫工程を巡回して金型10を搬送する装置である。
3)次に、制御部32は、未加硫ベルトスリーブ付き金型10の前側把持部12の把持を解除させ、前方待機位置2(または、前側把持部12が干渉しない位置)までチャック部241を上昇させることにより、未加硫ベルトスリーブ付き金型10は取り外され、加硫工程へ移行する。
次に、別系統(金型搬送装置26)の制御部は、金型搬送装置26により、未加硫ベルトスリーブ付き金型10を加硫工程へ移動させるとともに、新たなスピニング済の金型10(金型10の後側把持部13が鉛直上向き)を前方待機位置2の真下に搬送させる。
(4−8)
以降、制御部32による制御により、再び、(4−1)の動作に戻る。制御部32による、上記(4−1)〜(4−7)の動作の繰り返しによって、連続的に、スピニング済の金型10の外周面に円筒状のゴム組成物の層を被覆させた未加硫ベルトスリーブを得る。
上記によれば、未加硫ベルトスリーブの仕様毎に、一連の金型供給装置24及び圧力源23等の動作の制御を自動的に実行することができる。これにより、従来法に比べて、省人化が一段と進み、生産性がより向上する。
上記製造方法によれば、被覆工程において、スピニング済の金型10の外周面と筒状に排出されたゴム組成物との間に圧縮空気を供給することにより、筒状のゴム組成物に拡径方向の力を付与し、スピニング済の金型10の外周面と筒状に排出されたゴム組成物との間に環状隙間14を形成することができる。これにより、熱可塑化させたゴム組成物を筒状に排出している間は、ゴム組成物が、金型10の外周面にスピニングされた心線3に接触しないようにすることができる。
更に、筒状に排出されたゴム組成物がスピニング済の金型10の外周面の所定位置に達すると、ゴム組成物の排出を停止するとともに、圧縮空気を排気し、環状隙間14を閉塞させることにより、筒状のゴム組成物に作用していた拡径方向の力がなくなる。その結果、熱可塑化させた筒状のゴム組成物が放冷による収縮作用で縮径して、スピニング済の金型10の外周面に密着する。これにより、筒状に排出されたゴム組成物は、金型10の外周面にスピニングされた心線3に対して、ずり応力を生じさせることなく、スピニング済の金型10の外周面に層状に被覆されることになる。つまり、未加硫ベルトスリーブを形成する被覆工程において、心線3にピッチ乱れ(心線3のズレ)を生じさせないようにすることができる。
また、上記被覆工程では、押出成形済みの未加硫ベルトスリーブ付き金型10と、新たなスピニング済の金型10とを金型供給装置24により入れ替えるだけで、金型10の外周面に円筒状のゴム組成物の層を被覆させた未加硫ベルトスリーブを連続的に成形することができる。そのため、従来法(カレンダーロール等圧延設備によるシート化、切断、金型への巻き付け、およびジョイントという一連の煩雑なプロセスが必要)に比べて、ゴム製の歯付ベルト1の製造に係る生産性を向上させることができる。
また、金型10のみを周長の異なるものに交換するだけで、例えば厚さは同じで周長が若干程度異なる未加硫ベルトスリーブを成形することができる。このため、従来の押出法のように、押出口228とスピニング済の金型10の外周面との間の距離がゴム組成物の層の厚さと略同じである場合、ゴム組成物の層の厚さは同じでも周長が若干でも異なれば金型10及びダイス225、ニップル224を入れ替えなくてはならなくなるため、従来よりも生産性が向上する。
また、スピニング済の金型10の外周面と筒状に排出されたゴム組成物との間への圧縮空気の加圧力を調整することにより、金型10のみを周長の異なるものに交換するだけで、例えば厚さは同じで周長が若干程度異なる未加硫ベルトスリーブを成形することができる。この点、押出口と金型の外周面との間(径方向)の距離がゴム組成物の層の厚さと略同じである場合(従来の押出法、特許文献1図1、および後述の比較例1の図14に相当)、ゴム組成物の層の厚さは同じでも周長が若干でも異なれば金型及びダイス、ニップルを入れ替えなくてはならなくなるため、従来の押出法よりも生産性が向上する。
また、切断装置25によって、胴体部11の外周面上に被覆されたゴム組成物の層の切断後、押出口228近傍に残留したゴム組成物(例えば長さ10mm程度、放冷が進む先端部は返しゴムとして再利用)は、放冷収縮が進み、先端部がより縮径した形状(口つぼみ状態)で押出口228近傍に残っているが、上記のように、金型10の胴体部11の、後側把持部13側の端部に設けられたガイド部材112は、その外周面112aが、図9に示すように、テーパ形状をしていることから、次に、新たなスピニング済の金型10が供給される際、押出口228近傍に残留したゴム組成物の先端部を、テーパ形状をした外周面112aに接触させて、ガイド部材112の外側に被せることができる(図8の状態V→図7の状態Iの過程)。このため、押出口228からのゴム組成物の排出直後から、ゴム組成物は、供給される圧縮空気の流れ(風圧)をスムーズに受け流しつつ、残留したゴム組成物の長さが比較的短い場合(例えば4mm程度)であっても、残留したゴム組成物の先端部の断面形状が略真円を保持したままテーパ形状をした外周面112aに沿って、直径を拡大していくことができる。したがって、ゴム組成物の先端部の折れ曲がりや、ゴム組成物の先端部がスピニング済の金型10の外周面(心線3)に接触してしまうことによる心線3のずれの発生等、被覆工程に係る屑や不良の発生を抑制することができる。
(その他の実施形態)
上記実施形態の被覆工程では、押出口228から排出された筒状のゴム組成物の前端が、スピニング済の金型10の胴体部11の、最も前側把持部12側にスピニングされた心線3付近に達した場合に、負圧装置232により環状隙間14を負圧にしているが、負圧装置232は必須の構成ではなく、環状隙間14を負圧にしなくてもよい。即ち、加圧装置231をオフにして、環状隙間14の圧縮空気を自然排気(大気圧)してもよい。
また、上記実施形態では、押出口228からゴム組成物が排出される排出方向が、水平方向になるような構造・配置にしているが、このゴム組成物の排出方向が、重力方向(鉛直下向き)または重力に抗する方向(鉛直上向き)になるように押出機20を配置してもよい。この場合は、本実施形態のようなストレートヘッド22ではなく、クロスヘッドを押出機20に接続する。この場合、排出されるゴム組成物のスピニング済の金型10の外周面に対する重力の影響を均一にすることができ、排出されたゴム組成物の重力による偏った変形を防止することができる。これにより、ゴム組成物の排出方向を略水平方向にした場合に比べて、得られる未加硫ベルトスリーブのゴム組成物の層に関する厚さの均一性、及び、ゴム組成物と心線との密着性を向上させ得る。
また、上記被覆工程で実行される一連の動作を制御部32によって制御(コンピュータ制御)せず、手動で行ってもよい。
また、押出機20には、切断装置25を備えなくてもよい。この場合、被覆工程で、例えば、ゴム被覆完了後(スクリュー212は一時停止状態)、制御部32に金型供給動作を制御させて、金型10を僅かに前方へ移動させる(好適には、環状隙間14を負圧に保持した状態で金型10を移動させる)。これにより、押出口228とスピニング済の金型10の外周面にスピニングされた心線3(最も後側把持部13側にスピニングされた心線3)との間で、ゴム組成物の層が伸長されて、切断される。この方法によれば、ダイス225の前方に、切断装置25のスペースを確保しなくてもよい分、距離Csを短くできるので、切断装置25を設ける場合と比べて、生産性が向上する。
また、上記実施形態の被覆工程では、スピニング後の金型10の胴体部11の外径(歯布6及び心線3の厚みを含む)が、ダイス225の内周面の直径(環状の押出口228の内径)よりも小さくなるように設定されているが、スピニング後の金型10の胴体部11の外径は、ダイス225の内周面の直径以上に設定されていてもよい。この場合、スピニング後の金型10の胴体部11の外径(歯布6及び心線3の厚みを含む)が、ダイス225の内周面の直径(環状の押出口228の内径)よりも小さくなるように設定されている場合と比べて、上記距離Csを長めに設定し、環状隙間14へ供給する圧縮空気の加圧力(P1)を高めに設定することで、対応可能である。
(比較)
下記では、本発明に係る実施例1〜3の製造方法で作製した歯付ベルト1と従来の押出法で作製した歯付ベルト1(比較例1)とを、比較評価した。また、実施例1〜3では、『押出口228とスピニング済の金型10の外周面との間の金型10の径方向の距離Cd』、『押出口228と、金型10の胴体部11にスピニングされた心線3(最も後側把持部13側にスピニングされた心線3)との間の距離Cs』、『環状隙間14へ供給する圧縮空気(雰囲気温度:50℃前後)の加圧力P1』、『環状隙間14から圧縮空気を排気した後の圧力P2(負圧の有無)』等の各種設定を変えた製造方法で得られた、未加硫ベルトスリーブ・加硫済ベルトスリーブ・歯付ベルトについて比較評価した。
実施例1〜3、及び、比較例1で実施した製造方法によって未加硫ベルトスリーブ(歯付ベルト)を得るための、狙いとする未加硫ベルトスリーブの仕様(歯布、心線、ゴム組成物の材料、構成、厚さ等の仕様)、金型の胴体部の面長、押出口周辺の断面形状、および押出物の排出速度は、略同じに設定した。
(実施例1〜3及び比較例1で共通の設定)・押出口の隙間の大きさ(Co):0.5mm・ゴム組成物の層の厚さ(T):1mm・スクリュー回転数(N):5r.p.m.→その結果、押出口からのゴム組成物の排出速度(V):概ね4m/分・金型の胴体部の面長:450mm
(実施例1)
実施例1は、図9、及び、図10に示すように、押出口228とスピニング済の金型10の外周面との間の、金型10の径方向の距離Cdをゴム組成物の層の厚さ(T)よりも過度に大きくなるように設定した一例である。
具体的には、実施例1では下記の設定である。・距離Cd:2mm・距離Cs:13mm・加圧力P1:0.02MPa・圧力P2:負圧
(実施例2)
実施例2は、圧力P2を大気圧にした以外は実施例1と同様である。・距離Cd:2mm・距離Cs:13mm・加圧力P1:0.02MPa・圧力P2:大気圧
(実施例3)
実施例3は、図11、及び、図12に示すように、押出口228とスピニング済の金型10の外周面との間の、金型10の径方向の距離Cdをゴム組成物の層の厚さ(T)と同じになるように設定した一例である。なお、環状隙間14へ供給する圧縮空気の加圧力P1を高めに設定している。・距離Cd:1mm・距離Cs:13mm・加圧力P1:0.05MPa・圧力P2:大気圧
(比較例1)
比較例1は、図13及び図14に示すように、従来の押出法で、スピニング済の金型をクロスヘッドの内筒部の内部に連続的に供給して、その外周面にゴム組成物(未加硫物)を不具合なく被覆成形できるかどうかを試みた一例であり、押出口とスピニング済の金型の外周面との間の金型の径方向の距離Cdは、実施例3と同様、ゴム組成物の層の厚さ(T:1mm)と同じ寸法になるように設定した。
(評価項目)
以下に、実施例1〜3及び比較例2に係る歯付ベルトを評価するにあたっての評価項目、評価方法、評価基準について説明する。
(生産性)
該当の製造方法(押出成形)によって連続的に未加硫ベルトスリーブを得ることができ、従来法に比べて生産性が向上したと判断できる場合は「○」とし、さらに、金型の周長範囲をより拡大可能等、従来法に比べて生産性がより向上したと判断できる場合は「◎」とし、該当の製造方法(押出成形)によって、連続的に未加硫ベルトスリーブを得ることができず、従来法と比べて生産性が向上しないと判断した場合(心線ずれ等品質不良が多発した場合を含む)は「×」と評価した。
(均一性)
各製造方法により得られた複数の未加硫ベルトスリーブについて、加硫工程の前に、寸法等を確認した結果、未加硫ベルトスリーブの被覆したゴム組成物の層に関する厚さ(約1mm)が、均一であれば「○」とし、不均一であれば「×」と評価した。
(密着性)
各製造方法により得られた複数の未加硫ベルトスリーブについて、加硫工程の前に、確認した結果、未加硫ベルトスリーブの被覆したゴム組成物の層と心線との密着性が、良好(浮きなし)であれば「○」とし、より良好(心線の食い込み大)であれば「◎」とし、悪い(浮き有)場合は「×」と評価した。
(心線ずれ)
各製造方法により得られた未加硫ベルトスリーブおよび加硫済みのベルトスリーブについて、スリーブ長さ(面長)方向に沿った断面を観察した結果、心線にピッチ乱れ(金型の長手方向のずれ)が無い場合「○」とし、有りの場合「×」と評価した。
(品質)
各製造方法により得られた歯付ベルト(呼び:100S3M210)に関する品質(静的、動的)が、従来法で得られた歯付ベルトの品質と比べても遜色なく、製造方法に起因する不具合は一切無しの場合「○」とし、有りの場合「×」と評価した。
(評価結果)
実施例1〜実施例3、及び、比較例1の設定により得られた、未加硫ベルトスリーブ・加硫済ベルトスリーブ・歯付ベルトについて、状態・寸法等を確認した。評価結果を表1に示す。
※各例において、設定値Co(0.5mm)、T(1mm)、N(5r.p.m.)は、共通。
(生産性:実施例1〜3)
実施例1〜3の製造方法(押出成形)では、連続的に未加硫ベルトスリーブを得ることができた。
(均一性、密着性:実施例1〜3)
得られた複数の未加硫ベルトスリーブについて、加硫工程の前に、寸法等を確認した結果、未加硫ベルトスリーブの被覆したゴム組成物の層に関する厚さ(約1mm)の均一性および心線との密着性に問題はなかった(密着性に関し、実施例1は、P2を負圧にしたことにより、実施例2及び実施例3に比べて、心線の食い込みが大きい分、より良好であった。
(心線ずれ:実施例1〜3)
また、未加硫ベルトスリーブおよび加硫済みのベルトスリーブについて、スリーブ長さ(面長)方向に沿った断面を観察した結果、心線にピッチ乱れ(金型の長手方向のずれ)は生じていなかった。
(品質)
得られた歯付ベルト(呼び:100S3M210)に関する品質(静的、動的)は、従来法で得られた歯付ベルトの品質と比べても遜色なく、製造方法に起因する不具合は一切無かった。
(比較例1)
一方、比較例1では、上記製造方法により、連続的に未加硫ベルトスリーブを得ることができたが、得られた未加硫ベルトスリーブについて、スリーブ長さ(面長)方向に沿った断面を観察したところ、心線にピッチ乱れ(金型の長手方向のずれ)が発生していることが確認された。したがって、比較例1の従来の押出法では、品質と生産性の両立が難しいことがわかった。
上記比較の結果、実施例1〜実施例3では、比較例1のように従来の押出法に比べて、品質を保持しつつ、生産性をより向上させることができることが分かった。
1 歯付ベルト
2 歯部
3 心線
4 背部
5 ベルト本体
6 歯布
100 製造装置
10 金型
11 胴体部
12 前側把持部
13 後側把持部
14 環状隙間
20 押出機
21 本体
212 スクリュー
22 ストレートヘッド
221 ヘッド体
222 支持部材
223 口金
224 ニップル
225 ダイス
227 環状流路
228 押出口
C 中心軸

Claims (8)

  1. ベルト周長方向に所定の間隔で設けられた複数の歯部と、心線が埋設された背部と、を有するゴム組成物を基材とするベルト本体を有し、前記複数の歯部の表面に歯布が被覆された歯付ベルトの製造方法であって、
    円筒状の外周面に歯形が形成された金型の外周に筒状の前記歯布を装着し、前記歯布上に前記心線をスピニングするスピニング工程と、
    前記歯布上に前記心線がスピニングされた、スピニング済の前記金型の外周面に、熱可塑化させた前記ゴム組成物を筒状に排出し、前記外周面を被覆して未加硫ベルトスリーブを形成する被覆工程と、
    前記未加硫ベルトスリーブを外周側から加圧して前記歯部を形成させつつ加硫する加硫工程と、を含み、
    前記被覆工程において、
    前記スピニング済の前記金型の外周面と筒状に排出された前記ゴム組成物との間に、圧縮空気を連続的に供給することにより、前記スピニング済の前記金型の外周面と筒状に排出された前記ゴム組成物との間に環状隙間を形成し、
    筒状に排出された前記ゴム組成物が、前記スピニング済の前記金型の外周面の所定の位置に達すると、前記ゴム組成物の排出を停止するとともに、前記圧縮空気を排気することにより、前記環状隙間を閉塞する、ことを特徴とする、歯付ベルトの製造方法。
  2. 前記被覆工程において、
    環状の押出口を有する押出機に、前記スピニング済の前記金型を、当該金型の中心軸の延長線上に前記環状の押出口の中心が配されるように配置し、
    更に、前記金型にスピニングされた前記心線と前記押出口とは、前記金型の中心軸方向に所定の距離を置いて配置し、
    前記押出口から前記熱可塑化させたゴム組成物を筒状に排出し、前記スピニング済の前記金型の外周面を被覆して未加硫ベルトスリーブを形成する、ことを特徴とする、請求項1に記載の歯付ベルトの製造方法。
  3. 前記被覆工程において、
    前記圧縮空気を排気する際に、前記環状隙間が大気圧より低い負圧になるように設定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の歯付ベルトの製造方法。
  4. 前記押出機は、
    前記押出口から前記ゴム組成物を排出するスクリューと、
    前記スクリューの回転数を検知し、スクリュー回転数信号として送信するスクリュー回転数検知器と、
    前記スクリューの先端部と前記押出口との間の前記ゴム組成物の流路内部の圧力を検知し、内部圧力検知信号として送信する圧力検知器と、
    前記金型を、当該金型の中心軸の延長線上に前記押出口の中心が配されるように供給する金型供給装置と、
    前記金型の位置を検知し、金型供給位置信号として送信する金型供給位置検知器と、
    前記圧縮空気を供給・排出する圧力源と、
    前記ゴム組成物が前記スピニング済の前記金型の外周面の所定の位置に達したことを検知し、押出物先端位置信号として送信する押出物先端位置検知器と、
    切断装置と、
    前記切断装置による前記未加硫ベルトスリーブの切断終了を検知し、切断検知信号として送信する切断検知器と、
    前記未加硫ベルトスリーブの仕様を定めた、未加硫ベルトスリーブ種別情報、該未加硫ベルトスリーブ種別情報毎に設定された、前記スクリューの回転数に基づく前記ゴム組成物の前記押出口からの排出速度を定めた排出速度情報、および、前記排出速度情報に対応する、前記圧力源による前記ゴム組成物への加圧力を定めた、基準押出物筒状内部加圧力情報を記憶する設定情報記憶部と、
    前記スクリュー回転数検知器からの前記スクリュー回転数信号、前記圧力検知器からの前記内部圧力検知信号、前記金型供給位置検知器からの前記金型供給位置信号、前記押出物先端位置検知器からの前記押出物先端位置信号、前記設定情報記憶部から読み出した前記基準押出物筒状内部加圧力情報、および、前記切断検知器からの前記切断検知信号の少なくとも1つに基づいて、前記金型供給装置および前記圧力源の動作を制御する、制御部と、を備え、
    前記未加硫ベルトスリーブ種別情報毎に、前記金型供給装置および前記圧力源の動作が前記制御部により制御されることを特徴とする、請求項2に記載の歯付ベルトの製造方法。
  5. ベルト周長方向に所定の間隔で設けられた複数の歯部と、心線が埋設された背部と、を有するゴム組成物を基材とするベルト本体を有し、前記複数の歯部の表面に歯布が被覆された歯付ベルトの製造装置であって、
    環状の押出口を有する押出機と、
    円筒状の外周面に歯形が形成され、中心軸の延長線上に前記環状の押出口の中心が配されるように、前記押出機に対して着脱自在な金型と、
    前記押出口から押し出された筒状のゴム組成物と前記金型の外周面との間に形成される環状隙間への圧縮空気の供給、及び、前記環状隙間からの前記圧縮空気の排気が可能な圧力源と、を備えたことを特徴とする歯付ベルトの製造装置。
  6. 前記金型は、当該金型にスピニングされた前記心線と前記押出口とが、前記金型の中心軸方向に所定の距離を置いて配置されるように、前記押出機に装着されることを特徴とする、請求項5に記載の歯付ベルトの製造装置。
  7. 前記圧力源は、前記圧縮空気を排気する際に、前記環状隙間が大気圧より低い負圧になるように設定可能であることを特徴とする、請求項5又は請求項6に記載の歯付ベルトの製造装置。
  8. 前記押出機は、
    前記押出口から前記ゴム組成物を排出するスクリューと、
    前記スクリューの回転数を検知し、スクリュー回転数信号として送信するスクリュー回転数検知器と、
    前記スクリューの先端部と前記押出口との間の前記ゴム組成物の流路内部の圧力を検知し、内部圧力検知信号として送信する圧力検知器と、
    前記金型を、当該金型の中心軸の延長線上に前記押出口の中心が配されるように供給する金型供給装置と、
    前記金型の位置を検知し、金型供給位置信号として送信する金型供給位置検知器と、
    前記ゴム組成物が前記スピニング済の前記金型の外周面の所定の位置に達したことを検知し、押出物先端位置信号として送信する押出物先端位置検知器と、
    切断装置と、
    前記切断装置による前記未加硫ベルトスリーブの切断終了を検知し、切断検知信号として送信する切断検知器と、
    前記未加硫ベルトスリーブの仕様を定めた、未加硫ベルトスリーブ種別情報、該未加硫ベルトスリーブ種別情報毎に設定された、前記スクリューの回転数に基づく前記ゴム組成物の前記押出口からの排出速度を定めた排出速度情報、および、前記排出速度情報に対応する、前記圧力源による前記ゴム組成物への加圧力を定めた、基準押出物筒状内部加圧力情報を記憶する設定情報記憶部と、
    前記スクリュー回転数検知器からの前記スクリュー回転数信号、前記圧力検知器からの前記内部圧力検知信号、前記金型供給位置検知器からの前記金型供給位置信号、前記押出物先端位置検知器からの前記押出物先端位置信号、前記設定情報記憶部から読み出した前記基準押出物筒状内部加圧力情報、および、前記切断検知器からの前記切断検知信号の少なくとも1つに基づいて、前記金型供給装置および前記圧力源の動作を制御する、制御部と、を備え、
    前記未加硫ベルトスリーブ種別情報毎に、前記金型供給装置および前記圧力源の動作が前記制御部により制御されることを特徴とする、請求項5〜7の何れかに記載の歯付ベルトの製造装置。
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